最終話
ティリア「はい(^ー^) 最終回よ~(*゜∀゜)」
フォレアルーネ「あ~(^_^;) 今回で終わりかぁ~( ̄~ ̄;)」
アルティレーネ「長かったような……短かったような……(*ov.v)o」
レウィリリーネ「ん( ´ー`) なんにしてもここまで読んでくれたみんなに感謝(_ _)」
シェラザード「もう終わりなのね(´・ω・`) もうちょっと出番がほしかったわね(-_-;)」
ルヴィアス「俺は結構出番あったしレウィリともくっつけたしで、満足だけどな!(*≧∀≦)」
バウわん「キャンキャン!゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜」
アルナ「むぅ(*゜ε´*) 私ももっと早くこっちに来ればよかったです!(≧□≦) ね、バウわん?(´ヘ`;)」
ヴィクトリア「そうね~σ(´・ε・`*) まあ、でも楽しかったからいいわ♪(*´艸`*)」
ポコ「なのです♪(*´▽`*) これからはいっぱい、いーっぱい遊ぶのです!ヽ(*>∇<)ノ」
TOSHI「あぁん?( `□´) んだよ、俺等も折角『遍在』できるようになったってのに、もう終わりかよ!?( ゜皿゜)」
RYO「まあまあヾ(・ω・ヾ) 仕方ないさ兄貴(;´∀`) それより、イクシオンとリドグリフがくっついた事に驚きなんだけどな?( ̄▽ ̄;)」
イクシオン「むほぉ~♪(*/□\*) だってこの筋肉ダルマ自分を鍛えるばっかりで、相手を分析するってことぉまったくしにゃ~のですもん!(。・`з・)ノ
わっち、見てられんでおまんしてなぁ~?(´ε`;)ゞ なにかと世話を焼いたんでおましょ(*`艸´)」
リドグリフ「我に足りぬものを次々に示した故な(* ̄ー ̄) もう、離さぬ(; ・`д・´)」
セルフィーヌ「あはは(^o^;) そこに愛はあるのか甚だ疑問ですけど、旧神同士、付き合いも長いでしょうからねぇ~♪:*(〃∇〃人)*:」
アマテラス「出番で言ったら私達こそもっとほしかったよぉぉーっ!?o(T◇T o)」
ツクヨミ「仕方ありません(;´A`) なにせ終盤でしたからね、私達が出てきたの(*゜∀゜)=3」
スサノオ「あのまま、「ただのしかばねのようだ」ってまま、よりはよかったと思うしかないんじゃないか?(´∀`;)」
全員「言えてる~♪。:+((*´艸`))+:。」
ティリア「さて、こんなバカできるのも最後ね(_ _) フィーナ、〆のセリフよろしく~♪(*´∇`*)」
フィーナ「あ、はい(,,・д・) えっと何でしたっけ?(^_^;) 確か~「時々でいいので、私達みたいなのがいたってこと、思い出して下さい」でしたね♪( *´艸`)」
ティリア「名台詞キタ━(゜∀゜)━!」
TOSHI「ハイハイ(*´□`)ノ んじゃ、みんな~また機会あったらどっかで会おうぜ!(*´∇`)」
全員「バイバーイ!ヾ(・◇・)ノ」
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【本当の家族】~そのために~《ガルディングview》
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あれは、いつだったであろうか?
アリサ様がひとり寂しく、庭で戯れる親子を眺めておられた……
「アリサ様。如何なされた?」
「あ……ガルディング様。いえ、ちょっと……ネハグラとジャデーク達親子を見ていて……」
私を一瞥し、軽く会釈して下さった後、そう仰り、再び庭で戯れる二組の親子に視線を移された。
我が『ランバード家』の庭師によって、殺風景であった女神様方の屋敷の庭も、それは彩り豊かで見事な庭となった。
倣い庭を見れば、シャフィーとネーミャ、そしてユニ殿、ユイ殿、アリア殿といった幼子が戯れる様子を、温かく見守り、時には共に戯れたりする二組の夫婦。
「……少し、羨ましいって思ったんです」
「羨ましい……?」
そんな微笑ましい光景の筈なのに、アリサ様のお顔はひどく悲しげだ。私は静かにお話の続きを聞くことにした。
「……前世での話になるんですけど。私の両親はどうして、あんなに私に冷たく……
ううん。違うわね……どうして、あんなに……私に無関心だったんだろう。そう、思ってしまって」
……かねてより、内密にアイギスからアリサ様の前世の話は聞いていたが……アリサ様の両親は優秀な長兄と次兄に期待を寄せる一方で、アリサ様に対しては無関心……いや、寧ろ突き放す態度で接していたという。
「アリサお姉さんは、愛情に餓えている……」
それはレウィリリーネ様のお言葉だったが……こうして、直面したことで、私もアリサ様の不意にお見せになられる、寂しげなお顔の意味を理解した。
「ごめんなさい、急にこんなこと言われても困っちゃいますよね? さあ~って! あの子達のためにも美味しいご飯作らなくっちゃ♪ ガルディング様も期待してて下さいね。腕によりをかけて作りますから」
「……それは楽しみですな」
取り繕うように明るいお声でそう、私に話すアリサ様の姿が今も脳裏に焼き付いている……
言の葉で「私達がおります」と、言うは容易い……しかし、それだけでは駄目なのだ。アリサ様の悲しみを癒すには、私達だけでなく、アイギスの力が必要不可欠。
「──とうに覚悟はできておる。そうだな、セレス?」
「はい。あなた……私達はアイギスの元に嫁いでくるアリサ様の……いいえ、アリサの真の親となるのです。
前世の両親から与えてもらえなかった愛情を……私達で!」
うむ。我が子アイギスがアリサ様と結ばれる今日。アリサ様は晴れて我が『ランバート家』の家族となられる。例え血の繋がりはなくとも、『想い』あらば真の家族となれることは『家族紡ぐ絆』の魔法が証明してくれておる!
