71話 魔女と帝国の問題
アリサ「暫く振りのシリアスな展開!( ・`ω・´)キリッ」
シェラザード「知ってるわよ?(¬_¬)どうせ三話~四話くらいしか、そんな展開続かないんでしょう?┐(´д`)┌」
ティリア「この作品のシリアス展開はお寿司のガリだと思って下さい(´-ω-)」
ユニ「わいわいきゃっきゃする方が好き~ヽ(*>∇<)ノ」
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【リリカ】~公爵家の使用人~《聖女view》
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《ああああー……アイ……アイギス様ぁ……ああぁ……アァーッ!!!!》
「なっ……何よ……っ! これっ!?」
「馬鹿な! これは一体!?」
映像通信から送られるその映像に私は思わず声を荒げてしまう。一緒に見ていたルヴィアスも驚愕の表情だ。
ティリアの提案をのんでオプションから『スノウリリィ』で『ルヴィアス魔導帝国』をあちこち検索して回った結果……
「な、なんてことですの!? バンシーにスノウリリィが憑依しておりますわ!? ルヴィアスさん! これはどういうことですの!!? 私達の同朋がこんな目に合っているなんて……断固抗議させて頂きますわよっ!!」
見つかったのだ。『龍脈の源泉』でスノウリリィの亡霊を憑依させ狂い嘆くバンシーが!!
「あ、アイギスって……どういうこと!? ルヴィアス! 貴方アイギスに何をしたのよ!? 事と次第によっては問答無用でブッ飛ばすわよっ!?」
「アリサ姉さん! 落ち着いて!!」
ティターニアは大切な仲間のスノウリリィの変わり果てた姿に、私はそのスノウリリィが嘆き叫ぶ大切な人の名前に互いに怒りが込み上げて来て、ルヴィアスの胸ぐらを乱暴に掴みかかって怒鳴っていた。ティリアが私に抱き着いて落ち着くように言うけどっ!
「……なんてことだ……魔女さん、ティターニアさん……話すよ。しっかり誠意をもって! だから頼む! 聞いてくれ!!」
ザワザワっ!!
ティターニアと私の激昂ぶりに会議室が、映像通信越しにそれを見ていた外の面々がざわつき出す。
私達に向けて深々と頭を下げるルヴィアスの姿を見て少し冷静になった。そうだ、ここで怒ってルヴィアスを一方的に責めても問題は何も解決しない。しっかり話を聞いて、何が起きているのかを理解しなければ!
「ごめん、ちょっと取り乱したわ……何かこのスノウリリィについて心当たりがあるなら話してちょうだい……ティターニアも一緒に聞きましょう?」
「あ、アリサ様……はい、かしこまりましたわ……ルヴィアスさん。お願い致しますね?」
同じく激昂するティターニアの肩を優しく抱いて、彼女を宥める。大事な同朋の一大事だ、少し落ち着いたようだけど、ルヴィアスを見つめるその表情は厳しい。私も、まさかのアイギスの名前にきっと同じように険しい表情をしているだろう。
「この事は……彼等、アイギス君達に会ってから話そうと思っていたんだ……俺の贖罪も含めて……」
「陛下、僕が話そうか?」
静まり返った会議室に重々しく口を開くルヴィアス。その表情はとても辛そうだ、見かねたオルファが代わりに話すと言ってきたが……
「ありがとうオルファ、だがこれは俺が話さなきゃいけない事だ……
まず、彼女は……名をリリカ。十年程前に『ルヴィアス魔導帝国』の右腕とも呼ばれた『ランバード公爵家』に使えていた使用人の『スノウリリィ』だよ」
なっ!? 『ランバード公爵家』だって!? その名前は……
「アーグラスの姓……ルヴィアス、アーグラスとこの子は関係があるの?」
「アーグラスじゃなくて、アイギスの方だね……順を追って話そう……とても、長い話だけれど……」
レウィリリーネが静かにルヴィアスにその『ランバード』の姓について、この『スノウリリィ』とアーグラスとの関係の由を聞く。だが、ルヴィアスによれば関係があるのはアイギスの方だと言う……はてさて、どういうことなのか?
