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TS魔女さんはだらけたい  作者: 相原涼示
180/211

閑話 メビウスの四季 夏~前編~

ティリア「夏ぅぅーっ!(o゜◇゜)ゝ」

フォレアルーネ「あつーいっ!!ヽ(;゜;Д;゜;; )ギャァァァ」

レウィリリーネ「あまりの暑さに暴走する者が……(゜Д゜;)」

アルティレーネ「はい(*・∀・*)ノ そういうわけで、メビウスで過ごした私達の夏の思い出を♪(*´▽`*)」

シェラザード「ユニークアクセス七万突破記念として紹介していくわね♪(*`▽´*)」

アリサ「いっぱいありすぎて結構はしょって紹介したりもしてるんだけどね(;´∀`)」

アイギス「主にリリカがおかしかったですね……( ´Д`)」

バルド「今日は前編(´・∀・`) 後編は明日の投稿だ(_ _)」

レジーナ「ふふ、楽しんでくれると嬉しいよ(*゜∀゜)」

みんな「それではどうぞお楽しみあれ~♪゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜」

────────────────────────────

【やはり異常な暑さ!】~みんなも根をあげる~

────────────────────────────


「あっちぃぃ~……死ぬぅぅ~……」

「これは……しんどいな……」

「じめっとした空気が肌にまとわりついて……不快ですね」


 俺達は南方の『セリアベール』を拠点にしてますからね! 多少の暑さは平気ですよ!

 だよなぁ~? 楽勝楽勝~♪

 な~んてほざきおってやがりました『セリアベール』の面々が私の引きこもりハウスで、名の通り引きこもってはめっちゃダレまくっております。リビングのテーブルに突っ伏して、「うげぇ~」とかアホ面晒すゼルワに、いつもの白銀の鎧を脱いで、汗だくのインナーにげんなりしてるアイギス。額に流れる汗をハンカチで拭いながらウンザリ顔をするラグナース。


「なによあんた達……最初の威勢の良さはどこに置いてきたの~?」

「いや、ごめんてアリサぁ~まさかお前の前世で過ごしてたっていう、夏の暑さがこんなにドギツイもんだったなんてよぉ~」

「ぶっちゃけ舐めてたぜ……謝るからそろそろ勘弁してくれや嬢ちゃん?」


 カーペットの上に大の字に横たわり、私の『空調魔法(エアコントロール)』で流れる涼しい風を受けるセラちゃんと、麦茶をガブガブ飲んでるゼオンが、大口叩いといてこの有り様のみんなに呆れ顔をする私に対して、なんとも情けない声を挙げる。


「女性の皆さんが薄着になるのは嬉しいが、そんな喜びもあっという間に上書きするこの暑さ……」

「然り……総てのやる気を削いで行くな……もう一歩も動きたくない……」

「オメェらぁ~だらしねぇぞ~……って、普段なら活入れてやるとこだが……俺もこの蒸し暑さはキチィなぁ……姐御ぉ~助けてくれぇ~」


 なんだべなんだべぇ~? みんなしてだらしねぇごっだごどぉ! ムラーヴェもガウスも……あれま。大地まで! まったくしゃあねぇない!?

 はい、みなさんこんにちは♪ 聖女の方のアリサです。今回も引き続き『無限円環(メビウス)』で過ごした時のお話で、夏の思い出なんかをちょいとばっかしご紹介していこうと思います!

 んで、ちょいと前に夏についての話が出たんだけど。その時に私の前世での夏はどんなだったの~? ってみんなして聞いて来たもんだから実際にその気候を再現して体験してもらったのだよ。


「まぁ、その結果がこのグデグデ団子状態のみんななんだけど……」


 最初……朝方はまだよかった。だけど日が登り、時間も午前十時を回る頃にはもう、みんな汗だくで無理! って根を挙げたのだった。


「しょうがないわよ。姉さんが過ごしてたあの世界は、文明の発達と引き換えに星のダメージが蓄積された結果、気候が変動し過ぎちゃったからね?」


フィィーン……


 あ~涼しい♪ とか、自分に涼風を魔法で纏わせてダレてるみんなを可笑しそうに笑うティリアが側にやってくる。どうでもいいけどあんた、ワンピースめくれてパンツ見えそうよ?


「そんなヘマしません~♪ それよか姉さん、もうちょっと涼しくしてあげて。彼等はまだマシだけどね、ルヴィアス達北国のみんなが軒並みダウンしちゃってるから」

「いや、俺は平気だよ? 魔法で涼とれてるからさ……でも、まぁ~細かい制御が苦手なバロードとカレンが参っちゃってるかな?」

「ランバードのみんなも大変そうです……普段あんなにキビキビ働いているのに……」

「あはは、今はみんなぐったりしてだらけてますもんね?」


 ふぅむ。やっぱり前世でのあの夏の蒸し暑さは異常だったみたい。ティリアの話だと北国出身のみんなが揃ってやられちゃったらしいんだけど、そこにルヴィアスが現れて、状況を教えてくれた。サーサとミストちゃんも一緒じゃない、なんか珍しい組み合わせでないかね?


「夏は風魔法と、水魔法、氷魔法が大人気なんですよアリサ様♪」

「私達魔法使いにも、いい訓練になるんです!」


 ほほぉ~なるほど。サーサとミストの話を聞くと、どうにも夏場は魔法使い達……特に先の三つの魔法が使える人が大人気なんだそうだ。

 水魔法で打ち水したり、氷魔法とあわせて冷水作ったり、更にそこに風魔法でひんやりしたそよ風を起こし涼をとるとか。


「生活に付随するため『セリアベール』の魔法使い達はこれら三つの魔法が得意な人達が多いですね」

「魔力制御のいい訓練にもなってるんですよ~アリサ様♪」


 そう言いながら手のひらに小さな氷を出して、そよそよと、風を起こして見せるサーサとミストちゃん。


「アリサ様~ちょっとお願いが御座いますの~」


 そんなサーサとミストちゃんの話をへぇ~って感じで聞いていたところに、今度はティターニアがやって来た。この子も暑いですわぁ~とか言い出すのかしらん?


