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アイランド・サバイバル編・2

様々な事情説明などがあったが、どれも鮮明には思い出せない。

滞在は延長となり、使用人たちがどうにかする程度のことしか覚えていない


そして今も現実味を帯びないまま、

何か判然としない気持ちでベットに横たわっている。

大きな寝息もなく、たった一人で広い部屋にいると孤独感に見舞われる


そのためか寝付きが悪かった。


もし本当におふざけでも何でもなく花山が攫われたかと思うと、

心配はある。

モヤモヤした不安が胸中に広がる。


心の陰りのような闇夜の暗さの中で、

腕を頭に回してボーっと考えていた。



そんな時だった。

眠気の到着を気長に待っていると、

何かが動いている音が聞こえる。

目を瞑りたくなるような光を発するスマホには

夜中の2時半ほどを示している


こんな時間に誰だろうか?


事件のこともあって怖さはあったが、

起きているのはきっと自分くらいしかいないだろう。

責任を背負ったかのように身体が動く


音を立てぬようにゆっくりと戸を開ける。

新築だけあって軋む音は出なかった


外に出ると、足音がよりハッキリと耳に届く。


忍び足で壁伝いに顔を覗かせると、

何者かが出て行くのを見た。

夜の闇が人影を隠しているので、知っている者か否か

特定できなかった


ここで退き返せば事なきを得ることは出来よう......


しかし、そこまで自分は臆病ではなかった。

反対に闘争心とも言えるようなやる気が湧いていた


ほぼ怪しい者だと断定付けていたのだ。

足を速めて後に続いて外に出た


少しの間、動く影を視認出来ず焦ったが

振り返ると森の方に向かう複数の人影を見た。

遠慮せず、駆け足で後を追う


暗闇の森は月の光だけが頼りの不気味さが満載であったが、

不思議なことに恐れは薄らいでいた。

幼い時分の好奇心にも匹敵するほどの勇気と興奮が湧いていた


必ずや暴いてやる。


そうした使命感に燃えていたのだ。

帰り道のことはまるで考えていなかった。

一切振り向くことも止まる事もなく、

ズンズンと奥へと進む


影は追跡するには丁度よい速度だった。

地形に詳しいのか慣れた足取りで、スムーズに向かうのを

こちらは全力で追いかければ、ギリギリ見失うことはなく

それでいて相手にも気付かれることはない絶妙な距離を生んでいた


そうしたことからも相手はやはり外部の者ではなく、

この土地を熟知している内部の者と予測した。


ならば、きっとこの先に......


信じてやまずに突き進む。

見るもおぞましい虫も、足がすくむような鳴き声も気にせず

夢中で一歩を踏み出していく


そんなこんなで30分ほど、

少し疲れと汗が気になり始めた頃合いで

見晴らしのいい場所に出た。

自分の立つ場所の方が高地で、下に人影がある


どうやら正体を隠すように何かに身を包んでいることが分かった。

そして、遠くには見覚えのある光景が広がっている


原住民の家らしき建造物のある崖だ。

複数の影はそっちに向かっているようにも見える


遂に予想が確信的になってくると俄然として気力が復活した。

ついでに体力も回復したような気分になる



己を誤魔化し続け、奇妙な追走劇は驚愕の終着点に辿り着こうとしていた。

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