閑話 メビウスの四季 夏~後編~
ユニ「はいはーい!o(*≧∇≦)ノ ユニークアクセス七万突破記念の小話(^ー^)」
アリア「後編、です!(ノ・∀・)ノ」
ミスト「やたらとカレーの話が長いのは、どうして?(゜∀゜;)」
ブレイド「作者が書いてて無性に食いたくなったとからしいぜ!(`∀´)」
アリサ「美味しいんだよカレーは♪(((*≧艸≦)」
シャフィー「そんな美味しいって言われるカレー♪( ̄¬ ̄)」
ネーミャ「楽しみだねぇ~?( 〃▽〃)」
みんな「それではどうぞお楽しみくださーい!ヽ(*>∇<)ノ」
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【みんなはどの辛さが好き?】~私は辛口~
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「うまぁぁぁーい!! このうまうま辛いのがたまんねぇぇーっ!!」
「イケる! こいつはサイコーだぜアリサ姉ちゃん! おかわりっ!!」
僕も俺も我も私もアタシも!! わーわーわーっ!!
うっひゃっひゃっひゃ♪ そーれ見たことか! 美味かろう美味かろう!? スパイスを取り揃え、みんなに教えながら一緒に作った沢山のカレー! 甘口、中辛、辛口、激辛と色々その辛さも種類揃えて、みんなで自分の好みに合ったカレーを探せるようにしてみた結果がこれである!
誰も彼もが我先にとカレーが入った寸胴鍋に群がり、カレーを好きなだけよそって、用意したライスやらナンとかで食べること食べること!
「すごい美味しい! ユニ甘口しか食べられないけど、いつか辛口も食べれるようになりたい!」
「アリアは! うむぅ~♪ 甘口! です♪」
「美味いんだぞーっ! これ、ハチミツも入ってるのか~?」
「はふはふっ! ふぅーっ! めっちゃ汗かくのにまだ食べたい! もっと食べたいって思うのなんでーっ!?」
パクパクとスプーンをお口に運んでは、いい笑顔で喜ぶユニとアリアにジュンとシャフィーちゃん♪
ユニとアリアはそもそも食事事態がここ最近で始めたばかりなのもあり、辛口は流石に無理だったけど、甘口なら全然平気そうだね♪ りんごとハチミツ使ってるから優しい辛さとほんのりとした甘味も感じれる美味しい甘口カレー。この二人の他にシャフィーちゃんとネーミャちゃん、レウィリリーネにミストちゃんといった女の子達や、北方出身のカレンとオルファ、後はジュンとリンにも人気だ。
「俺はこの中辛くらいがいいなぁ~辛すぎず、スープの味がしっかり楽しめる!」
「おお、ルヴィアス様もですか! 実は俺もこの中辛が一番と思います!」
「然り。辛口はちと俺には辛すぎるし、甘口はもう少し辛味がほしくなる……いや、どれも美味いんだが」
「ウチもこの中辛がいいなぁ~♪ ライスでもこのナンってので食べてもうまぁ~!」
ルヴィアス、ムラーヴェ、ガウス、フォレアルーネが中辛のカレーを食べてはニコニコと笑顔で語り合っているね。他にも中辛好きは多く、一番人気のようで消費量ももっとも多い。
「くぅーっ! 辛ぇ! でもやめらんねぇなぁ~♪」
「ああ、大汗かいて……ゴクゴクッはぁっ! 水をガブガブ飲んで、またこの辛口を口に運ぶ! アリサ殿の言った通りだ!」
「……美味い、辛味がこれほど……んぐんぐ、美味いとは!」
「辛いだけじゃねぇんだよな……肉は柔らかいし、じゃがいも、ニンジン、玉ねぎ……全部合わさって!」
うまぁーいからーい! って、辛口食べて叫んでるのは主に『セリアベール』のみんなだね。ゼオンにバルドくん、デュアードくんにゼルワと。意外だが、シェリーやミュンルーカも辛口を選んでいる。なんだべ? 北と南で味覚がちょっと違うんかね?
「ど、どうしてなんでしょう!? 痛いくらいの辛さなのに!」
「ダーリンダーリン! これ辛すぎるわ! でも、でも! 手が止まらないの!」
「おお! こいつはいい! ブレスの威力も上がりそうだぞ!」
「な、涙と汗で目が見えなくなりそうです! でも美味しい!」
ううむ、猛者はやはりいるものだね……ヒィヒィ言いつつも、激辛カレーを食べる手を休めないのは、ラグナースとレイリーアのカップルに、ゆかりとアルティレーネ。激辛カレーは野菜を溶かし込んだチキンカレーにしてみたんだけど、その辛さに負けないくらい強い旨味を味わえるからね♪ その美味しさを味わうのもまたよしだよ?
「どー? みんな~夏に食べるカレーは美味しいでしょ~♪」
サイッコーでぇぇーす!!
うむうむ! いい返事をもらえてアリサさん嬉しいぞい♪
「アリサ様はどのくらいの辛さがお好みなのですか?」
「私はどれも好きだけど、そうだね、結構気分によるんだよねぇ~別に辛さ別に分けてあるからって、それだけ食べる事もないんだ」
料理長が中辛のカレーを食べつつ、私のカレーの好みの辛さを訊いてくる。私が好きなのは答えた通りで、その時その時によって変わったりする。今回用意したどの辛さのカレーも美味しくできたけど……
「こうして中辛と辛口を混ぜたりしても~ん~! うまぁ~♪」
「おぉ! そっか、そんな手も有りか!?」「それなら私も好みの辛さを探してみたいです!」
中辛と辛口のカレーをやや辛口になるように混ぜてライスにかけて食べてみる。はっふ! おぅ、こりゃ美味いでないの! そんな私の様子を見てたブレイドくんとバロードくんが早速真似し始めた。すると、他のみんなも真似しだして、またワイワイと……ふふ、気付けばカレーは完売御礼。みんなも満足そうにお腹をさすってごちそうさまをしたのでした♪
「みんなして凄い食べっぷりだったね~♪」
「そうですねユニ殿、私も色々な辛さを試してみましたが……どれも美味で手が止まりませんでした」
「アタシはやっぱり激辛! まだ唇がヒリヒリするけど、なにかしらね? 病み付きになる美味しさがあったわ!」
そうしてお片付け。作った時の面子で、食べたカレーの感想を言い合い、お皿やスプーン、鍋を洗うのだ。体が小さい分少食気味のユニでさえ普段より倍近く食べたし、アイギスはアイギスでガルディング様とセレスティーナ様、リリカさんや料理長達『ランバード家』で集まり、お上品な食べ方ながらも何杯もおかわりしてた。レイリーアはラグナース達と一緒に激辛を占拠してたしねぇ、よほど気に入ったんだろう。
「是非とも向こうに戻ってからも食べたい料理でしたね!」
「あはは、僕なんてもう、また食べたいって感じてますよ!」
「でっすねぇ~♪ アリスもサーサさんとカインに同意でっすよぉ~って、あんれぇ~この寸胴鍋重いんですけど……」
サーサとカイン、アリスもカレーに満足したようだ。ってか、あれだけ食べたのにまだ食べたいのか? 物珍しい料理ってのもあるんだろうけど、食いしん坊が過ぎませんかねチミ達? っと、アリス。その寸胴鍋はいいわよ?