「始めに話した勇者と真っ先にぶつかってやられた振りをしていたってところからさ……」
ゆっくりと話し出すルヴィアスに、私達は揃って耳を傾ける。
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【約束】~かけがえのない友~《ルヴィアスview》
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「──俺はこの北の台地に国でも作るよ。魔神と他の魔王達は巨大な力で破壊の限りを尽くすだろう……あの子達三人はまだまだ未熟だし、君達が協力してくれたとしてもきっと多くの犠牲が出る」
口八丁でなんとか魔神を言いくるめ、ティリアの召喚した勇者達との接触を果たした俺は、うまいこと彼等を拠点である北の台地にある俺の城に招き入れる事に成功した。いや、まぁ~そこから勇者達を説得するのにも大分苦労したけど……
「じゃあお前はその受け皿となる国を興すって言うのか?」
「うぅむ……これだけ大規模な戦じゃ。儂等も神に選ばれたからとて、全てを救える筈もないからのぅ」
「三神国なんてアイツ等目の敵にしてるしね……助けるなら彼等を優先してあげてよ?」
「他国は女神達に頼るばかりですものね……まぁ、無理もありませんが」
信頼を得られてからは話はスムーズに進んだ。俺がこの北の台地に、この戦で多くの人が行き場を失うであろうと予測し、そんな彼等の受け皿となる国を興す事を話せば、彼等も頷いてくれる。
アルティレーネより授かった『神槍アルティリオン』を背負う『人間』のラインハルトが俺の言葉に感心したように頷き。
同じくアルティレーネから『神斧ヴァンデルホン』を授かった『ドワーフロード』のジドルは自分達が全てを救えるわけではないと理解していて……
フォレアルーネから『神弓フォレストスノウ』を授かった『ハイエルフ』のナーゼは協力を惜しまず、共に戦ってくれている三女神が祝福した三神国の民を優先して助けるようにと申し出る。
レウィリリーネから『神杖リーネリーネ』を授かった『人間』のサーニャは女神達に救いを求めるばかりの他国を恨めしく思う心情を吐露する。
そして……
「感謝するルヴィアス。俺達は俺達でこの魂を燃やし死力を尽くすつもりだ! 君が後方に控えてくれているならば俺達は戦いに専念できるというもの」
ティリアから直々に渡された剣。『神剣レリルティーネ』を携えた勇者アーグラスが、俺の提案に、それなら戦いに専念できると感謝してくれる。
彼等五人の出自については俺も知らないが……おそらくティリアが主神となる以前の話が関係しているのだろうと推測している。今度機会があれば訊いてみたいものだが……
「……なぁ、ルヴィアス。この戦いが終わったら俺達もここに帰ってきていいか?」
「アーグラス? そう言う未来を語ることは止めておけよ~なんか聞いた話だと死亡フラグって言うらしいからね」
今にして思えば、この時から既にアーグラスは自分が生きて戻れない事を察していたのかもしれない……自分を召喚したティリアに惚れてフラれて、それでも彼女が笑顔になってくれることを願って、この過酷な戦いに身を投じた実に漢気に溢れた熱い男だ。
寂しげな表情を見せ、自分の帰る場所を求める彼に対して、おちゃらけて答えてやると、彼等は少し笑ってくれた。
「それはいいな、死亡フラグってのは知らねぇが。この広い大陸だ。いくつか国興してそれぞれで治めるってのも面白いかもな」
「アーグラスも王様とかやってみる~?」
楽し気に笑うラインハルトと、ナーゼ。なかなか面白いこと言うね。もし、彼等が無事に帰ってきてくれたならそれぞれに国を任せてみるのも一興か? その為にはまずこの北の大陸に今ある国々の争いを平定してまとめあげないといけないね。まぁ、そこは俺がちょちょいとやっておこう。
「王は面倒臭そうだから遠慮したい。ルヴィアスを帝王にして、俺はその右腕とかでいいな」
「ほっほっほ! そうじゃそうじゃ! 王なんぞ面倒でかなわん! 儂もロードなんぞになるんじゃなかったと常々思うとる!」
「アタシも~ハイエルフだからってさ~やれ「気品を損なうような発言するな」だのなんだの、いちいち話するのにも気遣わなきゃいけなくてさ~やってらんないわよ~?」
おやおや、アーグラスもジドルも王位になんて興味ないか、まぁ~俺も正直興味なんてないけどね……でも、誰かがこの北の大陸を平定してやんないと争いばっか起きてちっとも落ち着けないからなぁ。ナーゼはハイエルフってだけでエルフ達から崇拝されてしまって肩が凝ってるんだろう。この砕けた口調こそが彼女の素のようだし。
「はは、それなら適当に公爵位でも用意しとこうか? ランバード公爵ってね!」
「アーグラスがぁ~公爵~? ぷっふ♪ 似合いませんねぇ~」
「ハハハ! こいつが公爵なんかになったらさぞや暑苦しい民達が集まりそうだな!」
「お前らなぁ~言いたい放題だな!? ルヴィアスの側近とかじゃ駄目なのか?」
十分側近だろう? と言うか俺と対等だぞ?
