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TS魔女さんはだらけたい  作者: 相原涼示
26/211

26話 魔女とベビードール

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【魔女さんまた揉まれる】~品定め~

──────────────────────────────


「あっ……んん、ちょっ! んぅっ~っ! だ、ダメっ!」

「はぁはぁはぁっ! マスターマスターぁ~! 素敵ステキでっす! たまりませんよぉ!」

「きゃぅっ! もぉぉーっ! いい加減にしなさい! このドスケベアリス!!」


どんがらがっしゃーんっ!!!


「ぷぎゃらぁーっ!!??」


 はぁはぁは~……まったくもう!!

 あ、どうもみなさんお風呂場からこんばんは。アリサです。冒頭から私の変な声聞かせちゃってごめんなさい。一緒に入ってたアリスにとんだセクハラ受けてさ、お仕置きとして吹っ飛ばしてやったとこなの。


「あ~あ……アリスちゃん大丈夫? 流石に揉みすぎよぉ? あれじゃアリサ様も怒るわ」

「ふへ、ふへへぇ~確かにですよぉ……でも、最高すぎて、ついぃ~♪」


 桶だの石鹸、シャンプー、リンス、トリートメントにコンディショナーと言った備品を散々ひっくり返し、お風呂の床に四つん這いで頭から突っ伏して、その長い髪をバッサアって広げてはお尻丸出しの変態アリスがレイリーアに声をかけられる。言わずもがな、冒頭で私に「お背中洗わせて下さい」と言っといて無遠慮に胸を揉みしだき、先端を摘まむっていう、とんでもないことを仕出かしたのを私が追い出し(パージ)の魔法で吹っ飛ばしたのだ。


「は、破廉恥です……もう! アリスさん、ユニに悪影響が出たら承知しませんよ!?」

「ん、教育に悪すぎる。反省して」

「フォレアルーネさまが目隠ししてて、なにが起きてるかわかんないよぉ? アリサおねぇちゃんの可愛い声は聞こえたけど、なになに~?」

「あっはっは~ゆにゆにには流石に早すぎるかなぁ~? アリスっちがアリサ姉にイタズラして怒られたんだよ~♪」


 ぐわわぁぁーっ!! ユニに聞こえてた!? むぅわぁーっ恥ずかしいぃ~!


「あ、アリサ様……スゴく、え、エッチでした……」

「や、やめて言わないでサーサ……泣きたくなる……」


 アイギス達と東の探索から帰ってきて。みんな結構汗かいたし、汚れたから。お風呂に入ろうってことになったんだよね。探索に出てた私とサーサ、レイリーアに、お留守番してたユニ、妖精の国との外交から帰って来てたアルティレーネ、『聖域』のジオラマみたいなの広げて話し合いしてたレウィリリーネとフォレアルーネも一緒に入る~って言ってついてきた。

 サーサ達に話を聞くとお風呂に入れるのは結構な裕福層の人達、貴族レベルの上流階級くらいで、一般人は水浴びや魔法で済ませるとか。まぁ、湯船に水張って、沸かせてお湯にして……手間もかかるから仕方ないのかな?


「でも、結構気を使って水浴びしてたけど……うう、汚れが……」

「私もです、見て下さいこの汚れた泡……悲しくなりますよ……」


 ボディソープで全身を入念に洗うレイリーアとサーサが少し悲し気な声をあげている。今まで石鹸を使って洗うってことしてなかったから、どうしても落とし切れない汚れがあるんだろうね。


「アリス~いつまでも突っ伏してないであんたも洗いなさいよ? あぁ、それと罰としてご飯抜きだからね!」

「そっ! そんなぁ~!? お許し下さいマスター!! アリスちゃんもシチュゥ食べたいでっす!」


 がばちょって勢いよく身を起こして私に謝る懇願アリス。どうしようかな?


「もうしないってちゃんと約束できる?」

「はい! 二度と致しません! ですのでどうか~このアリスちゃんにお慈悲をぉ~!」


 髪を洗う私の目の前で土下座かますアリス。この子そんなにシチュー食べたいのかな?


