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河童物

河童小説を書くために~これで君も河童フィリア~

作者: 須方三城


 まず、物語を書くにあたり、とても重要な事があります。


 それはズバリ【モチベーション】です。


 やる気とも言います。


 なのでまずは、貴方のやる気スイッチをぐりぐりと押してくれる要素を考えましょう。


 貴方が創作中、物語の中で最も触れるモノはなんだと思いますか?


 それは【主人公】です。


 仮に貴方がホモだとして、Fカップの巨乳グラドルをずっと見ていてヤる気が出ますか?

 出ません。出ねぇよ。


 自分が愛せる主人公。

 ずっと見ていても、ヤる気が萎えない。むしろいきり立つ。

 そんな素敵でマイフェイバリットな主人公。


 それが小説を書く上で、最も貴方のやる気(モチベーション)を支えてくれるファクターであるはずです。


 なので、【主人公の造型】にはすごく拘っていきましょう。


①手始めに、貴方が主人公に最も求める【属性】を思い浮かべてください。



 河童。



②貴方が書きたい主人公はどんな主人公ですか?

 決めた属性を中心に、漠然とした感想を適当に書いてください。



 河童。

 河童と言えば古き良き日本妖怪……古き良き日本と言えば【武士】や【忍者】も素敵だなぁ……

 やっぱ好物はキュウリかな……キュウリに関するユニークをひとつやふたつは付けたいなぁ。

 あと緑、河童のユニークカラーは緑だよね。

 皿や相撲、尻子玉……尻……尻……



③漠然と思い浮かべた感想を全て混ぜ合わせてください。

 え? 取捨選択? そんなのは暇人のやる事ですよ。

 目を覚ましなさいウェイクアップ。



 奴は河童。

 武士であり忍者な河童。

 キュウリが大好きでキュウリに関してとんでもないユニークをひとつかふたつ持っている。

 パーソナルカラーは圧倒的に緑。

 そいつを語るには皿や相撲、尻子玉がどうしても絡んでくる。

 尻フェチ。



④少し洗練しましょう。


 例えば職業。

 やはり武士と忍者の両立は難しいと思います。どちらも多忙職業ですし。


 ですがどちらかを捨てるなんてナンセンスの塊。


 貴方は小学校の時に習わなかったのですか?

 人類の英知、【足し算】を。


 奴は河童。

 職業:【武士忍者】。


 ……ですが、ただくっつけただけで満足ですか?

 いいえ、貴方はそんなお行儀の良い子ではないはずです。


 手癖の悪い悪戯小僧の手に渡った紙粘土はどうなると思います?

 カオスの権化となります。そして最終的には絶対に紛失します。


 それくらいの心意気でこねくり回してやりましょう。


 奴は河童。

 職業:【ブシニンジャー】。


 Oh Yes!!

 なんだこれは意味がわからない!!


 だがそれがどうした?


 意味がわからないなら意味がわかる様にすれば良いんです。


 これから貴方が作るのはひとつの物語、ひとつの世界。

 この主人公が生きる世界に置いて、貴方は創造神です。

 この主人公に纏わる意味がわからないワードには、貴方が好きな意味を与えて良いのです。


 つまり、次はこの【ブシニンジャー】について詳細を定めます。


 ブシニンジャー……

 やはり、名前の響きからしてスーパー戦隊ものの影響を色濃く受けて然るべきかと思います。

 炊飯ジャーの方向に広げるのもありですが、世の中には炊飯器を炊飯ジャーと呼ぶ事を知らない子もいるので、無難にスーパー戦隊の方で行きましょう。


 イイですよね、スーパー戦隊もの。

 絆やチームワークと言う、数の力に裏付けされた圧倒的正義。


 敵も雑魚兵いっぱい連れてくるからなんだと言うんです?

