79話 魔女と宴と悩むユニ
────────────────────────────
【慌てる夫婦と】~はしゃぐ二人~《アリサview》
────────────────────────────
引き続き『聖域』の女神の神殿前の広場で行われている、『ランバード公爵家』歓迎パーティー。アイギス達『ランバード公爵家』の面々と、ルヴィアス達『ルヴィアス魔導帝国』の面々、ルヴィアスの養子って言う、ルォンって皇子と通信で会話したりした。
でもって、『黒狼』『白銀』『猫兎』達、冒険者の面々に『無限円環』内での訓練を提案して、来るべき黒フード連中の目論見を潰す作戦に備えるのだ。
彼等との会話を済ませた私は、妹達のところにやって来た。側にはユニを始め、カインやエスペル達モコプーに、ミーナとじゃれあうシャフィーちゃんとネーミャちゃん。それを微笑ましく見守るジャデーク、ネハグラの両夫婦に、ガウスとムラーヴェの姿もある。
私達が帝国に行っている間にバルガス達聖魔霊と、妹達が話して処遇が決まった面々がいるんだよね。
まずはガウスとムラーヴェの二人だけど、この二人は私達のお屋敷で働いてもらう事になった。ぶっちゃけて言っちゃうと『雑用係り』だ。妹達や、私とかユニのお手伝いを何かとやってもらったり、バルガス達と一緒に警備についてもらったりと、細々とした事をやってもらう。
そして、ネハグラとジャデークの家族には……まだまだ先の話なんだけど、この『聖域』にも冒険者ギルドを設立する事が決まったので、そのノウハウをティターニアのとこの妖精さん達に教育してもらう事になった。それだけでなく、私の負担を少しでも減らすため、二人の奥さんであるファネルリアとナターシャには料理を覚えてもらうのだ。
「アリサおねぇちゃ~ん♪」
「ユニ~♪ 頑張ってくれてありがとね~!」
ぎゅむぅ~♪ 満面笑顔のユニが私の姿を見ては、とててて~と駆け寄って来て、抱き着いてくるので私も嬉しくなって、優しく抱き返し、その頭をなでなでしてあげる。うん。やっぱりユニは可愛いねぇ~♪
「あうっ……んん~なんだろ今の?」
「ん? どうかしたのユニ?」
そんなユニがちょっと変な声をあげた。自分自身も不思議がっているので、どうしたのか聞いてみたんだけど……どうもユニ自身もよくわからないそうだ。なんだろう? ちょっと気になるので、心に留めて置こうと思う。
「アリサ様。俺達にもお役目を与えて下さって、本当に感謝します!」
「ありがとうございます! 実は押し掛けてきた我々ですので、追い返されることも覚悟してたのですよ」
「お~ムラーヴェ、ガウス~喜ぶのは早いぞ~? これからの働き次第では~うっしっし♪」
これまたおかたーい事言い出す二人にわざとらしく手をワキワキさせて詰め寄ると、二人は揃って顔をひきつらせて「頑張ります!」って大きな声で返事した。まぁ、初日だし緊張もするよね。
「あはは♪ ガウスさんもムラーヴェさんも変な顔~♪」
「頑張って下さいね~? そうそう、妖精さん達には会いました? 二人の思ってた通り凄い美人さんばっかりですよ♪」
そしてリールとフォーネが面白そうに笑いながら寄って来てはムラーヴェとガウスをからかい始めた。確かにこの二人は可愛い、或いは美人な女の子に会いたいが為にこの『聖域』にやって来たスケベ野郎共だ。
「リールさん、フォーネさん! 見ました見ました!」
「然り! まだ話はできていないが、皆美人でした! ただ、同じくらい男性も美男揃いでしたが……」
うはは! いやいや面白いなぁ~コイツ等。リールとフォーネのからかいなんてまったく気にせずに、あの妖精さんが綺麗だったとか、あの妖精の子は可愛い! とか、あの妖精は格好よすぎて羨ましい! だの、ぎゃいぎゃい騒いで盛り上がっている。
「ふふ、楽しそうにしてくれてるようでよかった。僕達の『聖域』に来て、おっかなびっくりされるんじゃないかって思ってましたから」
(ぷぷぅ~♪ お子ちゃま二人のご両親はいまだに縮こまってますけどねぇ~?)
