143話 各国の戦い・ロアと対峙する『猫兎』
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【爺ちゃん】~絶好調!~《パーシヴァルview》
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「フハハハッ!! 『教団』にぃぃーっ! いや! 『死霊使い』にまんまと操られた哀れな『亜人』達ぃぃーっ!! 今儂が正気に戻してくれよう!!」
『魔法解除・【精神】』!!
「ヌゥゥーンッ!! そりゃあぁぁぁーっ!!!」
ブワアァァァーッ!!
うわーっはっはっはっはーっ! 儂! 絶★好調ぉぉーっ!!
「うおぉぉーっ!? って……あれ? お、俺は何をしてたんだ?」
「あれ!? なんで『ジドランド』にいるんだ俺達?」
見よっ! 儂の魔法を受けて次々に我に返る『亜人』達を!
「おおっ! 流石『ジドランド』を支える『賢者』様だ!」
「よし! 正気に戻った彼等を保護するぞ!」
オオォォーッ!!
うむ! 儂こそは世に名だたる『三賢者』が一人! パーシヴァルじゃーっ!
なーんて、意気がってる儂なんじゃけど……これも総てはあの世界防衛線会議の折りに女神アルティレーネ様が御助力下さったおかげじゃて。
敵がヴァンパイアロードで『死霊使い』ともなれば、当然その『死霊術』や闇魔法を警戒して然るべきじゃが、なにより厄介なのは、己の感情を他者に共有させる事で成す『洗脳魔法』じゃ!
儂はその事をアルティレーネ様にご相談申し上げ、対抗する術として、『魔法解除』を提案させて頂いたのじゃ! アルティレーネ様も良い案だとお褒め下さった後、一つの助言を与えたもうたのじゃ。
「相手は精神に干渉して来ますから、この『魔法解除』も一つ、それに特化させてみましょうか?」
こう言う事は妹のレウィリが得意なんですけどね……そう仰られながらも流れるような見事な手付きで『魔法解除』の術式を書き替えて行くアルティレーネ様を儂は生涯忘れそうにない。叶うのならレウィリリーネ様にも魔法についての講義をお願いしたいくらいじゃ!
「ああ、それでしたらシェラザードやルヴィアスにお願いするといいかもしれませんね。レウィリもあの二人から師事されてぐーんと伸びましたから」
そんなことを儂は興奮しながら口にしたらじゃ! なんと! 更にシェラザード様とルヴィアス陛下はレウィリリーネ様よりも魔法に長けておられるとアルティレーネ様は言うではないか!
むほぉぉーっ!! こりゃたまらんわい! 是が非でもこの戦に勝利し、儂は『聖域』へと渡りその二柱の神に教えを請うのじゃ! そして魔法の深淵に迫ってみせる!
「わっはっは! なればこそこんなところでモタモタしてなどおれぬ! どうじゃ『ジドランド』兵達よ? まだ『教団』の者共はおるか!?」
「はっ! 翁よ、『転移陣』を含め、我が国に攻め入って来た『ディード教団』は制圧完了です!」
応! そうかそうか! ふははっ!! これも儂が常日頃から『ジドランド』に帯びる魔力を調査していたが故の功績じゃ! なんせこの『ジドランド王国』は海に囲まれた島国。入国手段は船が一般的じゃ、まぁ、師匠のように空から来るパターンも無いわけではないがの。
故に、それ以外の手段でこの国に入らんとするならば、それは『転移』じゃ! しかし、女神様方ならばいざ知らず、普通はそんな魔法を使える者はそうおらぬ。なれど魔装具なら話は別じゃ! 誰でも『転移』を可能とする『古代遺産』……それがあれば侵入は容易となる。
「翁がその『転移陣』の放つ魔力に気付いたからこそ、被害を最小限に抑える事ができましたな!」
「洗脳を受けた者達も『教団』に対し怒りを顕にしております! 中には我々に協力を申し出る者達もおりますぞ!」
「うむ! ならば手伝ってもらおうではないか! あの空を埋める『魔装巨人』共を殲滅せねばならんからな!」
やたらと数が多く、骨が折れそうじゃが、ここはドワーフの王国。モノ作りの国じゃ。対抗手段は沢山あるぞい! 人手もわざわざ『教団』側が用意してくれたしのぅ♪
「よぉし! これより主等はあの『魔装戦士』殲滅作戦の指揮下に入るのじゃ! 協力者達も連れていってやるんじゃぞ? 儂は儂で暴れさせてもらうからのぉぉーっ!!」
「了解です!」「ギド殿も工廠で色々と作って下さっておりますからね!」
「アルティレーネ様より授かりし魔鉱石から作られる我等が兵器! その力を存分に見せ付けてやりますよ!」
オオォォォーッ!!