「しょうがないなぁ~今回だけだよ? 次やったらホントに許さないかんね!?」

「も、勿論でっす! 絶対致しません! ありがとうございますマスター!」


 ヒャッホーイ♪ とか言って飛び跳ねる。こらこら、お風呂場で暴れないの、危ないよ~?


「うふふ、アリサお姉さまは本当にお優しいです」

「ん、ちょっと甘い……でもそこが良いと思う」

「えへへ、良かったねアリスちゃん」

「あはは! イタズラはほどほどにねぇ~♪」


 湯船につかる妹達が笑い出す、アリスはアリスで気を付けまーすって言って同じように湯船につかるのだった。さ、私も入ろうか。


「はぁ~……アリサ様、この髪を洗う……しゃ、しゃぷ? これってどうやったら手に入りますか?」

「こんでしょ? とかもほしいわねぇ~髪に艶が戻るっていうか、凄くいいわ!」


 おや、サーサとレイリーアも洗い終わったみたい。シャンプーとコンディショナーにいたく感動した様子だね。でもそれらは私がイメージで出した物だからなぁ~、一般に広めるとなるともう少し時間がほしいね。創薬で作れると思うし、後で色々やってみよう。なんて事を伝えると二人は期待してますって目を輝かせる。うん、どの世界の女性も「綺麗になりたい」って思うのは共通してるんだね。化粧品とかもほしいし、頑張ろうかな♪


「はぁ~気持ちいいわぁ……温かい湯船にこうしてゆったりつかる。なんだか凄く贅沢してる気分ね!」

「はい、本当に……あぁ~幸せ~♪」

「血行も良くなって健康にもいいし、勿論美容にもいいからねぇ~♪」

「ん、なにより気持ちいい」


 レイリーアとサーサがお風呂の良さを体感して、フォレアルーネとレウィリリーネが二人の言葉に相槌を打つ、そうだねぇ~あぁ~ホントに気持ちいいや……って、サーサの視線を感じる。


「サーサ? どったの? じーって見て」

「はっ! ご、ごめんなさいアリサ様……その、アリサ様のスタイルがお綺麗で……その、羨ましいなぁって、思っちゃって……」


 湯船に座り、縁に背を預けてんん~って後ろに体を仰け反らせて、お風呂の気持ちよさを堪能してる私を見てそう思ったそうだ。まぁ、私のこの身体は妹達の力作だからね。でもそう褒められると嬉しいかな♪


「あ、やっぱりサーサもそう思った? そうよね、アリサ様って色よし、形よし、くびれよし、張りよし、美脚よしと……もう女の理想を全部詰め込んだ神様のわがままボディーよね!」

「はいはーい! 付け加えて感度よし! の最高ボディーでっす! 流石アリスのマスター! たまりません!」


 だ、そうだ……妹達のキャラメイクは相当のようだね。感度はともかく……確かに私も凄い身体だなぁ~なんて思ったけど、それはまだ男性目線だったからねぇ、レイリーアとサーサの女性陣から見ても凄いらしい。


「でしょでしょー? うちらめっちゃ頑張ってアリサ姉のキャラメイクしたもん!」

「うんうん、いっぱい褒めて。アリサお姉さんが褒められるとあたし達も嬉しい」

「そうですね、私達三人、ああでもない、こうでもないと話し合った事が報われてる気分です」

「ふふふーっ! そんなアリサおねぇちゃんをユニは一人占め~♪」


 ぎゅぅって抱き付いてくるユニを優しく抱き返す。ふふっ、そうだねユニの一人占めだねぇ~♪


「ああぁぁ……ユニちゃん、なんて羨ましい事を~うぐぐ!」

「レイリーアも結構凄いスタイルじゃない? ぼんきゅぼん♪」

「え、そ、そうかしら? アリサ様からそう言ってもらえるとなんだか自信がつくわ! 結構頑張ってるつもりだから」


 悔しがるアリスはまぁ、放っておこう。改めてレイリーアとサーサを見れば、レイリーアは冒険者らしくとても引き締まった体つきをしていて、うっすら筋肉が見える。でもそれは決して彼女の美貌を損なうようなものではなく、寧ろ健康的な印象と女性らしさが上手く噛み合っているように思う。「頑張っている」と言う言葉通り体型の維持に気を使って普段から運動を欠かさないのだろう。


「サーサは着痩せするタイプだったんだね。服の上からだとそんなにあるなんて思えなかったけど」

「同士って思ったのに……裏切られた気分……むぅ~」

「そ、そんなレウィリリーネ様、私裏切ってなんて……」


 そう、普段ゆったりめのローブのような服装のせいか、小さめに見られたサーサだけど、脱いでみれば結構あるんだよね。レイリーアよりはないけど、ティリアくらいはあるかな?


