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夏休み編・55

ビーチバレーボールのルールとしては、

9点3セットマッチであったりするそうだが、

流石にお遊びのゲームなので9点先取でチームをコロコロ変えて

楽しむつもりだったが......


「ハア、ハア......まさか、追い付かれるとはな」


「監督、次の作戦は?」


「そうだな、陣形を変えるべきか。

 それとも......」


「どうにしろアタシをアタッカーにしなさい。

 一番点を決めてるんだから!」


互いのチームメンバー全員がガチになっていた。

1セット目を我々が接戦で制し、

気持ちよくチーム替えができる所を負けず嫌いの

吉沢さんがもう1セットを要求した。

調子を良くしたリトルメイドと美咲が快諾したが、

またもや接戦の後、負けた。


ここで元のルールに則り、

三番勝負として今、

追い付かれて大詰めというところを迎えているのである!


ちなみに、リトルメイドが監督と呼ばれている。


「監督......俺は思うが、やはりあなたは

 後方にいて拾う係の方が――」


「ダメだ。

 私が前線で指揮をせねば」


まるで戦場にて頼もしい指揮官みたいなことを言っているが、

ただの可愛い身長をした女の子の意地である。


「しかし、監督。

 お言葉を返すようですが彼の意見は有効です。

 彼らには二人の高身長アタッカーがいることにより、

 技術と腕力の問題で前には落とせないようですが、

 後方のスペースを狙い放題にされています。

 ここは貴女の力がなくては......」


「......なるほど」


そこで有希さんの的確なアドバイスである。

自分に賛同もしてくれているし、嬉しさが2倍だ。

ともかく勝つためには一番戦力になるリトルの力が

後ろに必要だ


そして頑なに、


「じゃあ、アタシが前で存分に暴れていいのよね!?」


アタッカーになりたがる美咲を、

お望み通り前に一人で配置させれば完璧だ。


少し悩みはしたが、

リトルは背丈に似合わない大人の対応として、

黙って首を縦に振ってくれた


これで最高のポジショニングが完成した。

喜び合った。

有希さんとはハイタッチなんかしちゃったりして、

乙女のように恥じらってしまった。

その後すかさず美咲のビンタによって、

顔は紅潮したままである


主に彼女の手形のせいで。


「では、最終セット開始~」


ミドルメイドが声を上げて、

決戦のホイッスルを鳴らす。


仲間に対する不満や、

自分が後方のセンターであることの不安などはあるが

頭を振ってそんな杞憂は吹き飛ばした


チームメイトを信じることだ。

この戦いの中で四人での絆が出来上がりつつある。

きっと大丈夫だ


そして夢から覚めたように目を見開き、

相手チームを眺めると、

その信頼や自信の勢いを打ち砕くような事実に気付いてしまう。



「Bチーム、1点~」


「どうした、マヌケ!

 今のは取れたはずだ!」


「アンタ、バカぁ!?」


「す、すまねぇ......」


叱責してくる監督とエースには、

力なく謝ることしか出来ない。



ああ、そんな......あんまりだ!

惨過ぎる!


原因は嬉しそうにネットの先でハイタッチする彼女らに、

敵チームにある。

それは!


「吉沢さんの水着解放はずるいだろ......」


女子メンバーには理解されない悩みを小さく吐露した。


彼女のダイナマイトボディを覆い隠していたラッシュガードが解かれた。

セクシーの最終形態になってしまった。

動くだけで目線を惑わし、集中させてしまう魔力の前に

容易に取れたボールが視認できなかった。


純粋な男であり過ぎたことによって

絶大な効果を上げているのだ。

あの強烈な揺れ方は!



まだ1点、

しかし雲行きは実に怪しいものになってきた

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