閑話 メビウスの四季 秋~後編~
アリサ「大晦日だねぇ~(*´∇`)」
ティリア「今年一年、みんなもお疲れ様♪(^ー^)」
アルティレーネ「このお話が最後の閑話となりましょうか?(´・ω・`)」
レウィリリーネ「ん( ´ー`) 本編ももうすぐ完結だからね(_ _)」
フォレアルーネ「じゃあこうして年末の挨拶できるのも最後かぁ~( ̄▽ ̄;)」
ユニ「寂しくなるね~( ;´・ω・`)」
アリア「んぅ(´ω` ) 始まりあれば終わりもあります(  ̄- ̄)」
ルヴィアス「それもそうだね( ゜ー゜) んじゃ皆、よいお年を!(*・∀・*)ノ」
シェラザード「次回の投稿は九日を予定しているわ(゜ー゜*) 二日は作者もお休みいただくそうだから、よろしくね♪ヾ(゜ー^*)」
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【天高く馬肥ゆる……】~デザートは別腹♪~
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「はぁ~もうお腹いっぱいだよぉ~♪ すっごく美味しいご飯でユニ幸せーっ!」
「わかる! こんなに美味いもんに溢れてたんだなぁ~秋って季節は!」
はい。みなさんこんにちは♪ 引き続き『無限円環』から、聖女のアリサさんが秋の様子をお届けしますよ~♪
みんなで頑張ってファームエリアの作物を収穫して、今は楽しいご飯タイムだ。
様々な秋の味覚を堪能して、ユニもゼルワも満足そう。
「そうね~「天高く馬肥ゆる秋」なんて言うくらいだし~? カインも気を付けないとぷっくぷくになっちゃって空飛べなくなるかもね~♪」
「ええぇぇーっ!? それはイヤです!」
「でぶっちょなカインか……どんな姿になろうとカインはカインだが……今の体型のカインが一番だと思うぞ?」
ウホホ♪ カインてばめっちゃ焦っておるわ! 『人化の術』で王子様然りとしたイケメンになったカインだけど、いやいや、食べる食べる。さっきからずぅぅっと口に料理を運ぶ手が止まらないのだ。
「なぁに、食した分だけ動けばよいのだ。カイン殿はネヴュラと違い訓練でも、相応に動いている故、問題はなかろうて」
「あ、あなた! もーっ! どうしてそこで私を引き合いに出すのです! 折角の美味しい食事を楽しんでいるのにーっ!」
「あっはっは♪ 健啖なのはいいことじゃない?」
「ん。でもうんどうも大事……あたしは今ほど『不変』持ちであることに感謝だけど」
うんうん。確かにバルガスが言ったようにカインは動き回るタイプだから、摂取したカロリーの消費も早かろう。しかしネヴュラだけでなく、魔法を主体とする面々はそうはいかない。見ればシェリーや、ミュンルーカ、リールにフォーネも食べるペースを落として、「あはは~」とか「ヤバいかも……」とか苦笑いを浮かべたり、不安そうな顔になったりしているのがまた面白いね。
確かにティリアの言う健啖はいいことだと思うけど、食べ過ぎもよくないってのも確かか。レウィリリーネの言うように、私や妹達のみたいにみんな『不変』持ってるわけじゃないもんね。
「ふぅむ、どうしましょ? この後デザートも沢山用意してるんだけど……明日にする?」
今食べます!