うむうむ! 素晴らしい士気の高さじゃ! まあ、女神様自らがお見えになられたうえに、助力を求め、それにほぼ全世界が応えた大規模な戦じゃからな! それに、理不尽な理由で攻めてきおる『教団』と魔王になぞ決して屈せぬという強い意志がひとつになり、大きな力となっておる!
ドォォォォーンッッ!!
「うおおっ!?」「くそっ! 『魔装戦士』が攻撃を仕掛けて来た!」
むぅ! 始まりおったか! 地を揺らす轟音に空を見上げれば、『魔装戦士』共が揃い銃口を向け、砲撃を放ってきおった! アルティレーネ様と儂、そして王国の魔法士団で張った結界によってまだ被害は出ておらんが、そういつまでももつものではあるまい!
「皆、急ぐのじゃ! 結界もそう長くはもたんぞ!」
「「「了解ぃっ!!!」」」
ダダダーッ!! と、儂の号令に駆けて行く兵達。あやつらはあやつらで頑張ってくれるじゃろう。どれ、儂もひとつ暴れさせてもらうかの!
シュバァァァァーッ!! ドドドドォォォォォーンッッッ!!!!
「んなぁっ!!? なんじゃ今のはぁぁーっ!?」
パルマー師匠に師事され、完璧にモノにした『飛行魔法』で飛び上がろうとしたその時じゃ! 閃光が一瞬の内に空を駆け抜け、『魔装戦士』共をあっという間に一掃したではないか! これは一体何事なんじゃ!?
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【始動!】~『ルクレツィア』~《ルヴィアスview》
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「ま、『魔装戦士』一掃されました……っ!! 義父さんこれは!?」
この帝国の空に展開したロアの『魔装戦士』達。それを見てようやく来やがったかこの野郎! って、俺達『ルヴィアス魔導帝国』の皆は思ったんだ。
オルファ達魔導士団の活躍で『教団』の『転移陣』も事が起きる前に封印に成功! 案の定あの馬鹿共が『転移』してきやがったんで、速攻で拘束させてもらったぜ。
帝国に潜伏してる他の教団員の連中に関しては、裏にロアが絡んでるって判った以上簡単だ。俺はあの『魔神戦争』の時にスパイやってた分、ロアの魔力ってのを判別できるからさ。そいつを頼りにほほいのほいさ♪ 取っ捕まえて洗脳解いて、情報引き出して……ただ、人数多くてさ。『セリアベール』のゼオン達や、他国にその『転移陣』の情報を直ぐに流せなかったんだよ。一応、今はもう流してあるけどさ。
んでもって、どうせ来るんだろう? 『魔装戦士』共!? って臨戦態勢整えて、準備万端なとこに出てきたんだよ奴等。そしたらさ、なんかすげぇ威力の魔法が『魔装戦士』共を一瞬で焼き払ったのよ。これ見てたルォン……あ~俺が数百年前に行き倒れてたのを拾って、養子として育てた皇子なんだけど、最近になって実はコイツ『妖精国』のティターニア女王陛下の婚約者、オベロンだってのが判明したんだよね。
ま、俺は今まで通りルォンって呼ぶけどさ。そのルォンがポカーンって呆けた顔で聞いてきた。
「あー、こりゃティリアの仕業だな? あっぶねぇなぁ~おいティリア! 一発かますんなら一言かけろよ!? 危ねぇだろーが!!」
『あーごめんごめん! 一応『魔装戦士』だけをぶっ飛ばすようにしたから大丈夫なはずよ?』
「はぁ~? 大雑把なお前がいつの間にそんな器用な真似出来るようになったんだ!?」
『ぶーっ! 私だって『無限円環』で色々学んだんですーっ!』
どーにもその魔法に覚えがあった俺は直ぐにティリアの仕業だってわかったんで、アリサ様とレウィリリーネが作ってくれた通信用の魔装具のバングルを通して文句言ってやったんだけどさ……うっそだろぉ~? あの雑なティリアがぁ~?
