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アイランド・サバイバル編・23

勝負は始まった。


自分が手にしたのは盾と片手剣。

あれだけ息巻いておいて弱気な判断であるともアイツからは思われても仕方ない。

それに材質のおかげで両手剣であったとしても自分の鍛えられていない筋力でも

十分に奮うことはできた。


しかし、相手の武器。

一慶の武器はまさにそれ、

攻撃一辺倒の大振りの斧で来るつもりだったのが見えていた。

ド派手な戦いを見せるなら同じ様なものでいく所であったろうが、

まずこの戦い、一瞬で決めないためにも自分が粘る必要がある。


無論、一慶は心から勝ちに来ている。

雑念を捨て、更にこの戦いの安全性を知っているがために捨て身で来るのだから

攻撃以外にすることはない。


ともなればこちらは防御を取れなくてはならない。

お互い大げさな打ち合いでは展開は尻すぼみだ。

どちらも肩で息をしてグダグダとした根性勝負になるのみ......

そんなことは、この超一流演出家を自称する俺が許すことではない。


元々相手は本物の剣闘士みたいな見た目をしたプロの役者。

こちらの動きに対応して上手く戦ってくれるだろうが、

今行われているのは片方が死に物狂いで向かってくる半ば死闘。

スタミナ管理と武器の相性を本気で考えてやっと余裕が少しあるかないか、

それも考えた通りに物事が運ぶかも分かるわけもないので運の要素も介在する。


互いに間合いを詰め、睨み合いが終わってぶつかりあった時

思い描いていた構想が吹っ飛ぶような衝撃を受けた。


まず一つとして、想定以上の激しさ。

安全な材質といえど子供のチャンバラごっこで行われる木の棒でさえ

ご存知の通り、危険度は十分。

それを幾らか緩和しようとしてもそれらしく作られた武器の形を成してる以上、

叩きつけられても叩きつけようとしても疲労とダメージは確かなものがある。


それに武器だけでは補えないダメージ演出を紅い染料たっぷりの防具も

開始直前で付けさせられているので、武器と併せて

総重量はかなりのものになっている。


そんな条件下でもう一つ想定外なのが相手の体力だ。

さすがは運動部というべきか。

話では自分は影が薄いから体力をさほど鍛えずとも上手くプレイできている、

と言っていたがとんでもない。

もう何度その大斧を叩きつけられたことか分からないが、勢いは

一行に止む気配がない。

どころか......


「戦いの中で、成長してやがるッ......!!」


主人公を前にしているかのような台詞も当然、

コツを掴み始めたのか攻めは鮮烈に鋭くなっていっている。


このままでは防戦一方、

下手をすればあっさり場外負けだ。


「そこだ! そんな奴やっちゃえッ!!」


「治雄!! 反撃の判断が遅い!!」


加えて随分大きな野次があると思ったら、ギャラリー役の方々の声でなく

うちの戦闘員女子たちの声援と怒号ではないか。

勇気づけられるどころか精神的に追い込まれていく。


勝ってはいけない試合とはいえ、このままではあまりに情けない。


そうだ、自分も前に出なければ


「ぐぅぅあああ!!」


斧をぶつけられるタイミングで盾をぶつけてやった。

ゲームのように上手く弾けずに盾は吹っ飛んだが、相手も体勢を崩した。

片手から両手に持ち換え、剣の腹で思い切り胴体にスイングした。


防具越しとはいえ、こちらの全力に相手が背中から落ちる。

それを見やってすかさず柵に走り、もう一つの片手剣を手にした。

これで二刀流となった。

盾で受け続けるには既に限界、今度は上手くいなせるように両方に剣を装備する。

相手の攻撃の弾き方、俗に言うパリィは掴み始めた。

ならば軽量化を図りつつ攻めの姿勢へ。


そんな思惑とは裏腹に、立ち上がり様に斧がこちらに投げ付けられた。

不意の攻撃にも防御は容易かったが、問題はこれからだ。

一慶も柵に走ると、長物を引っ張り出してきた


「今度は槍だ.....!」


息を切らしながらも光を失っていない彼の瞳に、

一筋縄ではないかない流れが予測された。

旅行先に見るリア充は危ない

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