164話 続く祝宴
TOSHI「おい?(^_^;) 年内に終わるんじゃなかったのか?(・_・)」
ティリア「あ~( ̄▽ ̄;) うん(_ _) 終わんないみたい(*´▽`)」
アリサ「いわゆるアレよ(^ー^)」
アイギス「もうちょっとだけ続くんじゃ?(;´∀`)」
RYO「なるほどね( ゜ー゜) でも、もうエピローグなんだろう?(・о・)」
フィーナ「そのようです(¬_¬) 折角私達も合流したと言うのに(*`ω´*)」
セルフィーヌ「あはは(´∀`;) 精々後二~三話程度ってことですので(^∇^)」
イクシオン「なぁにとぞぉ( ̄0 ̄)/ 最後までお付き合い下さいまするよう~お願い申し上げまするぅぁ~♪・゜・(●´Д`●)・゜・」
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【大事な事は】~やっぱり素面でまじめに~
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「……そうか『ココノエ』からの手紙か」
「そうだなぁ……嬢ちゃん。済まねぇがそいつはもうちっとばっかし預かっておいてくれや?」
「応。アイツからの手紙、素面で読まにゃあならんだろうぜ……エミルとデールの奴も一緒になぁ?」
おや? こいつは意外だね? 私はてっきり速攻読み始めると思ってたんだけど……
ガッシュくんも、ゼオンも獅子王も、酒入ってる状態じゃなくて、エミルくんとデールのおっさんが……つまり、『誉』のメンバーが全員揃っていて、素面の状態の時に改めて渡してほしいってなことだ。
「……大切な仲間だったんだもんね? そんな彼女の残した手紙だ、しっかり向き合うのが礼儀さ」
「昔から『誉』の皆さんはそーいうとこありましたもんね?」
「……過去を知るレジーナさんとモモさんが少し羨ましいですわね。ですが、大切な朋友からの手紙なら、気持ちを改めて読まれた方が良いという心には賛成ですわ、ゼオン陛下」
『エルハダージャ』を建国し、『ココノエ』として女王を務めたあの子はもういない。その点についてはゼオン達も把握しており、そんな彼女が自分達にと、残してくれた大切な手紙だ。神妙になるのもわかる。ゼオンに引っ付いていたレジーナ、モモ、ノヴェダリュスもくっつくのを止め、ゼオンに寄り添うように側に立つ。
「そう。わかったわ……それじゃ日を改めましょう。時間が取れないのなら『無限円環』に案内してあげる。上手いこと予定を調整してちょうだいね?」
「了解だ」「応」「畏まりました」
三者三様に了解の旨の返事を聞いて、私は『ココノエ』の手紙をミーにゃんポーチへとしまう。きっと、戦後の処理だとか破壊された町の復旧に、『三神国』の復興にと、慌ただしくなるんだろうから、そんなに直ぐにって訳にはいかないだろうけど……ま、気長に待ちますかね。
「よし! んじゃ改めて……」「おぉーよっ!」「ああ!」
飲み空かそうぜーっ!! おぉぉーっ!! 乾っっ杯ぃぃーっ!!
あはは、気を取り直すように『誉』の三人は頷き合い、お酒片手に力強い乾杯を交わした。うんうん、いいんじゃないかな? 今日はめでたい戦勝祝いの祝宴なんだし、大いに騒いで大いに飲みなさいな♪
「仕方ない。ここはひとつ僕達がお酌してあげようじゃないか?」
「ゼオンさん以外は、今日だけですよ~? ももちーに感謝するよーに!」
「うふふ♪ それでしたら私も……今後ともよろしくと、ご挨拶もかねて♪」
わはははーっ♪ ってあっという間に盛り上がるゼオン達。レジーナやモモ、ノヴェダリュスの気の利いたお酌も嬉しいんだろうね♪
「アイギスにも後で私がお酌してあげるね♪」
「ありがとうございますアリサ様。私もお返しいたしますね?」
ふふ、そんなみんなを見ては私も大好きなアイギスと二人、ゆっくりとお茶を飲み交わしたくなる。みんなへの挨拶済ませたらお互いにのんびりお酌をしようって約束しておいた。
「そういえば『エルハダージャ』の冒険者達に会ったわよ?」
「あ、あぁ~『ココノエ』陛下に謁見に行かれた時ですね? どうでした? その……凄かったでしょう?」
『誉』の話、『ココノエ』の話に、私は珠実と行った『エルハダージャ』の冒険者ギルドでの話を思いだし、アイギスに振ってみた。するとアイギスはやっぱりというか、予想通りの苦笑いを浮かべて私に感想を聞いてくる。
「いやぁ~もぅ……圧巻の一言だわ。あんなに暑苦しい連中そうそう見ないわね……」
「ははは……気は良い人達ではあるんですけどね? あの熱量には私も初めて訪れた時に呆気にとられたものです……珠実様はそんな国の女王となられたのですよね?」
おぉ、そうだね! 珠実は『ココノエ』の後を継いで『エルハダージャ王国』の女王になったのだ。そのため、女神の『懐刀』の座をゆかりに引き継いでいる。
「それじゃあ今度はその『懐刀』達のとこに行ってみよっか?」
「ええ。そういたしましょう」
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【全体的に縮んだ】~『懐刀』達~
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はい。そういうわけで、と。大いに騒ぐゼオン達にその旨を伝え、私とアイギスは『懐刀』達の席へと向かう。『懐刀』等と呼ばれているけど、みんな進化を果たして、その位は妹達女神に並ぶものとなった。その点も含め、今後『聖域』での立ち位置なんかも話し合わなければいけないかもしれないね。
「なんじゃ? んなもん今まで通りでええわい」
……え? 誰ぞ? このいけすかない面したパリピっぽい兄ちゃんは?
