150話 賢者と魔女とエリクシル
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【ヒヒイロ】~『エルハダージャ』にて~《珠実view》
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「妖精女王ティターニア! 華麗に参☆上! ですわぁーっ!」
チュドォォォーンッ!!
きゃわぁぁーっ!!
なにやっとるんじゃあのぽんこつ女王は!?
「びっ! びっくらこきましたわぁぁーっ!? なんですのいきなり!」
あ、無事じゃった。カッコつけて転移してきたところに、ちょうど『魔装戦士』共の砲撃が飛び込んだ時にはどうしたものかと思うたが、咄嗟に障壁を張って防いだようじゃな?
「ティターニア様! ご無事ですか!?」
「おーっほっほっほ! 当☆然! ですわぁーっ! そぉーれ! 吹き荒れる風と踊りなさいな哀れなお人形さん達! 『暴君の轟風』!!」
ゴゥンッ!! ズゴォォォォーッ!!! ドゴォンッ!! ドガァァーンッ!!
ティターニアが転移してきた近くにおったヒヒイロが近付き声をかけると、ティターニアめはアホみたいな高笑いをかました後に、群がる『魔装戦士』共めがけ、極大の風魔法を放ちおったわ!
ええい! 馬鹿者め! もっと周りを確認してからにせんか! それになんじゃ!? さっきからその鬱陶しい『☆』はぁーっ!?
「あらっ! もう~イヤですわぁ珠実様ったら! 被害なんて出しませんわよ!」
ホントかのぅ~? お主、後で調べて何かあったら許さぬぞ!?
「大丈夫かと存じます陛下。ティターニア様が放った魔法で我が国に損害は御座いません」
「ですわ! それより大丈夫ですの? 踞って思念しか飛ばせないようですけれど……」
うむ……今少し先かと思うておったのじゃが、意外にも早うに進化の時が来てしもうた。済まぬが今暫く時を要する故な、それまで耐えてくりゃれ。
「かしこまりました陛下! 貴女の進化が終わるまで指一本たりとて、奴等に触れさせはしません!」
「うふふ♪ 珠実様の進化したお姿、楽しみですわね! それに朗報も御座いましてよ!」
心強いのぅ。では、市街地上空を守護してくれておる爽矢と協力し、この『エルハダージャ』から、あの『魔装戦士』共を蹴散らしてくれるかのティターニア? ああ、待て。朗報とはなんじゃ?
「ユニちゃんがアリサ様の気配を見付け出したそうですわ!」
おぉっ! 真か!
「ええ! 珠実様、もうすぐですわ! もうすぐアリサ様もお帰りになられて、私も婚約者のオベロンと再会が叶いますの! そのためにも気張りますわぁーっ!」
ドシュゥゥーンッ!! と、元気よく市街地に向けかっとんで行くティターニアじゃ。
ふふふ……そうか、やりおるなユニよ! やはりアリサ様は約束を違えぬ御方じゃ……さて! そうなれば、妾もじっとしてばかりもおられん。素早く、しかし丁寧に進化を果たさねばならん!
頼むぞヒヒイロよ。妾を守ってたも!
「剣聖剣技。抜刀術、『燕』!」
キィンッ! ドォォォーンッ!!
むぅっ! 見事じゃ……徐々に動きが洗練されて行く『魔装戦士』達。その数体を相手にこのヒヒイロとやら、変わった片刃の剣を巧みに操り難なく斬り捨てていきよる。今も鞘に納めたその剣を、目にも止まらぬ速度で抜き放った剣閃で切り払い爆ぜさせおった!
その動きにアリサ様やアイの字が被って見えたりしたんじゃが……コヤツもあの剣聖の剣技を使いおる! 一体何処で覚えたものじゃ?
「……その点についてはおいおい知ることとなりましょう。今はご容赦を」
ふぅむ……そうじゃった、コヤツも『ココノエ』と同じで、本来の居場所を追われ、やってきておるとの話じゃったのぅ。アリサ様は既に真相に辿り着いたようじゃが……うむうむ、妾にもようやっと見えてきおったぞ? まだ確信は持てんのじゃがな……しかし、それを口にしてはならぬのじゃろうなぁ~?
