68話 魔女と身から出た錆
アリサ「はい、みなさんおはこんばんちは(o・ω・o)」
ユニ「今日から本編再開~゜.+:。∩(・ω・)∩゜.+:。」
ティリア「通常運転に戻るのね(´・ω・`)?」
アルティレーネ「毎週木曜日に更新していきますね(^ー^)」
レウィリリーネ「お正月の特番が沢山の人に読んでもらえたみたいで、凄く嬉しい(’-’*)♪」
フォレアルーネ「だね(o^-')b ! んで、本編はどっからだっけ?( ̄▽ ̄;)」
ルヴィアス「魔女さんが『人猫』の幼女に変身して……(-""-;)」
ゼオン「シドウ殿が乱心したとこだな(-∀-`; )」
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【猫耳幼女アリサちゃん】~ミーにゃんと一緒にポイ~
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「はぁはぁ、こんのど変態ジジイがぁ……マジにぶっころがしてやりまっすよぉぉ?」
私が変身魔法で猫耳幼女の姿になると、シドウがいきなりぶっ倒れたのでどうしたのかと思えば、なんか意味不明な事言い出して私にルパンダイブしてきた! それを撃墜したのが冒頭のアリスだ。
「はっ!? わ、儂は一体何を……?」
「何を? じゃ、ないだろう黄龍……引くわ、ドン引きだわ……大変だなお前達も?」
「黄龍……あなた『神界』でもアルナにそうやって迫っていたでしょう? 最低ね……」
我にかえったシドウが起き上がり、何が起きたか把握しようと頭を押さえながら周囲を見渡している。映像通信からはゆかりとシェラザードの冷たい視線と言葉が投げ掛けられているね。
「こーじぃちゃんサイテー……」
「シドウ、貴様は先程「ユニちゃん一筋!」とか言ってなかったか?」
あ~あ……身から出た錆び、かな? ユニのめっちゃ軽蔑の視線がシドウにぶっ刺さっているね。まぁ~リンが言ったように、さっき確かにシドウは「儂はユニちゃん一筋なんじゃ!」って豪語してた矢先だったのに、私のこの猫耳幼女姿を見た途端「ペロペロさせい!」だもんねぇ~ほら、他のみんなもうわぁ~って一歩引いてるぞ?
「ちっ、違うんじゃ! これは魔女の奴のイタズラなんじゃ!」
あ! こんにゃろ! どさくさに紛れて私のせいにする気か!? おのれ~その馬脚を顕にしてくれる! 見よ! 必殺! 可愛いにゃんこポーズ!!
「うにゃぁ~ん♪」
「ぐっはぁぁっ!!」
「きゃーっ! アリサ様可愛い~♥️」「まま、マスター! めちゃんこ可愛いでっす!」
「んーっ! アリサお姉さん可愛い!」「うっはぁ♪ たまらん! アリサ姉~抱きしめさせて~♥️」「アリサお姉さま~♥️」「か、可愛い! アリサ姉さん凄く可愛いわ!」
きゃっきゃっきゃ♪
私があざとく前世でもあった可愛いにゃんこポーズをして見せると、シドウは何かに耐えるように自分の胸ぐらを押さえハァハァと息を荒くしている、正直ちょっと気持ち悪い。ネーミャちゃんやアリス、妹達を始めとした女の子達には好評のようで、みんな私の側に集まってきゃっきゃとはしゃぎ出す。
実はこの猫耳幼女の姿は前世でプレイしていたオンラインゲームの私のアバターを参考にしているのだ。そのゲームでは、プレイしていくと自分の種族を途中で選ぶことが出来る。今回はそれをヒントにイメージを固めてみたのだけど、こうも上手くいくとは。
「まぁ、このじぃちゃんの戯言はこの際スルーして……私がこの姿で、ゼオンと聖女と一緒にいる所を黒フード達の目に止まらせるってのが作戦だよ」
「成る程。奴等もまさか嬢ちゃんが二人いるなんざ思いもしてねぇだろうし、『氾濫』終息させて俺達が気を弛めてるとでも思うだろうしな!」
「そこに無力な『人猫』の幼子がゼオン殿の関係者と知れば……」
「そうね、ネハグラさんとジャデークさんの妻子を人質に取るような奴等なら、飛び付くでしょうね!」
そういうことそういうこと♪ 私がこの姿になったその理由を説明すると、ゼオン、オルファ、カレンが合点が言ったとばかりに納得してくれた。うんうん、察しがよくて助かるよ。
「ですが……アリサ様、そのお姿になられたことでお力の方は何か制限がかかったりはしないのですか?」
「うん? あぁ、大丈夫だよバロードくん。変わったのは見た目だけだからね、中身はそこにいる聖女となんも変わってにゃあーっ!!?」
がぶちょーっ!!
