まさかの暗転
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やっと4時間目が終わり昼休みが来た。
この時間は人気のない座るところでも見つけてしみじみと弁当を食う時間なのだが...
「ハルよ、別に昼食をとるのは皆と同じ教室で良いのではないか?」
と、今日はコイツがどうやっても付いてくる。
更にその後ろにギャラリーを連れてぞろぞろと...
「はぁ...あのさぁ」
ここでしっかり言ってやるべきだ。
「言っておくが、先生に言いつけられた学内案内ツアーは今じゃない!
だからさっきから付いてくるなよ!」
「そう、怒るな~ 恥ずかしがりおって~」
観衆に見られている状況は慣れっこなのだろうかコイツは、
引きこもりだったくせして...
しかもその観衆はどんどんと校内の者たちを加えていって膨らんでいく。
何故野次馬というものは訳も知らず、集団を見ると寄ってくるんだ......
虫けらどもめ...!
よ~し、こうなったら...!
「あっ」
「ん?どうしたハル!腹など押さえて」
「アァ~!も、漏れそうかもぉ!!」
「なっ!それは大変だ!!」
さすがに常識が無いお嬢も、
トイレの大変さは知っていてくれたか
「そ、そう!だからちょっと俺、急いで行ってくるからここで待って――」
「皆の者聞けぇ!!」
「!?」
今や最後尾が見えないほどの人だかりに花山が高らかな声を掛ける
喧噪が止んだ、止んでしまった。
「この中に医者か、筋肉に自信のある者はおるかァ!?」
い、医者!?
こいつトイレじゃなくて急病だと思ってるのか...!
というかもう一つの筋肉の需要はなんだ!?
「ち、違う!俺はただ――」
「今、私の大事な友人が倒れこむほどの病魔に侵されている!
至急、ここでの診療か病院に担ぎ込んで貰いたい!!」
そういうことかよ...!
だがまず一つに医者なんて学生の中にいるわけが
「お呼びかな?」
うわアアッッ!?
見るからにやぶ医者っぽいの出てきたァ!!
それに学生服来てるから生徒だろうけど老けすぎだろ!
何浪しとるんだコイツは!!
「おお、医者がおったか。今すぐコイツを見て貰いたい」
「仰せのままに、わが姫君」
関係者かよ!?
「では衣服と剥ぐとするか...」
普通に脱がせよ!
刃物で切ろうとすな!!
「ちきしょう!!」
遂に俺はうずくまった状態から綺麗なクラウチングスタートを決めた。
陸上部の見よう見まねだったが、
完璧なスタートからのダッシュは今までの自分の走力を凌駕している気がする!
このまま男トイレへ...!
「脚力には自信有りってところか」
「え?」
いつの間に横を並走していた筋肉モリモリマッチョマンが俺を担ぎ上げるべく
腕を振ってきた。
「ごはっ!!」
それに走行中に抱き上げようと腕を回してきたので
首に食らうラリアットをもろに腹に食らったようだった。
俺は少しもがくとマッチョの腕の中でブラックアウトした
「どうしますか、お嬢?このまま病院ですかい?」
薄らいでいく意識の中、
また関係者かよ...
の驚愕を最後に
目の前が真っ暗になった。
良かったら自分の他の作品も見てください。




