俺襲われます
森を抜けたタツヤだが……。
夕刻 リオの森外にて
色んなことがあったリオの森を抜けた所でキャンプをする。
そばにいる狼に蛇の尻尾を持っているのは、悪魔のアモンだ。
しかし……。
悪魔って羽の生えた人型じゃないんだな。
「人型になってほしいんですか?」
おい、ナチュラルに心を読むな。
「なれるものなのか?」
「できますが……どうしてもですか?」
正直、この先の町などでアモンを見られたら魔物と思われかねない。
なら、一度人型になってもらってどんなのか見ておきたい。
「見せてくれ」
「……わかりました」
なんだか嫌そうだな?
アモンが何かを唱え始める。
アモンの周りには光の渦ができていく。
その光の渦が無くなっていくと。
そこには、全裸の女の子がいた。
「え、ちょ、なんで全裸!?」
「だ、だから嫌だったのに!」
狼の時とは違い、可愛らしい声で言った。
とりあえず……服!
服はどこだ!
手元にあるのは森の町セーラで買った服のみ。
それも、男物だ。
仕方ないな、これで我慢してもらうか。
「服渡すから、とりあえず着替えてこい」
「は、はい~」
さっきまでの威厳やしゃべり方はどこえやら。
『……エッチ』
「ひどっ!?」
あんのポンコツダメ神にエッチとか言われたか無いわ!
ふうぅ……落ち着こう。
とりあえず、深呼吸。
すぅ~はぁ~
よし、これで大丈夫。
と思っていた。
このとき、アモンから貰った「未来を見据える眼」が無ければ確実に死んでいたであろう。
俺の眼には、この後刺さるであろう左胸に薄く槍が見えた。
急いで横に避ける。
さっきまでいた場所に白い槍が刺さっていた。
「……ッチ」
森のほうから舌打ちが聞こえた。
つまり、敵が近い。
最近手に入れたスキルが「索敵」と「隠密」のみ。
しかも、「隠密」は見つかっていない状態じゃないと発動しない能力だ。
……どうする。
――ご主人様! 相手は弓を持っています!
頭に響いたのはアモンの声だった。
まだ人型だからか声は女のままである。
ここで、俺はアモンから貰った二つ目の能力を開放する。
「王の知恵」
唱えた瞬間にいろいろなことを考える。
相手の意図。
相手の場所。
自分と相手の力量差。
様々なことを考え、ひとつの解決点に至る。
「ひとまず、捕まえて話を聞こう」
自分の両腕に魔力を込め、武器をかたどっていく。
「武器創造」
その武器は、双剣だった。
右手には赤く輝く刀身、左手には黒く輝く刀身。
両方とも片刃なのでもう片方はみねうちにできる。
「未来を見据える眼」に反応があった。
どうやら相手が撃ってきたらしい。
その方向から相手の場所を割り出し、一気に接近する。
矢は避け続けてもキリが無いのですべて打ち落とす。
相手を捉えてさらに加速。
相手は成すすべなく俺に捕まった。
刃をのど元に当て、質問する。
「なぜ、俺を狙った」
「アモン様に、近づく奴は、全員、殺す……!」
アモン様だと……?
アモンがひょっこり木の陰から顔を出すと。
「なぜあなたがここにいるのですか!」
「ひぐぅ!」
アモンが怒った。
怖いんだけど……。
「今すぐ魔界に帰りなさい。アンドレアルプス」
……アンドレアルプスだと!?
次回、アンドレアルプスの生存理由が明らかに!