161話 魔女と結
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【新たな世界の】~新たな神々~
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さて、それではその後の事を話していくとしよう。
『ユーニサリア』を襲った『世界樹喰らう邪竜』を降し、ロアも捕縛、拘束した私達は、ようやく永く続いた魔神戦争に終止符を打つことが出来たのだ。
そして、元々ロアが創造した世界、百八十三あったそれを、『神々神』となった私が改めてひとつに統合し、『第二のユーニサリア』として生まれ変わらせた。
「ステラ、再構築お疲れ様。生まれ変わった新しい自分はどんな感じ? おかしなところはないかな?」
「ありがとうアリサ様! おかしなところっていうか、もう全身からとんでもない力が沸き上がってきてるのがちょっと怖いかな?」
ロアの実験によって散々な被害を受けた世界の生き残り……ああ、いや、息絶えてはいたっけ? まぁ、私に発見された現地人三人。ヨミ、ステラ、ノースの三姉弟は『第二のユーニサリア』を管理する新たな神となってもらうべく、彼等の遺体から『想い』を拾い上げ、了承を得て再構築したのだ。
黒髪のどこか私の前世の世界の人種に似たその容姿から、彼等をどのように再構築するかは既に決めていた。黒髪の三姉弟とくれば、私の中でのイメージはやはり……
「そこはおいおい馴れていくしかないかな? ふふ、時間はたっぷりあるから焦ることないよ。
さて、それじゃあ無事に再構築が完了したお祝いに名付けをしようか? 生まれ変わったんだから、その記念にね♪」
「わぁー! ありがと……変な名前はヤダからね!?」
「あっはっは! 気に入らなかったら今まで通りステラって名乗ればいいわよ?」
一瞬嬉しそうに喜んだと思いきや、直ぐに不安そうな顔になって私に釘刺してくるステラちゃんである。私としては安直だけど、それなりに彼女に合った名前だと思うんだけど、当人がどう思うかまではわからないからね。お気に召さなければ今まで通りの名前を名乗ってもらうとしよう。
「んじゃ、貴女はこの世界の太陽神……そうね、『ユーニサリア』で言うところの『生誕』を司る神として、『アマテラス』の名前を贈るわ」
「おぉ~元の「ステラ」って名前を少しいじったんだね? 了解! 私は今後アマテラスって名乗るね!」
うむ。初めて見たときの黒髪に茶色の目や肌の色。そして「ステラ」って名前から、私の前世での世界の神話の神の名前がピロリ~ン♪ って浮かんだのだ。
話していて明るいムードメーカーらしい彼女には、その太陽のように眩しい笑顔で、この『第二のユーニサリア』を見守ってあげてほしい。
「素敵なお名前です。アマテラスさん。私は『ユーニサリア』で『生誕』を司る女神、アルティレーネです。もし何か困ったり、相談したいことがあればいつでも遠慮なく仰って下さいね?」
「わぁ~♪ じゃあアルティレーネさんは私にとって先輩にあたる女神なのね! うん、頼もしいよ! これからよろしくね♪」
そう言って微笑みあってお互いに握手するアマテラスとアルティレーネ。うん、先輩後輩としてこれからも仲良くやってほしいものだ。
「さて、じゃあ次はヨミだね」
「はい。よろしくお願いいたしますアリサ様」
ヨミは三姉弟の長女。物静かでとっても優しいお姉さんキャラだ。そして、アマテラスの姉となれば、名前は既に決定している。
「貴女には月神……闇夜を優しく照らす月。転じて『終焉』を司る、『ツクヨミ』の名前を贈ります。
命が産まれる以上。その終焉は切っても切れない関係だからね? 貴女にはその優しさで終焉を迎えた生命を包み込んで、新たな生命へと輪廻する祝福を与えてあげてほしい」
「はい。不肖ながらこのツクヨミ。微力を尽くさせて頂きます」
「おめでと~♪ ツクヨミちゃん! うちは『ユーニサリア』で『終焉』司ってるフォレアルーネっていうんだ~♪ これから色々と交流して楽しくすごそうね~?」
恭しく私にひざまづいて新たな名前を拝命するツクヨミに、フォレアルーネがフレンドリーさを全開で笑いかけると、ツクヨミも嬉しそうに微笑んで話に花を咲かせるのだった。
「うんうん。仲良くなれたようで何より何より♪ さあ、最後はノースだね!」
「あ、ああ。よろしく頼む」
「ん♪ 少し緊張してる?」
