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俺守ります

 

 俺は、グリスの意志を継いで魔王軍に入った。俺のやるべきことは異世界を飛び回り、新たなる生命体である暫定未確認敵対生物(アンノウンエネミー)を調査、解析をすること。可能であれば、意思の疎通を図り、より詳しい情報を得ることだ。


「タツヤ、ホントに大丈夫?」


 三月(みつき)は俺に心配の眼差しを向ける。よく見れば、三月の目は魔族特有の縦に割れた瞳孔が俺を見つめる。そこには、俺と三月の存在が別だと理解するには充分な特徴だった。……こんなにも心を締め付けられる思いはしたことない。


「決定的な差……か」


 ぽつりと、それは自然に出てしまった一言である。グリスから教えてもらった魔族と人族の違い。それは、能力や性能の差だけでなく、体にも差があると言うことだ。魔族には翼や角だけでなく夜でも効く目を持つ。その目の特性からか、瞳孔が縦長になったり人と同じように丸くなったりと変化する。そのせいか、俺は三月との間に壁ができてしまった。いや、できてしまったというより、俺自身が作ってしまったというほうが正しいかもしれない。


ご主人様(マスター)、大丈夫ですか?」


 アモンに話しかけられ、自分がぼーっとつったってることに気づく。


「ん? あぁ、大丈夫だ」


「本当に大丈夫なの?」


 三月は相変わらず心配そうに見ている。そんな時だった。


「!! 皆さん、逃げてください! 攻撃が来ます!」


 その声を聞くや、全員がそこから別の方向に飛んだ。俺達のいた所には数秒後に黒い何かが通った。


「これは……クナイ?」


 そこには、日本人なら誰でも見たことのあるクナイが刺さっていた。投げられた方向を見て、敵の位置を探る。しかし、誰の『索敵(サーチ)』にも引っかからない。これは……『隠密(ステルス)』か?しかも、攻撃しても解除されないほどの上級なもの。


「次! 来ます!」


 アモンが叫ぶ。この声に反応して、先程と同じように飛び退く。


「みつ……けた……!」


 アモンの権能、『未来を見据える眼(アイズトライス)』を起動して、俺は投げられる方向を見る。そこにいたのは、黒い装束を纒った、一言で言うなら忍者がそこにいた。


「アレアル! お前の弓であの木の枝にいる忍者を撃て!」


 アレアルは無言で頷くと、弓を生成して構えた。


「矢よ、すべてを燃やし、相手を穿て。『紅き獄炎の矢(レッドヘルアロー)』!!」


 アレアルが放った矢は無数に広がり、黒い装束の忍者を貫いていく。その姿はすぐに黒から赤へと変化していった。忍者は火だるまになって落ちてくる。しかし、そこに忍者の姿は無かった。


「どこに行ったんだ!」


 そういいながらも俺は、相手の人数を考える。攻撃力や防御力を考えるなら、忍者は圧倒的に不利であろう。隠密や暗殺、情報収集に長けたその存在感の無さは、この世界では市街地でしか意味を成さない。つまり、ここには必ず複数人いるはずなのだ。ならば。


「『過去を見据える眼(アイズトライス)』」


 過去を見つめ、目の前の光景を遡らせる。移り行く昼夜。人の影。そして、()()()()()。見つけた。


「敵の人数は三人! 気をつけろ!」


「三人ですか。では、我々は陣形を組みましょう」


 俺の叫びにバエルが答えると、バエルがそれぞれに陣形を教えた。防御の硬いバエルを前に、その後ろに俺が立ち、俺の横にアモンとアレアルを置いて、俺の後ろに三月を置く。一番守るべき人を後ろに置く、誰が呼んだか知らないが「インペリアルクロス」が完成する。陣形を完成させるとバエルが俺に言った。


「タツヤ様、ご主人(マスター)を守りながら、我々に指示を! 過去と未来、そしてそこから導く現在をも見れる貴方が適任です!」


「分かった! 俺は三月を守りつつ指示を出す! だが!」


 だが、っと言った瞬間にみんながこちらを向く。


「だが、俺の指示よりも効率的、合理的な方法があればそちらを優先してくれ!」


 その一言に対してバエルたちはニヤリと笑って言った。


ご主人(マスター)の仰せのままに!」


 それじゃ、魔王様防衛戦といきますか!

次回、黒い装束の正体と天界での異変、さらにタツヤの旅の始まり!第二部まであと3話!

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