閑話 女神様が造り直したダンジョンに挑んでみたんだが……3
ノッカー「あむあむ♪(^-^) 美味しい~(*´∇`)」
ブラウニー「あ、みなさんこんにちは~ヽ( ゜∀゜)ノ」
ヘルメットさん「おうおう!(。・`з・)ノ PVアクセス十万突破記念の小話三話目だぜ!ヽ(*≧ω≦)ノ」
アリサ「『悲涙の洞窟』改め『セリア洞窟』の六階層に挑戦中のアーヴィルくん達の様子をお届けだよ♪ヽ(*>∇<)ノ」
エミル「はぁ~(*´ω`*) 天ぷら~フライ~どっちも美味しい~♪( ☆∀☆)」
ノッカー「えへへ、ご飯食べながら観戦中なんだ♪(°▽°) そういやエミルさんはお酒飲まないんです(´・ω・`)?」
エミル「いえ、普通に飲みますよ(^ー^) 今は仕事中なので我慢しているんです(;´∀`)」
ヘルメットさん「かぁーっ!( ゜д゜) 勿体ねぇ~コイツは酒に合うぜぇ~?(*`艸´)」
ブラウニー「もう!( `д´) ヘルメットさんたら煽らないの!(; ・`ω・´)」
アリサ「そうよ~?( ̄▽ ̄;) お仕事中にお酒なんて駄目なんだからね!(*`エ´)」
ヘルメットさん「しゃあねぇなぁ~(´・ω・`; ) 飲み交わしたかったがまた今度だな(-∀-`; )」
エミル「ふふ、ゼオンさんと入れ代わりで僕も『聖域』にお邪魔すると思いますので、その時は是非ご一緒させてくださいねo(*⌒―⌒*)o」
ヘルメットさん「応!(^∇^) 楽しみにしてるぜ♪(ノ゜∀゜)ノ」
アリサ「その時はまたご馳走作らなきゃね♪。:+((*´艸`))+:。」
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【階層主】~でっかいカマキリ~《ブラウニーview》
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注目が集まるディーネさんはこの迷路の東の端っこから北上して、突き当たりまで来た後、西に向かいだした。外縁というのかな? 外周かなぁ? とにかくアーヴィルさん達のいるゴールは中央北なので、もうすぐ合流できそう!
「ゴードさんにエリックさんもゴールに近付いています」
「ビリーさんは間に合わないかなぁ~ちょっと遠いですね」
エミルさんとノッカーが他のみんなの位置を見てそう言う。なんにせよもうすぐこの六階層のボスの間の扉が開くんだ!
「面白いパーティーだなぁ~♪ 無事にクリアできたら、初回特典ってことで何かおまけしてあげたいわ……エミルくん、彼等が喜びそうな報酬って何かな?」
「ファビルさんならアリス様に踏んでもらえれば良いんでしょうけど……そうですね。ゴードさんはアリサ様に罵ってもらいたいそうですよ?」
うわぁ~何ですかそれ? ゴードさんも変態さんなんですね……エミルさんからそんな話を聞いてアリサ様もげんなりしたお顔をされてます……私もちょっと引いちゃうなぁ。
「そんなの二人も抱えてまとめてるアーヴィルくんは凄いね……おっと、合流したね。どうするのかな? ビリーくんがまだだけどボスに挑むのかな?」
柳眉を下げて苦笑いするエミルさんの映る映像通信ライブモニターから、『七つの光』のみんなを映す『監視カメラ』の方に目を向ければ、ディーネさん、エリックさん、ゴードさんもゴール地点に到着した様子が見れました。
「みんな! よかった無事に着いてたのね?」
「ふぅ~なんとか合流できたようですな!」
「アーヴィル、シンシア、ファビル~お前らよく無事だったな!」
合流できて『七つの光』のみなさんは喜びあっています。うんうん、パーティーが分断されてしまってみんな不安だったでしょうから、その分嬉しいんだろうね!
「後はビリーだけか……少し待ってみるか……」
「お、これって途中で手に入れた宝玉じゃんよ? この台座に嵌めればいいんだな?」
「もう三つ嵌まってるじゃないの、じゃあ私もはい!」
ガコガコッ! ゴォン! ギィィィーッ……
「え? ちょっとあんた達!?」
あらら? ビリーさんの到着を待とうとしてたアーヴィルさんがそれを言うが早いか、ゴードさんとディーネさんが台座に置かれた宝玉を見て、自分達も取り出し納めちゃいましたよ?