『あんた、マジにぶっ飛ばされたいの? 『無限円環』で密かに姉さんから教わってたのよ!?』
はぁ~そうかい? なんでまた「密かに」なんだか……まぁ、どうせアリサ様みたいに細かい制御が出来ないってバレんのを嫌がったんだろうけどさ。
『そんなことより、姉さんが大変なのよ! ロアの罠にかかって奴の実験場に飛ばされちゃったみたいなの!!』
「なんだってぇぇーっ!!? おまっ! そー言うことは真っ先に言えよ!! どーすんだ!?」
なんてこったよ!? よりによってロアの実験場……つまりアイツが創造した世界に転移させられちまったってのか!? マズイ! マズイぞ!? ロアの野郎のことだ、きっとアルティレーネ達が与えた加護なんかも封じる手立てがあるに違いないぜ! そうなったらアリサ様といえど……っ!
『慌てないで! 今ユニが『世界樹』を通して居場所を探ってる! いいルヴィアス? 私達は今までアリサ姉さんに助けられてきたわ。なら、今度は私達が姉さんを助ける番よ!』
おおっマジか! ユニちゃんが!? なんでもロアの創造した各世界の座標を『神界』の本体の方で、『知識神』イクシオンと協力して調べあげてユニちゃんに教えたんだってよ! それなら見つけ出せる確率が一気に上がるな!
『いい? ユニが姉さんを見つけ出したら『世界樹』を通して、私達の『想い』と『祈り』を姉さんに届けるのよ!』
「なるほどな……アリサ様は『聖域の魔女』であり、『聖女』……俺達の『想い』と『祈り』を力にすることができる! よぉーしっ! 任せとけティリア! 『ルヴィアス魔導帝国』の『想い』と『祈り』、束ねて送り届ける!」
オーケーオーケー! 任せろよ! 実を言うとだな、俺達の帝国でアリサ様とユニちゃんの事を知らない奴はほとんどいないんだぜ!?
「以前に頂いたあの『記憶の宝珠』はこの帝都のみならず、諸国全ての民達に「学ぶべき」と、推奨しましたから」
「ふふふ……その結果どうなったと思うティリア~?」
『ちょっと! こちとら各方面に指示出したり、『魔装戦士』の相手したりで忙しいのよ!?』
おっとっと! そいつは失礼~♪ って、こっちはこっちでまた『魔装戦士』共が召喚され始めたな。チッ! 相変わらずふざけた物量だ!
『ルヴィアス様! 聞きましたぞ! アリサ様がロアの罠にかかったとな!?』
『おおっなんたることだ!? ええいっ! 邪魔な『魔装戦士』共めがこの『ディベリオン』をそう簡単に落とせると思うな!?』
『我々はアリサ様を応援すればよいのか!? うおおぉぉ!! 『ガーブルム』の民達よ! あの『お料理教室』のアリサ様が危機に瀕している!』
『皆さんの力が必要ですわ! 『ノヴェダリュス』民よ! アリサ様とユニ様へと感謝の祈りを!』
ウオオオォォォーッッ!! 俺達の『想い』をぉーっ! 私達の『祈り』を!!