「レウィリ姉~突っかからないって、あぅ!? ぺちぺちしないでよ!?」

「むぅ! フォレアは妹なのにどうしてこんなに差がついた?」

「あらら、もう二人とも昔からちっとも変わらないんだから……」


 窘めるフォレアルーネの胸をぺちぺちしてレウィリリーネが憤慨している、フォレアルーネって結構胸大きいよね。まぁ、姉妹でも差は出るものだとは思うから……ねぇ。アルティレーネに聞けば昔もこうしてレウィリリーネが拗ねたりしたことがあり、結構見慣れた光景なんだってさ。レウィリリーネ可愛いなぁ♪


「うふふ、ユニはどの方のようなスタイルになりたいですか?」

「えへへ、ユニはねぇ~勿論アリサおねぇちゃんみたいになりたい♪」


 あぁ~ユニってばもう~♪ 可愛い! 大好き!! 私みたいになりたいだなんて、なんて嬉しい事を言ってくれるんだろう! アルティレーネの問いにそう答えたユニの頭を多目に撫でてあげた。


「えぇ~ユニちゃん! アリスちゃんはどうですか? 結構自信ありますよぉ~? それなりのえろてっくぼでぇ~でっすよぉ~?」

「アリサお姉さまには……まぁ、かないませんけど。私はどうでしょうか? ちょっと気になります!」


 あれ? なんだこれ……? なんかいつの間にかみんなのスタイルを品定めする会合になってるんだけど? まぁ、いいか……何か対抗してきたアリスだけど、この子も普段着がゴスロリのフリフリドレスってだけあってわかりづらかったのだけど……結構なものをお持ちですよ? 色白だし、綺麗だと思う。アルティレーネは決して大きいわけじゃない、でも小さくもない。流石ティリアと血を分けた妹だけあって、全体のバランスが美しくまとまっている。


「アリスちゃんは肌が白くて綺麗だと思う~♪ アルティレーネさまは全部綺麗~♪ でもでも、ユニの理想はやっぱりアリサおねぇちゃんなの!!」

「あら~♪ ふふっ綺麗なんて言われると嬉しいですねぇ~ありがとうございますユニちゃん♪」

「全部だなんてそんな、うふふ♪ ありがとうユニ。でも、やっぱりアリサお姉さまが一番ですよね!」


 ユニもどうやら私と同じ感想みたい。理想的とか、なんだかみんなにそう褒められると嬉しい。前世じゃあこんな風に褒めてくれる人なんていなかったからね。まぁ、私が人付き合いを避けていたから、かもしれないけど……改めて妹達に感謝しよう。


「アイギスにもアリサ様は神ボディーって教えてあげましょうかね!」

「くふふぅ~♪ いいですねぇ~きっとあのムッツリナイトのことですから想像して悶々と眠れない夜を過ごすんでしょうねぇ♪」


 えっ!? ちょっと待ってよ! アイギスに私の体つきのこと話す? 想像……されちゃう!? うぅっ、どんな想像されちゃうの!? 待って、いくらアイギスが紳士的でもそれは恥ずかしい気がする!?


「待ってよ! 流石にそれは恥ずかしいから……や、やめて?」

「うはぁっ!! マスターの照れ顔いただきまっしたぁーっよっしゃぁっ!!」

「「あ、アリサ様……可愛い!」」


 あううぅーっ!!


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【見られちゃった!】~お姫様の下着~

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「はぁ~いいお湯……でも将来アリサ様の彼氏になる男は幸せねぇ♪」

「「「!!??」」」

「レイリーア、何ですか唐突に?」


 ゆったりと湯船につかってのんびりとした時間を楽しんでると、レイリーアが何か言い出したんだけど? 同時に妹達の表情が強張ったぞ? サーサの言う通り唐突だね、将来の私の彼氏だって?


