139話 決戦に向けて……
ティリア「おろ?(´・ω・`) 今回なんか様子が違うわね(・-・ )」
TOSHI「おー(・о・) なんでも何話かこの調子で書いて見るんだとよ(^ー^)」
RYO「後書きももっと簡素なテンプレ文にするか( ̄▽ ̄;) とかも言ってたね(´ヘ`;)」
イクシオン「手抜き!(`へ´*)ノ 手抜きでおまんすか!?(`□´) そんなの許されざる~んでござましょぉぉーっ!?ヾ(*`⌒´*)ノ」
ヴィクトリア「あ~( ̄0 ̄;) こりゃあれだわ、最近暑くなってきたから……(^_^;)」
アルナ「また熱中症の季節がやってきましたものね(-_-;)」
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【ユニと】~ミーナとアリス~
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「ミーナちゃん? どうしたの、そんな置物みたいにお行儀良くお座りして?」
ユニがベッドの中央で鎮座するアリサの愛猫、ミーナの様子を見て優しく彼女の頬を指で撫でる。
ミーナはその指に頬擦りをして、心地良さそうに目を細めた。
ここは『聖域』の女神達の屋敷。ユニにあてがわれた部屋である。アリサや女神達からもらった可愛いぬいぐるみや、服が飾られたとても愛らしい部屋で、ユニの「大好き」が沢山詰まっているお気に入り。
「ミーナちゃんはいい子だねぇ~♪ おねぇちゃん達も女神様達も今、わたわた働いてるからね。そのまま、もうちょっと大人しくしててね~?」
「なぁ~ん?」
作戦開始から五日目を過ぎ、ロアの『魔装戦士』達の襲撃。世界各国家の代表を集めた緊急会議を経て、この『聖域』の面々は多忙を極めていた。
各国家元首達により、魔王達の存在が世界中に伝えられ、その防衛に割く戦力の割り振りや、各地で起こる、小さいけれど無視出来ない人々の混乱を静め、理解を得るため、又は、避難させるため『転移』を繰り返し、東奔西走する。
ユニも例外ではない。彼女は『世界樹』として世界各地の『龍脈の源泉』を通し、魔王の動きを探っていた。
「おにぃちゃん達が火山で『武神』さんと戦い始めたよ。アルティレーネ様と翼ちゃん達も、ティリア様の義妹さんのフィーナ様も一緒にいるみたい。頑張って~って応援しようね! きっとおにぃちゃん達なら絶対勝つもん♪」
「にゃぁ~ん♪」
言葉は通じなくとも心が通じているのか? ユニの言葉に明るい返事を返すミーナ。
「ユニちゃんせんぱーい? いらっしゃいまっす~?」
そんな風にユニがミーナに話しかけていると、不意に部屋の扉がノックされ、なんとも間延びした声がかかる。ミーナとユニと同じ、アリサの『聖霊』アリスの声である。
「アリスちゃん? いるよぉ~♪」
「しっつれぃしまっするよぉん♪」
右手でドアを開け、部屋に入って来るアリスは左手の指を四本、二本と続けて作り、最後に親指と人差し指で輪っかを作ってウインクを飛ばす。もし、これをアリサが見たら「どこの馬乗りさんですかね?」とか突っ込んだことだろう。
「アリスちゃんどうかした? ロアが動き出したりしたの?」
しかし、残念ながらこの場にアリサはおらず、ユニもまた「また変なことしてる」程度にしか思わなかった。
「あ~いえ……あのむっつりんさん達と『武神』が戦闘に入ったって言うじゃないでっすかぁ~?