「その通りだガルディ。アリサ様に親の愛情を注げるのは、アイギスくんの両親であるお前達しかいない。
っと、失礼したなランバード公。俺も……いや、私もこちらにいさせてもらえるかな?」
おぉ、これは皇帝陛下。よくおいで下さった。ささ、こちらへ。
吹き抜けとなっているこの女神の神殿内の『世界樹ホール』。五柱の女神像とユニ殿の像の前に設置された祭壇にて待機する我々の側に、ルヴィアス皇帝陛下がお越しくださった。しかもお側にレウィリリーネ様のお姿もあらせられる。
「ん……あたし達じゃやっぱりアリサお姉さんの親にはなれない。ガルディング、セレスティーナ……あたし達や、今のアイギス達にとってはとても短い時間になるだろうけれど、その一生をアリサお姉さんの両親として捧げてくれる?」
私とセレスを交互に見ては、その覚悟を問うてくるレウィリリーネ様。無論私達は二人、力強く頷き、「勿論です」とお応えした。
そう……私達はアリサ様とアイギスと違い、定命の者。永遠を生きる方々から見れば、その一生はほんの僅かな時間に過ぎぬであろう……私達はその、ほんの僅かな時間の間に、文字通り一生涯を費やし、アリサ様に、深く。大きく……そして広い親愛をお与えしたい。
「ん。ありがとう……その覚悟。嬉しく思う。改めて、女神レウィリリーネ、あなた達に感謝と敬意を」
レウィリリーネ様が恭しく私達にその頭を下げられた……その意味を私達は即座に理解する。ああ、これほどまでにアリサ様が大切なのだな、と。
「子が成長し大人になってもさ……幼い頃に過ごした頃の体験や記憶ってのは、そうそう忘れないものさ。
アリサ様はそんな過去にずっと縛られてるんだと思うんだよな?」
ルヴィアス陛下のお話によれば、こちらの世界へと転生を果たした時点で大抵の記憶は消えてしまうのだそうだ。しかし、心に深く根付いた記憶は消えることなく残り続けると言う……その言葉に私はアリサ様の、あの取り繕うような笑顔を思い出す。
「あの子に……アリサに似合うのは、ユニ殿のような心からの笑顔。守りましょう、あなた……!」
「うむ。親たる者、娘に気を遣わせていては面目が立たぬ。陛下。レウィリリーネ様。誓いましょう。
私達は生涯を賭して、我が娘、アリサの真の両親となれるよう、全霊をもって努めて参ります!」
セレスと共に、私達はお二人に宣誓をする。この覚悟、何があろうと揺るがぬと信念をこめて!
そもそも、我々の生は本来魔王ヴェーラ操る『ジェネア王国』の侵攻の折りに失われしもの……今こうして、この場に立っていること自体が奇跡なのだ。
ならば、この生はその奇跡を与えてくれた、アリサ様……最愛の娘、アリサに捧げるべきである。
「ふふ、そんなことアリサ様は「気にしなくていいのに」ってな一声で片付けちまうだろうぜ?」
「ん。その覚悟は胸の内に……」
うむ。そうですな……しかし、こうも言うと思うのです。「貴方達の生は貴方達のもの。好きにしていいのよ」と……それならばなんの遠慮もいりますまい?
私がそう返すと、「それもそうだ」と笑い出すお二人。つられ、私達も笑い合うのであった。
『間もなくアリサ様とアイギス様の結婚式が執り行われます。お集まりの皆様、神殿の『世界樹ホール』までおいでになり、静かにお待ちくださいませ』
リリカの声が神殿内に響き渡る。神殿の構内放送である。
さあ、いよいよだ。私達の息子の元に嫁いでくるアリサ様を我等『ランバード』一同、温かく迎え入れ、新たな家族として踏み出す第一歩。この喜ばしい門出を全力で祝おうではないか!
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【愉快だにゃ】~美味しいのよこすにゃ~《ミーナview》
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─にゃぁん♪ 皆の者。よくぞ集まってくれたのにゃ。今日はみ~のしもべがアイギスと番となる記念すべき日だにゃ。な~の~で、特別にお前等にもみ~の言葉を届けてやるにゃ、ひれ伏して喜ぶように─
ははぁぁーっ!!
ザザッ!! そんな大きな音を立ててこの『世界樹ホール』に集まった連中がみ~に対し、文字通り地にひれ伏して頭を下げるにゃ。にゃんにゃん(=゜ω゜=) よいぞ、皆よぉぉ~くみ~の力を理解しているようでなによりだにゃ。
「それでは、新郎新婦の入場の前に、『神々神』であり、総ての頂点であるミーナ様より御言葉を賜ります。全員起立!」
ガタタッ!!
「礼!」
バッ!!
「着席!」
ガタッ!!
ぬむ。アホ毛の号令に応える皆の一糸乱れぬ見事な動きだにゃ。これだからヒトは面白いにゃ♪ にゃん、ならばみ~も、くあぁ~……にゃぁ、眠いにゃぁ? 顔でも洗って気を取り直すにゃ。
可愛い。可愛いな。うむ。たまらん。ミーナ様、なんて愛らしい♪
こら、静かにするにゃ? まったく、ちょっとみ~が顔を洗ったくらいでザワザワするんじゃないにゃ?
─さて、もう言うまでもないことだけどにゃ? み~としもべ。そしてそこのアホ毛を含めた連中はお前達に関与することはないのにゃ。しかし、み~達に仇なすのなら、この限りではないにゃ。
お前達は代を重ねる毎にこーいうことを忘れていく。いいかにゃ? み~達の逆鱗に触れぬよう、くれぐれも伝えゆくのだ。わかったかにゃ?─
はっ!! 我等一同今のミーナ様の御言葉をとこしえに伝えゆく事をお約束致します!!