ノースは三姉弟の末弟。当然彼にはあの名前を贈ろうと考えているんだけど、私に呼ばれると、彼は少し身を固くして、ぎこちない動きを見せる。私の隣にいるレウィリリーネもその様子に気付いたようで、声をかけているね。
「……そう、だな。俺は生前、魔瘴を多く取り込んでしまったせいで心を失い……姉であるステラを、この手にかけてしまった……そんな俺が、世界を管理する神の一柱になど、本当にいいのか……わからなくてな」
ノースの告白に集まったみんなの表情が曇る。
ロアの身勝手な実験によってノース達がいた世界は『世界樹』が呪いに犯され、『合成魔獣』が跋扈する地獄と化していた。
空には魔素霧が日射量を遮る程に立ち込め、生命は魔物と化して、人々は死に追いやられるも、その命は『合成魔獣』に取り込まれて輪廻することも出来ない、滅びを待つだけの世界だったのだ。
「大丈夫だよーんノース! ほらほら♪ 見てよ見てよ! 私今すっごく元気いっぱいだよ!」
「貴方は私達、姉に苦労をかけまいと率先して魔物の討伐を受け持ってくれていたこと……ちゃんとわかっていましたよ?」
そんな重い空気を吹き飛ばすような明るい声と笑顔でノースを安心させるように励ます、ステラことアマテラスに、魔瘴に毒されてしまったのは自分達、姉妹を護ろうとしてくれていたからだと知っているし、決してステラを手にかけてしまった事を憎んだりはしていないと、持ち前の優しさで諭すヨミことツクヨミだ。
「差し出がましいようだけれど……いいかしら?」
「? あんたは……アリサ様の妹か?」
姉二人に「大丈夫」だと諭されても、やはりノースは自分自身の行いを許せずにいるんだろう。少し強ばっていた表情は和らいだようだけれど、浮かない面持ちのままだ。
そこでティリアが口を挟んできた。ノースは彼女の顔が私と瓜二つであることから、ティリアが私の妹であると察したようだ……どうして「姉」ではなく、「妹」だと判断したのかは、まぁ……彼の目線が物語っているのだが、今は真面目な場面なので茶化したりはすまい。うん。
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【互い】~『痛み』識る者~
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「私はティリア。『神界』で主神を務めているわ。まずは、貴方達に謝罪を……
私が至らないばかりに、ロアという悲劇の元凶を止められず、大変な思いをさせてしまって……本当にごめんなさい……」
ペコリと深々頭を下げて、三姉弟に心からお詫びするティリア。それに続き、私も、フィーナやセルフィも、妹達に、シェラザードやルヴィアスといった元魔王達に、ヴィクトリアやアルナも揃って頭を下げて謝罪をした。
「そ、そんな! 神様達揃って頭を下げるだなんて! その、流石に恐れ多いんで、頭を上げてくださーい!」
「た、確かに大変でしたけど! こうしてアリサ様に助けていただけたわけですし!」
「……ある程度話は聞いている。『神界』も一枚岩ではないのだと……その中で貴女はよりよくしようと『革新派』を束ね、尽力してくれているのだということも」
あわわ! って、私達の一斉謝罪にびっくりして戸惑うアマテラスとツクヨミだ。ごめんね~驚かせるつもりで頭を下げてるわけじゃないんだ。ただ、本当に謝りたいって感じたからそうしてるんだよ。
ノースがティリアに対し、『神界』の状況について、私から聞いた話で少しだけ把握しているから。ロアの動向を止められなかった事についても責めたりしないし、できないと言ってくれる。
「ありがとう。それでは改めて話をさせてちょうだい。
ノース。貴方は不本意であれ姉を手にかけてしまった事に酷く心を痛めているけれど、神となるのであれば、その痛みは覚えておくべきだわ」
「ティリアお姉様が、アリサお姉様をお選びになられた理由のひとつに、「痛みを知る者」というのがありました」
「そうでしたね……痛み、悲しみ、苦しみ、辛さを多く知るアリサお姉様だからこそ『ユーニサリア』を救済するに相応しい。そう仰って選ばれましたね?」
どうやらティリアとフィーナ、セルフィの三人はノースに私を『ユーニサリア』に転生させた時の事を重ねて説得してくれているみたい。確かに私も前世じゃ嫌っていうほど辛い思いしたけど……ノースもそうだよね?