リールとフォーネ、ガウスとムラーヴェの四人の楽しそうな姿を見ては安堵のため息をつくカイン。うん、確かに折角遊びに来てくれた友達を緊張させたままでは、申し訳ないもんね。
でも、ネハグラとジャデーク夫婦は彼等みたいにはいかないみたい。エスペルも困りましたねぇ~ってぷっぷー鳴いている。
「だだだ、だってだってアリサ様ぁ~!」「わわわ、私、私達まだなんにもしてないのに!」
「ああああんな、あんな立派な、いい……家までぇ~!」「恐れ多すぎて……あ、俺気絶していい?」
滅茶苦茶慌てふためいとるがな。ある意味この夫婦も面白いな♪ それだけ善良だってことなんだろう。まぁ、これで「我が世の春が来た!」とかのたまうような人達なら最初から助けたりしてないけどね。
「お父さんもお母さんもまーだおろおろしてるぅ~!」
「もー情けないよ! 助けてもらった分、私達もいっぱい頑張ってアリサ様達にお返しするって決めたでしょ!?」
あはは♪ そんなぱっぱとままんの様子を見ては、ぷんぷんって渇をいれてくるネーミャちゃんとシャフィーちゃん♪ うーん! 可愛い~♪ この可愛い子ちゃん達の笑顔のためならアリサさんはどこまでも頑張れるよ!
「あははは! もーお子ちゃまの方がしっかりしてんじゃーん♪」
「色々与えすぎちゃったかしら? でも、いつまでもそんな事じゃ困っちゃうわよ?」
「ん。あたし達は、冒険者について詳しくない……あなた達の助けが必要……」
「ええ、レウィリの言う通りです。『セリアベール』でのあの賑わいようから見ても、とても私達だけでは運営出来そうにありませんからね」
フォレアルーネにティリア、レウィリリーネにアルティレーネと、妹達もやって来て二組の夫婦にしっかりするように諭し始めた。冒険者ギルドの開設には、正直私達だけじゃ何していいのかすらわからない。ゼオンに頼るってのも当然なんだけど、ゼオンは『セリアルティ』の復興っていう大仕事がある上、『セリアベール』の代表者として、そこの冒険者ギルドのマスターとしての仕事もあって多忙だからね、そうそう気軽に頼ってばかりもいられまい。
(だからこそあなた達と冒険者の皆さんの協力が必要なんですよぉ~?)
ぷっぷー♪ ぷー! ぷぅ~? ぎゅむちょってエスペル達モコプーがジャデーク達の頭に乗っかりぷーぷー鳴いてつんつくつーんってクチバシで軽くつつき始めると、二組の夫婦はあわあわとふためきながらも「頑張ります」って答えましたとさ♪
────────────────────────────
【気にしてませんわ!】~ルォン?~《ティターニアview》
────────────────────────────
「あ、あのぉ~ティターニア様?」
「あら? パルモーさん、どうされましたの? 私の顔に何かついておりまして?」
んん~ん♪ 美味しいですわぁ~このオムライスぅ~! って、アリサ様がお作りになられたお料理を堪能している私の背中に、おずおずといった声がかかりましたの。何かしら? って思って振り向けば、パルモーさん達、聖魔霊の親子に鳥達ですわね?
「ほら、パルモーちゃんと言うんだろう? しっかりしないか!」
「うふふ、申し訳ありませんわティターニア様。息子が貴女様にお詫びしたいと言っておりますの」
フェリアさんとネヴュラさんがパルモーさんの両脇に立って、片や苦笑いを浮かべるパルモーさんを叱るように。片や私に向き合い彼が何をしたいのかを話してくれます。
はてさて? お詫びとはいったいぜんたいなんのことですの? ……バルガスさん、彼等の背後で腕組んで頷いていないで説明なさって下さいませんこと?