あ、そうですか……
さっきまで深刻そうに葛藤してたのはなんだったの? って思うくらいの満場一致の即答にアリサさん、思わず苦笑いですよ。
「まぁ、でも。デザートは別腹って言うしね♪ それじゃあ用意してくるわ。楽しみに待ってて?」
はーい♪
やれやれまったく、いい返事をみんなして返しおってからに! しょうがないんだから♪
なーんて思いつつも私はそんなみんなの反応が嬉しくて、ウキウキしながらデザートを準備する。
「よっしゃ! 俺っち達の自信作のお披露目だな!」
「ええ! かなり気合い入れて作りましたわ!」
「うむ! 正に自信作だ。きっと皆も気に入るだろう」
「ご開帳ご開帳~♪ 『偵察部隊』が作った「スイートポテト」だぜ!」
まず先陣を切るのは翼、ルロイヤ、ドゥエ、ウノの四人が言葉通り、かなり気合い入れて作った「スイートポテト」のお披露目だ。
じっくりと時間をかけて焼き上げたサツマイモを、「うあっちち!」なんて叫びながら皮を剥き、素早くバター、牛乳、生クリームに卵黄で練り上げ、成形して、更に追加で卵黄を満遍なく塗って焼いた渾身の一品。
「んまぁーっ! 表面カリってしてるのに、中身とろりとしてて、それでいて甘味すごいわ!」
「美味しい~♪ 牛乳と一緒に食べると止まらなくなっちゃうよ!」
「です。あむあむ……おぉぉ、これがでりしゃす~♪」
セラちゃんとユニ、アリアがみんなの感想を代弁するかのように歓声を挙げた。うんうん、私も翼達に作り方教えて、任せてみたけれど……マジにコイツらお菓子作りが上手になったと感心したよ。
他のみんなにもなかなかの好評のようで、『偵察部隊』の四人もその反応に思わず「よっしゃーっ!」ってハイタッチしている。
「だが今回のスイートポテトは素材がよかった。というのが大きかろう?」
「だなぁ~熱かったけどそんなに作り方が難しいわけでもねぇし」
おまけにこうして分析までする成長っぷりだ、なんと頼もしいことか。ドゥエとウノが今口にした素材の良さってのは確かに大きい。何せファームエリアで私がイメージしたのは、前世でもねっとり系として名高い「紅はるか」を真似てみたからね。そのずば抜けて高い糖度のおかげでお砂糖要らずなのだ!
「いやぁ、確かにうめぇぜこりゃ。だけどよぉ……濃厚なせいか、あれだな……」
「うむ、そうじゃなぁねっとりしとるし、あんまり数は食えんのぅ。茶が欲しいぞい?」
おや? ゼオンとシドウが飲み物をご所望だぞ。『ユーニサリア』では食事情が残念なのは周知の事実だが、飲み物に関してはどうなのかと言うと、実は結構紅茶が主流だったりする。なので今、リリカさんの指揮の下、『ランバード使用人部隊』のメイドさん達がその紅茶をみんなに煎れて回っていたりもするんだけど。
「妾は緑茶がよいのぅ」「儂もじゃな」「酒は……あぁ、夜まで我慢じゃな」
「牛乳がいい~♪」「俺は普通の水でいい」
ふぅむ……物足りんのぅ。イチゴ牛乳とか、オレンジジュース、リンゴジュースとかなら結構直ぐに作れるし、『ユーニサリア』に広めることも可能だろうけど……お茶の類いも色々とあった方がいいに決まってる。
「ふもも~ん、お試しにアレ。出してみましょうかねぇ」
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【こーしー】~あっぽぱいと栗けぇき~
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「あ、アリサちゃん……これ、なに?」
「めっちゃ黒いな~ふんふん……んでも、なんかいい匂いすんぞ?」
まあ、黒い液体を笑顔で「はいどうぞ~♪」なんて出されてもフォーネみたいな反応になるか。流石のブレイドくんも興味ありげだけど、匂いをかぐに留まっているね。
「甘いお菓子に合うコーヒーって言うお茶よ。そのままだとだいぶ苦いかもしれないわね」
「……あの、緑茶、みたいな?」
「緑茶とはまた違った苦味かしらね? ふふ、このブラックコーヒーは大人向けよぉ~? あんた達には早いかしらね♪」
そう。スイーツ食べるときのお供に候補としてあげられるのが、紅茶とならんでコーヒーだろう。デュアードくんがなるほどって頷き、匂いを楽しんでいるようだけど……飲もうとはしないので、苦いのが苦手なのかな?
んで、ちょいと意外なのがティリアで、出されたブラックコーヒーを平然と飲んでいる……んだけど、そんなことでドヤ顔するのは、大人気ないってアリサさんは思います。
「ほぉぉ~こりゃ確かに苦ぇな。んでも、俺は好きだぜコレ? 薫りもいいし、落ち着くぜ」
「僕もいいと思います。確かに好みは分かれるでしょうけれど、嗜好品としても価値はあるかと。アリサ様、先程「そのままだと」と仰っておられましたが、他にはどのような飲み方がおありですか?」
予め「苦い」と言っておいたせいか、実際に飲んでみた者は少ない。そんなに苦いのが嫌かね?