「……そうか、アリサ様。貴女も」
「まぁ、忘れられない経験ではあったよ? もう二度とごめんだけどさ……」
そうして私に向き直るノース。いいのよん? 私は今は楽しくやれてるから。だからそんな同情の目を向けなくても。ノースも私もキッツい思いして死んだってとこは共通してるっちゃしてるか。
「ありがとう。それならば、俺も二度と世界があんな闇に閉ざされてしまうことのないように尽力しよう」
「うん。じゃあノース。貴方には『スサノオ』の名を贈るわ。『調和』を司り、世界を調停するのが役目かな?」
「ん。世界を停滞させる事も、破壊される事もないように。かつ、生命が増えすぎたり減りすぎたりも駄目。結構難しいお仕事。あたし……『ユーニサリア』の『調和』を司ってるレウィリリーネ。色々とアドバイスさせてほしい」
「感謝するレウィリリーネ。今後頼りにさせてもらう!」
うむ。以上でこの『第二のユーニサリア』を管理する三神への名付は終了だ。はい、みんな拍手!
わぁぁぁーっ!! おめでとう! これからよろしく!!
あい、ありがとうありがとう! みんなもこの三人と仲良くやっていくようにしようね♪
さて、お次はこちらの『世界樹』である。
「あの『世界樹喰らう邪竜』から回収した力を返還されるのですね、アリサ様?」
「そうだよアイギス。私がこの『第二のユーニサリア』を再生させた時に、『世界樹』にかけられてた呪いも解呪して、ご覧の通り元気な姿を取り戻したんだけどね……」
ミーにゃんポーチから戦乙女の私があの邪竜から回収した、『世界樹』の力を見たアイギスが次に私が何をするかを察して声をかけてくるので、軽く経緯を話して、静かに佇む『世界樹』を見上げる。
「……多分、ユニの先輩? お兄さんかお姉さん? なのかな? 心が、心だけが何処かに行っちゃってるみたい……眠ってるって言えばいいのかなぁ~?」
う~んって、私達と一緒にこの『第二のユーニサリア』の『世界樹』を見上げるユニがポツリとそんな事を言い出した。
因みにだが、ユニの姿はいつも通りの可愛い幼女の姿に戻っている。聞けば、一時的にあの『聖柩』に向かう途中出会った大人っぽいユニのような姿を取っていたというではないか? おねぇちゃんとしては是非ともお目にかかりたかったのだが、非常に残念である。まぁ、いずれその姿を拝む日も来るだろうし、今は大人しく待ちましょうかね。
─にゃん。おそらくロアに呪いをかけられた時に心を保護したのかもしれないのにゃ。しもべよ~さっさとその力を還してやるといいのにゃ─
「あ~そういうことミーにゃん? そっか、ユニよりずっと先に産まれた子だから自我を保つ術も持ってたってことなのかな?」
ミーナが語る話の内容になるほどね~って頷く私。そんなやり取りを見ていたみんなはというと……
「はぁ……ミーナってマジにその? ティリア様達よかすげぇ存在なのか?」
「何を話しておるかさっぱりわからんのじゃが……」
「あ、アリスってば今までにミーにゃん大先輩に対して失礼なことしでかしてなかったでっしゃろか? なんか今になってめっちゃ心配になってきましたでっすよぉぉーっ!」
「まっさかの『神々神』様にお目にかかーれる日が来ようとはぁぁーっ! こんのイクシオン! むちゃめちゃかぁんげきでござまぁぁーすっ!」
「うるせぇよイクシオン! ちょっと静かにしてろっての!」