「サーサもそう思わない? とっても優しくて、お茶目なところもあって……料理はとんでもなく美味しいし、信じられないくらいの美人。更に神ボディーよ?」

「ふふっアリサ様のハートを射止める男性ですか? どんな方でしょうね? 逆にアリサ様に射ぬかれる男性なら沢山いるでしょうけど」


 あー、あれだ……見た目に騙されるヤツだねぇ。自分で言うのもなんだけど、ティリアと見た目同じだからね、黙って座ってれば勝手に勘違いする輩がいるやもしれぬ~。


「そんな輩にアリサ姉は渡せんぞ~?」

「そうだそうだーっ! アリサお姉さんといい仲になりたければあたし達の試練をクリアしろー!」

「ふふふ……とびきりの難題を用意させて頂いていますからね?」


 妹達がそうはさせじと昨夜話してた試練とやらの存在をほのめかす。一体どんな試練を用意したんだろうね……うーん、例え私が誰かを好きになっても、その誰かが妹達の試練をクリアしないとお付き合いできないのねぇ~今はまだわからないけど、将来どうなるのかな?


「あらら、こりゃ大変だわ~アリサ様当分彼氏作れないわねぇ?」


 うん、まったくもって同感だよ。まぁ、元男の身としては()()抵抗あるし、深くは考えなくていいだろう。


「──それで、レウィリとフォレア達は進捗どうなったの?」


 フオォーンと温風魔法(ドライヤー)で髪を乾かしつつ妹達に聞いてみた。今はお風呂からあがって、脱衣所でバスタオルに身を包み髪を乾かしているところ。サーサとレイリーアは温風魔法(ドライヤー)を使えないので、私の魔力の手(マジックハンド)でユニと一緒に乾かしてあげている。


「あぁ~気持ちいいわぁ……なにからなにまで済みませんアリサ様ぁ~」

「火属性と風属性の合成魔法(ユニオンスペル)に魔力を編んで手を……凄い……アリサ様、私頑張りますね!」

「あ、わかりますぅサーサさん? この温風魔法(ドライヤー)でっすけど、とぉんでもなく緻密な魔力制御が成せる技ですよぉ~? アリスちゃんも真似て見てわかりましたけどぉ、攻撃の為に放出するのと違って、低出力で火と風のバランスを保ちつつ放出し続けないといっけないんですぅ……」


 攻撃なら一回ドーンって放っておしまいなんですけどねぇ~ってアリス。確かにそうだね。


「ユニも出来るようになる~アリサおねぇちゃん?」

「あぁ~その辺どうなの妹達?」

「むぅ、アリサお姉さん質問が二つ……」


 しゃあないじゃん。でも実際にユニはどうなんだろう? 世界樹にフェー○インした時は様々な属性魔法を使ってたけど、聖霊化した(コア)状態の今なら?


「使えますよ。ユニはアリサお姉さまの聖霊で世界樹(ユグドラシル)(コア)です、今はまだ幼いですがいずれその名の通り、世界中にその根が伸びます。それはつまり……『聖域』を含むこの世界そのもの」

「でっすよねぇ~さっすがアリスちゃんの先輩! スケールが違いすぎますよぉぉ~♪」


 アルティレーネが答えてくれた。つまり、アリスが『聖域』の意志の具現なのに対し、ユニはその『聖域』すら含めたこの世界の力を総て使えるってことらしい。将来アリスよりも強くなれるってことだ。