「リリィとニュイとププルが酷いことになっておりますの~とにかく来て下さいまし~」


 あっついですわぁ~って、言いながらキャミソールワンピの胸元をパタパタするティターニアも目を( ̄0 ̄)こんなにしてしんどそう。いつものキレのある「ですわ!」も成りを潜めちゃってるね。ま、とりあえずその三人の様子を見に行こうか。


────────────────────────────

【錯乱する三人】~なにしてんの!?~

────────────────────────────


「し、死ぬぅぅ~僕ちんここで死んでしまうんだワァァン……」

「うにゃぁぁ~にゃあの冒険は始まる事もなく終わるのかにゃぁぁ~?」


 そんなのイヤだワーン、イヤだにゃーんと嘆きの声をあげては仰向けに寝転がり、ぐでぇ~としてるププルとニュイが何故か厨房の隅にいた。


「……どうして君達はこんなところにいるんだ?」

「この冷蔵庫~少しだけ冷気が漏れ出てるんだワン」

「ほんのちょっぴり涼しいのにゃぁ~」


 ぐでーん。一緒についてきたアイギスがこんな場所で横になってる二人を疑問に思い、聞いた答えがこれだ。うん、まあ、わからんでもないんだわ。特に犬とかだと前世でも似たようなことしてたし。


「この子達はまだいい方ですのよ? まあ、とんでもなくだらしないのですけど……問題はリリィなのですわ~」


 やれやれ。そう言うティターニアも相変わらずダルそうだ。『空調魔法(エアコントロール)』でこの『引きこもりハウス』内はだいぶ涼しいはずなのに……いや、これもしかしてみんな熱中症になってる?


「となると危ないかな? リリカさんの様子を見に行こうか」

「お願いしますわぁ~(わたくし)休んでおりますから……」


 あいよ~って、厨房の椅子に座り、テーブルに突っ伏したティターニアに声をかけて私とアイギスは二階のリリカさんの部屋に向かった。


「うわっ! なんか冷気がドアの隙間から流れて来てる!」

「だ、大丈夫でしょうか? 『雪女(スノウリリィ)』の能力を暴走させてたりなんかは?」


 リリカさんは妖精の『雪女(スノウリリィ)』だ。その性質上この暑さに耐えきれなくなって、力が暴走してるのかもしれない!


「ちょっとリリカさん! 大丈夫って、寒ーっ!!」


 私とアイギスはそんな可能性に焦り、ノックも忘れて彼女の部屋に踏み入ったんだけど、寒い! ドアを開けた瞬間、猛烈な冷気が溢れだし私達を包み込んで来た! これやっぱり暴走してるーっ!!


「アハハハハ!! 暑い暑い暑いでーす!! もっともっと涼しく涼しぃぃーくぅぅっ!!」


ビュゴォォォォォーッッ!!


「あっはっはーっ! いいわいいわぁーっ!! もっともっとやっちゃってぇリリカさぁぁん!!」

「暑いの退散! 夏など滅んでしまへーっ!!」


 えぇぇ~? ちょっとなにしてんのコイツら!?

 扉を開けた部屋の中。リリカさんを中央に渦巻く局所的な猛吹雪! で、それをやんややんやと囃し立てるカレンとオルファの二人!


「こらぁぁぁーっ!! なにしてんのあんた達はぁぁーっ! 今すぐ止めなさぁぁーいっ!!」

「あー! アリサ様だぁ~♪ アリサ様も一緒に躍りましょぉぉ~?」


 ぬぅん! ビダァッ!! 私の姿を見てはなんぞ妙なダンスのお誘いしてくるオルファを無視して、強引にこの吹雪を発生させてるリリカさんの動きと魔力を止める!


「あー! なにするんですかぁ~? 折角盛り上がって来たところなのにぃ~!」

「やかましいわ! 人んちでこんな馬鹿なことされたら迷惑よ! ってかいい加減服着て目ぇ覚まさんかーいっ!!」


ペペシペペシッ!!


 騒ぐ三人はなんか目をぐるぐるさせて、下着姿でワケわかんないダンスを躍り出そうとしてたので、ひっぱたいて正気に戻してやる。まったく! よりにもよってアイギスが来てるタイミングでなんてことしてんだ、この三人娘は!?


「はっくっしょーいっ!! あら、私、なにを……ってか寒ーいっ! なによこれぇーっ!?」

「イタタ~ってうわっ! 僕下着だけでなにやってたのぉーっ!?」

「あら、あらら? うふふ♪ これはこれはアリサ様。どうされました?」


 おいぃぃ? さっきまでの記憶ないのん? というか、妖精やそれに近しい存在って、環境次第でこうもアホになるのか!?


「わ、私は見てません……何も見ていませんから!」


 ……いや、アイギスくんや。誰に言い訳しとるんだね?


────────────────────────────

【理不尽!】~リリカさん!?~

────────────────────────────


「はぁ、つまりはあまりの暑さに気が触れたってことでいいのね?」

「そ、そんな! 「気が触れた」だなんて……その、外聞が悪すぎるので、ちょーっと「はしゃいじゃった」程度に……」

「そ、そうですよアリサ様! そんな言い方されたら僕達が頭おかしい集団みたいじゃないですか!?」


 ブーブー! 断固抗議するーっ! ってな感じで、まぁ~見苦しい言い訳を並べるカレンとオルファなんだけど……どう考えてもあの状況は狂人の集まりにしか見えんかったがな!


