53話 魔女とみんなとのんびりと
久々ののんびりだらだら回。
やはり、こういう方が気が楽で良い( ̄0 ̄;)
あ、明日閑話を一本投稿します、お見逃しなく( ・`ω・´)キリッ!
────────────────────────────
【取り敢えず】~一難去って~
────────────────────────────
「はいはい! 出来たよ、お姉さん達持っていって!」
「はい! アリサ様!」
「ほら! ネハグラ! ジャデーク! 食材が足りない! 急いで補充して!」
「「はい!! 直ちにっ!!」」
「ナターシャ! ファネルリア! 洗い方が雑よ! もっと丁寧に!」
「「は、はい!! 申し訳ありませんアリサ様!!」」
ジュウジュウ~ドタバタドタバタ! あぁ! 忙しい忙しい!!
はい、皆さんこんにちは♪ アリサです。いやはや忙しいのなんの……私は今、セリアベールの冒険者ギルドの厨房でひたすらに料理を作ることに没頭しているので御座います。
「『氾濫』終息記念パーティー……とても喜ばしい事ですが、厨房にとっては宣戦布告に等しいわね」
「そうね……もの凄い数のお料理、お酒が飛ぶように消えていくもの……」
そう、今はセリアベールの街全体をあげての大祝祭! 街の住人達、冒険者達、そして私達『聖域組』を含めた総力戦の末、長年苦しめられて来た『氾濫』が漸く解決して、セリアベールは新たな一歩を踏み出す事になる。今日はその記念すべき第一歩を祝しての盛大なお祭り。住人達は皆仕事を忘れて、食事にお酒に歌に踊りにと、種族も身分も越えておおいに盛り上がっている。
「宣戦布告とはまた、上手いこと言うね給仕のお姉さん達! はいよ一丁上がり♪」
「はい、直ぐに運びますね!」
「お願いします! 私達今までこの冒険者ギルドで働いてきましたけど……今日ほど大規模な宴は見たこともありませんでした」
じゃんじゃこ作り上げる料理をひっきりなしに会場へ運ぶ給仕のお姉さん部隊。みんな忙しくしているものの、その表情はとても明るく、喜びに満ちている。
「ふふ、今回はまだまだ序章に過ぎませんよ?」
「おう、ほらよ! 簡単男飯上がり! 持っていってくれ!」
「こっちも串焼きができたぞい!」
「ああ、皆も聞いたように今後各教育機関の設立や、『悲涙の洞窟』改め、『セリア洞窟』の探索、そして他国との外交の強化……」
「更に極めつけが『セリアルティ王国』の復興よ!?」
一緒に厨房に入っている『白銀』の面々には、今までに作ってあげた簡単な料理を任せている。サーサが切り揃えた食材をゼルワが醤油や味噌、コーチョ等で別々に味付けした炒め物を作り、ドガとファムさん夫婦は串焼きを担当、ラグナースとレイリーアのカップルにはポテトチップス等の揚げ物を作ってもらい、アイギスには私の補助を受け持ってもらっている。
そうなのだ、最初にサーサが言ったように今日は始まりに過ぎない。実は私達が『氾濫』を解決した後、なんと大陸を隔てた西方のゲキテウス国、東方のエルハダージャ国からそれぞれ応援が来たのだ。
「やぁやぁ! 我等ゲキテウス国! 友たるセリアベールを守らんがため遅まきながら馳せ参じた! 我等が友人達よ! 共に戦おうぞ!」
「エルハダージャ遊軍部隊参上! 微力ながら貴君等に助太刀致す!」
と、まぁ……士気揚々、勇ましく駆け付けてくれたわけだ。最初混乱に乗じて侵略でもしに来たか!? なんて思ってしまったけど、彼等の話を聞くとどうも両国共に国王とゼオンは親友の間柄らしいのだ。セリアベールに使者というか、冒険者らしいけど……それぞれの国出身の者が多数いて、『氾濫』発生の兆しありみたいな情報を得ていたんだって!