ブゥオンッ! むむっ! 気をつけよヒヒイロ、その『魔装戦士』は中々の太刀筋じゃ!
召喚される数こそ減って来てはいるものの、ロアの奴は「量より質」に重きを置いたか、現れる『魔装戦士』共の技量が高まっておる! 今しがたヒヒイロの前に現れた一体も、その素早い動きでヒヒイロを斬りつけると同時、直ぐ様距離を取る!
「一撃離脱のつもりでしょうか?」
ドドォォーンッ! なんと!? 逆に一太刀入れておったか! 大した奴じゃ、妾でも気付けんかったわ!
「私のこの身は陛下を守る盾。いかなる敵が現れようと……」
ブゥゥンブゥゥン……
ドシュドシューッ!! ドギュゥゥーンッ!!
いかん! 多方面から現れた『魔装戦士』からの集中砲火じゃ! ちぃっ! これは妾もダメージを覚悟せねばならんか!? 動くことが出来ればよいが、進化の途中じゃからの!
「『神の護り手』」
バギィィーンッ!!
なんじゃと!? 妾とヒヒイロを囲む『魔装戦士』共の一斉射撃を防いだこれは……『神の護り手』ではないか!!
「はぁーっ! 『聖炎』!!」
ズゴォォォォーッ!! ゴォォーッ!! ドドドドォォォォーン!!!!
おぉっ! あの竜巻を発生させ敵を呑み込ませたところに放つ、聖なる焔の魔法は!!
「……指一本触れさせない……その言葉に二言無し!!」
ああ……わかった……そうだったのじゃな。ヒヒイロよ……お主は……そして、『ココノエ』は……
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【ウォーラル】~『ゲキテウス』にて~《レオナードview》
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「っし! てぇぇーっ!!」
ドォォーンッ!! ドゴォーンッ!!
国が誇る魔法師団の集中攻撃が巨大な『魔装戦士』達に直撃し、爆煙があがる! 図体デカイ分当てるのは楽でいいな!
「いけない! 総員防壁展開!!」
ドギュゥゥーンッ!! ドガァァァーッ!!
うおおっ!? 反撃だと! 奴らあの魔法の集中砲撃に耐えやがったってのか!?
ガラガラと崩れる城壁に、立ち込める土埃! クソッ! 無事か魔法師団!?
「大丈夫です陛下! 我等全員無事!」
「しかし、『魔装戦士』も健在!」「おのれ! 大して損傷しておらんぞ!」
魔法師団の団長のエルフの声に焦った気分が少し落ち着いたぜ。しっかし……野郎、強化されてやがるのか!? ヤベェぞこいつは!
「おい! ババア!! このままじゃマズイぜ! なんか策はねぇのか!?」
「ちぃっ! 大地様とヒャッハーさんが大多数を引き付けてくれてるとはいえ、既に結界内部に入り込んでいた奴は厄介さね! 仕方ない、どきな坊や!」
ええい! こんちくしょう共め! 俺の『ゲキテウス国軍』も結構な手練れ揃いだって思ってたが、この『魔装戦士』とかいう『魔装巨人』共、段々性能が上がって来てやがる! 最初こそ優勢だった俺の軍もあちこちで被害が出始めて来やがった。まだ死者が出てねぇのは、常日頃からどんな無様晒しても絶対生きろって言い聞かせてる成果だな!
「わたしがあんまり力を使うと、存在自体が危うくなっちまうんだけどねぇ……まぁ、お優しいあの御方の事。見逃してくれると信じようじゃあないか……そぉらっ!!」
ブゥゥンブゥゥンブゥゥンブゥゥン……
「おぉ!? ウォーラルのババア! それは報告にあった『オプション』とか言う魔法じゃねぇのか!?」
このままじゃマズイと踏んだ俺は『ゲキテウス』を支えてきた『魔女』のババア、ウォーラルに対策を教えてもらおうとしたんだが、ウォーラルは俺を押し退けて『魔装戦士』共に向かい、ひとつの魔法を行使した! なんとそれは、あの『セリアベール』の『氾濫』防衛戦での報告にあった『聖域の魔女』が使用したって言う、『オプション』そのものみてぇだ!