五つの宝玉が台座に納められたことでクリア条件を満たしたんでしょう。奥の大扉が大きな音を立てて、ゆっくり開きましたね。シンシアさんがその音にびっくりして声を挙げています。
「おいおい! ビリー来てないのに開いちゃったぞぉ~!?」
「やっべ! 俺っちやっちまった!?」「ご、ごめーん! 怖かったからつい先走って……」
「キラーマンティスですな! 皆構えられませい!」
ファビルさんも驚いて開いた大扉を見ればそこには大きな蟷螂の魔物が待ち受けていました! ゴードさんとディーネさんは慌てて謝罪してますけど、今はそれどころじゃなさそうですよ! エリックさんはすかさず剣を抜き構えを取って、みんなに呼び掛けます!
「キラーマンティス……Sランク指定の大物か! みんな慌てるな! 攻撃が通じなかった仮面より気が楽だろう?」
「そうね、ちょーっと鬱憤溜まってたし、派手に発散させてもらうわ!」
「『盾役』が不在だぜ~? 無茶しちゃダメだぞみんなぁ~?」
応よ!!
おお、凄いです! みんな切り替えが早いですね。素早くそれぞれの立ち位置を決めて戦闘体制を構築しました。キラーマンティスの正面に立つのはアーヴィルさんとエリックさんの二人。
強化魔法を詠唱するシンシアさんを護るようにゴードさんが大きなハンマーを構え、彼女の前に立って。ディーネさんとファビルさんは弓を、ナイフを構え、動きながら隙を伺っています!
「この切り替えの早さは『白銀』達にも負けてないかもしれないね?」
「おう、中々に大したもんだぜ! このカマキリは『聖域』だと弱ぇ方だってきいたが、こいつらにとっちゃどうだろうな?」
その素早い対応を褒めるアリサ様とヘルメットさん。私達妖精にとってこのカマキリを含めて『聖域』の魔物は全部おっかないけど、まだ弱い方なんだって! そう言えばアリス様がこの前パンチしてやっつけてたっけ。
「疾く駆けよ! 風の守護! その身に宿りて疾風となれ! 『風の纏い』!」
ブワアーッ!!
シンシアさんの魔法がアーヴィルさんとエリックさんに掛けられ、二人の身体に見えない風が巻き起こる! あの魔法はなんだろう?
「対象の攻撃速度や、回避率、身のこなし等と言った全体の速度を上昇させる風属性の強化魔法です! 強敵と戦う際のセオリーにもなっていますよ」
へぇ~そうなんだ? エミルさんの説明で今の魔法がどういう効果なのかがわかったよ。アーヴィルさんとエリックさんはその魔法の効果もあってか、猛然とカマキリに剣を振るい始めた!
「おおおぉっ! エリック手を休めるなよ!?」
「委細承知ですぞ! アーヴィルも攻撃は総て避けませいっ!」
「……ッ!!」
ギィンギィンガキィンガキィンッッ!!!
凄い甲高くてけたたましい二本の剣と二本の鎌が弾け合う音がモニターから聞こえてくる! アーヴィルさんとエリックさんの攻撃をカマキリは両の鎌で防いだり、時に攻撃したりしてるんだ!
「そのお目目方っぽ頂きだよぉ~♪ そうりゃ!」
ズザザザーッ!! ヒュオンッ!
ファビルさんが部屋の壁を駆け上がるって言うとんでもない身のこなしで、大きなカマキリの目を上からナイフで斬りかかったんだけど、カマキリは素早く動いてかわした!
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【頑張れ!】~戦う『七つの光』~《アリサview》
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「おぉーっ!? 惜しいっ! あのカマキリよくファビルの攻撃に気付きやがったな!?」
「蟷螂は複眼だからね。気付いたんじゃなくて、最初から見えてるんだよ」
ファビルの奇襲とも取れる攻撃をかわしたキラーマンティスの動きにヘルメットさんが驚いているけど、なんてことはない。蟷螂はその複眼でほぼ全方位を視界とするため死角が存在しないのだ。
「かわされたかわされた~頼むよディーネ♪」
「了解! ゴードの力作でも食らっておきなさい! 『炸裂矢』!」
ヒュオッ! バァンッバァンッ!!
ディーネちゃんが放つ矢はカマキリに直接当たるのではなく、あえて外れるように射たれたものだ。カマキリも「当たらない」とわかっているため、回避行動を取らず、剣士二人の相手を続けている。しかし、それが仇となった。ディーネちゃんが放った矢は『炸裂矢』と言って、魔力を込めて放つ矢が目標付近で炸裂し、仰け反らせる程の衝撃を発するゴードの力作なんだそうだ。
「……ッッ!?」
「よっしゃもらったーっ! 俺っち大活躍だぜ! オラァッ! 足一本持ってくぜ!」
ドゴォォーンッ!!