「よかったねユニ、ちゃんと使えるようになるってさ!」

「わーい! やったぁ♪ ユニもしゅぎょーがんばるぞ~♪」


 ユニもアイギス達と一緒に修行するのか、うーん、あんまり危険なことをしてほしくはないけど……自衛手段は持っておくにこしたことはないか。


「それで、あたし達の方だけど。大体は決めてみたから」

「後で立体地図で説明するね~今は着替えちゃおうよ!」


 ほほう、随分と仕事が早いね! 流石レウィリリーネとフォレアルーネだ。立体地図って言うのは屋敷に帰った時に話し合ってた時のジオラマかな? とにかく着替えようか。


「レイリーアにはこれ」

「あら! こんな高そうな下着……え、頂いていいんですか!? ありがとうございますレウィリリーネ様!」


 レウィリリーネがレイリーアに渡したのはレースを編み込んだ白い下着。褐色肌のレイリーアに見事に映えるね、綺麗~♪


「わぁ、綺麗ですよレイリーア!」

「あ、ありがとうサーサ、うふふなんだか照れちゃうわねぇ~大事にしてダーリンとの勝負下着にするわ!」


 力強くせくしぃなポーズを決めるレイリーア。勝負下着とか……聞いてて恥ずかしいよ、変な妄想しちゃいそうだ。例えば私が勝負下着を着て、将来誰かにみ、見せ……る? うわわっ! やめやめ!! 思春期の少女か私は!?


「サーサっちにはこれだよ~♪」

「か、可愛い~♪ ありがたくいただきますね、フォレアルーネ様!」


 フォレアルーネがサーサに若葉色って言うのかな? ライトグリーン? の下着を渡している。レイリーアのと違って、綺麗というよりは可愛い下着だね。ああいうのもいいなぁ。


「ユニはこれなんてどうですか?」

「わぁ! リスさんだ♪」


 ユニはアルティレーネから可愛いリスがワンポイントの下着を受け取っているね。話を聞くとこのリスがサンクチュアリースなのだそうだ。カインが言ってたのってリスだったのね。


「可愛いよ~ユニ♪ カインが言ってたけど、もしかしたら遊びに来てくれるかもしれないらしいから楽しみにしてようね?」

「ホント!? わぁー会いたいなぁ♪」


 期待に胸を膨らませニコニコのユニにみんなが嬉しくなる、『聖域』の動物……聖獣かな? 達に会えるのは私も楽しみだからね、ワクワクしちゃうよ。


「アリスにはこれ、モノクロ」

「アリスっちの服って、ゴスロリって言うんだっけ? それに合わせて見たよ!」

「本当はもっとフリルを付けたかったのですが、ドロワーズになってしまいそうで……」

「おぉーう! 感謝しますよぉ女神様方♪ 見てくださいマスター! 可愛くないですかこれ~♪」


 アリスにと用意された下着を受け取って、アリスがここぞと私に見せびらかしてきたその下着は、上下とも白の生地で、ブラのカップとショーツのウエストゴム下部に黒で市松模様が施されたものだ。アイスボックスクッキーを連想しちゃうけど、うん、可愛いと思う。


「うん! 可愛いよアリス! ぷりちーアリスだね♪」

「うへぇーぃ★ ありがとぉごっざいまぁすマスター!」


 わーいわーい! と喜んでくるくる回るアリス。ふふ、こうして無邪気に喜んでるとこはホント可愛いねぇ。


「さて、お待ちかね……アリサお姉さん」

「今日のは力作だよ~♪」

「是非……是非とも着て下さい!」

「えらく押しが強いこと……一体どんなのって! これっ!?」


 妹達がめっちゃ薦めてくる下着を受け取って広げて見れば、それはなんとベビードールだった!!


「えぇ~ちょっと待ってよ……これを着ろと?」

「着て下さい! 私達三人で作った力作なんです!」

「渾身の力作」

「試し! 試しでいいから! お願いアリサ姉~!」


 いや、まぁ……前世の世界で言う、ヴィクトリアンベビードールっぽいこの下着は、フリルいっぱいついて可愛いし、うっすら透ける生地、白から桃色に淡いグラデーションと……うわぁ、凄い細かい刺繍まで……うーん、妹達もお願いしてるし着てみるか。まずはパンツはいて、ん? このベビードールってカップ付き? ブラは着けない? あ、そうなんだ、じゃあこのまま着ればいいのね?