俺が提案する公爵位にラインハルトと、サーニャが可笑しそうに笑うと、アーグラスはそんな二人をムスッとした顔で睨み、俺に苦笑を返す。
「はははっ! いいじゃないかランバード公♪ 君の暑苦しさはこの寒い台地には丁度いいさ!」
「あのなぁ~? まったく……せめて剣の扱いが達者な家にしてくれよ?」
俺の軽口にあきれつつもアーグラスは笑って約束してくれた。
「……じゃあ、俺達はそろそろ行くぞ。ルヴィアス、民達の救済よろしくな!」
「うむ、おぬしが味方で心強い限りじゃ。次は共に酒でも酌み交わそうぞい!」
ラインハルトが行き場を失うであろう民達の救済を笑顔で俺に任せる。ああ、任された! 必ず救って見せるよ! 次に、ジドルが今度会うときは一緒に酒を飲み交わそうと約束してくれた。ふふ、それはとても楽しみだ! 待っているよジドル。
「ふふ、アンタも意中のあの子と上手くいくよう頑張ってね♪」
「あはは♪ かげながら応援してますねぇ~ルヴィアスさん!」
ナーゼとサーニャの二人は俺をからかうように、あの子と上手くいくように応援してくれる。まったく、彼等の信用を得るためとは言え俺が彼女を想っている事まで話したのは軽率だったかな? まぁ、応援してもらえるのはありがたいね。
「よし! では行くか、剣聖のところに! 情報感謝するぞルヴィアス! 互い想う相手のため全力を尽くそう!」
そう元気よく告げて彼等勇者達は俺の居城を後にしたのだった。
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【怒りの皇帝】~滅ぶ国~《聖女view》
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「──それから俺は約束通り北方大陸を三神国の武将達の助けを借りて平定した後、『ルヴィアス魔導帝国』を興して『ランバード公爵家』も用意した……いつか必ずアーグラスが生まれ変わって生まれてくるって信じてさ……」
「……そうして、待つこと幾星霜。本当に彼の転生体……アイギスが生まれたのね?」
遥か遠い、遠い昔話……私達はルヴィアスの語るアーグラス達との思い出をしっかりと心に刻むように、耳を傾けて聞いていた。
あのバカ勇者、何でそこで死亡フラグ立てるのよ? なんてことをぼんやりと思ったりしたけど……まんま『白銀』のみんなだわ……アイギスはもっと口調が丁寧だけど。
そんなルヴィアスの昔話にティリアが確認するように聞いた。広大な北方大陸を平定した後、帝国とそれを支えるまさに『右腕』とも呼べる公爵家。
「今から二十年程前さ……俺は歓喜したよ。「アルティレーネ有り難う!」ってね?」
「私はその時顕現出来ていませんでしたけれど……そうですか、『生誕』の祝福は届いていたのですね……」
聞けば、まさに『世界樹』が魔神の呪いを受け、『神界』との『門』が閉じて、この『ユーニサリア』に顕現していられなくなってしまい、今にも消失するその直前、事態を察した妹達はその司る力を全力全開で解き放ったと言う。創造神の自分達が消えた後も暫く世界が維持されるようにと。
「ん……以前ドガとゼルワがアイギスは家を勘当されているって言ってたけど……」
「あ~レウィリリーネ様。冒険者ってのは例え親しくしてる奴でも、あんま相手の過去……素性を探らねぇようにって言う暗黙のルールがあるんですわ」
「アイギっちも仲間に変な気を遣わせたくなかったんじゃないかな~?」
確かに、あの日……アイギス達が初めてお泊まりした日の夕飯の時、そんな話を聞いたね。そして冒険者達の間には、いくつかルールがあって、相手の過去を詮索しない事もその一つなのだと、ゼオンが説明する。仲間のドガとは一番古い付き合いだとアイギスは言っていたので、もしかしたら、フォレアルーネが今言ったように仲間に気を遣わせないように「こう訊かれたら、こう答えよう」って、二人で口裏を合わせている可能性もあるのかな?