《パルモー殿は以前にぽんこつ女王を、ボンクラ女王と呼んだ事を謝罪したいのですよ? へっぽこ女王様♪》
「むきぃーっ! こんのスットコドッコイのヘタレ烏! いい加減無礼が過ぎましてよ!?」
「ちょっ! レイヴン止めてくれよ~ボクが謝りづらくなるだろぉ~?」
クワークワー♪ って耳障りな声で笑い出すこのクサレ烏! もー! ムカつきますわぁぁーっ! って、え? パルモーさん今なんて言いましたの? 私に謝りたいですって?
「えっと、ボク正直ティターニア様があんなに強いって知らなくてさ……どうして初めて会った時に手加減してたんだろう? って思ったのと、後は馬鹿にしてごめんなさいって謝りたくて」
あら? あらら、やっぱり元が強さを重んじる悪魔だけあって、力を見せた後は素直ですわね~? 彼等もアリサ様の映像通信を通して、あの私達とバンシーとジェネア軍との戦いを見ていたはずですものね!
「あらら、気にしておりませんわよ? だって貴方とお会いしたときはお遊びだったでしょう? やんちゃなお子に振り回されるのは確かに疲れましたけれど……」
「能ある鷹は爪隠すって言うもんね。おいっす~みんな楽しんでる~?」
そうそう、そうですわ! いざというときに振るう力ですのよ……って、あら~アリサ様が追加のお料理を運んでくださいましたわぁ~なんて嬉しいのでしょう!
ザザッと、すかさずひざまづく聖魔霊の皆さん。相変わらずの忠誠心ですわぁ、私の妖精国の皆にも見習ってほしいですわねぇ~もっと私、敬られても良いと思いますのよ!?
「あんたはあれで十分に敬られてるよ。リリカさんを助け出すって言ったあんたを、誰も茶化すような事しなかったし、凄い真剣だったもの。パルモーもそんなあんたの姿見て考え変わったんじゃない?」
「うん。それとルヴィアス様と一緒に戦う姿を見て……凄いって思ったんだ。だから、今まで馬鹿にしてごめんなさい! ティターニア様!」
まぁ~まぁまぁ! うふふ! もう~アリサ様もパルモーさんもなんですのなんですのぉ~♪ そんなに私を持ち上げても何も出ませんわよぉ~♪
「私が同朋達に馬鹿にされるのは日常茶飯事ですもの、先程も言いました通り気にしておりませんわぁ♪ そんなことよりほら! パルモーさんもアイギスさんのご家族と、私達の同朋の無事を祝って下さいませね!」
ほらほら! ネヴュラさんもフェリアさんもバルガスさんも! そんなどーでもいい事よりアリサ様のお料理を食べて、お祝いしましょう♪ あ、ついでにそこの烏も。
「ありがとうございますティターニア様。弟の非礼、私も謝罪します!」
「うふふ、感謝いたしますわティターニア様」「うむ。息子が失礼を……」
《ふふ、流石妖精女王様です、懐が深いですね。只のへっぽこではありませんなぁ~♪》
「まったく、レイヴンもあんまりいじらないの! パルモーは素直に謝れて偉いね♪ ご褒美にこのプリンアラモードをあげる」
私がそう言うとパルモーさん達聖魔霊のご家族は、揃い破顔されて笑顔を見せてくれますの! ヘタレ烏の戯言もこの際スルーいたしますわ! だって今宵はとてもめでたい宴の席ですもの♪ アリサ様がやんわり諌めて下さっておりますし、気にしませんわ~。
「うわぁ~凄い美味しそう! ありがとうアリサ様♪ いただきまーす!」
「ふふ、はい。召し上がれ~んでさ、ティターニア、あんた『ルォン』って名前の妖精さん知ってる?」
まぁ~本当に美味しそうですわね! プリンアラモードですの? 中央のプリンに様々な果物、白いクリームに白い冷気を放つ球体の塊……アイスクリームって言うんですの?
アリサ様がパルモーさんにご褒美と称してお渡しになられたお料理を見て、ああ、いけませんわ、私ったらよだれが……って、え? なんですのアリサ様? 『ルォン』?
「……はて? そのような名前の同朋がいたかしら? 一体どなたですの?」
「ありゃ? ティターニアも知らないのかぁ~
なんでも、ルヴィアスの養子で帝国の皇子様らしいんだけどさ、記憶なくしてるんだって。自分が妖精だって事は覚えてるそうなんだけど……」
まぁ~そうでしたの? だから私なら知っていると思われたのですね?