うおぉっ!? ちょいびびったじゃんよ! 『言霊の石』からホログラムでハイジャフェリラ王を始めに各属国の王達が大声で騒ぎだしたじゃないの! どうやらそれは民達にも聞こえてたみたいで、すげぇ歓声が聞こえてくる!
それは大きなうねりとなって、ひとつの大きな力になる! きっとロアの実験場に転移させられたアリサ様は帰り道を見失って困ってるはず! コイツはこの『ユーニサリア』への帰還の道しるべとなってくれるだろう!
『凄い! ふふ、どうやらアリサ姉さんはそっちじゃ大人気みたいね!? 見事よルヴィアス。褒美と言っちゃなんだけど、私からひとつ!』
「おっ!? おおぉっ!? こ、コイツは! うおぉ~懐かしい、俺本来の力じゃん!」
俺達帝国のみんなの気持ちを込めた力が一つに束なり、龍脈を通って『世界樹』へと送られて行ったのをティリアの方でも確認出来たんだろう。嬉しそうに褒美だと言って俺のペナルティを解除した!
本来ならこの弱体化のペナルティは俺が『根源の核』にまで還らなければ解除されない筈だってのに、一体どうやって解除したのか?
『イクシオンに訊いてちょうだい! あんたの『根源の核』を擬似的にどうたら~って言ってたわ!』
ははっ、つまりはよくわかんねぇってことね? なんにせよイクシオンには感謝だな! 後で礼を言わないと!
「よーし! これなら十分! ルォン、『ルクレツィア』起動だ! 我が『ルヴィアス魔導帝国』の叡智の結晶。ここに見せてやる!!」
「義父さん!? っ、了解です! 皇子ルォンの名の元に、帝都ルヴィアスが魔導宮殿『ルクレツィア』起動承認!」
『おおっ! 我等も打って出るのだな!? 『ハイジャフェリラ』承認!』
『総ては我等がアリサ様の御為! 『ノヴェダリュス』承認!』
『未来を切り開くのだ! 『ガーブルム』承認んーっ!!』
『この世界に生きる総ての生命の希望たれ! 『ディベリオン』承認だ!』
ゴゴゴゴォォォォーッ!!!
俺、ルォン、そして属国の王の承認の印紋がこの魔導宮殿の謁見の間に浮かび、溶け込むように消えていくと、大きな地鳴りを響かせ、宮殿が浮上を始める! そう、これこそ俺が……俺達が永い年月をかけて築き上げた機動要塞『ルクレツィア』だ! 『教団』の要塞も『ゲキテウス』の西海に浮上したって聞いて焦ったが、本来の力を取り戻した今の俺の神気なら余裕で起動させる事ができるってわけ!
「総員! 持ち場に着け! これより『魔装戦士』殲滅作戦を開始する!!」
ルォンの号令に兵達が一斉に動き出す! さあ、ロア! 俺達の反撃だぜ!? 覚悟しろ!
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【無双!】~ヒャッハーと大地~《大地view》
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《オイ! ゲッキー、少々骨ガ折レタガ『ゲキテウス』全土二渡ッテ『神の護り手』ノ結界ヲ張ッタゼー!? 潜伏シテタ『教団』ノ連中ノ制圧ハ進ンデルカ!?》
「応! 助かったぜ、感謝するヒャッハーさんよ! こちとらなんせ数が数だ! もう少しかかりそうだぜ!」
「なるだけ急げよ!? いくら『神の護り手』っていっても、攻撃を受け続ければ突破されるぜ!」
「了解だよ『白虎』様! 急ぐよレオ! そうなっちまう前に教団員共を制圧して民を避難させるんだよ!」
ドシュゥゥーッ!! ブオォォンッ!! あーっ! もううぜぇなコイツ等!! ビームとか言う魔法の筒をぶっぱなしてきたり、ビームソードとか言う魔法剣で斬りかかってきたりと! てめぇ等なんぞこの『真・白虎』となった大地様の敵じゃねぇんだよ!