「それで? アイギスさんと私達の同朋がどう関係してくるのです!? 早く仰って下さいまし!」
「あ、ああ……申し訳ないティターニア陛下。彼女、リリカはアイギスの世話係りを務めていた『スノウリリィ』なんだ」
うむむ、ティターニアがピリピリしてる……眉間に皺を寄せて、今まで見たことないくらいに真剣な表情だ。その内にあるのは怒りと焦り……大切な仲間がこんな目にあっていることに本気で憤ってる。
「落ち着いてティターニア。彼女を助けたいのなら焦っちゃ駄目……しっかりルヴィアスの話を聞いて対策を講じましょう。絶対に助け出すわよ!?」
「アリサ様、有り難うございます! 貴女様のお力をお借り出来るのであれば、心強いことこの上ありませんわ!」
私はそんなティターニアの手をとり、優しく両手で包みこんで焦らないようにと諭す。ティターニアの大切な仲間で、アイギスの世話係りだったと言う『スノウリリィ』。そんな彼女を……こんな悲しい嘆きを叫び続ける彼女を助けてあげたいのは私も同じだ。その為には、こうなってしまった原因をルヴィアス達から聞かなきゃ!
「十年くらい前に、俺の統治を気に入らないっていう属国、ジェネア王国がクーデターを起こしてね……そいつらが狙ったのが、よりにもよってこの『ランバード公爵家』だったんだ!!」
ギリィッ! って音が鳴りそうなほどに拳を握り締め、歯をくいしばりルヴィアスは静かに怒りにその表情を変えて、嘆きの声をあげる『リリカ』を遠目に映す映像通信を指差し、ついに叫ぶ。
「キレたよ! この時は俺、本気でブチギレた! ……俺を狙ってくるならともかく、後継者が生まれ、健やかに育っていたランバードを、アイツ等……ジェネア王国は奇襲をかけて焼き払ったんだ!」
なんてことだ……アイギスは当時だとだいたいブレイドくんくらいの年頃かな? そんな少年時代にこんなに辛い経験をしていたなんて! 激昂して叫ぶルヴィアスの言葉に私はかつて見た、アイギスの悲しい瞳を思い出す……詳細はわからないけど、アイギスの生家『ランバード公爵家』はクーデターに巻き込まれた末、滅んでしまった。
「……陛下、落ち着いて下さい。
この事件は帝国の威信を掛けた大問題となりまして、総力を挙げて掃討したのです」
「ジェネア王国は陛下の怒りを買い、国土ごと湖の底に沈められたのですが……」
バロードくんがルヴィアスを窘めると、ルヴィアスは一言「済まない」と言い、席に座る。……そりゃあ許せないよね、私も怒りが込み上げてくる……こんな理不尽で大切な家族を失ってしまうなんて!