「もう決着がついていることに驚いてはいたけど、掃討戦では大活躍してくれましたよ」
「部隊を率いている両国の隊長さんは、「ろくに働いてもいないのに宴に参加しても良いのか?」とか殊勝な事を仰ってましたけど……ふふ、楽しんでおられるようで良かったです」
ゼルワとサーサが彼等の事をそう話している。勿論ゼオンも街のみんなも感謝しているよ。それが、さっきアイギスが言ってた『外交の強化』に繋がる。
そいでもって、『教育機関の設立』だけど、これは私が提案した主にスラム街の子供達を中心に試験的にスタートして、ゆくゆくは街の住人全員に教育を施す学校を基礎教育機関として、そこから各分野専門的な知識を学べる専門学校みたいな機関を作っていくって話。
そして『悲涙の洞窟』は、『迷宮核』もろともアルティレーネの管理下に置かれることになったため、『迷宮』に近いダンジョンになった。これを期に名を『セリア洞窟』と改めて、冒険者達の新たな活動の場となるらしい。
「街の住人、ほぼ総てに基礎的な教育が施され、更に望む分野の教育も受けられるとあらば、間違いなくセリアベールは大きく発展していきますね!」
「そうね、あなた。惜しむらくは私達は受講出来ないことかしら?」
えっちらおっちらと食材が詰まった木箱を運んでくるネハグラから、その野菜を受け取りせっせと洗う奥さんのファネルリアがそう話す。
「そうだな兄さん、娘のシャフィーもその学校に通わせてあげたいよ」
「ジャデーク! 贅沢を言ってはいけないわ! 私達がこうして一緒にいられるだけでも凄い事なのよ?」
別の木箱を運んで来たジャデークが、奥さんのナターシャにその中身を手渡し、兄のネハグラの言葉に相槌を打ってきた。ナターシャは命があっただけマシなんだから贅沢言うなって注意してるね。
人質にとられていた奥さんと娘さんを無事に救出して、ゼオンの執務室に連れ帰ったら、それはもうこれでもかってくらいに感謝されて、ちょっと困ったりしたんだよね。で、この家族をどうするかって話になったんだけど、黒フードの連中の足取りや、『死霊使い』の正体とか判明しない内は、セリアベールに置いておくのは危険だって全員の意見が一致した。その結果、この二組の家族は私達『聖域』で預かる事になったんだ。
「何を言うか? 妾達の『聖域』ならばもっと良い勉強が出来ると言うものじゃぞ? それにお友達も沢山じゃ! のう? 楽しみじゃろうシャフィーにネーミャよ?」
「うん!」「噂のユニちゃんに会ってみたーい!」
おやおや、これまた可愛いこちゃん達がやって来たぞ♪ 仲良く手を繋いで厨房に顔を出したのは我等がたまみんこと珠実と、件の夫婦の娘、シャフィーちゃんとネーミャちゃんだ。
「ふふ、ユニは私の大切な妹で親友なの♪ とっても素直で良い子だから仲良くしてあげてね?」
「「はーい! アリサ様♪」」
うん、突然見知らぬ者に拐われてとっても怖い思いをしただろうに……今はにこやかに笑ってる。この子達の心のケアもしっかりしてあげないとね。
────────────────────────────
【ぷりちぃ】~あるちぃ~
────────────────────────────
「アリサ様。『聖域』に戻られましたらどうか私を……いえ、私達を鍛え直して頂きたい!」
振る舞う料理も大分落ち着いて来て、大量に作りおきしておいた分が捌けるまではギルドの職員さんと給仕のお姉さん部隊にお任せしてきた私達。
取り敢えず、『聖域』へ来訪予定の皆を集めて、細かい日程等を話し合おうってことで集まったゼオンの執務室。いやぁ~ここって何気に広さがあって集まるには便利なんだよね。
「……むっつりんさん、抜け駆けはさっしゃーせんよぉ? マスター! アリスは今回で自分の未熟を痛感したでっす! でっすからアリスを手取り足取りねっちりしっぽり鍛えて欲しいのんでーす!」