だけど、一部の者はおそるおそるだったり、普通にだったり、じっくりと味わうように飲んだりする者もいる。
「なんか予想通りの面子が苦手で面白いわね」
「ゼオン、お前コレ平気なの? 俺は苦すぎて無理だわぁ」
「だ、ダーリンが美味しいって言うなら、アタシも頑張って好きになって見せるわ!」
私が以前に緑茶を出した時に嫌がった大地、苦手だけど頑張ってダーリンと同じものを好きになろうと頑張るレイリーアとか。まあ、出しといてなんだけど、私もブラックのままだと飲めない人なんだけどね。
「そうねラグナース。単純にお砂糖を加えたり、ミルクを加えたりして飲みやすくするってのが一般的かな? コーヒー牛乳なんて美味しいと思うよ?」
実は私、コーヒーとかあんまり詳しくないのよね。前世でもインスタントコーヒーにミルク入れてお砂糖足して~程度にしか飲んだことない。まあ、今回はこんなのあるよ程度でいいだろう。
「こういう嗜好品が増えるのは喜ばしい。『セリアベール』にも広まってほしいが……」
「うん。私達の帝国にもこのコーヒーが欲しいな。寒い日々にこの温かさはホッとさせてくれるだろう」
あらま。なんかバルドくんとバロードくんってばコーヒーが似合う大人って感じで格好いいじゃないの。この二人もブラックコーヒー平気なのね?
「んじゃコーヒーについては後で調べておくね。
さあ、お次のスイーツ行ってみよう♪ アイギス~お持ちしてちょうだい」
「畏まりました。サーサ、ファネルリア、ナターシャ。配膳だ、お持ちしよう!」
「はいはーい♪」「これも美味しいですよ」「アリサ様の自信作です!」
そうだね、『ユーニサリア』には食べ物の他にも、飲み物や色々な嗜好品、娯楽品とかも沢山の物を多く広めたい。二人のリクエストに応えて、『不朽』で前世で得た知識を整理してなにをどうやって広めていくかを考えておこう。
さて、それはそうと、今は楽しい食事会だ。続くスイーツをお披露目しようじゃないの♪
そんな私の声に応えるのは、アイギスとサーサ。それにファネルリアとナターシャだ。
「わおっ♪ コレまた美味しそうだねーっ!」
「ん~これリンゴですかね? あま~いいい匂い……ももちーワクワクです!」
アイギス達がメイドさん達を引き連れてみんなに配膳するのは、アップルパイ。これもまた美味しいスイーツだよね♪ 勿論私も大好きだよ! ミミとモモもその出来立てのアップルパイから漂う甘い匂いに早くも期待を膨らませて、笑顔を見せている。
「むぉぉ! これは見事な……リリカよこの菓子はなんと言うのだ?」
「はい。爽矢様、こちらはモンブランケーキと申しまして、アリサ様の渾身の一品でございます♪」
「ふっふっふ。あんたも気にしてた栗を使ったケーキよ? 美味しいから是非食べてみてちょうだい♪」
続いてファネルリアとナターシャと一緒に配膳するリリカさんに、爽矢がその、小山に雪が降り積もったかのようなお菓子を見ては、感嘆の声を挙げて、「これはなんぞ?」と訊ねてくる。
そう、それこそ秋の定番のスイーツ。モンブランケーキだ! いやぁ~これ作るの苦労したわぁぁ……生地やクリームとかはともかく、その形を整えるのが大変だった……前世のパティシエ達はマジに凄いって改めて思ったよ。どうやったらあんなに可愛くて、綺麗な形に出来るんだろうって四苦八苦しちゃった。
「アハハ! なるほど、それは確かに渾身の一品だねアリサ様♪」
「うん。確かに、とても見事な山だ。食べてしまうのが勿体ないくらいだね」
パルモーが可笑しそうに笑うけど、あんた、コレマジで大変だったのよ? レジーナみたいにその見た目も楽しんで、味わって食べてちょうだい?