「うふふ♪ 狂人大いに結構でございます! 気が触れる程の過酷な猛暑を強いたのは他ならぬアリサ様でございますもの! つまりはアリサ様のせいでもあるのでーす!」

「リリカ! お前はアリサ様に対してなんてことを言い出すんだ!?」


 うおぉい!? まさかのリリカさんによる反撃が来たぞ! 思わず同席しているアイギスが怒りだすんだけど、うむむ! 確かにセラちゃんの何気無い一言……


「なぁなぁ~アリサぁ~♪ そろそろ夏になるんだろ! アリサが住んでたとこの夏ってどんなだったんだぁ~? ちょっと知りてぇよ!」


 ってのを発端に、他のみんなも興味を示し出して、「じゃあ、実際に体験してみる?」って事になったんだよね。


「ええいっ! アイギス様はお黙り下さいませ! 私はその時に「絶対に嫌だ」と猛反対しました! それなのに、それなのにぃぃーっ!!!」


 ムキャー! って目をグルグルさせてリリカさんが叫ぶ。うん、そうだったね。リリカさんはめっちゃ嫌がってたわ……


「仕方ないだろう? 皆が賛成したのだから、と言うかいい加減服を着てくれ!」

「ええいっ! 多数決反対! この暑さで『雪女(スノウリリィ)』に服を着ろなどと仰るアイギス様にも反対で御座います~!」


 うん、駄目だこりゃ。リリカさんは完全に錯乱しとるがな。


「我慢しろ! ずっと下着姿でこの夏を過ごすつもりか!? 淑女の嗜みを何処に置いてきた?」

「あらぁ~? イヤですねアイギス様ったら、乳母である私めに御欲情なさる、御変態様でしたのね?」


 ああっ! もう嫌だリリカの相手するの! って、頭抱えるアイギスである。仕方ないねぇ~まったく。


「ほっとけばいいんだよ? 正気に戻ったときひとりでもんどり打って「あびゃーっ!」って騒ぐんだから。それより『ルヴィアス魔導帝国』の夏はどんな感じなの? オルファ、カレン?」

「え? そ、そうですね……今の『聖域』や、『セリアベール』の気候より気持ち暖かいくらいでしょうか?」

「帝国の夏は厳しい寒さも和らいでとても過ごしやすいんですよ♪ アリサ様も是非遊びに来てくださいね!」


 ほほ~♪ そりゃまただいぶ違うんだね! まあ、その分冬が厳しいんだろうけど。


「以前にも少し話したかもしれませんが、私が初めて『セリアベール』での夏を向かえた時は、「これほど暑いのか」と驚きましたね。逆に冬は「こんなに暖かいのか」というのと、周りの者がこぞって「寒い寒い」と言ってるのが少し可笑しく感じました♪」

「あはは♪ やっぱり過ごしてた地域によってめっちゃ反応変わるよね?」


 カレンとオルファに『ルヴィアス魔導帝国』の夏について尋ねたり、アイギスがその帝国から南方の『セリアベール』に移って、初めて過ごした夏の思い出なんかを語るのを聞いたりしてると、放置してたリリカさんが、なんぞ不満げなお顔でそそくさとメイド服を着だしたわ。うむ、やはりこういう手合いは大仰に反応せず、スルー安定である。


「ぷっくー! で、ございますーっ! お相手して下さらないなんて、アリサ様もアイギス様もプーでございます! プープー!!」

「あら、リリカさん。モコプーの真似がお上手ね♪」

「いいぞリリカ。もっとやってくれ?」


 あはは♪ も~リリカさんたら拗ねちゃって~♪ アイギスも私を真似て言ってやるとほっぺをぷくーって膨らませて「もういいです!」とか言ってそっぽ向いちゃったよ。面白いなぁ~リリカさんは♪


「こうなればバロード様をからかって憂さ晴らしでございます! 失礼!」


 あ、ちょっと! って、引き留める間もなく部屋を飛び出たリリカさん。ポカーンとしてた私、アイギス、カレンにオルファなんだけど、直ぐに……


「バロード様! 暑いでございましょぉーっ!? 今私が冷やして差し上げます!」

「えっ!? リリカさん!? 何ですか急にって、寒ぅぅーっ!? ちょ、ちょっとストップ! リリカさんストォォーップ!! ぎゃああぁぁーっ!!」


 あー……ごめんバロードくん。私達がリリカさんをいじったせいで……

 すぐ隣から聞こえるリリカさんの笑い声とバロードくんの悲鳴を、南無~って思いで合掌。リリカさんの気が済んだら助けに行くからね?


「あばば……わ、私が何をしたっていうんですかぁぁ~?」

「ふぅ~スッキリです!」


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【湖のほとりで】~メイドなアリサです~

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「あっはっは! そんなことになってたんだねぇ~♪ マジ見たかった!」

「ん。リリカは『雪女(スノウリリィ)』だから仕方ない……」

「アリサお姉さまが前世で過ごされた夏があれほどの猛暑だったとは……リリカさんでなくとも参ってしまいますよ」


 ところも気候も変わり、私達はみんなで湖にやって来た。春のお花見の時に色々と創造したこの『無限円環(メビウス)』には峰の高い山脈からの雪解け水がひとつに集まり、中々に壮大な滝になってから、緩やかに川へと流れ、この湖に流れ着く。

 みんなが根をあげたさっきまでの蒸し暑さを、湿度を抑えたカラっとした暑さに変更し、気温も『セリアベール』の夏場のものに合わせてみたの。うん、前世での田舎時代を思い出す気持ちのいい暑さって言えよう。


「これでも私達にはやはり暑く感じてしまいますね。まぁ、先程の蒸し暑さに比べればなんともありませんが」

「もう大丈夫なのかバロード? 災難だったな、リリカの暴走に巻き込まれて……」


 まったくですよ……なんて、フェリアと話すバロードくんは、リリカさんの憂さ晴らしを受けてカッチンコッチンになるほど冷やされ、ついさっきまでガクガクブルブルと震えていたんだけどね。私が戻してあげた。


「にしても、ヒューッ! 冷たくて気持ちいいぜーっ! ほーらミストくらえ~♪」


パシャパシャッ!