─にゃん♪ よろしい。では、堅苦しいのはこの辺りにして、皆も今日は大いに楽しんで行くのにゃ♪ み~への貢ぎ物も随時受け付けているにゃ~♪─
「はい、ありがとうございましたミーナ様! 全員起立! 礼!!」
ありがとうございましたぁぁーっっ!!
「着席! はい、ミーナちゃんお疲れ様♪ 姉さんが試作したサラミとチーズよ。召し上がれ♪」
にゃぁぁーっ! やるじゃないかしもべ! 皆を号令でビシッと座らせたアホ毛がいつもの口調に戻り、み~にあのサラミとかいうちょっとピリッとして美味しいのと、大好物のチーズを差し出して来た! にゃにゃーん! これは嬉しいのにゃ!
「おぉぉ、ミーナ様があれほどまでに夢中になられるとは!」
「サラミって何かしら? 是非我が国でも製造して、ミーナ様に捧げたいわ!」
あむにゃ~♪ 美味しいにゃぁ~! しもべめ、やればできるではないか! 前世では「塩分多くて体に悪いから少しだけ」とか抜かしてろくに食べられなかったこのサラミ! 集まった連中の中にも興味をもった者もいるようだにゃ? ぬむ。これはしもべに言って普及させるべきだにゃ!
「それでは、新郎の入場です。皆! 前方中央扉にご注目下さい!」
ワアァァァァーッッ!!
うにゃ。いよいよだにゃ? アホ毛の言葉に皆の視線がホール中央扉に集まり、静かに開いていく。会場全体の明かりが少し暗くなり、中央扉からこの祭壇に続く赤い絨毯を照らす明かりが強くなるにゃ。
「新郎アイギスは『ルヴィアス魔導帝国』のかつての領土、『ランバード公爵家』に生を受けた嫡男。しかし、魔王ヴェーラの操る『ジェネア王国』の侵攻によって、彼は苦難の道を歩むことになったのでした」
しもべの番になるアイギスの紹介をアホ毛がつらつら話す中。中央扉から現れたアイギスは一人、ゆっくりと歩き出す。
「焼き払われる生家、荒波を乗り越え、『セリアベール』へと辿り着いた彼は、そこで多くの仲間達に恵まれます」
一歩一歩。これまでの人生を噛み締めるように、ゆっくりと歩くアイギスの傍らに、一人、また一人と並列していく。
それは、ゼオンであり、デールであり、バルドであり……ドガ、ゼルワ、サーサ、レイリーア、ラグナース、ギド、ファム、セラ、シェリー、デュアード、ミュンルーカ、ディンベル、ゲン……ホントに多いにゃ……それぞれ絨毯の端に並び、皆誇らしげに微笑んでるにゃ。
「そうして、遂に奇跡が起きた……失われた『ランバード家』の面々の復活。懐かしい皆との再会を果たすのです」
そうして、この祭壇に後一歩。リリカを始めとする『ランバード家』の使用人達。ガルディングとセレスティーナがアイギスを迎え入れたにゃ。
わあぁぁぁーっ!! 素敵な貴公子ね! 流石はガルディング公とセレスティーナ夫人の御子よな……
うむ。なんと凛々しい。勇者アイギス殿よ!
にゃんにゃん♪ 着飾ったアイギスの姿に会場が沸き立つにゃ。こいつとはこれから長い付き合いになるからにゃぁ~沢山み~の役に立ってもらうのにゃ。
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【姉さんが出会った】~沢山の人達~《ティリアview》
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「新婦入場前に……私からひとつだけ言わせてちょうだい?」
「はい、ティリア様……」
ふふふ、この司会進行係ってのも結構楽しいじゃない? 私は神の代表として、アリサ姉さんとアイギスの結婚式の司会進行をすることになったわ。
まあ、立場上、多くの者の前で何かを話したりすることは多いし、馴れたもんよ~なんて思ってたけど、すぐ側にミーナ様がいるってのは、いささか緊張するわね。だって普段は普通ににゃんにゃん然りとした猫ちゃんなのに、今は神気を纏ってて存在感凄いし、それも明らかに私より次元が違う力だしで……うん。身が引き締まる思いだわ。
「改めて……生まれてきてくれて、ありがとう」
出会ってきた仲間達がバージンロードの片側に整列し、今。アイギスがこの祭壇の前までやって来たわ。ええ、本当に多くの仲間達に恵まれたわねアイギス……私が喚んだアーグラス達がみんな命を落としてしまった時には物凄く辛くて、死にたくなったものだけれど、こうして転生を果たして帰って来てくれたことに、感謝したいわ。そして……
「アリサ姉さんと出会ってくれて、ありがとう……姉さんを受け止めてくれて、本当にありがとう」
「ティリア様……いいえ。私こそ感謝を。貴女がアーグラス達を召喚しなくては、私がアリサと出会うことはあり得なかった……心から感謝したい」
ああ、ありがとう……その言葉でなんだか私も救われたような気分よ。本当に……何度感謝してもしたりないくらい……貴方になら、安心して姉さんを任せられる。頼んだわよ?
ガルディング、セレスティーナ。貴方達も……アリサ姉さんに親の愛情を沢山教えてあげてね?
こくり。そんな私の願いを聞いたアイギス達は、決意を秘めた力強いその瞳を向けて頷く。ああ、本当に立派に成長しちゃってさ……嬉しいじゃない?
「……お待たせしました。それではここで、花嫁に入場して頂きましょう!」
ひとつ大きく息を吸い、改めて式の進行を続行する。さあ、いよいよアリサ姉さんの入場よ! 今日この日、この瞬間のために、妹のアルティ達がすごく張り切って仕立てあげたアリサ姉さんのウェディングドレス姿のお披露目よーっ!! 全員刮目しなさい!