「「「えっ!?」」」
「あ……大地」「ブレイド……」「ジュン……お主」
なーんてパルモーに言ってやると、方々からびっくりしたような、変な声があがったので見てみると……
「あ~あ……その、悪ぃ姐御……」「ごめん姉ちゃん、うまそうって思って……」
「なんだ~珠実~? コレうんまいぞー!」
大地とブレイドくん。ジュンがそんなのお構いなしにぱっくんちょ。先二人は水菜とミストちゃんと私を交互に見つつ、申し訳なさそうに私に苦笑いで謝ってくるものの、ジュンは全然わかっていないようで、呆れ顔の珠実にホクホク笑顔でウマー!
「あはは……いいよいいよ♪ 美味しいって言って食べてくれるのが一番のご褒美なんだから」
うん。それが一番。一番なんだけどね……芸術の秋でもあるんだし、みんなにも感受性を育んでもらえたら嬉しいなぁ~なんて密かに思っちゃう一幕だった。
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【スポーツの秋】~障害物競争~
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「さぁーっ! 沢山食べた後は運動をしましょう!」
おおぉーっ! 遊ぼうぜーっ!
えぇーっ!? やだーっ!!
おぉう? 見事に真っ二つだな!
はい。そんなわけでね? 美味しく楽しく、秋の味覚を存分に堪能した事だし! 今度はスポーツの秋。
そう思ってみんなに声かけたんだけどねぇ……
「収穫でいっぱい動いたじゃん? 運動ならそれで十分だよねぇ?」
「あ~僕は調理班だったからそんなに動いてないけど……」
どうにもこういうとき、スペルユーザー達が嫌がる傾向にあるのよねぇ~? まあ、気持ちはわからなくもないんだけどさ、あんた達あれだけ食べて、後はお部屋でゴロゴロなんてしてたら……
「絶対太るわよ? それでもいいのかしら?」
うん、そうよね。妹達と一緒の席で頬杖ついてはちょっと呆れた顔するティリアがズバッと言った言葉に、ぶー垂れてた女の子達がピタリと動きを止めた。
「そんなのヤダ~アリサちゃーん! 私にも『不変』ちょーだーい!?」
「レウィリリーネ様~そんな効果のある魔装具作ってぇぇ~?」
そしてまたぶー垂れ始める。特にリールとフォーネが結構な無茶振りしてくる始末。「そうだそうだーっ! 女神様達ばっかり狡い!」だなんて、もう、どうしてくれようコヤツ等め!
「ん。動きたくないなら動かなくてもいいじゃない?」
「なはは♪ その結果どうなっても知らないけどね~♪」
「『不変』は種族の特性のようなものですからね~食べても太らない体質の方だっているでしょう?」
そんな彼女達に妹達も呆れている、以前サーサに『状態異常無効』をかけてあげたことがあったけど、物を食べる度に全員にそんなのかけてらんないし、魔装具なんかも作れないっての。
ブーブー文句垂れるのは結構だけどさ、その結果太っちゃうのは自業自得なんだぞい? だから運動しようって提案してるのに~まったくもぅ……
「運動ですか? このフェリア! 訓練ならいつでも参加させて頂きます!」
「いや、フェリアさん。訓練じゃなくて遊びですよ?」
「と言っても……アリサ様、何して遊ぶんですか?」
まあ、ぶー垂れるのもいれば、運動に乗り気な者もいるわけで、フェリアは……極端だけど、ネネやニャモなんかは職業柄か、運動に抵抗がないみたいでどんな運動をするか訊いてくる。
「うん。なんか話聞くとあんまり球技とかも広まってないんだよね? まあ、あんた達に球技やらせたらめちゃくちゃになりそうだから、ちょっとしたアスレチックを用意してあるわ♪」
ルヴィアスのとこの帝国だと雪遊びみたいな感じでスキーだのスノボーみたいなのはやってるんだそうだけど、前世でメジャーだった野球やサッカー、バスケットボール等と言った球技はまったくと言っていいほど流行していない。
シンプルなかけっこや鬼ごっこ、かくれんぼといった遊びが主流みたい。う~ん、球技は結構ルールとか覚えなきゃいけない事も多いし、大人になればお仕事したり、魔物と戦う冒険者になったりで生きるのに精一杯だからスポーツする余裕がないのだろう。
「ほほう、アスレチックとな? アリサ様一体どのような設備なのかお教え頂いても?」
「折角ですし私も参加してみたいですわね♪」
「ガルディング様にセレスティーナ様も興味あります? じゃあ、実際に見てみましょうか♪
ほら! あんた達も見に行くだけなら平気でしょう? スタンダーップ!」
うぇーい……
まったく気のない返事だこと~もう、オヤツ食べてまたーりしていたいって気持ちはすんげぇわかるけどさぁ? 折角頑張って作ったんだから見るだけ見てちょーだいよ?