「この隙取った!」「某も一本頂戴しますぞ!」
ザザシューッ!!
一気に形勢が傾いた。声にならない声を発し仰け反ったカマキリの隙をついて、ゴードがそのハンマーでカマキリの後ろ足の膝を破壊! アーヴィルくんの斬撃がお腹に、エリックの剣が反対側の足を貫く!
「チャンス! 一発でっかいのお見舞いするわ!」
グラッと態勢を崩したカマキリを見て勝機と思ったのだろう、シンシアちゃんが足元に魔方陣を構築して強力な魔法を詠唱し始める。しかし……!
「駄目だシンシア!」
「えっ!?」
ビュォンッ!!
アーヴィルくんの怒鳴る声にハッとなるシンシアちゃん。態勢を崩しながらもカマキリはその巨大な鎌をシンシアちゃんの頭上に振り下ろしていたのだ!
「「危なぁぁーいっ!!」」「シンシアさん!!」
「うおおぉぉ!?」
ノッカーくんとブラウニーちゃんが、エミルくん、ヘルメットさんが思わず『監視カメラ』に向かい叫ぶ! シンシアちゃんは詠唱を始めようとしており、無防備だ。このままカマキリの鎌が振り下ろされればっ!!
「させるかぁぁーっ!!」
ガギィィーンッ!! ズゥゥンッ!!
「うぐぉぉっ!? なんちゅう重い一撃だ! 受け止めるのも精一杯だぜ!?」
「「ビリーっ!!」」
間一髪! あわや絶体絶命だったシンシアちゃんの前に、遅れてやって来た『鬼人』のビリーくんがその大盾でカマキリの鎌をガッチリとガードした。
「遅いよぉビリー! なにやってたのさぁ!?」
「あ、ありがとうビリーって! 危ない!」
ファビルが遅いと文句を言いつつ、その表情を綻ばせ、シンシアちゃんがお礼を言う。
しかし、喜ぶ『七つの光』達を次の瞬間、またも恐怖が襲った。
「ぐああぁぁーっ!?」
ガシッ!! ザシュッ!!
「「ビリィーっ!!」」
捕まった!! カマキリのその代名詞とも言われる鎌は何も敵を切り刻むだけの武器ではない。何より恐ろしいのは「挟まれて」しまうことだ。
受け止められた鎌を素早く横凪ぎし、ビリーくんの巨体を意図も容易く挟み込む! その内側の鋭い刃がビリーくんの鎧を貫き刺さり、赤い鮮血が鎌を濡らした!
「何てこと! 助けなきゃ!」「待ってろビリー!」
「こんのぉーっ! ビリーを離しやがれ!」「暫し辛抱されませいビリー!」
ディーネちゃんが、アーヴィルくんが、ゴードが、エリックがビリーくんを助けるべくカマキリに猛攻を仕掛け、シンシアちゃんは防御アップの強化魔法をビリーくんにかける!
「ぐふっ! ははっ俺を喰いたいかカマキリ野郎! 舐めんじゃねぇぞ? オラアァァッ!!」
ズシャァァーッ!!
おぉっ! なんちゅう強引さ! 肉を斬らせて骨を断つとはよく言ったものだ。カマキリの鎌に胴を挟まれ、横向きに持ち上げられて今正に捕食しようと顔を近付けるカマキリに、右手の槍を渾身の力で突き刺すビリーくん。
「──ッッ!?」
その槍はカマキリの首を貫通し、決着を分ける決め手となった。
強烈なビリーくんの一撃にカマキリは堪らず彼を振り落とし、床に倒れこむ。そこにアーヴィルくんとエリックがとどめの一撃!
バタリ……ビクビク……と、カマキリは倒れた後、暫し痙攣を繰り返すがやがてそれも止まり、絶命した。
「ビリー! しっかりしなさい! あんたあたしを一方的に助けて死ぬなんて許さないわよ!?」
「痛ぇって! お前のポカポカなんていらんからポーションくれよ!」
決着ついて床に倒れるビリーくんをシンシアちゃんがポカポカと叩いて泣いている。いやいや、シンシアちゃんや、ビリーくんは生きてるから? 彼が言ってるように治療してあげなさいよ?