「いったぁーいぃっ! コラーっ! なにすんのミーにゃん!?」
バロードくんの心配に問題ないよーって説明してるところで突然尻尾に激痛が走った! 何事!? って思って見てみればミーナがフリフリ振ってた私の尻尾にじゃれついて噛み付いて来たではないか!?
「と、まぁ~思わぬ弱点が増えたかな?」
「ちょっと聖女、落ち着いて説明してないで助けて~!?」
あはははは♪ ってみんなが笑った一幕になっちゃったよ。もぅ~ミーナちゃんめ~! 許さん、これでもかってくらいに撫で回してくれる!
「待つにゃミーにゃん!」「にゃあ~ん♪」
テシテシ! ペシペシ! 私がミーナを追いかけて撫でようとすると、遊んでるって思ったのかミーナはそうはさせぬと、撫でようとした私の手にパンチしてくる。私も負けるものかとにゃにゃにゃーってミーナのパンチをかわそうと頑張るのだ!
「にゃんにゃ~ん♪」「ふはは♪ 観念したかねミーにゃん! そのお腹もらったにゃ~ん!」
そうこう続けているとミーナはごろんと横になってはお腹を見せてくる! 降参かね! そのもふもふでやーらかいお腹に手を伸ばすと……
「にゃうっ!」「あいたーっ!」
しまった!? これは誘いだ! お腹を見せて相手を油断させて手を伸ばしたところに必殺のミーにゃんキックが炸裂! いてて! 最近こうやってじっくりミーナと遊んでなかったからすっかり失念してたよ。うむむ、アルティレーネの『不朽』は仕事放棄かね?
「会議が進まないでしょうが!? 『無限円環』で遊んでなさい!」
「にゃあーっ!?」「うなぁぁーん!?」
あー……にゃんにゃ~んってじゃれてたら、ミーナもろとも聖女に襟首掴まれて『無限円環』への入り口、『∞』に放り投げられてしまった。
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【囮のネコ魔女】~きっと黒フード達も飛び付く~
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「まぁ、『セリアベール』とのこうりゅ」
ドタドタドターッッ!!!
「待つにゃミーにゃん!」
私が改めてみんなに向かって、魔女こと猫耳幼女の方の私を囮にするための算段を話し合おうと声を出すと、目の前をドタドタドタとミーナとそれを追いかける猫耳幼女の私。
「にゃあ~ん♪」
バタバタバターッッ!!!
「あはは♪ アリサおねぇちゃんもミーナちゃんも楽しそう!」
「ふふふ、可愛いじゃれあいだね♪ なんだかいつまでも見ていられそうだよ」
ユニもルヴィアスも、他のみんなも全員がつられてそのおっかけっこに意識を持っていかれて、こっちの話が全然聞こえてないみたいだ。
「にゃんにゃ~ん♪」
「ふはは♪ 観念したかねミーにゃん! そのお腹もらったにゃ~ん!」
ミーナも久し振りにがっつりじゃれあえて嬉しいのだろう、その場でごろんと横になって猫耳幼女の私の撫で回しの手を迎撃だ。見てて微笑ましいのだけどこれじゃ全然会議が進まない。
「~っ♥️ ミーナちゃんもお腹を見せてる! きゃわわ!!」
「あ、ああっ! いいないいな! 私もミーナちゃんにパンチされたいな♪」
リールとフォーネもそれはそれは、嬉しそうに楽しそうに。時に羨ましそうにそのじゃれあいを見続けている、いや、わかるんだけどさ……ほら~他のみんなもそろそろ会議……
「にゃうっ!」
「あいたーっ!」
おいぃぃ? いい加減にしたまへよ。ネコ魔女~!? ちょっと怒ったぞ?
