134話 集う各国代表とティターニアの婚約者
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【立ち直らせまんす】~ホホイホイホイ~《イクシオンview》
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「ちょぃなぁ~? 主神はん、大丈夫でんす~?」
「うぅぅ……もうイヤ、私……主神辞める……なんなの? 旧神共の性格の悪さは!?」
「ったく……胸糞悪ぃってな俺も同意すらぁな。だが、今は駄目だぜ?」
はいはい~みなはんご機嫌よろしゅますでんす~♪ わっちイクシオンって言います~『知識神』なんても、呼ばれたり呼ばれなかったり~もしまんすんけども、どうぞよろしゅうしてやっておくんなさいまし。
さてさて、そんなわっちがいるここは『神界』でおまんす。『剣神』からちょいとばかし、下界の様子を覗くのに使う『神鏡』を、そんの下界の者との連絡手段にしてもらえないか~? なぁんて、頼まれたんでんすわぁ。
わっちも主神はんが流しとる、噂の「アリサ」はんが気になっておりましてなぁ~? なんでも、その「アリサ」はんのおる『ユーニサリア』では今、結構な問題が起きてるって~話じゃありますのん?
あのシェラザードから始まって、いけすかないヴェーラのお婆が、ルヴィアスが興した国の民を相手に無法の限りをつくして断罪させられたりと……むぉふぉ~! 話題に事欠きませんですやろがい!
「まぁまぁ~やってもうた事を悔やんでおりましてんも、事態は好転しまーせんでんす。ほらほら? わっちが重ぉぉい腰を上げて協力するんでんすよ? しっかりしておくんなさいまし!」
「そうよティリア! そうしていつまでも気落ちしてちゃ、元凶のロアの思うツボじゃない!」
「過ちは誰にでもあるものです。それが神でも、主神の貴女でも。責任の取り方なんて、問題を解決してからいくらでも考えればいいじゃないですか?」
さて、その『神界』の主神ティリアはんがおます、この宮殿。わっちをはじめ、『闘神』のTOSHIはんに『勝利の女神』ヴィクトリア。『幼女神』アルナはんとが集まり、ベッドで泣きはらして弱音吐きまくりのティリアはんを一生懸命に励まして立ち直らせようとしておりますんよ。
と言うのも、『ユーニサリア』に侵攻した魔神を裏で操っていたのが、あのクソ自己中大馬鹿ロアの計画だったという事実が発覚したからでおまんす。普段引きこもりのわっちもあの騒動は驚くものでありんしたが……勇者はんに討たれ、送還されて来た魔神を消し飛ばしてもうたティリアはんは、その事実を知り、こうしてうちひしがれておられますのん。
「うぅぅ……ごめん、ごめんなさい……魔神……私、私……とんでもない事を……」
ぐすんぐすん……と、泣き続けるティリアはん。困りましたなぁ~これは立ち直るのに時間を要しますんでんすね。
「参ったぜ。こいつは重症だ……」
「イクシオン、なんとか出来ないかしら?」
「このままですと、『保守派』も行動を起こすかもしれません」
ほへんほへーん……わっち以外『新神』な皆はんでおまっしゃりますでんすしねぇ~、ほへん~まだまだ経験も浅いのは否めんでおまんすなぁ~? よごでんしょ! ここはわっちが、「あはぁ~ん♥️」と、一肌脱いで差し上げまんしゃろでんす。
「ちょっ~い荒療治になりんます。『知識神』のわっちが見せまんしょ。ホホイホイホイ、ほんにゃらうんべっぴょ~♪」
「っっ!!?」
わっちが施す、とある魔法を受けて、カッ!! と、ティリアはんの目が大きく見開きまんす。そして、そのままティリアはんはプルプルと震えだして……
「い、いやあぁぁーっ!! アリサ姉さん!! TOSHIぃぃーっ! みんなぁぁぁーっ!!!」
「なっ!? ティリア! しっかりしろ!?」
「ティリア! ティリア!? どうしたの!?」
「イクシオン何をしたんですか!?」
わああぁぁーっ!! って、叫び取り乱すティリアはんを見て、TOSHIはん等があわてふためきまんすけども、大丈夫でんすよ? どうか落ち着きなはんまれ~?
