閑話 飴玉おばちゃんと豆腐とおでん~前編~
ユニ「わーい!ヽ(*>∇<)ノ」
アリサ「おぉ?(・о・) なんぞなんぞ?( ̄▽ ̄;)」
珠実「びっくらこいたのじゃ(゜A゜;) どうしたんじゃユニよ?(*´∇`)」
ユニ「もーっ!(。・`з・)ノ 二人とも今日はなんの日!?( *´艸`)」
二人「ねの「おぉ!(*´▽`*) 三回忌じゃったかのぅ?(*´艸`*)」違う!(`□´)」
アリサ「まだ作者生きてるから!(゜∀゜;) 故人じゃないからね!?(>_<)」
珠実「わっはっは♪(*`▽´*) わかっておるわかっておる!(⌒‐⌒)」
ユニ「そうだよ~今日は三周年!o(*⌒―⌒*)o」
アリサ「ってわけで、記念の閑話を二本立てでご用意しました♪( ´ー`)」
珠実「前編と後編とでわかれとるからの(・∀・) 注意してたもれ?( ゜ー゜)」
ユニ「それではごゆっくりどうぞ~♪(* ̄∇ ̄)ノ」
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【よわよわ】~なんとか変えたい~
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「はぁ~きっつ……流石に一人きりで一年間ってのは無理があったかなぁ……」
うぅ……アリサさんさびちぃ!
いくら秘密の特訓とはいえ私一人だけでぽつーんと、この夢の中の『無限円環』で一年間も過ごさなきゃいけないとは……いやいや、自分でそうしたんやろがーい!
……はぁ、空しい。ユニもミーナもいないから寂しいったらありゃしない。
「でも、いつまでも妹達の加護に頼ってばかりじゃ駄目だわ……みんなだって頑張ってる。私も借り物じゃない、本当の自分の力ってのを身に付けておかなきゃ!」
前世で読んだり観てたりしたマンガやラノベ、アニメとかだとさ~? なんてーの? こう~能力封印! とか、なんかの制限かかったりして、肝心な時に本来の力を発揮出来ずに大ピンチ! になったりしてる場面があったりしたのよね。
そりゃあ観てる分にはハラハラドキドキの展開で、「うおぉーっ! 続き気になるーっ!」なーんてなったりしてたもんだべさ。でも、それは物語だから面白いのであって、現実に自分の身に降りかかって来たのなら……ヤバいっての! 正直滅茶苦茶焦るしおっかないこと、この上ないってばよ!
ゆーえーにー! やるんです! 妹達の加護がなくともだいじょーぶなように!
ってのが、私がこの秘密特訓を始めようって思った理由の大半……後は、うん。みんなと対等になりたいってのがあるかな……今まで何度か言ってるけどさ、結局私の力は全部借り物だからね。ただそれを上手いこと使えてるってだけでさ……他のみんなみたいに、自分自身の力を磨いて~ってのを、キッチリ……いや、がっつりとやってこそ、本当の意味でみんなと対等になれるんじゃないかなぁ~って思うんだ。
「……けどさぁ~これは酷くない? 前世でももうちょっとできてたし、走れたぞい? 妹達よ!」
ひぃはぁ……苦しーっ! まずは基礎体力を鍛えようと、ちょいと野原を走ってみたり、筋トレなんかをやってみた。その結果がこれだ……アリサさんはとんでもない脆弱でしたよ? 十回も出来ない腕立て伏せに、五十メートルも走れないよわよわ体力!
「あっはっは~非力で虚弱な女の子って庇護欲そそるよねぇ~?」
例えばほらぁ、ちょいと重い荷物を運ぼうとしてて、その荷物の重さに辟易してる所に、ちょい口悪いけどホントは優しいイケメンが現れて、こう言うのだ……「重くて持てねぇのか? 仕方ねぇ、俺が持ってやるぜ」ってさ♪
「かーっ! バカタレがーっ! なんでアイギスじゃねぇのよ!? 名前も知らん奴にそんなん言われたい訳じゃねぇんだってばよ!?」
あー、アホな妄想して叫ぶ元気はあるか~? よっし、もうちょっとがんばるべ!