私はその場に『無限円環』の入り口である『∞』を展開させて、ネコ魔女とミーナの襟首をガシッ!
「会議が進まないでしょうが!? 『無限円環』で遊んでなさい!」
「にゃあーっ!?」
「うなぁぁーん!?」
ポイポーイッ!! その騒がしい連中を放り投げてやったのだった。
「あーん!? もー、アリサ姉ったらおもろいとこだったのに~!」
「ふはは、いやいやつい見入ってしまったのぅ~♪ なんとも愛らしい戯れであった、時には妾もユニやこの娘っ子等と一緒にあのように戯れようか♪」
ミーナとネコ魔女のじゃれあいを強制終了させた私にフォレアルーネがぶー垂れる。うん、気持ちはわかるけどね、今は大事な会議の途中なのだよ? 珠実の提案? も凄く魅力的だけど、そこはこの会議をしっかり区切りつけてからにしようね?
私がその旨を伝えると、みんなは揃って「はーい」といいお返事をする。うんうん、素直でよろしい、この聖女さんもにっこりだ。
「やー、ごめんごめん。ついついはしゃいじゃった~♪」
「にゃあ~ん?」
「アリサ様、ミーナ! いらっしゃい! おぉ~近くで見ると本当に可愛い!」
「入れ替わりになったわね、ふふ、この子がミーナちゃん……おいで、可愛い子」
一方、『無限円環』内の様子を映す映像通信では、シェラザードとゆかりのいる屋敷、『アリサさんの引きこもりハウス』の扉をガチャコと開いて、ネコ魔女とミーナが私と入れ替わり入室。ネコ魔女はゆかりの膝の上にちょこんと座り、ミーナはシェラザードの膝の上。双方共に頭を撫でられて嬉しそうにしている。
「ちゃんと大人しくしてるのよ? じゃあ、続きね。この後の議題でも取り上げるけど、私は『セリアベール』と何かと交流を深めようと思ってるの。具体的には料理を、アルティは服飾を通してね」
「ええ、そこにアリサ様と、『人猫』に変身されたもう一人のアリサ様。そしてゼオンさんや僕と言った街の住人達が一緒にいる姿を黒フードの一味達に見せつけるのですね?」
さっきまでの話の内容をラグナースがおさらいしてくれる。基本の流れはそうだ。私とアルティレーネ、ネコ魔女の三人で街へ行き、私とアルティレーネが約束通り料理のレシピや、服飾のデザイン等を各ギルドの代表者達を通し教えたりしている間、ネコ魔女をあえて一人にして隙を見せておく。この時、ネコ魔女はゼオンと接触したりして関係者であると示唆するのだ。
「うふふ……アイギスさんがこの場にいたら反対されそうですけれど、アリサ様を害せる者等そうそういませんものね♪」
「あ~、アイツのこった。「アリサ様にそのような危険な真似をさせるのか!?」とか言ってきそうだよなぁ~嬢ちゃん、一応聞くけど……大丈夫だよな?」
ティターニアが少し苦笑いしながら、この作戦をもしアイギスが知ったら~って話し出す、うん。ゼオンが言うように同じセリフをアイギスはきっと言うだろう、心配性だもんねぇ、私もそうだけど。
「大丈夫だよゼオン、私の『イメージ魔法』は普通の魔法じゃないからね。でも、『KY』しとくのは大事。『聖域』のみんな、この後の議題『新しい鍛練方法』でも話すけど、しっかり力を身につけて、万が一の時は私を助けてね?」
《おおぉ……アリサ様がわたくし達を頼りに! お任せ下さいませ!!》
《必ずや……必ずやお力になって御覧に入れます! このレイミーア。貴女様に頂いた誇り高き名に懸けて!》
「街の防衛じゃあ珠実にいいとこ全部持っていかれたからね……その悔しさをバネにみょみょーんって伸びて見せるわよ!」
「私もです! 防衛戦では私が未熟であったばかりにカインに大怪我をさせてしまいましたし!」
オオオオォォーッッ!!!!
