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僕らが世界の裏のボス  作者: ツナネコ
2/6

スライム1


光が止むとさっきとはまた違う空間にいた。なんというか……寝室?みたいな感じの部屋だ。


それにしても目がチカチカする。光るなら光ると言ってくれても良かったんじゃないか。


チカチカが治まった所で改めて部屋の確認をする。


有るのはベッド、机、そして机の上にある本……恐らくこれが説明書なのだろう。


他には何もない。ドアも窓もない。因みに床はフローリング。壁は白くて堅い。



とりあえずやれる事をしよう。早速説明書を手に取る。



『ピピ、承認、プレイヤー名、ウッドペッカーをダンジョンマスターに承認しました。』


承認されました、はい。



じゃなくて、ナニコレ。ダンジョンマスターって凄いな。頭の中に、ダンジョンの基本的な作り方、DP(ダンジョンポイント)に関して、フィールドに関して、モンスター、罠に関して、その他に関してとずらりと頭の中に知識が修められている。


分かりやすく言うならば、整理された本棚。必要な知識に関して最低限の事を教えてくれている。


最後にスキル、【ダンジョン作成Lv1】、EXスキル【支配者の祝福】が追加されていた。


【ダンジョン作成】はそのままのスキルだろう。【支配者の祝福】に関しては分からない、効果は???になっていた。多分これがミミックが言っていたスキルなんだろう。



よしそれじゃあ、ダンジョン作成スキルを使ってみよう。

スキルを使うにはモーション、或いはキーワードが必要になる。


「ボード」

そう唱えれば半透明なキーボードが現れる。


これがダンジョンマスターがここでしか扱えないダンジョン制御装置。早速ダンジョンの骨組みを考えなければ………


DPは初期値の3000DP、慎重に作って行こう。


とりあえず、この部屋に通路を2コマ、20ポイント消費して作ってみる。


すると、繋げた壁に扉が出来た。よし、成功だ。


扉を開けてみると大体6メートル位の長さの通路が出来ていた。横幅は車一台分位、高さは5メートル位だろうか。

因みに壁や床、天井には何もない。部屋と同じ白くて堅い石みたいな感じだ。

部屋に戻ってもう一度ボードと呟く。


「大部屋1、承認」


通路の出口に大部屋を追加してみた。消費量は500と少し高い。


だがその広さは通路一つ分の50倍以上は有るだろう。



よしよし、この部屋を迷路みたいにしてモンスターを放ったり罠を張ったりすれば基本的なダンジョンは完成だ。


改装からフィールドを選ぶ。

1番安いのが洞窟タイプか…………デフォだけど洞窟は侮れない。


暗くてじめじめした場所は只でさえ緊張するだろう。どこからモンスターに襲われるか。どこに罠が仕掛けられているか。リアルダンジョンを冒険って結構難しそうだな。



フィールドにあまりDPを使いたくないし洞窟でいいだろう。承認して見に行ってみた。



うん、洞窟だ、ただの洞穴。

通路が岩の壁や床、天井に変化している。部屋もいい感じに通路のように分断されていた。


これに少し通路と行き止まりの小部屋を足せばダンジョンの広さは問題ないだろう。



小部屋を3つ、通路を6個付けたし、出来上がったダンジョンの広さに満足する。



後はモンスターと罠を仕掛ければ一先ずダンジョンとして成り立つだろう。


そこから試行錯誤してダンジョンの難易度を上げる。何だか楽しくなってきたな。







やってしまった。


【支配者の祝福】

そのスキル自体は素晴らしい。ダンジョンモンスターのスキル値、ステータス、取得経験値、変異率が全て二倍になる。

更にモンスターを召喚するのに必要なDPが1/2にまで下がるのだ。


デメリットは種族縛りがあるって事。ダンジョンで一番最初に作った種族のモンスターしか作れなくなる事だ。


最初にゴブリンとかクレイドールとかにすれば、多少はデメリットの影響を受けるけど数と質には困ることは無いだろう。


でも、今俺の前に要るのは……



青色、プルプルと震えている身体。手足所か顔すらないRPG最弱と唱われる、マスコット的なキャラクター。


そう、スライム。よりによって俺はスライム縛りを選択してしまったのだった。



事の発端はモンスターを召喚しようとした事に始まる。


最初に召喚出来るモンスターは少ない。スライムやゴブリン、ホーンラビットとかクレイドール、スケルトン等々、RPGで最弱に分類されているモンスター達だ。


正確にはモンスターにもランクという物があり【ダンジョン作成】のレベルが低いが故にランク1のモンスターしか作り出せないのだ。



という事で俺は考えた。慎重に考えた。


雑魚でも大群ならある程度通用するだろう。だが突破されたら後がない。強いモンスターを召喚するには【ダンジョン作成】のレベルを上げつつポイントを温存しなければならない。


因みにこの時点での罠は殺傷所か足止めにすら使えない、踏めばタライが降ってくるというコントのようなものや触ると霧吹きをする、等と言ったものしかなかった。


話を戻すがポイントの消費量とモンスターの量、そのバランスを上手く保てるモンスターは居ないものかと考えていた。



そこで見付けたのが、スライム。そうスライムだったのだ。


スライムにはお馴染み【増殖Lv1】というスキルがあり、水があれば増える。雑魚だが量に関してはランク1の中でも群を抜けているだろう。


という訳でスライムを一匹と小部屋、フィールド水辺を作成した。


スライムに増殖するよう命令して次のモンスターを生成しようとしたのだが……


「あれ、変だな。選択が出来ない……」


あれだけ居たランク1のモンスターがスライムと名のつくモンスターしか居なくなって居たのだ。


「どうなっているんだ?」


と色々探してみた所、貰ったスキルの説明を見付け、今凹んでいる訳だ。


これからどうすればいいんだ?