「いいかい? あんた達! これからわたしがやることは絶対に他言すんじゃあないよ!? この難局を無事に乗り越えたいならね。いいかい!?」
「「えっ? えっ?」」「「どど、どういう事ですか!?」」
「ええい! ゴチャゴチャうるせぇ! ウォーラル! 王の名においてコイツ等には絶対に喋らせねぇように厳命するぜ! だから頼む!」
よくわかんねぇが、どうやらババアにはなんとか出来るだけの力があるってこった! だったら迷うことなんざねぇ! 「喋んな」ってなら、俺の権限で黙らせるぜ!
「それでいい! さあやるよ? ふふ、元の姿に戻るのは幾年ぶりかしら? その間皆を守ってちょうだいねわたしのオプション達」
んおお? なんだぁ~ババアのしゃがれた声にはりが出て……いや、それよかなんだこのすげぇ魔力!? いや、これが神気ってヤツか!? とにかくよくわからねぇがババアの周りにデケェ力が集まって来てやがる!
「ーっ!」「ーっ!?」
ドシュゥゥーッ!! ズビィィーッ!! あ、危ねぇウォーラル!! そのデケェ力に反応したのか『魔装戦士』共がババアを標的に撃って来やがった!
フィィィーンッ!! ドドドォォーンッ!!
「おお! 陛下御覧ください! ウォーラル様の呼び出したオプションが障壁を張りましたぞ!」
「むぅっ! 爆煙でよく見えぬ! ご無事かウォーラル様ぁーっ!?」
俺の近衛達も騒ぎ出す! ちっ! 奴等の砲撃の威力もここまでくるとシャレにならねぇ!
「……天高く、我等を見守る大いなる母よ。その愛し子が請い願いたもう!
遥けき時越えし、この身の罪を僅かながらも哀れにお思いあらば、その星天の星屑、微かな一片を我が身に貸し与えたまへ!!」
ブワアァァァーッ!!
うおぉぉ!? なんだこりゃ!! 身体中から力が溢れて来やがる!
「……ありがとう。守るためにこの力、振るわせてもらいます! はぁっ!!」
ドガァァーンッ!!
はぁーっ!? 一体何が起きてんだよ! ウォーラルだって思ってたババアがなんか詠唱みてぇな言葉を唱えたと思ったら、俺の……いや! 俺達の身体を蒼っぽい炎が包みこんだ! するとどうだ? 身体の奥底からすげぇ力が湧いてきやがるじゃねぇか!?
こりゃなんだ! と、当のババアを見てみりゃこれまたおったまげたぜ!
「あ、あれが? ウォーラル様……なの!?」
「う、ウソだろう!? あのお顔……『セリアベール』でちらりと見かけた……」
「ああ、間違いない! 『聖域の魔女』……だと、思う!」
あのしわくちゃの……骨と皮だけのババアが! どうしたことだよ!? どう見ても二十そこらの『人間』の女じゃねぇか!?
「落ち着きなさい、『ゲキテウス』の兵士達! わたしの素性は故あって話せない! 『聖域の魔女』アリサ様との関係についても話せない!
だけどね? 安心おし、わたしはあんた達の味方さ。これだけはハッキリしてるよ!」
はは! そうか、それさえ分かってりゃじゅうぶんだぜ!
ウォーラルの一声に俺の兵団達も落ち着きを取り戻し、その面を戦人のものに切り替えていく!
「さあ! 大いなる加護、『聖なる祝福』があんた達を護ってくれる内に反撃だ! レオ坊や号令をかけな!」
「おーしっ!! よくわかんねぇが、ババアがくれたこの勝機!
吼えろ『ゲキテウス軍』!! おめぇ等はこの誇り高き『獅子王』の精鋭共だぁーっ!!」
うおおぉぉぉーっ!!
この俺に続けぇーっ!! オラアァァァーッ!!