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【ライスもいいけど】~うどんも好き!~
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「それにはまたちょいと違う味付けしたカレーが入ってるのよ。お出汁強めのカレーうどん用ね?」
カレー……うどんっっ!!?
おおぉ? なんぞみんなして? うどんは時々食べてるでしょ?
「確かに、アリサ様特製のこだわりお出汁のおうどんは大好きですけど!?」
「そこにかき揚げが加わると壮絶なおかわり合戦が始まるのは、最早恒例行事になりつつありますね?」
「そのうどんに……カレー!? アリサ様正気なの!?」
「ユニはおねぇちゃんを信じるよぉ~♪ みんないつも「えーっ!」って言うけど、最後はやっぱり「美味しかった!」ってなるもん!」
「アリスもユニちゃん先輩に激しく同意でっする♪ マスター試してみたいでーす!」
いつだったか、お出汁にこだわったかき揚げうどんをお弁当として作ってアイギス達に持たせた事があった。それがきっかけになったのか、バルドくんから熱いリクエストがあったのよね。「アイギスが食っていたあのうどんを食べたい!」って、んで、折角だからみんなの分も用意して夕飯に出したらまぁ~結構な人気メニューになっちゃったのよね。それこそ今サーサが大好きって言うように、アイギスがしみじみと語るように、沢山おかわりされるくらいに。
そんな人気メニューと今回のカレーを合わせるって事に驚愕してるレイリーアだけど、そんなに驚く事かね? 私の前世じゃありふれたメニューだったんだけど、初めてだとビックリしちゃうのか?
私が料理を提案して、みんなから驚かれるっていう流れに馴れたユニとアリスはカレーうどんが絶対美味しいものだと信じきっている。うむ、その通り美味しいのだ。
「試したいって言われても、うどん打つとこから始めなきゃいけないわ……ちょっと時間かかるわね」
そもそもそれは今日一晩じっくり寝かせて更に美味しくさせて、明日のごはんとして出すつもりで作ったものだ。本当はさっきのカレー達も寝かせて置きたかったくらいなんだぞ~?
「寝るぅぅ~? おねぇちゃん、カレーがおねんねするの~? あはは、なんか面白いねぇ♪」
「ほう……アリサ様! その話、詳しくお教え願えますかな?」
あらら、ふふ♪ ユニったら可愛いこと言うじゃないの。そんな愛らしい笑顔を見せるユニとは反対に、キラリーンって、目を光らせるのは料理長。寝かせて美味しく~ってのに反応したんだね? うむうむ、流石は『ランバード家』の料理長だ、美味しいご飯を作る事に対する向上心が凄い!
「まぁ、色々あるんだけど……具材にさ、カレーがしっかり染み込んだり、逆に具材の美味しいとこがカレーに溶け込んだりしてね~こう、味と香りが素敵に混じってコクも旨味もアップするのよ♪」
「ええ! 一晩置いておくだけで美味しくなってしまうんですか!?」
「なるほど、じっくりと時間をかけて味がなじむのですね……本当に料理とは奥が深いな」
カレーを一晩寝かせると美味しくなる理由を適当に話してやると、カインとアイギスがやたら感心した様子を見せる。んだけど……うーむ……『天馬』のカインはともかく、アイギス達までこうの感心するもんかね? サーサと一緒で私の手伝いも長いんだけどねぇ……まぁ、ちょいと前まで具材に塩振って焼くか茹でるかしかしてなかったって言うし、仕方ないのかな。
「いいこと思い付いたわ! アリサ様、うどん打つのが大変ってなら全員でやってみない!?」
「おほぉ~! そりゃ面白そうでっしゃろい!」
「全員でって……え、凄い量のおうどんができますよレイリーア!?」
「え~でもなんだかんだで食べてますよね皆さん?」
レイリーア、あんたマジ面白そうな事考えたね? 打つ人……大体私が打っているうどんを普段みんな食べてるんだけど、たまには別の者が打ったうどんを食べるのも、また新しい発見があって面白いかもしれない。
「アリスの言うようにそれは面白そうね。サーサが心配してる消費はカインの言った通り、なんだかんだでみんな食べちゃうから大丈夫だと思う。やってみようか? もしかしたら凄く美味しいうどんを打つ人がいるかもしれないし!」
うん! そうなったらうどん作りはその誰かに任せる事もできるだろう。『聖域のうどん職人』の称号を与えたりして、その人の作るうどんをブランド化するのだ!
「せ、『聖域のうどん職人』!?」
「ほほう! これは『ランバード家』の料理長として皆様に負けるわけにはいきませんな!」
「いや、悪いが料理長。その称号は私のものだ。常日頃からアリサ様の小間使いをしている身としては譲れん」
「もう! りょーりちょーもアイギスおにぃちゃんも何言ってるの!? そのしょーごーはユニのなの!」
「……『おうどんアリス』となるんでっす? くふぅ~いいでっしゃろーい♪ こりゃやる気出てきまっしたよぉ~! むっつりんにも影薄い料理長にもユニちゃん先輩にも負けねぇでっす!」
……いや、あんた達、半分冗談で言っただけなんだげんちも?
「いいじゃないですかアリサ様。こういった「いべんと」? みたいなのはいくらあっても楽しいです♪」
「ふふ、カインさんの言う通りですね。こうしてみんなでわいわい楽しめるのは嬉しい事ですよ」
「よぉーし! 決まりね♪ アタシみんなに声かけて来るわぁ~!」
あらら、ノリ気だねぇみんなして。思わず苦笑いが出ちゃうけど、こうしてちょっとしたことで馬鹿騒ぎできるのも確かに面白いからいいか♪
さて、そうと決まれば大量に中力粉を用意しておきましょうかね♪ バレンタインで使ったキッチンも、もっと拡張して、準備進めちゃおうっと!