「ひぐっ! うぐ……はぁはぁはぁ……い、今の、今のヴィジョンは……」
「未来。で、おまっしゃるんでんすよぉ~ティリアはん?」
「未来ですって? イクシオン、貴女ティリアにどんな未来を見せたっていうの?」
一瞬でおましょ? ですけんど、しっかり見えた筈でんすよね? ティリアはんに寄り添うアルナはんが彼女の涙をハンカチで拭っておりまんす。わっちは睨み付けるTOSHIはんとヴィクトリアの眼光をサラリん♪ と受け流してティリアはんが今見たヴィジョンを説明しまんする。
「未来。でおまんすよ? ティリアはんが今のまま……うちひしがれていたまま進んだ先の時間軸。そん中でも最も考えられうる最悪の未来線でおまでんす」
今の『神界』は非常に危ういパワーバランスの上に成り立っておりんす。この『神界』にいるティリアはんは、『ユーニサリア』にいる遍在存在のティリアはんとリンクを一時的に切り離しているので、そちらは……まぁ、恐らく大丈夫でおましょ。
問題はこちらでござんすよ。主神ティリアはこの『神界』の改革を進めている『革新派』のリーダーでもありんでんす。若い神々と共に、『神界』をより良くしようと働き掛けているでんすね?
それに対して、変化を嫌う旧い神々……老神とも、石頭とも揶揄される連中が改革を進める彼女を疎ましく思っており、対立する体を貫いておりんすよ。『無限魔力』持ちのティリアはんと、『ジョーカー』とも謳われるTOSHIはんの存在が抑止力となって、面だっての抗争は起きておりんせんでんすけれど……
「……ティリアが無気力状態になったこの機を逃さず、老神達が動き出すっていうのね?」
「わっちは『静観派』でんすけれど、このアリサはんにひじょーに興味津々でんす! 彼女が『神界』のいざこざに巻き込まれて、その在り方が損なわれるのは避けたいでんすまし~♪」
「も、持って回った言い方しないで下さい……ティリアを助けてくれたなら、きっとアリサお母さんだって貴女に感謝するはずですよ!?」
ひょっひょぉぉーう!! ほんまでおますのん!? わっち、アリサはんとお近づきになれるんでんすぅ? っとと、失礼こいたでんがしょ。ヴィクトリアはんの仰るとーりでんがしょ、あの石頭共は力じゃ敵わないと見るやあの手この手を使うに決まっとりまんする。
「そもそもあのクソ馬鹿ロアのやってることをあの老神達が知らんはずねーのんでおましょ? それを敢えて見て見ぬふりしとりまんは……ティリアはん? あんたさんを蹴落としちゃいてーからに他ならねーのんでんす!」
「ぐぬぬ……っ! あいつ等、知ってたって言うの!? む、ムカつくぅぅーっ!!」
「腹立つわね……どうせその事を言及しても「気付かない方が悪い」とか言い出すんでしょうし!」
むひょ♪ ティリアはんの目に生気が戻ってきましたんねぇ? よごでんす、よごでんすよぉ~? 怒りとは己を奮い立たせる単純でいて効果的な感情でござまんすからね!
「ティリア。大丈夫そうですか?」
「ええ! 心配かけたわねみんな? イクシオンもありがとう。これからも『革新派』の仲間として私を支えてちょうだい」
「うひゃぉぉ~? ちゃぁんとアリサはんとの仲を取り持ってくだんしゃいませねぇ~?」
アルナはんの心配そうな顔に力強く頷き、わっち等にその引き締めた表情を見せはりますティリアはん。うん、完全に立ち直った様子でござますな! わっちはアリサはんとお近づきになれるなら、『革新派』に鞍替えするのも吝かではねーのんでございますでんすよ~♪
「……ちなみに、アリサのどこがそんなに気に入ったんだよおめぇ? 『神鏡』でチラッと見ただけじゃなかったか?」
「にょっほぉぉ~! 実は一目惚れでございますでんすよぉぉ~TOSHIはん♪ あの可憐さ! 黒髪! ぅむぇろぉ~なぼでぇぇ~! なのに相反するかのような清廉な魂! どれをとっても最高でござまんしょぉぉ~? 更に聞けば、恋に初しいんきゃわぁーっ♥️ な、一面もあるとか!? そのくせアルナはんに「お母ちゃま」呼びされて「してません! お母さんです!」るとかぁぁーっ!? 推せる! わっちの神生かけての最推しでおまんすわぁぁーっ!!」
「めっちゃ早口!!」
「独特な言い方も相まってなにを言ってるのかわからないわ!」
「まったく! お母ちゃまだなんて……こ、今度試しに呼んでみますかね……」
あれまぁ~? イヤでございまんすよぉ~そんなに見つめられたら照れてしまいますよってん!