まったく、争い事とか、魔物とかいない安全で平和な世界ならそんな、どこか甘酸っぺぇアオハルも送れたかもしれないけどねぇ~『ユーニサリア』でそれやったらあっという間に魔物にがぶちょされておしまいだべよ?
ふんすふんす! あ~もう腕、ぷるっぷる! こりゃあ先が思いやられるなぁ~トホホ。
腕立て伏せを再開した私は、早々に悲鳴をあげる腕の筋肉の脆弱さに思わず苦笑いが浮かぶ。ホントにこんなんで日々成長し続ける仲間のみんなに追い付けるのかしらん?
「んーっ! でも! ぜぇはぁ……これも三百うん十年続けてれば! ハァハァ……きっと実を結ぶ! はずぅぅーっ!」
ふんぬぅぅーっ! って、ぷるぷる通り越してビクビクッ! ってしてきた腕を根性で動かす。
今は確かにこんな情けない状態だけど、ここは夢の中の『無限円環』だ。
『ユーニサリア』での一日を一年間に時間加速させた、みんなが鍛練を頑張る現実の『無限円環』……その中で、みんなが寝静まった深夜から朝方までの数時間。私の夢の中にだけに限定して更に一年間に引き延ばし、その夢の中で過ごした内容を現実の自分にフィードバックさせる、究極の睡眠学習! 『夢か現か幻か』……うむ。我ながらとんでもなく都合のいい魔法を思い付いたもんである。
ただ夢の中とはいえ、毎夜毎夜が一年間だ。身体はともかく、心が歳を取っておばあちゃんになってしまいそうな危険があるのは否めない。
バタン……
はぁ~はぁ~……きっつ……もー無理! 動けんし叫ぶ気力もない……うぐぅ……zzz。
「あぎゃぎょぎょーっ!」
いったーい!!
──『夢か現か幻か』での二日目。野原でうつ伏せで寝て……いや、気を失ってしまっていた私は、いけないいけない。と、慌てて起き上がろうと上体を起こした際に、全身を駆け巡る激痛に叫び声を挙げてしまった。とんでもない筋肉痛である。
イデデと涙目になりながらしっかりとマッサージをしてから、再びトレーニングを開始する。初日より痛みがある分チョー辛い! 早々にダウンしてしまいたい欲求に駆られながら、己にムチ打って体を動かす! 自己鍛練っていうのは、ホント、とことんまで自分との戦いだってのを痛感するねぇ~ちょっと気を抜くと「もう嫌だ! 休みたい」っていう、甘ったれなアリサさんがひょいッと顔を出してくる! その誘惑を、「甘えた結果、取り返しのつかない事に繋がったらどうする!?」っていう不安を呼び起こして、打ち勝って行く!
そうこうしているうちに、一ヶ月程が経過した。
「よぉぉーし! いいぞいいぞ!! 全然走れるようになったじゃん!」
なんとかめげずに頑張った結果、明らかに体力がついてきた! 走り込みも距離が伸びていき、筋トレも回数に種類も増やせるようになってきたぞ! 明らかに私はレベルアップしてるじゃないか♪ やはり成果が出ると嬉しくなるね! よーし! もっと頑張るぞ!
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【疲れた心に】~一服の清涼剤~
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「うなぁ~ん♪」
「……ミーナ? ぉお~♪ よしよし~にゃんにゃ~ん☆」
うにゃぁ~ん♪ ゴロゴロゴロ~♪
目が覚めて現実の『無限円環』に帰ってきた。お出迎えはミーナの肉球のぷにぷに。
実に一年ぶりの再会に彼女を愛でる手もまた止まらない♪
すりすり~なでなで~ぺろぺろ~ちゅっちゅ♪
「うなぁ~ん♪」「うにゃぁ~ん?」
ふふっ♪ やはりミーナは可愛い♥️ 『夢か現か幻か』で過ごした一年間はしっかり現実の私へとフィードバックされてはいるが、肉体的な疲労はない。だけど、精神は結構疲弊しているからね。こうして愛猫とのイチャイチャタイムは回復効果がバツグンだ!
