表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

食欲と愛。

彼女はいつも、私を舐める。




この部分だけ聞くと、彼女を変質者に思うかもしれない。


しかし、きちんとした理由があるのだ。








それは、私を食べたいからだ。








もちろん、性的な意味ではない。


彼女は、普通の食べ物を食べることが苦手らしい。


けれど、私なら美味しく食べられそうと言っていた。


私を口に含み、体内に取り込みたいのだとも言っていた。






しかし食べることは出来ないので、いつも私を舐めているのだ。


本来なら食べてもらってもいいけれど、彼女を犯罪者にしたくはない。






このように、きちんとした理由がある。






そして、私も不快に思っていない。




なぜなら私が彼女を愛しているからだ。


だから彼女に舐められ、触れられることはたまらなく嬉しい。






彼女に舐められた箇所は熱くなり、熱を帯びる。




口。


頭。


手。


足。




彼女は私の身体の隅々まで舐めてくる。


私の服を脱がせ、裸にし、小さくて可愛い舌で舐めてくる。


時間をかけてゆっくりと。


まるで極上のスイーツを口にしているような、幸せそうな顔で。








「ねえ、私も、・・・舐めたい。」








ある日、思い切ってそう言ってみた。


今まで、触れて貰ってはいたが、自分から触れたことはない。




触れてみたくなったのだ。


この愛しくてたまらない彼女に。




私も彼女に触れて、そして舐めたい。


そう心から願った。






「なんで?いいけれど・・・私を食べたいの?」






彼女は少し戸惑った顔でそう返した。


そう彼女は、あくまで食の対象としてしか私を見ていない。




つまり私みたいに、恋愛感情をもっている訳ではない。


だからこそ、私のこの誘いは自分を食べたいからだと勘違いしたのだろう。






「うん、そうだよ。私も・・・食べたいの。」






私は、彼女がそう返すであろうことを知っていた。


だって、彼女が私を好きではないことを知っていたから。




だからこそ、私は彼女の言葉に乗ったのだった。








それからは、二人で舐め合う日々が続いた。






私は自分の肉欲に従い彼女を舐め、


彼女は自分の食欲に従い私を舐める。








少し悲しいけれど、私は十分だった。


自分の想いが届かないのは悲しいけれど、やはり嬉しい。




だって、彼女が私を唯一の食の対象として見ているということは、


一生私から離れることができないだろう。






彼女が死なない限り、食欲はなくならないのだから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