「呆れてるだけだと思うわよ? まぁ、立ち直らせてくれた事には感謝するわ」
にゃぁんとぉ? わっちのどこに呆れる要素がございますってぇんです!?
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【邪魔するぜ】~『獅子王』~《大地view》
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「よぉ~お邪魔するぜぇ? おめぇが『獅子王』か?」
『ナカナカ良イ面構エシテルジャアネェカ? コノデケェ大陸ヲ治メル王ダケハアルナ!』
「なぁっ!? 何者だお前ら!?」
「おや、こいつは驚いた。わたしでも気付かない程の隠行とは恐れ入るねぇ?」
ガタガタッ!! 俺の突然の訪問に慌てて椅子を転がし、立ち上がっては振り向いた『獅子王』が叫び、構えるが、側にいた婆は落ち着いたもんだ。
「おお、ちっと姐御に頼まれてな。挨拶しに来たぜ? 西はこの『白虎』こと大地様の領分だからよ?」
『俺様ハ『聖域の魔女』アリサ様ガ丹精込メテ造リ上ゲタ『魔装巨人』ノ「ぶっ飛びヒャッハーくん」ダゼ? 畏怖ト敬意ヲ込メテ、「ヒャッハー」ッテ呼ビナ!』
ロアの野郎の『魔装戦士』が世界各地に襲撃を仕掛けた以上、最早魔王との戦いは『聖域』の……いや、神々だけの問題じゃなく、全世界共通の大問題になった。てぇことはだ。この世界に住まう連中にもその事実ってぇのを知ってもらう方が混乱は少なくなるってのが姐御達の見解なわけだ。
だが、闇雲に情報をばら蒔いちゃ駄目だ。段階を踏む必要があらぁな。手始めに各国の代表、つまり王達と接触し、現状を伝え認識してもらうとこから始める。
「なんだと……かの『四神』である『白虎』だと!?」
「様を付けなレオ坊や。不出来な坊やが失礼したねぇ~大地様。それに……今朝方はこの国を護って下さってありがとうねぇ、ヒャッハーさんや。わたしはこの国を支えてる魔女。ウォーラルって者さ、よろしく頼むよ?」
魔女だと? この婆……やけに落ち着いてやがるな? さっき「気付かない」とか抜かしてやがったが本当にそうか?
『オイ大地、コノ個体カラヘンナ力ヲ感ジルゾ? マスターニ似タ力ダ、ソレニ……存在ソノモノガ不安定ニ見エルゼ?』
「おやおや、流石に『聖域の魔女』様の力作だね? そうさ、あたしゃちと特殊な存在でねぇ、害はなさないから内緒にしてくれるかい?」
ヒャッハーがこの婆に姐御と似た力を感じるとか言い出しやがったぞ? 気にはなるが、まぁ、今は構ってる暇もねぇしな。
「いいぜ。この国を支えて来たってんなら信用してやらぁ。でだ。いつまで呆けてやがんだ獅子王?」
「うおっ!? あ、いや、済まねぇ。ちょいとついていけなくてよ。俺は敬語だの苦手でな、悪いがこのままで行かせてもらうぜ? でよぉ? かの有名な『白虎』様が何の用で来たんだ?」
ははっ! いいじゃねぇか。俺を前にして中々肝の据わった野郎だぜ。王ってんならそんくらいじゃなきゃあな! 変に媚び売ってこられたりしたら逆にイラついて仕方ねぇってもんだ。
「応。おめぇ等も知っての通り、今日の朝っぱらから鳥みてぇな『魔装巨人』共が各国の主要な都市に港を襲撃して来ただろ? そいつ等についての重要な会議ってのをこれからおっ始めるとこなんだわ」
「世界各国だと!? マジか『白虎』様!? ゼオンの『セリアベール』は! ココノエの『エルハダージャ』はどうなったんだ!?」
『落チ着キナ~? ドノ国モ大シタ被害ハ出テネーゼ?』
「やはりそうかい……この『ゲキテウス』だけじゃあなかったんだねぇ?」
この獅子王はゼオンの友人で、ちょっと前まで『誉』って冒険者パーティーを組んでたって言うからな。仲間の国の事も心配なんだな? ま、ヒャッハーが言ったように大した被害はねぇ。婆は他国も襲撃受けたとか言う情報を手に入れてたのか?
