俺称号を獲得します
ついに三月が出てくる(少しだけ)!
一時間後、リオの森
先ほどの出来事から一時間。
グリスの墓を作り、そこにグリスを埋めた。
グリスの持ち物は……。
どうしたらいいのだろう。
彼に聞くことなく逝ってしまった。
『グリスに会いたいですか?』
頭に響くセイナの声。
「……会えるのか?」
『少しだけなら』
「なら会わせてくれ」
彼女がわかりましたと言ってすぐ。
俺の目の前に沢山の光が集まっていく。
その光は集まっていくと、次第に人の形を作っていく。
それは、グリスそのものだった。
「さっき振りだな。大丈夫だったか? タツヤ」
「あぁ、大丈夫だったよ」
「タツヤ、俺のことについてだが……俺の荷物や金はお前に託そうと思う」
「でも、グリスがいないと、俺は……俺は!」
そう、グリスにはまだ教わりたいことがあった。
グリスの力になりたかった。
そして、一緒に旅をしたかった。
「俺はお前に教えるべきことを全て教えた。今ならお前一人でも大丈夫だ」
「それでも俺は――」
「タツヤッ!!」
グリスが怒鳴った。
「いいか、お前にはお前の目的がある。その目的を行って果たしてこい!」
そうだ、俺には魔王城に行って三月に会いにいかねばならない。
「お前に俺の全てを託す。俺の誇り、そして生きた証をお前に」
「グリスの誇り……生きた証……」
「だから、もう行け。迷うな。この世界では己が正義だ!」
そして、俺に期待していると言ってグリスは消えていった。
『彼は、転生を行わず神の執行者として天界に逝くそうです』
彼は俺に全てを託してくれた。
なら、俺はそれに答えよう。
「それは面白いですね」
唐突に声が聞こえた。
それは、先ほどの戦闘で聞こえたものと同じだった。
『……やはり、貴方でしたか』
セイナはきつい口調で言った。
『なぜ、神の転生者である彼に近づいたのですか?』
「彼は僕の理念と一致している。そもそも、僕は戦いを好まないからね」
『黙っていればベラベラスリスリと……悪魔風情が』
今、神とは思えない発言が飛んでた気がする。
しかし、悪魔か……。
「申し送れました、ご主人様。私はゴエティアの悪書に記載されている72柱が1柱、序列七位のアモンと申します」
丁寧に自己紹介を行ったそれは、狼に蛇の尻尾がついた生き物だった。
「契約により、私は貴方の悪魔としてこの身を捧げましょう」
『何を勝手にっ!』
「セイナ殿、もう一人の転生者はバエルが付きました。彼も私と同様魔界から逃げてきた身です」
その悪魔、アモンはセイナに事情を説明した。
悪魔界ではどうやら仲間割れが起きて神と共に世界の均衡を守るべきという共存派と神を殺してでも自分達の世界を作る過激派。
バエルとアモンは共存派にいたからこそ魔界に居場所がなくなったからこの世界にきたと。
「それに私の魔力やスキルは元は神のものなので転生者に負担はありませんよ」
つまり……アモンは堕天使ってことか!?
「ご主人様、ということでよろしくお願いしますね」
どうやら……俺は人外とは仲よくやっていけそうだ。
【称号:悪魔使いを獲得しました】
✽ ✽ ✽
同時刻、悪魔城
「どうやら、向こうも契約ができたようです」
「そうなの? 相手は誰かしら?」
「名前は……タツヤ·ヒダマリ。貴女と同じ神と悪魔の力の持ち主です」
「タツヤが!? そ、そうタツヤが……えへへ」
私は笑みが溢れる。
タツヤが私と一緒……それだけでも嬉しい。
「彼、貴女の為にここに向かっているそうですよ」
「そうなの!? やったぁ〜!」
それが本当なら嬉しい。
なら、私は彼の所まで迎えに行こうかなぁ〜。
次回は新たな仲間の予感?