八咫烏のレイヴン、フェニックスのレイミーアを始めに朱美も水菜もやる気を漲らせる。触発されるように他の面々も闘志を滾らせてくれているね! うん、言ったように私の『イメージ魔法』はレウィリリーネからもらった特別。そうそう打ち破られるという事態にはならないと思うけど、慢心してはいけない。みんなと一緒に私も強くなろう!
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【ゼオンとシェラザード】~未来を思う代表者~
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「……やっぱり、しっかり話をしておくべきね……アリサ。次の議題に進む前に、少し時間をくれないかしら?」
みんなやる気を漲らせているところで早速、次の議題『鳳凰の処遇』、『セリアベールとの交流』に進もうとしたのだけど、シェラザードがここで意を決したようにとても真剣な表情でお願いをしてきた。
決意を秘めた瞳だ。これはとても大事な話をしようとしているようだね……そのただならぬ雰囲気を察したのだろう、他のみんなもシェラザードに注目している。
「わかった、いいよシェラザード。大事な話みたいだね?」
「ありがとうアリサ。……女神達を始めに、『聖域』の皆。そしてユグライア。本当は面と向き合って言うべきなのだけれど……この場をお借りして、改めて謝罪するわ。今まで散々迷惑をかけてしまって、本当にごめんなさい」
私がシェラザードにオッケーを出すと、彼女は一言お礼をして、小さく深呼吸したあと。改まって私達に対して謝罪してきた。
「過ぎたことよ……貴女は魔神から知らず知らずの内に呪いをかけられて自我を失っていたのだもの……さっきも言ったけど私達女神は貴女を赦します」
「あぁ~儂も一度呪いを受けた身じゃ、しかしこうして皆に赦されておる」
「シェラザード様! ユニもだよ! ユニも呪いを受けてたくさん……たくさんみんなに酷いことしちゃってた……でも、でも今はこうして笑い合えてるんだよ!」
映像通信越しに深々と頭を下げるシェラザードに、妹達が、同じく呪いを受けたことのあるシドウとユニが「大丈夫だ」と伝えてくれている。他のみんなも概ね笑顔で頷いてくれているね……うん、本当に優しいみんなだ、誇りに思うよ。
「ゼオン。君はどう思うんだい? 君の『セリアベール』は彼女が起こした『氾濫』でだいぶ大きな被害を受けていただろう?」
ルヴィアスの言葉に全員がゼオンを見る。そうだね、この中で魔王シェラザードによって甚大な被害を受けていたのは他でもない『セリアベール』だろうし……ゼオンは静かに瞑目し、考えを整理しているのか、押し黙ったままだ。
「……はぁ、正直、思うところはあらぁな」
「…………」
そうして、困ったような顔で頭をボリボリかいて口を開く。やっぱりそう簡単には割り切れないし赦すこともできないのだろうか? シェラザードはゼオンの言葉に泣きそうな表情で静かに見守っている。
「だってそうだろう? 『氾濫』のおかげで一体何人の冒険者達が犠牲になったと思うよ? 今すぐあんたをぶっ殺してその首を奴等の墓前に持っていってやりてぇぜ?」
うぅ……きつい言葉だ、ゼオンの悲痛な叫びがこの会議室に重く響く……シェラザードは俯いて涙を流しているし、私達も泣き出してしまいそう。
「しかしだ。冒険者ってのは総てが万事、自己責任の世界でもある。『氾濫』に向かい合って死のうがそいつは、自分の責任って訳だ。その辺りの判断をつけられるかどうかってのも、冒険者としてやってけるかどうかの分水嶺なんだわ」
ん……? なんか意見が割れてないかねゼオンさんや? 上手く考えが整理出来てないの? ゼオンの相反するようなその思いにみんなもちょっと首をかしげている。どういうことだろ?