「それならば私もですわ……アリサ様!」
「我も是非に!」「僕も……」
此度の戦いで各々自分の欠点というか、足りない部分が浮き彫りになったんだろう。アイギス達『白銀』の面々が鍛え直してほしいと、私に懇願してくれば、次いでアリス、ネヴュラ、バルガス、カインも同様のお願いをしてきた。
「わかったわかった! なにかしら考えるからそんなに詰め寄らないでよ~!」
いやはや、熱が凄い。『氾濫』は彼等に大きな影響を与えたみたいだ。まぁ、みんなが強くなってくれれば今後も活躍の場が拡がるのは間違いないので、色々とプランを立てておこうと思う。
「私とフォーネ、それにネハグラさんとジャデークさん一家は『聖域』に行くから安全だろうけど……」
「ゼオンさん、大丈夫? 今後も狙われるんじゃないの?」
「あぁ、つっても、俺が街を離れる訳にゃいかんからな。『聖域』で一通り挨拶済ませて直ぐ戻って来ることにならぁな」
当初の予定通りリールとフォーネは妹のレウィリリーネとフォレアルーネに会うために。それから、先のネハグラ、ジャデーク家族含め、謎の黒フード集団と『死霊使い』から保護する為に、『聖域』で暫く生活してもらおうって思ってる。しかし、恐らくだが、彼等の最大の目標であるゼオンは街の代表者であり、今後も街になくてはならない存在だ。
「ゼオンには私のオプションつけておくよ。何かと連絡もとらないといけないし、護衛もかねてね」
「おぉ、何から何まで済まねぇなアリサの嬢ちゃん」
いいってことよ~♪ そう言って私は一つオプションを展開、さてさて、この子は誰をモチーフにしようかな? どうせだしゼオンと関わりの深いアルティレーネにしようか。
「はい、ゼオン。アルティをモデルにした『あるちぃ』よ♪ 大事にしてね?」
ポンッ!
「「「きゃあぁぁーっ♪ 可愛い~♥️」」」
「「「素敵なぬいぐるみ!」」」
「え……おい、嬢ちゃん……」
「まぁ! これ、私ですかアリサお姉さま?」
ちょちょいと魔力を操作して喚び出したオプションの形を、アルティレーネを可愛くデフォルメしたぬいぐるみにする。大きさはサッカーボールくらいで。円らな瞳をしてニッコリ微笑む可愛らしいぬいぐるみだ。『あるちぃ』はふよふよ飛んでゼオンの肩に止まり、私達に軽く手を振ってご挨拶。
「ゼオン! なんて羨ましい! 私も欲しいです!」
「良いなぁ良いなぁ~♥️ ゼオンさん羨ましい!」
「ワタシもワタシも~アリスちゃんのぬいぐるみ欲しい~!」
「アリスちゃんは是非マスターのぬいぐるみを所望しまっするぅぁ~!」
その愛らしさからかサーサとミストちゃんが真っ先に反応し、ミュンルーカとアリスも騒ぎ出す。それがきっかけになったのか、ナターシャ達家族も含め、集った女性陣がみんなきゃあきゃあ言い出した。ふふ、好評のようでなによりだね♪
「ぷっ! くくく♪ 良かったなぁ~ゼオン? お前は背もでかいし、顔は厳ついし、口は悪いしで威圧感凄いからな。この『あるちぃ』がいれば少しは緩和されるぞ?」
「セラぁ~噛み殺してても笑ってるのがバレバレなんだよ! アリサの嬢ちゃん、流石にこれはねぇだろ? なんとかならんのか?」
セラちゃんにからかわれているゼオンがなんとかしてくれって言うけど……良いんじゃないかね? セラちゃんの言う通りあんた近寄りがたい雰囲気出てるし。
「あら、ゼオン? そんなこと言うとアルティが泣くわよ?」
「な、泣きませんよ!? でも、その……ユグライアは嫌、ですか……その子?」
「うっ! い、いえアルティレーネ様……そのようなことは、ない……のですが……」
うぷぷっ♪ ゼオンってばアルティレーネのかなしそーな顔見てオドオドしてるよ! おもろ~い♪ 言っとくけど妹を泣かしたら許さんぞ~?