ルヴィアス達はそれなりに善政をしいていたみたいだし、待ち望んだアーグラスの生まれ変わりが漸く誕生したっていうのに……カレンが言うように、そんな国は消したくなる気持ちもわかるよ。
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【嘆きの雪】~彼を想う涙~《ティリアview》
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「でも、どうして十年経った今、リリカさんがこんな事になってしまっているの?」
「そう、だよね……この豪雪は今年に入ってからだって、ルヴィアス様が仰っていたし……」
リールとフォーネが疑問を口にする。『ルヴィアス魔導帝国』に降り続くこの豪雪はきっと、彼女……アイギスの世話係りだったと言う『スノウリリィ』のリリカの、アイギスを案じての涙なのだろう。きっとそれは、十年前から続いていたのだ……
クーデターによって、おそらく彼女は必死でアイギスを逃がしつつも守り通して……遂には命を落としてしまったのだろう、きっと事切れるその瞬間までアイギスを想い、アイギスの身を、彼の未来を憂いたその無念をバンシーが拾いあげたのだ。
(……今年になってここまで大規模な力を持ったのはやっぱり)
「この『ランバード公爵家』……その跡地か。ここは何か大きなパワースポットだったりはしないかしら?」
っと、私が今年になってこの『スノウリリィ』がこんな猛威を奮う事になった原因を考えていると、アリサ姉さんが口を開いた。ははーん、なるほど……『龍脈の源泉』の事をぼかしつつみんなにそれとなく悟らせようってことね? オーケー。理解したわ。
「見る限り、リリカさんは知らずこの地の魔力を吸い上げることで、その嘆きの雪を降らせてるみたいだし……」
「ん……? 『魔力溜まり』かな……でも、それなら創世の時にあたし達気付く……」
「今年に入ってからこんなになったんでしょ? やっぱうち等が顕現したことが大きいぽい?」
「ルヴィアス、この豪雪が観測されたのは「今年に入ってから」と言っていましたけど……それは具体的にいつ頃なのですか?」
うん、アリサ姉さんの問い掛けにレウィリ、フォレア、アルティが考えを巡らせ始めたわ。アルティがこの豪雪の具体的な発生時気をルヴィアスに聞いてるわね、実にいい質問よ。
「実はつい最近なのです。女神様方。本来帝国の初雪の観測は、もっと後。後一月ほど過ぎた頃に毎年ちらほらと雪が降り始めるのですが……」
「例年になく早くに降り始め、あっという間にこの有り様になってしまいました」
その問いに答えるのはオルファとバロードの二人。やっぱりそう言うことなのね。
「間違いないわ。これは妹達の顕現と、何よりも『世界樹』の機能が正常に回復したためよ」
私は確信を持って妹達に最大のヒントを与える。さぁ、ここまで言えば気付くわよね?
つまりは、今まで魔神の呪いによって『世界樹』の自浄作用が自壊作用に反転されてしまっていたのが、アリサ姉さんの活躍により正常に戻ったことで、『ルヴィアス魔導帝国』の『龍脈の源泉』が活性化。その地を治めていた『ランバード公爵家』にも大きな影響が出たと言うことだ。
「ん……じゃあ、この地はもしかしたら『龍脈の源泉』なのかも?」
「マジか!? あー、でもそれなら納得だよ……」
「なんと言う事でしょうか……これは早急に解決しなくてはいけません! アリサお姉さま、アイギスさん達の試練は中止して、今すぐにでも彼と一緒にこの問題を解決しましょう!」
レウィリが『龍脈の源泉』かもしれないと口にすると、フォレアは驚きつつも、この『スノウリリィ』がここまでの力を持った原因になっていることを察して納得した様子。アルティも事の重大さを理解したのだろう。アリサ姉さんにアイギス達の試練を中止して、解決に動くべきだと判断したわ。
「なんて事だ……随分魔力の強い土地だとは思ったけど、まさか『龍脈の源泉』だったなんて……」
「陛下、『龍脈の源泉』とは一体何なのですか? 話を聞く限り、強力な力場……この『聖域』のような場所かと愚考しますが……」
ルヴィアスもショックを受けているみたい。まぁ、それだけ『龍脈の源泉』ってのは気付きにくいものだ。しかし、その影響は結構大きくて、三神国が大きく栄えたのも『龍脈の源泉』が保有する潤沢で清廉な魔力をお裾分けしてもらえたからなのよ。
その辺も含めて皆に話しておこうかしらね。具体的な場所については妹達が見つけないといけないことだから、伏せて。
「私が説明するわ。『龍脈の源泉』っていうのはね……」
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【予定変更にゃ!】~ユニは凄い♪~《猫魔女view》
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「私も帝国へ参りますわ!」
「ティターニア……うん! そうだね、一緒に行こう! 魔女、二手に別れましょう。私はルヴィアス達にティターニア、そしてアイギスを連れてリリカさんを助け出すわ!」
「オッケーにゃん♪ 私は猫から戻ってアルティとゼオン達と一緒に『セリアベール』行きだね」
こんな事態になっている以上、少しばかり予定を変更するのにゃ! ティリアから『龍脈の源泉』についての説明がみんなになされ、事の重大さを改めて知ると、会議室が紛糾したのだ。
中でもティターニアは仲間の『スノウリリィ』を思い、自らが帝国へ出向くと言い出す。なんて仲間思いの女王なんだろう……だからこそ妖精国は上手くまとまっているのかもしれないね。
「それならば僕に一つ提案があります。『セリアベール』にアルティレーネ様とアリサ様……えっと、魔女様の方ですね。お二人がいらした時、黒フード一味とおぼしき者達の前で、ゼオンさんに、「今度身内の『人猫』の女の子を連れて来る」と言った内容の話をすると言うのは如何でしょうか?」
「あー! なるほど、それならきっと黒フード達もチャンス! って思うだろうね!」
「アリサちゃん達が帝国の問題を解決するまでの時間稼ぎが出来るよね! 流石ラグナースさん♪」
おおっ! 確かにそれならリールとフォーネが言ったように黒フード達の興味を惹いて置くことが出来るかもしれないにゃ! やるにゃあぁ~ラグナース、商人には賢しさも必要ってことなのかにゃ?