「消えやがれロアの人形がぁぁーっっ!!」
ガオォォォォーッ!!! ズドドドォォォーンッ!!
見やがれ! たった一発の『咆哮』で大半が爆散しやがった! ケッ! 雑魚共が!
俺とヒャッハーは主神ティリアの指示を受け、『ゲキテウス王国』の防衛の要として動き回っていた。
なんでも姐御達が『教団』の本部に乗り込んだところで、ロアの野郎が姐御をてめぇの実験場に送りやがったとか! 気に入らねぇ……てめぇじゃ動かず人形頼りなのもそうだが、まともに闘り合おうともしねぇその性根がマジにムカつく!
取り敢えず『ゲキテウス』の守護はヒャッハーがその自慢の快速を活かして、なんとこの大陸全土に渡って『神の護り手』の結界を張るっていう離れ業を披露しやがったからな!
後はなんか、『教団』のボスに洗脳された奴等が暴れだしたとか報告があったが、そこはあの獅子野郎と得体の知れねぇ婆に任せる!
《オイ大地~? オ前『真・白虎』トカニ進化シタカラッテ調子ノッテンナ~?》
「んだとこの野郎? おめぇこそ姐御が造ってくれたからって調子こいてんじゃあねぇのか?」
このヒャッハーとか言う『魔装巨人』は、ガルーダのゼーロを参考に姐御が創造した奴だ。元々、俺達『聖域』に住むみんなのために、健康増進を目的として造ったって話なんだが……なんでかあの『守護者』に匹敵するほどの超性能を搭載されちまった。
正直それはいい。実際にこうして活躍してくれてるからな。問題はどうしてこんな性格になっちまったのかってことだぜ……まぁ、必要以上にへりくだってもらってもやりづれぇんだがよぉ~?
《ヒャッハー! オレ様ハ今! チョー絶好調ナンダゼーッ!? アノ『魔装戦士』共ヲ、アホ程ブッ飛バシテヨォ~マスターガ戻ッテキタ時、スコア見セテ褒メテモラウンダゼー♪》
「ほぉぉ~? 要はどっちが多くあのクソ人形をぶっ飛ばせるか勝負してぇんだなおめぇ?」
はっ! なるほどな、俺を煽ったのは競争相手が欲しいからかよ? いいぜぇ~面白ぇじゃねぇか!
「おい! ちゃんと俺の方のスコアってやつも記録出来んのかよ?」
《アタリマエダゼーッ! ドーヨ大地~? セッカクノ派手ナ祭リダゼ! 楽シモウジャアネェノ!?》
よっしゃ! やってやろうじゃねぇか!
……ってなわけで、俺はヒャッハーとちょっとしたゲームをすることになった。でもって、即興で決めたルールなんだが……とりあえずこの『ゲキテウス』の上空の『魔装戦士』がスコア加算の対象って事で! まぁ、俺達の本分は『ゲキテウス』の防衛だしな。
《本音言ウト、オレ様モ、アノ要塞ヲ叩キテーケドナ!》
「わはは! そこはゼーロ達に花持たせてやれ! んじゃ行くぜぇぇーっ!」
応ヨーッ! ってなヒャッハーの返事を聞きつつ、俺は『魔装戦士』共に突っ込んで行く。
色々とタイプが分かれてるみてぇだが、一番数が多いのがこの人型でデケェ図体した奴だな! さっきのビームだのビームソードだのをメイン武器にチマチマ鬱陶しい攻撃してくる……
ブオォンッ! ブオォンッ! ドシュゥーッ!!
おぉ? なんか考えたじゃねぇか! 三体組で二体が俺に斬りつけて来たのをサッとかわした先にビームが飛んで来やがったぞ? だがよぉ~? ほれっ!!