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【うどんもいいけど】~そうめんも♪~
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「そうよねぇ~何も一人に厳選する事なんてないのよね?」
「あんたは……酷かったわね? まさか生地作りで失敗するとか……」
しょうがないじゃない! まともに料理なんてしたことなかったのに、いきなりうどん打ちなんて出来ないわよ! って、ため息ついた私にムキィーって吠えるのはティリアである。
みんなで集まってのうどん作りは、始めは個人個人で作ろうという案だったんだけど、それだと人数多すぎるし、小さい子達が大変だって事もあって、好きなチームを自由に組んでもらい作ってもらうことになったの。
それも取り敢えず無事に終わって、各チームが打ったうどんを投票形式で、どのうどんが一番だったかを決めたのだ。しかし、この妹は生地作りの時点で失敗。大量の石ころを生産し続けたため退場してもらった。
「あんたさぁ、折角『無限魔力』って凄い力持ってるのに、それじゃ宝の持ち腐れよ?」
「わぁぁぁーっ! 姉さんがいじめるぅぅーっ!?」
「そうやって泣きわめいても何も変わらないわよ? どう? 頑張ってもっと制御出来るように練習してみない?」
「……姉さんってさぁ~優しいようでいて、厳しいよね? ……やるわ。細かい制御ができるならもっと色々やれるようになるだろうし。でもみんなにはナイショにしたいわ!」
はいはい、秘密特訓って事ね? お互いに頑張りましょうね♪
「あおぉあおぉっ! やったんだぞ~オイラが『聖域のうどん職人』だぞーっ!」
「おぬしだけではないじゃろうが! 妾が絶妙な塩加減を叩き出したお陰じゃ!」
さて、話を戻そう。あそこで嬉しそうにあおぉあおぉ騒いでるジュンと、そのジュンにブーブー文句言ってる珠実が一組目の『聖域のうどん職人』だ。珠実が見事な塩加減を調整し、ジュンの有り余るパワーによる踏みつけ……もみもみとも言う捏ね方で打ったうどんは、そりゃすんげぇコシの強さで実に食べ応えのある美味なものに仕上がった。
「あの二人の打ったうどんはもっちもちしてて美味しかったわね!」
「投票結果もぶっちぎりでトップだもんね。と言うかさ、うどんをもみもみしてたジュンが可愛くてしょうがなかったわ♪」
わかるぅ~♪ って笑うティリア。そう、『小さいは可愛い』で小さいサイズのジュンが生地をその前肢でふみふみしては、珠実の指示でひっくり返し、またふみふみ。熟成のため寝かせてる間も可愛い寝顔を見せてくれてアリサさんは大満足です♪
「やっりまっしたよぉぉ~♪ ユニちゃん先輩! アリア先輩!」
「えっへん! ユニとアリアちゃんのお陰だね♪ ユニとアリアちゃんとアリスちゃんのもちふわうどん! 大勝利!」
「えっへん! です♪」
そして二組目がユニ、アリア、アリスのチーム。彼女達はうどんとはコシのあるものという先入観を拭い去り、敢えてコシの弱い、しかしふわふわでもちもちなうどんを作り上げ、大好評を得たのだ!
「どれも美味……バルド達の『黒狼』もうまいぞ?」
「アイギス達の『白銀』もな?」
じゅるじゅる! ふっはぁ~♪ うまい! なんてアイギスとバルドくんも互いの健闘を称え合い、カレーうどんを食べて満足そうだ。
「なんか『聖域』にうどんストリートとか作って見てもいい気がしてきたわ……」
「うどんだけじゃ勿体ないわね、いずれラーメンに蕎麦も広めたいわ。ちゅるるん♪」
「お姉さま……それは、うどんなのですか?」
みんながみんなで作ったうどんを食べあって、笑いあう中、私はティリアと駄弁りながらまた別の物を食べている。そんな時、アルティレーネが私の様子を見て声をかけてきた。
「ん? あっ! 姉さんそれはそうめんじゃないの!? いつの間に作ってたのよ? 私にもちょうだい!」
「あ、気付かれた? そう。みんなしてうどん作るし、私の作るうどんはみんな食べなれてるだろうしって考えたらそうめんに行き着いたのよね。アルティも食べてみる?」
そうなのだ。折角なので私も参加しようと思ったんだけど、上記の理由からそうめんを作ってみた。麺よりもめんつゆ作るのが時間かかったけど。まぁ、うどんじゃないから投票も何もないんだけど、それにまだ私しか食べてないし。ティリアとアルティレーネが気付いたので食べさせてみる事にする。
「あら! 冷たくてさっぱりしてて美味しいですね! ……もう、なくなっちゃいました」
「これも夏の定番よねぇ~めんつゆに溶かしたわさびもいいけど、梅の果肉を少し加えるのも美味しいわよね♪ 替え玉ちょうだい?」
ちゅるんちゅるるん♪ ん~美味しい! って喜ぶ二人。そしてあっという間になくなっちゃって物足りないなさそうにするのもまた定番かしらね?
「おああぁーっ!? アリサ姉! それなーに!?」
「ん! あたしも食べてみたい!」
おぉ? なんだなんだ~?