「きゃんっ! 冷たぁ~い♪ やったなぁ~ブレイド! お返し!」


バシャァーッ!!


 ぶわっ!? ちょ、お前魔法使うの反則ーっ! とか、まぁまぁまぁ~♪ うっふっふ、なんて可愛らしい水遊びしてるブレイドくんとミストちゃんが微笑ましいこと! アリサさん思わずにっこりしちゃう!


「ほーら、アリサ? 飲み物が切れてるわよ? 早く用意なさいな」

「うふふ♪ お姉さま、ああ、いえいえ。メイドさん、こちらにもパフェをお願いしますね~?」

「ハイハイ。わかったわよ~ちょっと待ってなさいシェラザード、アルティレーネ」

「いけません! それがメイドの口のきき方ですか! アリサ様は未だ自覚が足りておられぬご様子ですね!?」


 うぐぐ! お、おのれリリカさんめ!

 はい。この湖に来て、みんなが水遊びに興じるなか。私はメイド服に身を包み、みんなのメイドさんに成り果てているのです! なんでこんな事になってるのかっていうと……


「アリサ様。先程は大変お見苦しい姿をお見せしてしまい申し訳ございません」

「ああ、リリカさん。正気に戻ったかね? いいよいいよ♪ 面白かったし!

 それよりさ、今からみんなで湖に出て水遊びしようってなったんだ♪」

「まあ、それはそれは……時にアリサ様。メイド部隊は今回お休みさせて頂きますので、代わりを務めて下さいませ? ええ、私も勿論サポートさせていただきますとも! 以前からメイドにご興味がおありのご様子でしたし、よい機会でございます! さぁさぁ、早速お着替えを致しましょう!」


 は? え? なになにどういうことだってばよ!? あ! 手掴まれた! ちょ、引っ張んないで!? なになに!? もしかしてリリカさん怒ってるのかね!? そんなことないって? うそだぁ~目が笑ってないじゃん! ってあーれーっ!?


「って、あれよあれよとメイドにされてしまっていたのよね……」

「あはは♪ なにそれワケわかんない! でもアリサおねぇちゃん、メイドさんも凄く似合うよぉ♪」

「んぅぅ~あるじ様がメイドならアリアも、なる?」


 ──と、まあ~リリカさんの強引さといったらもう、問答無用。有無を言わせない圧があってだね……ああ、ありがとねユニ~アリア~♪


「まあ、でも……ふふ♪ メイドさんになるのもいい経験かもね、このロングスカートのクラシックなメイド服もかわいいし♪ あ、アリアはそのままでいいよ~? 頑張って人の身体に馴れようね?」

「はい。です♪」


 なでなで~ニコー♪ って可愛いユニとアリアの笑顔が私を元気にしてくれるねぇ~♪ よーし、最初こそリリカさんのペースにのまれちゃったけど……くふふ、見ちょれよぉ~? このアリサさんをからかった罰は受けてもらうからね? にっしっし♪


「わぁ~おねぇちゃん。悪巧みしてる~♪」

「んぅ……リリカは御愁傷様と、あらかじめ言っておく」


 あら、イヤですわお嬢様方、悪巧みだなんてそんなそんな♪ ちょいとガチにメイドさんやってやろうじゃないって意気込んでおりますのよ?


「ふふ、さあ~お嬢様方も皆様と存分に水遊びを楽しんで下さいませ! 今日一日このメイドなアリサめが精一杯ご奉仕させて頂きますね♪」

「わーい! 楽しもうねアリアちゃん!」「うん! ワクワク♪」


 きゃっきゃと脱衣所で水着に着替えるユニとアリア。アリアはまだちょっと身体の動かし方が覚束ないため私もサポート。二人とも可愛い水着に着替えたのを確認して湖に送り出す。

 湖では既にシャフィーちゃんとネーミャちゃんも両親と一緒に遊んでいるし、他のみんなも気にかけてくれるから安心していいだろう。さて、じゃあリリカさんの鼻をあかしに行きましょうかね♪


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【優秀なメイドなのです♪】~生物の創造はちょっと……~

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「アリサ様、旦那様方へお茶を……」

「既に頂いておるぞリリカよ」

「でしたら、女神様方へのデザート……」

「さっき受け取ったよ~?」

「……で、でしたら」

「ありがとうございますアリサ様。タオルから飲み物まで」

「もう至れり尽くせりですね♪」

「メイドとして当然の仕事をしているだけでございます。ゆるりお楽しみ下さいませ、ゼルワ様。サーサ様」


 ぬっふっふ♪ どーよリリカさんや? 私の『イメージ魔法』と『視点操作』並びに『並列意思』を駆使すれば、みんなの要望に即座に……否。先手を打って応える事も可能なのだよ!

 ガルディング様とセレスティーナ様方へお茶を、妹達に甘くて冷たいアイスクリーム。ゼルワとサーサが遊泳から上がり一休みしようとしてたので、身体を拭くタオルケットに、少し冷えただろうから温かい飲み物。それらを総て観察から予測して先手先手で準備!


「うふふ♪ メイド長も今日はお休みですものね? 仕事は私にお任せ下さり、楽しまれて下さいませ?」

「うぐぐ……っ! わ、私の数十年に渡り磨きあげたメイドとしての誇りが……」

「お前も素直に楽しんだらどうなんだリリカ?