「ホレ見ろ! 姐御も「気にくわねぇ」って顔してんじゃねぇかよ!」
「わかるぞ大地。私も見ていてイラっとする!」
「うむ。悪いことは言わん……兄者よ、それはやめておいた方がいいぞ?」
え? えぇ~!? 今の大地とゆかりと爽矢の話から察するに……このいけすかない若僧は……
「し、シドウ殿……なのですか!?」
「なんじゃい! みんなして!? 『龍神』となり若返った儂がそんなに気に入らんのか!?」
うへぇーっ!? マジにシドウなのかぁーっ!? 私とアイギスはその事実にビックリだ!
いや、まさにミーナの予想通り若返りおったぞこのジジイ!
─ぶっちゃけダッセぇ~のにゃ。何でこの寒空にアロハシャツ着てサングラスなんてかけてるんにゃこのジジイは?─
そう。ミーナが言ったように若返ったシドウはなに考えてんのかアロハシャツにサングラス。白髪混じりの金髪の前髪を頭上に上げてリボンで結って半ズボン。『ユーニサリア』は冬なんだけど? バカなのコイツ?
「もっとまともな格好をしろシドウ……恥ずかしくてかなわん……」
「アホじゃこやつ……アリサ様にアイの字からも言うてやってくれ……」
「うん。ダサイ」「時期が合っていません」
リンと珠実も呆れ顔して頭を抱える始末だ。お望み通りにアイギスと二人でズバッと言ってやると、ジジイは「そんなにイケとらんのかぁ~?」とか抜かして、ガックリ項垂れた。もっとまともな格好に言動すればいいのに、何で学ばんかねこの駄龍は?
「……と言うか、進化を果たされて『懐刀』の皆さん、縮みましたよね?」
「あおぉ~そうなんだぞアイギス~♪ オイラ今まででっかすぎたから丁度いいぞ~♪」
「うむ。言われて見ればそうだな? アリサ様の魔法『小さいは可愛い』も解除しておるが……」
「ふぅむ、儂も進化したばかりの時はデカくなったのじゃが……段々と縮んで結果爽矢より一回り小さくなったぞい?」
あ~アイギスの言葉に、言われて見ればと気付く。ジュンなんかその影響が顕著で明らかに小さくなっているし、進化直後は大きいって思ったシドウやリン、ゆかりも気持ち小柄になった印象だ。
「妾に至ってはまた幼女に戻ってしもうた……困ったのぅ~女王として威厳を示さねばならんというのに」
「ハハハ! なに、そんなもん神気を纏っていれば自ずと畏敬の目で見られるだろ! 気にするな珠実! 見た目で侮るような馬鹿がハッキリわかってかえってやり易くなるかもだぞ!」
やれやれじゃのぅ……って、困り顔する珠実にゆかりが豪快に笑う。うんうん、確かに見た目だけで人を判断するような奴は絶対いるだろうし、それがわかりやすくなるならいいんじゃないかね?
「そんなんなくとも今の妾は女神共の考えすら読めるんじゃがのぅ?
しかし、何でこうなったんじゃ? アリサ様、なんぞ理由を知らぬかえ?」
「ん~簡単に言うと、原動力……っていうか、存在の源っていうか~それが魔力から神気に置き換わったからだよ?