「『盾役』の辛いところですな! ほら、ビリー。エミル殿より頂いていたアリサ様印のポーションですぞ!」
お、エリックが取り出したあれは、いくつかエミルくんに渡しておいた私のお手製ポーションじゃないの? お役に立てて嬉しいね! ビリーくんはそのポーションを「有難い!」って言ってゴクゴクと飲み干す。
「くぅーっ! うまぁい! もう一本くれ!」
「ビリー? 大丈夫なの!? 大丈夫なのよね!?」
仰向けに倒れたまま、ポーションを飲んではたまら~ん! って喜ぶビリーくんをシンシアちゃんが心配そうに何度も問い掛ける。ポーションの効果でみるみるうちに傷口が塞がり、出血も止まったようだけど、念のためもう一本飲むようだ……単に味が気に入ったからじゃないよね?
「いやぁ~ハラハラしたぜぇ……でもこいつら中々やるじゃねぇか?」
「一体とはいえ、Sランク指定の魔物を討伐しましたからね。なんにせよ全員無事でよかった」
ヘルメットさんがはぁ~っと大きくため息をついて『七つの光』達の健闘を称えているのを横目に、エミルくんはホッと安堵のため息。うん。結構危なっかしい場面はあったけど、よく頑張ったよね?
「アリサ様。何か彼等にご褒美とかあげないの?」
「ボクも何かあげたい気分です!」
おやおや、ブラウニーちゃんとノッカーくんが頑張った彼等に何かご褒美をあげたいようだ。そうだねぇ~初めて私がいじったダンジョンに挑んでくれたんだし、何かしらしてあげようかな。
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【討伐報酬と】~アリサ様~《アーヴィルview》
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ペカーッ!!
「アーヴィル見て下さい! 台座が光ってますよ!?」
「本当だわ! 何かしら?」
ディーネとシンシアの声に俺達は台座に目を向ける。何だ一体? まさかまた魔物が現れるんじゃないだろうな?
「おぉ、宝箱ですぞ! キラーマンティスを倒した褒美ですかな?」
「逸るなよ~? 罠かもしれないんだからな……どれどれ?」
なんと台座に現れたのは一つの宝箱だ。エリックがボス討伐報酬かと喜ぶが、ファビルが冷静にトラップの可能性をほのめかし、チェックにはいった。
「ここまで来てこの宝箱が罠だったら、女神様達は相当意地悪いぜ……」
「それは流石にねぇだろ。ファビルどうよ?」
ポーションのおかげですっかり回復したビリーが笑いながら言うのをゴードが苦笑いで返す。トラップのチェックはどうかとファビルに問うと、ファビルがオーケーサインを出した。
「討伐報酬のようだな。誰が開ける?」
一つだけの宝箱だ。まぁ、誰が開けてもいいんだろうが一応みんなに聞いてみれば、「アーヴィルでいい」と言うので早速開けてみる。
「おお……? 何だこれ……バッグにしては小さい、よな?」
「可愛いじゃない♪ ちょっとした小物入れにピッタリじゃないの?」
開けた宝箱を俺達は揃って覗き見る。みんな顔をくっ付け過ぎだぞ? 暑い……
宝箱の中には一つの小さな小物入れがポツンと置かれていた。それを見たシンシアが可愛いとか言うけど……なんか、苦労したわりには……
「ショボくねぇ? こんだけか?」
「そーお? そのポーチは結構当たりなんだけどね~?」
えっ!?
今ビリーの声に応えたのって!?
バッと俺達は全員宝箱から後ろを振り返りその声の主を見た!
「はーい♪ お疲れ様『七つの光』のみんな~挑戦してくれてありがとね!」
アリサ様!!
なんと! いつの間にか俺達の背後にアリサ様本人が現れていた! 全然気配を感じなかった、一体いつの間に!? いや、そもそもどうやって!?
「こうしてお話するのって初めてだよね? 色々話そうか♪」
「「は、はい!!」」
──それから俺達はアリサ様から色々な話を聞かされた。どの話も俺達の常識を遥かに超えていて、終始絶句しっぱなしだったのだが……
「むぅ~でもでもこの六階層の仮面達はひどいですよアリサ様! おっかないし、攻撃通じないし……」
「黙れ♪ このポンコツエルフめが。チミは冒険者じゃないのかね? 初見のダンジョンに初見の魔物がいたりすることもあるでしょーに?」
「あうぅ~!」
「ディディディ、ディーネ!! おまお前!? 何俺っちを差し置いてアリサ様に罵られてんだよぉぉ!? アリサ様! 俺っち! 俺っちを罵ってぇぇーっ!」
ディーネがこの六階層の仮面を被った魔物について、恐れ多くも抗議すれば、バッサリ正論で返されぐぅの音も出せない。そうなんだよな、Aランクになるまでに俺達は色々なダンジョンに挑み、初見の魔物にも出くわしたりもしてきた。だけど、攻撃が一切通じない相手は今までいなかった。それを用意した本人に文句を言いたくなってしまったんだろう。
そしてゴード……お前、ホントやめろよ? 興奮しすぎて目を血走らせたその顔を見てアリサ様も困惑してるじゃないか!