んで、ロアも動き出してる今、ディードバウアーはどうなってるかなぁって思いましてでっすね?」
つっこまれる事もなく、素の反応を返され、若干残念そうなアリスがユニを訪ねて来た理由を話す。
ディードバウアーの動向を気にしているのは女神達を始め、皆が思うところ。ロアもリドグリフも復活を果たした今、監視の目を緩める訳にはいかない。アリスはティリアの命を受け、ユニに状況を確認しに来たのだ。
「そうだね、『ルーネ・フォレスト跡地』の『龍脈の源泉』の魔力は今、すごーく淀んでるんだ……こう~どろどろってしててね。再生する前の『聖域』みたいに!」
「マジっすかぁ~? じゃあ、もういつディードバウアーが復活してもおかしくないって状況なんでっすね?」
その通りだよ! と、力強く頷くユニを見て冷や汗を浮かべるアリス。
ディードバウアーが復活するであろう『ルーネ・フォレスト跡地』には、レウィリリーネとフォレアルーネの二柱の女神と、リールとフォーネの『三神国』王家の末裔、リンとシドウの『懐刀』の二体が向かっているとはいえ、やはり相手は魔王。どうしても不安が募るのだろう。
「だいじょぉぶだよぉ~アリスちゃん♪」
「あ~アハハ……でっすよねぇ~! マスターの『無限円環』でみーんなアホみたいに強くなりまっしたもんね! 信じて待つだけでっしゃろい♪」
「うんうん♪ 心配なんていらないよ~だって見えないからね!」
え……? あははとにこやかに笑うユニの言葉にアリスは一瞬固まり疑問に思った。一体何が「見えない」のだろう? ユニの目には一体何が見えているというのか……?
時間にして、アリサ達があの『ファムナ村』から『三神国』の王達の眠る墓所、『聖柩』を訪れた辺りからだろうか? ユニが時折このような意味深でありながら、意味がわからない事を口にするようになった。
アリサの報告にあった『世界樹』内に存在する『神域』とおぼしき場所で、ユニらしき人物に出会った。という事に、何かしら関連性があるのだろうか? と、思案するアリスだが。
「あ。いけない! ユニったらまた……えへへ~♪ アリスちゃん今のは内緒のしょ~! だよぉ?」
「は、はぁ……よっくわかんねぇでっすけど……ユニちゃん先輩がにっこにこならアリス達も安心でっすよ」
やっちゃった! ハッと口に手をあてて、慌てるユニだが、すぐに「まあいいか」とアリスに向けてニッコリ笑顔を見せる。アリスとしてはよくわからない言動に少々混乱はしたものの、そのユニの愛らしい笑顔から悪い事ではないと、ハッキリわかった。
「アリスちゃんももう少ししたらわかるようになるよ~♪ ユニとおんなじアリサおねぇちゃんの『聖霊』なんだからね~ミーナちゃぁん?」
「うなぁ~ぉ♪」
はぁ~流石先輩方でっすよぉ……などと内心感心しつつ、いずれ自分にもユニとミーナの見ているものが見えるようになるのかと、少しの期待と不安を感じずにはいられなかったアリスである。
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【神界】~ペナルティの解除~
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「……駄目だな。古くからの不文律だけあって解除は難しいよ、ティリア姉さん」
「厄介ね。前代の主神が定めたペナルティ……こんなにめんどくさいなんて」
「まぁ、簡単に解除できたら意味がねぇからな……」
ところ変わり『神界』では、『剣神』のRYO、『主神』ティリア、『闘神』TOSHIの神々がひとつの難題を前に頭を抱えていた。
と、言うのも。ルヴィアスとポコに課せられた掟やぶりのペナルティについてである。
他の神が創造した世界に降り立つためには、本来許可制であり、その承認が得られない限り、無断で立ち入る事の出来ない決まりであるが、『ユーニサリア』に攻め込んだ魔神達はそれを無視して、強引な方法で攻めて来たため弱体化のペナルティが課せられていた。
スパイとして潜り込んだルヴィアス、呪いを受け、自我を奪われたポコとシェラザードもその対象である。しかし、シェラザードはアーグラス達に一度討たれたため、今ではそのペナルティも解除されているのだが……
