閑話 風雲! アリス城! ~肆~
アリサ「四日目だよ~♪ヽ(*´∀`)ノ三が日もあけて、今日から仕事始めの人もいるかな(´・ω・`)?」
ユニ「そんな人にはユニから頑張って~って応援!ヽ(*>∇<)ノ」
ティリア「お正月特別番組もはや四日目!(*´∇`)」
アルティレーネ「なんだかんだでもう四日目ですかヽ(´Д`;)ノ」
レウィリリーネ「ん(^_^;)早いね、あっという間( ´ー`)」
フォレアルーネ「楽しいと休み終わるの早く感じるよねぇ~(^∀^;)」
ティターニア「うふふ♪(*`艸´)それはそうと、果たしてアイギスさん達は見事『にゃんとわんだぷぅ』をクリアできるでしょうか!?(*´▽`*)」
アリス「むふふふ(*´艸`*)にゃーにゃさんは既に落としましたからねぇ~♪(*≧∀≦)後二人でっす!ι(`ロ´)ノ」
みんな「それでは続きをどうぞお楽しみ下さい!(*゜∀゜人゜∀゜*)♪」
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【なんとかなった】~死ぬかと思ったわ~《レイリーアview》
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にゃにゃにゃ!! どどど、どうすればいいのよ!? こんな大きな犬にじゃれつかれたら、子猫になってるアタシ達はそれだけで命の危機よ!?
「慌てるにゃレイリーにゃ! いいか、ここは女神様の中でも最も冷静で察しの良いレウィリリーネ様に助力願うのだ!」
「ニャイギス! わ、わかったわ……そう言うことなら、いい? いち……」
「にの……」
流石アタシ達のリーダーね! この緊急事態に咄嗟に突破口を見付け出すなんてやるじゃない! いいわ、アタシはさっぱり思い付かないし、あんたの作戦に乗るわよ! レウィリリーネ様は……ナイス! 一番近い位置にいるじゃない!
「散開っ!! 走れ走れぇーっ!!」「オッケェーッ!!」
「「ワワワワーンっ!!!」」
ドダダダダダーッッ!!!!
そうして始まる壮絶な追いかけっこ!! うわっ! あのワンちゃん達速い! 数多くいる猫と犬の間を必死に潜り抜けてもあの大型犬の二頭、ワンワン吠えて他の猫ちゃんとワンちゃんをびっくりさせて強引に道を開けさせて追いかけてくるぅー!!
「高さだ! レイリーにゃ跳べ! 高さを利用しろ!!」
「はっ! そうか!! わかったわニャイギス!」
はい、そこのモコプーちゃん! ちょっとごめんなさいね、背中を借りるわよ!
「ぷぷぅ!?」
にゃーんぷぅ! ニャイギスのアドバイスを受け取ったアタシは近くにいたモコプーちゃんの背中に駆け上がってからの大ジャンプ! 高く跳んで椅子に飛び移り、ソファーの背もたれの上を駆け抜けレウィリリーネ様の下に!
「ばうわうっ!!」「うぅ~わぉんっ!」
や、やったわ! 振り切った! アタシとニャイギスが走り回ってそれを追いかけてくるあの大型犬に流石に危険と感じたんだろうカインとエスペルちゃんが止めてくれたわ。よかった~こんな室内であんにゃ大きなワンちゃんが暴れたら他の子が怪我しちゃうかもだし……
「ニャイスだレイリーにゃ! この騒動でレウィリリーネ様も私達を見ておられる! このまま突っ込むぞ!?」
「了解にゃーっ」
にゃにゃぁーっ! レウィリリーネ様ぁぁーっ! お助け~!
「ん? 子猫……大きな犬に追い掛けられて、怖かったね? ……あ。そう? そう言うこと?」
た、辿り着いた! アタシとニャイギスはレウィリリーネ様の前に来ては並んでお行儀よくお座りして、なんとか気付いてもらおうとにゃぁにゃぁにゃいて見る! レウィリリーネ様はアタシ達が大きな犬に追い掛けられて怖かったからにゃいてるものとでも思ったのかしら? 優しく撫でてくれるのだけど、そうじゃにゃくて! 気付いて~アタシよぉ~!
「ん。はい、お菓子。アリサお姉さんの作ったドーナッツ♪ とても美味しい」
「ちっがぁぁーうっ!! って、ニャイギス! あんたはにゃにを嬉しそうに食べてるんにゃ!?」
「あむあむっ! おおお! これはなんたる美味! っと、にゃんだレイリーにゃ? 食べておいた方がいいぞ? 後二つの関門があるんだからにゃ?」
にゃにを悠長にゃこといってるんにゃあんたは!? レウィリリーネ様にアタシ達だって気付いてもらわにゃきゃ意味にゃいでしょー!?