「今回の襲撃の真実ってのが主神ティリアから説明される。おめぇ等にも少し関わりある内容も含むからな? よっく聞いて考えてくれや?」
「なんだとぉぉ!? 主神ティリアだって!?」
「これは驚きだね! 創世の三女神様が出てくるのかと思いきや、まさかの主神様かい!」
『既ニ『ルヴィアス魔導帝国』ニ『セリアベール』ノ連中ハ待機中ダゼ? オ前等モ準備ガ出来タラ俺様ニ言イナ!』
ははは! 流石にこの情報には驚くか? なんせ神の頂点に立つ主神自らが話すってんだから無理もねぇ。この会議の開始予定は今日の昼。まだ少しは時間あるからな、誰に聞かせるかしっかり考えてくれよ?
「城の重鎮共に声かけなレオ坊や! あたしゃ騎士団と魔法師団のとこに行くよ!」
「応! こうしちゃいらんねぇ! 大地様、ヒャッハーさんよ、ちょいと待っててくれよ!?」
「ああ、勝手にここで茶でもしばいてるぜ~?」
ドタバタドタバターって騒がしくこの、執務室って言うのか? を駆け出て行く獅子王と婆。ウォーラルって言ったあの婆……見かけに依らず機敏な動きじゃねぇか? マジに何者なんだろうなアイツ?
『後ハマスターガ向カッタ『エルハダージャ』カ。『ジドランド』ニハ、アイギス達ト、アルティレーネガイルカラナ』
「おお、他の小せぇ国とかへの連絡はコイツらに任せておきゃ大丈夫だろ」
さっきも言ったように、この情報は闇雲に流せばいいってもんじゃねぇからな。デケェ大陸にデケェ国家の『ゲキテウス』と『エルハダージャ』。まだ国とは呼べねぇが俺等にも馴染み深い『セリアベール』。言うまでもなく巨大な影響力を持つ『ルヴィアス魔導帝国』。それでもって『ジドランド』は世界に流通してる貨幣なんても作ってる重要国家。あのアーグラスの仲間、『ドワーフ・ロード』のジドルが興した国。
そういった世界に影響力のある国家にまで情報を渡す。と、同時、あわよくば味方に引き入れて置きたい。ってのが主神ティリアにヴィクトリア達の狙いだ。あの主神と女神達は今、これから行われる各国共同防衛戦線会議の準備を行っている。
『今朝方ノ規模ノ襲撃ガ、『偵察型』ジャナカッタラ……ソウ思ウト、ゾットスルナ、大地?』
「その対策の為の防衛線だぜヒャッハー? やるしかねぇ!」
俺は知ってるぜ? この世界に住む奴等の底力ってヤツをな! あの『セリアベール』の『氾濫』防衛戦で見せてくれたど根性! 今回も期待してるぜ!
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【準備着々】~ルォン皇子~《ティターニアview》
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「急ぎなさい! 時間がないわよ!?」
「はい! ティリア様!!」
『聖域』を襲撃して来たロアの『魔装戦士』を撃退した私達は、各方面に散った皆さんからの報告で、今回の襲撃が世界規模のものであった事を知りましたの。今回は相手側も様子見らしく、襲撃して来た『魔装戦士』達は主に偵察が主体であり、難なく撃破できました。けれど、次はそうはいかないでしょう。
偵察に放った『魔装戦士』が悉く落とされたと知ったロアも本腰をあげて次なる手を打って来る。
アリサ様の報告でロアの目的が新たな実験場とするべく、この世界を滅ぼす事だと知った私達は、そのあまりにも身勝手さに皆憤りを感じ、徹底抗戦の構えを取りますわ!