「へぇぇーっ!! スゲェーじゃんコレ!」
「なになに? こっからスタートして、これをよじ登ったり、飛び越えたり、掻い潜ったりしてゴールを目指すのか? 面白そうじゃん! アタイやってみるぜ!」
「おいおいセラ、ブレイドも。そう逸るな? まずはアリサ殿から説明を聞こう」
ジャッジャーン!!
どーよ? なかなか立派なもんでしょ~? みんなに動きやすいジャージに着替えてもらって連れて来た、アスレチックエリア。そこには、私が暇を見てコツコツ作っていた様々なアトラクション……と言うか、イメージしたのは『障害物競争』のそれだ。
「面白そうではないか! よし、ならばこのガウスが先陣を切ろう!」
「むっ!? 負けんぞガウス! 俺も往こう!」
おーおー。早速ヤル気満々のガウスとムラーヴェが名乗りを挙げた! いいねぇ~君達のように積極的に参加してくれる人は大歓迎だよ!
「案内がてら私も行くよ。みんなにはその様子を映像通信で見せるから、楽しそうって思ったら是非参加してみてね?」
「おねぇちゃん行くならユニも行く~♪」
おぉ~いいよぉユニ♪ じゃあ、一緒に行こうか? そんなに難しいわけじゃないから気軽に楽しんで~♪
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【公園にあった】~遊具の数々~
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さて、スポーツの秋、ってことでみんなと一緒にアスレチックエリアへと移動した私達。
今回用意したのは『障害物競争』をイメージして作った簡単なアトラクション。手始めに、名乗りを挙げたガウスとムラーヴェそして案内役の私にユニの四人で挑戦だ。
「まずはここがスタート地点。よーいどん。でもいいし、自分の好きなタイミングで始めてくれていいからね? そして最初にくるのは地面に砂が敷き詰められた砂場を抜けての『滑り坂』だよ」
「緩やかな坂道に見えますが、所々に足場がありますな?」
最初のステージはよく公園にある遊具の滑り台をモチーフにした、坂。名の通りとっても滑りやすいこの緩やかな坂道を駆け登り、登頂すればクリアだ。
「うおぉぉっ!? 予想以上に滑る! なるほど、だからこその足場ですね? よし行くぞ!」
「わーい! あの出っ張ってる足場に乗りながら登ればいいんだね♪ ユニ頑張るぞ~!」
そうそう、いい忘れていたけど。このエリアでは魔法はおろか、『剣聖剣技』のような技能も使用禁止。鍛え上げた自分の肉体が頼りだからね?
早速とばかりにガウスとムラーヴェが坂に挑み、その滑り具合を身をもって知ったようだ。そして、所々に出っ張ってる足場台の意味も理解したようだね。それを見てたユニも突撃、私もその後に続く。
「な、なんだか見てるとウズウズしてくるわ、私も参加してみようかしら?」
「おぉっと、落ち着けよカレン。確かに面白そうだが……ただ参加するだけじゃ物足りないぜ?」
「ルヴィアス、あんた何企んでんの?」
ギャラリーのみんなもなんか楽しそうに私達を観てる様子だね? ワクワクしてる感じがヒシヒシと伝わってくるよ♪
「よし、もう少しって!? おわあぁぁーっ!?」
ツルッ! ズサァァー! 叫び声挙げて滑り落ちるムラーヴェだ。あはは! 油断大敵よぉ~♪ あ、なんとか途中の足場に踏み留まったみたいね?
「あはは! おもしろーい! それそれそれ~♪」
「うおぉユニ殿速い! ま、負けられん!」
「二人とも凄いな! 私も行くよーっ!」
しゅたたたーっ! ってユニが速い、あっという間に坂を駆け上がって行く! 負けじとガウスと私も追っかけるんだけど、つるっ! うおぉぉ危ねぇーっ!?