「ん♪ 美味しい口可愛い。レイリーアも食べて」
「にゃぁ!?」
にゃんと!? レウィリリーネ様気付いていらっしゃったの!? 一体いつから? 誰にも聞こえないくらい小さなお声でアタシ達に話しかけてくれるレウィリリーネ様に驚いたわ! ニャイギスが「女神様達の中で一番察しの良いお方」って言ってた意味が実感としてわかっちゃった!
「最初から。あたし達は『万能言語』持ってるから皆わかってる。アリサお姉さんは動物達相手にはわざとそれを使っていないけど……」
「では、アリサ様はにゃーにゃの事を知らずに骨抜きに……」
にゃ、にゃぁんだそうだったのね! よかったわ、これでうまいことこの関門もクリアーできそうね! でも、どうしてアリサ様は動物達限定でその便利な『万能言語』を使わないのかしら?
「知らない方が良いこともあるって言ってた。あなた達も色々考えてみるといい……」
「にゃるほど……確かにそうかもしれませんね……」
レウィリリーネ様のお言葉にニャイギスが頷く。うにゃにゃ……まぁ、アタシは深く考えるのはやめておくにゃ。アリサ様はアリサ様にゃりに深いお考えがあるんだにゃ!
「じゃあ、出口まで連れてってあげる。おいで?」
「「にゃん!」」
アタシ達はレウィリリーネ様に抱きかかえられて、出口まで移動するのだけど、その途中……
「うぅぅ~どうして私にはどの子もなついてくれないのよぉ~?」
一人ぽつんとクッションに座って、お菓子をエサに猫と犬を側に寄らせようと頑張ってるものの、どの子も遠巻きに見るだけで近寄ってくれず、涙目のティリア様。どうして近寄って来にゃいのかしら? 何か感じ取っているのかしらね?
「にゃあ~ん♪」「にゃにゃー」「わうわうっ!」
「あはは♪ ミーナちゃんまるでこの子達の王様みたーい!」
「ふふ、ミーナは女の子だから女王様じゃないかな?」
一方こちらは、椅子の上でふんぞりかえってるミーナちゃんと、床で伏せをしてるネコと犬達を見ては楽しそうに微笑むユニちゃんとアリサ様がいたりする。ふふ、ミーナちゃんはアリサ様の『聖霊』ってだけあって、格の違いを感じているんだろう。
「あぁ!? こらぁーっ! そのクッキーはうちのだぁ~返せワンワン!」
「きゃあ! ちょっとネコちゃん! 私のドーナッツですわぁ~お返しなさーい!」
また別の方を見れば、お菓子を犬と猫に横取りされてるフォレアルーネ様にティターニア様。うふふ! きっとイタズラ好きな者同士波長が合うのかもしれにゃいわね♪
「うふふ♪ あらあら、そうなの? でもそこはちゃんと見守ってあげましょうね?」
「わうわう」「にゃあにゃあ~」
カーペットにクッションをひいて周りの犬猫と楽しそうにおしゃべりするアルティレーネ様。一体どんな相談受けてるのかしら? 子育ての難しさとかかにゃ?
と、まぁ、賑やかで思わずほっこりしちゃうような素敵な空間。ふふ、今度は普通に触れ合いたいわね!
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【おのれサーサ】~正気に戻れ~《レウィリリーネview》
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「ふふ、お疲れ様でしたアイギスさん、レイリーアさん」
(無事の突破おめでとうございまーす! ぷっぷぅ♪)
「ちぃーっ! 中々やりやがりまっすねぇ! アリスの予定だとここで全員マスターにメロメロキャンディーペロッペロ~♪ の骨抜き状態にされてリタイアーって流れでしたのに!」
子猫にされたアイギスとレイリーアを抱きかかえて『にゃんとわんだぷぅ』の出口の扉まで来ると、カインとエスペル。そして悔しそうなアリスがそれぞれに彼等の健闘を称えた。うん。あたしも見事だったと思う。特にアイギスの機転がよく光っていたと思うし、レイリーアも即座に応えてみせた。冒険者として培ってきた経験がとても大きな意味を成したこの第三関門。あたし達にとっても大きな学びとなったように思う。
「まぁ……サーサはいきなりアリサお姉さんに捕まったから仕方ない」
そのサーサは今もアリサお姉さんに甘やかされてゴロゴロと言って甘えている。……少しむっ! ってなったので、ささっとアイギス達を外に出しゲームを終了させよう。
ポフンッポフンッ!!