ズッバアァァァーンッ!! ドドドゴォォーンッッ!! 猛る力を思いっきり持った大剣にこめ、『魔装戦士』共に向けて振り下ろす! 俺の咆哮と一緒に放たれたその剣閃はなんとまぁ『魔装戦士』共を真っ二つに切り裂いたぜ! こいつはすげぇ!
「よぉぉしっ! 騎士団突撃ぃぃーっ! あのガラクタ共をこの王都から摘まみ出せぇーっ!」
「魔法師団も続きます! 行きますよぉーっ!!」
おおおぉーっ!! ありがとよウォーラル! お陰でまだまだやれそうだぜ!!
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【優しくて】~強い父~《セルフィーヌview》
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『セルフィ! あんたの方の状況はどう!?』
(っ! ティリアお姉様!? ごめんなさい、この大変な時に……私は『リージャハル』で街のみなさんと一緒に避難中でして)
ここは港町『リージャハル』。『白銀』のみなさんやアリサお姉様のご一行が私達のお宿にお泊まりになられ、旅立たれた後。この街にも『魔装戦士』がやって来ました。
狙いはやはり港のようで、数体の『魔装戦士』が今も、アリサお姉様が張ってくれた結界を壊そうと攻撃を続けています。
ドォォーンッ! ドゴォーンッ! と爆発音が絶える事なく響き、街は非常に危険な状態です。
(港に『魔装戦士』が集中してるとはいえ、包囲されていることには変わりません)
『そう……だけど、貴女の力なら、その状況を覆すことはできるでしょう?』
街のみなさんは現在、アリサお姉様が用意して下さった避難所……町長のお屋敷の地下ですね。そこに集まり、戦々恐々としながらも、互い互いに支え合って過ごしています。
そんな現状の中にいる私にティリアお姉様から連絡が入ります。
アリサお姉様が異界へと飛ばされ、『ディード教団』の神殿が浮上した後、『ディードバウアー』がかつての勇者達に討たれた地……『ルーネ・フォレスト』へ向けて移動を始めた。等、大変な状況であると。
(それは、そうですが……『魔装戦士』って言ってもその数はたかだが数体ですし、ティリアお姉様が色々と許可して下さったお陰で私もそれなりに戦えますけど。だけど……お父さんが……)
私が女神として、その力をふるえばこの状況は打破することが出来るのは事実。ですが……
「ん? 不安かいリデル。大丈夫です……きっとガッシュさんやアリサ様が解決してくださいますよ? 私達は信じて待ちましょう」
ちらり見た私が余程不安そうにしていると思ったのでしょう。お父さん……シーベルさんは優しく微笑み、励ましてくれます。そう、私は彼の一人娘であるリデルなのです。
女神セルフィーヌとして動いてしまえば、彼に、本当の娘さんに起きた悲劇を思い出させてしまうのですよ。
(そうなってしまったら……彼は二度と立ち上がれなくなってしまいそうで……)
『……そう、かしらね? セルフィ、貴女は優しい子だわ。でも、それ故にちょっと過保護になりすぎるきらいがあるわね』
え……? そ、そうでしょうか? 私そんなに過保護になってますかね?
いつになく真剣で優しく語るティリアお姉様に、私は一瞬戸惑ってしまいますが……
『人はね……ううん。人でも、私達神でも、弱い部分はあるわ。だけど、同時にとても強い心を持ってもいるわ。貴女だってそれは知っているでしょう?』
彼は、貴女が父と呼ぶその人だってきっとそう。それとなく聞いてみなさい……そう言うお姉様の声はどこまでも優しく、私の胸の内に落ちていく。私もこのまま怯える町人達と一緒ではいけないとは思っていますけれど……
「町長、港に張られた結界だが……」
「ええ……なんですと? ……はい、はい。……とにかく、皆さんをこれ以上不安には……ええ……」
聞こえちゃいました……外の様子を偵察に出ていた冒険者の方と冒険者ギルドの職員さん、町長さんがこの避難所に集まっている町人達を不安にさせないように、小声で話しているのを……アリサお姉様が張った強力な結界といえど、ずぅっと攻撃に曝され続ければそりゃ、いつかは壊れますよね。
仕方ありません……このままでは遅かれ早かれ、不安は拡がって最悪暴動が起きる可能性までありますし……
「お父さん……もしも。なんですけどぉ~もしも私にあの『魔装巨人』達をなんとかできちゃう事ができたら、どうしますか?」
「……そう、ですね……親として娘にそんな危険な事をさせたくはありません。ですが……このままでは街の皆さんの精神が疲弊するばかりなのも事実ですね」
解決出来るのですか? と、問うお父さんに、私はちょっと悩みましたけど、コクンと頷いて返事をしました。
「ですが、そうしちゃうと……お父さんが、その……とてもお辛い思いをしてしまうかと……」
「おや? ひょっとしてそれは……私の本当の娘の事を思い出してしまうのではないかと、危惧しておいでなのでしょうか?」
えぇっ!?