「ハイハイ、あんたものっけにやられちゃったみたいだけど、よく頑張ったわね? これからも努力重ねていこうね?」
「あざぁぁーっす!! でもちがぁぁーう! もっと! もっとこう、貶して! ゴミを見るようにぃぃーっ!」
うっざ! ちょっとビリーコイツあっちに連れて行こうぜ?
「ふ、ふへへ……あ、アリサ様ぁ~今日はアリス様はご一緒ではぁ~?」
「あー、ごめんね~今日は私だけなんだ。アリスに踏まれてひっぱたかれたいんだよね? ちゃんと話しておくからね、安心してね?」
ふひゃひゃ~♪ やったよぉぉーっ! とか言って跳び跳ねて喜びを表すもう一人の変態ファビル……あぁぁ、もうコイツ等は……自重するって言葉を覚えてくれ!
「ふふふ、恐れ入りますな。アリサ様はこの二人に対して理解がおありのご様子。懐が深いのですな!」
「本当それよねエリック。普通なら気持ち悪いって言って離れていきますよ?」
「う~ん、そっかなぁ~? 個性的だなっては思うけどね。嫌だって事はないよ? 君達もそう思うからこそ一緒にいるんじゃないの?」
アリサ様のその言葉に俺達は顔を見合わせる。
いや、本当に凄い方だ……懐が深い。エリックが言った通りだな。確かに変態でもファビルとゴードは俺達にとって大事な仲間だからこそ共にいる。
「──それでアリサ様。先程の小さいバッグはなんなのでしょう?」
「ああ、『魔法の鞄』だよ♪ 女の子に似合うんじゃないかな?」
なな、なんだってぇーっ!?
そ、それは凄い! こうしてアリサ様と談笑する機会に恵まれた事、それだけで俺達にとって十分な報酬かもな。なんて思ったけど、ビリーが何気なく聞いたあの宝箱から出てきた小さな小物入れは『魔法の鞄』だと言うじゃないか!
「私のミーにゃんポーチほどじゃないけど、それなりに物入るよ? ホレ、そこのカマキリまるっと入れてみそ?」
「え、あ? じゃあ、私がやってみます」
アリサ様と目が合ったディーネが宝箱から小さい小物入れを持って、先程のキラーマンティスに向けてその小物入れの口を開くと、まるで吸い込まれるようにその巨体が小物入れに入ってしまった!
「すげぇ……これは便利だ! いちいち解体せずに済むじゃないか!」
「まったくだ。気付かずにいたら、二束三文で売り払うところだったな……危ない危ない」
「あはは♪ 誰か一人でも『鑑定』使えるといいんじゃないかな?」
……それから、俺達はこの小物入れを誰が持つか話し合い、弓士のディーネに持ってもらうことにしたり、アリサ様と一緒に五階層に戻って食事をご馳走してもらったり、七階層以降はまだ早いと封印をする事になったり。と、まぁ色々と盛りだくさんなダンジョンアタックになったのだった。
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【お風呂にお誘い】~恋バナです♪~《ディーネview》
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「こ、こんなに泡だらけになるんですね! うわ、凄い汚れた泡になりました!」
「ええぇ~? この汚れって全部あたし達から出てるの!? 凄いショックなんですけど~!」
突然のアリサ様の来訪にビックリした私達。色々とお話を伺ってビックリした私達。
そして、今。『セリア洞窟』の五階層のお風呂場で、ボディソープなる石鹸で自分の体を洗って汚れた泡にビックリする私とシンシア。
「この石鹸も広めていくからさ。みんな清潔に気をつかうようになっていけば、病気も減っていくんだよ?」
私達のちょっと強引でわがままなお願いに快く応えて、一緒にお風呂に入ってくれたアリサ様がシンシアの髪にシャンプーという、ボディソープとはまた違う石鹸で優しく洗いながら教えてくれたの。
「ほわあぁ~♪ アリサ様めっちゃ気持ちいいです!」
「ふふっ痒いところないシンシアちゃん? あ、目に入ると滲みて痛いから気を付けるんだよ?」
はーい大丈夫で~す♪ と嬉しそうな声を出すシンシアだわ。むぅ、アリサ様から直々に洗い方を指導してもらえるなんて羨ましい!