「おおっ! やったぞ! 戻れた!」
「はぁ~よかった! これで無事クリアね!!」
「クリアー!! クリアだ『白銀』! おめでとうっおめでとおぉーっ!! サーサと言う尊い仲間が脱落してしまったが、アイギスとレイリーアが無事に出口へと到達! 『にゃんとわんだぷぅ』を突破したぁーっ!!」
アイギス達はこの館の外に出た瞬間変身が解けて元の姿に戻る。それは第三関門をクリアーした証拠でもあり、司会実況エルフも彼等を称えている。そしてサーサは……
「きゃあっ!? えぇーっ! あんたサーサだったのぉーっ!?」
「にゃんにゃんにゃ~ん♥️ アリサ様アリサ様ぁ~♪ んふぅ~もっともっとぉぉ撫でて撫でてーっ!」
元の姿に戻ってアリサお姉さんに抱きついて撫でるようにおねだりしまくっている。むぅぅ……髄から魅了されてしまっているみたい。目を覚まして!
「うわはは! サーサっち甘えすぎぃーっ! おもろっ♪」
「あらあらあらあら、サーサさんサーサさん。もう元の姿に戻っていますよ?」
「撫でてーって……え?」
ふふふふ、フォレアにアルティ姉さんナイス! 二人の言葉にサーサは、はっとなって周囲をキョロキョロ見渡す。テーブルの上で寝転がっている自分。なまあったかーい目で見てくるみんな。そして最後に自分の手足を確認して……
「にゃあ~ん♥️ アリサ様ぁぁーっ! 撫でて撫でて~♪」
「おいおい!? サーサぁーっ!?」
「なんたることじゃ! あやつ完全に正気を失ってしもうたようじゃぞ!?」
「これはなんてことだぁぁーっ!? 自分の姿を確認したサーサ! あまりの羞恥心に泣き叫ぶのかと思いきや再びアリサ様に甘え出したぁぁーっ!? 何やってるんだお前はぁぁーっ!? アリサ様ぁぁーっ! 貴女のそのフィンガーテクニックは本当にどうなっているんだぁーっ!!?」
ま、まさかの甘え方を再開し始めたサーサに観衆も戸惑いを隠せない! もう無責任にワイワイと盛り上がっている。……いや、うん。確かに彼等に何の責任もないのだけど。
「あらら、もう~しょうがない子ねサーサは♪ はいはい、よしよし。私は逃げないからちょっと落ち着こうね? 甘えたいならいっぱい甘えていいからね、ほらほらドーナッツ食べりゅ?」
「わーい♪ アリサ様大好き~♥️」
「あははは、サーサお姉ちゃんいっぱい頑張ったもんね! ユニからもなでなで~♪」
「ユニちゃんも大好き~♥️」
むぅぅっ!! おのれサーサ! あんなにいっぱいアリサお姉さんに甘やかされて……!! 後でちょっと意地悪をって、一瞬思ったけどやめておこう……多分落ち着いて冷静になったとき、サーサはもんどりうって悶えることになるだろうから。そして……
「うっふっふ♪ これは後にお宝映像として価値が跳ね上がりそうねティターニア!」
「うふふ! ええ! まったくもってその通りですわティリア様♪ 時々この映像でからかってさしあげましょうね!」
「うっひっひ♪ いやぁ~うちらのこの企画! やって見てよかったわぁ~滅茶苦茶楽しいじゃん!」
……イタズラ大好きのあたし達にバッチリと記録を撮られているのだから。
「なんっっという溢れる母性かぁぁーっっ!! かつて主神ティリア様が『ママ』と呼んでしまった事も納得の優しさだぁぁーっ!! ママァぁーっ! 我々もドーナッツ食べたいぃよおぉぉぉーっ!!」
うおおおぉぉぉーっ!! ドーナッツ食べりゅうぅぅぅーっ!!
《ドーナッツってあのわっかか? ほらレウィリリーネ様が手に持ってるやつ?》
《ご主人の作ったもんだ。さぞかしうめぇんだろうなぁ~?》
《グリフォン共、貴様等全員分を用意するなどとんだ手間であろう? あまり期待せぬことだ》
《《《えぇーっ!? そんなぁーっ! ゼーロの兄貴頼んでみてくれよぉぉーっ!?》》》
ん♪ 騒ぐ観衆に対してそのドーナッツを食べてるあたし達はちょっと優越感。ほらほら、これがドーナッツ。だよ? あ~ん♪ うん、美味しい♥️
あああぁぁーっ!!? レウィリリーネ様の意地悪意地悪ーっ!!
「外のモニターと繋いでみれば……誰がママだ誰が!? 何を騒いでんのよまったく。そんなにドーナッツ食べたいなら、今度料理教室でみんな一緒に作りましょ? 多目に作ってグリフォン達にもちゃんとわけてあげるって約束するなら教えるわよ~!」
イエェェアアアァァァァーッッッ!!!!