「す、済まないねアリサ義姉さん。ミーナ様。俺達の仲間が騒いでしまって……」
セラちゃんにドガはいまだにミーナが凄い存在だって事に半信半疑なようだけど、アリスは私の『聖霊』って事もあってか、ミーナのことを余計に敬うようになった。
そして遂にお目見えしたティリアの旦那とその仲間達。やたらとテンションあげまくりでウッヒョイウッヒョイ! 騒いでいるのが丸知ちゃんこと『知識神』イクシオン。この『第二のユーニサリア』を創造した後、真っ先に気付いては『神界』のどっかで覗き見してた子だね。
ちょっと色々と残念な見た目なので、後で声をかけてこれでもかってくらい可愛くオシャレさせてあげようと思う。
次いでティリアの旦那こと『闘神』TOSHI。この義弟はうん。なんつーか、予想通りのヤンキーだ。私以上に目付きが悪く、ちょーっと目が合うと「あ? んだよ?」とかメンチ切ってくる。後でこの義姉の偉大さをこれでもかってくらいわからせて更正してあげよう。
そしてその弟。『剣神』RYOだ。あの『剣聖剣技』の原型である、『緋神真刀流』とかすかした名前の剣技の開祖らしいので、後で詳しく話を聞いてみたい。うん、アルティレーネがお熱になってることも含めて、しっかり「お話し」をせねばならぬわ!
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【結】~ユニの先輩~
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ポンッ!
「さて、これがその『世界樹』の力。ではあるんだけどさ……」
手のひらにはテニスボール程の大きさの球体。ほわんほわんと静かに明滅を繰り返すその玉は、戦乙女の私が邪竜から回収した『世界樹』の力。その集合体である。
ミーにゃんポーチから取り出してみんなにも見せてあげるのだけど、私はこれをこのまま返還しても『世界樹』に大きな変化はないだろうと踏んでいる。
《えぇ? それは一体何故なのですかアリサ様?》
(力が戻ればユニちゃんのように自我が目覚めるんじゃあないんですかぁ~ププゥ?)
その旨を話すとレイミーアとエスペルが不思議そうに首を傾げる。他のみんなも概ねこの二羽と同じで、「何でだろう?」って思ってるみたいだね。中には察した者もいるようで、うんうん頷いていたりもするけど。
「簡単に言っちゃうと集合体だからかな?」
「複数の世界の、複数の『世界樹』の力がそのひとつの球体に統合されているから。でしょうね?」
「人で例えるなら複数の人格がせめぎあっていて、まとまらずにいるんでしょうね」
で、その頷いていた面々。『ルヴィアス魔導帝国』のオルファに、『黒狼』のシェリー、『幼女神』アルナが答えてくれる。そう、邪竜はロアを追いかけつつ、『世界樹』を食べ続けていたため、複数の力が図らずしてひとつにまとめられてしまったのだ。
『これがただの浄化機構なら、自我意識だのいらんだろってなるんだがなぁ……』
『うむ。ユニ殿という前例がいる以上、そうは割り切れぬな』
『ユニちゃんだって同じ『世界樹』の仲間ほしいもんね!?』
「うん……会えるならユニの先輩の『世界樹』ともお話してみたいな」
フォレストの言い分もわかる。『世界樹』をひとつの浄化装置として捉えるならば、今のままでもまったく問題はないんだ。だけどユグライアが言葉にしたように、私達は既にユニという自我を持った『世界樹』を知っているからね、リュールがそのユニに確認したように、ユニだって同じ種族の仲間が増えるなら嬉しいだろう。