ベシンッ! ボボボォォーンッッ!!
効かねぇし? ちょいとひっぱたけば直ぐにドカンだしで、まるで相手にならねぇ。コイツ等は張った『神の護り手』の結界を破壊しようとしてる奴だけ集中して叩けばいいか。
んで、次が先にも来やがってた偵察するタイプの奴、今更偵察もなにもねぇだろうが、たまに機銃とか言う豆鉄砲撃って来やがるんでイラってする。
中には重装備の奴もいやがる。コイツは剣みてぇな接近戦用の武器を持たず、代わりにドデカイ筒を持ってやがる。多分あの筒から大出力の魔法を放つつもりだな? 優先してブッ倒す!
だが、ソイツを護るように配置されてるのが、逆にその筒を持たず、剣のみの奴等だ。身に付けた鎧も、他のに比べて軽そうだから動きも速そうだな。
《数ガ多イッテダケデ敵ジャネェゼ~! オラァーッ! ブッ飛ビナァーッ!!》
「そりゃそうだ! 吹き飛べオラァーッ!!」
ズビィィーッッ!! ボボォォーンッッ!! シュゴォォーッ!! ドガドガァァーンッ!!
ヒャッハーの『神怒の槍』と俺の突進を食らって砕け散って行く『魔装戦士』共だぜ! だが、倒しても倒しても次から次へと召喚されてきやがる! コイツはロアの野郎をブッ叩かねぇとキリがなさそうだな!?
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【ロア】~対峙する『猫兎』~《レジーナview》
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「ふむ……吾輩を倒す。か、いと小さき者達よ随分大きく出るではないか?」
「まあね。君はこの世界を自分の実験場としか見ていないんだろう?」
如何にも。と、僕の問い掛けにさも当然だと言わんばかりの返答をするロアだ。やれやれ、まったく……もう彼の中ではこの世界は既に自分の物になってるようだね?
「他の神々にも散々言われて耳タコでしょうけどね……そう言う自己満足は他人様の迷惑にならないようにやってくれないかしら!?」
「知らぬな。何故に吾輩がどうでもよい他者に気を遣わねばならぬ? この世界だろうが『神界』だろうが、総ての世界は吾輩の実験場である」
正気かいコイツ? ニャモの怒りの声もどこ吹く風よと、サラリ答えるロアだけど……まさかこの世界だけじゃなく他の世界全部、自分の物だとか言い出したじゃあないか!?
「あっはっは! 流石『狂神』とか言われてるだけあるじゃーん? マジにトチ狂ってるし!」
「どうして貴方みたいなのが神になんてなれたんでしょうか? 理解に苦しみますね!」
煽るようにミミとネネがロアに対して罵倒を浴びせる。これで少しはお怒りになったりして冷静さを欠いてくれたりするとやりやすいんだがね?
「ふむ……汝等のように世界を回すための歯車には理解出来ぬのも無理からぬ事……」
ビュオンッ!! バギィィィーンッ!!
「うだうだとうるさいです。あなたが只の害悪なのは判りましたから、大人しく粉砕されて下さい」
「重き良い攻撃である。『兎人』よ見事だと、褒めてつかわす。だが、足りぬな」
おぉっと! 怒り心頭のモモがモーニングスターをロア目掛けて放った! だけど、ロアに直撃する直前に障壁に阻まれ、大きな音と共に弾き返される。
「続くよ! 皆、あの障壁ごと彼をたたっ斬る!」
「「はい!」」「オーケー!」
「たかだか一回防いだくらいで、いちいち大仰ですよ?」
そのモモの一撃が開戦の狼煙となって、僕達はロアに立ち向かって行く!
負けられない! きっと今頃アイギスくん達も『武神』と闘っているだろう! アリサ様もたったお一人、ロアの実験場でとんでもなく不利な状況を覆そうとしている筈だ!