ほら、今までだと魔力から神気を練り上げてたのが、今ならそんな工程挟まずとも神気出せるでしょ?」
進化を果たして位が上がった『懐刀』のみんなは神と呼ばれる領域に足を踏み入れた。神の中でも、妹のアルティレーネ達のようにまだ未熟な者は魔力を練って神気に昇華させるが、熟達した神はその工程を必要とせず神気を放出できる。
─つまりは常に己の内に神気を内包させているということだにゃ。まぁ、あのアホ毛共の住む『神界』とかにはそんなやつ誰もいないけどにゃ~? だからお前達は誇ってもいいにゃ♪─
「……だ、そうよ? 凄いじゃないあんた達。でも、今まで魔力メインだったから、その出力の差に驚くこともあると思うわ。気を付けようね?」
「ほう、なるほどな……」「ようやっと合点がいったわい」
「みんなもそのうち馴れるんだぞ~♪」「うむ。気を付けるとしよう」
神気の扱いは魔力よりも遥かに神経を使うものだ。何せ出力が段違いだからね? 簡単に例えるなら魔力を百とすれば神気は万だ。その大きさの分、操作も難しくなる。
「こりゃあ、ちぃとばっかり注意せんと……知らず知らず誰かを傷付けてしまいそうじゃな。棲処で慣らしておこうかの?」
「シドウと同じく。余も暫く棲処にてこの力を完全に制御できるよう努めよう」
「えー? シドウもリンも真面目ちゃんだぞ~? オイラは今まで通りだぞ!?」
「お主は感覚派じゃからのぅ……ある意味、妾達の中でも天才じゃなぁ?」
「そうか、みんな自分の棲処を持っているんだな? う~ん、私も作るか? いやいや、『無限円環』にシェラザードがいるし、むしろそっちが棲処? アリサ様、どうしましょう~?」
みんなしてそんなん焦らんでもええやろ? あ~でも、これから『聖域』もオープンになっていって、色んな人との交流も増えるか? となると『懐刀』の力は危ないか。うん。一刻も早く力の制御を身に付けてもらわないといけないね。
シドウにリンは各々の棲処で、ああ、ゆかりも『無限円環』使ってくれていいわよ? シェラザードにアドバイスもらいながら制御を身に付けてちょうだい。彼女はそういうのに長けているからね。
ジュンはなんだべ? この子は天賦の才とでもいうか、野生の本能とでもいうかなんかで既に制御してるからオッケーね?
問題は珠実か。この子は『エルハダージャ王国』の女王としての仕事もあるから、のんびりしてられる時間も少ない。
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【ご主猫様の無茶振り】~猫はみんな大好きあのオヤツ♪~
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「? そこは大臣であるヒヒイロ殿に代行を頼むとかできるのではありませんかアリサ様?」
「あ~そうもいかないのよアイギス。彼に残された時間はそんなに多くないの。詳しくは言えないけど、『ゲキテウス』のあの魔女もそうね?」
ご病気かなにかなのですか? って訪ねてくるアイギスだけどね、う~ん、病気ってのもまた違うのよ。なんて説明すればいいべなぁ~?
「あやつ等は本来帰るべき場所があるんじゃよ、アイの字や。魔王共の問題が片付いた以上、その役目も果たされたと言うてな。そろそろ帰らねばならんというわけじゃ~」
「そうだったのですか……無事に帰れるようお祈り申し上げましょう。
……? どうされたのですか? お二人ともそんな( ´ー`)をされて?」
あ、いやぁ~私の代わりに上手く説明してくれた珠実の言葉にアイギスはなるほど、と納得してはヒヒイロとウォーラルの無事を祈るように少し瞑目するんだけど、あの二人の正体を知っている私と珠実はそんなアイギスを見て、思わず生暖かい目をしてしまっていたようだ。
「ううん。なんでもないよ~? アイギスのそういうとこいいよね~って二人して思ってただけ♪」
「まあ、お主もいずれわかる時が来よう。
しかし、困ったのう……『無限円環』で時間を速めて制御を身に付けておくべきか?」
─それなら、しもべの遍在存在を連れていけばいいにゃ─
きょとんとするアイギスは、まあ、うん。ちょっと待っててもらうとして、となると話が振り出しに戻るんだよね。珠実が力を制御しつつ女王としての政務もこなせるようにするには、珠実は『無限円環』で特訓しようかって言う。ふむ、元々器用な子だし、そうそう時間はかからないと思うんだよね。それならミーナが言う私の遍在存在を側につけてやるか?