「どうにかルヴィアスとポコのペナルティを解除しなきゃ……強力な戦力は一人でも多く欲しいところなのよ?」
「ロアの『魔装戦士』が展開されたら、瞬く間に世界規模の大軍勢が『ユーニサリア』の空を覆うだろうからね」
「まあ、そこは一撃ティリアが派手にぶっぱなせ。イニシアチブを相手に取られねぇようにな?」
『ユーニサリア』全世界を守る。そのためにはとにかく『魔装戦士』に対抗できる戦力が必要だ。なにせロアの『魔装戦士』達はつい先日、実際に世界各国家を同時襲撃して見せたのだから。故にティリアはシェラザードの幽閉を解き、ルヴィアスとポコのペナルティもなんとか解除して、一人でも多くの戦力を集めようとしているのだ。
「RYOとTOSHIの言う通り最初はそれでいいとしても、あのロアの事だからすぐに巻き返して来るわよ……う~ん、私でも駄目ね、解除できないわ」
基本的にティリアは他の神々よりも頭ひとつか三つほど抜けた強大な力を持っているものの、アリサのような器用さや『剣神』のような技術も持たない、なにより大雑把な性格であるため緻密、精密、複雑と言ったものが大の苦手だ。
ルヴィアス達の課せられたペナルティの術式は、まさにティリアが苦手とする複雑怪奇なものであったのだった。厳重に暗号化され、何重にも張り巡らされたプロテクトだけでも、概算で、突破するのに膨大な日数を費やさねばならず、例えそれが成ったとしても、術式の書き替えにまた多くの日数を要するような仕組み。明日にもロアが動き出し、ディードバウアーが復活するかもしれない現状ではとてもそんな悠長な事をしてる暇はない。まさにお手上げ状態である。
「にょっほっほぉ~ん♪ そぉぉいう時はでんすねぇ~ちょぃなあぷろぉちを変えてみるとよごでんすよぉ?」
「イクシオン! 来てくれたのね!」
ティリア達が術式を前に揃い頭を悩ませていると、妙な笑い声をあげて『知識神』イクシオンが現れる。
『知識の神』と謳われるイクシオン。そんな彼女の風貌は一見するとひどいものである。
まず、そのボサボサの頭はなんの手入れすらしていないため、ヨレヨレのグシャグシャで、寝癖に枝毛なんて当たり前の伸ばし放題。探せば毛玉も出てくるだろう。
そしてその顔を見ると、真っ先に印象に残るのが、彼女のトレードマークとも言うべき、「グルグル渦巻眼鏡」である。彼女は決して目が悪いわけではないのだが、「これ着けておりまんすと、如何にも『知識神』ぽく見えるでござまんしょ~?」と言う理由があるらしい。
前面に大きく丸が描かれ、そこに大きく「知」と書かれた、ぼでっとしたシャツは、小柄の彼女には随分大きく、膝丈まである。因みに下はパンツ一丁だったり……上から羽織る白衣はヨレヨレだ。
(コイツも十分『変神』だよなぁ……)
(そう言ってやるなよ、兄貴……彼女の知識は本物なんだから)
そんな残念を通り越して、哀れにも思える彼女を見るたびにTOSHIとRYOはため息をつかずにはいられなかった。だが、今必要なのはそこではなく、彼女の知識だ。
「貴女にならこの厳重なペナルティのプロテクトを突破できるの?」
「その先の術式の書き替えもできるのですか?」
そしてイクシオンと共に現れたのが『勝利』を司る女神ヴィクトリアと、『幼女神』アルナである。
以前に『神界』から各世界の様子を見る事のできる『神鏡』を、その各世界との連絡手段に改良するため、イクシオンに協力をあおぎ、「アリサ推し」となった彼女を仲間に引き入れたのだった。
「うにょほほ♪ そ~んなの無理でんすよぉ? この規律の術式は前主神がとんでもなく永い時をかけて編み続けたもんでおまんしょ。それを突破だの書き替えだの、わっちには到底無理でござますよぉ♪」
「そんなぁ~じゃあどうしろってのよ!?」
あっさりと無理と断じるイクシオンにティリアが泣きついた。『知識』を司るイクシオンにも無理だと言うならどうすればいいのか? なんとしてもルヴィアスとポコのペナルティを解除したいティリアにはもう、イクシオンにすがるしかないのだが。
「でぇぇすかぁら~「あぷろぉち」を変えるんでおまんすよ? こんな厳重なもんに真正面から当たることありゃあしまへんえ?」
「そういやさっきもそんな事言ってたな。具体的にはどうすんだ?