 はぁ、それにしても……メイド姿のアリサ様もなんと可憐なことか……」


 あらぁん♥️ やだ、アイギス様ったら! そんなに私をお褒め下さっても、特製パフェくらいしかお出しできませんわ~♪


「ひ、贔屓! いけません! アリサ様、お客様に対し特定の御方だけを贔屓するなど!」

「あら、それは違いますわメイド長。アイギス様は私のご主人様ですもの♪ 総てにおいて最優先するのは当然ですわ」


 わはは! さっきから私のメイドとしての仕事にあら探しして小姑よろしく、いぢめようとしてるリリカさんの悔しそうな顔が面白いわ。


「リリカさん、もういいんじゃありませんか?」

「アリサ様は……皆を思う、その心……まるで、母親のようだ……その人を、思って……もてなそうと、するのは、メイド達にも……負けていない」

「リリカさんも~今はメイドとしてじゃなくて、一人の妖精として楽しめばいいんですよぉ~♪」


 おお。『黒狼』のシェリーと、デュアードくん。ミュンルーカがリリカさんを諭してくれているじゃないか! うむぅ~メイドさんとお母さんって似てるかな? どうだべ? それはともかく、私もメイドやるの楽しくなってきたし、リリカさんも今日くらいはもてなされる側になってもらいたいね。


「そうだよリリカ! 君も水着になって楽しく皆と遊ぼうぜ!」

「ルヴィアス様まで! まったく、はしゃぎすぎで御座います!」

「リリィは意外なとことで意固地ですわぁ~♪ こういうのは楽しまないと損でしてよ?」


 あはは♪ ルヴィアスとティターニアまで寄って来たぞ。皇帝陛下と女王様にまで「そうだそうだ、楽しめ!」って言われては流石のリリカさんも観念せざるを得なかったようだ。


「ちょっとメイドさ~ん? シェラザードが思った以上に着痩せするタイプで、私ショックなんだけどーっ!?」

「あーっはっは! やーっぱり貴女、体型にコンプレックス抱いてたのね!? うっふっふ♪ どうかしら~? 私こう見えて結構自信あるのよ?」


うわぁぁーんっ!! この長身モデルめぇーっ!!


 とかなんとか、なんぞティリアとシェラザードが騒いでるね。シェラザードが自分のスタイルのよさを見せ付けるようにグラビアポーズをとると、ティリアがムキーッ! って悔しがるのが面白いわ。私もこの『無限円環(メビウス)』にシェラザードを連れて来たときは、その長身と相まってモデルさんみたいだなんて感じたからねぇ~♪

 しかし残念ながら、そういったお悩みにはこのメイドなアリサさんは対応できませんので御座いますよ?

 さて、そんな妹のアホな騒ぎは放っておいて、改めてみんなの様子を観察する。


「う~ん……でも、なんか今一つ『夏』! って感じがしないんだよなぁ~何が足りないんだろ?」


 湖で遊ぶみんなの楽しそうな声を聞きながら、私はどうにも物足りなさを感じて、一人首を傾げる。

 湖で泳ぎの速さを競ったりしてるバルドくんやアイギス、バロードくんにバルガスとか……

 浅いとこで浮き輪を使って微笑ましく遊んでるジャデークとネハグラの二組家族とか……

 相変わらずかき氷食べて頭キーンってなってるパルモーとフェリアの姉弟とか……

 パラソルの下で、サングラスに水着姿でデッキチェアに寝そべって、フルーツジュースを飲んで寛ぐ女神達とか……

 はたまた上空から湖目掛けてドッボォォーンッ!! っていう、中々激しい遊び方してる鳥共に注意したりとか……


「他にも焼きそばアリスとか色々と用意したけど……なんか足りんのよねぇ~」

「何をお悩みかなアリサ様? しかし、『無限円環(メビウス)』の樹木の蜜は美味だな! 叶うなら同朋達にもお裾分けしたいものだ!」


 メイドとしての仕事をこなしつつ、うんうん唸っているとユナイトがブブブって飛んできた。この子はカブトクワガタ虫らしく、私が創造した木々を渡り歩いて樹液の食べ歩きを楽しんでいたらしい。

 そういや前世での子供時代に林に入って、樹液を食べてるクワガタとかカブトムシを捕まえて喜んでたことがあったなぁ~♪


「つ、捕まえるのか!?」

「あはは、子供の頃だからね? 流石にあんたの同朋を捕まえたりしないって。でもほら、ブレイドくんみたいな少年達ってユナイトみたいなカッコいい虫が大好きだからさ、捕まえて手元に置きたくなるのよ?」

「むぅ……確かにブレイドの我を見る目がまさにそれであることがあったが……」


 うんうん。どうしてか少年達って昆虫に惹かれるんだよね♪ 私もカブトムシやクワガタだけじゃなくて、バッタやカマキリ、セミとか色々捕まえた思ひ出がだね……って!


「おぉーっ! そうだよ! セミだよユナイト!!」

「はぁ? セミか? あのこのくらいの季節になると成虫となって木々に止まり、はた迷惑な『らいぶ』? で散々安眠妨害する奴等か?」


 お、おう……あんた達聖虫達の間でも彼等はそんな認識なのかね?

 まぁ、それはこの際いいとして、私が物足りなさを感じていたのはそのセミの鳴き声がまったくしないからだ! 夏と言えばセミ達のあの大合唱だろう! あの蝉時雨に包まれて過ごした夏休みとか懐かしくてしょうがないわ!


「ねぇねぇ? 『聖域』からセミ達連れてこれないかな?」

「それは可能だろうが……『聖域』での今頃はあ奴等、土の中だぞ? 幼虫だからな」


 あうち……そうだった……『聖域』と言うか、『ユーニサリア』じゃ秋から冬になるとこだった。そりゃセミ達も土の中でスヤァしてるわね。


「……創造してみてはいいのではないかアリサ様?」

「あ~創造ねぇ……」

「ん? 何か問題でもあるのか? 既にこれだけ見事な景観を創造しているではないか? これだけ緑豊かならば、さぞ動物達や虫達も嬉しかろう?」


 いやぁ~うん。そうなんだけどね? 私もこの『無限円環(メビウス)』に動物……まぁ、生き物全般? がのびのびと暮らす様をほわぁ~って想像して、「きっと楽しいだろうな」なんて思ったりもしてるんだけどさぁ~?