「まぁ、やってみますかね。私の『聖霊』として存在と自我を構築させて……うむむ、やっぱり複雑ね」
ブゥン……少し鈍い音を立てて私は目の前にモニターを出す。百八十三あったロアの世界をひとつにまとめた時と同様に、この『世界樹』の力もひとつに統合させて、明確な自我と姿形を形成してあげるのだ。しかし、まぁ~ただくっつけただけの世界と違い、それらを形成するとなると、ちょーっと複雑になってくる。
「うわぁ……ちょっとどころじゃないわよねコレ?」
「うむ。我には何がなんだかさっぱりわからぬな!」
「おっほぅ! これは『神界』のペナルティの術式の何倍もの複雑さでござますなぁ~わっちでもさわりくらいしか理解できんでおじゃますよぉ?」
「クゥゥン……アンッアン!」
そんなモニターとにらめっこしてる私の手元を覗き見るヴィクトリアに、リドグリフ、そしてイクシオンとバウわんちゃんだけど、一目見てあっさりと降参宣言だ。無理もない、やってる私も根をあげそうになるからね。
「えっと、これがこうでしょう? んでもって、これが、こうなる……」
サササのさってね! よし、わかってきたぞ。後はこうして~こうだ!
難解なパズルを延々と解き続けること数分。ようやく完成だ。後はこれを返還してやれば……
「さあ、これでいいわ。お待たせ『世界樹』! 今までよく耐えてくれてありがとう。
今ここに新たな力を宿して蘇りなさい!」
パアァァァーッ!!
再形成された力が私の手から大きく聳える『世界樹』の幹に吸い込まれていく。すると、カァァーッと眩しい光を放ち、私達を照らし出すのだった。
「おぉ! なんて神々しい光だ!」
《ああ、まるで『世界樹』が喜んでいるかのようだな!》
バルドくんとゼーロが眩しさに目を細めながら、その光がまるで『世界樹』が喜び、嬉しがっているようだと揶揄するが、うん。悪い感じの光じゃないのは確かだね。
「そりゃ、嬢ちゃんの『聖霊』になるってんなら悪い奴にはならねぇだろうぜ!」
「当然ですわぁ~♪ うふふ! ユニ様のご兄弟かご姉妹ですもの! きっと素敵な御方ですわよね!」
「はい。ティターニア……私もきっとそうであると思いますよ?」
ガハハ! って大きな声で笑うゼオンに、婚約者のルォン皇子こと、妖精王オベロンと腕を組んでラブラブのティターニア達も笑顔で成り行きを見守っている。
「名付けましょう。私達の『ユーニサリア』と、この新たに再生し生まれ変わった『第二のユーニサリア』を結ぶ架け橋……」
アルティレーネ達が創造した『ユーニサリア』と、私が再生させたこの『第二のユーニサリア』は、『無限円環』を中継し、結び付け、私が認めた者に限るが、行き来が可能となった。その三つの世界を結び繋げるのが我等がユニと、この子だ。
「私達を結ぶ大切なあなたに……『ユイ』。この名前を贈らせてちょうだい」
私がその名を呼ぶと拡がっていた光がゆっくりと収まっていき、徐々に小さくなり、最後に人の姿を形取る。その姿はまだ眩しくて、シルエットしかわからないけど、どうやらユニと同じくらいの背丈の子みたいだね。
「私は……ユイ……『神々神』たるアリサ様の『聖霊』であり、この『世界樹』の『核』……ありがとう、私を……いいえ、消え行くのみだった私達『世界樹』を救ってくれて……アリサ様に心から感謝を。そして永久の忠誠をここに誓います」