「神殿の会議室はこんなもんでいいかティリア様よぉ!?」
「ええ、じゅうぶんよ! ありがとうヘルメット!」
この事態に私達『聖域』の面々は、手始めとして世界に名だたる大国に向け、メッセージを送る事にしましたの。既に事情を知るゼオンさん率いる『セリアベール』と、ルヴィアス陛下率いる『ルヴィアス魔導帝国』にも協力して頂いて、『ゲキテウス王国』と『エルハダージャ王国』にも助力を願うのですわ! メッセージの送り主となるティリア様の本気を伝えるべく、この神殿内を駆け回る『建築班』は会議室のセッティングに大忙しですの。
「ティリア様の……いや、我々『聖域』の総意を世界中に届ける大きな案件だ! 映像魔装具設置よいか!?」
「応よぉーっ! 入出力テストもバッチリだぜフェリアさんよぉーっ!!」
「アルティレーネの向かった『ジドランド王国』との連絡は!?」
『はい! こちらアルティレーネですヴィクトリア。事情はジドル王に伝え、了承を頂きました』
会議室の装飾に、各国との通信状況、連絡に不備がないか? 参加する者達の正装は大丈夫か? 等々、確認事項は多岐に渡りますが、皆さんとても真剣ですわ。私も妖精国の女王として、この場に立つ事となりますので、身嗜みのチェックに余念がありませんわ!
『へぇ、決まってるじゃないかゼオン? そうしてる君を見てるとユグライアを思い出すよ』
『応。なんなら話すかルヴィアス? 祖先もお前さんと話したいって言ってたしよ?』
『……『聖柩』で『三神国』の王を憑依させたって報告はマジみたいだな?
今はいいよ。昔を懐かしんでいたら話が終わらなくなってしまうからね』
『おっほぉぉ~♪ お久し振りじゃなぁ~ルヴィアス陛下にゼオン殿~?』
『ジドル王。相変わらず元気いっぱいだね? って、早速酒入ってるじゃないか?』
『久し振りだなジドル王。今回は協力してくれて感謝する! ははは! アリサの嬢ちゃんが作った弁当に『聖域』産の酒で景気づけたぁ恐れいらぁな?』
うふふ♪ 魔装具のテストも兼ねて繋いだ『ルヴィアス魔導帝国』と『セリアベール』に新たに『ジドランド王国』も参戦ですわね? 会議室に並ぶモニターには正装を身に付けたルヴィアスさんとゼオンさん、そしてジドル王が仲良くお話されておりますが……うぅん、流石はドワーフの国の『ジドランド王国』ですわ、こんな朝っぱらからお酒を皆さんで楽しまれておりますの?
「『ジドランド王国』接続。状態良好のようです。『ゲキテウス王国』に向かわれた大地さんとヒャッハーさんはどうですか?」
「アルナちゃん。さっき連絡はきたのです! 王ちゃまには伝えたそうで今準備中なのです!」
「では残すはアリサ様と珠実様が向かわれた『エルハダージャ』ですな……」
「それが……あなた。さっきからそのお二人に連絡が届かないわ……」
続けて、これから参加を請う国家。西の『ゲキテウス王国』と東の『エルハダージャ王国』へと向かわれた『四神』の白虎こと大地さんにアリサ様が作られた大型の『魔装巨人』であるヒャッハーさん。そして、そのアリサ様ご本人と女神の『懐刀』の『九尾』珠実様の状況を確認しているのがアルナ様とポコ様、ガルディングさんとセレスティーナさんですわね。
「奥様。もしかするとアリサ様方は『エルハダージャ』の女王と謁見されているのかもしれません。その際に呼び出されても困るでしょうし、敢えて応えないのではないでしょうか?」
リリカが私の衣装を整えながら、不安そうなセレスティーナさんにそう応えますわ。それに、気になるのであれば『人猫』に変身中のアリサ様に確認を取ってもらえばよろしいのではなくて? と、私から付け加えておきます。
「うむ、その通りですな。セレスティーナよにゃるろって様に連絡を取ってみようぞ?」
わかったわ。と、ガルディングさんの言葉に頷いたセレスティーナさんは、早速にゃるろってちゃんに呼び掛けておりますわね。
『……うん。そうみたいだにゃ。聖女と珠実は『エルハダージャ』の冒険者ギルドのマスターのオネェさんと一緒に王城に向かったから間違いないだろうね。
そして……多分『ココノエ』は不安定な存在の自分を護る、特殊な結界みたいな物の中にいるんだと思うよ? それこそあの『聖柩』みたいなね。だから時間ギリギリまで待ってあげて?
