体力テスト
ブックマーク宜しくお願い致します!
「さあ~ 皆ぁ! 今日も暑いが頑張って運動するぞ!!」
体育の先生はいつも元気だ。
最近顧問をやっているサッカー部が勝ち上がっていることもあって上機嫌だ
単純な人って羨ましい
さて...
そんな底抜けな明るさで今の夏の日差しの如く明るい人もいれば
お互い出し抜いてやろう、と
どす黒い気を放つ女が二人いてしまうこともある。
体育は二つのクラス同時に行われる。
そのためにこの二人の直接対決が実現してしまった
正直うちのクラスと美咲のクラスが同時に体育をすることを知っていたから
体力テストを俺は打診したのではない。
どころか知っていたら
今すぐ過去の俺がこんなアホな提案をする前に未来の俺がぶん殴っているところだ。
おかげで今は俺を挟んでコイツ等はガンを飛ばし合って火花を散らしている。
実際二人に密着されて挟まれているので火花が近くにあるように熱くてたまらない
右耳から花山の
「コイツの走るコースだけ急いで使用人にボコボコにさせても良いのではないか」
とかブラックロイヤルジョークが聞こえ、
左耳からは美咲の
「隙を見つけてアイツの靴紐を解いてやろうか」
など庶民らしい小さな嫌がらせの作戦案が聞こえ、
ブツブツした声がそれぞれ両耳に入ってくる始末。
非常に他所でやっていただきたい
「よし、まずは...50メートル走だ!」
ということで大定番のお馴染みかけっこが始まった。
これでもうクライマックスなのでは?
と感じるがまずこれが第一回戦、とばかりに花山は短距離が苦手なのか
「まあ、初戦は(手を)抜いてやるかな」
みたいな強豪水泳選手のように言っていた
水泳は実力を出し切らなくともタイムを切れば大会で勝ち上がれるが
美咲は手を抜いちゃくれんぞ?
それがありありと分かるように美咲は発言だけでなく
準備運動でもアスリートのような入念さを見せつけてしっかりやっている。
それにしても昔は手足が短くて可愛かったのに今じゃ細く、長くなっちゃって...
そんな風に幼馴染というより近所のおばちゃんのような気持ちでずっと
美咲のプロポーションを見ていると花山から殺意が飛んできたのでやめた
そうして女子の50メートルが始まる。
よく見ると運命のいたずらか、最後尾に二人が見えた
当然のように一触即発の雰囲気を漂わせて周りの女子を冷や冷やさせている
ホントうちの馬鹿どもが、どうもすみません...
「おーい山崎、ボール投げてくれよー」
こっちはボール投げの肩慣らしでキャッチボール中だ
こうしてこちらに余裕があるとあっちに目がいってしょうがない。
決して女子が走ったりしている時に揺れる胸を見ているわけではないということを伝えるために
敢えてそこら中をキョロキョロすることにする
首が痛くなってきた
さてさて角田さんの一生懸命走る姿と
クラス1のナイスバデェな吉沢さんの走りを眼福に預り、
遂に二人の番が来た
手を抜くと言っていた花山はあからさまに小さい体をピョンピョンさせてやる気だ
美咲は落ち着いた様子で同じくやる気に満ちている
陥れてやる感、満載だった二人だがどうやら小細工なしにレースが始まりそうだ。
さて、見るに堪えない幼児体型花山と
吉沢さんにも届きそうな体型に今では俺注目の美咲、
どちらが勝つというのか...!
...この勝負の意味を考えたら勝者が見えてきたような気持ちをグッと抑えた
良かったら、同一作者作品もどうぞ