おおぉぉ……っ!! おおおぉぉぉーっっ!! わあぁぁぁーっ!!!
ホールへの扉が開き、まずアルティ、レウィリ、フォレアがアリサ姉さんをエスコート。
瞳を細め、両手にもったブーケを見つめる顔をゆっくりと上げて、純白のウェディングドレスに身を包んだアリサ姉さんが入場すると、会場が割れんばかりの歓声に包まれたわ。
「なんと美しい……っ!」「女神……あぁ、まさに天上の美だ……」
「素敵……あぁ、どうしてかしら……涙が出てくるわ……」「お美しいわ、アリサ様……」
シュタタッ、ピョンピョン! うにゃぁ~ん♪ あらら、ミーナちゃんが駆けて姉さんの肩に飛び乗ったわ。うふふ♪ 姉さんも嬉しそう。
そうね、このバージンロードは過去を振り返り、今に至る道程を見つめ返す道。ミーナちゃんと姉さんは切っても切れない関係だもの。
「既にみんなも知っているでしょうけれど、アリサ姉さんは創世の女神の依頼を請け、私達の『聖域』を取り戻してくれた……」
姉さんのトレーンベアラーを務めるのはユニとユイ。とっても可愛いドレスを着て、二人足並み揃えてニコーって笑顔が素敵だわ♪
「おお、ユニ様とユイ様もおられる」「あぁ、とても良い笑顔をされておられる」
「心が洗われるようだわ!」「守りたいわね。あの笑顔……」
互いに苦しい思いをしてきた『世界樹』の二人の笑顔は、今がそれだけ幸せな時なのだと物語っているようね? 私もこんな日が来るのをどれだけ夢に思い描いたことかしら……あ、泣きそう。頑張らなきゃ!
続いて入場してくるのは『懐刀』達。リン、ジュン、シドウ、珠実、ゆかり……みんな姉さんに名付けてもらった頼りになる、旧くからの朋友達。そして、その弟子とも言える『四神』達が続き、先に入場していたアイギスの仲間達と向き合うように並んでいく。
「そうそうたる顔触れですな、伝説上の存在がこうも……」
「ええ、私、この場に居合わせる事が出来て光栄だわ」
そうね。そうでしょうね? なんせ長い間この『聖域』は『魔の大地』と称され、誰も近付けなかったんですもの。『懐刀』達や『四神』達も『魔神戦争』で受けた傷を癒すために、表に出てこれなかったのだし。
「そして、妖精や精霊、悪魔から聖霊に至るまで幅広く、その友好の輪が、私達の世界がどんどん広がっていったわ」
更に続く、カイン。ティターニア、オベロン、『聖魔霊』の家族。そしてアリス。
姉さんはゆっくり、ゆっくりと歩を進めながら並ぶみんなに微笑み、こちらへと向かってくる。
ああ、本当に……姉さんが転生してから、もう、これだけの仲間達が集ったのね……過ぎ去った時はあっという間だったけれど、こうして今に続いている。そう思うと、感慨深いわね。
「世界各国にも、私達の『神界』にも姉さんの影響は大きく、ただの村人、町人、王や、神に至るまで、多くの者が慕ってくれているわ♪」
ふふふ、ミーナちゃんの導きがあったとはいえ、私が選んだ姉さんがみんなに受け入れてもらえている事に嬉しくなり、つい声が弾んでしまうわ。そんな私の声に続き入場してくるのは、TOSHI、RYO、ヴィクトリア、アルナ、ポコ、イクシオン、リドグリフ、シェラザード、ルヴィアスにフィーナ、セルフィの神々達。
更に続いて、リール、フォーネ、ミスト、ブレイド、ジドル王、獅子王、ガッシュ……そんな、今ではそれぞれ国の顔とも言われる面々。
ジャデーク、ナターシャ、ネーミャ、ネハグラ、ファネルリア、シャフィーの町人二家族。
本当は他にも、『七つの光』達や、セルフィのとこのシーベルさんとか、『エルジャ村』の村長達、エルハダージャ王都のオネェさんや『閃光』達なんかもいるんだけど、さすがに多すぎだから入場は我慢してもらって、一階のいい席についてもらっているわ。
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【おめでと!】~おねぇちゃん、おにぃちゃん~《ユニview》
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アリサおねぇちゃんがこのバージンロードを一歩一歩、ゆっくりと歩く。そのたびにユニ達の脳裏に、アリサおねぇちゃんがこの『ユーニサリア』に転生して、今日までに。どれだけ多くの事を成し遂げて来たのかが映像として過って行く。
見る人によっては、それはとても信じられないような偉業ばかりに映るんだろう……チラってお客さん達の様子を見ると、びっくりしてる人達が多いもん♪
(こーら、ユニちゃん。大事なお役目中によそ見しちゃダーメよぉ~?)
あうっ! ちょっとだけだったのに横を通った時、レイリーアお姉ちゃんに見付かって怒られちゃった。えへへ、いけないいけない。反省しよっと! 今は大好きなアリサおねぇちゃんのとっても大事な結婚式だもん! ユニもしっかりお役目を果たさなきゃね♪
「──ロアとの戦いで一人別世界へと飛ばされても、その逆境に挫けるどころか、逆に救って見せた!
そんな私達の自慢の姉! みんな、どうかそんなアリサ姉さんに拍手をちょうだい!」
ウオォォォォーッ!! ワァァァーッッ!!! パチパチパチパチパチパチィィィーッ!!!
割れんばかりの歓声に、耳をつんざくような拍手喝采! 凄いや!! これだけ多くの人達がアリサおねぇちゃんを知って、「すごいね!」とか「ありがとう!」とか「おめでとう!」ってしてくれてるんだ!?