「おお、それは嬉しいのう♪ 『転移陣』で一瞬で行き来出来るとはいえ、大好きなアリサ様と離れてしまうのは淋しいのじゃ」
うんうん! それそれ! 私も珠実が離れていっちゃうのはガチに淋しい!
珠実~アリサ様~♪ ってお互い抱きしめ合う私達。ミーにゃんナイスアドバイス! 流石私のご主人……ご主猫様だね!
「アリサ様の遍在存在ですか、『第二のユーニサリア』に戦乙女で、『無限円環』には聖女、そしてこの『ユーニサリア』には魔女と別れましたよね?」
「珠実につける遍在存在はどんな感じなのアリサ?」
ほへぇ~って感心しながら、私の遍在存在について確認をとってくる水菜、そして珠実にお供させる新たな遍在存在が気になる様子の朱美である。
「そもそも姐御って聖女しか出せなかったんじゃね? 今じゃそんなことねぇのか?」
「それはそうであろうよ大地? アリサ様は『神々神』となられ、更なる高次元存在へと昇華されたのだ。遍在存在の三つや四つお手のものなのだろう?」
うむ。大地が疑問に思った事は、爽矢が言った事が正解。遍在存在の扱いの難しさはその制御にあるのだ。今までの『並列意思』では、聖女一人出すので精一杯だったのだけど、『神々神』となった今、もういくらでもいける状態。別に自慢するつもりじゃないけど、マジにすんげぇわね!
─小細工得意なしもべにはうってつけだにゃ~♪ み~はそんな面倒なことしないのにゃん。ホレ、しもべ。み~にチーズを寄越すのだ─
ハハハ! そりゃすげぇや! でも、ミーナにゃ頭上がらねぇのは面白ぇな! わっはっは♪
なんて大地の一言にみんなも笑い出す。しょうがないよねぇ~なんせミーナは最強だからさ。はい、おチーズでごぜぇますよぉ~?
─うむ! 苦しゅうないぞ♪ 近々あのペロペロするのも用意するのだ─
「ペロペロするのって、なんぞ?」
─あれだ、細長いのに入ってるとろりとした美味しいやつにゃ!─
ん~? 細長いのに入ってて……とろりとしたの? んでもってミーナが美味しいって言うのは……
「ああ、『でゅ~る』ね? あんた前世からあれ大好きだったわよねぇ~? でも、この世界で作れるかしら?」
─作るにゃ! 出来ないなら買ってこいだにゃ!─
シャーッ! って、そんな言うほどかねミーにゃんや? 流石のアリサさんもアレの作り方なんぞ知らんわい。って、買ってこいって言うけどあの世界に勝手に行っていいもんか? 後でティリアに確認してだね? にゃーっ! じゃなくてね? コソコソするよか堂々と行きたいじゃん? そうすりゃいつでも買いに行けるようになんのよ?
「……あ、ミーナ殿が落ち着かれましたね? アリサ様、一体どんなお話を?」
にゃーにゃーうんうんシャーッ! からのにゃーっ! って言って、またうんうんしたらにゃぁん♪ と、ようやっと落ち着きを取り戻したご主猫様。一体何のやりとりなんだと見守っていたアイギスと『四神』に『懐刀』達だけど、ミーナの落ち着いた様子を見て、アイギスが訪ねてくる。
「ああ、うん。ミーナの大好物が私の前世の世界にあるんだけど、それを作るか買ってこいって言われちゃってねぇ~あはは♪ 困ったもんだよね?」
「それは、流石に相談した方が良いじゃろうなぁ?」
「そうじゃのぅ、余計な混乱を生まぬためにも主神達と話し合うべきじゃて」
ホレ見なさいなミーにゃん! 珠実もシドウも同じこと言ってるじゃない? というわけで、もうちょっと我慢してね?