「おはよぉ~アリサおねぇちゃん」
むぎゅ~♪
「おはよーユニ~♪」
そして、隣で一緒に寝ていたユニも目を覚まして、ほにゃっとした可愛い笑顔を見せて腕に抱きついてくる。ああ~なんて素敵な目覚めだろう。疲弊してた精神がみるみる回復していく~♪
「──あのじゃなアリサ様や、妾も皆と共に訓練せねばならんのじゃが?」
「もうちょっと! もうちょっとモフらせ、いやいやブラッシングさせて~?」
はい、そいでもって一日の始まりだ。
『ランバード使用人部隊』と一緒に朝ごはんを作り、みんなに食べさせた後、訓練に赴く珠実を捕まえて念入りにブラッシングさせてもらう……というのは建前で、彼女のモフモフな尻尾と、その愛らしさに癒しを求めての行動である。
「ふんすふんす♪ むはぁ~たまらん!」
「えぇーい! なんか今日のアリサ様はねちっこいのじゃ! もうおしまいおしまいじゃ!」
ああ~ん! 逃げられちゃったよーっ! うぅ、いけないいけない……癒しを求めるあまり、加減が利かなくなってしまっていたみたいだね。アリサさん反省だ!
「珠実には後でしっかり謝らなきゃ……」
うむ。そのためにも珠実の好物を作っておいてあげようかな。
「たまちゃんはね~なんだか揚げ物が好きみたいだよね? よく天ぷらの時は嬉しそうにしてるもん」
そんな話を一緒に皿洗いするユニに話してみると、中々に的確な答えが返ってきた。珠実は狐故か、それともたまたまか揚げ物が好きな傾向にある。中でもフライより唐揚げ、唐揚げよりは天ぷらといった順位があるらしい。
「うん。じゃあ油揚げでも作ってみましょうかね♪ となると、お豆腐を用意してあげなきゃいけないか」
私の精神の癒しにはミーナや、ユニ達といった可愛い子を愛でる事の他に、趣味でもある料理に没頭することも含まれる。『ユーニサリア』じゃまだ作っていなかった豆腐。この『無限円環』で作ってみるのも面白そうだ。
「豆腐があればまた色々な料理が作れるし! 定番の冷奴でしょ~、ワカメと豆腐のお味噌汁♪ ポン酢と大根おろしで食べる豆腐ステーキに~麻婆豆腐もいい……勿論油揚げにしていなり寿司とか、餅巾着にしたりして~♪」
ヒョォーッ! テンション上がって来たぞコレーっ!
「とーふ? また新しいお料理なのアリサおねぇちゃん? どんなのどんなの~?」
「ふふっ♪ 大豆っていう豆から作るんだけどね~」
私の豆腐発言に興味津々のユニがお目目を輝かせて訊いてくるので、色々と話してあげる。すると、まぁ~不思議なことに、もう豆腐が食べたくて仕方なくなってしまうのだ。
「にがりは海があるから用意できるし、大豆も色んな用途があるからって、この『無限円環』作ったときに一緒に創造しといたんだよね♪」
困ったら豆を食えってな話を前世で聞いた覚えがあってさ、この『無限円環』を創造した時にひっそり用意しといたんだ。まぁ、豆腐ごとまるっと出してもいいんだけどさ、どうせなら手作りしたいなって気持ちが強いのよん。
「じゃあまずは豆乳作りからやろうかしらね。はい、ボウルどん! 乾燥した大豆バラバラバラ~♪ でもってお水をジャー! うん。こんなもんね、後は待ちたまへ」
「あっという間過ぎるよおねぇちゃん! これでそのとーふ? ができちゃうの?」
いやいやいや。まだよまだ。これはあくまでも準備の段階だからね? こうやって乾燥させた大豆にじっくりとお水を吸わせて置かないと美味しくならないのだよ。まぁ、普通なら丸一日くらいは漬け込んでおくんだけど、今回はちょいとばっかし魔法で早めようね♪
「さて、んじゃ私は海に行って海水汲んでくるわね♪ ユニはシャフィーちゃんとネーミャちゃん達と遊んでて?」
「はーい♪ 今日の『お子様番』誰だっけ~?」
「ユニちゃーん♪」「えへへカイン様がお背中乗せてくれるって~♪」
んっふんっふ♪ あぁ~可愛いのぅ! 今日の『お子様番』のカインはどうやら空のお散歩に連れてってくれるらしくて、シャフィーちゃんとネーミャちゃんがきゃっきゃとはしゃいでる♪ それを聞いたユニもとっても嬉しそうにニコニコ笑顔。うんうん。子供の笑顔ってのはホントに無邪気で可愛い! 見てるこっちまで嬉しくなっちゃうし元気をもらえるね♪
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【苦い汁】~にがり~
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「どっせぇぇーい!!」
ザッバァァァーッ!!
