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曇天は葵の散歩時間
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「本日は曇天なり」
雲った空の下で呟く俺こと片白葵、高校2年生の17歳。
コンクリートで固められた都会の地面を歩くと涼しい風が全身を包む。
「晴れとか雨とか俺に喧嘩売ってるよな~。もうずっと曇りでいいし」
趣味は散歩、ただし曇りに限る。特技は早歩き。顔立ちは平凡だろう。女子顔負けのさらさらの髪が自慢だが、目が悪いため目つきが少し悪い。どこにでもいる普通の一般高校生である。
「学校とか欝だ。死ねる」
もうひとつだけ特徴があった。片白葵は限定的不登校児である。