「なるほど! 著名人をモデルにした様々なグッズ! これはいいです! 売れます売れますよ! そうですね、手始めにギドさんと連携して『白銀』装備レプリカとか! アリサ様や、アリス様。カインさんや珠実様をモデルとした可愛らしいぬいぐるみ!」
「ダーリン素敵!! ねぇねぇ! それならミーナちゃんとユニちゃんのぬいぐるみも作りましょうよ!」
おおぅ、ラグナースが興奮気味に反応したぞ!? いやいや、待ちたまへよ。そんなアイドルグッズみたいな扱い受けると流石に照れるって! あ、でも私もミーナ、ユニ、珠実のぬいぐるみはチョー欲しい♥️
「「「賛成賛成!!」」」
「……お前達……自分自身もモデルにされる可能性がある……と、理解……してるか……?」
し~ん……
みんなノリノリでグッズ化計画に賛成の意を表明するが、状況を静かに見守っていた、デュアードくんの一言にピタリと動きを止めてしまった。
「あ、あれ……ちょっとデュアードさん! もう少しで皆さんの承認が得られるところでしたのに!」
おい! 何気に腹黒いなラグナース!
「デュアードの言う通り、自分がぬいぐるみのモデルになるのはなんかこそばゆいよなぁ~って! アリサなにしてんだよ!?」
「あ、バレた♪ セラちゃんをぬいぐるみにするとこんな感じだよ! バルドくんあげる~大切に可愛がるようにね!」
「え? あ、はい……大事にします」
「だから何してんだぁぁーっ!?」
「「「「可愛いぃぃ~♥️」」」」
アハハ♪ 楽しい~イメージ魔法で作ったセラちゃんのぬいぐるみはみんなに好評だ。きょとんとして受け取ったバルドくんも、ぬいぐるみを見て微笑んでいる。セラちゃんは顔を真っ赤にして照れまくり、自分のぬいぐるみとバルドくんの顔を交互に見てはあうあうしてる♪
────────────────────────────
【フィギュア】~絶対誰もがやること~
────────────────────────────
「ふふふ! やりました、やりましたよ♪ ありがとうございます皆さん! 出来上がったら真っ先に皆さんにお配りしますね!」
わっしょーい♪ ヤッホゥ! って感じで喜んでいるラグナース。結局彼の熱意に押しきられ、私を含め『白銀』と『黒狼』の面々、『聖域組』もグッズ化を承諾しちゃったのだ。
「まぁ……Sランクは偶像とされる事もあるしな、でもサーサとレイリーアのはともかく、俺のとかドガのぬいぐるみなんて売れるかぁ?」
「……ゼルワ、そこに私が入っていないのは何故だ?」
「アイギスのは売れるわい、しかし儂のようなじじいのぬいぐるみなぞ……」
ゼルワが言うようにSランクの冒険者っていうのは、みんなの憧れの対象って事もあってグッズ化すればファンは買うだろうね。だからドガもそう心配しなくて良いんだよ?