「アリサ様の元々いらしたという世界ですか……一度私も行ってみたいものですね」
「うん。落ち着いたらちゃんと許可もらって一緒に行こうアイギス♪ 遊びに行く分なら結構いい世界だとは思うよ?」
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【勇者だって】~可愛い子ちゃんとちゅっちゅしたかった!~
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さて、忘れちゃいけないのが、元勇者で今は幽霊みたいなアーグラス達だ。彼等は今も『世界樹』内部の『神域』でこちらの様子を見守っているはず。私の『聖霊』のユニとアリスが交互に入れ替わって、彼等の存在を保護してくれてはいるが……そもそも彼等は転生体である、アイギス達から、更にわかれた『思念体』に過ぎない。いくら妹達の「神器」と『神域』、そして『聖霊』による保護があっても、その存在を維持するのは、もう限界だろう……
「かつての勇者達。本当にこうしてお目にかかる事が出来るとは……」
「貴殿方が文字通り、命懸けで戦って下さったからこそ、今の我々がある……心よりお礼申し上げる」
場所はそんな勇者達が集う『神域』……とは、流石にいかなかった。そもそも『神域』は神が通る道。普通の人々が立ち入る事は、色んな意味でできないんだとか。
「ん。保護してやれば大丈夫だけど。普通に入ると意識失う」
「魔素的~っていうか、まぁ。そんなので、「一般人立ち入り禁止」ってわけだよ」
「まあ、普通は立ち入れる場所ではありませんからね」
ってのが、妹達の言い分である。なので今はみんな『世界樹』の前に集まって、映像通信越しにアーグラス達と邂逅しているわけだ。
最初に深々と頭を下げるのは『ガーブルム王』と『ハイジャフェリラ王』の二人。それに倣うように集まったみんなも頭を下げる。
「偉大なる初代ジドル王。貴方様の意志を継ぎ、儂等の『ジドランド』はこれからも末永く、ドワーフの王国として発展を目指して行きますじゃ!」
『そんな意気込む事はないぞい? なぁに、ゆっくりやっていけばいいんじゃよ。仲間達と一緒にな?
ドガ、ギド、ファム。そして多くのドワーフ達よ、これからもコヤツを支えてやってくれんかの?』
「ワハハ! 当然だ。ジドルんは昔からの朋友だからな!」
「心配せんでも大丈夫じゃて。儂等だけでなく、パーシヴァル翁もおるしな」
「ご先祖様も疲れたろうに、後の事は私達に任せてゆっくり休んどくれよ♪」
親しげに挨拶を交わすジドルとジドル王達ドワーフ連中だ。『ジドランド王国』はこのアーグラス達と旅を共にしたジドルが興した国だし、そんな偉大な初代と御対面できてジドル王は色々と感情が昂っているんだろうね? やや興奮気味だ。そんな王を微笑ましく見守るジドルも消滅が近いことを悟っているんだろうね。王と一緒にいるドガ、ギドさん、ファムさんに託すように話しかけている。
因みにだが、『ジドランド王国』の賢者、パーシヴァルじいちゃんは国でお留守番だという。なんでも、めっちゃこの『聖域』に来たがっていたらしく、お留守番と聞いて凄く落ち込んだらしい。近い内に招待してあげましょうかね?
『サーサとゼルワはずっと仲良しでいてね? 幸せになんなきゃまた足首掴むよ?』
「ちょっとサーニャ、止めて下さい。アレ結構トラウマものだったんですから!」
『ゼルワも、今更かもしれんが、ハーフエルフって境遇に負けるなよ? 後、もっと槍も使おうぜ?』
「マジに今更じゃねぇかラインハルト? 槍はまぁ、嫌いじゃねぇし、考えとくわ」
一方でこちらはサーサ達を中心に集まっているエルフ族だ。サーサ、ゼルワに、『妖精国』のエルフ、各国の役職に就いているエルフ達なんかもいるね。
サーニャはサーサにゼルワと幸せになってほしいって言ってるけど……それは、生粋のエルフとハーフエルフ間でも同じこと。そう、暗に仄めかしているようだねぇ。『ゲキテウス王国』の魔導師団長のアレイシアってエルフっ子はゼルワとサーサと同郷だそうで、話を聞いてばつが悪そうな顔してるしね♪
「アタシ……ダーリンとの子は女の子だと思うのよね!」
「れ、レイリーア!? き、気が早いよ? それにほら、皆さん見てるじゃないか……は、恥ずかしいよ僕……」
『私もそんな気がする! じゃあさ、その子に「ナーゼ」って名前つけてよ! あなた達の子供になら私喜んで生まれ変わりたいわ!』
いや~盛り上がってるなレイリーアとラグナースにナーゼ達は。
実際に思念体に過ぎないナーゼ達は転生が可能なのか? その答えはYESだが、この場合、レイリーアの子供として限定される。ナーゼ自身既にレイリーアに転生を果たしているため、別の生命として再び生まれることはないが、己の分け身として転生体であるレイリーアの子供としてならば可能となるのだ。
─……あくまでも可能ってだけの話にゃ。転生候補は他にも沢山いるにゃーし、ナーゼがレイリーアの子としてくれて産まれるかは運だにゃん─
うむ。ミーナの言う通りではあるんだけど……ここは嬉しそうな彼等の笑顔が崩れないように黙っておこうね? そして祈っておこうか。ああ、そういやアルティレーネが『生誕』を司っているから、拝んどけば御利益あるかもしれないね?