六階層で階層主であるキラーマンティスをやっつけた後、わざわざ足を運んで私達を労って下さったアリサ様に、私達は色々とお話を伺って、アリサ様がお帰りになる前にシンシアと二人でこのお風呂にお誘いしたのよね。
アリサ様はちょっとだけ目をまるくされ驚いた後、「折角だし、石鹸各種を試させてもらおうかな」と承諾してくれたわ! 嬉しい! その時は「石鹸ってなんだろう?」って思ったけどね……
「ねぇねぇ~二人はパーティーの中の誰かとお付き合いとかしてるの~?」
「うえぇっ!?」「お、お付き合い! ですか!?」
にゅふふふーっ! ってとても楽しそうに笑いながら、私達に問いかけてくるアリサ様。でもその話題が、よりによってパーティーメンバーとの恋愛話かぁ~?
「うんうん♪ ほらぁ~さっきシンシアちゃんがファビルにアーヴィルくんとの事でからかわれたじゃない?」
「あー! あの時ですね!? もーっ! アーヴィルったら酷くないです!?」
えっ? えっ? ファビルに、シンシアがアーヴィルとの仲をからかわれたって、なんの話? ……ふむふむ、えぇーっ!? アーヴィルが私とイチャイチャしたがってたですってーっ!?
「わわわ……どど、どうしましょどうしましょうアリサ様!?」
「うひょひょ♪ ディーネちゃんてば可愛えぇのぅ~♥️ ほら、シンシアちゃんもむくれてないで、アリサさんにチミ達の関係を教えてよ?」
思わぬ事態にあわあわとあわてふためく私と、ぷくーって頬を膨らませてプンプンしてるシンシアにアリサ様が私達のパーティーメンバーの関係を尋ねてくるの。と、取り敢えず、湯船につかって落ち着きたいわぁーっ!
「──へぇ~アーヴィルくんとシンシアちゃんは幼馴染みなんだ? 『黒狼』のブレイドくんとミストちゃんみたいな感じ?」
「あ~あの子達可愛いですよね♪ って、あたしとアーヴィルは確かに幼馴染みですけど、付き合ってるわけじゃないんですよね……なんて言えばいいかな」
ちゃぽーんと私とシンシア、アリサ様の三人で温かい湯船につかり、ほぅ……と、ため息をついて、シンシアがアリサ様にお話をしたわ。
私達のパーティーは、アーヴィルとシンシアの二人が立ち上げたのがきっかけでね。生まれも育ちも『セリアベール』の二人は、幼い頃から先輩冒険者達の背を見て育った事もあり、割りとすんなり冒険者になったんですって。
「どちらかと言えば兄妹に見えるよね」
「そそ、それそれ。側にいるのが当たり前みたいな関係になってるんです。だから別にあたしはアーヴィルに特別な感情を抱いたりはしてないんですけど……」
「ほほーぅ♪ なるほどね、だからこそディーネちゃんとイチャイチャしたいって言うアーヴィルくんの言葉に戸惑っちゃうのか~」
昔からずっと一緒にいたから、その関係が崩れそうで怖いのかしら? そんなの杞憂だよシンシア。
「私達はパーティーだもの、シンシア。例え私とアーヴィルが……その、そう言う関係となっても一緒にいられるよ」
「あ、ありがとディーネ……って、あんたはアーヴィルをどう思ってるの?」
はうっ! やっぱりというか、当然の流れのようにその質問がシンシアから飛んできちゃった。うぅ~私がアーヴィルをどう思ってるか……
「わ、私はその、嫌いでは……ないのよね。なにかと気にかけてくれるし、でも種族違うし……でもでも、優しいし……あうぅ~」
は、恥ずかしい! 言ってて顔が熱くなるのがわかるぅ。多分私はアーヴィルの事をそれなりに好いているんだろう。まだはっきりとはしないけど、少なからず好意的に思ってる。
「はぁ~もう、はっきりしないわねぇ? アーヴィルの奴は昔エルフのお姉さんに助けられて優しくされてから、「俺大きくなったら絶対エルフのお姉さんと結婚する!」とか言ってるのよ?」
「ぬはは♪ 結構単純な理由だった!」
私の曖昧な答えにあきれるシンシアが、アーヴィルがエルフの女性に憧れというか好意を抱く理由を教えてくれた。そんな過去があったのね。アリサ様が笑うように単純な理由だわ!