「ははは! そう不思議そうな顔しなさんなって! 今の二つの意見は街の住人達の意見ってわけだ。いいかい、シェラザードさんよ? 大半の意見が後者寄りなんだけどな……やっぱ中にはあんたを赦せねぇって奴もいるってのを忘れねぇでくれ」
カラカラと笑って見せるゼオン。なるほどね、さっきの二つの意見は街の人達の声を代弁したって事か……流石代表者だ、しっかりした耳を持っているね。ゼオンの話を聞いていたシェラザードは俯きつつも、涙を拭い、しっかり頷いた。
「で、だ……こっからは俺の意見、思いになる。泣きっ面でもいいぜ、しっかり顔上げて聞いてくれや?」
「ぐすっ……ええ、わかったわ、しっかりと聞かせていただくわ」
驚くほど優しい顔を見せるゼオン……シェラザードもその言葉に、涙で少し赤くなった瞳をしっかりと彼に向けて、話を聞く態勢だ。自然、私達も彼の話を真剣に聞く。
「……街でよ、アリサの嬢ちゃんに教えられた言葉がある。『一年先を思うなら花を、十年先を思うなら木を、百年先を思うなら人を育てろ』ってな……あんたを恨みつらみでその命を奪う。それじゃあ俺達もあの黒フード共となんにも変わらねぇだろう?」
おお、そういや言ったね。そんなこと~あれはスラム街でゲンちゃんやそこな住人達と串焼きパーティーしたときだ、リールとフォーネも一緒にいたね。
でもゼオンてば私が思った以上にしっかり考えていたんだね……私が言った言葉もそうだけど、シェラザードと自分達に世界の破滅を望む黒フード達を重ねて、「俺ならこうする」って考えたみたいだ。
「シェラザード。少しでも俺達に対して罪の意識があるなら、これからの俺達の未来に協力してくれ。あんたをさっきの話になぞえるなら百年どころか千年、万年以上の先を思うことになるはずだ」
「っ!!?」
見事! 見事だよゼオン! 私はゼオンのその考えを聞いて胸が打ち震えるのをしっかり感じた。自分だって『氾濫』で親しくしていた多くの冒険者を失っただろうに……よくぞその答えに辿り着いた!
「ユグライア……っ! 貴方は……貴方を、私は誇りに思います!」
「見事……見事な判断です陛下! やはり貴方様は私の王だ!」
アルティレーネもビットも……ううん、彼等だけじゃない……全員がゼオンの判断に感嘆している。
「ありがとう……ありがとう……ユグライア。約束しましょう。私は今後、アリサ達と共に貴方達の力になることを!」
ゼオンの言葉を聞いたシェラザードは、驚いたように両の手で口を覆い、今度は感動にその瞳を潤ませて力強く宣言したのだった。
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【広い世界】~じいちゃん座ってて~
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「素晴らしい……ゼオンさん、やはり貴方は王の器です。貴方が僕達の代表者でよかった」
「よせよラグナース! そんな手放しで褒められると背中が痒くならぁな! それに王の器ってんならアリサの嬢ちゃんにこそ相応しいだろうぜ?」
にゃあ~ん? にゃにを言い出すんだねゼオンは? ラグナースに褒められて照れ隠しでもしているつもりなのかね?
「私は王様よりもネコの器でありたいにゃん♪ 世界中のにゃんにゃん達をこの手に~!」
わはははは!!!
映像通信を通してみんなの様子が伝わってくる。うん、いい笑顔だにゃ! ちょいとシリアスな展開になりそうだったからね、軽く場を和ませておいた方がいいのだ。だから私のこの大袈裟な、万歳からのネコの顔洗いは無駄じゃないんだよ?