隣の芝生は青く見えるもの。あたし達が美味しそうに食べてるのを見た観衆も、それと同じで、このドーナッツを食べたくなっちゃってしょうがないんだろう。アリサお姉さんの一言に凄い歓声が起きた。
「それにしても全然気付かなかったよ。アイギスとレイリーアは何処にいたの?」
「アリサおねぇちゃん、にゃうにゃうおしゃべりしてたあの子猫ちゃん達だよ、きっと! ユニ達に見付かって逃げちゃった子達♪」
「ああ~そう言うことかぁ、成る程ね~私が仕掛人にされちゃってたわけか。ふふん、中々小賢しいことするじゃないアリス。でも、アイギス達の方が一枚上手だったわね? 見直したよ♪ アイギス、レイリーア♪」
どうやらアリサお姉さんもあたし達とアリスの企みに気付いたみたい。サーサの二の舞になることを恐れて咄嗟に逃げ出したアイギスとレイリーアのことを褒めてるね。
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【こりゃ懐かしい】~海峡~《アリサview》
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「いえ、本来ならばそのままアリサ様をお助けすべきところ、為す術もなく撤退せざるを得なかった自分の無力を恥じ入るばかりです。ですが!」
「にゅふふのふっ! まぁまぁ~サーサさんだけでも落とせましたし! まだ二つの関門が残ってまっすしぃ~? 見ていてくだっさいねぇ~マスター!」
私がアイギスとレイリーアを褒めると、アイギスは謙遜してアリスはサーサを脱落させた事にほくそ笑んでいる。
「「必ずや!!」」
「アリサ様の元に辿り着いてご覧にいれます!」
「このむっつりんとレイリーアさんを脱落させて見せまっす!」
……いや、あんた達。実は凄い仲良しなんじゃないの? ほぼ同時に叫ぶ二人に思わずジト目を向けてしまう。
「にゃにおーぅこのむっつりんめぇ~!?」
「負けませんよアリス殿ぉーっ!?」
ぐぬぬーっ!! ってにらみ合いまで始まってしまった、はいはい。じゃれあってないでお互いに移動しましょうね? 私達はお城のモニター室。アイギスとレイリーアは次の関門って……
「あのにゃんことわんちゃん達って何処に居たの?」
「大地のとこだよアリサ姉」
ちょっと気になったので側にいたフォレアルーネに聞いてみると、どうやら『にゃんとわんだぷぅ』にいたにゃんにゃんとワンワンは大地の棲処から、遊びに来てくれた子達らしい。
「大地! あんた高得点よ!! 楽しませてくれたお礼に花丸と好きな料理を作ってあげようじゃないの!」
「おおっ!? マジかよ姐御!! やったぜ! へへっ♪ 今回は犬猫だけだけどよ、俺の棲処にゃまだまだ他にも色んな親子がいるぜ? 今度遊びに来てくれよな!?」
おーう! 勿論だぜ大地ぃーっ! 水菜の棲処の次はあんたのとこ行くって約束してるもんね! むっふぅ~! 色んな動物の親子に会えるの今から楽しみだなぁ♪
「わーい! 楽しみだねアリサおねぇちゃん!」
「ふふ、そうだねユニ♪ さぁ~あそこでにらめっこしてる二人はほっといて戻ろうねぇ~? サーサもいらっしゃい」
「「はーい♪」」
いまだにぐぬぬってにらみ合いを続けるアイギスとアリスを放置して、私はユニとサーサに戻ろうと呼び掛ける。二人は元気よく返事して私と手を繋ぐのだ。
「うー、後でアリサ姉さんに動物になつかれるコツを教えてもらいたいわ……」
「おいたわしやティリア姉様……結局どの子にも触れませんで……」
「ん。単にティリア姉さんを恐がってるだけ」
「ティリア姉ってば何かと雑だかんねぇ~♪ ほら~アリスっち~お城に戻るよ?」
「うふふ♪ そんなにアイギスさんと見つめあっていてはアリサ様がお怒りになってしまいましてよ?」
後に続く妹達とティターニアだ。ティリアは結局にゃんにゃんとワンワンが寄って来てくれることがなくて終始涙ぐましい努力を続けていた。そんな姉に同情するアルティレーネだけど、レウィリリーネとフォレアルーネは情け容赦ないな!?
んで、ティターニアさんや! 私がなんだって? べっつにぃ~怒ってなんていませんけどぉーっ!?