正面から当たって駄目なら角度を変えてアプローチせよ。というイクシオンだが、はて? それは実際にどうすればいいのだろうか? 頭を捻っても皆目見当もつかないTOSHIがイクシオンに訊ねる。
「簡単でありんす。一度討たれる事でしかペナルティを解除できないのなら……実際に討たれてもらうでおまんすよ」
「「「なんですってぇーっ!!?」」」
馬鹿な!? それではなんの意味もないではないか! 寧ろいなくなってしまう分戦力ダウンだ。
とてもじゃないが、認められない事を言い出したイクシオンにティリア達は猛然と抗議するが、イクシオンは「うひゃほほ♪」とか変な笑いを見せる。
「はーなーしーは! 最後まで聞くとよろしゅうおますでんす! わっちは何も当人達を滅ぼせって~言ったわけじゃありゃあせんでんすよ? コレを使うと事が大前提となる話でござんす」
むーっ! と、しかめっ面を並べるティリア達に、イクシオンが白衣のポケットからあるものを取り出して彼女達に見せた。
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【決意固めて】~予感~
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予感がする……聖女のアリサは感じ取っていた。
「どうじゃアリサ様! 今のは見事なもんじゃろう!?」
「うん、申し分ないね。今の感じを忘れないようにするんだよ?」
『エルハダージャ王国』の新たな女王となった珠実に、オプションの使い方を伝授しながら、その時が近いのだと。
にゃるろってに扮する魔女も予感したように、『ココノエ』の忠告にあった自分に起こる『窮地』……その時がもう間近に迫っていると……
「すごいわねぇ……『聖域の魔女』っていう肩書きは本物だわ!」
「ああ! アリサ様が一緒に戦ってくれるなら怖いものなしだ!」
新たに女王の座に就いた珠実は伝説に語られるほどの存在、『白面金毛九尾の狐』であることを知った、『エルハダージャ』の冒険者ギルドのマスターであるオネェさん。Sランクパーティー『閃光』のメンバー、レグスがその伝説の存在である珠実に修行をつける、という光景を目にし、『聖域の魔女』と謳われるアリサに対し畏怖の念を抱きつつも、共に戦う仲間であることに、大きな安心感を感じている。だが……
「……ごめん、オネェさん。レグスくん。多分私はみんなと一緒に戦えないと思う」
「そんな!? まさかお話にあった『教団』……いえ、『技工神』がアリサ様になにかを!?」
そんな彼等に、申し訳なさそうに頭をさげるアリサだが、珠実以外の者達は一様に驚きを隠せずどよめきが起こった。代表として皆が思った事を『閃光』を束ねるリーダーであり、冒険者ギルドのサブマスターでもあるウィーリミアが何故かを問うと同時、二人と、『世界防衛戦線会議』で聞いた話を思い出す。
「十中八九、ロアはにゃるろってに扮する私を罠にかけようって思ってる。多分、どっかの異空間にでも閉じ込めて無力化するだろうね……」
アリサはロアの企みを正確に見抜いていた。彼にとって、『教団』はあくまで『実験場』を築く為の手段に過ぎず、『ディードバウアー』の復活にも利用できそうだと判断したがために、エリクシルに手を貸しているに過ぎない。
故に、『教団』の連中がどうなろうと知った事ではない。寧ろ利用してあの厄介そうな『聖域の魔女』を誘きだし、罠にかけ無力化する為の手段となってもらう……と、いったところだろうと。
「今ここにいる私は『聖域の魔女』の魔法、『鏡映す私・私映す鏡』で投影された遍在存在。だから、にゃるろってが無力化されたら魔法を維持出来なくなって、消えちゃうからね」
「な、なんて事だ……」
実際にロアがどういう手段でにゃるろってを無力化するのかは不明であるが、今の聖女である自分を維持できなくなるであろうことは確かな予感として感じていた。『閃光』の僧侶であるドムがアリサの話を聞き、額に冷や汗を流すが、アリサはその時が来るまで珠実に色々と託し、また、仕込んでいた。
無論、それだけではない。自身を『臆病者』と常日頃から認識するアリサは、今回のような事態も想定済みだ。そのために『無限円環』で誰にも悟られないように秘密の特訓をしてきた。