よっしゃ! 大成功だ!! 光が完全に収まった後に姿を見せてくれたのは、やはりユニと同じくらいの、可愛いというよりは美人な、うん。儚げな美人な女の子。特徴的なのは一見オッドアイに見えるその瞳だが、よく見れば角度によって様々な色合いに変化する。
「なんと美しい瞳よ。流石は我等が神たるアリサ様が創造せしめし『世界樹』よ!」
「私達など比べ物にならないほどの大きな力を感じますわね!」
「凄い……あの瞳は『神眼』……なのだろうか?」
「輝いてる……あの長い髪も綺麗だねぇ~♪」
ほへぇ~って、淡く優しい光を纏うユイを見て、みんながあんぐりと口を開けて見いる。
うむ。私もまさかここまでべっぴん幼女が出来上がるとは思わなんだわ。
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【幼女なのに】~なんかぇろかった~
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「むぅぅ!」「むむむっ!」「ううぅ……」
「んん~? どうしたのです~アリアお姉ちゃん、ユニお姉ちゃん、アルナちゃん? 三人ともむつかしい複雑な顔をしているのです!」
顕現したユイを見てうちの幼女達がなんぞ唸っておるぞ? ポコはそんな三人を不思議そうに見てはどうしたのかって聞いているけど、ホントどうしたんだべね? 驚くのはまぁ、わかるんだけど、唸る要素なくない?
「アリサ様。ミーナ様。この度は私のためにご尽力下さり、なんとお礼を申せばよいか……このユイに出来ることがあれば何なりとお申し付け下さい」
「そんなに畏まらなくてもいいよ~? そうだね、ツクヨミ、アマテラス、スサノオの三人をしっかり見守ってあげてちょうだいね?」
─にゃぅ、しっかりやるのにゃ。次いでにこのちんちくりん共とも仲良くやるにゃ?─
私とミーナに深々~と頭を下げて、礼儀正しくお礼を言っては、目を細め優しく微笑むユイだ。うむ、なんとも歳……いや、見た目に不相応な大人びた? と言うかむしろ艶っぽい微笑みを浮かべる子だこと。
「仰せのままに……んふぅ♥️ 初めまして『幼女神』達、魔装具、そして……同胞、私の妹」
「はうっ! 『世界樹』が……私達と大して見た目が変わらないのに……」
「あわわ……なんだか、なんだか……とってもぇっち! ……です!」
「うぅぅ~なんて色っぽいお姉ちゃん! あ、えっと、ユニはユニって言います!」
あーははは……なるほど、だから戸惑って唸ってたのねこの子達。
ミーナに促されてアルナとポコ、アリア、ユニ達ちびっこの前にふわぁ~って飛んでくるユイのあふれでるえちちなオーラにポコ以外の三人がタジタジだ。面白いのでちょっと様子を見守ろうっと♪
「あら、なんて憎たらしい♪ マスターであるアリサ様の御寵愛を沢山頂いて……んフフ♥️ どうしてくれようかしらねぇ?」
「はうぅーっ!? ゾクゾク、ビクビクーってなるからお耳に息吹きかけないでぇ~!」
おっほぅ、ユイってばイタズラっ子ねぇ♪ ちょっとおどおどしてるユニの耳元で不穏な言葉を吐いて、ふぅ~って息を吹きかけている。体験したことのない刺激に堪らずユニは目をぐるぐるさせて、まぁ~可愛いのなんの! うっへっへ♪ いいぞ、もっとやれ!