「ふふ、私は『白銀』も『黒狼』も全部揃えて部屋に飾るよ♪」
自分で作ってもいいんだけどね、折角だからラグナースが商品化するのを待って買い揃えようじゃないか。売り上げに貢献するぞ♪
「俺達もです。妻と娘が皆さんのファンですし。なぁ、ファネルリア、シャフィー?」
「うふふ、ええ! その通りです」「うん! あたしどっちも好き~♪」
あら可愛い♪ ネハグラの奥さんと娘さんは二組のファンらしい。
「うーん……確かに可愛いけど、俺はもっとこう……彫像のような躍動感がある方がいい気がするなぁ」
「そうね、『白銀』や『黒狼』の皆さんの凛々しさや、勇ましさが伝わるような感じはないわよね。ネーミャのような女の子には喜ばれると思うけれど……」
お、ジャデークとナターシャ夫婦が中々に良い指摘をしてくれた。そうだね、可愛いぬいぐるみは女の子に人気出るだろうけど、大人や男の子には可愛いが過ぎるかもね。
「それなら、こう言うのはどうかな?」
「お、おお! アリサ様……これは我ですかな?」
「まぁ! 私だわ! 凄い、こんな細部まで再現されているなんて……」
ポンッ!
今度は前世にあったフィギュアをイメージして石や木で作ってみた、バルガス夫婦の精巧な人形だ。大剣を構え、今にも動き出しそうな躍動感のあるバルガス人形と、魔方陣を展開させ、戦う最中のネヴュラ人形。色も装飾も細かいとこまで再現した一品だよ♪
「「「おおおおぉぉっ!!」」」
「かっけぇ! 俺断然こっちが良い!」「……ほ、欲しい……!」
するとやっぱり男性陣に好評の声があがる。ブレイドくんとデュアードくんは目をキラキラさせて食い入るように二体の人形を見つめているね。
「因みにネヴュラ人形のこーんな部分もしっかり再現しておりますぞ?」
「なっ!? ああああアリサ様! お止めください! お止めください!」
ふひひ♪ 私がネヴュラ人形を手に取り、上下ひっくり返してバルガスとネヴュラ本人にその拘りの細部を見せてやる。すると、バルガスは顔を赤らめてそっぽを向いて、ネヴュラはあわてふためいて必死に私を止めてくる。ぷふぅ~頬を赤らめて涙目だ、可愛いね!
「……マジか、やべぇ……サーサの欲しいかも」
「ゼルワ、怒りますよ?」
真剣な顔して人形を欲しがるゼルワが隣のサーサに睨まれてる。まぁ、スカートはいた女の子の精巧な人形を見れば誰もがその中身を確認するのは仕方ないことだろう。
「見事だが、このサイズでここまで精巧に作れる職人を見付ける方が骨だと思うぜ?」
「ええ……ゼオンさんの仰る通りですね……ですが、これは見本として……いえ、家宝として店に置いておきたいですね。木工職人や石細工職人の方にお見せしてみたい!」
セリアベールにもその類いのギルドもあれば職人もいるみたいだけど、三十センチ程のこの二体の人形を作れるレベルの職人はいないみたいだ。まぁ、かなり細かいからね。
「取り敢えずこの二体の人形はネヴュラにあげる。お部屋に飾ってね? 後でフェリアとパルモーのも作って届けるから」
「ほっ……ありがとうございますアリサ様! 家宝と致しますわ!」
「感謝致しますアリサ様!」
あーいいなぁ~! って声がみんなからあがるね。どうやらこう言うのも需要がありそうだ。気が向いたら色々作ってラグナースに売ろうかな?