「だからそんなに不安がらないで? みんなのこと……この『エルハダージャ』も含めて、世界のみんなを守るからね」
「……わかったわアリサ様。アタシ達はアタシ達でやれる事を精一杯やるわ!」
「そうね、この王都の各ギルドも活気付いて、とても士気が高いわ!」
「ああ! 俺達は女王様と『聖域』の皆を信じてこの国を護り通して見せるよ!」
「うん! だからアリサ様、負けないでね!」
「小生達は皆、貴女様を信じ闘います」
なんと力強く、そしてあたたかな『想い』だろうか……アリサの言葉にオネェさんが、ウィーリミアが、レグス、キャルル、ドムが頼もしい返事を返してくれる。この彼等の『想い』はきっと私の力になる。そう信じるアリサは自然と笑顔を見せた。
「アリサ様、こちらは女王陛下と共に各国と連携し、必ずや守り抜いて御覧にいれます。
ですので、どうか気兼ねなく、御自身の戦いに専心なさって下さい!」
「うむ! 妾達はアリサ様を信じて待っておる故な。あまり遅うならんうちに帰ってきてたもれ?」
続けてヒヒイロと珠実もまた、その『想い』をアリサに託してくれる。
ああ、きっと大丈夫だ。彼女達ならきっと、その言葉通りにこの国を、世界を護り切るだろう……アリサは内心、そう確信して心を決める。
そう……ならば、私も約束は果たさなければ。と。
「オッケー! 任せてちょうだい! 絶対にロアなんかブッ飛ばして帰って来るからね!」
そう。必ず帰ってくる! まだまだやるべきことも、やりたいことも沢山ある。そのためにもこんなところで足踏みなんてしてられないのだ。一抹の不安も払拭し、最早迷いはない。後は行くのみ!
アリサは決意を秘めた瞳で『ゲキテウス』の方の空を見つめるのだった。
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【ゲキテウスでも】~人気者~
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一方、所変わって『ゲキテウス』の王都。
にゃるろってに扮する魔女のアリサ一行は、遂にこの国の中枢である、王都へと到着したのだった。
「バルド達が利用している宿は何処なのだろうか?」
「でっかい王都だにゃぁ~? 流石は「一番住みやすい国」って言われる国の中枢だにゃ!」
「人も多いね。にゃるろってちゃん、はぐれないように手を繋ごう?」
当初の目的である『教団』の者達に、『人猫』の幼子という『聖域』の弱味をさらけだす事で、行動を起こさせ、内部に潜り込んだところに仲間達を呼び寄せては一網打尽にする。
この作戦を実行するにあたり、仲間となる『黒狼』のメンバーと、バルガスとネヴュラの『聖魔霊』夫婦と詳細を打ち合わせすべく、彼等が利用している宿を探すガッシュ。その打ち合わせ前に拐われては困るので、王都の大きさと発展振りに、おのぼりさんよろしくといった風に、あんぐりと口をあけて呆けているにゃるろっての手を取るレジーナである。
「懐かしいね~♪ ゲッキーのお膝元だよ!」
「ここも十年振りねぇ……取り敢えず、冒険者ギルドにいかない?」
「一応、護衛クエストって形でここまで来たのですからね。しっかり報告して報酬を受け取りましょうか」
「モモはもう少し粉砕できる魔物が現れてほしかったですけど……」
久し振りに訪れる『ゲキテウス』の王都に懐かしむミミに、ニャモが同意しつつ、冒険者ギルドへ行こうと提案する。そう、ネネが話した通り、彼等は『セリアベール』からにゃるろってをこの『ゲキテウス』まで送り届けると言う、『護衛クエスト』として、表向きは動いているため、達成の報告をするべく冒険者ギルドへと足を向けるのは自然な流れである。
モモはやや物騒な事を言っているが……あきれ顔をするにゃるろっては、ミニマップを確認し、『黒狼』のみんなが利用していると言う宿と、冒険者ギルドの位置を割り出していた。
どうやら『黒狼』のメンバー達は今、宿に残っている者と、冒険者ギルドに顔を出しに行っている者とで分かれているようだ。うん、うまくすればこのまま冒険者ギルドで合流できそう。その後は何かと話をあわせて宿を一緒するように動けばいい。
(実際に『教団』の一味が私達を尾行してる。気付いてるよね、みんな?)