「ふふっそれなら『聖域』にエルフのお姉さんいっぱいいるけど、むふふ♪ アーヴィルくんが来たらどう反応するんだろうねぇ?」
「ええっ!? そ、それは……き、気になります……」
「あはは♪ まぁはしゃぐでしょうね! でも、それでディーネを蔑ろにするような奴じゃないって!」
うううーっ! なんなのなんなのぉーっ!? このモヤァっとした、言い様のない不安感は!? なんだか悶々としちゃうんだけど!
「……こりゃ決まりかな? って、アリサ様だってアイギスさんと、その恋人同士って……」
「あーうん。実はそれ、レイリーアが私を守るためにって、ついたウソなんだ~」
口まで湯船に沈めてブクブクーってする私を見ていたシンシアが、何かわかったのかそんな事を言った後、アリサ様に『白銀』のアイギスさんとの関係について聞き始めたわ。
「えっ!? あ~なるほど……うんうん、はい、納得です。レイリーアさんナイス判断です」
「……私も納得しました」
アリサ様の答えに思わずびっくりした私達だけど……湯船の縁に腰掛け、少し苦笑いのアリサ様のお姿を見て、私もシンシアも納得しちゃった。同じ女性の私達から見て、アリサ様はそれはそれは美しいのなんの。こんなに美しい女性がフリーだと知れば、冒険者の男性陣は放っておかないでしょうしね。
「でも、私がアイギスを想ってるのは……本当なんだ……」
ドキッ!
わわっ! アリサ様がはにかんでとても優しそうな、嬉しそうな微笑みを浮かべたわ。それを目にした瞬間、私の鼓動が速まる。
「私は、アイギスが好き。……大好き。彼に恋してる時間はとても充実してるの。
だから二人も素敵な恋ができるといいね♪」
か、可愛いぃぃーっ! アリサ様可愛いすぎるわ! 美人なのに可愛いなんて狡い!
少し照れくさそうに、でも、とても素敵な恋する乙女の微笑みに私達は胸が熱くなるのを感じ、のぼせるくらいになるまで楽しくおしゃべりを続けたわ。
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【あたしも……】~ちょっと意識してみる~《シンシアview》
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「はぁ~行っちゃったわねアリサ様……」
「そうね……とても素敵なお話も沢山聞けたわ、もっと一緒にいたかったなぁ~」
アリサ様はあたし達パーティーに夕食をご馳走して下さった後、『転移魔法』で『聖域』へとお帰りになったわ。
今あたし達は五階層に用意されたベッドで就寝するところ。アリサ様とお話をして、ご飯食べてたら、もう結構遅い時間になったので一泊することになったの。男共は対面の別室に、あたしとディーネはこの広々とした部屋を二人占め♪
「……アイギスさんて果報者よね? あのアリサ様にあんなに想われてるんだもん」
「そうよね……恋かぁ~アイギスさんを想ってるアリサ様、凄く幸せそうだったね?」
隣のベッドに横になってるディーネに、お風呂場での話を振ってみる。正直今日は色々あって、中々寝付けないのよね。それはディーネも同じみたいで、あたしの言葉に直ぐ反応したわ。
「あんたもあたしに変な遠慮とかしなくていいからね?」
「えっ!? シンシア……それは……」
もー! わかってるってば。さっきあんた『聖域』のエルフにアーヴィルが~って話したとき悶々としてたでしょう? それだけでもう十分わかっちゃったわよ? 変にあたしに気を遣ってその気持ちを無駄にすることはやめてね?
「アリサ様も「素敵な恋をしてね」って言ってたでしょう? あたしはあたしで素敵なお相手見付けるから、自分の気持ちに素直になりなさいよ!?」
「う、うん……わかったわ。この気持ちにちゃんと向き合ってみるね……ありがとう、シンシア。貴女に出会えて良かった」
ふふん♪ どういたしまして! 兄妹のように一緒に育ったアーヴィルがあたしから離れていくのは、まぁ、ちょっと寂しいけどさ。大事な仲間のディーネとくっつくなら安心だしね。
うーん、それにしても恋かぁ~あたしもちょっと真面目に考えてみようかな……手始めに、パーティーメンバーから……ファビルとゴードは変態だから当然パス。余程の事でもない限りあの二人を恋愛対象には見れないわ。
次いでエリックだけど、彼はメンバーの中でも最年長の妻子持ちだし論外ね。
残るはビリーだけど……『鬼人』だけあって、おっかない顔に粗野な口調なうえに、二メートル位の大男だから、人には怖がられたりすることあるけど……
「シンシアにはビリーが相性いいんじゃないかしらね?」
「うえぇっ!? びっくりした! あたしも今ビリーがいいかな? とか考えてたわ……」
まるで考えを見透かしたかのようなディーネの言葉に、あたしはびっくりして隣のベッドのディーネにバッと顔を向けた。ディーネはそんなあたしの反応を可笑しそうにクスクス笑いこう言うのだ。
「キラーマンティスとの戦いでのピンチに、駆け付けて護ってくれたじゃない? 彼は怖がられたりするけど、仲間思いの優しい『鬼人』よ♪」
「う、そうだけどさ。わかってるけどさ~サブリーダーで、『盾役』だから当然だ! とか考えてそうじゃない?」
そこなのよね。確かに今ディーネが言ったようにあのカマキリの攻撃から庇われた時、あの鎌に挟まれて大怪我負ったビリーを見たときはかなり、こう~何て言うの? キタんだけどさ~。それが役目だ~とか言われちゃったら、なんか……イヤじゃない?