「アーグラス。俺はちゃんと約束を果たしたぞ!」
『やかましいわルヴィアス! お前がアイギスを構いすぎたせいでヴェーラに狙われたこと忘れたのか!?』
「そーそー。ホントそれ。アホよねぇ~コイツ?」
「ルヴィアスのアホっぷりはこれに始まったこっちゃねぇけどな?」
で、友人だったっていうルヴィアスはアーグラスとぎゃあぎゃあ騒いでるね? なんぞティリアとTOSHIも一緒になって喚いとるがな。面白そうなので、ちょっと観察してみよう。
「それはマジにゴメンて! アリサ様のおかげで丸くおさまったし許してくれよ?」
『別にいいけどな? それよりも……はぁ~クソTOSHIめ、見せ付けてくれるじゃないか?』
「あぁん? んだテメェ? まだ俺の嫁狙ってんのかよ? いい加減ブッ飛ばすぞこら?」
「アーグラスって結構未練がましいのね? ちょっと情けないわよ~?」
そーいやルヴィアスがアーグラスの転生体であるアイギスの誕生を喜んで、『ランバード家』にしょっちゅう出入りしてたもんだから、ヴェーラが操る『ジェネア王国』に目を付けられたんだっけ?
「アイギスとしてはその辺どうなの? やっぱ気にしてる?」
「いえ、別に気にしては……あまり考えても仕方ない事だと割り切っていますよ? それに今こうして、アリサ様の隣にいれるのも。あの事件があったからだと思えば……」
あ、あれ!? や、やだぁん♪ 私ってば今口説かれてないですか!? って、でもそっか。そういう風にプラスに考えた方が気も楽だわね。しかしアーグラス……アイギスと同じ顔でそんな、「ぐぬぬ」とか唸らないでほしいわ……いやまぁ、恋敵が目の前にいるんだから仕方ないかもだけどさ……
『くそぅ……おい、アイギスにアリサ! お前達さっさとくっついて子を産め! 俺もナーゼみたいにお前達の子としてなら生まれ変われる可能性があるんだろ!?』
「「ぶふっ!!」」
ちょっ!? いきなり何を言い出すんだこの馬鹿勇者は!? 思わず私とアイギス揃って盛大に吹いたわ!
「アーグラス何を言うんだ!?」
『うるさい! 俺だって、俺だって……ホントは好きな娘とイチャイチャしたかったんだぞ!?
だけどティリアには既に旦那いるし! サーニャとラインハルトは見せ付けてくるし!
挙げ句になんだーっ!? 合同結婚式だとぉーっ! 俺だって結婚したいわ!!』
ポカーン……
絶句。アイギスの言葉をやや食い気味に、めっちゃ早口で捲し立てるアーグラスに私とアイギス始め、集合した全員があんぐりと口を開けて放心すると言う珍事が発生してしまったんですけど……どうすんのこの空気?
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【問題片付いても】~私は忙しいねこりゃ~
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ワハハっ!! って、少し間をおいて我に返ったみんなが大笑いし始める。かのお伽噺、『魔神戦争』に語られる伝説の勇者のあまりにも切実で、情けない叫びにとうとう我慢できなくなったんだろう。
『わ、笑うなよーっ!? 俺だって人並みの幸福を求めたかったんだぞ!?』
「ふ、ふはは! いや、失礼した勇者殿よ。ならばこそ無事転生が叶う事を願わずにはいられませぬな」
『余達はまだ転生しておらぬからいいが……勇者殿達は既に果たしておられる』
『なーんかアリサ様の話だと可能性はあっても低いんでしょ?』
『難しいんじゃねぇの~?』
そんな爆笑に泣きそうな顔しては、また叫ぶアーグラスだ。あ~もう、なんか最後の最後に思い切りイメージぶっ壊して来たわねコイツ? キャラ崩壊まっしぐらじゃないの?
