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⑶『緻密な理論の探求』
⑶『緻密な理論の探求』
㈠
何度も述べることになるが、緻密な理論の探求とは、芥川龍之介の様な文体を書くことだ。しかし、芥川は自裁して居る。これは、小説家志望の者にとっては、致命的な欠陥材料なのであって、俺もまた、自己を追い込んで、人生を捨てかけた一人だ。
㈡
そこで、埴谷雄高の様な、自由な文体に出会ってから、小説を楽しく、自由に書くことが出来る様になった、これは、埴谷雄高に救われた、ということなのである、自分にとって、埴谷雄高は、上記した点において、偉大だ。
㈢
感謝と共に、この、緻密な理論の探求、という本小説は、それをやると、人生を失敗する、という逆説的意味合いを持った、そういったことを提示する小説と変容した。俺は、こうなるとは思わなかったが、埴谷雄高に出会えたこと、感謝して居る理由が、述べられたように思う。