「ふふっ今は私もシンシアも、意識するだけに留めておこうか?」
「う、そうね。それがいいかな? 今後どうなって行くかはわからないけど、そうしましょう!」
もーアリサ様のあんな可愛らしい微笑み見たら、あたしも恋したくなっちゃうわよぉ~! 他のパーティー内で恋人同士って、『白銀』のゼルワさんとサーサさんとか、『黒狼』のデュアードさんとシェリーさんとか結構いるし……あたしもちょっと意識してみようって思う。
そんな事を思ってると、隣から寝息が聞こえてくる。見ればディーネが寝入ってしまったみたい。ついさっきまでお話してたのにね? やっぱり身体は疲れてたのかな?
(ふふ♪ どことなく幸せそうな顔しちゃって!)
すぅすぅと静かに眠るディーネの寝顔はちょっと嬉しそう。ふわぁ~。あらら、あたしもつられたのかな? ほどよい眠気にあくびが出ちゃう。丁度いいのでこのまま寝ちゃいましょう。
さぁ、明日も頑張るぞ……おやすみなさい。
シンシア「にしてもさぁ~(´・ω・`; ) すごかったわねアリサ様(;∀; )」
ディーネ「うん……とんでもなかったわよね(*T^T)」
ファビル「なんだ~い二人して?( ´∀`) 何沈んでるのさぁ~♪ヽ(*´∀`*)ノ」
ビリー「まさかと思うがアリサ様に意地悪でもされたか?( ・`ω・´)」
シンシア「うぇっび、ビリー!?Σ(*゜Д゜*) ち、違うわよヾ(゜д゜;)」
アーヴィル「じゃあどうしてそんなに落ち込んでいるんだディーネ?(;`・ω・)」
ディーネ「ああぅアーヴィル……きゃ(*/∀\*) ち、違うの、とっても良くしてもらったわ( ; ゜Д゜)」
ゴード「あぁーん?( ´Д`) んじゃ何がとんでもねぇんだよ~俺っち達にもわかるよーに言ってみ?( -_・)」
エリック「はっはっは!( ^▽^) 大方アリサ様のスタイルに圧倒されたのでしょうな!ヾ(≧∀≦*)ノ〃」
シンシア「ううっ!Σ(゜ロ゜;) そうよ! その通りよ!。゜ヽ(゜`Д´゜)ノ゜。」
ディーネ「間近で見るアリサ様は……o(T◇T o)」
シンシアディーネ「「とんでもないわがままボディなのよぉぉっ!!((゜□゜;))」」
男衆「「「「なっ! なんだってぇぇーっ!!?Σ( ̄□ ̄;)」」」」
アーヴィル「って、そんなに落ち込むことなのか?(^_^;)」
ビリー「アリサ様がお美しいのは確かだとは思うがな……(´∀`;)」
ファビル「ついノリで叫んじゃったよ~♪(*´▽`) あ~おもろ~(’▽’*)♪」
ゴード「まぁ、アリサ様は女神様だからな!ヽ(〃´∀`〃)ノ」
エリック「比べても仕方ありませんぞお二方!(о^∇^о)」
シンシア「うぅ~みんなの優しさが痛いわ!Σ(>Д<) あたしはねぇ~(-_-;)」
ディーネ「むぅ~男性にはわからないでしょうね。・(つд`。)・。 私は!(`□´)」
シンシアディーネ「「あんなスタイルになりたいのー!!ヽ(゜□゜)ノ」」
男衆「「「「「……えっと、頑張れ?( ゜д゜)ポカーン」」」」」




