朝起きたら人ではない生き物になってしまっていまして!? ~それを理由に切り捨てられてしまいました~
朝起きたらねずみになってしまっていた。
幸い言葉は話せるが、見た目は完全にねずみ。どうすればいいのだろう、と思いつつ自宅で過ごしていると、たまたま婚約者アデールがやって来た。なので一応相談してみたのだけれど、返ってきたのは優しさではなかった。彼は眉一つ動かさず「そうか。では婚約は破棄とする」とだけ言った。
「ねずみになった女に用はない」
「そう、ですか……」
「恐らくお前のこれまでの行いが悪かったのだろう。だから天罰が下ったのだ。根拠はない、が、そうに違いない。間違いなくそうだと思うぞ」
「そんな……!」
「実は前から思っていたんだ。お前という女は何の魅力もないなと。お前との婚約を破棄できるちょうどいい機会が訪れて幸運だ。ねずみになってくれてありがとうと言いたいよ。ではな、さらばだ」
アデールはそう言って平然と私を切り捨てたのだった。
……だがその夜思わぬ展開が待っていた。
突如現れた賊に村全体が襲撃されたのだ。
それによって村に住んでいた人たちの八割以上が命を落とした。
当然アデールもその中に含まれている。
彼は、心ない賊の男たちに襲われ、理不尽に痛めつけられたうえ最後は命を奪われた。
そんな中、私は、逃げることに成功した。
ねずみの姿をしていたからだ。賊はねずみの命までは狙っていなかった。つまり、私が助かったのはねずみになっていたからなのだ。
ねずみになってしまったことは不運なことだったかもしれない。
けれどもそのおかげで襲撃からは逃れることができた。
傷つけられることも弄ばれることもなく、無事、生き続けることができたのだ。
その後私はねずみとして幸せに生き、やがてその生涯を終えた。
◆終わり◆




