129話 『白銀』と『ジドランド』防衛
アリサ「うぐぐ!( ゜皿゜)」
ユニ「アリサおねぇちゃんなんでそんな面白い顔してるの~♪(*≧ω≦)」
アルナ「あ、それ知っています、てれびげーむってやつですね?(*´∇`)」
アリサ「そう……以前にクラファンで支援したあのホラーゲーム!(。・`з・)ノ」
ティリア「ちょいと前に製品版がリリースされたのよね?(´・ω・`)」
ユニ「へぇ~?(^ー^) よくわかんないけどその待ちに待ったゲームできて嬉しいんじゃないのおねぇちゃん?(^_^;)」
アリサ「嬉しいし、楽しいよ?(-_-;) でもね、でも……(×_×)」
アルナ「ん~?(・о・) でも、なんでしょう?(・д・`;)」
アリサ「ムズい……o(T◇T o) いや、私がへたっぴなだけかもだけど!(>o<")」
ティリア「あら、でも中級でなら一通りクリアしたんでしょ?(゜ー゜*)」
アリサ「上級!( `Д´)/ その後の上級よ!(;ω;) これが難しいの、後二ステージなのにつまづいちゃっててさぁ~それクリアすればまたお話が進むらしいのよ!o(*`ω´*)o」
ユニ「そ、そうなんだ~?(;゜0゜)」
アルナ「私達は頑張って下さいとしか言えませんが……( ̄▽ ̄;)」
ティリア「そうだったのね?( *´艸`) 私はエンディングロールにちゃんと、この作品の名前が出たことが嬉しかったから満足よ♪(*´▽`*)」
アリサ「ちゃんと『特別枠』で支援したからね!(*´艸`*) それにしても配信者達は凄いわねやっぱ( ; ゜Д゜)」
ユニ「う~ん(@_@) なんだかこの画面見てると頭がぐるぐるしてくる~(TдT)」
アリサ「3D酔いかねユニちゃんや?(^_^;) ゆっくり休みたまへ(_ _)」
私「のんびりゆっくり楽しんでおります(*゜∀゜) 後持病の腰痛が痛い……(ノ_・、)」
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【ジドランドの国章】~ヴァンデルホン~《パルモーview》
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「なん、じゃと……? しょ、少年よ。もし、今の話が誠なれば……世界を揺るがす大事ではないか!?」
「そうだよ? だからこそ女神様達自らが動いて各国家に直接出向いてるんだ、同時に魔王に対抗するべく対策も施しながらね」
僕が助けたこのお爺ちゃん。なんて都合の良いことに『ジドランド王国』の『賢者』で相談役なんかもやってるんだって! まぁ、覚えたての『飛行魔法』で調子にのって飛んでたら魔力切れ起こして、落っこちる。っていう、おっちょこちょいな面もあるみたいだけどね?
僕はアイギスの兄ちゃんに『ジドランド』の国宝『神斧ヴァンデルホン』がすんなりと渡るように画策するため、王様に取り入ろうとしてたところだったから、このお爺ちゃんの存在はうってつけだ。ふふふ……ここで沢山恩を売っておいて、魔王復活の脅威とかを話して、この『賢者』様を味方につけたい。
「うむむ……なんということじゃ! それならば儂からも陛下に『神斧ヴァンデルホン』をその『白銀』がアイギスと言う青年に託すよう進言してみるとしようぞ!」
「ホント!? 助かるよお爺ちゃん!」
おお! やったね、王様も頼りにしているっていう、相談役の『賢者』様からそう言ってもらえるなら王様も考えてくれるはず!
「しかしじゃ! 少年も知っているじゃろうが、『神斧ヴァンデルホン』は我が『ジドランド王国』の国宝であり、国章じゃ!」
え? そうだったの? ごめん、国宝だって話は聞いてたけど、国章にまでなってるなんて知らなかったよ?
「なんじゃ、知らんかったのか? まぁ、少年が現世に現れたのはつい最近のことじゃと言うし、無理ないかのぅ?」
「ごめんごめん、勉強不足だった。謝るからそんなにしょんぼりしないでよ?」
面白いお爺ちゃんだなぁ~こうして話してると、表情が豊かでさ、それが面白くて沢山お話しちゃったよ♪ アリサ様の事も、女神様の事も『聖域』の事も、凄く興味深そうに聞いてくれるんだもん。勿論、僕の素性と目的についても包み隠さずに話したよ?