「そうですわね……記憶をなくされていらっしゃるのなら、そのお名前も後付けかもしれませんわ。直接お顔を拝見できればわかるかもしれませんわね? それと、妖精の記憶でしたらテュッティにお願いして呼び起こすことも可能ですわ~♪」
まさか。とは思いますけれど……可能性は否定できませんわ。幾百年か前の事ですけれど……うふふ、このお話はまだ内緒ですの! 私も確信が持てませんもの。
テュッティと言うのは記憶の妖精ですのよ? 格が違う女神様達には通じませんが、人の記憶を操作して何かとイタズラをする厄介ですけれど楽しい子ですの♪
「記憶操作ってマジに怖いわね。大丈夫なのその子?」
「うふふ、ご心配なく! 優しいいい子ちゃんですわぁ~きっとアリサ様も気に入りましてよ?」
うふふ♪ テュッティはユニさんのように見目愛らしい幼子ですの。今度ご紹介致しますわね!
そうお伝えすれば、ほら♪ アリサ様は嬉しそうにそのお顔を綻ばせましたわ♪
────────────────────────────
【緑茶】~妾は好きじゃ♪~《珠実view》
────────────────────────────
んぐんぐ。あむあむ。ガツガツ! バクバク!
「うんめぇ~♪ やっぱアリサの姐御が作るメシはどれもサイッコーだなぁオイ!」
「ホントよね! この茶碗蒸しっていう、プリンみたいな料理って一体どうやって作ってるのかしら? 凄く私好み!」
「我はこの煮物が……うぅむ! この深く味の染みた大根のなんと美味なことよ!」
「これカボチャ? こっちはさつまいも? どっちも甘くて美味しい~♪ 天ぷらって素敵!」
神殿前の広場に並べられたテーブルと椅子に座る妾達の前には、とてつもない量の数々の料理がどれもこれも山盛りで置かれておったんじゃ。……おったんじゃがなぁ~、既に過去形じゃあ。
アリサ様が運んで来て下さった料理は、その総てに状態保存の魔法がかけられておってな? 手をつけることでその魔法が解除される仕組み故、いつまでも出来立てでいただけるのじゃ♪ まこと器用よの! して、その味もまた格別じゃ! 大地、朱美、爽矢、水菜の『四神』達も無我夢中で食して、妾達『懐刀』もそれはそれは凄まじい勢いで食い始めて……気付けばあれほどあった料理も残りほんの僅かになってしもうた……
「あれぇー? もーこれしかないのかー? みんな食いすぎだぞ~? 残りはオイラが食ってやるからなー」
「待てい! そうはさせぬぞジュンよ! 余もまだまだ食い足りぬわ!」
「美味い! 美味いんじゃが……トホホ、歳かのぅ~胃がもたれてきおったわい……茶が飲みとうなってきおった……」
《よく言うぜ~シドウ様よぉ~俺っち達の倍は軽く平らげといてさぁ~》
残り僅かな料理を巡ってジュンとリンの奴が騒いでおるわ、ほんにいやしい奴等じゃて。シドウの奴は椅子に背をもたれさせ、腹をさすっておるな? 勢いよくがっつくからじゃ、もそっとゆっくり味わって食うべきじゃぞ?