「それで? 次はどんな関門なわけ?」
「次は結構単純。『レウィリ海峡』むふー♪」
そんな訳でモニター室に戻って来た私達。いよいよ終盤に差し掛かって来たこの『風雲! アリス城!』も残す関門は後二つ。次の第四関門は一体どんなのなんだべ? と妹達に聞けば、レウィリリーネが得意気に答えてくれた。
「ははーん。不安定に揺れる細い橋を渡りきるっていうゲームか。柔らかいボールぶつけて妨害するやつよね? 確か挑戦者は手になんか持つんだっけ?」
「あ、アリサお姉さま! どうしてそこまで詳細に存じているんですか!?」
「あっはっは! アリサ姉さんも前世で観てたのねあの番組♪ 面白かったわよねあれ!」
覚えてる覚えてる! あの番組でも結構定番だったゲームだもんね! 見てて目が離せないんだよ、ハラハラドキドキしてさ! アルティレーネが詳細を知ってる私にびっくりしてるけどさ、そーいう理由なんだよ。
「そっかぁ~ティリア姉の遍在存在が、前世のアリサ姉と同じ世界にもいるんだもんね? これ発案したのティリア姉だし、成る程、なっとくぅ~♪」
「なかなかに破天荒な事をお考えになられる方もいらっしゃいますのね? 私こういうの大好きですわ♪」
この『風雲! アリス城!』の発案はティリア。各世界にその遍在存在がいる主神様だ、当然この世界に転生してきた私にも馴染みやすいように、私の前世の世界の情報から選んだんだろうね。おかげで凄く楽しめているから感謝だよ。
「何かと楽しいハプニングもあったが、遂にここまでやって来た! 見よっ!! あの深き谷に掛かる一つの橋をぉーっ!! あれこそ第四の関門! 『レウィリリーネ海峡』だぁぁーっ!!!」
おおおぉぉぉーっっ!!!
あはは♪ なるほど、こりゃまんま「あれ」だわ! 谷を繋ぐ一本橋はちょっと風に煽られただけで左右に揺れる程の不安定さ。そしてその橋の下には落っこちても大丈夫なように網と衝撃を吸収する魔法の掛かっている安全マットが敷いてある。
「よくここまで来たなお前達!! ここでは私と母上がルールを説明してやるぞ!」
「と言っても、何も難しいことなどありませんけどね? この橋を向こう岸まで渡るだけですもの」
その第四関門に到着したアイギスとレイリーアを出迎えるのは、フェリアとネヴュラの聖魔霊親子だ。どうやらこの関門のルールの説明と審判役として起用されたらしい。
「渡るだけって……この橋めっちゃ揺れてない? めっちゃ細くない!?」
「それだけじゃないぞ? ほら、この玉を持てレイリーア」
出た。あのボールだ。フェリアが何処からともなく取り出したバレーボールくらいの大きさの玉ころを投げ渡されるレイリーア。おっとっとって感じでキャッチだ。
前世の番組では確か、あのボールを橋に乗った状態で、機械から打ち出されるのをキャッチしてたと思ったけど、こっちじゃ手渡しで最初から所持した状態からスタートするみたいだね。
「これを持ったまま、向こう岸まで渡って下さいね?」
「ああ、安心しろ。勿論途中で妨害する者はちゃんといるからな!」
「「ぜ、全然安心出来ない!!」」
ネヴュラとフェリアの説明に思わずハモって顔を青くするアイギスとレイリーアだ。まぁ、このゲームは妨害があってこそ面白いし、盛り上がるからね。さて、その妨害を担当するのは誰なんだろ?