 数の暴力と言うのはネームド級の実力あるキャラを揃えるから意味があるんですよ。


 羽毛は何枚集まろうとふんわりなんだよ。

 相手を殺したいなら石を集めろ。


 それを理解できていないから、悪の組織側はいつまで経っても勝てんのです。

 その点、スーパーヒーロー側はわかっていらっしゃる。

 強者こそ徒党を組み、共に手を取り合って戦うべきなのです。


 と言う訳で、スーパー戦隊要素を取り入れてしまいましょう。


 ブシニンジャー……主に刀を装備して高速戦闘を得意とする。悪の組織と戦う職業。


 部隊名をブシニンジャーとする場合、隊員ごとの識別コード的なものも必要になりますね。


 では丁度良い。

 ここは前述した【パーソナルカラーは圧倒的に緑。】より、主人公の河童は【ブシニンジャー・グリーン】としましょう。


 主人公は河童であり、ブシニンジャー・グリーンとして刀を振りかざしシュバババっと悪の組織と戦っている。


 大分ユニークが温まってきたのではないでしょうか。


 では次の要素を洗練していきましょう。


 確か……キュウリに関するユニークがうんぬん、でしたね。


 これはまぁ、キュウリ大好きだけでは生ぬるいので、もっとエゲつなく、読者の脳に直接殴りかかる様な設定を考えたい所ですね。


 キュウリ……そう言えば、キュウリと言えば、実にその九五%が水分なんだそうですね。


 では、「キュウリと同様に身体の九五%が水分で出来ている」と言うのはどうでしょう。


 しかし、ただただそんな設定を出しても説得力がありません。

 納得できないまま書き続けても、主人公を愛していく事は難しい……理解できない癖のある恋人とは長く付き合えないのと一緒。


 なので、何かしら、苦しくても良いのでとにかく裏付けをしましょう。

 悪魔のフルーツを食べたから、とか、そう言う魔法が使えるから、とか。

 自分が納得できそうな理由を、とにかくひとつ。


 そうですねぇ……ここは「キュウリの食べ過ぎで体質がキュウリみたいになった」としておきましょう。

 そう言う事って結構ありますよね。


 にしても、身体がほぼ水分だとすると……まるでロギアがどーたらの悪魔のフルーツを食べた能力者みたいに、物理無効な身体になりそうですね。

 最近は主人公が強くて強くて困っちゃうぜ的なのが主流なので、丁度良いでしょう。


 ただ、一方でメリットばかりを搭載した完璧過ぎる主人公は忌避される事も。

 現実に完璧な人間などいないので、完璧過ぎる人は読者の理解の外に出ます。なので好かれにくい=嫌われがちです。清すぎる川には魚も虫もよりつきません。


 自分が好きならそれでいい?

 まぁ、それは結構な考え方ではありますが……批判的感想ばかりが届く主人公では、貴方のモチベーションをへし折ってしまう危険性がありますよ?


 人間は社会性を重んじて進化してきた生き物です。

 当人の理性は自己最高主義を貫き、他者の言葉など聞こえましぇーんなつもりでも……本能は必ず他者の言葉に反応しています。

 特に、自分を否定する言葉に、人間の本能は敏感に反応します。孤立が死を意味すると遺伝子単位で理解しているため、他者に嫌われる事を恐れてしまうのです。


 なので批判的感想ばかりに晒され続けると、ほぼ確実にその「批判の対象となっている行為」への意欲が減退していきます。

 つまり貴方自身「理由はよくわかんねぇけど、なんとなくこの作品は……ダルいな」と言う気分になってしまうのです。


 希に、激しい批判に晒され続けても全く萎えない人もいますが、それはそう言う才能のある人です。


 貴方がどちらであるかはわかりません。


 貴方のためにも、主人公には【多少のデメリット】を付加し、【愛嬌】と言うものを付けてあげましょう。


 自他共に愛でやすい、ちょっとした萌えポイントの様なものを設定するのです。


 これは後述する予定の「どんな感想リアクションが欲しいか、しっかり決めてからエピソードを作ろう」にかかってきますが……


 想像してみてください。


 まず、主人公が愛嬌故に苦労するコミカルな回を更新します。


 例えば……そうですね。


 身体がほぼ水なせいで、夏場、蚊やトンボの産卵場として目を付けられる……なんてエピソードはいかがでしょう。


 女の子にモテたいなー、なんて笑う主人公に突然襲いかかる雌蚊と雌トンボの混成大群(全員妊婦)。

 妊婦の集団に犯される、と泣きながら逃げる主人公。チームの仲間やヒロイン達が蚊とトンボの群れから助けてくれようとしますが、どんどんと傷つき倒れ……

 もうモテたいだなんて言わないよ絶対……アァーーーッ!!


 敵組織の蚊型やトンボ型の怪人を絡める、と言う手もありますね。


 想像は続きます。

 更新後。

 貴方のホーム画面に表示される【書かれた感想一覧が更新されました】の赤文字。

 届いたのは「グリーンwww願望叶ってハーレム(虫)wwwしかしまぁ托卵ハーレムとはレベ高で羨ましい。更新がんばってください」と言う、ギャグ回としては最高評価と言っても良い肯定的な大草原。