わーわーと私達に気付いたフォレアルーネが大声あげると、レウィリリーネも一緒になって寄ってくる、そしてみんなも気付いてぞろぞろとそうめんを珍しそうに見てくるし、訊いてくる。どれどれ、んだらばみんなの分も茹でてやっぺない。
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【風鈴、スイカ】~お盆~
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さて、このままでは「こいつらカレーとうどんとそうめん食ってばっかだな?」等と折角の夏を食べてばかりの食いしん坊集団であると誤解されてしまいそうなので、もう少し話そう。夏と言えば他にも沢山ある。
ちりんちりーん♪
「なんか『エルハダージャ』の田舎にこう言う感じの家あるよなぁ~?」
「私達の棲処の家屋にそっくりですね、爽矢様」
「うむ。しかしアリサ殿、あの小さな鈴はなんだ? 風情があって、何やら涼しげな感じがするな」
そう。風鈴だ。この『引きこもりハウス』からまた少しだけ離れた更に丘の上に和風の家屋をポポンとおっ建て、私の前世の世界の夏を再現してみようと思ったのだよ。
「ふふ、いい感じでしょ? ほらほらセラちゃんもドランドも爽矢も、ここに座って座って♪ 今いいの出したげるからね!」
「お待たせアリサ♪ 持ってきたわよスイカ~♪」
「しっかり冷えててうまいぞみんな! さあ、食ってくれ」
そしてスイカ♪ って、やっぱりまた食べ物が出てきてしまったわけだけど……朱美とゆかりが食べやすいサイズにカットしたスイカをお皿に乗せて運んで来てくれるので三人にもおすすめする。
「こう塩をパラパラ~♪ スプーンですくいとってあーん、うん! 甘くて美味しい! ほら、食べてみてよ?」
「ははは、私はこうしてガブッ! して、うん美味いなこれ!」
「ええ~? ゆかり、種まで食べちゃったの!?」「うおっ! 甘くてうめぇな!」
「これは確かに美味であるな!」「ええ、それにとても瑞々しい!」
縁側に座って頂くスイカ♪ 豪快にかぶりつくゆかり、それ見てびっくりする朱美にスイカの甘さに喜ぶセラちゃん、爽矢とドランドもジューシーなスイカにいつもの厳しい相好を崩して笑いあう。そんな彼等にうちわと麦茶なんかも用意して、夏を堪能したり。
「アリサ様、それは……なんですか? きゅうりとナス?」
「あはは♪ なんだか馬と牛みたいですよ~?」
「珍しいじゃん? アリサ姉ちゃんいつも「食べ物で遊ぶな!」って口うるせぇくらいなのに?」
ちまちまときゅうりとナスに木の枝を刺してる私を見て、ミストちゃんとミュンルーカ、ブレイドくんが声をかけてくる。どうやら遊んでるって思われたのか、ブレイドくんを始めにみんなしてちょっと驚いたような表情だ。
「ふふ、これはね『精霊馬』って言うのよ……ゼオン。こっちいらっしゃい?」
「あ、ああ……どうしたんだよ嬢ちゃん、改まって?」
夏に忘れちゃいけないのがお盆。故人を想い偲ぶ、大切な行事だ。『聖域』再生の際に戦った『剣聖』メルドレードの影や、その時に寄り添ってくれた勇者アーグラス。そんな彼等のことを考えながら、だろうか? 自分でも驚くくらいしんみりとした優しい声でゼオンを呼んでいた。
「ちょっと前に『セリアベール』の墓地で話したこと覚えてる? ほら、年に一度でもいいから亡くなった人達を偲ぶお祭りみたいなのやったらどう? って話」
「あ、ああ。よく覚えてるぜ。それがどうかしたのか?」
うむ、『氾濫』を解決した後、黒フードの連中の正体を暴くため、『セリアベール』の墓地に赴いた際、そんな話をしたのだ。
「参考になるかはわかんないけど、私の前世の世界にもそういうお祭りがあったのよ?
ご先祖様を自宅にお迎えして、家族で集まって思い出話したりして懐かしんだりしてね、供養をするの。んで、このきゅうりの馬はそんなご先祖様を速くお迎えにあがるお馬さん。ナスの牛はご先祖様がゆっくりとお帰りになられますようにっていう牛さんよ?」
「ほう……そのような風習があるのか?」
「きっと、ロッド達も喜びそうだなバルド?」
座布団敷いた畳の間。ちゃぶ台挟んで向き合って座る私とゼオンの話に興味がわいたのか、バルドくんとアイギス、他のみんなも話に耳を傾けてくれている。
「期間は大体三~四日ってとこかな? 精霊馬に乗って帰って来るご先祖様が道に迷わないように迎え火を焚いてね、お帰りの際には送り火を焚くのよ? ふふ、この辺りは地方によって違ったりしてたけどね」
「なるほどなぁ~そいつはいいこと聞いたぜ。おい、ラグナース。俺等の『セリアベール』で似たような事するとなるとどんな感じにすりゃいいと思う?」
「ふふ、そうですね。やっぱり盛大なお祭りが相応しいのではありませんか?」
「だな……『セリアベール』の、奴等は……祭りが、好き……だからな」
まあ、今時そこまで丁寧にやるご家庭も少ないだろうけど、私は新盆とかにはしっかりやった記憶があるのよね。ゼオンは感心したように頷き、ラグナースを呼んで『セリアベール』ではどんな感じでやるのがいいかってのを相談し始めた。んで、予想通りというかなんというか……ホントにお祭りが好きなんだろう? デュアードくんも会話に参加して「お祭りだ」って言うとさ、うんうん! ってそりゃ力強く頷く『セリアベール』出身のみんな。
「そう言うと思いました♪ 『セリアルティ』の民達も……いえ、王のユグライアも何かにつけてお祭りしたいって、よく口にしてましたから」
「じゃあさ! 『夏祭り』って称して盛大にやればいいんじゃない? 姉さんの前世の世界でも結構あちこちで派手にやってるわよ♪」
「そりゃいいね! 楽しい思い出いっぱい持たせて『輪廻の輪』に還ってもらえば、きっと終焉向かえた魂も喜びで満ちるんじゃないかな!? ね、アルティ姉?」
それにふふふ♪ って笑い出すアルティレーネ、筋金入りのお祭り好きなのは昔から『セリアルティ王国』の血筋らしくて懐かしさに思わず笑っちゃったらしい。そんな明るい笑顔を見たティリアは名案だと言わんばかりに『夏祭り』を提案してくる。そうだね、夏には祭り囃子が聞こえ、夜空には無数の花火が打ち上げられたりして、とっても賑やかだった事は私もよく覚えてる。フォレアルーネもそんなに楽しそうな事なら魂達も喜ぶはずだとアルティレーネに話してる。
「そうですね♪ どうでしょうアリサお姉さま、折角ですしその『夏祭り』をこの『無限円環』で催してみませんか?」
あはは♪ そんないい笑顔で言われちゃ断れないね! みんなも期待に満ちた顔で私を見てくるし……やってみよっか! 私達の『夏祭り』を!
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【盆踊り】~浴衣はいいよね♪~
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ドンドッドンドン! コッコッコッ! ドンドッドンドン! コッコッコッ!
