2
わたしには同居人がいる。
いや、ちがう。わたしのターゲットだ。
そうわたしは暗殺者だ。
同居人には暗殺者であることはバレていないはずだ。
本人に確認したわけではないからだ。
なぜまだ殺ってないかって?時期が早いのだ。
今はまだ同居人のことを探っている段階だ。
この任務は本当は2人で行うはずだった。
2人でこの同居人のもとに潜入をしたのだが、相方は離脱してしまった。
そのことを時折思い出し、咆哮をあげてしまうことがある。
そんなとき同居人は不可思議な顔をしてわたしの名を呼ぶ。
どうも同居人とは言語が違っているらしく理解はされない。
が、ごはんやマッサージの要求は察しがつくらしく行ってくれる。
ターゲットとは言え、良き人間だと思う。
でもあくまでも暗殺のターゲットなのだ。
だからいつでも殺れるように武器の手入れは欠かさない。
思いたったらすぐやらないとすまない性分なので、同居人が居てもやってしまう。
が、見つかると処分されてしまう。
バレるわけにはいかないので処分を受け入れるのだが、やっぱり不満の声はあげてしまう。
そんなことなど物ともせず同居人は処分をしてしまうが。
そうやって武器を処分されてしまうので、別の武器での暗殺も考えているのだ。
そのための前準備を幾つかしている。
たとえば、同居人に膝枕を要求してやるのだ。
その要求が受け入れられた後、上目遣いに見上げてやる。甘える姿を見せて無害だと安心させてやるのだ。
また、寝るときに同居人のベッドを占領してやっている。
同居人がわたしを退けようとすると不満の声をあげていたらわたしの邪魔をしなくなった。
ベッドの端に寄り寝るようになった。わたしがいるからか熟睡はできないだろう。
それが狙いだ。睡眠不足のところを狙うためだ。暗殺の成功確率が上がるはずだ。
同居人が寝たところでわたしも自分の寝床へと向かう。
同居人の寝首をかく日を夢みて、その日まで英気を養うためゆっくりと休むのだ。
同居人は出かけていくことがある。
わたしは外に出ないので、同居人が出かけたときは気を休めつつ、同居人の弱点を探す。
同居人はハリのあるものを隠す。きっとそこに何か弱点があるはずなので、それらを引っ張り出しては確認する。
ときにその痕跡がバレてしまうことがある。
なんでだ?まあいい
そんな日を過ごしている。
Xデーは近い。