「キャー! すごーい!」「海の水が飛び上がってくるよ~♪」
「わぁーっ! 虹が出てる~キレイーっ!」
「ひゃぁ~こりゃすごいです……けど、アリサ様。その豆腐を作るのにはそんなに海水が必要なんですか?」
わーいわーい♪ と、アリアを駆る私についてきたカインと、その背中に乗ってるお子ちゃま達がはしゃぐ。一体なにやってんの? って言うと、カインの答えがすべてである。魔法で海水を『貯水槽』に送り込んでいるのだ。
「いやぁ~? 正直こんなには要らないよ? んでもまぁ、作りおきしておきたいからね。後はほら、ユニ達を喜ばせてあげたかったし♪」
「すごいよアリサおねぇちゃん!」「龍が昇って行くみたいです!」
「私も魔法使ってみたいなぁ~♪」
うむ。好評のようで何よりである! さて、にがり用の海水はじゅうぶん手に入ったし『引きこもりハウス』に戻って豆腐作りといこうかね♪
「う~ん。こんなに沢山の海水を使う豆腐! 一体どんな食べ物になるんでしょうね? 僕、興味津々です!」
「おぉ? そんなに面白いもんでもないよ? むしろ地味な作業だし、見てても退屈なだけだと思う」
ほうほう? それでもいいから見学したいと? いやはや物好きだねぇ、カインもユニ達も。私としては一向に構わん! なのだけど、あきたら遠慮なく遊びに行ってくれていいからねみんな?
──でもって、再び戻ってきた『引きこもりハウス』です。
「あ、見て見ておねぇちゃん! 大豆さんがお水吸って大きくなってない!?」
「うんうん。いい感じだね♪ もうちょっと漬け込んでおこうね?
さあ、そのあいだににがりをゲットしちゃおう! 汲んできた海水をこうやってお鍋にあけて、火にかけてひたすら煮るのです!」
広めの鍋に海水を入れて、火にかけていく間もユニ達は「ほほ~」っと感心した様子で見学している。退屈じゃないならいいんだけど。
「あれ? アリサ様なんだか濁ってきてませんか?」
「ホントだ! なんか白っぽくなってますよ!?」
シャフィーちゃんとネーミャちゃんが煮詰めている海水の変化に気付いたね。確かそれが硫酸カルシウムだったっけかな? にがりの成分なんだけど、この後に塩も出てくるから濾過しておきましょうね♪
んでもって更に煮詰めていくと……
「あ、この白いの塩ですよね!?」「おっと、きたね! さぁ、混ぜるよ~♪」
ぐるぐる、ぐーるぐるっとね、ほーら塩が結晶化してとろとろになってきたよ~♪ これをまた濾過してやれば、塩とにがりの出来上がりだ。
「にゃあぁぁーっ!! にがぁぁーい! おねぇちゃん苦いよこれぇぇーっ!」
うえっ!? ちょいとユニちゃんや! まさかと思うけどにがりを……?