「~♪ 盆踊りってこんなにゆったりとした踊りなんだねアリサ様♪」
「踊り子のあんたにしたら物足りないかしら、ミミ?」
そんなことない、楽しいよ~♪ 一緒に盆踊りを踊るミミは、流石本職というか……少し踊っただけで振り付けをマスターしてしまった。まぁ、そんなに難しいもんじゃないんだけどね。
さてさて、そんなこんなで急遽開催する事になった『夏祭り』♪ ベースとなるのは私の前世の世界であった『お盆祭り』だ。全員が自由に参加できるタイプの『盆踊り』にしたくて、簡単な櫓を建てて、大きな太鼓で単純なリズムの音頭でゆったり簡単な振り付けで踊るやつ♪ 見よう見まねでも気軽に踊りに参加してもらえるようにってな配慮だ。
額にねじり鉢巻、上半身のかたっぽをはだけさせた法被姿のバルガスが音頭取りを担当するんだけど、なんとも力強い太鼓の音と、私の前世での記憶を『不朽』で引っ張り出して、オプションをスピーカーにして流す歌と曲も相まって結構本格的になったよ、なんだか心が踊るね♪
「こりゃ楽しいのぅ! 振り付けも簡単だし、そう激しく動くわけでなし、儂も楽しめる!」
「あはは! ドガのおじいちゃんもノリノリ~♪ お酒も入ったせいか私も楽しいわ!」
ふふ、ドガもリールも楽しんでるなぁ~♪
因にだが、今踊っている盆踊りは手の振り方に重きを置いたご先祖様をお迎えするための踊りだ。櫓をぐるぐると何周かした後、一端止めて、みんなお祭りを楽しむ。そうして暫くしたら、また曲を流し、今度は足の動きを重要視した振り付けの踊りを踊る。これにはちゃんと意味があって、地上にいる者が踊りで地面を踏んで道を固め、お迎えしたご先祖様が安心してその道を辿って帰れるようにって事だ。
「ははは♪ 帝国作るときに一緒だった奴等も帰って来るかな?」
「はっはっは! そうしたら凄い人数になりませんか陛下?」
「我が『ランバード』の祖先達もこの楽し気な祭りと踊りにつられやって来るやもしれんなぁ~♪」
「うふふ♪ それでしたら精一杯おもてなししなくてはいけませんねあなた?」
ルヴィアスとバロードくん、ガルディング様とセレスティーナ様も笑顔を見せて楽し気に踊ってるね。って言うか、みんなの知人やご先祖様達が帰って来たらそりゃ凄い騒ぎになりそうね? お酒に料理がいくら足りなさそう、って……まぁ、お供え物になるからそんなことないんだけどさ。
「映える……ん! 浴衣、いい♪」
「ですよねですよね!? レウィリリーネ様♪ チョーあがるぅ~!」
そんな風にみんな楽しい盆踊りを満喫しているなかで、特に満足そうなのが妹達と一部の女子。
その最たる理由が浴衣である。
「折角の『夏祭り』! 折角の『盆踊り』よ! みんな、浴衣を着ましょう!」
って騒ぎだしたティリアが事の発端なんだけど、これには私も賛成した。可愛いユニやアリア、子供達と、アイギス達男性陣の浴衣姿も見たいって思ったのよ。何より情緒があるし!
「春の『ひな祭り』で着た着物より動きやすいよぉ~♪」
「んぅ~♪ 盆踊り。楽しい、です。あるじ様!」
「ふふ、この浴衣とはいいものですね? しっかりした生地なのに通気性がよくて」
「わかりますアイギスさん!」「普段着に欲しいくらいですよ!」
おほぉ~♪ 来たぞ来たぞ! やっぱり可愛いねぇ~ユニとアリアは! 連れ立って来たアイギスもなんちゅう男前なんだお前は!? アリサさん思わず奇声挙げて叫び出すとこだったぞい!?
一緒のネハグラとジャデークの兄弟と浴衣を絶賛してるけど、元々はお風呂上がりに着る肌着で、お部屋で寛ぐ時に着てたもんだからね?
はしゃぎ出したい衝動を抑えて、そんなうんちくを話して聞かせては「おぉ~そうなんですね!」って感心する五人と少し談笑していると、曲が止まり、祭り囃子が流れ出す。さあ、ここからはお祭りを楽しむ時間だね!
「ふふ! いやぁ楽しめた! おい、ジャデーク。ナターシャとネーミャ、ファネルリアとシャフィー連れて屋台を回ろう!」
「ああ! 行こうか兄さん。それではアリサ様、俺達は妻と娘連れて遊んできまーす♪」
「ああ、君達も楽しんでくれ!」「ふふ、しっかり家族サービスするんだよ~?」
ネヴュラとフェリア、朱美や珠実、ルルリル、ルロイヤと言った『聖域』の女の子達が担当した提灯の沢山の灯りと迎え火の灯りに照らされたこの『夏祭り』の会場には、お祭りには欠かせない屋台達が軒を並べている。これらは主に男衆達が頑張って建ててくれたものだ。既に各屋台も準備が完了しているようで、みんな気になっている屋台に向かって行く。ネハグラとジャデーク達も家族と一緒に色々見て回るんだろう、私達に挨拶して、手を振っている奥さんと娘の下に駆けて行ったよ。
「アリアちゃん、ユニ達もミストちゃんとブレイドくん誘って見て回ろうよ♪」
「んぅ、いいよ? 行こう~♪」
って、あれぇ~? ちょいとユニちゃん、アリアちゃんや……おねぇちゃんはぁ~? ってな思いで、手を伸ばしたんだけどさ、ユニったら……
「アリサおねぇちゃんはアイギスおにぃちゃんとおでぇとしてあげてねぇ~?」
「遊び尽くします! ユニ、行こう! あるじ様はアリア達の戦果に期待してて、下さい!」
お、おぉう? なんだべなんだべぇーっ!? あの子達ってばいっちょめーに気なんばまわしてぇ~!
正直ユニ達と屋台巡りするつもり満々だった私は、唐突な想い人との二人きりの状況に軽くパニクってしまっていた!
「アリサ様! 私も色々と見て回りたいです! 是非ご教授を!」
「あーはは……もぅ♪ めっちゃはしゃいでんじゃんあんた? なぁに? そんなに楽しい?」
「はい! 実は私は今日のように純粋に祭りを楽しめる事がなかったのです!」
あんれま、なんか意外だね? 『セリアベール』じゃ結構お祭り騒ぎに事欠かないようなイメージあるんだけどねぇ? その辺りをちょいと訊くと、なんでもそこは『白銀』のリーダーとしての顔が邪魔していたんだそうだ。まったく難儀な恋人(仮)だこと! じゃあ今日は思い切り楽しませてやろうじゃないの!