他のみんなも同じような思いだろう。呆れ顔する者もいれば、苦笑を浮かべる者、大笑いする者と様々だが、同世代のビットは笑いながらもアーグラスが転生できるようにって祈っている。そして『三神国』の王達。ユグライア、リュール、フォレストの三人は子孫達から一時的に憑依を解除して、各々で自由にこの『聖域』を見て回っていたのだ。勿論、ちょいと魔法でみんなにもその姿が見えるようにしてある。
《そっか! 勘違いしそうになったけどよ。今いるのはアイツ等の子孫であって、転生体じゃねぇんだったな?》
《ああ、その通りだ。そしてビット殿は未だ転生しておらず、アリサ様の魔法によって一時的に現世にその姿を現しているにすぎん》
《今の『三神国』の王達もビット殿も、その『三神国』復興が成就するまでの期間限定……》
《少々寂しい気も致しますが、それもまた人の……定命たる者達の営み……わたくし達は静かに見守りましょう》
翼とゼーロ、レイミーアにレイヴン達もまた騒いでるね。そう、彼等は勇者達と違い、まだ転生を果たしていないからね。『三神国』の復興が成った暁には盛大に見送ろうじゃないの。確かにちょっと寂しいけどね……
『はいはい。アーグラスも騒いでばっかいないで、未来を切り開いたみんなをお祝いしてあげなさいよ?』
『そうだぜ~? 長い魔神戦争もようやくケリ着いたんだ。明日の合同結婚式を祝ってよぉ、俺達も天に還ろうぜ……』
ちょっと呆れたように。でも、少しの寂しさを見せつつ嘆くアーグラスを慰めるナーゼとラインハルトだ。アーグラスも(´・ω・`)てな顔しつつも頷いてる。
「まったく、嘆いてないで未来を馳せろアーグラス。これからこの世界は明るくなっていくんだから、きっと楽しい世界になるぞ?」
「そうそう♪ あんた達が生まれ変わって来る頃には世界中に美味しいご飯が溢れてる筈だからね!」
アイギスと私もそんな落ち込んだアーグラスに元気出してもらおうと言葉をかける。彼等が生まれ変われるかどうかはさておき、『ユーニサリア』が楽しい世界になるのは目に見えているからね。私も沢山料理を広めて、世界中の人が笑顔になれるように頑張るつもりだし!
《ヒャッハー! 冒険ニモ出テ見テェヨナーマスター!?》
「そうですそうです! 私と浮遊大陸に行く約束もありますよアリサ様♪」
「そーのー前にーっ! 私は一日アリサ様を独占しちゃいますもーん♪」
わーい♪ って、ヒャッハーくんを始めにみんなが寄ってくる。そうそう、私もこの世界を改めて冒険しなきゃだよ! なんだかスッゴい駆け足で事態が動いたけど、私だってこの世界に転生して一ヶ月も経っていないんだ。ゆかりとも約束したし、ミストちゃんは私の一日占有券を持っているし……
「各地の『迷宮』の様子も見にいかなければ行けませんね♪」
「ん。それはどうせだし、『セリアベール』でお留守番してる『ハンバーグ』と『フライドポテト』達に任せるのもいいと思う」
「うち等は『聖域』の開拓頑張らないといけないけど……『三神国』の復興にも顔出したいよねぇ~♪」
あはは! うんうん、いやぁ~やっぱこうしてみんなでわいわいするのってやっぱ楽しいね!
妹達とパーティー組んでもいいし、他のみんなとも一緒に色んなとこ行ってみたい。
「アリサおねぇちゃんはもっとユニ達を構ってくれなきゃダーメ!」
「です。あるじ様はもっともっと、アリア達と遊ぶべき! です♪」
「むぅ~ちゃんと娘も可愛がっていただきませんと!」「なのです~♪」
おぉっと、今度はちびっこ達だ。うむ、勿論チミ達を忘れてなどいないよ~? いっぱい遊ぼうね!
「おうおう? 待ちなお嬢ちゃん達! アリサ様にゃぁ~是非とも俺等『ゲキテウス』に魚料理を広めてもらわにゃぁならんのだぜ!?」
「たわけがこの獅子小僧! 妾の『エルハダージャ』のが先じゃ! あのうなぎ料理の数々! なにがなんでも広めねばならんのじゃ!」
「待て待て待て! ゲッキーも珠実様もよぉ~? アリサの嬢ちゃんが最初に色々教えてくれる約束したのは他でもねぇ『セリアベール』だぜ?」
「ははは! 順番は守らないとね! その次は俺のとこの帝国さ!」
こらこら? 獅子王に珠実ちゃんや、ちびっこ達を押し退けるんじゃないよ? まったく、私がユニ達とニコニコしてたらコヤツ等め。ゼオンとルヴィアスの言った通り順番よ順番!