「ユニちゃん大丈夫!?」
「もー! 「ちょっとだけ~」なんて言ってお指につけてぺろってなんてするからだよ~?」
「あはは、ごめん最初に言っておけばよかったね? にがりは『苦い汁』って書くくらいだからね~はい、イチゴ牛乳をどうぞ♪」
どうやら私がちょいと目を離した隙に、ユニがぺろんちょしちゃったらしい♪ ふふ、好奇心旺盛だね。お口直しにミーにゃんポーチからイチゴ牛乳を取り出して飲ませてあげる。
「はうぅ~ありがとおねぇちゃん、そしてごめんなさい……」
いいのよいいのよ~♪ 気になっちゃったもんはしょうがないからね! でも、次からは声かけてからにしようね~?
「はーい!」「あはは……僕も気をつけまーす……」
おや? 元気にお返事するユニの傍ら、カインがちょっと困ったような声を出しおったぞ? あんたも舐めようとしたのかね? ぷふふ♪ しょうがない子だねぇ?
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【豆乳と】~お豆腐♪~
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さあ、にがりも用意できたことだし、豆腐を実際に作ってみよう!
「まずはじゅうぶんにお水を吸ってぷっくり膨れた大豆ちゃん♪」
「ほわ~ホントにおっきくなったねぇ♪」
私の魔法で既にじゅうぶんなほど水を吸った大豆を見て、ユニがわぁ~って驚く。むふふ、今度乾燥ワカメを水で戻して、その反応を見てみたいなぁ。
「はい、じゃあこの大豆をザルにあけてしっかり水気を切って、ミキサーにかけていくからね♪」
さあ、ここからが豆乳とおからを作る作業に入っていく。大豆を水と一緒にミキサーにかけ、トロトロのペースト状になったところで、鍋に移し、弱火で煮詰め、かき混ぜていく。すると豆を煮る美味しそうな匂いが漂ってくるので、この辺で火を止めて、と。
「さて、これをボウルの上にザル乗せて、濾し布被せたところにこう~して、まだまだアッチッチだからね~木ベラでこうぎゅぎゅーってするよ♪」
あふぅ~いい匂い♪ もう早くお豆腐食べたいね! 煮詰めて絞る芳醇なお豆の薫りに思わずうっとりしちゃう。お豆腐できたら最初に何作ろうか? やっぱり冷奴かな♪
そんな風にワクワクしながら木ベラを押し付けていると、徐々に温度が下がって、手で持っても平気なくらいになる。ここまできたら後は手で絞った方が早いので、ぎゅーってする。
「はい、豆乳とおからの出来上がり~♪ おからは後で使うとして……ほら、豆乳味見してみてよ。みんな?」
お玉で出来立ての豆乳を小鉢に掬い子供達とカインに味見をお願いする。
「んぅ? なんだか牛乳に似てる!」「うん! ちょっと違うけどこれも美味しいね!」
「ホントだぁ~♪」「凄い不思議です! 豆から乳がとれるなんて……美味しい♪」
順にネーミャちゃん、シャフィーちゃん、ユニ、カインが感想を言ってくれる。うむ、概ね好評のようで何より。どれ、私もひとつ味見。
「濃いね! このまま飲むのもいいけど……むふぅ~こりゃ美味しい豆腐が作れそうだわ!」
うーん、豆乳! いいね! 濃くて美味しいよ♪
味見した豆乳の美味しさにますます完成の豆腐が楽しみになってくる。早速取りかかろう。
「豆乳を火にかけて、大体七十度くらいにゆっくりあっためていくよ。加熱がじゅうぶんすんだら、にがりをヘラ伝いに入れて、静かにかき混ぜる。十回くらい? 混ぜすぎると折角の豆腐がバラけちゃうし、少ないとムラができちゃうんだよね」
「ふわぁ~結構むづかしいんだね!」
「馴れてないと失敗しちゃいそうです……」
「アリサ様はお菓子作りで馴れてますから、その辺のさじ加減も見極める事ができるんですね?」
まぁ、確かにこの辺は馴れと勘だろうね。ふふ、興味深げに私の手元を覗き込んでくるみんなの反応がなんか面白いや♪
さあ、にがりを加えてヨーグルトみたいになった豆乳を布を敷いた型に流し込んで、くるんでくるんで~上から重しを乗せてっと。
「はい♪ お豆腐完成ーっ!」
おぉーっ!!
ありがとうありがとうみんな♪ ってなわけで! 今夜のご飯はこの豆腐を沢山使ったご飯にしまーす!