「あぁっ! 見てアイギス! 風が魔力を帯びて形になるわ!」
「あ、あれは……エアリアルとシルフ!? それにジンまでいるぞ!?」
ヒュオオォォーって風が鳴くと、それらが人の姿になってみんなの前に現れる。いずれも風を司る精霊と妖精達。ファンタジー物ではお馴染みの精霊シルフに妖精のエアリアルとジンだ。みんな周囲に色違いのボールを浮かべて楽しそうに笑っている。なるほど、彼等が挑戦者にそのボールを投げつけて邪魔をする役目か。
「ヤッホー♪ シルフちゃんさんじょー! あっはっは! こーんな楽しいゲームを待ってたよ!」
「ふふ、エアリアルです。お二人の邪魔を精一杯頑張りますね!」
「ガハハ!! 風のジン見参! だいじょぶだよぉ~このボールな? 当たっても痛くないからな? でも衝撃はちゃんとな? あるからな? うわははは!!」
コイツらもまた楽しそうだなぁ~シルフはピクシーを大きくして、普通の人間サイズにしたような可愛らしく元気な少女。
エアリアルはパット見幽霊みたいに体が透けているけど、ちゃんと触れる事も出来る。見た目は清楚なお嬢様だ。
ジンはバルガスに負けず劣らずの厳つい彫りの深いおっかない顔をして、筋骨粒々な大男。でも話してみると結構面白くて、お茶目だったりする、その辺りやっぱり妖精さんだなぁって思うよ。
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【名誉な仕事】~名はまだない!~《エルフview》
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私は『聖域』に拠を隠す『妖精国』のとあるエルフの青年の一人だ。
ある日突如として私達妖精を取り巻く環境が激変した、なんと女神様達が再び御降臨されたと、我等が女王ティターニアにより報されたのだ! 世界の創造神である三神の一柱、アルティレーネ様自らが『妖精国』に訪れた事もあった。あの時は国中が大騒ぎとなったものだ。
そしてその女神様達が今や姉と呼び慕う『聖域の魔女』こと、アリサ様の数々のご配慮によって、私達は毎日を楽しく過ごせている。どれだけ感謝しても足りぬばかりだ。何せ私達妖精は、その多くが陽気なイタズラ好きの者達ばかり。狭い『妖精国』では物足りないと感じていた者も多くいたのだ。
「うふふ、如何かしら? とても楽しそうな催しだとは思わない? 是非とも貴方に司会と実況を務めあげてほしいのだけれど?」
「うんうん! うちからもお願いだよ! いっちょやってみてよ!?」
そんなある日のことだ、私はなんと女王と女神フォレアルーネ様に直々に呼び出され、とあるアトラクションの司会実況と言う大役を仰せつかったのだ! 何せ女王と女神様からの依頼だ、当然断る事など出来るはずもない。まぁ、恐れ多くはあるが、断るつもりなどサラサラなかった私は二つ返事でお応えし、その司会実況とやらについての猛勉強を開始した!
「ふふふ……その成果が今のこの場で花開く!! みんなぁーっ! いよいよ第四関門がスタートするぞぉぉーっ!? しかとその目に『白銀』の勇姿を焼き付けるぉぉーっ!!」
おおおぉぉぉーっ!!
ふふふ! 堪らん! 大声で叫ぶことで皆を盛り上げるこの楽しさと言ったら! 知人には「お前変わりすぎだろ!?」とか言われたが、何。構うものか! 楽しければよかろう!?
「最初に手渡されるあのボールを放す事なく、橋を渡りきればクリアーだ! 但しっ!! 橋から落下してしまうと『挑戦権』を一つ失うぞ!? 『レウィリリーネ海峡』では挑戦者にはそれぞれ、二回! いいかぁ~? 二回の『挑戦権』が与えられるのだぁーっ!!」
うむ、当初の予定では泣いても笑っても一度橋から落ちてしまった時点で、問答無用の失格扱いになる予定だったそうだが、問題が発生したらしいのだ。と言うのも、まだまだ参加する挑戦者の数が少ないこと、結構難しいアトラクションであること、等が挙げられて、ゲーム開始からあっという間に終了してしまう恐れが出たのだ。
「ああ、なるほどな……あのほっそくて、ぐらんぐらん揺れる橋を、手にボール持った状態で、シルフ、エアリアル、ジンの妨害を受けながら渡りきる。下手すりゃあっという間にゲームが終了しちまうかもしれねぇから、二回挑戦することが出来るんだな?」
「いやはや……二回って少なくないかのぅ~? 儂じゃ絶対足りんぞ? なんかこう、パスしても良いと言う特典なんかがあると嬉しいんじゃがのぅ?」
ほほう! なかなか貴重な意見じゃないか! よかろう! ドガのその意見、後で女神様達にお伝えしておこうじゃないか! しかし……ゼルワから見ても難しいと感じるか? 『妖精国』の片隅で秘密裏に行われたテストプレイでも、クリアー出来た者は極少数であったからな! さて、どうなることやら?
「チャンスは二回……一度目で渡りきる事が出来れば文句なしだけど、落ちてしまったとして……うん。コツくらいは掴んでおきたいわね!」
「ん? 待てよ……よくよく考えればこの関門……レイリーア。先ずは私が行こう」
おっと、先陣を切るのはアイギスか。彼はフェリア殿からボールを受け取り、橋の前に移動する。
「さぁ~いよいよゲームスタートだぁぁー! 先陣を切るのはアイギス! 今ボールを受け取って海峡にかかる橋に挑むぞおぉーっ!!」
わあぁぁーっっ!! 頑張れアイギスーっっ!!
「すごい! すごぉぉい声援だぁぁーっ! この応援団に応えずして何が騎士かぁーっ!? 今っ! アイギスの騎士としての資格が試される! 刮目せよぉぉーっ!!」
「ふっ、応えて見せよう! いざっ! 『白銀』がアイギス、推して参る!!」
ザッ! ザッザッザッ!!