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【屋台】~色々~
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「型抜きってよぉ~地味じゃねぇか? いや、やりゃ結構面白ぇけどよ……」
「あおぉ? オイラがやるとぶっ壊れちゃうぞこれー?」
「ジュン様にはあわない遊びみたいだなー」
やってるやってる♪ 型抜きとはまた懐かしいね。担当はウェズか。お客さんはジュンとアッシュ? こう言っちゃなんだけどあの子達が繊細な型抜きを上手にこなせるとは思えない、事実砕けた型が散らばってるし。
「神経使いそうですね、ですが、一度だけ挑戦してみます! ウェズ、私にも一枚頼む」
「おぉ毎度! へっへ、こっから好きなの選びな? アリサ様にいいとこ見せてやれよアイギス~?」
「あんたはそんなチャラいことばっか言って、私はこの猫の型やってみよっと」
次行くぞ~って移動したジュンとアッシュの背を見送った後に、私とアイギスも一つ挑戦。
「ははは! んなこと言ってるアリサ様はお顔が赤いですけどぉ~♪ マジにうぶいですよねぇ~?」
バキィッ!!
あっ!? こ、こんにゃろーウェズぅーっ! 変なこと言うから思わず力入っちゃったじゃんよ!?
割ってしまった型を手に怨めしそうにウェズを睨み付ける私です。大人気ないとか言わないでよ!?
「いや、十分大人気ねぇですってアリサ様? それよかほら、彼氏すげぇですよ?」
「ぬぁっ!? か、彼氏てあんた! ……アイギス?」
カリカリカリカリカリカリ……
うおぉ? なんぞコイツすげぇ集中力だ! こんだけウェズとバカ騒ぎしてるってのに一切動じる事なく、黙々と型を削っている! そういやどんな型選んだんだべ? って思いチラッと覗くと、うっげ!? めっちゃ複雑そうな鎧! 誰だこんな初心者泣かせな型用意したのは!?
「レウィリリーネ様ですよ? めっちゃこだわってました」
「あ~あの子は……魔装具に組み込む回路じゃないのよこれはぁ~?」
レウィリリーネは魔装具作りの私の先生でもある。あの子の魔装具作りに置けるモットーは「コンパクトハイパワー」だ。故に複雑な回路をより小さくまとめて組み込む癖があるのだが、何もこんなお遊びにまでやらんでもいいのに……まぁ、そんなもんを選ぶアイギスもアイギスだけど……
「出来ました!」「おぉっ!? マジかよ!!」「うっそ! うわ、すんげぇーっ!?」
ぺカーン☆ 宣言と一緒に掲げたアイギスの手には綺麗に型抜きされた格好いい鎧のエンブレム。見れば見るほど、細部まで拘った装飾が施された芸術品のようだ。
「いや、マジですげぇなアイギス? それをレウィリリーネ様にお見せすれば同じ鎧を賞品としてくれるそうだぜ?」
「本当か!? おおぉ! やった!」「おめでとうアイギス!」
ふふ、子供みたいにはしゃいでるアイギスもまたいいわぁ♪
渾身の型抜きを楽しんだ私達は屋台巡りを続けて行く。さぁ、次は何かな~?
「ほほーい♪ にゃぁ~簡単だにゃん!」
「わわーん! 僕ちんも入ったわーん♪ ザウル~景品ちょーだいだわん?」
「馬鹿者。これは試用だと言っただろう? しかし、この輪投げ……やはり簡単すぎたか……」
あら可愛い♪ 尻尾プルプルさせてはしゃいでるのはニュイとププルだね? ザウルがやってる屋台は輪投げかぁ~これまたシンプルなゲームで誰でも楽しめるね♪
「あーアリサ様とにゃいぎすだにゃーん♪」「わわーん♪ 仲良く屋台巡りだわん?」
「そーよ? あんた達も楽しそうね♪」「また勝負事か? このゲームはどんな内容なんだ?」
あー♪ この子達は可愛いからアイギスとの仲を茶化されても恥ずかしいって感じんわぁ~アイギスも「にゃいぎす」呼びされても自然に流すしねぇ。
「この輪をあの柱に潜らせるそれだけのシンプルなゲームだ。やってみるか、にゃいぎす?」
「ああ、折角だ挑戦しよう」「私もやるー♪」
よぉーし! さっきはいきなり失敗しちゃったけどこの輪投げならいけるんじゃない私! ふひひ、そーだ! せっかくだから~♪
「勝負しましょうアイギス! どっちが多くこの輪を柱に潜らせられたか!」
「望むところです! ふふ、負けませんよ?」
「ああ、ちょっとお待ちを。さっきニュイとププルには言いましたがこれ、まだ試験段階なので……ふんっ!」
ゴゴゴゴッッ!! うおぉ!? ちょ、柱の高さ調整出来るのそれ!? つーか高ぇぇわよ!!
ザウルが輪投げの的である何本もの柱が並べられた台に魔力を流すと、その柱の背がぐぐーんって伸びてさっきより断然高くなってしまった!
「……一番低い柱でも見上げる程高いんだが?」
「にゃいぎすとアリサ様なら簡単だろう? ああ、魔法、魔力、技術の使用は禁止だ。輪を投げる位置はその円の中から、少しでも出ると持ってる輪が消えるからな?」
……おぃぃ? この円めっちゃ小さいんだが? ピタッって綺麗に足揃えてギリギリなんだが!? して、遠いわ! 柱高いわ!
「中々に難しそうだな……よっと!」
カラカラカラーン! おぉ! アイギス上手い! 一番背の低い柱に輪が上手く入ったぞ!
「五点だ。背が高い柱程得点が高いぞ? 十点、十五点、二十点、二十五点とな?」
「ザウル。あんたは私達を過大評価し過ぎだって……のっ!」
ひゅぅぅ~ぼて……出来るわけねーだろこんなの!? 私がアイギスを真似て投げた輪はそのまま地面に落ちた。いや、無理だってのこんなの!