──その宣言通り、私はみんなに手伝ってもらってひたすら豆腐料理を作って作って作りまくりました!
「おぉーっ! ナメコの味噌スープに白いの入ってる! これが豆腐ですかアリサ様! いや、うまぁ~! 素朴な味っつーの? だけどナメコと味噌スープに絡んでうめぇ~♪」
「これが、豆から作られているのか……このポン酢と大根おろしがよく合う! まさにステーキ!」
「鰹節と生姜、ネギ、それに醤油でいただくこの、冷奴……うむ、美味い!」
うんうん! 物珍しいっていうのもあるんだろうけど、出した豆腐料理はみんなに好評のようだ。
ゼルワはナメコのお味噌汁が好きなんだけど、そこに豆腐を入れてあげられずにいたのがちょっと申し訳なかったのよね。
「ナメコのお味噌汁には定番。って言うほど豆腐が使われてるの。勿論ナメコに限らず色んな味噌汁の具材になることが多いかな♪」
「そうなんですね! はぁ、うめぇ~ライスが進みますよ!」
おかわりをよそってあげつつそんな話を聞かせてあげると、ゼルワは感心してずずっと味噌汁を口に含み、ご飯をパクパク♪ ふふ、ホント美味しそうに食べるわね♪
「豆腐の材料の豆は「畑の肉」なんても呼ばれるくらいたんぱく質……栄養が豊富なの。食べごたえもあるでしょ? その豆腐ステーキ?」
「はい、しかもこの酸味の聞いたポン酢と大根おろしが、淡白な味の豆腐によくあっていて、箸が止まりません! アリサ様。おかわりをいただけますか?」
はーい♪ ふふ、アイギスも気に入ってくれたようで嬉しいね! 沢山作ってミーにゃんポーチにしまってあるからね、たーんとお食べなさい。
「この冷奴……良いな」
「うむ、清酒にあいますわい」
おや? 流石は酒のみさんの爽矢とドガだ。冷奴にあう定番のお酒を早くも探り当てたみたい♪
「ねぇ? この麻婆豆腐……ライスにかけて食べても美味しいんじゃないかしら?」
「ほぉ~そいつは面白ぇ発想だなレイリーア?」
「ものは試しだね。やってみようか?」
「いいですね♪ リリカさーん、こっちのテーブルにライス四つくださーい♪」
あれま、こっちでもいいとこに気付いた人達がいるね。レイリーアとゼオン、ラグナースと、リールの四人が食べているのはピリッと辛い麻婆豆腐だ。
「お待たせ致しました。ライス四つでございます、ごゆっくりどうぞ♪」
リリカさんが持ってきたライスを受け取り早速とばかりに麻婆豆腐をライスにかけて食べる四人。
美味しい! ほらほらやっぱり~♪ とか、ふふ、嬉しそうね♪ 実際に麻婆丼ってメニューがあるから、そりゃ美味しいさ!
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【お詫びの】~油揚げ~
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「朝はごめんねぇ~珠実~?」
「かかか♪ よいのじゃよいのじゃアリサ様! それだけ妾に愛情をそそいでくれておると、嬉しくも思うたよ? ただ、ちょいと恥ずかしかっただけじゃて」
さて、今回頑張って豆腐を作った本来の目的を忘れてはいけない。
必要以上に珠実をもふってしまったことのお詫びとして、彼女が好きそうな油揚げを用意するってのが目標だった。
「ふふ、ありがと珠実。お詫びと言ってはなんだけどさ、珠実が好きそうな物を色々作ってみたの」
「ほほーう♪ 妾が好きそうなものとな♪ なんじゃなんじゃぁ~? 楽しみじゃのぅ!」
私の謝罪を快く受け取ってくれる珠実に感謝して、ミーにゃんポーチから沢山作った油揚げ料理を取り出す。
「まずはそのまんま。シンプルな油揚げをどうぞ♪」
「ほほう、なんじゃ煎餅みたいじゃの? どれ……ほぉ、うむうむ素朴な味じゃな」
まあ、味付けもしてない油揚げはそんなもんだ。シンプルに素材の味を楽しんでもらえればいいかな。
「それが基本ね。じゃあここから色々手を加えたの出していくよ~♪」
「うむ! これがどのような料理になるのか楽しみじゃの!」
そこから一品一品出していき、珠実の反応がよさそうな物を探って行く。
「どれもこれも美味いのじゃぁ~!」
「そのなかでも「これだ!」ってのはないかね?」
……いやはや、いくら一皿の量が少ないとは言え、よく食べること食べること。
だし汁とつゆで浸した油揚げまんまに、定番のいなり寿司、豆腐と小松菜に油揚げのお味噌汁、卵や、餅を入れた巾着、チーズと一緒にカリっと焼いたチーズ焼き……
「うむむ……! いや、アリサ様! どれもこれも美味いのじゃ!