「あぁぁぁーっっ!! 神! 神が降臨されました!! 見えますマスターの後光がぁぁ~!!」

「やりました……やりましたよレウィリ、フォレア! なんて素晴らしい!」

「……アリサお姉さん、最高」

「スンゲェ~……超清楚なのに、超エロい、アリサ姉ホント最高♪」


 おぉう……引くわ。アリスはなんか床に膝ついて祈り始めるし、アルティレーネは私から目を離さずに、レウィリリーネとフォレアルーネを抱き締めて喜んでる。レウィリリーネなんてなんでか知らないけど涙目だし、フォレアルーネはフォレアルーネでワケわかんないこと言うし。


「素敵……一国のお姫様のよう……」

「綺麗~アリサ様……いや、もう、言葉が見つからないわ……」

「わぁぁ~アリサおねぇちゃん……ユニやっぱりアリサおねぇちゃんが一番の理想だよぉ~♪」


 サーサにレイリーア、ユニまで……いやいや、大袈裟な……布切れ一枚羽織っただけでそう騒ぐような事じゃあないでしょうよ? どれどれ、私も視点操作で自分を見てみるか。


「っ!!?」


 うわっ!? マジかこれ……これ私だよね!? びっくりした……いやいや、ヤバイわこれ! これこそが勝負下着なんじゃないの!? サーサが言うように一国のお姫様が着るようなゴージャスな下着。胸はちゃんと大事な部分を見えないようにして、でもシースルーのワンピースはふわりとしつつ体のラインをシルエットで見せて、お尻を隠す。前開きのダブルフリル、レースをあしらった縁取りと、とにかく豪華……うわぁ~凄い。


バギバギバギッ!! ドガァァーンッッ!!!


「うぐあぁーっ!!?」

「「えぇっ!!??」」

「おわぁっ!! びっくりしたっ!!??」

「きゃあ!? なんですか!?」

「な、何事なのよ! 一体!?」


 !!!?? な、なにっ!? なんなのっ!? いきなり脱衣所と廊下を繋ぐ扉をぶち破ってアイギスがぶっ飛んで来たんだけど!?


「ぐっふ……凄まじい威力! 流石バルガス殿!?」

「わぁーっ!? びっくりしたぁ~! アイギスおにぃちゃんなにやってるの?」

「あぁ、これは申し訳ありませんユニ殿っ!!!??」


 って、こっち見て固まるアイギス。目が、合った……


「あ、アリサ……様……」

「あ、ああ……」


 アイギスの目が見開いてバッチリと私を見てる!!!


「キャアアアァァーッッッ!!! バカバカ!! 見ないで見ないでぇーっ!!!???」

「ももも、申し訳ござっうごぉーっ!!!!???」

「さっさと出ていきやがれなさいですよ!! この覗き魔ナイトォォッ!!!」


ドッゴーンッッ!!!


「あーあ……何やってんのよアイギスは」

「マスターの……マスターの神々しくも愛らしいお姿を……処して来ますねぇ~女神様ぁ~うふふ……」

「わぁーアリスちゃん凄い! 一瞬で着替えちゃった!」


 ああああああ……見られた見られた見られた見られた見られたーっ!!!!???


「でも、びっくりしたぁ~アリサおねぇちゃんのあんな声初めて聞いたよぉ~? アリサおねぇちゃん? なんで後ろ向いてしゃがみこんでるの~?」

「ああ……驚きましたね、ふぅ……」

「ん、先に着替えておいてよかった」

「だねぇ~アリサ姉は、うん、なんかごめん……」


 アイギスに……アイギスに……もろっ!! うわああぁぁーっ!! ガン見されたぁぁぁーっ!!! 恥ずかしいーっ! 恥ずかしいーっ! 恥ずかしいーっ!


「アリサ様以外目に入っていませんでしたね、ある意味助かりましたけど……」


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【今後もあるよ】~白の姫君(ホワイトプリンセス)シリーズ~

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「「まことにっ! 申し訳ございませんでしたアリサ様っ!!!」」


 脱衣所での騒動の後の屋敷のリビング。ソファーに座る私の目の前には、アリスにふるぼっこにされたアイギスとバルガスの二人が土下座して私に謝罪中。話を聞いてみると、バルガスとパルモー、フェリア。アイギス、ゼルワ、ドガの三対三で模擬戦していたのだそうだ、そうお風呂の前の庭で。


「「どのような罰もお受け致します」」


 なんか息ピッタリだな、この二人……むぅ、どうしてくれようかしらん!? 流石のアリサさんも今回はご機嫌斜めなのよ~!? よりにもよって、あんな……あんな格好をガン見されるなんて……うぅ、思い出したらまた恥ずかしくなってきて頬が熱い~!


