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俺人を殺します

残酷描写…だと思ってます。

 

 グリスと共に街を出て2日たった。


 あの日の約束の通り、グリスは酒場で待っていてくれた。


 どうやら魔王城につくのは早くても一ヶ月はかかるらしい。


 旅って結構大変だな……。


『彼女さんに会うためなんですから少しくらい我慢してください』


 唐突に頭に響く声、神様のセイナ。


 通称ポンコツダメ神。


 現在はグリスと共にテントを張って野宿の準備中。


 この2日間でサバイバル知識、剣の扱い方、そしてこの世界についてより詳しく教えて貰った。


 グリスには感謝してもしきれない。


 しかし……話を聞いているといくつか疑問が残る。


 魔族も人族もお互いに戦争をしていたのに話し合いで解決したから、ってだけでそれを全員が承諾したのか。


 これはまず間違いなく、ノーに入ると思う。


 つまり……この世界には()()()()()()可能性があるのだ。


 人族にも魔族にもその可能性は充分にありえる。


 つまり、戦争はまた起こる。


 それに未確認の生命体がいるとなれば、より混沌とした戦争になるだろう。


 ……今こんなことを考えても仕方ない。


 その時になったときに考えよう。


 2日後、リオの森にて


 森に入ってから魔物と遭遇することが多くなった。


 当たり前だな、森とか魔物の巣窟だし。


 グリスと話しながら歩いていると。


 異臭がした。


 鉄の錆びた、そして肉が腐ったような匂い。


 匂いのする方へ自然と足が向く。


 匂いの源は……やはり死体だった。


 それも、魔物に襲われたのではなく()()()()()()()ような傷だった。


「これは……酷いな。荷物は殆ど取られてない。快楽的殺人だ」


 人の死を初めて見た。


 いや、初めてではないな。


 2度目だ。


 匂いがキツく危うく吐きそうになり屈む。


 その時だった。


 目の前に光る切っ先があった。


 魔法が放たれていた。


 死体に気を取られていて索敵を怠っていただからなのか。


 放たれた方向を見ると、そこには大量の魔法の切っ先があった。


 それは見ているだけならなんと綺麗なものだと思っていただろう。


 しかし、その放たれた先が自分たちの方に放たれている。


 俺は、動けなかった。


 足が竦んで動くことができなかった。


「タツヤッ!!」


 目の前に……グリスが立った。


 やめろ……


 俺なんかおいて逃げるんだグリス……


 なんで……笑顔なんだよっ!


「逃げろ、そしてお前の目的をは――」


 言い終わる前に。


 グリスの体を、幾多の切っ先が貫いた。


「クッハハハ! 熱いねぇ〜人間同士の友情ごっこは! 面白過ぎて涙出てくるぜ!」


 そう言い放って降りてきたのは、頭に角を生やした男だった。


「しっかし残念だったなぁ〜、ヒョロいガキ狙ったはずが屈強な男を殺しちまうとは。このアンドレアルプスの数少ない汚点だぜ」


 ふざけたように、面白おかしそうに話をする男は言った。


「じゃあ、あとはガキをどう殺すかねぇ……」


「――さない」


「あ?」


「許さない!! グリスをお前は殺した! 俺の大事なこの世界に来てからの友人を!」


「んなこと知るか。所詮人間は下等生物だ。魔力でも戦闘ですらも勝てないお前たちが何を吠えようが俺は知らねぇ、興味ねぇわ」


 悔しかった。


 まだ動けない。


 あいつは相当の実力者だ。


 それを身に沁みて感じる。


 どうすればいい?


 どうすればあいつを……あいつを!


 ――お前は何を望む


 声がした。


 セイナじゃない男の声。


 ――もう一度問おう。お前は何を望む


 俺が求めるものは……。


 未来、そして力。


 未来を観通し、誰かを守るための力。


 ――汝の望みしかと受け取った


 ……お前は誰だ。


 ――我は汝、汝の半身。我が力とその知恵、そして眼を与えよう


 体にえたいのしれない()()が入ってくる。


「おい、お前の魔力はなんだぁ?」


 俺は立ち上がり、男を見据えて言い放つ。


「アンドレアルプスとか言ったな。今からお前を殺す。この力でお前の存在ごと消し去る!」


 俺の片目は金色(こんじき)に輝き、瞳孔が開いていく。


武器創造(パルタムウェポン)


 武器を創り、手に持つ。


 それは西洋剣に見えるがその刀身は青く輝いていた。


「くっ、調子に乗りやがって下等生物がぁ!」


 男は魔力を込め先程の切っ先を射出する。


 しかし、俺の目にはすでに着弾したように見える。


 なるほど、あの男が言った眼とはこのことか。


未来を見据える眼(アイズトライス)


 着弾地点が分かれば避けることは造作も無い。


 俺はその距離を一気に近づけた。


 男の懐に入り刀身に魔力を込める。


 刀身の青さはより青く輝いた。


 横に薙ぎ払いすべてを断ち切る。


 男の顔は驚きと苦痛に歪んでいた。


 大量の血が俺にかかる。


「こんなガキに俺が負けるだと……? ありえない。ありえてはならない!」


 うるさい。


 頭に剣を刺すため構える。


「お、お前のその魔力まさか悪魔の――」


「その声聞き飽きたから死んでくれ」


 あえて冷たく言い放ち、俺は剣を突き刺した。

グリス……いいやつだったよ。

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