(勿論です。おそらく私に接触して、「あの『人猫』の幼子を連れ出せ」等と言った命令を伝えに来ると思われます)
仲間内でのみ会話が可能となる全体通話で会話すれば、離れている『黒狼』達とも直ぐに連絡がとれるのだが、今のアリサは無力な猫幼女だ。通話に流す微量の魔力も、もしかしたら察知され怪しまれるかもしれないと懸念し、ガッシュと『猫兎』達に耳打ち内緒話で会話した。
(おっと、気を付けたまえよ二人とも? 尾行してるのは耳のいい『人犬』とエルフだ)
(取り敢えず様子見してガッシュさんと接触する機会を伺っているんでしょうね)
(冒険者ギルドでバルドさん達と合流して、うまいことやろーよ?)
『教団』側もにゃるろって達を尾行させるにあたり、聴覚の優れた人選をしていた。よく訓練された『人犬』とエルフ。斥候なのだろう、気配も絶妙に一般人と同化させて溶け込んでいる、パッと見では道行く一般大衆となんら変わりない。
しかし『無限円環』での多種多様な訓練を経てきたレジーナ達には一瞬で見つかっていた。このまま彼等に尾行をさせたまま、冒険者ギルドに行き、逆にどう動くのかを探ろうと、彼女達は足を動かすのだった。
「はぁ~い♪ じゃあ、にゃるろってちゃん。この紙のここに、お名前。書いてもらえるかなぁ?」
ニコニコ~♪
そうしてやって来た『ゲキテウス』王都の冒険者ギルド。例によって『猫兎』の面々の姿を確認した冒険者達とギルド職員達が『セリアベール』の街の時と同じように騒ぎだし、『猫兎』達もそれに便乗して悪ノリし、ギルドマスターが乗り出して来るといった一悶着等を挟んだりしたのだが……
「にゃぁ~りょーかいだにゃ!」
「大丈夫かなぁ? テーブル高かったりしないかな?
あらぁ~♪ 綺麗な文字を書けるのね! 偉いわにゃるろってちゃん♪」
まあ、なんとかかんとかその騒動を治めて、ガッシュと『猫兎』達がにゃるろっての護衛クエスト達成の報告を受付に話し、護衛対象であるにゃるろってに、達成を了承する旨の記載された書類にサインをするよう促しているのだが、『人猫』の幼女に変身しているアリサはこの『ゲキテウス』でも、周りから非常に愛らしく映るようで、担当する受付嬢も終始ニコニコと笑みを浮かべ、にゃるろってには少し高いテーブル。椅子に座り、床に着かない両の脚をプラプラ前後させつつ、サインを書く彼女を見守る他のギルド職員と冒険者の視線のなんとほっこりしたことか。
「はい! これでクエストは完了ですよ♪ お疲れ様でした」
おぉーっ! お疲れ様ーっ! パチパチパチ~♪
と、何故か沸き起こる歓声と拍手に、思わず苦笑いを浮かべるガッシュと『猫兎』達であった。
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【けじめは】~キッチリ着けさせてもらう~
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「やれやれ、何かと思えば……ガッシュじゃないか?」
「……何か、クエストでも、受けていた、のか?」
心温まるような一幕があった冒険者ギルド。その中心人物であるガッシュに対し、二人の男達が近付いて来た。『黒狼』のバルドとデュアードである。
彼等『黒狼』と、『聖魔霊』の夫婦の二人は『ファムナ村』から聖女のアリサの手によって、一足先にこの『ゲキテウス』王都入りしていた。
同期の桜であり、良き朋友であったロッド。無念にも志し半ばで命を落としてしまった彼の眠りを妨げ、悪事を働くための片棒を担がせた『死霊使い』に対し、正義の鉄槌を下すべく、彼等は『教団』の壊滅に向けて動いているのだ。
