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三連体育祭編・17

こうして我が七組は三連祭において最高のスタートを切ることが出来た

わけだが......


「おいおい!俺たちが最強じゃねえか!?」


「角田さんが学校のトップも確定だな!!」


あまりにもクラスの者達が調子に乗り過ぎてしまっている。

既視感はまさにW杯そのもので......


「ねえねえ、お兄ちゃん~ご褒美はぁ?」


「え、えーとジュース奢るとかでいい?」


「もっと凄いのがいい~」


「何を求めてるんだ、このムッツリ泥棒猫め!」


クラスメイトを諌めようにも吉沢さんの対処に忙しい。

素晴らしい戦果を上げられたのは彼女のおかげだが何も与えられるものがない。

困っているとムッツリ令嬢が割り込んでくるので事態は収拾がつかない


「あ、そうだ。金持ちお嬢様から何か貰うといいよ」


「ハルよ、クズ彼氏ムーブが早すぎないか?」


「じょ、冗談だよ......はは」


「お兄ちゃんから何か貰いたい~」


スポーツ大会となるクラスマッチ直前までこんなお祭り混乱状態で、

明らかに浮足立った形で時は無駄に過ぎていった。

ガツンと皆に言ってやれるだけの活躍は見せたと思うが、

実際の功労者に大した褒賞も与えられない軍師に何の権利があろうか


次に対する策も修練もままならない温い空気で、

ピリっとした冷たさを持ち始めたのは気候だけだった。

興奮冷めやらぬクラスがやっと危機感を自主的に持ち始めてくれたのは

既に、クラスマッチ本番にあと十日と迫ったところであった


「俺たち何もしてねえぞ......」


「なんか無いのかよ大将?」


やっとその気になったと思ったらこんな具合だ。

三連祭が終わった後に好きにしてくれ、という投げやりの交渉で

吉沢さんを説得するまで、散々周りからはやし立てる野次馬をしていたと

思ったらこの変わり身である


「本当に今更だがチーム編成をまずしよう。

 マラソンは単純な総力戦だったけど、今回は各分野で個人の長所を

 最大に生かして戦って貰いたい。

 そのために今から各競技の名前を上げるから、参加希望の人は

 それぞれ手を上げてってくれ」


「一つの希望が通るとは限らないから、複数も有りはどう?」


「ああ、その通りですね!

 やる気のある者はバシバシ手をあげてくれ!」


教壇で副司令官の様にサポートしてくれる有希さんと

準備を本格化していく。

アンケートが終わると後日編成は発表するとして、

気合入れのために最後に一言。


「さあ、俺たちの本領発揮はここからだ!

 有希さn......ゴホンッ、角田さんのために!!」


「「角田さんのために!!」」


自分が大将扱いを受けることもあるが、あくまで

俺は補佐官であり総大将は彼女である。

ただただ怠いだけどの長期スポーツ大会に熱を灯してくれたのは

他でもない、有希さんその人だ。

彼女が自身のために言い出したことであったとしても

皆は彼女の人の良さを知っているからこそ、士気の高さを維持できる。

まさに象徴とするに相応しい風格と美しさを持つ存在だ



そんな彼女と放課後に一対一で過ごせるのは幸せなことだ。

チーム編成に真面目に取り組むその顔をつい間近だからと見つめてしまう。

その度にボーっとしないでと笑って注意される、この尊い瞬間......

ちなみにエリーにはお気にの子供向け番組の時間までには帰れないから

先に帰れと促してスマートに邪魔を阻止した。


あの子一人で帰れるかしら、と不意に心配した時

あまりにも奴のお嬢様能力に毒されていることに気付かされたものだ

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