「もう~アリサお姉さまったら、そんなこと言ってるとミーナちゃんに浮気者って怒られますよ? ふふふ♪」
「にゃはは~♪ ミーにゃんは独占欲が強いからにゃ~! にゃんにゃん、じゃあ次に行くにゃ~『鳳凰の処遇』と『セリアベールとの交流』だね」
アルティレーネの指摘ににゃん語で返す。ミーナに限らずネコってわがままだからね、そこがいいんだけどさ♪
さぁ、場も和んでシェラザードもしっかり憂いが晴れたいい顔してるところで次の議題に進もう。『聖域』に帰還したときに出会った鳳凰の貴重な意見。その事に私が思うとこをみんなに聞いてもらおう。
「元々引きこもり気味の私が言うのもなんだけどさ。先ずはこの『世界地図』を見てほしいの」
映像通信越しにみんなに『世界地図』を見てもらうように促す。前世のRPGでも世界の地図ってのは見れる事が出来たけども、大抵広いんだよね。それはこの『ユーニサリア』も同じ。
「やっぱりでっかいなぁ~オイラ達の『聖域』なんて豆粒みたいだぞー?」
「僕も世界各地に行商に出た事がありますけど……まだまだ知らぬ地が多いです!」
「これがレウィリリーネ様達が創造された世界なのですね……すごいなぁ~」
改めて『世界地図』を見ては、ほへ~ってため息をつくジュンに、行商に出たことのあるラグナースも、「こことかまだ行ったことないです!」とかはしゃいで、フォーネはレウィリリーネと地図とに目線を交互させて感心している。
「でね、鳳凰にも言ったけどさ。私はみんなにもっと自由に生きてほしいって思うんだ。勿論この『聖域』を護るってのも大事なことだけど、それを理由にこの広い世界を知らないでいるのももったいないじゃん?」
可愛い子には旅をさせろ。なんて言葉もあるし、『聖域』に住んでる者の中には鳳凰のように自由に生きたいって思ってる者もいると思うんだよね。私はその意思を尊重してあげたいよ。
「……なるほどね~、確かにうち等はみんなを『神獣』だから、『聖獣』だからって、この『聖域』に拘束してたかもしんないね」
「でもアリサ、魔王は後、さっきの話のディードバウアーを含めて、五柱も残っているのよ? そいつらがいつ復活してもおかしくない今。『聖域』の護り手を減らすのは得策じゃないと思うわ?」
フォレアルーネが顎に手をあてて「う~ん」って思案しては、そうかもしれないって言ってくれるけど、朱美は即座にそれは時期尚早ではないかと否定してくる。うんうん、いいね、どんどこ意見を出してくれたまへ。
「いえ、朱美様。確かにこの『聖域』で実力をつける事も大切な事だとは思いますけど、その魔王達の復活を目論む黒フード達のような集団が他にもいないとも限りません」
(そういった『情報』を知ることもまた、『聖域』を、ひいてはこの世界を護ることに繋がりますねぇ~ぷぅ)
ついでカインとモコプーのエスペルから意見が出てくる。そう、どちらも大事なことなのだ。私達『聖域』の主力メンバー達は謂わばこの世界の調停者でもある。朱美の言うように『聖域』を護る事も、しかしカインとエスペルが言う『情報』を得る事も大事。
「ほほう、つまり手始めとして『セリアベール』との交流に何人か見繕って連れていく気じゃな?」
「ピンポーン♪ 正解だにゃ~ん! さっすがシドウじいちゃん冴えてるにゃ!」
「はうぁっ!? お、おのれ魔女めが! ここぞとばかりに儂を誘惑しおって……なんじゃそのあざといポーズは! 滾ってしまうじゃろうが!?」
にゃにゃ~ん♥️ と、私が可愛いにゃんにゃんポーズで正解を引き当てたシドウじいちゃんを賞賛してやると、シドウは仰け反ってハァハァ言い出した。やだぁ~キモいよぉ~!