突然の告白に私は声にならない声で心底驚きました! バッと勢いよくお父さんの顔を見れば、ああ……なんてことでしょう……そんなに優しく微笑んで……
「知って……いたのですか? 私がリデルさんの代わりをしていたことに……」
「はい……いつだったか、記憶が鮮明に思い起こされた時がありました……そして、貴女はきっと、私を憐れんで下さった神が遣わしてくれたのだと、そう、素直に思えるようにも……」
ああ……知っていながら……それでも、私を娘として扱ってくれていたんですね……ティリアお姉様の仰った通りでした……お父さんはこんなにも強い人だった……
「正直……バレちゃったら、「よくも騙したな!」とか怒られるんじゃないかって思ってましたよ?」
「ふふ、そんなことは致しません。貴女がいてくれたお陰で私は立ち直れたのですから……感謝こそすれ、怒ることなどどうしてできましょうか?」
もう……泣きそうですよ! ありがとうお父さん……
「うっふっふ♪ それならもう心配いりませんね! お父さん? 私はセルフィーヌ。主神様の義姉妹の一人です!」
「セルフィーヌ様。貴女様の慈しみのお心に、このシーベル。深い感謝を。きっと娘のリデルも貴女様に感謝したことでしょう」
「そうです。私はリデルさんに貴方の事を頼まれました。でも、ですよ! 私の名はセルフィーヌ・リデル。そう、私も『リデル』なんです♪」
これは本当に偶然なのですけどね! 私もお父さんの娘さんに話を聞いた時は驚きましたよ。
「だからね、お父さんが望んでくれるなら、私はこれからもずっと、お父さんの娘ですよぉ~♪」
「ええ、勿論……勿論です! ありがとうリデル……貴女は私の自慢の娘です! 私の生涯が閉じるまでずっと娘でいてください」
はい! 私は、今までずっと気がかりだった……お父さんがいつか本当の娘さんの事を思い出してしまうという不安が払拭された嬉しさと、これからもずっと娘でいてほしいという変わらぬお父さんの愛情を感じた喜びが相まって、晴々とした気持ちで返事を返しました!
うふふ♪ 『人間』の生涯は悠久の時を生きる私にとって、ほんの僅かな時間でしょうけれど……それはきっと何事にも変えがたいとっても大切な時間となるでしょう。
「その時間を過ごすためにも! 行って来ますね、お父さん!」
「ええ、ちゃんと帰って来るんですよ? これから私達の宿を盛り立てていかなければいけませんからね?」
ふふ、そうですね! 任せて下さいよぉ~キッチリと終わらせて、今度はお姉様達も連れて来ますからね!
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【ルクレツィアと】~シェラザード~《ルヴィアスview》
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「左翼! 全砲門開け! 一斉射ぁぁっ! てぇぇーっ!!!」
俺の居城でもある、宮殿『ルクレツィア』の左翼に設置された魔導砲がオルファの号令の下、『魔装戦士』共に向け、その砲火を一斉に放つ!
ズドドドドドォォォォーンッッ!!
魔導砲の一斉射撃によって凄まじい轟音を鳴り響かせ『魔装戦士』共が爆散していく。しかし!
ドシュドシュゥーッ!! ドギュゥーンッ!
「ミサイル及びビーム砲! 来ます!」
「シールド展開急げ! 総員衝撃に備えーっ!!」
ドォォーンッ!