それと、私もこれから『教団』に潜り込む事になるから、連絡は取れないって思ってほしいかにゃ』
了解しました。そう言ってにゃるろってちゃんとの連絡を終えたセレスティーナさんは、後方に控える女神様達にその旨を伝えましたわ。
『そうか……なら仕方ないかな。しかし、一度会って見たかったんだけどなぁ~『エルハダージャ』の女王、『ココノエ』にはさ』
「私達にもその正体を掴ませないなんてね? 何者なのかしら?
まあ、それはそうと。ルヴィアス? あんたの息子くんはどうしてるの? 帝国の皇子なんだし、参加してくれるんでしょう?」
『ああ、勿論さティリア。今、諸侯達を連れて来ると思うよ?』
中々に謎の多い人物である『エルハダージャ王国』の女王も確かに気になりますわね。ですが、今は敵でないことがわかればそれで構いませんわ。そして、噂の帝国の皇子様の話題。確か、以前アリサ様から聞いたお話ですと、記憶を失った妖精で『ルォン』とおっしゃっるのだとか? ふふ、どんな方なのかしら?
……なんて、のんきにしていた私でしたけれど。
『皆様。お初に御目にかかります。私は『ルヴィアス魔導帝国』皇子、ルォン・オーヴェ・ルヴィアスでございます! 世界を揺るがす問題に対するこの会談に参加出来ること、誇りに思います。我が帝国も全力を挙げて事に臨む次第。どうぞよろしくお願いいたします!』
モニターに映る彼の姿を見て、絶句してしまいましたわ! それは、この『聖域』にいる同朋達も同様。リリカもあまりの事態に開いた口が塞がらない様子ですの!
だって……だって! 帝国の皇子を名乗る『ルォン』さんは……数百年前に行方知れずとなった……『オベロン』! 私の婚約者なのですもの!!
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【オベロン様と】~集う各国代表~《リリカview》
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うおぉぉぉーっっ!!? オベロン様じゃねぇかぁぁーっ!!
『うおっ! 何々!? 妖精さん達どうしたの!? 『オベロン』って誰ぇ!?』
「ルヴィアス陛下! ルォン皇子様こそが妖精国女王、ティターニア様の婚約者、オベロン様でございますよ!? どうしてお教え下さらなかったのですか!?」
『なっ……わ、私が妖精国の女王陛下……ティターニア様の婚約者? オベ……ロン……?』
な、なんということでしょう!!
世界防衛線を張り巡らせるべく、各国首脳の方々にお声掛けし、集まって下さった皆様。その中にはルヴィアス様が率いる『ルヴィアス魔導帝国』の主要人物である方々もお見えになられました。
その中でもルヴィアス様が養子とし、皇子として育てられた『ルォン』様のお姿も……いえ、寧ろ帝国を代表するべく前面にお出でになられたのですが! 見間違う筈も御座いません! あの御方こそ、我等が女王、ティターニア様の婚約者オベロン様! ルヴィアス様もご存知なかったとはわかっていても叫ばずにはいられません! 教えて頂きたかったと!
「ああ……オベロン……生きて、生きていてくれたのですね……私……私はもう、半ば諦めかけていましたのよ!? よかった……本当に、本当によかったですわぁぁぁーっ!」
わぁぁーん! と、その端正なお顔をくしゃくしゃにして、ティターニア様が泣き叫びました。無理もありません、オベロン様が行方知れずとなったのは、もう、かれこれ数百年前のことですから。
『なんと! ルォン殿下は妖精国の!?』『これは、なんとめでたい!』
『お、驚いた……ルォンはね、何百年か前に『勇者の山脈』で行き倒れてたんだよ。俺はよく、その先の『ランバード公爵領』に通ってたからね、偶然見付けて慌てて保護したの。そん時に、「大丈夫か? 何でこんなとこにいるんだ?」とか、色々質問したんだよ』
帝国の皆様も私達と同じくらいに驚かれ、長年行方知れずであったオベロン様と、ティターニア様との再開に喜んで下さっておられます。そして、ルヴィアス様もまた驚かれ、戸惑いつつも、『ルォン』様を養子としてお迎えされた経緯をお話して下さいました。
『その時のルォンはもう息も絶え絶えでさ、かろうじてだけど「私は……ルォン……オ、ヴェ」って聞き取れたんだ。んで、そのまま意識失っちゃってさ。「ヤバイ!」って思って速攻城に連れ帰って手当てさせてもらったよ? だけど……コイツ何日も目を覚まさなくて……漸く起きてきた時にはもう、記憶なくしちゃっててさ』
灯台もと暗しとはよく言ったものです……私も旅のついで、オベロン様の行方は探しておりましたが……まさか行き着いた『ランバード公爵家』の直ぐ近くにおられたのですね。
『そ、そうだったのですね? 私はそれまでの事を全く覚えておらず……気付いたら養父さん達に看病されていました……申し訳ございませんティターニア陛下。大切な気持ちすらも……私は……』
「いいえ、いいえ! いいのですわ! 貴方が、貴方がちゃんと無事でいてくれた……私はそれだけでも嬉しいですわ!」
うおぉぉぉーんっっ! よがったなぁぁーっ!? おめでとぉぉーっ!!
