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クレアツィオーネの物語

クレアツィオーネ創世記

作者: 葉月 未兎

昔、そこ(・・)には何も無かった。

上も下も、朝も夜も、大地も空も、海も無かった。


ある日、空、或いは大地から一人のヒトが落ちてきた。

彼、或いは彼女は何も無いそこ(・・)を見渡して、不思議に思った。


どうして(・・・・)ここには(・・・・)地面が無いんだろう?(・・・・・・・・・・)


すると彼、或いは彼女の足元に、見渡す限り続いてく大地が現れた。



次に彼、或いは彼女は大地しかないそこ(・・)を見渡して、不思議に思った。


どうして(・・・・)ここには(・・・・)空が無いんだろう?(・・・・・・・・・)


すると彼、或いは彼女の頭上に、彼方まで続いていく空が現れた。



次々に彼、或いは彼女は大地と空しか無い世界で不思議に思った。

どうしてここには海が無いんだろう?

どうしてここには森が無いんだろう?

どうしてここには太陽が、月が、夜が、朝が、人が、妖精が、ドラゴンが……。

思い付く限りの、どうしてここには無いんだろう、を不思議に思った。


そしてそこ(・・)が『何でもある』になったある日、何かに何かが殺された。


それは自然の摂理であり、不条理でもあり、血で血を洗う戦いの始まりだった。

何年、何十年、何百年と戦いは続いた。

彼、或いは彼女は死んでしまった者達の亡骸を抱き、思った。


どうして(・・・・)こんなことが(・・・・・・)起こってしまった(・・・・・・・・)んだろう!(・・・・・)


すると彼、或いは彼女の目の前で戦っていた者達がいなくなった。

肉体無き者は肉体無き者達だけに、小さき者は小さき者達だけに、大きな者は大きな者達だけに、そこ(・・)が区切られたからだ。


そうして戦い自体が絶えることは無かったが、肉体無き者達が肉体の有る者達を虐げたような、大きな者達が小さな者達を蹂躙したような、理不尽な血で血を洗う戦いは起こらなくなったのでした。



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