「そいつはいい考えだ。俺は黒フードの一味だって思われる奴に『人猫』になったアリサ嬢ちゃんの護衛を任せてやるか~とか考えてたぜ?」
「ほう、それならば確実にアリサ様と接触するのぅ……じゃが、今は時を稼がねばならぬ故、ラグナースの案を採用すべきじゃな」
ゼオンもラグナースの提案を悪くないって思ってるようだ。ゼオン自身の案も悪くないけど、それは珠実の言う通り、聖女達がリリカさんをなんとかするまでの時間稼ぎには向かないだろう。
「うにゃにゃ♪ 取り敢えず聖女もティターニアもいったん落ち着くのにゃ」
にゃうにゃうと、猫の顔を洗う仕草をして見せる私を、映像通信越しに見る聖女とティターニアを始めた会議室の面々。確かにリリカさんの事は放っておけないし、早く助け出してあげたいとは思うけど……
「だからこそ焦っちゃダメにゃ。しっかり作戦を練って、万全の状態で事に臨むのにゃ!」
「アリサ様……ええ、確かにそうですわね……勢い任せで突撃して、この子と対面しても……」
「そこからどうするのかって話になるわね……」
私の言葉に顔を見合わせる聖女とティターニアだ、うむ。落ち着いてくれたかにゃ? しかし、こうして自分を側面から観るって言うのもまた新たな発見があるもんだにゃ~。
「わかったわ魔女。じゃあ具体的な対策を話し合っていきましょう」
「そうだね、さっきもカレンとオルファが話したけど、調査隊もこの猛吹雪で近付く事もままならないって報告を受けてるんだ」
冷静になった聖女が会議を仕切り直す。ルヴィアスもだいぶ落ち着いたようで、この異常気象の原因を探らせていた調査隊の報告について諸々話始めた。
北方大陸は中央に帝都があって、さいころの五を表すように四方に国がある。帝都の北には大きな山脈がそびえており、その先に『ランバード公爵領』があるのだ。そのやや南東には、ばかでかい湖……かつてのジェネア王国の憐れな末路だそうだ……が、ある。いや、まったく憐れだなんて思わんけども。
「各国それぞれの調査隊から揃って「北からである」って一致した見解が出されて、俺達としても、帝都の北……『勇者の山脈』を越えた『ランバード公爵領』に原因があるのだろうと踏んで、調査隊を再編して向かわせたんだよ」
「で、それがさっきの報告内容って訳ね? 活性化した『龍脈の源泉』の魔力を吸ってかなり強化されちゃってる感じかぁ~」
ルヴィアスの説明になるほどと頷きつつも、厄介そうだと困り顔になる聖女にゃ。先のカレンとオルファの説明だと、防御魔法も貫通してくる猛吹雪。その発生源に踏み込んで行かなきゃいけないってなれば、難儀だと否が応にも理解できてしまう。
「向かうなら少数が良いでしょうね。ルヴィアス、ティターニアに、アリサお姉さまとアイギスさんの四人で」
「ん。アルティ姉さんの言う通りだと思う。大人数で行ってこの『スノウリリィ』を刺激するのもよくない」
「だね、ルヴィアスはティターニアを、アリサ姉はアイギっちをそれぞれ神気で護ってあげれば近付けると思うよ!」
そいで妹達からはリリカさんを刺激しないように、護る対象をティターニアとアイギスの二人に絞るように、少数での行動を推奨してきた。確かに、リリカさんを鎮めることが出来れば、聖女の映像通信でティリアと連絡を取り合って、『龍脈の源泉』を保護することが可能になる。
「んん~? ユニもお役に立てるかもしれないよぉ~? 『れいらいん』って『世界樹』をでっかくするためのものだもん。このリリカちゃんのとこからいっぱい吸っちゃえば少し弱めること出来ると思うよ~?」