「ジジイ……気持ち悪ぃぞ?」
「ドン引きなんですけど……さっきから?」
「おのれは奥に引っ込んでおれ! 見苦しゅうてかなわん!」
儂もその『無限円環』に入れるんじゃ~! とか騒ぐシドウを大地と水菜が冷めた目で見て、珠実がシドウをひっぱたいて会議室の隅っこに持っていった。じいちゃんそこで大人しく座ってて。
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【偵察部隊を作ろう】~怒られるグリフォン達~
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「ゼーロ!」
《うむ、御呼びかアリサ殿!》
シドウじいちゃんが大人しくなったとこで、改めてゼーロに呼び掛ける。私が考えた鳳凰の処遇について伝えるためだ。
「『ガルーダナンバーズ』のグリフォン達から選りすぐりを……三羽出してくれない? ちょっと一つの特殊部隊を編成したいのよ」
《俺達から三羽!?》《俺だろ俺!》《いーや、俺に決まってるぜ!》
《俺しかいねぇだろ! なぁ、ゼーロの兄貴!》《な~んか嫌な予感がするぜ、俺はパス!》
私がそう言うと、途端に騒がしくなるグリフォン達だ。やる気に溢れているのもいれば、中には思慮深いのもいたりして中々に個性的な一面が垣間見えるね。
《新しい部隊か、興味深い。一体どのような役目の部隊か?》
「うん、鳳凰を隊長にそえて『偵察部隊』を作るよ。まぁ、偵察って言っても基本鳳凰の好きにさせるつもりだけどね。定時報告で私達と連絡取ってもらえればオッケーだにゃ」
ほほ~。 ゼーロも新たな部隊と聞いて興味がわいたようで、ズズイとモニターに寄ってきた。それに対して思い付いた『偵察部隊』のことを話すと鳥達は感心したように息を洩らしている。
《マジ!? え、マジに良いの!? 決まった時間にアリサ様に連絡取るだけ? え? え? マジで後は俺っちの自由!!?》
《よかったですねぇ、鳳凰。それでは貴方が三羽のグリフォンを選んでご覧なさい》
マジか? マジか!? ってひたすら繰り返しては確認を取ってくる鳳凰に対して、少し呆れたようにレイヴンが部隊に組み込むグリフォンを選べと言い出す。さて、どうなるかな?
《えー? 鳳凰が隊長の部隊とかねぇわ》《やっぱり嫌な予感が当たったな……》
《お断りだぜ~?》《誰がお前の尻拭いすることになると思ってんだよ?》
《えっ!? ちょ、お、お前ら!? 自由にあちこち行けるんだぞ!! こんな美味しい話はねぇだるぉぉ~?》
案の定である。グリフォン達はみんながみんな鳳凰には着いて行きたくないの一点張りで、彼の説得にも耳を貸していない。
「身から出た錆ね、鳳凰。日頃のあんたの行いを見てたら、普通こうなるわよ?」
《そ、そんなぁ~! そりゃねぇよ~ねえちゃーん! アリサ様ぁ~うわーん!!》
「あれま、鳳凰様ったら情けないねぇ~」「普段からぐーたらしてるからだワン!」
「じごーじとくだにゃ~! 女王も精々気をつけるといーにゃ!」
「ちょーっ!? 私は沢山、ちゃんと働いておりますわあぁ!!」
あらら、鳳凰ってば朱美にまで日頃の行いをダメ出しされたうえに、誰もついてきてくれない現実に泣き出してしまった。更に追い討ちでコルンムーメとクーシー、ケットシーが何故かティターニアを巻き込んでズバズバ言い出す。とばっちりを受けたティターニアまでもが弁明を始める始末だ。
「わはは! 『聖域』もなんだかんだ言って面白れぇ連中が集まってんだな!」
「ふふふ、そうですねゼオンさん。『セリアベール』の気風と合いそうですよ」
「ん……でもこれは流石に可哀想。アリサお姉さん、助けてあげて?」
やんややんやと賑やかになる会議室。ゼオンとラグナースが彼等のやり取りを見ては楽しそうに笑ってるね、ふふ、ティターニア達妖精のみんなが来たことで、『聖域』も毎日が賑やかになったからね♪ お客さん達にも楽しんでもらえたなら鳳凰の尊い犠牲も無駄にはなるまいて……いや、そうじゃない、そうじゃない。レウィリリーネの言う通り助け船を出してあげよう。私としても企画倒れはごめんだし。
「はぁ、仕方ない……グリフォン達、みんな名前をつけてもらいたがってたよね? この『偵察部隊』になってくれるなら……」
「アリサ殿待たれよ」
え? 私がグリフォン達を名付けをエサにして『偵察部隊』に入らせようと画策したところを爽矢が物言いを入れてきた、なんだべ?