「じゃあにゃいぎすの勝利ですね。よかったな、にゃいぎす?」
「……もう少し調整した方がいいぞ、ザウル?」
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【ノスタルジック】~センチメンタル~
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「アイギス! ほらほら、わたあめだぞ~♪ 一緒に食べよ?」
「えぇっ!? アリサ様、この綿……綿ですよ? 食べられるのですか?」
ええい、四の五の言わずに食うてみんしゃい! 水菜の担当している屋台はわたあめ。これもお祭りの定番♪ ふわふわで甘く美味しい飴が口の中で溶けていくのはとても楽しいのだ。
「大丈夫ですよアイギスさん、このわたの正体は砂糖ですから。見ててくださいね?」
「おぉ……うわっ! これは凄い! これを絡めてまとめるとそうなるのですか!?」
はい、できました~♪ と、水菜が私に差し出した、わたあめを受け取り、ちょいちぎってぱっくんちょ☆
「はうぅ~甘くてふんわりほどけて……美味しいよ水菜! ほら、アイギスも試してみ?」
「ありがとうございます♪」「で、では! 少し失礼して……おぉ、本当だ!」
褒められた事にお礼を言う水菜に、恐る恐るといった感じで差し出したわたあめを少しちぎって口にするアイギスは、びっくりしてからのうまぁーい! ってする。
「あ~♪ アリサおねぇちゃんとアイギスおにぃちゃんだ~!」
「よぉ~アリサ姉ちゃん! アイギスさん。屋台って面白ぇなぁ~♪」
「えへへ♪ チョコバナナ美味しいです~!」
「んぅ~♪ りんごあめも、です!」
おぉ~ちみっこ達だ! 手にはチョコバナナとかりんごあめ、頭には動物のお面なんかもかけてユニとブレイドくん、ミストちゃんにアリアが、如何にも満喫してます! ってななりで現れたぞ!
「楽しんでるね~♪ 聞くまでもなさそうだけど……どう? 『夏祭り』は?」
「面白いよぉ~♪」「最高だぜ!」「んぅ~♪」
「盆踊りも楽しいですし、色々な食べ物とゲームがあって、浮かれちゃいます!」
あはは♪ そりゃよかった! 大人も子供もみーんな楽しめる企画だし、そう言ってもらえることが何よりも嬉しいご褒美だよ。
「お、あれも面白そうだぜ! 行ってみよう!」
「え~? どれどれ~♪」「わーい!」「なんですかなんですか~?」
そんな子供達とわたあめを分けあって二~三談笑して、お祭りにきゃっきゃとはしゃぐ姿をほっこりした気持ちで見送って……
「アリサ様! アリサ様! 私あれをやってみたいです! 行きましょう!」
あ~すぐ隣にもはしゃぐ子がおったわ♪ まったくアイギスったら目のキラキラ具合が子供達と同じなんだけど~? でもそんなアイギスを見てると私まで楽しくなってきちゃうな。ふふ、自然と手なんかも握っちゃってるし♪
「おぉ、きおったな? どうじゃ、ヨーヨー釣りじゃぞ? やっていかぬか?」
「シドウ殿。ヨーヨー釣りとはなんですか?」
「この水入った風船をそこの紙で釣り上げるってゲームだよ♪」
シドウが担当するのは水風船を釣り上げる、ヨーヨー釣りだ。縁日の屋台の定番だね、これも。綺麗で涼しげな柄の可愛い風船をちょこんと手に提げてる浴衣姿の女の子とか可愛いよね?
「ああ! 紙が切れてしまいました! シドウ殿、もう一回! もう一回お願いします!」
「ほっほっほ♪ よいぞよいぞ。ホレ? お主もどうじゃ聖女よ?」
「そうね、んじゃやってみますかね♪」
──そんな感じで私はアイギスと一緒に、みんなで始めた『夏祭り』を楽しんだ。
屋台を回って遊んだり、食べたり。後半の盆踊りで一緒に踊ったりして……そうして迎える〆の花火。
ドォォーンッ!! ドォォーンッ!! パパパパッッ!! バラバラバラッ!
「「わあぁぁーっ!! 凄い綺麗ーっ!!」」
夜空に咲く大輪の火花は妹達の手による魔法なのだが、いやはや、このお腹に響く音といい、一瞬で咲いては散って行く様といい、よくぞここまで見事に再現したものだと感心してしまう。
「これは……なんと見事な……美しいですね、アリサ様」
「……だねぇ~本当に、綺麗だわ」
会場から少しだけ離れた丘の上で、アイギスと寄り添って眺める綺麗な花火。こうして花火を眺めるなんて、いつ以来だろう?
辛いことばかりの前世での私の記憶にも、少しだけ心から笑顔になれてた日々もあった……その中には今日のようにお祭りを楽しんだ記憶もあって、打ち上がる花火はそれを思い起こさせる。
前世の私はどこで何を間違えてしまったんだろう? 今みたいに大切な仲間達と出会えていれば、もっと楽しい、穏やかな人生を歩めていたんだろうか?
「アリサ様……?」
「あ、あれ? おかしいな……なんで、涙が出るんだろ?」
そんな過ぎた過去なんて……今は凄く楽しくて幸せなのに……どうしてだろう?