「んじゃラグナースにはこれあげるから、職人に見せびらかすなり、家宝にして大事に飾るなりしなさいな?」
「こ、これは!! ぼぼぼ、僕とレイリーアじゃないですか!?」
「やーんっ! なんて素敵なプレゼントなのアリサ様!」
うん、嬉しそうで良かったよ。私がイメージして具現化させたラグナースがレイリーアをお姫様だっこしている木彫り人形を見て、驚きつつも嬉しそうに顔を綻ばせるラグナース。両手を頬に当てて、いやんいやん♥️ してるレイリーア。
「何て素晴らしい物を……ああ、感謝致しますアリサ様!」
「宝物にするわ! ありがとうアリサ様!」
────────────────────────────
【甘えん坊】~美味しいケーキ~
────────────────────────────
「なぁなぁ~アリサぁ~♪」
「ん~どったのセラちゃん? そんな甘えた声出して~?」
ラグナースとレイリーアが嬉しそうに私からのプレゼントに喜んでいるのを、ほんわかした気持ちで眺めていると、なにやらセラちゃんが側によってきて、私のスカートの裾を軽く引っ張りすんごく可愛い声で私を呼ぶ。ぬふぅ~これは何かおねだりかなぁ?
「アリサ様ぁ~えっとえっとぉ~……はうぅ……」
あぁん♪ ミストちゃんまでよってきた! んぅ~! 二人とも可愛いなぁ~♪ またぎゅってしたいな。
「ほらっ! 頑張るのよセラ、ミスト! アリサ様は貴女達のお願いなら聞いてくださるわ!」
「シェリー、そういうのは本人に聞こえないようにしなさいね?」
まったく、あんたが余計な事言わなきゃ素直に喜べたというのに。軽くむっ! って視線をやるとシェリーはごめんなさ~いって苦笑いで謝ってきた。
「んで? なんぞ? セラちゃんもミストちゃんもそんな可愛い声出して~私を誘惑しとるのかね?」
ぎゅむ!
「うあうっ! 違う! そうなんだけどそうじゃない!」
「えへへ~アリサ様ぁ~♪」
ふふふ! せっかく寄ってきてくれたんだし遠慮せずに二人を抱き締める。あぁ~可愛いよ~♪
「むぅ! ユニの予感が的中しておったとは! 負けぬぞ! アリサ様ぁ~!」
「うぎゅぅ! おぉぉ? 珠実どうしたのよ? うんうん、良い子良い子♪」
私がセラちゃんとミストちゃんを抱き締めて頭をなでなでしてると、背中に珠実が抱きついてきたので、声をかけて正面に移動させてなでなでしてあげる。頭を全体的に優しく、耳の付け根はちょっと念入りに。すると珠実は気持ち良さそうに目を細めるのだ。
「昨日作ってたほら……け、けえき? あれが食べたいんだよ! なぁ~いいだろぉ~アリサぁ~?」
「えへへ~実は私も~お願いしますアリサ様ぁ~?」
「あぁ、なるほどなるほど! うん、そうだね! じゃあみんなで食べようか!」
「けえきとな? アリサ様が作った食べ物かえ? なんぞ楽しみじゃのう~♪」
わーい! って喜ぶみんな。そうだね、日も落ちてきて宴はまだまだ盛り上がってる。執務室の窓から見えるその楽し気な様子を眺めながら、みんなでケーキを食べようか。昨夜のチョコレートの反応から察するに、みんな沢山食べるだろうって思って数は用意してあるんだ。
「ファネルリア、ナターシャ。ケーキを切り分けるからみんなに配ってあげて」
「ケーキ? お料理なのでしょうか? あ、はい! 畏まりました!」
「フォークと、はい、お紅茶ですね。了解です!」
うむうむ、流石ギルドで働いてたってだけあってこの二人は仕事に対する理解が早くて助かる。『白銀』と『黒狼』も『聖域』に来るし、『聖域』にもこの家族に色々教えてもらって、冒険者ギルド出張所でも作ろうかね?