なんと! まさかユニからも支援を受けられるらしい。ちょいとおねぇちゃんビックリだにゃ! 考えてみればユニは『龍脈の源泉』から魔力の供給を受けている『世界樹』の『核』なんだよね……
「ユニちゃんすごぉーい!」
「そんけーしちゃうなぁ~♪ 私達なんにもできないけど、精一杯応援するね!」
ユニのおてつだい宣言にネーミャちゃんとシャフィーちゃんが揃って感心する、いや、この子達だけじゃなく、その両親に、ゼオンにラグナース、ビットや帝国の従者三人と……話でしか事情を知らなかった面々が揃って驚いてるにゃ~ふふふ、凄いでしょぉユニは!? 私の自慢の妹にゃん♪ って、そう言う私も驚いたけどね。
セラ「なぁ~アイギスぅ~腹へったぞぉ~飯にしようやぁ~?(>o<")」
バルド「セラ(-_-;)『セリアルティ王城跡地』はもうすぐなんだぞ?(^_^;)」
サーサ「もう少し我慢しましょうよセラぁ~?(ーωー)」
アイギス「まったく……(^o^;)これで何度目だセラ(´・ω・`)?」
ゼルワ「しょうがねぇなぁ~( ̄▽ ̄;)ってか、なんか俺までつられて腹減ってきたぜ( ´ー`)」
シェリー「……実は私もお腹空きました(*/□\*)」
ブレイド「な、なんだよ!?Σ( ゜Д゜)俺、ずっと我慢してたって言うのによぉ~(*`Д')」
ガウス「アイギスさん。少し早いかもしれませんが食事をとりましょうぞ!(°▽°)」
ムラーヴェ「ガウスに賛成します(・・;)でも、何でだろうな?(,,・д・)普段より空腹になるのが早い気がする……」
レイリーア「そんなの美味しいご飯が待ってる、ってのを覚えちゃったからじゃないの!(。・`з・)ノ」
ドガ「わっはっは!(*`▽´*)つまり儂等は既に、アリサ様に胃袋を掴まれとると言う訳じゃな!(^∇^)」
アイギス「わかったわかったf(^_^;食事にしようか(^ー^)」
ミュンルーカ「ああっ!(o゜Д゜ノ)ノなんてことでしょう~プリンが入ってます!(ノ≧▽≦)ノ」
ミスト「ええっ!?Σ(´□`;)ミュンさんのお弁当大当たりじゃないですかぁ~いいなぁ~v(*´>ω<`*)v」
シェリー「う、羨ましい!(;゜д゜)」
セラ「アタイもプリン欲しいーっ!(≧口≦)ノ」
ミュンルーカ「えっへっへ~って、あれぇ~(・_・?)このプリン、あったかいですよ?( ゜Å゜;)」
デュアード「……街でアリサ様が作って下さったのは……冷えて、いたな(・-・ )」
バルド「温かいプリンなのか?('_')食べてみたらどうだミュンルーカ(゜ー゜*)」
ミュンルーカ「ですね!(^ー^)いただきまーす(^o^)あーん♪ んぅっ!?Σ(*゜Д゜*)」
ムラーヴェ「ど、どうしましたミュンルーカさん!?(; ゜ ロ゜)」
ミュンルーカ「甘くないです!(゜A゜;)でも、でも……あぁぁ~(*>ω<*)とっても滑らかで、凄く沢山の美味しさが詰まってて!ヽ( ゜∀゜)ノ言葉じゃ言い表せられないです!O(≧∇≦)O」
サーサ「ああ、それは『茶碗蒸し』と言うお料理だそうですよ(*´∇`*)」
アイギス「鶏肉や、海老、椎茸と言うキノコに銀杏と言った木の実の種等、具沢山の贅沢な一品とのことだ(*゜∀゜)」
デュアード「ほ、ホントだ……ゴロゴロ具が入ってる……うまそう……( ̄¬ ̄)」
ミュンルーカ「もう!(`□´)デュアードさん覗かないで!(゜Д゜#)でも、本当に凄いです……ワタシ椎茸苦手なのに、あぁ~この味が染みて……おいすぃ~(T∀T)」
