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三連体育祭編・49

有希さんと見守るようにして次戦当たるであろう、

チーム同士の対決を観戦していた。

そして終了のホイッスルが鳴った時、二人して安堵した


「これならいざって時は、なんとかなりそうですね」


「うん、そんなこと起きなきゃ良いけど

 この天候と気温、皆の様子を見てるとね......」


作戦の内容は明確に語っていないが、自然な形で

彼女も助力してくれそうだ。

そう、何を隠そう我が秘策とは他にもない


引っ張った割にまるで巧妙さもなく、美しいものでもない。

【トレードしまくろう作戦】なのである!


中身は簡単、実はうちのチーム力を入れたと言っても

主力が飛びぬけているだけで他のメンバーのやる気の低さも

バレーとドッジより群を抜いている。

加入理由も人数の多い団体競技だし、ドッジほど忙しなくする

必要がないため、というあまりにも舐め腐ったものであった。

サッカーだけは競技内容の激しさ、外競技であることから

ベンチメンバーも許されており、参加意欲の低い者を

ぶち込むのには最適であったりする。

故に士気の高い者を初戦から使っていると

大事な後半決戦で総崩れになったりするのである


そうしたやる気薄な彼らにとって30分の激闘は

闘志の無い者から更に気力どころか体力も奪っていく。

せいぜいディフェンダーだからと甘く見ていたのだろう


夏であれば既に倒れているくらいに疲弊した顔を

揃いも揃ってこの初戦でしてしまっている。

ただ、これのおかげでベンチの者どもも引きずり出して

控えすら残さない状態に出来る。


すると、どうなるか?

疲労困憊の者達に悪魔の囁きをしてやるだけ。

審判の前で熱演するだけでこの地獄から解放されるよ、と......


こうして条件は満たされて打倒したチームからメンバーを持ってこれる。

先ほど戦ったクラスからでも良いが、これから戦うところこそ

有希さんの顔馴染みが多く、俺にすら話を通しやすい相手がいる。


むしろ、そいつさえ仲間にできさえすれば。

チャンスは大きく広がる。

だが、それだけの実力者を相手するだけに

普通に敗北もあり得るのだ


「奴を仲間にできるまで皆には頑張って貰いましょう。

 もう既に他のチームじゃトレードも行われてる、なんて

 噂も立っているみたいですし」


「そ、そう? じゃあ......」


無論、嘘である。

流石に老人会の戯れではない。

ピチピチのJKとDKが初戦突破からトレードした例はない。

ただ、二回戦突破からなら前例は無くもない。

清楚な彼女だからこそ騙せる。

悪い男としては病み付きになるかもしれない



さて、チームの男子に疲労具合からベンチメンバーも

引きずり出すことに成功。

嫌々としている仲間たちには既に秘策の吹聴も済ませた。

幸運なのは気力・体力共にない者たちは帰宅部のほかに

文化部も多く、特に演劇部が多い。

迫真の演技はお手の物だろう


さあ、試合がスタートした。

これからのことも考えて体力の分配も気にする必要が

なくなった彼らは、大胆に動いてくれた。

守備でありながら攻撃にも参加する積極性、

そして欠かさない審判への疲労アピール。

女子たちは上手くやっているのは流石だ


是非、ベンチの男子たちにも見習ってもろて......


この調子なら二回戦・三回戦突破後には更に強力な

チームが出来上がっているだろう。

ちなみに審判は先生方が行っている。

連絡網はしっかりしているし、昨今の生徒保護する

観点から無茶はさせないはずだ。

次戦までのトレードは確実視できる


後は単純にとにかく勝つだけだ。

そう、今まさに攻め込んできたアイツが引っ張る

このチームを!


「いくわよ! 治雄!」


「来やがれ! 美咲ッ!!」

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