して、意外にも行儀よく食べておるのが鳳凰達鳥共じゃ、皿に盛られた料理をこぼす事なく一つ一つ丁寧に食うておるな。
《当然にございます珠実殿》
《うむ。アリサ殿に教えて頂いた食材への感謝。我等も心得ている》
《レイミーアとゼーロ兄貴の言う通りだぜ~》《食い散らかしたらもったいねぇ!》
《そうだそうだ! 折角のご主人の手料理だ!》《汁一滴残さず頂くぜぇ~♪》
ふはは! 善きかな善きかな♪ レイミーアもゼーロも、またグリフォン共も、皆。己の糧となってくれた食材への感謝。また、それをこれだけの美味に仕立てあげてもろうたアリサ様への感謝を食す姿で示す。実に良いではないか。
「うぅむ……大きな口に腹を持つ皆が羨ましく思うな……」
「まぁまぁ、そう言うでないユナイトよ♪ お主の料理はまた特別なのじゃろ?」
専用の小皿にユナイトが食べやすいようにと、大きさを切り揃えて添えられた料理はアリサ様の特別製じゃ。嬉しい心尽しよの。
「おわぁ!? ちょっと~もうこんなに食べたの!? あんた達どんだけ食いしん坊なのよ? こら朱美! そんなはしたない食べ方しないの! ジュンもリンも、もっとゆっくり食べなさい!」
「あうっ! だってだって大地と爽矢が食べるの速いんだもん!」
「アリサ様の料理が美味過ぎるのがいかんのだ! 余は何も悪くない!」
「だぞーっ!? アリサ様もっとちょーだいだぞーっ!」
その時驚いた声をあげてアリサ様が追加の料理を運んで来て下さった。うむむ、やはりアリサ様から見ても減りが速いようじゃ。注意された朱美とリンにジュンはまったく反省しておらんなぁ~しょうのない奴等じゃて……
「ええい! 開き直ってからに! ってじいちゃんはお腹いっぱい?」
「おぉ~魔女よ、どの料理もうまかったぞい! ふはは! 年甲斐もなく食い過ぎてしもうてな、今はスープより茶がほしいのぅ」
はいはい、お粗末様♪ そう言うてアリサ様はあのグリーンティーをシドウに差し出した。さてさて、シドウめどんな反応するじゃろうな?
「おお、済まんの。これはまた……ふんふん。ほぅ~良き香りじゃ。どれ、いただくぞい……ずずっ……ほーぅ。良いのぅ~♪ ほどよい苦みと渋みのなかにも甘さがあって……儂ゃ気に入ったぞい!」
「でしょ? 流石シドウね。緑茶の良さがわかるなんて。ふふ、ユニはしぶ~いにが~いって嫌がってたけどね♪」
うむうむ。どうやらシドウもグリーンティーが気に入ったようでなによりじゃな! これで茶飲み友達が増えたぞ! しかし他の者達はどうじゃろうなぁ? ちと気になるの。
「アリサ様や、他の者にもそのグリーンティーをすすめてみるのはどうじゃろう?」
「おぉ? なんだなんだ姐御、そりゃお茶か? 俺にもくれよ!」
「そうね、んじゃみんな試しに飲んでみる? 結構好み別れると思うけどさ」
妾がアリサ様に言えば、大地の奴が早速欲しがりおった。それをきっかけに、皆にもグリーンティーが行き渡る事となり……
「ぶっほぉ! ゲッホゲホっ! にげぇーっ! うわっ! 悪い姐御、俺はこれ無理だ!」
「ふむ……旨い! 我は気に入った! 好みだ!」
「私も美味しいって思うわ! 香りも良いし! アリサ煎れ方教えてよ!」
「二人とも本気で言ってるんですか? うぅ~私は無理ぃ~苦いよぉ~!」
どうやら『四神』では爽矢と朱美が気に入ったようじゃが、大地と水菜は嫌がっておるな。
「がおおぉぉーっ!? 苦い! 苦いんだぞーっ! オイラはヤダぞーっ!」
「ううむ……余も、遠慮したい。済まぬアリサ様」
そして『懐刀』では妾とシドウが肯定派でジュンとリンが否定派に別れたのじゃ。
「あっはっは! なんかもう~予想通りの別れ方で笑っちゃうわ♪ ゼーロ達も飲んでみる?」
《おお、頂けるなら試してみたいものだ!》
《苦く渋く甘い……はて? 一体どんなお味でしょうか? 楽しみです》
《俺っちは水でもいいんだけど、どうせだし試してみてぇや♪》
更に鳥共にもグリーンティーを試した結果、意外にも鳳凰が気に入り、ゼーロとレイミーアは嫌がりおった。ユナイトとグリフォン共にも続けて飲ませてみれば、ユナイトに数羽のグリフォンがお気に召したようじゃな♪
────────────────────────────