「ほほう! そうなれば儂等にとっても有り難い話ですのぅ」
「経験者であるガウスとムラーヴェも『聖域』に渡ると言うし、出来なくはありませんね」
ちょいとぼやいた私の言葉にドガとバルドくんが反応した。あくまで可能性の話でしかないんだけどね。
「うまーい! ふわふわのスポンジケーキに上品な甘さのクリーム♪ んで、このチョコレートが最高だぜアリサ!」
「あらあら、セラったら興奮しないでゆっくり味わって食べなさいよ? でも、本当に美味しい♪ ご尊敬申し上げますアリサ様!」
目の前に置かれるや否や、早速とばかりにいただきますしたケーキを頬張り、幸せそうな笑みを浮かべるセラちゃんにシェリー。ふふ、喜んでもらえて何よりだよ。
「んむんぐ、マジにウメェなこれ! で、冒険者ギルドの出張所か……全国にあるくれぇだし無理な話でもねぇんじゃねぇの? ゼオンのおっさんどうなんだ?」
「んお? このチョコレート? ってのはいいな! 冒険者ギルドの本部は東のエルハダージャにあるからな、そこと掛け合って『聖域』に設立ってのは出来ると思うぜ?」
ブレイドくんもケーキに夢中だね、ほらほらミストちゃん、彼の頬にクリームついてるからとってあげなよ? でもって、ゼオンの話によると冒険者ギルドの本部は、応援にも駆け付けてくれた東のエルハダージャ国にあるらしい、そこで何かと手続きをすれば設立も可能だそうだ。向こうの王様とゼオンは朋友の間柄っていうし、紹介状でもしたためてもらえば結構すんなりいくかもね。
「美味しいのじゃぁ~♪ これはユニにも食べさせてあげねばのぅ~なぁ、女神や?」
「うふふ、そうですね! ティリアお姉さまや妹達にも食べさせてあげたいですね珠実♪」
「皆、美味しいのは同意するが……もっと落ち着いて食べたらどうだ? しかしゼオン、冒険者ギルドは国営だろう? となれば『聖域』もひとつの国として見られる事になるのか?」
続いて珠実とアルティレーネ。優雅な所作で紅茶を嗜み、ゆっくり味わうようにケーキを食べる女神様と、可愛らしく一口毎に嬉しそうな笑みを見せてくれる珠実。見ててほっこりするね。そして、上品な食べ方のアイギスが冒険者ギルドの運営についての疑問をゼオンに問うている。
「お、お代わりくらさぁい! あまりの美味しさにアリス爆発しちゃいそーでっす!」
「ワタシも欲しい~♪ アリサ様ぁ~お願いしますぅ~!」
「こんなに美味しい食べ物初めてだよ! アリサちゃん私もいいかな!?」
「私、アリサちゃんに一生ついてく……そして毎日美味しいもの食べさせてもらうんだ……ってわけでお代わり!」
兎に角、無我夢中。一心不乱……喋る間も惜しい! そんな感じで貪るようにガツガツ食べてたこの四人のおなご共。アリスにミュンルーカ、リールとフォーネだ。
「ハイハイ。しょうがないわねぇ~今用意してあげる。結構な数作ってたけど、みんなで食べるとあっという間だね。……で、あんた達はなんで泣きながら食べてるのよ?」
「うぅ……いえ、アリサ様……生の実感を噛みしめているんです!」
「黒フードの連中に拐われた時は死を覚悟しましたけれど……本当に生きてて良かった!」
食いしん坊女子の為にお代わりのケーキをミーにゃんポーチから準備しようと席を立った私の目に咽び泣きながらケーキを食べるネハグラ、ジャデークの二組の家族の姿が写る。
嫁と娘が人質にとられていた間のことは実家……ゲキテウス国で手伝いがあると言って、他の職員達を納得させていたネハグラとジャデーク。事を荒立てないためにも、その設定をそのまま活かそうってなったんだよね。だから彼等がゼオンを暗殺しようとした事実を知るのは私達だけだ、彼等が『聖域』に渡るのも、冒険者ギルドマスターから直々のご指名で視察にいくって事になっている。普段から勤勉で真面目な性格の兄弟だったら、他の職員からも納得安心だって、見事角も立たず綺麗におさまった。