次から次へ、何体倒してもどんどんわいてくる! ロアの『無限錬成』によって!
だけど俺達が怯むわけにはいかない、弱体化のペナルティが解除された今。俺の本気の覚悟ってのを世界中に見せてやらなきゃいけない。そう、そのための『ルクレツィア』!!
「怯むな! 図体のわりに大した攻撃じゃないぞ! このまま他の『魔装戦士』も引き付けろ! 俺達こそがこの世界を護るのだ! それを他国の皆に見せ付けてやれ!!」
おぉぉーっ!!
「うおぉぉっ!! 『イグニスブレード』!!」
ザンッ!! ゴォォーッ!!
「陛下の仰る通りだ! コイツらは少し動きが速いだけの巨人! 我等親衛隊の敵ではないぞ!」
「せやぁぁーっ! 『ライトニングエッジ』!!」
ゴォォンッ!! ガラガラガラーッ!!
俺の近衛。バロードとカレンが率いる部隊は結構な精鋭達よぉ!
立ちはだかる巨人族の魔物並みに図体デカイ『魔装戦士』共、そいつらを相手に、まずバロードが突っ込んで炎熱の魔法剣、『イグニスブレード』を振るえば奴等の足をぶった斬り、続くカレンの雷撃剣、『ライトニングエッジ』が腕を吹き飛ばしダルマ状態に!
「団長殿達に続けぇーっ!!」「我等、帝国近衛騎士団の力を見せ付けるのだぁぁーっ!!」
オォォォーッ!!
こうなりゃ後はもうドッカンドッカンってなもんさ! ただ、やっぱり厄介なのもいてさ……
ブォンッ!! ドガドガドガァーッ!!
「右翼! 剣士タイプに押されています! 至急援軍を請う!!」
ブゥンッ! って、鈍い音を鳴らすビームソードを振り回す、近接攻撃タイプの『魔装戦士』だ! コイツらは持ち前の機動力で『ルクレツィア』に急速接近しては要所要所を斬り付けて行く!
「成る程、アイツ等が邪魔だって言うから私を呼んだのね?」
「ああ、悪いねシェラザード。頼めるかい?」
この貸しは高くつくわよ皇帝さん? なーんて、もう、素直じゃないよねぇシェラザードは!
無理のない範囲でお返しはさせてもらうって約束しておいたけど……うへぇ~何やらされるんだろ?
「あんなのいちいち一体づつなんて、やってらんないでしょう? 反射シールドを張るわ! フフフ……自分の攻撃でそのまま倒れなさいな!」
パッキィィィーンッ!!
おぉぅ!? シェラザードの魔法で『ルクレツィア』全体を多角形のプリズム? みたいなのが包んだぞ!? え、なにこの魔法? 俺知らない!
ブゥオンッ! キィィンッ!! ズドォーンッ!!
「えーっ!? なんか『魔装戦士』が斬りかかってきたと思ったら勝手に爆発したんですけどーっ!?」
「あーっはっはっは! 見なさいルヴィアス! あのおまぬけな木偶の坊達を! なんて無様なのかしらね! シールドに攻撃して勝手に数を減らしていくわ♪」
えっぐぅ~……単純に攻撃を跳ね返すってシールドらしいけどさぁ……単純な命令を淡々とこなすだけの『魔装巨人』相手だとこうも効果的なのか……彼女の言う通り、剣士タイプの『魔装戦士』達は張られたシールドに攻撃しては、その攻撃をそっくり反射されてドッカンドッカン爆発しては勝手に消えて行く。
「いや、大助かりだけどさぁ~シェラザード。君、怖いわぁ~」
「馬鹿言わないで。この魔法はアリサの提案なんだから!
ヒャッハーみたいに自律思考持ちじゃない『魔装巨人』相手なら、この上なく有効でしょ? って『すいっちょんくん』をアレンジして教えてくれたのよ!」
そ、そうなんだ……やっぱアリサ様すげぇわ。
「でも、結構な神気使うしそう長いこと維持はできないわよ? だーかーらー! ボサッとしてないで働きなさい!」
「へぇーい! んじゃ、魔王ルヴィアス様の本気ってのを見せてやりますか!」
この『ユーニサリア』に出現した『魔装戦士』の大多数を引き付ける俺達。その役目をまっとうする為、ここらで俺もマジになりますよ!