おぉぉ? なんだなんだ? すごいぞアイギスの奴。あの細く、揺れやすい橋をまるで街道を歩くかのように自然体で歩いている。落下してしまう恐れも、その迷いもない歩みだ! しかし、妨害はどうするつもりだ? シルフもエアリアルもジンも容赦などせんぞ?
「あーらら♪ むっつりんさん正気でっすかぁ~? そんなお散歩ですよぉ~みたいな歩き方でその橋を渡れるとでも思ってんでっすぅ~? ぷっふぅー♪」
「それはどうかしら? アリス、私と賭けをしましょうか? 私はアイギスがこの一回目の挑戦で橋を渡りきることに賭ける。もしアイギスが落ちたらアリスの勝ちよ? どうする?」
なんと!? アイギスの無謀にも思える歩みに笑い出すアリス様に対して、まさかのアリサ様から大胆な挑戦状が叩き付けられた!
「へ、へぇぇ~? 凄い自信じゃないでっすかマスター、じゃ、じゃあアリスが勝ったらどうしてくれるんでっしゃろか教えてくだしゃいよぉ~?」
「そうね、一日だけ私のマスターにしてあげる。立場交替券なんてどうかしら?」
まっじかああぁぁぁーっっ!!!??
「のったぁぁぁーっっ!! うっひょひょーいっ!! ぜぇぇったいでっすよぉぉーっ!? くっふっふぅーっ! 一日もあればマスターをあんなむっつりんの手の届かない世界に連れて行って差し上げまっするぅあぁぁーっ!!」
「なななっ……なんてことだぁぁーっ!? アリサ様が! アリサ様がご乱心だぁぁーっ!! どうかっ! どうか正気にお戻りくださぁぁーいっ!!」
そうだそうだーっ!! アリサ様お考えなおして下さいませーっ!! などなど、阿鼻叫喚に包まれる『聖域』である! アリサ様とアリス様のお立場が逆転されるなんて危険過ぎるではありませんか!?
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【手の平返し】~ある意味尊敬する~《バルガスview》
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「カカカ♪ わからぬであろうなコヤツ等には」
「ふっ……アリスのあの勝ち誇った顔がどうなるか、見物であるな」
「ほっほっほ、魔女の性格を理解しきれておらぬようじゃのぅ」
「アリサ様は考えなしにそんな賭けなんてしないんだぞー?」
ふふ、皆慌てておるわ。アリス殿も既に自身の勝利が間違いないものとしてはしゃいでおられるのだが……それは甘い考えと言わざるをえんな。して、やはり流石は『懐刀』の皆様達よ。アリサ様のお考えをよくご理解されておる。
「へっ! 精々今のうちにはしゃいどくといいぜ~アリスさんよ!」
「うむ。アイギスはやるときはやる男じゃ。なんも心配はいらんわい!」
アイギスの仲間。ゼルワとドガも落ち着いたものよ。
そう、アリス様は知らぬのだ。何故アリサ様があの無謀にも思える賭けを提案されたのかを。
我等剣を手にする者達がアリサ様より、何を教授されておるかを。
「アリサおねぇちゃん大丈夫なんだよね? アイギスのおにぃちゃん、ちゃんと渡れるよね?」
「普段慎重なアリサ様がこんな大胆な賭けに出るなんてびっくりですけど……私は信じます! アリサ様とアイギスを!」
ユニ様とサーサも少々不安気な様子でアリサ様に話しかけておる。ふむ、先の関門で錯乱気味であったサーサもだいぶ落ち着いてきているようだな。
「アリスもサーサも……ネヴュラとパルモー、ティターニアも……ふふふ、知らないでしょう? あんた達は魔法が主体だものね? 見なさい。アイギスを!」
モニターに映るアリサ様のお言葉に、魔法を得意とする者達がハッとした顔を見せた。そして海峡を渡るアイギスに注目が集まるのだ。
「な、何が!? 何が起きているんだこれはぁぁーっ!!?」
「な、なんでなんでーっ!? なんで当たんないのよぉーっ!?」
「あ、アイギスさんは普通に歩いているだけなのに!?」
「むううぅっ! そりゃそりゃそりゃあぁーっ! 何故当たらん!?」
う……うおおぉぉぉーっっ!!? すげぇぇーっっ!! どうなってんだありゃあぁーっ!?