ううん! それだけじゃない。この結婚式は映像通信で全世界に放送されてるって、ティリア様が言ってたから、もっともっと多くの人が称えてくれているんだと思う!
「ありがとう……この世界の私達。そして、姉さんが救った新しい世界の、新しい神々!」
ティリア様が会場のみんなに向けて手をかざすと、ゆっくり歓声と拍手が鳴り止んで、アルティレーネ様、レウィリリーネ様、フォレアルーネ様がティリア様のお側に立った。そして、その背後からユイちゃんの所の神様、アマテラス様、ツクヨミ様、スサノオ様が現れる。
「新たな世界と繋がった『新生ユーニサリア』! その礎を築き上げた偉大な『神々神』アリサ様が今、最愛の伴侶と結ばれます!」
アイギスおにぃちゃんが待つ壇上にゆっくりと上がるアリサおねぇちゃん……壇上でアイギスおにぃちゃんと向き合い、お互いに頷き合って、揃い振り返ってみんなにペコリ。
ワアァァァァーッッ!!! おめでとう! おめでとうございます!!
そしてまた巻き起こる歓声と拍手! おねぇちゃんもおにぃちゃんもすっごく幸せそうに微笑んで……ああ、素敵だなぁ~♪ ユニもなんだかとっても幸せな気分!
長く続いた歓声と拍手が止んで、静かに二人の誓いの儀式が始まった。
「『大聖霊アイギス』……貴方は『神々神』アリサを永遠の伴侶とし、いついかなる時も互いに支えあい、愛し続けると誓いますか?」
「はい。この私の総てはアリサのために! ここに不変の誓いをたてましょう!」
ティリア様の言葉に力強く宣言するアイギスおにぃちゃんにアリサおねぇちゃんも嬉しそう♪ ちょっと涙ぐんで、眩しそうにおにぃちゃんを見てるよ。そして、ミーナちゃんがアリサおねぇちゃんの肩から祭壇に飛び乗って、おねぇちゃんに問い掛ける。
─み~の分け身とも言うべき『神々神』アリサ。
しもべよ。お前はこのアイギスを夫として未来永劫、とこしえにこのみ~に尽くす事を誓うかにゃ?
にゃ? 違う? そうだったにゃ、ちょっと間違えたにゃ─
あはは♪ もう~ミーナちゃんたら! 最初は普通だったのに、最後が変だよ~? アリサおねぇちゃんも「そりゃ今更だし、別に誓ってもいいけどさ~」とか言って苦笑い。他のみんなも可笑しそうに笑ってる♪ ふふ、このゆる~いやり取り、ユニは大好きだよ?
─にゃぅ。では、改めて……み~のしもべよ。お前はこのアイギスを夫として未来永劫、永遠の時を共に過ごす覚悟はあるかにゃ? その覚悟あるなら誓いとして言の葉に乗せるがいいにゃ─
「誓います。私はアイギスの妻として、永遠を共に生きます!」
響いてくる。アリサおねぇちゃんの『想い』を乗せた言葉が……
パチパチパチパチパチパチ……その言葉を聞いたユニ達の全員が、自然を拍手を鳴らしてた。おめでとう、おめでとうアリサおねぇちゃん! アイギスおにぃちゃん!
拍手をするみんなもユニとおんなじで、胸に広がるいっぱいの「おめでとう」が溢れたんだよね!
─よかろうだにゃ! では続けて『想い』をカタチにした指輪とか言うのを交換するにゃ!─
お互いを想い、永遠に支えあう。宣誓……指輪の交換……沢山の拍手の雨に包まれて……
「では、ここに誓いの口付けを……」
そして誓いのキス♥️
ワアァァァァーッッ!! おめでとうございます! おめでとうございまぁぁーすっっ!!
ウオォォォォーッ!! 今日はなんとめでたい日か!
あぁーんっ!! 素敵! 素敵だよぉぉぉーっ!! おねぇちゃん、おにぃちゃんお幸せにねぇ~!
わーわー盛り上がりは最高潮! 三度巻き起こる拍手喝采! 寄り添うアイギスおにぃちゃんとアリサおねぇちゃんの満面の笑顔! 結婚式って本当に素敵!
そして、アリサおねぇちゃんが「そーれ!」って投げたブーケ。キャーキャーって女の子達が手を伸ばすそれを手に取ったのは……
「やったわ! 見てよ爽矢~♪ アリサのブーケを手に入れたわよ~!」
あぁーんっ! 残念ーっ! 朱美様おめでとうございます! 羨ましいですーっ!
朱美ちゃんだった。ふふ、朱美ちゃんはもうだいぶ前から爽矢と結婚を約束してて、だけど魔王問題が解決するまで我慢の子してたんだよね! きっとアリサおねぇちゃんもその事覚えてて、朱美ちゃんの近くに投げたんだろう。
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【あれぇ~?】~披露宴ってこんなだっけ?~《アリサview》
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《行くぞ! 我等『ガルーダナンバーズ』、アリサ様とアイギス殿の新たな門出に祝いの大輪を咲かせん!》
《皆さん射出準備はいいですか!?》《編隊乱すな! 射出角度確認! ヨシ!》
「いざ参らん! さあ、ゼーロ殿!!」(地上の妖精達とタイミングあわせて~!)
発射ぁぁーっ!!
ドォォーンッ! ドドォォーンッ!! パラパラァァーッ!!