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【胸くそ悪いぜ!】~ロアのくそ野郎!~《ブレイドview》
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ブォンッ! ザシュゥッ!!
「なっ……! なにぃぃ……っ!?」
なんっ……だって……!?
「エリクシル!!」
操る魔法を悉く俺達……っていうか、ミスト達魔法使い連中に無効化されて、小者感丸出しの黒フード共の親玉、エリクシルは俺達に対抗するためにロアから与えられたっていう、『魔装戦士』共を呼び出してきやがった! だけどよ……
「な、なぜ……何故に『魔装戦士』が私を……っ!?」
刺し貫きやがった……呼び出された『魔装戦士』は俺達に、じゃなく、呼び出した筈のエリクシルに向き直り、そのビームソードっていう魔法剣でエリクシルの胸を穿ったんだ!
ドサァッ!
「何故……何故だ……? ロア様……」
「おい! 貴様、ふざけるな! これはどういう事か説明しろ!」
今起きた事実が心底信じられないってな顔で、倒れ伏すエリクシルにバルドさんが駆け寄って怒鳴る!
「バルド! 迂闊だぞ!」
ヒュンッ! ザシュッドゴォーッ!! ズドォォーン!!
「感情的になるなバルド殿! 『魔装戦士』に囲まれているのだぞ!?」
ブォンッ! ザンッザンッ! ドガァーンッ!!
そんなバルドさんの行動にデュアードさんとバルガスのおっちゃんが即座に動き、召喚された『魔装戦士』共を斬り捨てる!
「す、済まないデュアード、バルガス殿……軽率だった。しかし……」
「ご苦労だったエリクシル……汝の役目は終わりだ」
ロア!?
デュアードさんとバルガスのおっちゃんがバルドさんの元に駆け寄り、注意したその時、空間が歪み、ロアの野郎が現れやがった! ババッ! って俺達は直ぐ様武器を構え、臨戦態勢をとる! この野郎、今まで何処に隠れてやがったんだ!?
「よくやった……汝の怨嗟の念、じゅうぶんにディードバウアーへの供物となろう」
「ろ、ロア様……どういう……事……で」
んだと!? こいつの怨みがディードバウアーへの供物? どういう事だよ!?
「……貴方達は仲間ではなかったのですか?」
「ふむ。この者の『人間』共に対する怨嗟の念が、ちょうどディードバウアーを強化するのにうってつけであったが故に利用していたまでだが?」
!?
「この世界も他の神が管理している世界も……否。神界であろうと、総て等しく吾輩の実験場である。汝らいと小さき者よ、モルモットらしく足掻くがよい。それらを糧に吾輩は全知への道を歩む」
「き、貴様……っ! それでは、私の……我等、『亜人』達の理想郷は……っ!!」
ふ、ふざけやがって……この世界だけじゃなく、他の世界も自分の実験場だと!? 俺達がテメェの実験動物だと!? 許せねぇ! 何様のつもりだこの野郎!!
「そんなものは最初から不要である。だが喜ぶがよい、誇るがよい。
汝のその歪んだ怨嗟によって、汝が崇めしディードバウアーはより強くなって復活を果たすであろう。
さあ、仕上げである。汝が『核』を捧げよ」
てめえ! 止しやがれ!!
俺達がロアを止めようと攻撃を仕掛けるも、遅かった!
ガキィィーンッッ!!
障壁に阻まれて、ロアに攻撃が届かねぇ!
「うおぉぉっ!? お、おのれっ! おのれロアァァーッッ!!」
キィンッ……ああ……エリクシルの野郎が、霧になって黒水晶に吸い込まれちまった!!
ちくしょう! どこまでもふざけた野郎だぜ! エリクシルに自分は仲間だって思わせて、利用するだけ利用したら、後はもうゴミを捨てるみてぇに!!
