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激昂

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「...きろ...起きろ...ハルッ!」


「はっ!!」


ガバッと起きると学校だ


え、学校...?



「まったく...寝すぎだぞ」


花山に起こされたのは車の中ではなく、夢の中でもなく

間違いなく学校の中だ



「おい...俺たちは今日一緒に車でここまで来たよな...?」


「ああ、そうだぞ」


え、それじゃあ...



「車内でぶっ倒れたよな? 俺?」


「ん? 何のことだ?」


「え...?」


「校門で下車して一緒に手を繋いでここまで来たではないか」


何を言ってるんだコイツは...?

いや、俺が夢でも見ていたのか?

どこまでが夢で、

どこまでが現実だ?


ええっと、まずは...



「車で来たのまでは確かで...」


「...ふふ」


ん?


「な、何でもない」


今、コイツ笑ったよな...?


「ブフッ!」


遂に吹き出した


「アハッハッハ!」


腹を押さえ、目頭を押さえて笑い始めた


こぉのぉやぁろぉ~!


「てめえ! 小ばかにしやがって!!」


両頬っぺたをつねってリスのようにしてやる...!


「い、痛い痛い! ぎ、ぎぶ、give up!!」


やたら通る声で言われたので放してやった



「お~、いてて...

 嫁入り前の婚約者の顔に傷をつけるとはDVの才能があるのぉ、ハルは...」


「DVなんかしないし、婚約者でもないわ!!」


腕を組んでそっぽを向いて言ってやった


イタイイタイ言う声が収まってきたので目を向けると

隣の席にドカッと座った。

そういえば花山は俺の隣じゃないか...



「それで...どうやって寝てた俺をここまで連れて来たんだ?」


「んあ? ああ、ビルがやったんだ。お~い、ビル~!」


そう呼びかけると召喚されたかのように目の前にサッと現れた



「わぁ!? って...コイツ...」


「ああ、そうだ。お前を病院送りにしてしまったやつだ」


元々の原因と言えば早とちりご令嬢のせいなのだが...?


そのビルとやらは申し訳なさそうにしている。

よく見てみるとバリバリ外国人だ。



「ビルはアメリカ人と日本人のハーフなんだ。

 なんでもお父様によると学校は危険なところだからボディガードとして

 他にも多くの人員が配置されている。

 ハルの身にも何かあれば助けに来てくれるはずだぞ」


自慢げに言うが、完全に親バカの親とバカな娘がうちの隣に住んでいることの

証になっているだけだ。


ビルにもういいと手で合図するとサッと消えて行った。


...すこし自分も金持ちの気分が味わえたようで内心盛り上がった



「な~? 優秀だろう?」


賛同するのはなんか嫌だったので無視した



「む~...まだ怒っておるのか...あ、そういえば」


何を言い出すんだ、今度は?



「もう昼休みだから今日こそ一緒に昼食を楽しもうではないか!」


...ん?


今、なんて言った?



「おい...今はもう昼休みって言ったか?」


「ん?そうだぞ?」


「...なぁんで、起こさなかったん――」



「山崎くん~?」


俺の怒号が飛ぶ前に学級委員長の声が聞こえてきた



「はい、なんでしょう~?」


目の前の花山が目を丸くする変貌ぶりを俺は見せてやった。

何を隠そう、俺は今まで真面目キャラとしてもこのクラスで振舞ってきていたのだ!

特に学級委員長であり、風紀委員でもある角田さんには頭も上がらないのだ!


角田さんが小走りで俺の元に来た


はぁ~...なんとお美しいんだ、角田さんは...


実は俺は角田さんに憧れているのだ。

もちろんそれは好意なんて不純なものでなく純粋な憧れ、

のはずだ



「ごめんね山崎くん、話さなきゃならないことがあったのに言うのが遅れちゃって」


「いえいえ、俺も寝てたのが悪いんですよ...」


自然と俺が出す声も張りのあるものになってしまう

聞き覚えの無い凛々しい声に隣の女は更に目を丸くした



「ううん、そんなことないよ...

 あ、それで要件なんだけど実は今日の2時間目の数学の染井先生からなんだけど...」


ぐええっ!?

鬼教師の染井!?


まさか...!



「話があるから今日中に職員室に来いだって」


申し訳なさそうに言う角田さんの困り顔のお美しさで

ギリギリで感情の高ぶり・絶叫をその場は抑えた



「わ、分かりました...教えてくれてありがとうございます...」


深々と頭を下げると

じゃあね、と教室の外にお出かけになられた。


それを見計らって



「チキショオオォォッッッ!!!」



花山への怒りも合わせて感情をまた爆発させてしまった



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