「グリフォン共よ、貴様等……大恩あるアリサ殿の頼みを下らぬ理由で蹴るとは、随分偉くなったものだなぁっ!?」
《ひえぇっ!!》《さ、サーセン!》《ちょ調子こきましたすいません!》
《か、勘弁してくだぁさい爽矢様!》《ゆゆゆ許してつかぁさい!!》
うおお……爽矢が怒っとりまんがな、怖いぃ~! ゴゴゴって静かに言葉を発して最後にズガーンって感じで吼える! これにはグリフォン達もビビりまくって震え上がっている!
「爽矢の言う通りでっすよぉぉ~ちょいとコイツ等、マスターが優しいからって調子に乗りすぎでっすねぇ、そこの鳳凰共々このアリスがその性根をぶったたきなおしてやりまっしょーい!」
《ぶるぇぇーっ!? 嘘だろ!?》
《《《《ぎゃあああぁぁーっっ!!? なんてこったぁぁーっ!!》》》》
あー……あ~あ……助け船どころか逆に地獄に叩き落とすことになっちゃたにゃぁぁ~ん。なんかごめーん。よく見ればアリスに爽矢だけじゃなく、他の『四神』達に『懐刀』まで怒った表情で鳳凰とグリフォン達を見ている……彼等に明日はあるのだろうか?
猫魔女「あいたっ(>_<")」
ゆかり「あ、ごめんなさいアリサ様!( ゜Å゜;)」
猫魔女「ゆかり~もっと丁寧に、優しく撫でるにゃん!( `д´)」
シェラザード「うふふ♪( *´艸`)ゆかりはまだ、力加減の調整に馴れていないのかしら?(^ー^)」
ミーナ「にゃあぁ~♪( =^ω^)」
ゆかり「むぅ~(´ヘ`;)これは精進せねば!( ・`ω・´)」
猫魔女「シェラザードは撫でるの上手だにゃ( ´ー`)ミーナも満足気だし♪(´∀`)」
シェラザード「ふふ(*´∇`*)可愛い子だもの、自然撫でる手も優しくなるわ( ´ー`)」
ユニ「|д゜)ジー、いいなぁ~ゆかりちゃん!(о^∇^о)ユニも猫のアリサおねぇちゃんをいっぱいなでなでしたいなぁ~♪(*≧ω≦)」
シドウ「儂もじゃあーっ!(ノ≧▽≦)ノホレ! 黒竜よそこを代わるのじゃ!( `Д´)/」
ゆかり「駄目に決まっているだろう!(。・`з・)ノ」
シェラザード「そうよ黄龍(-_-;)貴方はそこで大人しく座ってなさい(;¬_¬)」
シドウ「うぐぐっ!!(*T^T)」
アルティレーネ「シドウ……嘆かわしい……(-""-;)」
レウィリリーネ「……『懐刀』再編も考慮すべき?(´・ω・`; )」
ティリア「もう隠居してもらってゆかりに入ってもらいましょうか?( ̄0 ̄;)」
フォレアルーネ「お、ティリア姉♪(°▽°)それいいじゃん(゜∇^d)!!」
聖女「そうすると暇になったじいちゃんが余計にハッスルしちゃうんじゃないかしら……?(゜ω゜;)」
全員「あー……(;゜д゜)」
シドウ「ほっほっほ♪(´▽`*)隠居か、それも良いのぅ~(゜ー゜*)」