「お母さん! あの方を止めて下さい! あのままじゃユニお姉ちゃんが! そ、その……大変いかがわしい目にあってしまいますーっ!!」
「あらら~? いかがわしい目に……って、一体どんなのかしらぁ? んふぅ♥️」
「あにゃぁんっ!?」
「アルナちゃんは何を想像したのです? そんなにお顔真っ赤にしてーっ!」
目をぐるぐるさせて、顔を真っ赤に染めて、あわてふためきながら、アルナが私にユイを止めてくれるようにお願いしてきたぞ。そしてそんなアルナをからかうようにユイがスゥーってアルナの背中に抱き付いては、ユニにやったようにお耳に息をふぅ~♪ ビックリしたアルナの変な声を聞いてポコが突っ込むと、アルナはヘタヘタ~とその場にしゃがみこんでいやーんって顔を両の手で覆って恥ずかしそうにブンブンと首を振る。
「ガハハ! 親父のむっつりが感染ったんじゃねぇのかぁ~?」
「あっはっは! アイギスはみんなが認めるドスケベむっつりんだもんねぇ~♪」
「やだーっ! アイギスさんったら、娘のアルナさんにまで感染しちゃダメでしょ~うぷぷ♪」
「ふっはっは! 若いのは結構だと思うがな!」
んなぁぁっ!? って、『四神』の反応に今度はアイギスが顔を真っ赤にしたぞ? 必死に違います違います! って弁明してる姿がめっちゃ面白いわ♪
「あっはっは! おっかしいのです~♪ ユイちゃんは、あれ? ユイ様って呼んだ方がいいのです?」
「あ~そこんとこどうなんだね? 『神界』の主神さんや?」
「え、えぇっと……元々は『神界』にあった『世界樹』の苗から産まれたわけだけど……」
なんだかようやく帰ってきたこのゆる~い、おちゃらけた空気に思わず私も笑ってしまうのだけど、ポコがユイの事を呼ぼうとして顔をハテナにする。どうやら、ちゃん付けで呼ぼうとして躊躇い、様を付けるべきなのか序列みたいなのを気にしてるみたいだ。
私もちょっと気になったのでティリアに声をかけて訊いてみた。
「むぅ、そう言われるとどうなるのだ? 生まれは『神界』だが、我等が神と崇める『神々神』の『聖霊』ぞ?」
「いや、俺に訊かれてもわかんねぇってリドグリフ! こーいうのはほら毛玉! お前が詳しいだろ?」
「毛玉ぁぁ!? ちょいなルヴィアスはん! わっちのこと毛玉って呼びましたんでおましょねぇぇーっ!? 許しまへんよ!?」
「あーっ! もうバカルヴィアス! なんで君はいつもそう、要らんことばかり口に出すんだよ!?」
「うわわ! ちょっとちょぉーっと! ルヴィアスさんもイクシオンさんもRYOくんもケンカしないで下さいよ!?」
ギャーギャー! あーうるさい……なんぞアホみたいにギャンギャン騒ぎ出す神連中だけど、なにやってんだ一体?
「やかましいにゃ、黙れこの低次元生物共」
ピタッ……
「……と、私のミーナ様がお怒りなんだけど? この子怒ると容赦なく引っ掻いて来るわよ~どうするみんな?」
─にゃっ!─
バババッ!! まっことに申し訳ありませんでしたぁーっ!!
うん。見事に息のあった組体操のごとき土下座。大変よろしい。
ちょっと騒がしくし過ぎたせいだろう、ミーナがちょっとマジに怒ったんだよねぇ~この子ってばなにかと人の邪魔してくるクセに、自分が邪魔されるとめっちゃ怒るの。─黙らせるにゃ、しもべ─ってお言葉に私は「へへぇ~了解でごぜぇます~」って従って、『言霊』でみんなをピタリと止めたのだ。
「はは……今度は私もピクリとも動けなかったわ……」
「俺もだぜ。こりゃ完全に次元そのもんが違ぁな、こりゃユイも俺達よか序列としては上だろ? ポコ、一応様付けで呼ぶのが礼儀かも知れねぇぞ?」
「必要ありませんよ? そんな「ユイ様」だなんて他人行儀な……淋しいじゃないですか?」
いつぞやはティリアだけ私の『言霊』が通じなくて、パンチもらった事あったっけ……それが今じゃあっさりと止められるようになってしまった……うむ。TOSHIの言った通り完全に序列が逆転したようだ。
どうやら神達の間でユイの序列は自分達より上って事で決まったらしい。TOSHIがポコにユイを様付けで呼んだ方がいいって言うんだけど、ユイ本人がそれを嫌がる。
「私達もできればみんなとユニちゃんみたいな、仲良しな関係をユイちゃんと築きたいかなぁ~♪」
「うふふ♪ 『ユーニサリア』の皆さんともそうありたいのですが……流石に都合良すぎかしら?」
「……そういった点も含めて、互いの世界で交流したいものだが。可能だろうかアリサ様?」
おや、成り行きを静かに見守っていたアマテラス達も話にまざってきたぞ。うんうん、そだよね♪ 全部まるく収まっての大団円。みんなで仲良くワイワイやりたいよね~?