「わーい! いっちばーん♪」
「ま、負けたぁぁ~無念!」「ユニ凄いじゃない!」
「あぁぁビリっけつぅぅ……悔しい!」
途中足を滑らせもたついた私とガウスを置き去りに、ユニが一着。ムラーヴェも健闘するものの、結構滑り落ちたハンデは大きく最下位だ。
「楽しそう!」「うん。これは面白そうだね」「わーっ! 四人とも頑張って~♪」
わーわー! と、観戦してるみんなも楽しんでもらえてるようでよかった。じゃあ次のステージに行こう!
お次は雲梯ステージだ。これも公園の遊具として有名だよね?
「ほほう、足を使った後は腕を使えと言うわけですか?」
「アリサおねぇちゃん、これはどうやって遊ぶの~?」
ふふ、これはね、ムラーヴェが言ったように腕を使うのだよユニちゃんや。見ててちょうだいね?
「こう、頭上に走る沢山横に並んだ棒を握って、ほい、ほい!」
「あー! なるほど~わかったよ! そうやって向こうまで渡りきればいいんだね?」
「ふむ、落ちても下は柔らかい布? が敷き詰められているな。コレなら安心か!」
うむうむ。流石はユニ。ちょっと私がやって見せただけで直ぐに理解したようだね。そして、万が一落下してしまったとしても地面には『弾性空気弾』を応用した安心安全な救命マットがぎっしり敷き詰めてあるからね♪
「そんなに高さがあるわけじゃないけど、安全には配慮しないといけないからね。安心して遊んでね♪
因みに、途中で落ちたら最初からやり直しよ~? あそこのゴールに着くなら、どんなルート辿ってもいいからね!」
ってわけで、早速スタートだ! ここは簡単に言うと雲梯が屋根となっている一軒家だ。そのため中央の最短距離を通ろうとすると、登り勾配がキツくなり、より腕に負担がかかる仕組みになっている。更に半分を過ぎれば今度は逆に下る方に勾配がつき、純粋に難しくなってくる。
「フハハ! 最短距離をまっしぐらよーっ! ってうおぉ!? キツイ! キツイぞ!?」
「よいしょよいしょ! ユニは~こっちから~♪」
って、思ったそばからガウスが真っ直ぐ突っ込んで行く。案の定徐々に高くなる雲梯にヒイヒイ言い出してるよ。ユニは外周の比較的勾配が緩い箇所を選び一生懸命に腕を動かす。
「これは、中間辺りを一気に抜けた方が速い気がするな。ゼルワならどうする?」
「あぁん? んなもん中央突破の一点だぜ? あのくれぇの勾配なんざわけもねぇ」
「わっはっは! 流石どんぐりモンキーの如し~とか言われてねぇなぁ?」
あれ? なんかギャラリーが凄く真剣にアトラクションをどうやって攻略するか話し合ってるぞ? アイギスがどのルートを通るのが一番速いか~とかゼルワに訊くと、ゼルワはその身のこなしの軽さから中央を迷わず選び、自信満々。だけど、そんな彼をセラちゃんがからかうように笑ってる。
「よっと! はい。一抜けた~♪」「よぉし! 二番目!」
「あうぅー! 二人とも速いよ~!」
はい。そんな風にギャラリーの様子も見ながらアリサさん楽勝のゴール♪ 次いでムラーヴェがきて、三番目にユニだ。一定のリズムを保ち、できるだけ同じ勾配の続くルートを選んだ私の勝利!
ムラーヴェはちょっと私を追い越そうとしてバランスを崩したのが敗因。ユニは単純に体格差だったね。
「うぐぐ……下り勾配があれほど難しいとは!」
そしてガウスは一回落っこちたので、最初からやり直し、最下位だ。
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【対抗意識燃やすみんな】~まったりするみんな~
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後はよく学校の運動会とかである障害物競争に出てくるような、ハードルや、網潜りとか玉転がしなんかもやって、挑戦者の私達四人はわいわい楽しみながらいっぱい遊んだよ♪
「総合トップはムラーヴェね? やるじゃない!」
「ムラーヴェさんスゴーイ!」「お、おのれムラーヴェ! 次は負けんぞ!?」
「いやいや、ありがとうございます! しかしこれはいい運動となりますね!」
やんややんやと騒ぐ私達。うんうん、楽しかったねぇ~? なんだか私も童心にかえれたみたいでとっても満足だ。さて……ギャラリーのみんなはどう感じただろう?