そのなかで強いてこれじゃと言うのは難しいのぅ~?」
「た、珠実様ばっかり狡いです! アリサ様! 私も食べたいです!」
じぃぃぃぃぃーっ……
そんな風に珠実にかまっていると、ルーナが寄って来て恨めしそうな声で抗議してくる。
しょうがないなぁ~なんて、ため息ついてチラッと目をやると、口には出さないものの、他のみんなもルーナと同じ目付きでこっち見てるじゃないの。
「あー……あぁ~うん。わかったわかった! 一人一人の好みを知るのもいいだろうし、今後順番に聞いてくからさ。今日は珠実とルーナの番ってことで我慢しなさいね~?」
わぁーっ!! やったぁぁーっ!!
はぁ~まったく……みんなして食いしん坊なんだから……
「そうじゃアリサ様や、このお揚げ! あのうどんの汁に浸して食うてみたいのじゃ!」
「美味しい~♪ アリサ様! 私この油揚げなるお料理全部好きです♪ 勿論今までに出たお料理も美味しかったのですけれど……これは特別な感じがします!」
ねー珠実様~? って、めっちゃ嬉しそうな笑顔見せるルーナ。珠実もそうじゃそうじゃ~♪ って喜んでいるから、やっぱり狐っ子はお揚げが好きみたいだ。しかも珠実のリクエストがうどん。きつねうどんときたもんだ。こうなると、是非とも反応を見てみたくなる。
「はいよ~お待たせ♪ でっかいお揚げのきつねうどんだよ!」
「むはぁーっ! こりゃまたでっかいのが乗っておる!」
「美味しそうです! 早速頂きましょう珠実様♪」
用意したのは至ってシンプルなきつねうどん。具はどんぶりの中身を覆い隠すくらいおっきな油揚げのみっていう一見手抜きに見えるものだ。しかし、そうではないのだよ!
「~っ! うんまいのじゃぁぁ~♪」
「お揚げに味がしみて! なんてことでしょう、そのまま食べても、おうどんと一緒に食べても!」
そう、そうなのだ! やはりきつねうどんの美味しさはその汁にあり! ってのは、私の持論なんだけど。あながち間違いじゃないって思ってるよ。そりゃあ麺も重要だとは思うけどね?
基本に忠実に低温からじっくりと揚げて、高温の油で二度揚げした油揚げは、色々と試行錯誤して作った美味しいスープをたっぷり吸って、油揚げ本来の美味しさとスープの美味しさが噛み合わさるのだ。
「これはたまらぬのぅ~♪ ありがとうなのじゃアリサ様♪」
「本当に美味しいです! 毎日でも食べたいくらいですよ!」
あはは♪ どういたしまして! 喜んでもらえたようで何よりだよ。珠実もルーナも心底嬉しそうな笑顔を見せてくれるので、私もつられて嬉しくなっちゃう!
「うどんといえば、あの「こだわりお出汁のかき揚げうどん」が真っ先に思い浮かびますが……」
「うん……そんなに美味いのであれば、俺も食ってみたいな。ルーナ、一口くれないか?」
「はぁーっ!? 何言ってるんですかバルドさん! 絶対あげません!」
「なんじゃぁ~バルドよ? お主酔っておるのか? かーっかっか! 意外と酒に弱いんじゃのぅ♪」
あんれまぁ~アイギスがバルドくんに肩組まれて寄って来たぞ? 少し顔が赤いね。ルーナのきつねうどん分けて~なんて、私もびっくりしたわ!