『待ち望んだ永遠』のオーロラが包むこの『聖域』の空にゼーロ達と妖精さんたちの力作の花火が、その大輪を次々に咲かせ、とても美しい。
チャッチャッチャーララチャッチャッチャ~♪ チャッチャッチャチャーラララァ~♪
いつの間に集まり練習していたのか? 色々な国から集まった音楽隊も加わり、空に【Happy! Wedding!!】だなんて嬉しい一文をゼーロ達が描いてくれたりして、披露宴っていう名前のお祭りが始まった。
うむ。本来結婚式の披露宴ってもっとこう大人しいもんだったはずなのだが、こんなアホみたいに騒ぐのも、実にこの世界の気風らしくて私も楽しい。
「ふはははは!! 待ち望んでいたぞ『闘神』! 貴様と再戦するこの日をなぁ!?」
「うっひょぉぉーい! やっちまうでありんすよぉ~♪ わっちと一緒に研究した旦はんならジョーカーにだって負けまへんえぇーっ!」
リドグリフとイクシオンのハイテンションな笑い声が響き渡る。
そう、私達の披露宴の舞台はいつも宴会やら、お祭りやらでお馴染みとなった神殿前の大きな広場だ。
バカ騒ぎよろしく、広場のど真ん中にでっかいステージが用意されて、このステージでみんながそれぞれに芸を披露してくれるっていう……
「隠し芸大会か!?」
と、思わずツッコんでしまうわ!
「あっはっは♪ いいじゃ~ん! アリサ姉だってこういうの好きでしょ?」
ステージがよく見える特等席に座る私とアイギスのひとつ下の席に座る妹達。フォレアルーネがこちらに振り向き楽しそうな笑顔を見せる。
「わざわざミーナちゃんが結界張ってくれてるから絶対安心だし、最近暴れ足りないTOSHIも全力でやれる事に喜んでたわ♪」
「かの『闘神』と、『武神』の真剣勝負。そうそう見られるものではありませんね!」
続いてティリアもこっちを振り向いて、そう話すと。旦那様のアイギスも、まーたわくわくした顔を見せおるわ……まったく、血の気の多い神たれ共め。私は二人のぶん殴りあいよか、次のRYOとブレイドくんの立ち会いの方が興味あるんだけどねぇ~?
「最近は回りくどい手ばっか使う連中が大半でよぉ~? こうして正面切ってのぶん殴りあいは久々だぜぇ~? 楽しませろよリドグリフ!?」
「抜かせ! 貴様こそ腕は鈍っておるまいな!? 勘を取り戻すまで待ってやっても良いのだぞ!?」
減らず口の叩きあいから、始めの合図。遠慮なしに思い切りぶつかる両者。
結果……引き分け。
「……いや、バトルの描写一切なし? ま、いいけど……
にしても、リドグリフの奴強くなったわね!? うちの旦那と引き分けるなんて……」
「TOSHI兄ちゃんって今、分け身でも並列存在でもなくて遍在存在なんだよね!?」
「ん。凄まじいレベルアップ……」
「うふふ♪ きっとイクシオンとの愛のなせる技ですよね♥️」
あい。そんなわけでね? 尺もないのでまるっとカット。舞台上には仰向けにぶっ倒れてる暑苦しい男二人。文字通りのぶん殴りあいの末、お手本のようなクロスカウンターで相討ち。
妹達もスタンディングオベーションで大興奮の、なんとも見応えのある試合だったよ。
大きな拍手と歓声に包まれて起き上がったTOSHIとリドグリフは互いに不敵な笑みを浮かべながら握手して観衆に手を振って退場していった。
「まさに少年マンガの一幕みたいで面白かったわね♪」
「凄まじい戦いでした。私達『白銀』と戦った頃より格段に強くなったリドグリフ……流石です」
いやぁ~マジにそれね。アイギスの感想に激しく同意。『知識神』イクシオンとくっついたことでリドグリフは更に強くなった。アルティレーネじゃないけど、その秘密はやっぱラヴなのかしらね~?
「さあ、見せてもらおうか? 俺が投げ入れた『緋神真刀流』がこちらでどのように昇華したのか……」
「あんた、『剣聖剣技』の源流の開祖だってなぁ~? 面白ぇ……」
さて、お次はいよいよブレイドくんの出番だ。相手は『剣聖剣技』の源流となった『緋神真刀流』の開祖である『剣神』RYO! 注目せずにはいられない一戦だね!
因みにだが、過去に私がメルドレードの影から拝借した『剣聖剣技』は、その正当後継者としてブレイドくんのものになっている。
これは別にブレイドくんがメルドレードの転生体だからという理由ではなく。私が師事した者の中で、彼が一番の使い手であると認めたからに他ならない。
「剣技だけなら、私すら凌ぐブレイドくんだ。期待が高まるね♪」
「私としてはやはり、悔しいですが……ブレイドの天賦の才は認めざるを得ません……勝てよ、ブレイド!」
私とアイギス……そして、他のみんなも固唾を呑んで見守る中、抜刀し向き合う二人は動かない。
続くにらみ合い……前世で見た時代劇の殺陣なんかの派手な斬り合いなんかじゃない。本当の本当に一太刀で決まる真剣勝負……今二人はその必殺の一太刀を繰り出す期を図る!
ダダッ! 斬っ!!
誰かが唾を飲み込んだ、その刹那。二人が交差し立ち位置が入れ替わる。
「ははっ……やっぱ、まだまだ……届かねぇか……」
ドサッ……倒れるのはブレイドくん。お互い刃を潰した剣での試合だが、当たればそりゃ痛い。死にはしないだろうけど、相当の激痛だろう。
「……そうでもないよ? 君の剣はしっかり届いていた……」
カランッカラン……立っているRYOの手から剣が落ち、乾いた音を立てる。
確かに勝負あった。ブレイドくんの……私達の『剣聖剣技』はまだ『緋神真刀流』には及ばない。しかし……RYOの腕にその一太刀は届いていたのだ!
「痛ぅ……まさか、この『剣神』から剣を手放させるなんてね……見事だった、ブレイドくん」
「イッテぇぇ~……そっか、届いてたか、へへ! やったぜみんな! 見ててくれたか!?」
ワアァァァァーッッ!! パチパチパチパチパチパチィィィーッ!!