「アルティ! レウィリ! フォレア! 貴女達もちゃんと反省なさい!」

「は、はい……申し訳ありませんティリア姉様」

「ご、ごめんなさい。ティリア姉さん」

「うぅ、ごめん。ティリア姉ぇ~」


 そしてもう一方では、妹達がティリアの前で正座させられて怒られてる。なんでかって言うと、吹っ飛んでくるアイギスにどうして気付けなかったのか? とか、どうして事前にシールドとか張らなかったのか? とかだ。いやいやお風呂入るのにそこまでする必要あるのかね? あるね。もうあんな目に会うのはごめんだし。


「うーん、罰、罰かぁ~?」


 正直思い付かない、確かに恥ずかしい思いはしたけど、その分アリスが激昂して二人をこれでもかってくらいボッコボコのボコにしたからねぇ……私の前に引き摺られてきた二人は全身血みどろで、別の意味で悲鳴あげそうになったくらいだ。まぁ、直ぐに治してあげたので今は綺麗サッパリだけどね。


「バルガスについては不問かな? 模擬戦するなら場所を考えて行うようにね~?」

「なっ! アリサ様、注意だけでご容赦頂けるのですか!? このバルガスいつでもこの首を差し出す所存ですぞ!?」

「いらんわ! 自分の命を軽んじるのは止めんさい! 家族を護ってこその家長でしょう?」


 全く……なんでもかんでも首! で解決しようとするのはやめてよね。


「はっ! アリサ様の慈悲、有り難く!」

「それで、あ、アイギスは……暫く私の小間使いしてくれるかしら? 料理に創薬とか色々手伝ってもらうからね!」

「はいっ! 誠心誠意、努めさせて頂きます! ありがとうございますアリサ様!」


 よし、これで良いだろう。さて、落ち着いたところでシチュー作りを始めようか。


「うぅ、アリサお姉さま……申し訳ありませんでした」

「ごめん、アリサお姉さん」

「ごめんなさぁい、アリサ姉……」


 しょぼぼーんって顔した妹達が寄ってきた。どうやらティリアにこってり絞られたみたいだねぇ~この子達が用意したベビードールを着て、私は戸惑って警戒を忘れて、みんなはその私を見て呆けてしまった。別にアイギス達も悪気があった訳じゃないし、事故ってことで良いんじゃないかな?


「気にしてないよ~それよりあのベビードールもらってもいいの?」

「アリサお姉さま♪ 勿論です!」

「うん♪ あたし達の力作『白の姫君(ホワイトプリンセス)シリーズ』の一作目!」

「えへへ! うちら三人で作った物には名前付けてるんだよ♪」


 へぇ~そうなんだ! 『白の姫君(ホワイトプリンセス)シリーズ』なんてお洒落だねぇ~次の作品も期待しよう♪ なんか女性用下着専門のメーカーかな? なんて思ったのは内緒だけど……実際凄くクオリティ高いからそれもありかもしれない。


「ふふ、許してもらえて良かったわね三人共。アリサ姉さん、ありがとう。そして、妹達が迷惑かけてごめんね」

「ううん、大丈夫だよティリア。それよりあんた姿見えなかったけど、なんかやってたの?」

「えぇ……ほらアイギス達が話してた『悲涙の洞窟』が気になってね、調べてたんだけど……」


 そう言えばちびゼーロの送ってきた映像見て、なんか考えをまとめてるって言ってたね。


「アリサ姉さん、アイギス達が街に戻る時に、アルティと一緒について行ってあげて」


 おや、どうやらティリアは『悲涙の洞窟』に何かあると感じているみたいだ。


「うおぉ!? マジですか!?」

「アリサ様と街までご一緒できるんですね!」

「やったぁ! 嬉しいわアリサ様!」

「ほっほっほ! なんと有り難い事じゃ!」

「街の案内は是非私達『白銀』にお任せ下さい!」


 冒険者達も喜んでるし、私も街には興味がある。色々お買い物したいんだよね……待って。


「あぁぁぁーお買い物したくてもお金がないじゃん!」


 なんてこったい! 考えてみれば私って無一文だったよ! 参ったな、食品とか衣服とかファンタジー定番の武器防具屋とか見てみたいし、買って見たいのに!


