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【第一章―スタートボタン】

今回は本作品の主人公、将介のキャラがどんなものかわかればいいなと思い書きましたので、まだお話は進みません。

今回も拙い文章ですが、よければ最後まで読んでください。ではどうぞ。

【第一章―スタートボタン】

「・・・暇。」

 学校から帰ってきて、重苦しい学生服を無造作に放り投げながら、中学から使っている壊れかけたイスに体を預ける。

普段ならこの時間は、ひどくつまらない授業が終わり、大好きな空手をしているのだが、先日の試合で足を怪我してしまい、1ヶ月の部活禁止を医者から言い渡されている。

これまで部活に打ち込んでいたこの時間帯、もちろん勉強なんてするはずもなくただぼーっと無駄な時間を過ごすだけになっていた。

運動をしてはいけないという命令は、一日100回以上スクワットをしないと落ち着かない僕にとって、まるで十字架に縛り付けられたような感じさえもした。

(あの時、あの野郎がメチャクチャな蹴りいれなきゃ、今頃ガンガン空手できたのに・・・。ついてないなぁ。)

とはいっても、自分がちゃんと防御しきれなかったのも原因の一つなのだが、人のせいにしてしまう癖が付いている僕には、こんなひねくれたことしか言えないのだ。

こんな文句は言いつつも怪我したものはしょうがないと諦めている、それよりもこの暇で何もすることがない無駄な時間をどう過ごすかが一番の問題なのだ。

(この前買った小説を読み返す・・・のは無理か。姉貴に貸したまま帰ってきていない。ゲームも持ってないし・・・。携帯はあるが、メールをする相手はいないし・・・。)

そんなことを考えていると、部屋のドアをノックする荒っぽい音がガンガンと聞こえてきた。

「将介、入るわよ。」

ドアをノックした犯人は母親だった。

ドアをゆっくりと開けて入ってきた母の腕の中には、少し大きめのダンボールの箱が握られていた。

「将介、はいこれ。」

母は、少し埃を被ったダンボール箱を机の上に丁寧に置いた。

「なにこれ?僕宛の宅配便・・・にしては古ぼけてるか。」

「パソコンよ、パ・ソ・コ・ン。」

「パソコンって、何でそんなハイテクツールが築70年、いかにも歴史あります!って感じの我が家にあるのでしょうか母上。」

「母さんの同僚の人が新しいのを買い換えるからって古いものをくれたのよ。あんた暇そうだったし、母さんには使えないから、あんたにあげるわ。」

「ははぁ、ありがたき幸せぇ。」

「なにその言い方。運動できなくて頭でも狂ったの?」

ぺしぺしと頭を叩いてから、母は夕食の買出しに行くと言い、さっさと僕の部屋から出て行った。

いつも何をねだっても「ダメ、どうせ時間の無駄になるだけよ」といって取り合ってくれなかった母から、以外な贈り物が届いた。

(それにしても・・・。やっと我が家にパソコンが来たのか。昭和の三種の神器しかなかったからなぁ・・・。)

うっすらと埃を被り、弱々しく置かれたダンボールをさっさっと適当に払ってから、これでもかといわんばかりにはられたガムテープを力任せにバリバリとはいでいく。

(まったくっ!一体何重にテープ張ってんだよ!)

何重にも分厚く重ねられたガムテープの封印をやっと剥がし開いたダンボールの中には、

まだ中古というにはキレイすぎるほどの白いノート型パソコンとボロボロになった説明書、

それとよくわからないコードが数本ひっそりと入っていた。

僕はすこし端のほうに折れ目があったり、コーヒーと思われる茶色いしみが付いた説明書に軽く目を通して、そこに書かれたてあるとおりにパソコンの起動ボタンを恐る恐る押してみた。

しかしパソコンは、ダンボールに入っていたときと幾分も変わらない様子で、黒い画面を僕に向けるだけでウンともスンとも言わない。

(あれ・・・これ壊れてるんじゃないのか・・・?)

今度は説明書にじっくり目を通し、訳のわからない文章を見ているうちに電源が入らない原因を探り当てた。

電源コードを挿していない―。

唯それだけだ。

いくら現代の技術が目覚しい進歩を遂げていても、肝心の電気がなければ動くはずはない。

自分の犯した、超初歩的なミスに心の中で赤面しながら、ダンボールに入っていた電源コードを本体にぐっと挿し込み、そっとスタートボタンを押してみた。

ウィィィ―。

不思議な音に聴こえた―。

それはまるで、生まれたばかりの子供のように、パソコンが息を吹き返した。また使ってくれることを喜んでいるかのように僕にはそう聴こえた。

なぜだろう・・・。

起動した、唯それだけのことなのに、なぜか僕の心がソワソワした。

いつも、何があっても揺れることのなかった僕の心が、パソコンが起動しただけで、新しいおもちゃを貰った子供のようにときめいた。

(学校の授業で使ったことあるけど、落書きするくらいしかできないんだけどな・・・。ちゃんと使えるかな。)

下手に触ると壊れるんじゃないかと、年寄りが考えそうなことを考えつつ、説明書にびっしりと書かれた意味のわからない専門用語と格闘してすることにした。


 結局最初の設定が完了し、使えるようになったのは作業開始から2時間後のことだった。

パソコンを貰ったころはまだ夕焼けに照らされて、淡いオレンジ色だった空は、冬の夜の荒涼とした深い藍色に変わり、あたりは月明かりとチラチラと点滅する街灯に照らされていた。

ふぅっと深いため息をつき、ずっと慣れないキーボード操作をしてカチカチに凝った肩をグルグルと数回まわして、それでもなんとかパソコンを使えるようにした小さな達成感を一人でひそかに噛み締めていた。

最後までご精読いただきありがとうございました。

これから将介はインターネットを始めるわけですが、それはまた次回以降書いていこうと思っております。

よければこれからも読んでください。

そしてアドバイスをいただけるとすごくうれしいです。

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