「ふふ、怖い思いした分精一杯おもてなしするからね。そのあとは、ナターシャとファネルリアには料理覚えてもらって、シャフィーちゃんとネーミャちゃんにはユニの遊び相手になってもらいたいしで、やることなら沢山あるから!」
「「「「はい! 我等アリサ様の為に働きます!!」」」」「「ます!」」
四人の夫婦に二人の子供が元気よく応える。犯人探しの間しっかり保護してあげないとね。
「いや、『聖域』が国として見られるかっていうと、俺はまず無いって思うぜ? いいかアイギス、国ってのはそもそも俺等この世界の住人が集まって出来た一つの集団に過ぎねぇんだ。アルティレーネ様がセリアルティを保護したって話の通り、神にとって国ってのは……言い方悪ぃが下の存在なんだよ」
「あぁ、成る程な……『聖域』を国と同列で見てしまっては自然と『聖域』が世界の頂点となってしまうからか。そうだな、神々の淵叢たる地にギルドを作って下さいでは失礼が過ぎると言うものだ」
「アルティレーネ様もアリサ様も、とても親切で友好的で親しみ易い方々だから忘れがちですが、女神様ですからね?」
「うんうん、カインさんの言う通りだね! だからもし、『聖域』にギルドを設立するなら、こっちから頭を下げて、「ギルドを作らせて下さい」ってお願いしなきゃいけないよね?」
「ギルドなんかよりもっとケーキ食べさせて下さいアリサちゃん!」
なんの話だっけって思って聞いてみると、『聖域』にギルドが出来たとして、その運営はどうの~って話か。これに関してはゼオンとアイギスの言う通りだろう。そもそも私達『聖域』に住む者にとってギルドなんていらんのだし。それからカイン? 私は女神じゃないぞん? ってその辺を指摘すれば、「主神様から姉さん呼ばわりされてるお方が何を仰るんですか?」って一笑に付されてしまった。むぅって思いつつも食いしん坊女子達と他の面子にケーキを配る私でした。
「ゼオン? 失礼するよ? デール、ガウス、ムラーヴェ三名。巡回警備から帰還した」
そんな折りに執務室の扉がノックされて、デールのおっさんの声が響いた。宴の真っ最中のセリアベール、その様子はどんな感じだったんだろう? おっさん達の報告を聞こう。
セラ「んん~? アリサぁ~アタイのぬいぐるみ動かないぞ(´・ω・`)?」
アリサ「いや(^_^;)普通のぬいぐるみだもん、動かないよ(-ω- ?)」
セラ「え~!?Σ(゜Д゜)ヤダヤダo(><;)(;><)o動かしてくれよ~!( 。゜Д゜。)」
バルド「セラ( ̄▽ ̄;)俺は別にこのままでも構わないぞ(^ー^)?」
ミュンルーカ「うっふっふ♪(*´艸`*)」
シェリー「セラったら駄々こねてアリサ様を困らせてはいけません( `д´)!」
ミスト(少しでもバルドさんに、可愛いって思ってもらいたいんでしょうね(*´ω`*)セラさん、乙女です。:+((*´艸`))+:。)
アリサ「ゼオンに預けたあるちぃは私のオプションで、ぬいぐるみじゃないからなぁ~(´ε`;)ゞ」
ゼルワ「普通に考えてぬいぐるみが勝手に動いてたら怖くね(-_-;)?」
サーサ「ぬいぐるみにもよるでしょう(*´∇`)セラのぬいぐるみは可愛いので何の問題もありません♪ヽ(´▽`)/」
バルド(このままでもじゅうぶんに可愛いと思うがな……(  ̄ー ̄)ふふ、大切にしよう(´ω` ))
セラ(うぅ~アタイのぬいぐるみも、あるちぃみたいに動いてバルドの奴に可愛いって思わせたいのにぃ(≧□≦)!)
リール「セラちゃんったら(*´艸`*)」
フォーネ「可愛いぃ~(*>∀<*)」