「ああ、バルドは結構酒には強いはずですが……まあ、こうして気心知れた仲間達の集まりに酒が進んだのでしょうね?」
「アリサ殿ぉ~俺にもうどぉーん!」
あっはっは! 普段クールな『黒狼』のリーダーもこれじゃ形無しだねぇ~おもろっ! 結構お酒入ってるみたいだし、ミニサイズで出してあげようね。
「ったく~しょーがねぇーなぁぁー!? ワハハ♪ アタイ等のリーダーはよぉぉ~!
おい! アリサ~お前もみんなの世話ばーっかやいてねぇで、こっちきて一緒に飲もうぜぇ~♪」
「そうですよ~アリサ様ぁ~♪ ワタシ達とのんみましょぉぉ~?」
うわぁ~こりゃヤバい! セラちゃんとミュンルーカの私を誘う声に目を向けて見れば、結構な出来上がり方してるじゃん? よく見りゃ他のみんなもだいぶ酔いがまわってるようで、どんちゃん騒ぎの様相を呈してきた!
「こらぁ~あんた達ぃーっ!? 明日も訓練あるんでしょー! その辺にしときなさいよ!?」
えーっ!?
えーじゃないでしょーこの酔っ払い共めが!?
「アリサ様。この様子を映像で記録しておいては如何でしょう?
うふふ♪ 皆様の醜態を大真面目な席で大々的に放映して差し上げれば……ぷっふぅーっ! 想像したら大笑いしていまいますね♪」
「り、リリカ……お前はなんと言うか、容赦ないな? だが、ふふふ♪ 私も想像してしまった。はははっ!」
えぐいこと考えるなリリカさん! でもそれは確かにめっちゃ面白そうではある。恥を晒した人は自業自得だろうし。よーし、それじゃあ記録を開始しましょうかね♪
ご馳走さまでしたぁ~♪
ガタタタッ!! わはは! やっぱりみんなしてそれは耐えられないらしいね。揃って席を立って食べ終えた食器を下げにきたよ。
「いやいや、よい宴であった」
「まったくですなリン様。言われなければ羽目を外し過ぎてしまうところでありました」
リンは器用にお皿を咥えて、ガルディング様は沢山重ねて、それぞれ食器を下げては私達にご馳走さましてくれる。
「うふふ♪ 皆様のはっちゃけたお姿が見れず残念でございます。さ、お片付け致しましょうか♪」
楽しかったお豆腐パーティーもお開きとなり、みんなも思い思いに解散していく。頑張って作った豆腐達はみんなに好評だったので私も大満足だ。後片付けもリリカさん達『ランバード』のメイドさん達が引き受けてくれたし、私もお風呂入って、ユニとおしゃべりしたら寝よう。
またながーい一人だけの一年を過ごすために、今日は沢山みんなからパワーもらえたし、頑張るぞ!
アリサ「今回紹介出来なかったけど、豆乳から湯葉なんかも作ってみたよ♪(*´∇`) わさび醤油で召し上がれ~♪(*>∇<)ノ」
ドランド「おぉ!( ̄0 ̄)/ これは美味い!(*^¬^*)」
ルルリル「わさびがきいて……んふぅ~♪(´^ω^)」
アリサ「お豆腐に色んなキノコ(_ _) お出汁と生姜で味付けしたあんかけて~湯葉と一緒に♪(*゜∀゜*)」
翼「これうっま!Σ( ゜Д゜) あったけぇしライスが進む!(゜▽゜*)」
ドゥエ「この少しとろっとしたあん……これがよく豆腐と湯葉に絡んで……美味!(^ー^)」
ウノ「キノコもプリプリしててうめぇ~のなんの!(´∀`)」
アリサ「豆乳で作ったシチューなんてのもあるよ♪ヽ( ・∀・)ノ」
みんな「ウマーイ♪o((〃∇〃o))((o〃∇〃))o♪」