「よかったでっすねティターニア! アリスも嬉しいでっすよぉ~♪」
「よかったわねティターニア! 私も嬉しくなっちゃうわ!」
「しかし、記憶をなくしてしまっているのだろう? 何故行方知れずとなったのかもわからず仕舞いか?」
「それに……貴女への想いも?」
アリス様と『四神』の朱美様、爽矢様、水菜様がティターニア様と、彼女を支える私の側にやって来ます。オベロン様が見付かった事に喜んで下さると同時、ティターニア様への大切な想いまでも失ってしまっていることに哀れみを見せておられますが。
「大丈夫ですわ。妖精には記憶を司るテュッティがおりますの。あの子にかかればオベロンの失った記憶も甦らせる事ができましてよ!?」
おぉぉぉっ! それならば!! うむっ! ルォン殿下の記憶も無事戻るのですな!?
「いいじゃない♪ それならこうしましょう? 今起きてる魔王問題を片付けたらさ、アリサ姉さんに頼んで盛大にティターニアとオベロンのことをお祝いしましょう! 勿論それだけじゃないわ! 『セリアルティ王国』もゼオンが中心になって復興が始まる……そして、行く行くは『リーネ・リュール王国』も『ルーネ・フォレスト王国』も復興が始まるわ! その前祝いとしても、超盛大にパーティーおっ始めましょう!!」
ウオォォォーッ!! それは是非とも参加せねばなるまい! 我々の、いや! 世界の新たな門出だぁぁーっ!! やりますぞぉぉーっ!!
素晴らしいです! ええ! オベロン様の記憶はテュッティがきっと甦らせてくれるでしょう!
ティリア様が集まった各国首脳の各々方に向け、高らかに宣言される様に、皆様大いに盛り上がります! 確かに難局を向かえている現状ではありますが、これを乗り越えたその先には何とも輝かしい未来が待っているのです!
「今はロアの『魔装戦士』からの襲撃に備えなきゃいけない時。そして、魔王達との決着をつけなきゃいけないわ! その為には私達だけじゃ駄目。あんた達、みんなの協力が必要なの、お願い! 力を貸してちょうだい!!」
『応応応!! 盛り上がってんじゃねぇか!? そんな盛大な祭りに俺達『ゲキテウス』が参加しねぇ訳にはいかねぇなぁーっ!?』
『ひゃっはっは! いいねぇ~この婆も思わずはしゃぎたくなっちまうよぉ~♪』
おぉっ! ゲキテウス王! 『三賢者』ウォーラル殿!!
そのティリア様の呼び掛けに応えるように、雄叫びと一緒に『ゲキテウス王国』を治める『シャイニング・レオナード・ゲキテウス』陛下がモニター越しにお見えになられました! その後ろには『三賢者』のお一人、ウォーラル様。そして、『ゲキテウス王国』を支える名だたる貴族様方に、騎士団、魔法師団の皆様のお姿も!
