表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本の仔  作者: 清水坂 孝
第三章
88/100

第88話

「地球防衛隊(仮称)」への応募はAICGlassesから簡単に行うことができた。

 普通は学歴、職務履歴、資格など各種の個人情報の内、募集要項に該当する、公開してもいいものを選んで応募することが多いが、「地球防衛隊(仮称)」の募集要項には必須要件は何もなかった。

 ただし、珍しくリアルの面談があるらしい。


 普通はAICGlassesがその人の人格、性格、話し方、スキルなどを模倣して、面談をシミュレートし、相手もAIが対応することが多く、リアルで面接、面談をすることはほとんどなくなっていた。

 僕もリアルの面接なんて初めてなので、当日は吐きそうになるほど緊張した。

 面接は環境省で行われるということで、集合時間と場所をAICGlassesからスケジューリングしておいた。後は車椅子に乗れば、寝ていても自動的に面接会場に連れて行ってくれるはずだ。

 ちなみにAICGlassesには盲人支援モードがあって、見えているものや案内を音声で知らせてくれるようになっていた。


 面談当日、自動運転車に乗って、霞ヶ関というところにある環境省の庁舎に向かった。

 僕は眼が見えないから想像するしかできないが、霞ヶ関という名前からするに見えにくい何かが広がっているような場所なのかな。

 自動運転車を降りると、屋内に入り、エレベータに乗せられた。

 車椅子は自動的に13階にある面接会場に向かう。


 僕は右手に、あるグローブをしているが、これが実は視覚の代わりをしてくれている。

 このグローブは、3Dカメラが捉えた映像をリアルタイムで凹凸の触覚に変換して、近くに何があるかを教えてくれるのだ。

 慣れるまで少し掛かったが、今ではどんなものが周りにあるのか、想像できるようになった。

 ただし、色という概念だけはまったく想像がつかなかった。

 でも、色の話を聞いて想像するのはとても楽しくて、いつか答え合わせができたらと思っていた。


 面接会場には既に何人かの人がいて、一人ずつ話をするらしかった。

「瑞希!あの子!青いっ!」

 少し離れたところから、ちょっと叫び気味に声が上がった。

 何だろう?青い?

 すると、僕の前に二人の人が立つ気配がした。


「キミ、「地球防衛隊」の応募者?」

「あ、はい。車椅子はダメでしょうか?」

 審査員の人かと思ってちょっと警戒気味に話をする。

「いや、ちょっと、こっちに来てもらっていい?」

「あ、はい」

 すぐに別の部屋に連れて行かれて、

「君、何か特殊な力を持ってるんじゃない?」

 唐突に聞かれて、あ、もしかして、「瞬間素数判定」のことを言ってるのかな?と思い、

「あ、実はこれで前にニュースに出たことがあるんですけど」

「お?何なに?」

「瞬間素数判定です!」

「ん?何それ?」

 あ、外したかな...

「出された数字が素数かどうか瞬時に分かるというものでして...」

「...」

 あ、何かがっかり感が伝わってくる。

「えと、もうちょっと超能力的なやつはあったりしないかな?」

「いえ、そういうのは、ちょっとありません」

 二人がちょっと離れてひそひそ話をしているのが聞こえた。


 やっぱダメかなぁ...

「ちょっとキミに試してみたいことがあるんだけど、話を聞いてもらえる?」

「あ、はい」

 話をしてくれた人は假屋崎静と名乗り、もう一人は藤堂瑞希と名乗った。

 二人は「日本の子」として生まれ、今は地球を氷河期化前まで戻すために日本政府と一緒に働いていると話してくれた。

 静という人は人の魂を見ることができるという能力を持っていて、僕の魂が真っ青に見えて声を掛けたらしい。

 普通の人は白い魂で、稀に黄色やピンクの人がいるけど、青は初めて見たらしく、何かあるに違いないと思ったそうな。

 魂って、ホントにあるの?ちょっと胡散臭げ。


 そんな僕について色々調べさせて欲しいとのことで、ちょっと怪しいと思いつつ、地球のために何かできるのであればお願いしたいと伝えた。

 すると、早速色々な検査をするために別の階に移動することになった。

 僕は何の気なしにDNA検査を受けることをOKしたものの、検査結果は驚くべきものだった。

 ヒトのDNAとの適合率は2.4%、つまり、ほとんどヒトとは違う遺伝子を持っているということ。

 僕、人間じゃなかったの?てことは、僕の母親も人間じゃないのか?

 でも見た目は人間と同じだし、身体障害があること以外は違いを意識したことはなかった。

 とは言え、眼が見えない僕からは、普通の人と自分の違いがどのくらいあるのか確かめることはできなかった。


 その後、静さんと瑞希さんがまたひそひそ話を始めた。

 まさか僕がこんな変な生き物だとは思わなかったってとこかな...

「えーと、桃里くん、キミ、僕らの仲間みたい」

 ?

「どういうことですか?」

「僕らは「日本の子」であると同時に徳永秀康という人の子どもでもあって、キミと同じような遺伝子を持ってるんだ」

 え?ということは。

「キミも徳永チルドレンである可能性がある。とは言え徳永チルドレンは政府に管理され、監視対象になるはずだから、なぜキミが普通に暮らしているのか、調べてみたいと思っている」

 僕が「日本の子」?

 確かに父には会ったことはないけど、確か「日本の子」はある程度の遺伝子操作をされて、遺伝病などが発生しないようにコントロールされるはず。

 だったら僕みたいに先天性の病気を持って生まれてくることはないはず。

 だから、何かの間違いなんだと思ってた、んだけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