「いいかお前達! これは我が帝国の名誉と誇りを賭けた戦いである!」
「やるぜお前ら? 俺等『ギルド組』絶対負けねぇぞぉーっ!」
「さあ! 立ち上がれ『黒狼』! 今日こそ『白銀』と雌雄を決するときだ!」
「行くぞ『白銀』! 私達の力。皆に見せ付ける!」
……なーんぞ、えらい盛り上がってるんですけど?
ルヴィアスが中心に、近衛のバロードくん、カレンちゃん、オルファちゃん。さらにガルディング様にセレスティーナ様。
ゼオンと円陣を組むラグナースにネハグラ、ジャデークにリールとフォーネ。
バルドくんの雄叫びに高々と腕を天に突き上げる『黒狼』メンバー。
アイギスの不敵な笑いに各々ポーズを決める『白銀』達……
「なになに? なんなのあんた達? 何でそんなに火花散らしてんの?」
「あはは、お疲れ様アリサ姉さん、ユニ。ガウスとムラーヴェも」
「なんかね~? アリサ姉達のチャレンジ見てたら、みーんなしてヤル気出しちゃってさ~♪」
「あの……私が「競争と言うくらいですし、チーム分けして遊べばより楽しいかもしれませんわねぇ~?」な~んて、言ってしまったせいですの……」
ほうほう、ティリアとフォレアルーネ。それにティターニアの話を聞くと……どうやらさっきのゼルワをからかったセラちゃんの言葉が引き金になって、みんなに発破がかかったみたいだ。売り言葉に買い言葉でみんなを巻き込んで闘志が滾り、そこにティターニアが一言口にしたら、あれよあれよとこうなったみたい。
「ん。単純にケンカじゃなくて、このアトラクションで競うことになったのはよかった」
「うふふ♪ ちょっと大人数ですので私達『聖域組』は応援です」
やれやれ。まったくしょーのない奴等めが♪
「みんな血気盛ん~! でも面白かったよおねぇちゃん!」
「あはは! 見ててユニちゃんすごく笑顔だったね♪」
「んぅ、アリア達の応援届きましたか?」
うん。ユニが楽しんでくれてよかったよかった! 小さな体で一生懸命私達と一緒に駆け回ったユニは、パルモーが言った通り、終始笑顔だったからね♪ きっとそれはアリア達の声援のおかげもあったんだろう。
「私も参加したい……パルモー後で競ってみないか?」「え? ヤダよ」
「ネヴュラ、お前も「イヤです」……そうか」
「ホンに似た者親子じゃのぅ~お主達は、ある意味感心するのじゃ」
あはは! ホントだね珠実♪ 『聖魔霊』の親子は父と娘、母と息子で本当に似た者同士だわ。
うおぉぉーっ! とか、負けるかぁーっ! とか言って騒ぎながら、でも笑顔で競い合うみんなを見てたら自分もやってみたいって気になるのはわかる。
「んじゃ俺と行こうぜお前ら! 俺も見てたら挑戦してみたくなったぜ!」
「おお! 是非ともご一緒させてくだされ大地殿!」「行きましょう行きましょう!」
よっしゃ! 突撃だ~♪ って、あらら。嬉しそうに大地がバルガスとフェリア連れてすっ飛んで行っちゃったよ? あんた達は行かないの?