ゼルワ「ははっ(´▽`)やっぱすげぇよなぁ~この複雑で深い味ってどうやったら出せるんだろうな?( ̄~ ̄;)」
ミスト「確かちらって聞いたお話だと、『お出汁』がどうとか?(^_^;)」
ガウス「さっぱりわかりません、オダシって何でしょうな?(´・ω・`; )って、アイギスさんの今日の弁当はまた不思議な弁当ですな!?Σ(´□`;)」
アイギス「ふふふ(* ̄ー ̄)気になるかガウス?( *´艸`)」
サーサ「むぅぅ(`ε´ )箸が使えるからって、アイギスばっかり特別なお弁当をだなんて!?(≧Д≦)」
セラ「箸って、アイギスが持ってる二本の棒切れか?(・・;)そいやアリサもそれで飯食ってたな……器用だな~って思ったの覚えてるぜ( ´ー`)」
アイギス「そうだ、この弁当は「是非とも箸で食べてほしい」とアリサ様が仰っていた、『こだわりお出汁のかき揚げうどん』だ!゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜」
ドガ「ほっほーう!(・о・)ぶっとい麺じゃのう(^ー^)ではその水筒はスープが入っておるのじゃな?(゜∀゜ )」
アイギス「ああ、まずはこの器にスープを注ぎ……熱い熱い!( ≧∀≦)ノそうしてこの麺、うどんを投入だ(^ー^)スープが跳ねないように気をつけねばな(^_^;)そうして、次はこのかき揚げだ( ・`ω・´)」
レイリーア「その茶色い塊がかき揚げなのね(゜д゜)赤っぽく見えるのは人参で、白っぽく見えるのはたまねぎ(´・ω・`)?」
サーサ「アリサ様は他にも海老や、イカ等を入れて、小麦粉を水で溶いた物に浸けて油で揚げてましたよ(*´∇`)『かき混ぜて揚げる』から『かき揚げ』なんですって(*´艸`*)」
ミュンルーカ「ポテトチップスみたいな感じの調理法ですかね(・_・?)茶碗蒸し美味しい~(^◇^)」
アイギス「ふふ、初めはそのままでこのサクサクのかき揚げを一~二口(^O^)はふはふっ! ~っ美味い!(*^¬^*)」
バルド「おお、本当にうまそうだな!(о^∇^о)」
アイギス「そしてスープ( ´ー`)ずずっはぁ(*゜∀゜)=3バルドも一口含んでみるか( -_・)?」
バルド「ああ、頂こうか(^ー^)この器に注いでくれるか?( ゜ー゜)」
アイギス「ああ、ほら(´∀`)つ旦~~その味を覚えていてくれ。さあ、かき揚げを投入だ(ノ・∀・)ノ」
バルド「うっま!Σ( ゜Д゜)ほどよい塩気のなかに絡み合うなんと複雑な味か……これはたまらんな!Σd(・∀・´)」
ミスト「あれ、折角のサクサクかき揚げをスープに浸しちゃうんですかアイギスさん?(´ヘ`;)」
ブレイド「あっという間にふやけてきちゃいましたけど……?( ; ゜Д゜)」
アイギス「ああ、これでいいんだ(^ー^)さぁ、バルドもう一口やってみてくれ( ・∀・)っ旦」
バルド「ああ、どれ……!?Σ(゜ω゜)ほうっ! これは……かき揚げの具材の旨味までも溶け込んで!ヽ( ゜∀゜)ノ」
アイギス「たまらないだろう!?。:+((*´艸`))+:。更に箸でこう麺をズズズってな……ふはぁーっ(*゜∀゜)=3はふはふっ!(о^∇^о)幸せだ~♪」
みんな「くぅ~凄く美味しそう~!゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜」