「なんてーの? やっぱほら、『命』じゃん? それを創り出すってどーなのかな~って思ったり、その、責任重いぃ~って感じちゃってねぇ……」

「ほう、なるほどな……そこは我には預かり知れぬ悩みであるな。だが、それならば女神達にも相談してみてはどうだろうか? 何せ我等の住まう世界を創造したのだ。その意見は大いに参考になろう?」


 おー。そうだね! 言われて見ればその通りだ。どうも身近過ぎて盲点になってたよ。

 アドバイスくれたユナイトに「ありがとね」ってお礼を言うと、「大したことはしておらん」って言って、また樹液の食べ歩きを再開させるユナイトでした。


────────────────────────────

【夏場に食べたくならない?】~カレー♪~

────────────────────────────


「めっちゃカレー食べたい!」

「……カレー? って、なんですかアリサ様?」

「おお! またも新たな料理ですか!? 是非このアイギスに手伝わせて下さい!」


 私の叫びにサーサとアイギスが反応する、ここは『引きこもりハウス』の厨房。

 厳しい訓練が続く『無限円環メビウス』での夏の日々。休日には湖での水遊びも堪能したりもした、そんなある日のことだ。

 夏……食べるものと言えば。

 冷やし中華。そうめん。トマト。トウモロコシ。きゅうり。焼き肉。スイカ。かき氷。アイスクリーム。

 うむ! 実に沢山ある、そのどれもが美味しい! だがしかし! しかしなのだよ皆の者! 無性ぉぉ~に、この暑い夏の最中に関わらず、だ。無性にカレーが食べたくなることはないかね!? 私はある! まさに今がそう! めっちゃ食べたい! 気持ち辛口の熱々のカレーをライスにかけて、その熱さと辛さでドッバドバ汗を垂れ流しながら、水をガブガブ飲んで平らげたい!


「……アタシはいいかなぁ~?」

「なんだかアリスも聞いてるだけで、ちょっと……って思いまっする」

「この暑いのに、熱くて辛い食事……ですか? ご命令とあれば私共も参加致しますが……」


 あぁん!? なんだいなんだい? レイリーアにアリス、リリカさんや! チミ達はわかっとらんのだよ! 夏の暑い日に熱くて辛いカレーを食べることのよさを!


「おねぇちゃん……ユニ達はカレー自体見たことも食べたこともないんだよ~?」

「はい。それを「よさがわかってない」と言われましても……」

「僕は興味ありますよ♪ アリサ様がこんなに食べたいっていう料理。楽しみです!」


 おぉぉ、そっか……ユニとサーサの言うことはもっともだ。そもそも彼等はカレーの存在を知らんのだわ。うむ、勿体ない! あんな美味しい料理を知らぬとは……私が教えてやらねば! カインは乗り気だし、アイギスも「私も楽しみですよ!」って言ってるし。この二人をメインに教えましょうかね?


「そうですね。アリサ様がおすすめする料理です♪ 私も頑張って覚えます!」

「別に夏に食べなきゃいけないわけじゃないんでしょ?」

「覚えてレパートリー増やすのはいいことでっしゃろい♪」

「折角ですし料理長達も呼んで来ましょう!」


 因みに今この厨房に集まっているのはアイギス、サーサ、レイリーア、アリス、ユニ、カイン、リリカさんの七人。最初こそ渋ってたレイリーアとアリスにリリカさんも、まあ、別に夏場にしか食べちゃダメってわけじゃないなら、レパートリーも増えるし~ってことでやる気になってくれたようだ。


「んじゃちょいと料理始める前にフォレアにも声かけとこうかな……」

「あら? フォレアルーネ様にも料理教えるのアリサ様?」

「すぐにあきてどこか行っちゃうから~って、半ば教えるのあきらめてませんでした?」


 いやいや、ちょいとレイリーアにサーサちゃんや、それだとあの子がロクデナシに聞こえるから!?


「確かに飽きっぽい子だけど、簡単な料理なら覚えてたわよ? あんまり手間かかるのはちょっと無理みたいだけど」

「じゃあ今回作るカレーっていうのは単純な料理になるんでっす?」


 いや、結構スパイスの配合とかあるし複雑じゃないかな? んじゃなんでフォレアルーネを? って、思うだろうけど、要はそのスパイスになる植物を知っておいてもらいたいためだ。

 この『無限円環メビウス』内でなら私がいくらでも用意しよう。だけど『ユーニサリア』に戻ってから、またカレー作ろうとしても肝心のスパイスがなければ作りようがない。


「なるほど。フォレアルーネ様は『農業班』のリーダーですものね!」

「そう言うことね? わかったわアリサ様! もし美味しい料理だったら、『聖域』に戻ってからも食べたいし!」

「それでしたら僕、フォレアルーネ様を呼んで来ますよ!」


 胡椒を『コーチョ』って呼んだり、カカオ豆が『カティオ豆』だったりと、私の知る名前と微妙に違ったりしてるのもあるからね。実際に見てもらって『ユーニサリア』でも育つのかどうかを見てもらうのが目的かな?


「……ってわけで、ウチが呼ばれた! ウチ参上ぉ~♪ アリサ姉! また新しいごはん作ってくれるって!? ウチめっちゃ期待! なんだけどぉーっ! ヒョーッ♪」


 いや、テンション高っけぇなこの妹!? しかも水着姿だし……


「あはは、湖での水遊びが余程お気に召したようでして。アルティレーネ様やセラさん、ガウスさんやムラーヴェさん。バルドさん達と一緒にグリフォンダイビングを楽しんでいました」