【痛むおっぱい】~なんだろう?~《ユニview》
────────────────────────────
「はぁぁ~なんて気持ちいいのかしらぁ~♪」
「奥様、どこかお痒いところ等は御座いませんか?」
大丈夫よ~って髪を洗ってくれてるリリカちゃんに微笑む、アイギスおにぃちゃんのおかぁさんだ♪
ユニ達は今、アイギスおにぃちゃんの家族のみんなを歓迎するパーティーをおひらきして、いつものお屋敷のお風呂に入ってるの。アイギスおにぃちゃんのおかぁさんとおとぅさん達のお屋敷にもちゃんとお風呂はあるんだけどね~? 折角なので一緒に入りましょうってティリア様が、おかぁさん達を誘ったんだよぉ~♪
「そうそう、指の腹で揉むように優しく。リリカさんやっぱり上手だね、覚えるの速いや」
「ふふ、ご主人様の身の回りのお世話も始めは私が担当しておりましたから」
ふふん♪ ユニはアイギスおにぃちゃんのおかぁさん……セレスさんの隣で、アリサおねぇちゃんに髪を洗ってもらってるんだぁ~♪ セレスさんもリリカさんも、髪を洗うためのシャンプーとかの事を知らなかったからね、「じゃあ一緒に入りましょう」ってなったんだよ~♪
「そう言えばティリア姉様、神殿の方のお風呂はまだ使えないのですか?」
「あ~それはアリスも気になってまっしたねぇ~」
「そりゃそうよ~? 神殿はまだ建設途中だもの。本来会議室だって使えないのよ?」
アルティレーネ様とアリスちゃんが身体を洗い流して、ティリア様に神殿のお風呂事情について尋ねてる。神殿に作られるお風呂はなんでも男湯と女湯にわけられた大浴場になるんだって!
「ん。工事中のお風呂は危ない」
「西と東にわけるんだっけ? どっちがどっちになるの?」
「まだ決めてないけど、あんた達は希望ある?」
レウィリリーネ様とフォレアルーネ様はもう湯船に浸かってほわぁ~♪ どっちを男湯にして、女湯にするかはまだ決めてないみたい。ユニはどっちでもいいかなぁ~?
「ある程度拡張できる余地を残しておいてくれると嬉しいかな? どうせならサウナも作りたいじゃない?」
「お~♪ いいわねそれ! んじゃアリサ姉さんのお望みのサウナ作るスペース空けて、後はこっちで進めておくわね?」
さうなってなぁに? ってアリサおねぇちゃんに聞けばあっつぅ~いお部屋でいっぱい汗をかいて、つめたぁい水風呂に浸かるんだって! えぇ~なにそれ~?
「……罰ゲーム? でも、ちょっと興味ある」
「なはは♪ 一回試してみるのもいいかもね!
にしてもさぁ~? セレスっちのとこの使用人のみんなも、ファネっちもナターちゃん達も遠慮しすぎじゃなーい?」
「そうですね……別に一緒に入っても気にしませんのに、「恐れ多い」だなんて……」
さうなの事を聞いたレウィリリーネ様とフォレアルーネ様はちょっと不思議そうにしてたけど、興味あるみたいで試してもいいかなって言ってるね。うーん、ユニも挑戦してみようかな?
それで、今このお風呂には女神様四人とアリサおねぇちゃんにユニ、アリスちゃんと、アイギスおにぃちゃんのおかぁさん、そのお世話してるリリカちゃんの九人。ユニもシャフィーちゃんとネーミャちゃんに一緒に入ろうって声をかけたんだけど、お母さんと入るからって断られちゃった。
「にはは~まぁ~しょうがねぇでっしゃろ~い! 彼等ってば一般人なんでっすから♪」
「ご容赦下さいませ女神様。庶民が突然王と湯浴みせよと言われても、困ってしまいますよ?」
「実は、わ、私も……本当にここに居て良いのか、戸惑っております……」
しょぼーんってするアルティレーネ様にリリカちゃんとセレスさんがおずおず~って感じで、困った顔を向けてくる。その辺ユニはよくわかんないや。
「ふふ、まぁ初日だしみんなも緊張してるんだよ? これから沢山お話して、一緒に過ごして、いーっぱい仲良くなっていこうねユニ♪」
「うん! ユニすごい楽しみ~♪」
えへへ♪ アリサおねぇちゃんが笑顔でそう言ってくれると、ユニもこれからの事とか色々想像しちゃって楽しくなってきちゃった! アイギスおにぃちゃん達もバルドお兄ちゃん達も、レジーナちゃん達も、シャフィーちゃんとネーミャちゃんとも一緒にいられるんだって思うと、もう~ワクワクしてきちゃう!