うんうん! 見てた! すごいすごいよ! 開祖の、しかも『剣神』に一太刀浴びせたんだ!
「新たな『剣聖』だ……!」「『剣聖』ブレイドの誕生だ!」
ウオォォォォーッ!! 『剣聖』ブレイド! 『剣聖』ブレイドばんざーいっ!!
あの緊迫した、だけど、一瞬の決着に緊張の糸が切れた観衆達が沸き立つ! メルドレード、アリサに次ぐ新たな『剣聖』の誕生に!
「おいおい、大袈裟すぎんだろ?」
「なに、謙遜する事はない。君は『剣神』に手傷を負わせた、間違いなく『剣聖』なんだから」
わあぁぁぁーっ!! 『剣神』本人が認めた『剣聖』ということで、会場は更に盛り上がる。うん、彼を師事してきた私も鼻が高いってもんよ。
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【幸せな未来へ】~家族と一緒に~《アイギスview》
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──それから、皆が皆。様々な芸を披露して、私達を楽しませてくれた。
白熱したTOSHI様とリドグリフの闘い。
皆が固唾を呑んで、その緊張感を味わったRYO様とブレイドの決戦。
そして、そんな緊張を解すかのように、ユニ殿、ユイ殿、アリア殿に私達の娘アルナとポコがとても可愛らしいダンスを見せ、皆の心をあたためたり。
翼殿達が新作のスウィーツの調理を実演して見せては皆に届け、大好評を得たり。
ラグナースとレイリーアが、今後売り出す予定の様々な商品を宣伝しては、これもまた好評で、質問が殺到したり。
ドガとファム、ギドなんかは新たな酒と、それにとても合うつまみを紹介し、皆に馳走しては喜ばれ、『居酒屋ファム』の開店も間近だと宣伝していったり。
珠実殿が『エルハダージャ』自慢の『エルジャ茸』と『うなぎ』をこれでもかというくらいに推し薦めてきたり、オネェさん達によるマッスルダンスが披露されたり……
「まてまて……これなんぞ!? 私達の披露宴よねぇーっ!?」
「あっはっは! あーそれっ! マッスルマッスル~♪」
ワハハハッ!!
何度目かのお色直しから戻ってきた私の花嫁が思わずツッコミを入れるが、最早もう誰も止まらない。
「あ~可笑しい! なんだか姉さんの式らしくもあって私は楽しいわよ~?」
「もう各国のお国自慢だったり、色々なアピール合戦だったりで、ふふふ♪ とても面白いです!」
「まぁ~社交の場としては披露宴なんてもってこいの場だから、いいっちゃいいんだけどね~?」
ティリア様にアルティレーネ様も愉快そうに微笑みながら私達を振り向く。ああ、そうだ。いつもアリサの周りには笑顔が咲いている事が多い。故にこのお祭り騒ぎもまた、彼女らしいといえば、そうであると私も思ってしまう。
その後も騒ぎは続き、笑いや驚きもあり……特に、シェラザード様による魔法教室計画の発表等は各国の代表達は勿論のこと、『聖域』の皆に、冒険者達も大いに沸いた。
更にルヴィアス陛下が馬車に代わる新たな物質輸送手段として、『魔導列車』なるものの開発、運用を手掛けていることを発表すれば、「物流革命だ!」と、大騒ぎ。説明を求める各国の圧には流石の皇帝陛下もたじろいで、私達に助けを求める始末。
ああ、陛下……なんて情けない。とは、近衛のバロード殿のため息であったが、言うまでもなくこの場に居合わせた誰もが思った事だろう。
「ん。だから公表は慎重にって言った……やっぱりルヴィアスはアホっぺ……あたしがついていてやらないと……」
「……などと、貴重なレウィリのおのろけが見れたので、このアホちんは特別に許してあげましょうね♪」
ふんすっ! と、小さく可愛らしく意気込むレウィリリーネ様を優しく撫でるアリサとティリア様達。各国の代表達もそんな女神の微笑ましさに思わずニッコリだ。後々詳しい説明会を開催し、国々だけでなく。神々も含め相談しようとなり、騒ぎは収まるのだった。
──そして宴もたけなわ……
「今日のよき日に、その締めくくりを務めさせて頂けるその名誉に、深く感謝を申し上げます。
かの『ランバード公爵家』その夫人セレスティーナ……今ここに、最愛の子供達への祝福の言葉を述べさせていただきます」
私とアリサの結婚による祝祭は今日を含め、数日間にわたり開催されるが、その記念すべき初日である今日の締めくくりとして、私の母上であるセレスティーナが舞台上に立ち、その言葉を届けてくれている。
母上の隣には父上が、その後ろにリリカ、執事長、使用人達が並び、私達に向かい合っている。
「まず、アイギス……私達の愛し子……『ジェネア』の侵攻からよくぞ今日まで、真っ直ぐに生き、成長してくれました……私は貴方を産めた事を誇りに思います」
母上……私こそ、ありがとうございます。私をこの世に産んでくれて……母上、父上……リリカ……使用人の皆……そして『猫兎』の皆さん……
母上の言葉を聞き、瞳を閉じれば、『ランバード』で過ごした日々が鮮明に思い起こされる……厳しく、威厳溢れる父上……優しく私を包み込んでくれた母上……姉のように、時に友のように支えてくれたリリカ……そして共に笑いあった使用人達や、『猫兎』の皆。そのどれもが大きな優しさに溢れていた。本当に感謝しかない。あの日々があったから、今の私があるのだから。
「そして……聞いて。アリサ」
おや? 珍しい。母上がアリサを呼び捨てにするなんて、今までなかったことなのだが……?