「ん、大丈夫。まだ時間はある……色々創薬で作って売ればいい」

「『聖域』のいろんな素材持って行けば売れませんかねぇ~?」

「プリン作って持って行けばあっという間に売れると思うよアリサ姉」


 レウィリリーネ、アリス、フォレアルーネがそれぞれアドバイスしてくれた。そっかぁ~前世じゃ「物を売る」って事あんまりしなかったから気付けなかったよ。広めたい薬……神々の雫(ソーマ)の効能を弱めた物とか、毒とか麻痺とか各状態異常を治す薬とか、石鹸、洗剤とかまぁ~思い付くのは沢山ある。それらを作って売る。

 朝に仕留めたホーンライガー二頭にプテランバード二頭もミーにゃんポーチに入ってるし、昼間に拾った爽矢の領域の薬草類に自然素材類もある。

 プリンは食材が確保できてからになるからちょっと直ぐにって訳にはいかないかな?


「そうだ、こういった娯楽品なんてのもあるのよ。売れるかな?」


 昨日用意したリバーシに加えて、トランプや将棋にチェス……は私、ルールを知ってるくらいなんだけど……後は双六とか、ビリヤードなんてのも出して見たよ。


「おぉーっ! すげぇ! 娯楽品って、遊べる道具って事ですよね! 俺やってみてぇ! アリサ様教えてくれますか!?」

「どれも見たことのない遊具じゃのぅ、いや、しかし……むぅ、見事な作りじゃ寸分違わぬとはのぅ~ギドの奴がこれを見たらさぞ興味を持つじゃろうて」


 ゼルワが興味津々だね。人数多いからトランプとかオススメだよ! ドガはチェスの駒を手にとって唸ってる、前世の世界の技術は中世ぽいこの世界じゃ魔法そのものなんだろうね。


「レイリーアレイリーア! ラグナースさんに是非とも!」

「えぇ! 勿論よ! うふふ、ダーリン喜ぶわよこれ~♪」


 聞けばレイリーアのダーリンさんは商人らしいね、紹介してくれるって言うけど……大丈夫かな、ちょっと怖いな……って、人嫌いが発動して警戒してしまう。


「ラグナースは私達『白銀』の為に借金までして、この『身代わりの宝珠』を用意してくれるような善良な商人です。アリサ様、どうかご安心下さい」

「アイギス……わ、私……顔に出てた?」


 頷かれた。やっぱり私にポーカーフェイスは無理みたい。それにしても、その商人さんは随分人がいいんだねぇ借金までして力になろうなんてそうそうできることじゃないよ。


「必ず私達の誰かが貴女に付き添いますので、不快な思いはさせませんよ?」

「そっか、じゃあ安心かな! まぁ、もしもの時はアルティの後ろに隠れるけどね~♪」

「まぁ、アリサお姉さまったら!」


 あはは! って笑いが起こる夕暮れ時の私達の屋敷です。

 さて、じゃあ街に行くまで色々頑張ろうかな!

ネヴュラ「あ、あの……アルティレーネ様|д゜)ジー」

アルティレーネ「あら、どうされたんですかネヴュラさん(・_・?)」

ネヴュラ「その……私にも……(((UωU` *)(* ´UωU)))」

レウィリリーネ「……ネヴュラも欲しいの? ベビードール(・・?」

フォレアルーネ「あ~そう言うこと~♪ も~ネヴュラままんのぇっち(*´艸`)」

ネヴュラ「゜+.(*ノωヾ*)♪+゜ィヤーン」

サーサ「あのぉ~女神様~?(´ε`;)ゞ」

レイリーア「アタシ達も欲しいわ! そしてダーリンを誘惑よぉ!ヽ(*>∇<)ノ」

サーサ「ちょっ!? レイリーア、そんなにハッキリ言わないで!(゜Д゜#)」

アルティレーネ「あらあら(^_^;)」

レウィリリーネ「むぅ……ぇっちな女子共め( ;-`д´-)」

フォレアルーネ「いいよいいよ~あげる♪ 諸君等の健闘を祈る(*`・ω・)ゞビシッ」

ぇっちな女子共「「「ありがとうございまーす(*´∀`*)ポッ」」」

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