物量作戦とは言えスライムだ。ちょっと対策をとられれば直ぐに攻略されてしまう。


突然変異にかけるか?

いや、変異した所で所詮スライムだ、スペックが低すぎる。


残る手は……


自分が強くなるしか……ないか。


強くなってモンスターを捕まえよう。そういえばまだスキルポイントを割り振っていなかったな。



Ozはスキルを育てるゲームで、スキルが育てば戦闘関係や生産関係のアーツが使えるようになる。


EXスキルは育てられないレアスキルの事。また、スキルのレベルがある一定ラインを越えると上位スキルに変換したり、別のスキルに移行したり出来る。


スキルを得るにはスキルポイントを消費しなければならず、持てるスキルは最大十個と決まっている。


と載っていた。

初期は100ポイント。一つあたり平均10ポイント消費するため、10個のスキルを選べる訳だ。


自分は既に二つ埋まっているため、残り八個だ。


因みに【ダンジョン作成】はダンジョン外では【テイム】に変化するそうだ。



【テイム】モンスターを捕獲、仲間にして調教出来るスキルだ。


ただ、β組の情報だと成功率はかなり低いらしく、レベルが低いと従わなかったり、反抗したりしたりされるらしい。



あれ、なんか詰んでるような気がする。





結局得たスキルは、【鞭Lv1】【投擲Lv1】【体術Lv1】【魔力Lv1】【魔法:風Lv1】【視覚Lv1】【調合Lv1】【鍛冶Lv1】【採取Lv1】【幸運Lv1】を取得してみた。


ダンジョンマスターとして活動するにしてもソロでやっていけるよう、生産系のスキルも取得した。【幸運Lv1】は何が起こるか分からないが、何と無く持っておこうと思った。スキルポイントも5Pだったし投擲と合わせて10Pだから調度良かった。



視覚は遠視や暗視能力が付くスキルで、投合や魔法の対象範囲を広げる事も出来るらしい。


鞭は一応メイン武器。テイムと相性がいい武器で中距離型。これから練習しようと思う。

合計12個のスキルに残り10Pのスキルポイント。


ダンジョンポイントはまだ2000以上ある。スライム一体5P。そういえばさっき水辺に生成したスライムをまだ見てなかったな。一目見ておくか。







スライム……それは最弱のモンスター。

打撃耐性を持っている物の魔法、斬撃には手も足も出ない。元々HPが低いから打撃だって喰らえば直ぐにKO。


そんな最弱のモンスターだが、彼らには一つ、どんなモンスターにも負けない特技があった。


それが増殖だ。

少量の水で核分裂、数時間毎に身体を二つに分裂するスライムの増殖はどんなモンスターでも追い付けない。



「召喚して……まだ二時間ぐらいだよな?」


俺の体内時計が正しければ召喚してまだ二時間程度しか経っていない筈だ。


幾らスライムの分裂が凄いからって1匹から25匹って……可笑しくないか?


水辺……真ん中に水溜まりのような池が一つ、それを囲む植物とぬかるんだ土。


小部屋なので大体一辺20メートル四方のこの部屋に踏み入れた俺は目の前で整列しているスライムを見て増殖スピードの異常を考えていた。


通常スライムは一時間に一回、分裂するらしいのだ。


【支配者の祝福】があるからその半分30分に一回、今が大体四回目で16匹、多くて16匹の筈なのだ。


とりあえずステータスを見てみよう。


スライムLv1

【増殖Lv20】【雑食Lv1】


増殖のレベルがおかしい。確かにスキルを使って増殖しているのだろうけどこれは………【支配者の祝福】か。


【支配者の祝福】末恐ろしいスキルである。


どうやら増殖はレベルが10上がる毎に増殖する数が増えるようなのだ。


それでこの数に……恐ろしい増殖スピードである。


だが弱い。冒険者でなくても倒せるとモンスターの説明文にも載っている程弱いのにNPCやプレイヤーと渡り合えるのか?



いや、これは今考えても仕方無い。ただ、スライム達を強くしてモンスターをテイムするまで数の暴力いくしかない。


「よし、次の増殖の後5匹残して後はダンジョンに移動してくれ」


兎に角数を増やしてダンジョンを開放、スキルのレベルを上げていこう。


後他のスキルのレベルや身体の動かし方なんかも勉強しないとな。


今日はもういい時間だしこれからの予定も決まった事だし止めるか。



ベッドに入ってセーブ。ログアウトする。

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