「あ~うん……アリサ様達のチャレンジ見てたら、その~胸が邪魔になりそうだなぁって思って……」
「わかるわ、特にあの網潜りなんか……アリサだいぶ苦労してたじゃない?」
あー……そっか、確かに障害物競争では付き物でもある。そう思って用意したあの網潜りだけど、実際にやってみたら結構大変だった。網が絡まるんだよね、体に凹凸あるとさ~? それを見ていたから水菜と朱美は参加を見送っているのか。
「我はしばしまったりと茶を飲んでいたいのだ。リリカよ、コーヒーの代わりを頼むぞ?」
「畏まりました爽矢様。『懐刀』の皆様は如何なされます?」
「妾は緑茶をもらおうかの」「儂もじゃ」
なんだか爽矢ってばこういうとこシドウの弟なんだなって思わせるわね。『四神』の中でも、年長者って感じ。リリカさんに頼んで気に入ったであろうコーヒーのおかわりを頼んで、言葉通りにまったりくつろいでいる。
それでもって、爽矢の注文を聞くついで、リリカさんが『懐刀』にも声かけるけど、珠実とシドウが緑茶をお願いする傍ら、ジュンとリンは本来の姿で丸くなってスヤスヤおねむしてる。
「ごはん食べた後は眠くなるからね。そっとしておきましょうよ♪」
「ふふ、そうだね♪ 気持ち良さそうに寝てるし」
アスレチックでワイワイと騒ぐみんなの喧騒をBGMに、私達ものんびりお茶をする。
お日様の柔らかい陽射しが心地よい秋空を見上げれば、空戦ごっこに戯れる『ガルーダナンバーズ』とカインにまたがるゆかりもまた楽しそう♪
ふふ、『ユーニサリア』でもこんな日々が過ごせるようになる日もそう遠くはないだろう。この『無限円環』での訓練も残り僅か、頑張りましょうかね♪
バルド「うおぉぉーっ!( `□´) 負けんぞアイギス!(*゜ε´*)」
アイギス「そう力むなバルド(`∀´) 滑って転ぶぞ~♪(´▽`)」
ゼオン「オラオラーっ!(ノ≧▽≦)ノ どけどけ小僧共ぉーっ!( ゜皿゜)」
バロード「まだまだ君達若者には負けないさ!ヽ(*>∇<)ノ」
ネネ「そっか(;゜0゜) 何気にバロードさん達って私達より長生きしてるんだったよね?( ; ゜Д゜)」
ミュンルーカ「うわぁゼオンさん……(;´∀`) いい歳したおっさんがはしゃいじゃってみっともなーい♪(*´艸`*)」
ドガ「おいおいそれを言うなら儂どうなるんじゃ!?(゜Д゜#)」
ゼルワ「単純に年齢で言うなら俺達も相当だぜ?(ー_ー;)」
サーサ「もう!(# ゜Д゜) 年齢の話はしないでくださいよ!٩(๑`^´๑)۶」
シェリー「そうね、年齢なら女神様方や『懐刀』は一体何歳なんだってなるし(´-﹏-`;)」
レイリーア「ハイハーイ♫ヽ(=´▽`=)ノ お先に失礼〜(≧∀≦)」
セラ「待ちやがれレイリーア!ヽ(♯`Д´)ノ」
モモ「むふふ~♪(*`艸´) ちょっとももちーが通りますよっと!ヽ(*´∀`*)ノ」
ブレイド「あーっ!?Σ(´□`ノ)ノ くそぉ~モモ姉ちゃんに抜かされた!(≧口≦)」
フォレアルーネ「あっはっは!(ノ∀≦。)ノ 盛り上がってる~♪(*^▽^*)」
アリサ「なんでみんなあんなに必死なのよ?(´・ω・`; )」
シェラザード「ティリア達がなんかチケット用意してたわよ~?(¬_¬)」
レウィリリーネ「ん( ´ー`) アリサお姉さんのお食事優先券(* ̄∇ ̄)ノ」
アルティレーネ「ふふ、ほら(。・д・)ノ 最近は他の皆さんもお料理を覚えて、アリサお姉様が直々に作られた手料理を食べられる機会が減ったでしょう?(*´▽`*)」
ティリア「そこで「一番ポイント高かったチーム」に優先券をあげましょうって言ったら、ああなったの♪。:+((*´艸`))+:。」
ユニ「あはは!("⌒∇⌒") アリサおねぇちゃんのお料理大人気だね♪(*^▽^*)」
アリサ「んなもん、レシピ同じなんだから誰作っても味変わらないっての(*゜∀゜)=3」
アリア(あるじ様が作ってくれた。ってことが一番大きいんだと思いますけどね(*ov.v)o)