「朝は、「おはよう」……うふ♪ そうしてこれからは一緒にお台所に立ちましょう?」
「セレスティーナ様……」
隣に座るアリサも若干戸惑っているようだが……ふむ。そうか、母上はきっと……
「そうして、「今日の朝ごはんはなににしましょうか?」って楽しくおしゃべりしながら、一緒に料理をするの♪ そうしてるとお父さんとアイギスも起きてきて、「おはよう」って言うのよ?」
ああ、そうだ。母上が語るのはごく当たり前の家族の一日の始まりだ。
「ごはんを食べるときは家族でテーブルについて、「いただきます」をして。これ美味しいね、とか他愛のない話で弾んで……」
「……っ!」
それはかつて、アリサが夢に見ながら……叶わなかった一家団欒……
口元を両手でおさえ、目には涙が今にもこぼれ落ちそうなほどに滲み、アリサは母上の話を静かに聞く。
「お父さんや、アイギスを「いってらっしゃい」って、お仕事に送り出したら、お母さんと一緒に家事をしましょうね♪ うふふ、効率悪くて私、娘に怒られちゃうかしら? 頑張るわね!」
母上が家事か……想像すると不思議な光景だ。今まで『ランバード公爵夫人』として政務に集中されていたからな。家事等はすべて使用人に任せていたはず。
「……きっと、色々ケンカもしちゃうわね? でも、大丈夫! 私と貴女ならきっと直ぐにお互いに「ごめんなさい」をして仲直りできちゃうわ♪ だって、私。アリサが大好きなんだもの!」
「あ、う……お義母さん……」
もう、アリサは涙を堪えることができず、ボロボロとその雫をこぼしている……私はそんなアリサの肩を抱き、大丈夫だと。母は……いや、父も、使用人の皆も。アリサと本当の家族となりたいだけなのだと、優しく諭す。
「私も……私達も皆、セレスと同じ思いだ。アリサ。愛しき我が娘。どうか私達の家族として、迎え入れさせておくれ」
「うぅ……ああ、お義父さん……お義母さん……」
父上も母上に続き、優しくアリサに向けてそう話せばリリカ達使用人の皆も力強く頷く。
もう、涙でくしゃくしゃになったアリサの手を取った私は……
「行こうアリサ。遠慮なんていらない。私達は皆、家族なのだから!」
「う、あ……アイギス……うん……うん!」
私に手を引かれ、壇上から降りて、舞台の上で両の腕を広げ待つ母上の胸に飛び込むアリサ。
「ああ、アリサ! 私の、私達の可愛い娘……」
「共に歩もう……誠の家族として!」
「お母さん! お父さん! うあぁぁーん!!」
長い孤独は終わり。今アリサは新たな……本当の家族と巡り会った。
母の腕の中、泣きじゃくるアリサ。今まで頼られるばかりで、甘えることのできなかったアリサ。
これからは、私を含め、家族全員で彼女を支えて行こう。
願わくば、どうか。私達の未来が沢山の笑顔で溢れますように……
わぁぁーっ!! おめでとう! おめでとぉぉーっ!!
集った皆の大きな祝福を受け、私達は今。本当の家族として、歩み出すのだった。
「あ、動いた! えへへ~♪ ね、おねぇちゃん。男の子かな? 女の子かなぁ~?」
「ふふふ♪ どっちだろうねぇ~?」
「アリサ。具合はどうですか?」
「あなた♪ ふふ、健康そのものよ~私も……この子達も。ね♪」
「わぁぁ~♪ 私達もいよいよお姉ちゃんですよポコ?」
「なのです! 楽しみなのです! ポコは早くママの赤ちゃんと遊びたいのです!」
「名を考えていました……アリサと約束した通り、女の子の名を」
「私も。ちゃんと男の子の名前考えたよ」
「私の「アイギス」と貴女の「アリサ」から……「アイリス」と……」
「ふふ♪ 素敵な名前。男の子はねぇ~大きく。そして広い心を持って育ちますようにって『想い』を込めて……「ひろし」だよ。文字にすると「大」って書くんだけど……」
「人として大きく、広い心を……ふふ、私もその模範となるように努力せねばなりませんね……幸い、子育てについての先輩は沢山います。協力して頑張りましょう」
「うん。お母さんにも沢山甘えちゃおうね♪」
──ここまでお読み下さり、ありがとうございます。
簡単ではありますが、謝辞を。
三年間と少し。と言う長い期間、最後までお付き合い下さった読者の皆様には、心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございます。
振り返りますと、我ながら拙く、幼い文章であるなと、ただただ恥じ入るばかりでありますが、当初の目標であった、必ず完結まで書き上げる。と言う目標を達成することができ、ホッとしております。
さて、既にお気付きの方もおられると思いますが、削除された、本編途中に投稿していた、登場人物の紹介について、少しお話させて頂きます。
こちらについては、「随時更新予定」と書いておきながら、一切更新しなかったものであります。言い訳になってしまいますが、これには理由が二つありまして……
一つは、私自身、公私共に多忙であったこと。
もう一つは、やはり本編途中にあることから、更新してしまうと、ネタバレを多分に含んでしまうと懸念したためです。
どうかご容赦いただけますと幸いです。
こちらにつきましては、本編完結を達成致しましたので、別作品として再編集し、改めて投稿をしたいと考えております。「おまけのTS魔女さんはだらけたい」みたいなタイトルで、本編と違い、不定期な更新となりますが、人物の紹介や、本編では書ききれなかった小話なども投稿できたらいいな、と考えております。
いつに投稿できるかはわかりませんが、見かけたらちょっとだけでも覗いてくれると嬉しいです。
長くなってしまいましたが、これにてアリサさんの冒険はおしまいです。
最後にもう一度言わせて下さい。
皆様、本当にありがとうございました!