「ま、ユイはそのための『結』だからね♪」
アリサ「さぁ~(* ̄∇ ̄)ノ こっからエピローグが始まるよぉ♪(^ー^)」
ティリア「皆のその後とかを色々語っていくわ(*´▽`*)」
アルティレーネ「目標の年内完結に向けてラストスパートですね(_ _)」
レウィリリーネ「ん……(-_-;) 振り返って見れば、アリサお姉さんが転生してきて、まだ一ヶ月くらいしか経ってないんだね(゜A゜;)」
フォレアルーネ「はぁ~(*゜∀゜)=3 んでも、終わっちゃうの淋しいなぁ(*T^T)」
シェラザード「ま、始まりあれば終わりがあるのは必然ってものよね(゜ー゜*)」
ルヴィアス「キミは「やっとゆっくりゲームに集中できる(ノ゜∀゜)ノ」とか思ってそうだな?(¬_¬)」
シェラザード「そうよ?( ・-・) それが何か?(  ̄- ̄)」
ヴィクトリア「いいなぁシェラザード(´~`) 私もそのゲームやってみたいわ♪(°▽°)」
アルナ「私はポコと再会できて(*・∀・*) 素敵なお母さんとお父さんができて(*>ω<*) 楽しいお姉ちゃんもできて!(*´□`)ノ もう、大勝利ってかんじです!O(≧∇≦)O」
ポコ「あ、アルナちゃんに全部言われちゃったのです!Σ(*゜Д゜*) ポコは久し振りにお外でいっぱい遊べて満足なのですよ!(ノ≧▽≦)ノ」
TOSHI「……やっとクッソ忙しい状況から抜け出せんのか( ´Д`) 帰って寝るぞ俺は!?(`□´)」
RYO「まだだぞ兄貴?( `ー´) むしろこれからまた忙しくなるからな……(つд⊂)」
TOSHI「Σ( ̄ロ ̄lll)」
セルフィーヌ「うっふっふ~♪(*´艸`*) みなさん連れて私とお父さんのお宿にご招待したいですねぇ~ヽ(´∀`≡´∀`)ノ」
フィーナ「私はアリサお姉様のお料理をこころゆくまで堪能させていただくまで『神界』には帰りませんよ!?( ・`ω・´)」
イクシオン「うっほぉぉーいヽ(*´∀`*)ノ わっちも帰りまへぇーん!(*´∇`) 折角来たこんの『ユーニサリア』でおまんす!(`Д´) めっちゃんこ皆の衆となぁかよぉくなるんでござますよぉぉーっ!♪o((〃∇〃o))((o〃∇〃))o♪」
リドグリフ「ウハハッ!!(*⌒∇⌒*) この世界には強者が揃っておって退屈せずに済みそうだ!゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜」
バウわん「ワンワンワーン♪ヘ(≧▽≦ヘ)」
アマテラス「めっちゃ賑やかなんだけど~♪。:+((*´艸`))+:。」
ツクヨミ「本当に年内に終わらせられるんでしょうか?(゜∀゜;)」
スサノオ「まぁ、なるようにしかならないだろう(*゜∀゜)=3」