 素敵ですね。

 はい、想像終わり。


 必ずしもお望み通りの感想が来るとは限りませんが、「こんな感想が来て欲しいな」と思いながら執筆するのも立派なモチベーション維持法のひとつです。


 余談にはなりますが、「感想送るのはちょっと敷居高いけど、活動報告にコメントするくらいなら……」と言う読者さんも一定数いる様です(当社調べ)。

 毎更新ごとに活動報告を付けてみる、と言うのも、モチベーション維持に繋がる緒になるかも知れませんね。


 あ。言い忘れていた事が一点。

 覚えていてください。無敵と完璧は必ずしも=ではありません。


 無敵とは、あくまで一芸特化のユニークです。

 ある分野に置いて敵がいない、でも無敵を誇る分野の外には隙がある。

 又は、普通ならば敵はいない、でも特定条件下では弱体化してしまう。

 それくらいの塩梅が、物語を展開させる上でも便利でしょう。


 隙があるだけで、【それで困るエピソード】【それを受けて、補おうとするエピソード】、最低でも二つのエピソードが望めます。


 なので、最低でも「周りとレベルが違い過ぎてKYになりがちで対人関係で苦労している」的な……「プラス要素が強過ぎる故のマイナス、過ぎたる過ぎて及ばざる過ぎる葛藤」的なマイナス要素は取り付けておきましょう。


 ブシニンジャー・グリーンは河童である。

 キュウリが大好き過ぎてキュウリ食べ過ぎにより体質がキュウリ化。身体の九五%が水分でできている。

■メリット■

 物理攻撃無効。衝撃を受けると身体が飛沫になって拡散、その後すぐに集合して再生する。

 ウォーターベッドみたいにプルプルしてるので女子につついて遊んでもらえる。

 夏場はひんやりしてるので皆の人気者。ヒロインと密着しちゃったりしてドキッ☆なイベントも……!?

■デメリット■

 五%は肉体なので木っ端微塵にされると流石に死ぬ。

 夏場は蚊やトンボが卵を産もうと身体を狙ってくる。油断してたらカエルも来る。蛙とびこむ俺の尻。

 塩をかけられると身体が縮む。頻繁に小学生に塩を投げつけられて「ナメクジかテメェはよ~(^O^)」とイジられる。

 異物を混入されると濁る。頻繁に小学生に墨汁をかけられ「やーい、ブラックとキャラが被ってんぞ(^O^)」とイジられる。

 除湿運転はらめぇ。


 皿が乾く=乾燥している=存在消滅の危機。

 従来の河童よりも乾燥に対する危機感が強そうですね。


 ふふ……にしても、酸いも甘いも兼ね備えた、素敵な主人公になってきたじゃあねぇか……!!

 おいたんハァハァしてきましたゾ……☆



 でもなんか飽きてきたので、この辺で総括しますね。




 貴方が好きな河童小説を貴方が好きな様に書くと、すごく楽しいですが……少しで良いので【読者からの視線】とかについても一考すると、もっと楽しく河童小説を書けるかもですよ。



 以上。

 では、最後にオマケとして、後述する予定だったハウツーに従って作成したブシニンジャーの簡単なあらすじを置いてサヨナラです。

 何かビビッとくるものがあったら、誰か書いてくれても良いですよ。



題 ★ 正義強行、妖怪戦隊ブシニンジャー~キュウリはおやつに入りますか?~ ★


 時は近未来ッ。


 宇宙の果てよりやってきて、地球征服を目論む悪の組織【コバンラブズ】。

 悪の帝王オダイカーンとその腹心エチゴヤーの指揮の元、奴らがまず最初に狙うは日本国、その首都・恵土えどの町。


 しかし、日本には、悪党をやたらに一刀両断したがる正義のスーパーヒーロー達が待ち受けていた!!

 その名も妖怪戦隊ブシニンジャー!!


 尻フェチ拗らせ二〇〇年、色欲エグいエロ河童!!

 プルプルボディのカッパーグリーン!!


 筋金入りの高所恐怖症、陸ではクール、空ではいつも顔面蒼白!!

 ストレス胃痛持ちのテングブルー!!


 尻尾が増え過ぎ、もはや触手とキモがられ!!

 生前に戻りたいネコマタイエロー!!


 存在感が無と紙一重!!

 気付けば背後にカゲホウシブラック!!


 勝負下着は黒のスケスケ!!

 行き遅れるなユキオンナホワイト!!


 腰に帯びた日本刀とそれぞれの特異体質を活かし、悪党みんなぶった斬る。

 目の前の悪は即座に斬ろう。

 増援来るなら来た順番に斬り刻もう。


 悪は斬る、慈悲は無い。


 悪を斬るのの邪魔になるなら、善など不要。

 謳うはそう、圧倒的正義による完全懲悪ッ!!


 絶対正義を執行する妖怪戦隊!!

 野望のままに地球征服を目論むコバンラブズ!!


 仁義なき戦いが今、幕を開ける!!




 サヨナラッ!!


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[気になる点] むしろ、テングが陸にいるときはレッドで空にいるときはブルーなのでは [一言] 尻子玉を引っこ抜く尻フェチ…………託卵プレイ…………これ、なろうでは小説にできないのでは?
[良い点] まことにすばらしいそうさくろんだとおもいます。かんぷくいたしました。 [気になる点] 惜しむべし。グリーンをリーダーに据えるという必要性上、ブシニンジャーにレッドがいない。 様式美上、レッ…
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