ゆらりゆらり。アイギスは気負う事なく自然体のまま、その顔に笑みすら浮かべ只橋の上を歩く。飛び交う妨害ボールが目の前を横切ろうと動じない。
「フェリアフェリア!? ちょっと、どうなってるのよ!? 貴女まさかアイギスさんにイカサマでもさせてるんじゃないでしょうね?」
「怒りますよ母上? 剣を知らぬ母上やパルモーにはご理解出来ないでしょうけれど。私達にとってこの関門は只の道でしかありませんからね?」
妻のネヴュラが何かイカサマでもしたのではと我が娘フェリアに詰め寄るが、娘の言う通りよ……アイギスのあの歩み。それは……
「剣聖剣技・奥義の歩方『流転』。自分に迫る『力の流れを読み知り歩みへ転じさせる』メルドレードの奥義よ。更にこの上には『霞』なんてのもあるんだけどね♪」
「にゃにゃにゃっ!!? にゃんでっすかぁぁーっ!? そのチート能力はぁぁーっ!?」
「ゴオォォールゥッ!! す、すごい! 凄いぞアイギスぅーっっ!! 終始その安定した歩みを止める事なく、第四関門をクリアーだぁぁーっ!!」
ほらね♪ と、驚愕にそのお顔を歪めるアリス殿にウインクをして見せるアリサ様だ。そう、我を始め、アイギス、フェリアは既にこの歩方をアリサ様より教え給わり己のものとしている。まだまだ実戦で使うには経験が足りぬが、このくらいの関門であれば何の問題もなく使えるのだ。
「ふふ~ん♪ さぁ~アリスぅ~? 賭けは私の勝ちよ? 貴女、さっき私を「アイギスの手の届かない世界に連れて行く」なんて言ってたわよねぇ~?」
「え? 何ですかそれ? アリスそんにゃ賭けしりましぇ~ん♪ ウヒョヒョーイ☆」
ええぇーっ!!?
「苦しいぃーっっ!! それはあまりにも苦しいぞぉ~アリス様ぁーっ!? 先程のやり取りは映像として記録が残されております! 証拠がある以上逃げられはしないぞおぉぉーっ!!?」
「そうよ~見苦しいわよアリス!?」
「ん! ちゃんと約束は守らなきゃ駄目」
「そうだぞーっ! ゆにゆにが真似したらどーすんの!?」
「むぅーっ! ユニはちゃんと約束守るもん!」
ふはははっ! いやいや、まさかの開き直りとは恐れ入る! ある意味流石はアリス様と妙な敬意を払いたくもあるな! 司会のエルフに女神様から、果てはユニ様にまでからも責められるアリス様だが、大した胆力だ。
「あら? ざーんねん。折角新しい可愛い服を試着してもらおうかなぁ~って思ったのになぁ~?」
「はいっ! 賭けアリスちゃんの敗けでした! アリス喜んで試着させていただきやっす!」
ズコーッ!! なんだそりゃあぁーっ!!?
うわはははっ!! 腹がよじれそうだ! これほど見事な手の平返しもそうそうあるまいな!!
アルティレーネ「ふふっ(^-^)残念でしたねサーサさん(*´艸`*)」
サーサ「うぅ(-_-;)いきなりアリサ様につかまってしまうとは……((゜□゜;))」
アリサ「あはは(´∀`)こりゃ面白い関門だわ(o・ω・o)」
フォレアルーネ「でもアリスっち~大型犬をけしかけるのは危ないよ!o(*`ω´*)o」
アリス「はぅっ!Σ(´∀`;)すみません(;>_<;)」
レウィリリーネ「……ティリア姉さん( *´・ω)/(;д; )どんまい(^_^;)」
ティリア「うぅ(*T^T)ありがとレウィリ( ノД`)…」
ティターニア「あのワンちゃんとネコちゃん達には主神様の存在は大き過ぎましたのね?(゜A゜;)おいたわしや。・(つд`。)・。」
アリサ「どんまい(´▽σ`)σ♪ティリアヾ(≧∀≦*)ノ〃」
ティターニア「正直ちょっと焦りましたわぁ~(;´゜д゜)ゞ」
ネヴュラ「一日だけとはいえ、アリサ様とアリス様のお立場が逆転されてしまったら……((゜□゜;))」
パルモー「そ、想像しただけで怖い!((( ;゜Д゜)))」
サーサ「あはは(*´∇`)きっと一日中アリサ様を独占されてたんでしょうねぇ~?(*>ω<*)」
アリサ「なんだかんだ言ってもアリスはいい子だからね(*´∇`*)」
ユニ「うんうん(*゜∀゜)*。_。)ユニの後輩だもん!( *´艸`)悪いことなんてしないよね!o(*`ω´*)o」
アリス「……も、もっちのろんろんでっすよぉ~Σ(;゜∀゜)ノアリスちゃんいい子でっす♪゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜」
アルティレーネ「微妙に間がありましたけれど?(¬_¬)」
アリス「気のせいでっす!Σ(゜Д゜;≡;゜д゜)」