「貴様……ロア!! その勝手な行い、見逃すわけにはいかんぞ!?」
「ここまで胸くそ悪くなったのは、初めてだわ……ロア! 貴方はこのまま生かしてなんておけない!」
「エリクシル……なんと哀れな……貴方のしてきた事は決して褒められた事ではありませんでしたが……せめてもの情けです……仇は討ちましょう!」
ああ! バルドさん、シェリー姉ちゃん、ネヴュラさん!! 俺達全員同じ気持ちだぜ!
このくそ野郎だけは絶対許さねぇ! ここでコイツをブッ飛ばしておかねぇと、また同じような目に遭う奴が出てきちまう! それだけはさせねぇぜ! 覚悟しやがれってんだ!
ティターニア「うふふ♪( =^ω^) こんなこともあろうかと色々練習していたのですわ!ヽ(*≧ω≦)ノ」
珠実「こんなことってなんじゃ!?Σ(`Д´ ) それに練習じゃと?(・_・)」
ティターニア「ですわ!(о^∇^о) ガウスさんとムラーヴェさんもご一緒でしたのよ!ヽ(*´∀`*)ノ」
ヒヒイロ「とても楽しそうですが、一体どのような練習をされておられたのですかティターニア様?(^_^;)」
ティターニア「勿論登場シーンにおける素敵な口上とポーズについて、ですわ~!ヘ(≧▽≦ヘ)♪」
珠実「えぇ~……( ̄0 ̄;)」
ヒヒイロ「ほほう、それは興味深い……(^ー^) 一体どのようなものでしょうか?( ・`ω・´)」
ティターニア「興味ございますのね!?(ノ≧▽≦)ノ よろしいですわ~( *´艸`) いくつかお見せしましてよぉ~!O(≧∇≦)O」
珠実「ちょっ!?Σ(゜ロ゜;) お主等、今はそんなことしておる場合ではなかろうがっ!?(`□´) あの『魔装戦士』共を蹴散らすのが先決じゃぞ!?(`Д´)ノ」
ヒヒイロ「はっ!?Σ(*゜Д゜*) そ、そうでした……失礼しました!(>_<") 直ちに殲滅致します!(*`ω´*)」
ティターニア「はっ!ヽ( ゜∀゜)ノ 思いつきましたわ~ここはわたくしにお任せ下さいな!(*´艸`*)」
ヒヒイロ「えぇっ!?Σ(゜ロ゜;) そんな、お一人では危険ですティターニア様!(;´゜д゜)ゞ」
珠実「いや、大丈夫じゃろう(;´A`) 何やらかすかはわからぬが、ここは任せて見ようぞ?(_ _)」
ティターニア「同朋の妖精達の未来のため!o(*・ω・)ノ 私達の世界の安寧のため!(*´□`)ノ そして我等のアリサ様のために!ι(`ロ´)ノ」
くるり~ん☆ミ
「フェアリークイーン☆ティターニア!ヾ(゜ー^*) 華麗に参☆上!゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜ ですわ~♥️ヽ(*>∇<)ノ」
ドドーンッ!!
ヒヒイロ「おぉ~!(*’ω’ノノ゛☆パチパチ 『魔装戦士』も見事一掃されましたね!(*´▽`*)」
珠実「( ゜□゜) ……歳を考えんかティターニア(ノω・、) 妾、いたたまれのうて泣けてきおったわ(*T^T)」
ティターニア「!Σ( ̄□ ̄;) なんてこと言いますの珠実様!o(`Д´*)o わたくしまだまだピチピチでしてよ!?(≧□≦)」
珠実「そうかもしれんがのΣ(;゜∀゜)ノ なんなのじゃその、わざとらしくスカート翻して、くるり回ってからの、あざといポーズとウインクは!?(*/□\*)」
ティターニア「練習の成果ですわぁ~☆ミ♪o((〃∇〃o))((o〃∇〃))o♪」
ヒヒイロ「とても素敵で御座いましたよティターニア様(^ー^)」
珠実「はぁ~( ´Д`) 早う帰って来てたもれ~アリサ様や……(´ヘ`;)」