そして、この要塞の外ではロアの呼び出す『魔装戦士』相手に全世界が闘っている!
「でも、ここで君を倒してしまえば!」
「アリサ様も帰ってくる!」
「そうなりゃあたし達の勝ち確ってわけさーっ!」
そう! 僕の後に続いてロアに斬り込むニャモとミミの言う通りだ! ロアさえ倒してしまえば、『魔装戦士』達も召喚されなくなるし、アリサ様も戻ってこれる。そうなれば『教団』はおろか、『ディードバウアー』も『リドグリフ』も恐れるに足らずさ!
「剣聖剣技奥義! 『破断』!!」
ズバァァーッ!!
「むぅ、これは『剣神』の技! 汝、口だけではないな!?」
「障壁の再構築なんてさせませんよ!? オプションブレード! 『ブレイクソード』!!」
フィンフィンフィンッ!! ズバァァンッ!!
僕の『破断』を受け、ロアの障壁が切り裂かれた! 僕達が『剣聖剣技』を使うとは思わなかったのか、ロアは少しだけ驚いた様子を見せる。ふふ、データが足りていなかったのかい?
すかさず破られた障壁を再度展開させようとするロアに、ネネのオプションブレードによる妨害が入る! 『破壊術式』が『魔法付与』された斬撃がロアの術式を斬り払い、魔法を魔素に還す!
「ナイスだよネネ! さぁーっ! お客さんには特別なダンスを披露してあげる!」
「この間合い、もらったわ。切り刻んであげるっ!!」
手にした扇にナイフを煌めかせミミとニャモが今、攻撃を仕掛けた!
ズバァッ!! ザシュゥッ!!
「きゃあぁぁーっ!!?」「うあぁっ!!」
「えっ! ミミ! ニャモーっ!?」「なんだってぇーっ!?」
はいった! そう思った瞬間何故か仕掛けた筈のミミとニャモの方が大きなダメージを負ったじゃないか! ネネと一緒に信じられない思いで叫んでしまったよ! だってそうだろう? ロアは無防備な体勢だったんだよ! 一体何が起きたんだ!?
「痛ったぁぁーいっ! モモぉーっ!!」「っつぅ~やってくれるじゃない!」
「はいはい回復回復ですよーっ!」
っと! いけない、二人がモモに回復してもらっている間カバーに入らなければ! 素早く後退し、僕とネネが三人を庇うように前に出る!
「面白いカラクリですね? 一体どうやったんでしょうか?」
「ふん、腐っても『技工神』って事かな?」
「ふむ……危うい危うい。見目に似合わず蛮族であるな? 吾輩は荒事は不得手故な……対策はしているのだ」
蛮族ぅーっ!? 言ってくれるじゃないか! こんな可憐な乙女達をつかまえて! なんて、腹を立ててみても事態は好転しないね。観察した感じ、僕達の攻撃を反射させてるってところかな……これは、困ったね。
ネネのオプションブレードが放った『破壊術式』で消失してないのを考えると……もしかして魔装具の類いかな? いや、それがわかったとてどうやって攻める? こちらの攻撃が跳ね返されてしまうのでは手のだしようがないぞ!?
「『炎槍』!」
ゴォォッ!! キィィンッ! ゴォォッ!! ヒョイ!
ネネ!? 突然ネネがロアに向けて初歩的な魔法、『炎槍』を打ち出した! 案の定跳ね返される『炎槍』を軽い身のこなしで回避するネネ。
「ふぅん……なるほどなるほど。そうですか」
「やっぱり跳ね返されるよ! どうしよう!?」
「ネネ! 今ので何かわかったのかい!?」
跳ね返された魔法を避けたネネは、何かに納得するかのようにうんうんと頷いているじゃないか……ミミはミミで仕掛けた筈の自分が逆に傷を負ったカラクリが反射だと感付いていたようだね。しかし、気になるのはネネだ。僕は彼女に説明を求めるべく声をあげた。
「ほう? 『人猫』の娘……なにに納得している?」
「いえいえ、『技工神』って大したことないんだなぁ~って思っただけですよ? ねぇ、モモ?」
「はい。なんだか何処かで見たなぁって思えば……答えは簡単でした」
な、なんだって!? ネネだけじゃなくて、モモまであの攻撃反射の仕組みを理解してたのかい!?