「ああ、バルドにデュアードではないか? いつの間にこの『ゲキテウス』に来ていたのだ?」
「お知り合いですか~? モモはモモですよ~?」
「初めまして。僕達は『猫兎』っていう冒険者パーティーさ。よかったらキミ達のことも教えてくれるかい?」
なんとも白々しい茶番ではあるが、これも『教団』の連中を欺くためだ。彼等『黒狼』は、同じ街の冒険者であるガッシュとは顔見知りではあるが、『猫兎』達とは初対面……という事にしてある。
「……噂は、何度も聞いていたが、実際に会える、とはな」
「俺達はガッシュと同じ『セリアベール』の冒険者だ。『黒狼』というパーティーを組んでいる」
できるだけ自然を装い、あたかもこの国で出会ったのは偶然なのだと。この冒険者ギルドの一階の端の席で様子を伺う『教団』の尾行者に見せ付ける。
にゃるろっても会話に加わり、バルド達が利用している宿で残りの『黒狼』メンバーも紹介して冒険者としての情報交換をしようじゃないかと話の流れを持っていく。
「ふふ、先輩方の冒険譚を是非とも聞かせてもらいたい」
「構わないわよ♪ 私達もここ十年の間に起こった変化とか知りたいし」
「にゃはは♪ 王ちゃまに会うの楽しみだにゃ~♪」
などと、周囲の者達の耳にも聞こえるように、それでいて自然に彼等は合流を果たしたのだ。
そして、宿。
世界一住みやすい国の中枢であるこの王都の宿は、そのほとんどが大きく立派な物であった。部屋数が数十部屋にも及び、どの部屋も隅々まで掃除が施され、利用者の気分を良くしてくれる。清潔感のある白い壁に、中々価値がありそうな調度品。廊下や階段には所々に花が飾られており、見目美しい。
「お待ちしておりましたにゃるろって様」
「道中ご無事のようでなによりでした」
バルド達『黒狼』が借りた部屋は二部屋だ。バルド、デュアード、ブレイド、バルガス達男性陣の部屋と、セラ、シェリー、ミュンルーカ、ミスト、ネヴュラ達の女性部屋。そこにガッシュが一人部屋を、『猫兎』とにゃるろってが一部屋を新たに借りることになった。
そして集まったのはバルド達が利用している男性陣の部屋である。丁度角部屋であり、隣はセラ達の女性陣が利用する部屋、向かい二部屋が、ガッシュとにゃるろって達の部屋になっており、簡単に聞き耳を立てられる事もない。
「うん。みんなも急遽行き先変わっちゃってごめん」
「構いやしねぇって!」「寧ろ『黒狼』全員で事に当たれて願ったりだぜ?」
バルガスとネヴュラが入室してきたにゃるろってに対し、恭しく頭をたれると、にゃるろっては短く応え頷き、当初二手に別れて行動する予定であった『黒狼』のメンバーに謝罪する。
ブレイドとセラはそんなにゃるろってに明るい笑顔を見せて、彼女を安心させるのだった。実際、『黒狼』のメンバー達は、黒フード……『ディード教団』の親玉であり、ヴァンパイアであり、『死霊使い』であるエリクシルに対し、一矢報いたいと思っているのだ。
バルドとアイギスの朋友のロッド、ミュンルーカと懇意にしていたエイブン、シェリーとデュアードの間に割って入って来たエミリア……いずれも皆、『黒狼』達とは親しくしていた友であった。その彼等を『死者の幻影』などと言う無粋極まりない術で利用して、安らかな眠りを妨げたのだ。
「ももちーじゃありませんけど、ちょっと一撃『粉砕』! ってしてやらないと気が済まないんですよね~」
「エミリアは正直困ったとこもあったけど、なんだかんだで一緒にいて楽しい子だったのよね……」
「ああ……面白い、女。だったんだ……」
「アイギスとデールの分も俺がその『死霊使い』に一喝してやりたい」
ミュンルーカ、シェリー、デュアード、バルドと。それぞれに闘志を秘めた瞳で、その思いの丈を口にするのを見届けたにゃるろっては、彼等の戦意は十分と不敵な笑みをこぼす。