「ふふふ、私達も皆さんと仲良くなれるように頑張らなくてはいけないわね、リリカ?」
「うふふ、そうですね奥様。私も頑張っていたずらを……あ、いえいえ……なんでもありませんよ?」
「あらら~ふふふのふ♪ やっぱり妖精のリリカとは気が合いそうだわ!」
「うっひっひ♪ リリカっち~今度協力してイタズラ考えよーね?」
セレスさんも頑張って仲良くなろうって言ってリリカちゃんに話を振ったら、リリカちゃんてばニコニコ笑顔でそんなこと言い出すし~もう~ティリア様もフォレアルーネ様も、同士を見つけたーって、悪巧み考えてる時の顔してる!
「あはは、ほどほどにお願いね? じゃあユニ~今度は身体を洗っていこうね」
「うん♪ あぅっ痛い!」
「えっ!? ウソ! ご、ごめんユニ! そんなに強く触ってないはずだけど……痛いの?」
あうぅ~声が出ちゃった。アリサおねぇちゃんがおろおろとユニを心配そうにみてくるよぉ、ごめんねアリサおねぇちゃん、大丈夫だから。
「……ユニ、一体どんな症状なんですか? 遠慮をして言わずにいたらますます悪化してしまうかもしれませんよ?」
「そうですよ、ユニ様。私達も何かしらお力になれるかもしれません。隠さずにお話下さいませ」
うー……アルティレーネ様もセレスさんも優しくユニを気にかけてくれてる~嬉しいけど、嬉しいんだけど~ちょっと恥ずかしいなぁ~でも、心配かけたままはもっとヤダし……うん、話そう!
「あ、あのね……あのね? なんだか、その……おっぱいが痛いの……ジンジンしてて、触ると痛みが……」
「ほっほーう……なるほどなーるほど! もしかしたら~」
「ん。お任せ……ユニ。ちょっと触る。少し我慢の子、いい?」
「う、うん……んっ!」
思いきってみんなにちょっと恥ずかしいお悩みをお話したら、フォレアルーネ様が顎に手をあててうんうん頷いて、レウィリリーネ様がアリサおねぇちゃんと入れ替わりに、ユニの背後から声をかけて、ゆっくり丁寧な手付きでユニのおっぱいを触ってくる。とっても優しく触れられてるけど、やっぱりちょっと痛い。
「……ん。間違いない……成長してる」
「まぁ! おめでとうございますユニ様!」
「うふふ♪ そうでしたか、おめでとうユニ。女性としてしっかり成長している証拠ですよ?」
えっ!? そ、そうなんだ! わぁー! それならこのちょっとした痛みも嬉しいかな♪ レウィリリーネ様とアルティレーネ様の言葉にユニは嬉しくなっちゃった! リリカちゃんもありがと!
「そ、そうだったんだ……はぁぁ~ビックリして心臓止まるかと思っちゃった……おめでとうユニ!」
「おめでとうございますユニちゃん先輩♪ この調子でぐんぐん成長して、マスターのようなな~いすバデー目指しまっしょーい♪」
えへへ~ありがと~アリサおねぇちゃん、アリスちゃん! 心配させてごめんねぇ~?
「アリサ姉さんは最初から成長したその姿だし、アリスもそうだから気付けないのも無理ないわね。ユニはこれからなにかと期を経て、形が整って行く大事な時期に入ったのよ」
「えっと、つまりは成長痛ってことよね? 問題ないのね?」
ティリア様のお話を聞いて、アリサおねぇちゃんが何度も確認してくれてるよ。ユニのためにありがと! 大好き♪
「ええ。大丈夫よアリサ姉さん。女の子なら誰もが通る道だから」
「むふぅ~♪ でもでも、そうなると~」
「ん! 大事な物が必要になる! ユニのためにあたしがんばる」
ティリア様が大丈夫って言ってくれてユニもアリサおねぇちゃんもアリスちゃんもほっとしたよぅ~♪ でもでもフォレアルーネ様とレウィリリーネ様が、何か目をキラキラさせて張り切ってるんだけど……んん~大事な物ってなんだろ?