「……ハッタリ。とも思えぬな、ならば聞かせてもらおう。汝等の答え、正解かどうか吾輩が採点してくれよう!!」
ロアが怒りを顕にした!? そうか、技術的な事に関して煽ってやれば簡単につれるようだね! と言っても僕はサッパリ理解出来てないんだけどね? チラッとニャモを見ると彼女も困り顔を見せるから、僕と同じようだね? ここは一つネネとモモに任せてみようじゃあないか!
ルォン「それにしても義父さん( ´Д`)」
ルヴィアス「お、どうしたよルォン(^ー^)?」
ルォン「ロアの魔力を判別って、もっと早くにやってれば他国にも被害が出なかったのではありませんか?(-_-;)」
ルヴィアス「あのなぁ~(゜A゜;) 個人個人の魔力の判別って普通はやっちゃいかんのよ、鑑定と一緒で個人を特定する情報だからな?( `д´)」
ルォン「それは重々承知していますが、緊急時には……(。・Д・)ゞ」
ルヴィアス「緊急時って、ロアが背後に隠れてるって知ったのめっちゃ最近だろ?(´・ω・`; ) どうしろってんだよ?┐(´~`;)┌」
ルォン「むぅ(*`エ´*) ロアにしてやられた感が強くて悔しいですね……(; ・`д・´)」
ヒャッハー《オオッ!Σ(゜ω゜) 見ロヨ大地、帝国ノデッケェ城ガ飛ンデルゼーッ!(ノ≧▽≦)ノ》
大地「うおおっ!Σ( ゜Д゜) マジか、あれ落としたらスコアでかそうだな!(`∀´)」
オルファ『ちょっとーっ!?( `Д´)/ 僕達を落としちゃ駄目ですってば大地様!( ; ゜Д゜)』
カレン『こっちはこっちで頑張りますから!( ̄▽ ̄;) 『ゲキテウス』を守って下さいね?(°▽°)』
バロード『スコアってなんですか!?Σ(;゜∀゜)ノ 間違えてもこっちに攻撃しないで下さいよ!?(≧□≦)』
ヒャッハー《帝国三人衆ジャネーカ(*´∇`*) スゲェノ起動サセタナ!( ・∇・)》
大地「わざわざこっから帝国まで行くヒマなんざねぇよ(^_^;) 気張ろうぜ、お互いによぉ!( ・`ω・´)」
三人衆「応!!ヽ( ・∀・)ノ」
ロア(なんかこの物騒な武器持った兎人怖いんだが……!?((゜□゜;)))
モモ「ふんさーいふんさーい♪(*`▽´*) 悪い事するのはだーれだ?(*`艸´)」
ミミ「アイツだーっ!ヘ(≧▽≦ヘ)」
ニャモ「モモの『おはよう粉☆砕くん』が猛威を振るう時~♪ヽ(*´∀`)ノ」
ロア(『おはよう粉☆砕くん』!?Σ(゜д゜lll) なんなのだその意味不明な名前は!(゜Д゜;))
ネネ「木端微塵~木端微塵~♪(´▽`*) 後にはな~んにも残んない~!(*≧д≦)」
レジーナ「あ、ソーレ!(о^∇^о) ドッカンドッカン♪ヾ(・ω・ヾ) 粉☆砕だぁ~!ι(`ロ´)ノ」
ロア(……イヤだ!(ノдヽ) この者共物騒過ぎてマジ怖い!ヽ(;゜;Д;゜;; ))