「あれめっちゃ面白いよ! みんなも一緒にやろーよ!?」


 カインに連れられて厨房にやって来たフォレアルーネだけど、先述した通り水着姿でびしょ濡れだ。そのままだと床が痛むので、サッと私が魔法で彼女の水滴を飛ばしてあげる。


「グリフォンダイビングって……グリフォン達の背に乗って空から湖にドボォーン! ってするやつ?」

「あはは……あれ見てて怖いですよ~?」

「アリスは一回やってもろに鼻に水入ってぎゃあぁぁーっ! ってなったのでもう遠慮したいでっす」

「ユニは危ないからやっちゃ駄目よ?」「はーい!」


 前回の水遊びで鳥達が湖にダイブするのを見たこの妹。何を考えたのか、その鳥達の背に乗って一緒に飛び込むっていう遊びを思い付いた。私は危ないから止めなさいって言ったんだけど……どうもやんちゃな連中はその遊びが気に入ったらしくてね。まったく、あのアルティレーネさえも目をキラッキラに輝かせて、めっちゃ笑顔でダイブする始末。

 レイリーアはちょっと興味ありそうにしてたけど、カレンがダイブしたときに上の水着がポロリしちゃったハプニングを見て遠慮したらしい。いや~あの時は大騒ぎしちゃったねぇ……

 サーサは普通に怖がって、アリスは一回やった時に顔が酷いことになってたわ。面白かったけどね♪ そんな惨状をユニも一緒に見てたから、私の注意にも素直にお返事してくれる。


「私は面白いと思いましたが……」

「あっはっは♪ ま、もうちょっとルールっていうか安全を考えて色々と決めれば、ゲームでも使えそうだよね♪ んで? アリサ姉、ウチはなにしたらいいの?」


 苦笑いするアイギスに、それらのハプニングを思い出したのか快活に笑うフォレアルーネだ。まぁ、色々安全対策すれば確かに普段味わえない楽しさを感じる事ができるかもしれないね?


「ああ、これから私が出す植物が『ユーニサリア』でも育ってるのか、育てることできるのかってのを教えてほしいのよ」


────────────────────────────

【あるかな?】~色んなスパイス~

────────────────────────────


「ほへーん。そんならさ、アルティ姉にも見てもらおうよ? なんたって『生誕』司ってるからね!」

「既に市場に出回っている物なら、ラグナースあたりが詳しいかもしれませんね」


 ふむふむ。なるほど、フォレアルーネとアイギスの言ってる事はもっともだ。今から見せるスパイス各種がまだ『ユーニサリア』に存在していないなら、アルティレーネに頼んで生み出してもらえばいいし、既に存在しているなら、もしかすると売り出されて街の店頭に並んでいるかもしれないね。

 ってわけで、件の二人に加えて、『四神』とネハグラ、ジャデーク夫婦、『黒狼』からバルドくん、帝国からルヴィアスと料理長、南方の出身ってことで『白銀』からドガ、農村からリールとフォーネに来てもらった。


「みんな集まってくれてありがとね♪ んじゃ、早速カレーのスパイスになる植物を並べていくから、見たことある~ってのあったら教えてくれるかな?」


はーい!


 うんうん、みんないい返事で協力してくれて嬉しいよ♪ じゃあ早速テーブルに並べていこう!

 まずはクミンだ。色々な料理の香り付けにも使われてる代表的なスパイスだね。主に種子が使われる。


「この草……見覚えがあるぞ? 確か『セリアベール』の更に南に自生してたと思うが……」

「ああ、私も見たことがあるから、バルドの記憶は正しいだろうな」


 おっと、流石各地を回り歩く冒険者だね! バルドくんとアイギスが反応を返してくれたよ。


「ほうほう……これがスパイスになるのですか? 新たな商品として売りに出せるかもしれませんね」


 って、言いながらメモを取るのはラグナース。そのセリフから察するに売りに出されることなく、ただの雑草として扱われてるのかな?

 まあ、それは置いといて、次はコリアンダー。葉の部分をパクチーとも言う、柑橘系の爽やかで甘い匂いが特徴的だよね♪


「ファムナ村にあるよアリサちゃん」

「この爽やかな匂いが良くて栽培してるんです!」


 すかさず反応したのはリールとフォーネ。そっか、あんた達の故郷の村で栽培されてるなら安心だね。

 んじゃ、今度はこれ。ターメリックだ。二日酔いを防止するドリンクから、別名のウコンの方が有名だろうか? ショウガに似た根を使ってスパイスにするよ。


「…………」


 おぅ? どうしたのんみんなして押し黙っちゃって?


「これは……ええ、『ユーニサリア』に存在していませんね」

「マジ!? アルティレーネ様! じゃあ新種ってこと?」

「二日酔い対策のポーションになるなら、是非ともほしいですね」


 ほっほーぅ! なんと『ユーニサリア』にゃウコンがないってのかい!? アルティレーネがそう言うんだから間違いないんだろうね? レイリーアと一緒に私もちょいとびっくりしたよ。料理長が二日酔い対策ポーションとか言うと、酒飲み達がこぞって頷いている。


「んじゃさ、ウチ等の『農業班』で栽培してみようよ! いいよねアルティ姉?」

「ええ、まずは『聖域』で育てて様子見しましょうか。新たに生み出しておきますね?」


 うん、お願いねアルティレーネ。これで『ユーニサリア』に戻ってからもターメリックを入手できる。

 安心安心ってなわけで、お次はこれ、レッドペッパー! 真っ赤っかな赤唐辛子。これがまた美味しい辛さを提供してくれるのよ~♪


「うっぎゃ! 俺それ苦手なんだよなぁ~! 俺の棲処の周りに生えてんだけどよ~」

「あっはっは♪ 聞いてよみんな! 大地ってばこれをパクーッ! ってつまみ食いして大変なことになったことあるのよ♪」

「ぷふーっ! あの時の大地面白かったーっ!」

「はははっ! 口の周りを真っ赤に腫らして『白虎』ならぬ『赤虎』であったな!?」


 あははは! なんだそれ!? いやいや、これをそのままパックンチョしちゃったの大地ってば!? そりゃ苦手にもなるわね! レッドペッパーをテーブルに並べた瞬間に大地が後退ったのでなにかと思えば、朱美が笑いながら説明してくれた。水菜も爽矢も思い出したんだろう。可笑しそうに笑い出す。そんな風に、みんなに笑われる大地は、「うっせーっ! 食えっかなって思っちまったんだよ!」とか騒いでるけど、食べようとするかね? こんな赤いの?