「ご、ごめんね。なんだか前世を思い出しちゃって……変だよね? 今が凄く楽しいはずなのに……」
「……いいえ。アリサ様」
そっと……アイギスが私の肩に手を添えて、もう片方の手を私の手に重ねてきた……その優しい温もりに、また涙がこぼれそうになる。
「……郷愁の念とは、誰もが心に想うものです。たとえそれがどんなに辛かったものであっても。生まれ育った故郷を想わない者はいません」
「……そっか、そうだね。ありがとう……アイギス」
そうだ……この気持ちはもう帰る事の出来ない故郷を馳せる、懐かしく寂しいって気持ち。
私を取り巻く環境は良くなかったけれど、あの世界はいいところが沢山あったんだ。
「泣かないで……とは、言いません。どうぞ心の内をお出し下さい。アリサ様が私の弱さを受け止めてくれたように、このアイギスもアリサ様のお心、全霊で受け止めます」
「アイギス……」
うわ、嬉しい……! アイギスが……好意を寄せてる人がこんなにも親身になってくれる。その事がこんなにも嬉しい事だったなんて……
彼の言葉に胸がいっぱいになった私は、その言葉に甘えて故郷での楽しかった頃を想い……静かに泣いたのでした。
ティリア「金魚すくいないのが残念よ~アリサ姉さん?( ;´・ω・`)」
アリサ「それは私も思ったけど……(´▽`;)ゞ 金魚ってフナの突然変異らしくてさ、それを選んで交配させて観賞用にした~とかなんとかってのを、昔にウィキで読んだ覚えがあんのよ?( ̄0 ̄;)」
アルティレーネ「なるほど、そのフナを始めに創造して、変異を待って( ´~`) めんどくさいですね?(^_^;)」
レウィリリーネ「ん……?(´・ω・`) その魚を、すくうの?(・о・)」
フォレアルーネ「どんなゲームなんだろ?(^ー^) 興味あるぅ~♪(^o^)」
シェラザード「それも『お祭り』の定番なのかしら?(*´∇`*)」
ルヴィアス「それならまたなんか理由つけて『お祭り』しよーよ!(^∇^)」
珠実「魔物が蔓延る『ユーニサリア』では観賞用の魚なぞ育たんのではないかのぅ?( ゜Å゜;)」
シドウ「水棲の魔物の餌になるだけじゃろう?(・д・`;)」
ティターニア「それでしたら『妖精国』で育てればよろしいですわ♪(*´艸`*)」
レイ「えー?( ; ゜Д゜) ケットシーが食べちゃうんじゃないの?(´^ω^)」
ザウル「そんなの「アリサ様のお気に入り」とでも看板出しておけば解決だろう?( ´_ゝ`)」
ルルリル「『四神』様や、『懐刀』様の棲処とかでも育ててみましょうよ?(^ー^)」
大地「俺の棲処に魚いるぞ?(・д・)ノ そのフナってのも探せばいるかもな?(^_^)」
水菜「お魚なら私の棲処にも沢山ですよ♪ヽ(*´∀`)ノ 以前は海のお魚でしたけど、川魚だって色々います、ねぇウェズ~?( ゜∀゜)」
ウェズ「先代『玄武』様が魚好きでしたかんね~(-∀-`; )」
ユニ「なんか期待できそう!(°▽°)」
アリア「楽しみ、です!o(*⌒―⌒*)o」
アリサ「あはは♪(*´▽`*) そっかそっか、それじゃあこんな姿した魚をね~(・∀・)」
アイギス「……よかった、お元気になられたようだ( ´ー`)」
ゼルワ「よ、アイギス!(^_^) おめぇなかなかいい仕事したじゃねぇか?(  ̄▽ ̄)」
サーサ「故郷を想うアリサ様を慰めてあげたんですね♪( *´艸`)」
ドガ「うむうむ(o・ω・o) アリサ様がどんなに飛び抜けた力をお持ちであろうと、たったお一人で異界に来られたのじゃ……(_ _) 望郷の念に想いを馳せられる事もあろう(>_<)」
レイリーア「素敵な対応だったと思うわよアイギス!(v^ー°) アタシの感じゃアリサ様はもうあんたにだいぶ心を許してるわね、告っちゃえば!?ヾ(o≧∀≦o)ノ゛」
ミーナ「…………(ФωФ)」
アイギス「告白、は……まだだ(_ _) 『ユーニサリア』に戻り、すべての問題が片付かないことにはな……( ・`ω・´)」
リール「きゃー!( 〃▽〃) じゃあ魔王とかやっつけたら!o(^o^)o」
フォーネ「おぉ~!(///∇///) きっとアリサちゃん喜ぶと思います!ヽ(〃´∀`〃)ノ」
サーサ「うわぁ!?Σ(・ω・ノ)ノ リールにフォーネ聞いてたんですか!?(ーー;)」
ムラーヴェ「ふっふっふ……( ^∀^) アイギスさんもイチャイチャしたいんでしょう!?( `ー´)」
ガウス「本当は慰めつつ、接吻などを交わしたかったはず!(´ 3`) さぁ、白状するがいいのだ!。:+((*´艸`))+:。」
ドガ「やれやれじゃ、お主らまできおったか(゜∀゜;)」
レイリーア「あ~あの夜空に上がった花火、素敵でロマンチックだったもんね♥️(〃艸〃) 実はぁ~アタシも、ダーリンとぉ~きゃー!(*>∀<*)」
ゼルワ「隠れてキスのひとつやふたつしてた連中もいるみたいだぜ?(´ω`*)」
サーサ「(*/□\*)」
アイギス「うぐぐΣ(>Д<) そうだ、白状するとだな!ι(`ロ´)ノ 思い切り抱き締めて、優しく彼女の頭と頬を撫で、流れる涙を拭い、熱く見つめあって、情熱的な口付けをだな!!ヽ(#゜Д゜)ノ」
白銀達「うぅわ……キッモ!(。・´д`・。) むっつりここに極まれりだなぁ~?((゜□゜;))」
アイギス「……( ゜皿゜) お前達、そうか、そんなに私の剣の錆びになりたいのかぁーっ!?((ヾ(≧皿≦メ)ノ))」
ゼルワ「うおぉっ!Σ(Д゜;/)/ あぶねっ!?(´゜ω゜`) 落ち着けアイギス、冗談だって!( ;`Д´)」
ドガ「わっはっは!( ^▽^) すまんすまん!( ´ー`)」
ガウス「誠。アイギス殿はからかい甲斐がありますな!。゜(゜^Д^゜)゜。」
リール「でもでも~♪( 〃▽〃) アイギスさんってそうするんだぁ~?( *´艸`)」
レイリーア「うっふっふ♥️(つω`*) いいと思うわよぉ~?(*´∇`) アリサ様好き好きーって気持ちがビンビンに伝わってきたわ♪ヘ(≧▽≦ヘ)」
サーサ「ええ、寧ろアリサ様にはそのくらいがちょうどいいのかもしれませんよ?(´・∀・`)」
ティリア「おーいあんた達もこっち来て次の『お祭り』の話しましょうよ?(°▽°)」
ゼオン「何騒いでんだアイギス?( ゜ー゜) おら、おめぇも来いよ!(^ー^)」
バルド「秋には秋で『収穫祭』なる祭りがあるそうだぞ?(^∇^)」
アリサ「食欲の秋だからね!(ノ≧▽≦)ノ 美味しいものいっぱい作るよ~♪゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜」
アイギス「あ、はーい!( ; ゜Д゜) 今行きます(゜ω゜;) ……おい、聞かれてないよな、私達の話!?((゜□゜;))」
ムラーヴェ「大丈夫ですよ♪(*´▽`*) ささ、行きましょう(°▽°)」
リール「収穫祭だって~♪( ´∀`) 楽しみだね!(*´∇`)」
みんな「うんうん!(ノ^∇^)ノ」
ミーナ「……うにゃん(=゜ω゜=)」