『よう~ゲッキー! 久し振りじゃねぇか! 相変わらず元気そうで安心したぜ!』
『久し振りだね、レオ♪ 君が協力してくれるなら心強いぜ!』
『うぉっほっほ! こりゃぁ楽しくなってきおったのぅーっ! レオちゃんも盛大に暴れようぞ!』
『はっはっは! 『誉』時代を思い出すぜ! よろしくなゼオン、ルヴィアス、ジドル! でもって、お初に御目にかかるぜぇ主神様よぉ!』
「ありがとう、誇り高き『獅子王』貴方達の協力に感謝するわ!」
圧巻。世界各国のそうそうたる顔ぶれが、この『聖域』の神殿の、会議室のモニターに映し出される様子はその一言につきますね。
さあ、後はアリサ様と珠実様が向かわれた『エルハダージャ王国』のみです! かの東の大国が協力して下されば私達の守りはより磐石なものとなります! 期待せずにはいられません。
ゲッキー「聞いたぜ!?( ≧∀≦)ノ 美味い飯食えるってよぉ!(^∇^)」
ゼオン「わはは♪(*゜∀゜) やっぱ食い付きやがったなゲッキー?(^ー^)」
ルヴィアス「フフフ( ^ω^ ) 凄いんだぜ~アリサ様の、『聖域』の飯はさ~!( *´艸`)」
ジドル王「うむうむうむ!( ・`ω・´) この弁当に酒のなんと美味たることか!(*^▽^*)」
ゲキテウスの皆「うおぉ?Σ(*゜д゜ノ)ノ ジドル王の食されているあの食事!(;゜0゜)」
帝国の皆「お弁当!?( :゜皿゜) なんと美味しそうなのだ!?(`□´)」
セレスティーナ「ああ、アリサ様がメビウスで作り溜めしていた物ですわね?( ´ー`)」
ガルディング「お料理の研究として沢山お作りになられておりましたな?(*´∇`)」
ユニ「えへへ♪(*´∇`*) ユニとアリアちゃんも手伝ったんだよ~♪(ノ≧▽≦)ノ」
ウォーラル「肉に魚に野菜、色とりどりだねぇ~(*゜Д゜) ちょいとパーシヴァル?(。・`з・)ノ あんたその弁当こっちに転送しな!(・`ω´・ )」
パーシヴァル「うわはは!(゜∀゜) 何を言うんじゃこの死に損ないの婆めが!(*´∇`) お前なんぞにくれてなどやらんぞい!(*゜ε´*) これは儂のもんじゃ!(`∀´)」
ハイジャフェリラ王「うむむ!(´・ω・`; ) ピザも素晴らしい料理だが……(゜A゜;)」
ガーブルム王「ハンバーガーも!(´∀`;)」
ノヴェダリュス女王「カプレーゼもですわね!(*´∇`*)」
ディベリオン王「魚料理……いやいや!(゜∀゜;) なんと沢山の料理の数々か!?(;゜Д゜)」
オベロン「あ、あのティターニア陛下(´▽`;)ゞ 『聖域』ではこれらの料理が日々供されるのですか?((゜□゜;))」
ティターニア「うふふ♥️ オベロンったら、記憶をなくしても、その焦った時に頬を掻く仕草は変わっていないのですわね?( *´艸`)」
リリカ「ふふ(*´艸`*) やはりオベロン様ですね♪(^ー^) 私共はアリサ様より厳しい訓練を受け、多くの美味しいお料理を学びましたよ!(*´▽`*)」
ナターシャ「『聖域』にお越し下さればご用意致します!ヽ( ゜∀゜)ノ」
ファネルリア「それでもまだまだ、アリサ様ほど多くは作れませんが( ̄▽ ̄;)」
朱美「美味しいのよぉ~?(((*≧艸≦)」
水菜「はい!(*>∇<)ノ この『四神』の『玄武』も保証します!ヽ(゜∀゜)ノ」
みんな「行きたぁぁーいっ!!゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜」
ヴィクトリア「す、凄い熱気ね!?Σ(´□`ノ)ノ」
アルナ「アハハ(;^∀^) なにせ私達女神も虜にする美味しさですからね♪o(*⌒―⌒*)o」
ネハグラ「本当に『聖域』に来て良かったって思うよ(゜-゜)(。_。)」
ジャデーク「だなぁ~(゜ー゜*) 一時はもうダメかって思ったけど、生きてて良かった(;つД`)」
爽矢「ふふふ( ´ー`) 総てに片が付けばその美味な食事も酒も、お主達の手に入ろう?(_ _)」
ティリア「あはは……(;´∀`) アリサ姉さんには苦労かけるけどね(-_-;) みんな!(`Д´)ノ そのためにも頑張ってこの局面を乗り越えましょうね!?ι(`ロ´)ノ」
みんな「おぉぉーっ!!ヽ(*≧ω≦)ノ やってやるぜぇぇーっ!!( `□´)」