「野生の植物を軽々しく口にしちゃ駄目よ大地? 中には凄い毒持ってるのもいるんだから」

「そうですね。毒は薬にもなったりしますから、分け隔てなく『ユーニサリア』に生み出していますよ?」


 私がちょいと困り顔で大地に注意すると、アルティレーネも付け足してきた。それを聞いた大地も頭をボリボリしつつ「わかったぜ」って恥ずかしそうにしつつも頷いたので、大丈夫だろう。

 さあ、残るは三種類。一気にいこう! カルダモン、オールスパイス、クローブだ。


「アリサ様。これらのスパイスって主に温暖な地域で育つ物じゃないかな? 俺の帝国じゃどれも見たことないよ?」

「あ~言われればそうかも……確かに前世でも今用意したの全部あったかいとこで採れるもんだわ」


 並べるスパイスを見てルヴィアスが首を傾げては私に確認をとってきた。その言葉に私もよくよく思い出してみれば、大抵の物が水捌けのよい肥沃な土地で育つ植物だった。


「ラグナースさん、『セリアベール』ではこれらの植物は……?」

「ええ、料理長。いずれも『カルダ』『オース』『クロッグ』と、アリサ様の仰ってる名称とは違う名で存在していますよ。ただ……いまいち需要はないんですけれど……」

「うふふ♪ それでしたら今のうちにお安く輸入なされると良いのではありませんか陛下?」


 ほう? どうやら胡椒を『コーチョ』と呼ぶように、最後に出した三種類のスパイスも私の知る物と名前が違うようだ。

アイギス「め、メイド服に身を包んだアリサ様!♪o((〃∇〃o))((o〃∇〃))o♪」

バルド「……(ーー;) 嬉しそうだな、アイギス?(^_^;)」

ネハグラ「こんなにもテンション高いアイギスさんを見れるなんてな( ̄▽ ̄;)」

ジャデーク「ギルドで会う時は絶対見せない顔だぞ?(^ー^)」

ルヴィアス「ヒュー♪( ・∇・) 美人メイドいいね!(≧∇≦)b どうだいアリサ様、ウチで働かない?(*´艸`*)」

バロード「それはいい!(*゜∀゜) 宮殿がより華やぎますね!(≧▽≦)」

ゼオン「いやいや!(((-д-´。)(。`-д-))) 嬢ちゃんはウチのギルドの受付嬢としてだな!(`Д´)ノ」

ラグナース「いえいえ!(°▽°) 僕の店の売り子として!(´▽`)」

セラ「おいおい、なんだよみんなして!?(≧□≦)」

モモ「そんなにメイドさんがお好きなんですかぁ~?(; ・`д・´)」

レイリーア「もう!(*゜ε´*) ダーリンまで一緒になって!( `□´)」

デュアード「だって……メイドさん、だし……(*´∀`*)ポッ」

シェリー「ふむ(_ _) 確かに珍しい黒髪の神秘的な美人さんだし、わからなくはないけれど……(´・ω・`; )」

リール「そんなに大騒ぎすることかな?(;^o^)」

フォーネ「大袈裟だよね~?(*´▽`) そんなにメイドさんが好きなんだ?(*`艸´)」

男衆「メイドさんが嫌いな男なんていない!!( ゜皿゜)」

ティリア「あっはっは!!。゜(゜^∀^゜)゜。 よかったわね~『ランバード』のメイドさん達♪(*´∇`)」

メイドさん達「うふふ♪(*´∇`*) 恐縮ですね!(*´艸`*)」

ティターニア「リリィもよかったですわねぇ~?( ´∀`)」

リリカ「……アリサ様のついで、みたいで複雑なのですが?(;´A`)」

ゼルワ「いやぁ~リリカは遠慮してぇなぁ俺……d( ゜ε゜;)」

ドガ「なにかと口うるさい娘じゃからのぅ……(ーдー)」

ガルディング「優秀ではあるのだがなぁ……┐( ̄ヘ ̄)┌」

リリカ「ひ、酷うございます!?Σ( ̄ロ ̄lll) 私がなにをしたと仰るのですか!?ヽ(♯`Д´)ノ」

セレスティーナ「私の下着を隠したり!(。・`з・)ノ」

料理長「厨房の砂糖と塩を詰め替えたり!(つд⊂)」

執事長「思い出せるだけでまだまだ沢山ありますが、申しましょうかリリカ?(・`ω´・ )」

リリカ「……総ては平凡な日々に潤いを与える素敵なイタズラでございます♪(*≧ω≦)」

レウィリリーネ「ん……(_ _) そこはやっぱり妖精のサガ( ´ー`)」

フォレアルーネ「あはは♪(*´∇`*) 退屈な日常にちょっとしたスパイス入っていいじゃん!(о^∇^о)」

アルティレーネ「今度一緒に可愛いイタズラを考えましょうか?( *´艸`)」

カレン「可愛いで済めばいいんですけど……(´∀`;)」

オルファ「今回みたいな暴走もあるかもって思うと……((゜□゜;))」

ユニ「むぅ!(`ε´ ) リリカちゃん、食べ物で遊んじゃダメだよ!?(*`エ´*)」

アリサ「そうよ~?( `д´) 他はともかく、食材でイタズラはダメ!ヽ(゜Д゜)ノ ごはん抜きにするよ!?(*´□`)ノ」

リリカ「も、申し訳ございません!Σ(゜Д゜ υ) 食べ物以外でイタズラ致します!m(_ _)m」

ユニ「うん!(*´∇`*) わかればよろしい!( ̄^ ̄)」

みんな「いやヾ(・д・`;) イタズラそのものを控えろっちゅーに( ̄▽ ̄;)」

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