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夏休み間近・4

さて、そのまま何事もなく夏休みを迎えるかに思われたが

自分と花山には宿題よりも先にこなさなければならないものがあった。

それは......


「補習授業......」


指定の教室の前で溜め息をついた。


当然、勉強をしていなかった俺達は必死の形相でテストと戦う羽目になった。

結果は自分が英語が赤点、花山は英語以外が全て赤点であった。

放課後にそれぞれの教科においての補習が用意され、

赤点を取った同学年はそれぞれの教科ごとの教室に集められるのだった。


それでも補習は再テストなどがあるわけでもなく、

所詮はいつもとさほど変わらない授業を聞いて

追加に出される宿題を夏休み明けまでにこなせばいいので

さして重責ではなかった。

そこに関しては私立であることに感謝した。


そこで問題となったのは英語の赤点者人数が

一つの教室にはあまりに多かったことだ。

通常のクラスと変わらないくらいの数がいる。

今回の英語は難しかったのだ。

それは親に対する言い訳が一つできたことにはなった


ただそうなると座る席が満席になる可能性もあり、

加えて教室はいくらでもあるのに教師は複数用意できないために

ノロマには罰としての意味も込められいて、立って補修を受けることになるので

大学で人気の講義を受ける際に味わう苦労を一足先に先取りすることとなるのだ。


それを知りながら遅れてしまったのだ。

理由は糸田兄からの懇願の嵐から逃げるためだ。

自分と弟も旅行に連れていって欲しいの一点張りで、

こちらに言われても仕方がないというのに長時間追い回されたのだった。


結果、諦めさせるように逃げ回って遅れたのである。

ちなみに何故一年上の淳が盗み聞きなどをしていたのかというと、

偶然であった。

彼には強面のせいもあって友人が少ない。

毎度少しの恥ずかしさもありながら弟に長話に付き合わせる日々であったという。

ところが最近では自分という友人ができたことで

昼休みの過ごし方のパターンが増えていた。

そこで今日はうちのクラス訪ねて来る日だったらしく、

普段の自分と花山以外に見かけない綺麗な女子を見て

様子を探っていると、素晴らしいプランを話し合ったのを聞いてしまったそうだ。


「はぁ......」


ただでさえ憂鬱な補習が、更に面倒なことに。

楽しみと不安が入り混じったイベントを聞きつけてしまった招かれざる客。

赤点者が満載された怠惰な空間に悩み事に頭を抱えながら入っていくと、

意外にも名を呼ぶ声が聞こえたのであった。



「治雄君~!」


しょぼくれた男が上げた視線の先には吉沢さんがいた。

花山との謎の決闘を見てからというもの、話しかけづらい雰囲気に

なっていた彼女が隣の席を用意してくれているとは思わず、

喜んで傍に座るのだった


「あ、ありがとう! 助かったよ」


「ううん、ナツも治雄君と話したかったし」


そう言われて満更でもない自分と、

色々なことを聞きたそうな吉沢さんとの話が始まるのであった。

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