うぐぐーっ! って唸って悔しがる獅子王と珠実だけど、安心してほしい。さっき珠実がうなぎ料理って言葉にしたように、その国その国の特産品で料理を作って、それぞれに特色を出して行こうって思ってるから。
「おお。それでは、そのうなぎとやらが食べたい! って思ったら『エルハダージャ』に行けばいいと?」
「海鮮料理を楽しみたいなら、帝国の『ディベリオン』とか、『ゲキテウス』に向かえばいいのね♪」
「僕達の帝国ならチーズを使った料理とか? アリサ様のおかげでチーズも需要が伸びそうだし、いいかもね!」
そうそう、そう言うことよ♪ 私の話を聞いて真っ先に理解を示した帝国三人衆。バロード、カレン、オルファの三人に私はサムズアップで応える。そういったグルメ旅行も、将来実現させたいのよね♪
「ふふ、どうだ皆? 聞いているだけで楽しそうじゃないか?」
『うんうん! めっちゃ楽しみよアイギス!』『あぁ~俺達も生まれ変わりてぇな!』
『はい♪ とっても! サーサ達が羨ましいかも』『無論酒もあるんじゃろう?』
『そうだな! よし、俺も勇者らしく最後まで諦めずに希望を持ち続けるぞ!』
わいわいぎゃーぎゃー! あーだこーだとやかましく、でも、とっても楽しそうに笑顔で話し合う私達を横目に、アイギスが勇者達へと問い掛けた。やっぱり周りが楽しそうにしてれば、それを聞いている人もつられるものだ。味気なかった食事情の改善が話題なのも大きいかもしれないけど、アーグラス達も未来が楽しみになったみたいでなによりだよ♪
アリサ「……ねぇ(¬_¬) アイギスくんや?( `_ゝ´)」
アイギス「は、はい!(゜A゜;) あの、アリサ様何か怒ってませんか?(-_-;)」
アリサ「これからする質問にどう答えるかで、もっと怒るかもしれないんだけどさ(_ _) 質問していいかしら?(^ー^)」
アイギス「((゜□゜;)) ……ど、どど、どうぞ!(>_<)」
アリサ「あんた、ゼオンのあの状況見てさぁ~?(¬_¬) ちょぉぉぉーっとでも、羨ましい( 〃▽〃)とか、思ってなぁい?(´・∀・`)」
アイギス「え?( ゜□゜) いいえ。全然(・-・ )」
アリサ「……じぃ~(  ̄- ̄)」
アイギス「私が羨ましいと思ったのはルォン陛下にガウスとムラーヴェ達ですね(゜ー゜*)」
アリサ「ほほーう?(・о・) ほーん?ヾ(゜д゜)ノ ウソじゃないみたいね!( ・`ω・´)」
アイギス「誓って(。・`з・)」
アリサ「……(*ov.v)o」
アイギス「( ゜ー゜)」
アリサ「よかったわ(*゜∀゜)=3 あんたがもし「あんなハーレム築きたい」なんて言い出したらどうしてくれようかと思った!( *´艸`)」
アイギス「……因みに、どうされるおつもりだったのですか?(゜∀゜;)」
アリサ「そうね、あんたを『存在消滅』させて私達全員から記憶を完全削除してたんじゃないかな~♪。:+((*´艸`))+:。」
アイギス「((( ;゜Д゜)))」
アリサ「なーんて、じょうだんよ~冗談!(*´∀`*)」
ヴィクトリア「あれ……絶対冗談じゃないわよね?( ´ノω`)」
シェラザード「アリサも相当ヤバいわよね……浮気とか死んでも許さないタイプよ?(´゜ω゜`)」
リドグリフ「とてつもない殺気よ( :゜皿゜) 我も震えが止まらぬわ(T^T)」
ルヴィアス「想像以上にヤベー女だったんだね、アリサ様って(>_<)」
RYO「いや、どうだろう?( ゜Å゜;) 「あんたを殺して私も死ぬ!」とか言わないだけまだマシか?(;´Д`)」
TOSHI「アイギスが浮気しなきゃいいだけの話だぜ?(・о・) ビビることねぇだろ?( ゜∀゜)」
みんな「いや、まぁ……うん(_ _) ソウダネ……( ̄▽ ̄;)」