「オッケー、じゃあ作戦の詳細。詰めていこうか!」
打倒『ディード教団』を掲げ、今、戦士達が動き出そうとしていたのだった。
アリス「ユニちゃん先輩、実際に何が見えたんでっす?(・_・)」
ユニ「えっとね~(*´∇`) ミーナちゃんがこう、バァーってなって(ノ≧▽≦)ノ アリサおねぇちゃんがワーってなって~(≧▽≦) ユニ達がこう~ドドーンってなってたの!ヾ(≧∀≦*)ノ〃」
アリス「……全然わかんねぇでっしゃろいΣ(;゜∀゜)ノ」
ユニ「えー(*´・д・) アリスちゃんしゅぎょーが足りないよぉ?(*´艸`*)」
アリス「(´・ω・`; )」
ヴィクトリア「それにしてもさぁ(´・ω・`; ) イクシオン……( ´Д`)」
イクシオン「むほぉぉ?( ̄O ̄)」
アルナ「いえ、「むほぉぉ」じゃなくてですね……(゜A゜;)」
ティリア「あんたもう少し身嗜みを整えたらどうなの?(;´∀`)」
TOSHI「その丸に「知」ってシャツ……ダセェぞ?(¬_¬)」
RYO「しかも下に履いてないとか(>_<) せめてスカートとかを……(_ _)」
イクシオン「うぇっほーぃ♪ヽ(*>∇<)ノ なに言いはりますでんしゃろーっ!?(*`▽´*) これぞわっち!( `д´) イクシオンのあいでんてー♪゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜」
ヴィクトリア「アイデンティティーって言いたいのね?(゜∀゜;)」
オネェさん「でもぉ~お三方とも、もぉぉっと筋♥️肉( *´艸`) つけましょぉ~?(*´▽`*)」
レグス「おおっ!(°▽°) それはいいですね!(≧∇≦)b」
珠実「だ、そうじゃぞヒヒイロや( ´_>`)」
ヒヒイロ「えっ!Σ(O_O;) わ、私ですか!?(;>_<;)」
アリサ「そうだねぇ~ヒヒイロくんはもちっとマッチョになってもいいね(  ̄- ̄) アイギスみたいな細マッチョになろうか?(´∀`*)」
珠実「筋肉と言えばバルガスの奴もゼオンの坊主もむっきむきじゃなぁ(´・∀・`)」
ドム「ほう( ,,-` 。´-) ゼオン殿と言えば『セリアベール』の冒険者ギルドマスターでしたね?(゜ー゜*)」
キャルル「あー(゜〇゜) わたしちょっと前に会ったことあるよ!(v^ー°)」
ウィーリミア「私もあるわ(^ー^) 確かに体の大きな方だったわね♪( ´ー`)」
アリサ「多分その頃から更に筋肉ついてるはずだよ?(´∀`;)」
珠実「オネェさんよりむきゃーってしとるやもしれんのぅ?(*´艸`*)」
オネェさん「なんですってぇぇーっ!?Σ(*゜Д゜*)」
レグス「何て事だ!?Σ( ̄□ ̄;) ウカウカしてるとオネェさんが目移りしてしまう!(;´゜д゜)ゞ 鍛えねば!。゜ヽ(゜`Д´゜)ノ゜。」
オネェさん「あらぁん♥️ これは一度会いに行かなきゃだわぁ~♪:*(〃∇〃人)*:」
受付嬢A「にゃるろってちゃんは~どうして『ゲキテウス』に来たのかなぁ~?(´▽`*)」
にゃるろって「ガオォーッ!ヽ(*>∇<)ノ ってする王ちゃまを見てみたいからだにゃ~♪(*`▽´*)」
受付嬢A「可愛い~♪ヾ(o≧∀≦o)ノ゛」
受付嬢B「陛下は子供達に人気よねぇ?(*゜ー゜) 大きくて強そうでカッコいいって(^-^)」
にゃるろって「そうなのにゃ?(=゜ω゜=) ますます見てみたいにゃ~!ヽ( ̄▽ ̄)ノ」
受付嬢C「私も陛下に肩車されるにゃるろってちゃんが見たいかも!ヘ(≧▽≦ヘ)♪」
ギルドマスター「おぉーい……お前達仕事しろぉ~(*T^T)」