「ああ~そう言えば私も今のユニ様くらいの頃からでした!」
「私にとっては遠い昔でございます。当時はそんな専用の物がありませんでしたし……」
ええ~? セレスさんとリリカさんも心当たりがあるみたい! 一体なんなんだろう、ねぇ? アリスちゃん。アリサおねぇちゃん。
「アリスもなんのことやら、さっぱりんりんでっす!」
「もったいぶってないで教えてよ~みんな~?」
ユニも教えてほしいよ~って、アリスちゃんとアリサおねぇちゃんと一緒になって、みんなにお願いしてみたよ。そしたらなんと!
「「「「ブラジャー」よ♪」ですよ!」だよ~ん☆」
ユニはぶらじゃあデビューすることになったのでした~♪
アルティレーネ「ユニが成長!(*´∇`*)なんて喜ばしいのでしょうか♪(ノ≧▽≦)ノ」
レウィリリーネ「ん(’-’*)♪めでたい( ´ー`)」
フォレアルーネ「ブラ作り頑張るよ~♪゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜」
ティリア「ユニの成長は世界の成長とも言えるからね!ホントに喜ばしいわ(⌒‐⌒)」
アリス「おめでとんござんすでっすよぉ~♪(ノ^∇^)ノ」
アリサ「でも痛みがあるなら、あんまりぎゅう~ってできないね?(*´・ω・)」
ユニ「え~!?( 。゜Д゜。)それはヤダー(。・`з・)ノ」
リリカ「うふふ(^-^)大丈夫ですよユニ様、アリサ様(^∇^)」
アリス「あんまりおむねを刺激しないようにぎゅってすれば~(*^-^)いいんじゃないんでっしゃろでっすよ?( *´艸`)」
セレスティーナ「それがよろしいかと(*´艸`*)ユニ様もアリサ様に沢山愛情を頂ければとても健やかにお育ちになりましょうo(*⌒―⌒*)o」
ティリア「ユニは今まで大変な思いをしてたから、アリサ姉さんはいっぱい甘やかしてあげてね♪(´∀`*)」
アリサ「勿論だよ!( ≧∀≦)これでもかってくらい甘やかすもん!(*`ω´*)」
ユニ「わーいヽ(*>∇<)ノ」
アルティレーネ「むぅ(=`ェ´=)私達の事もお忘れなく!(ノ`Д´)ノ」
アリス「アリスの事もお忘れなくでっすよ!?ヽ( ゜д゜ )ノ」
フォレアルーネ「はいはいヾ(・ω・ヾ)アリスっちも、アルティ姉も落ち着いてね~?( ´∀`)」
レウィリリーネ「甘ったれな二人(´∀`)クスクス」
アリサ「ハイハイ(^_^;)忘れてないよ~♪(^-^)となれば、やっぱりお赤飯を( ・`ω・´)小豆を探さねば!ι(`ロ´)ノ」
リリカ「小豆、ですか(´・ω・`)?」
セレスティーナ「お赤飯とはどんなお料理なのでしょうか?( ゜ー゜)」
アリサ「みんなも絶対気に入ると思うよ!(°▽°)小豆があればお饅頭とか大福とかあんみつとか~もぅ、沢山お菓子作れるし!ヽ(*≧ω≦)ノ」
ティリア「素敵!( ☆∀☆)お赤飯はその小豆とライスを一緒に炊く、めでたい時に出されるご飯ね(o・ω・o)」
リリカ「まぁ!o(^o^)oそれは楽しみですね!(*´∇`)」
セレスティーナ「今からワクワクしてしまいます!( ^ω^ )」
フォレアルーネ「うちヨダレが出てきた( ̄¬ ̄)」