「ああ、いやいや。儂こそ済まぬな少年……いや、パルモー殿とお呼びせねばならんな! 聞くに、儂なぞ遥かに飛び越えた実力の持ち主じゃ! 敬意は払わねば!」
こういうとこ~凄くいいね! 僕って見た目子供だからよく馬鹿にされたりするんだけどさ。このお爺ちゃんは、全然そんなことしないんだよ♪ ちゃんと僕を認めて、対等に……ううん。それ以上に敬意をもって接してくれる。『相談役』として重宝されるのも頷けるね。
「それでじゃ、話を戻すが。よいかなパルモー殿? お主は今から儂の師匠となるのじゃ!」
「……へぇ~? なるほどね。国が頼りにする『賢者』様。その師匠さんともなれば、王様達も無視出来ないってわけだね?」
パーシヴァルお爺ちゃんの言いたい事は直ぐにわかったよ。確かに国家の『相談役』まで務めるえらーい『賢者』様っていう立場、そのお師匠様が現れたってなれば、それはそれは大事な客人として歓迎されるだろうねぇ~ふふふ♪
「うむ! どうじゃ我ながらナーイスあいでーあじゃろう!? ホッホッホ♪」
「ああ、バッチリだよお爺ちゃん! それなら~見た目も、こうして!」
ぼふんっ!
「お、おぉ!? なんと見事な! 素晴らしい変身魔法じゃな!」
「ふぁっふぁっふぁ……そうじゃろう? どうじゃパーシヴァルよ? お主の師匠ならば儂も相応の歳を取っておらねばなるまい?」
「ああ、いや……別に老人になる必要はないのではないかのぅ? 普段の話し方で話せる方が楽ではないか? ホレ、妖精の血が混じっておる者達なぞ、見目若くとも相応に歳を重ねておるじゃろう?」
あ、そういやそっか。ルヴィアス様のとこのバロードさんにカレンさんも妖精の血が混じってて、見た目よりずっと長く生きてるって言ってたね? オルファさんはまんま妖精だし。んじゃ、そういう設定にして、改めて変身しようかな?
「ほう! パルモー殿はルヴィアス皇帝陛下だけでなく、あの『帝国三人衆』とも面識がおありか!?」
ぼふんっ!
「ああ、無論だ。『聖域』にてお会いし、アリサ様の『無限円環』で共に修行した仲故な。彼等のことはよく知っている」
「おっほぅ! イケメンじゃのぅ! うむうむ、滲み出るただ者ではない貫禄! 素晴らしいぞ、パルモー殿! しかし大丈夫かの? ぽろっと少年のような口調を出してしもうたら怪しまれるぞい?」
「そこは気を付けるよ。んじゃ僕は変身中『パルマー』って名乗るから。妖精の血を引いてる魔法使いってことで♪」
わっはっは! 安直じゃのう~って笑うパーシヴァルじいちゃんだけど。間違いにくくていいじゃない?
こうして僕は『ジドランド』の『賢者』の、師匠って立場を手に入れた。見た目は、若いながらも威圧感のある、『人化の術』で『人狼』の姿になった時のリン様を参考にしたよ♪ うん、シドウじいちゃんや、このパーシヴァルじいちゃんみたいなヨボヨボのおじいちゃんの姿よりは全然動きやすいや。後はパーシヴァルじいちゃんが注意したように、しゃべり方に気を付けておけば大丈夫だろう。
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【予感】~妙な胸騒ぎ~《アイギスview》
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妙だ……なんだこの胸騒ぎは?
私は『リージャハル』から『ジドランド』へと向かう定期船の船上、甲板に移動していた。時刻は既に真夜中。もうじき夜明けと言う時間帯だ。夜空には星が煌めき、その美しさを月明かりがより際立たせている。『世界樹』の『神域』もこのような感じだったな。しかし、その美しさとは裏腹に、私の心はざわめきだち、酷く気になってしまい寝るに寝られず、こうして床から起きてきたのだが……
「アイギス? なんだお前もかよ?」
「ゼルワか、もう船酔いは大丈夫なのか?」
私の背後からゼルワが声をかけてきたではないか? 昼間にあれほど青ざめた顔色は、今じゃ普段通り。どうやら具合が良くなったようで一安心だ。
「おう。おかげさんでな! それよかなんだこの変な魔素の動きはよ? すげぇ落ち着かねぇぜ?」
「わからないが……どうにも嫌な予感しかしないな。他の皆は寝ているか?」
ふむ、具合が良くなったはいいが。微細な魔素の動きに反応して起きてきたと? 流石に敏感だな、私が起きてきたのは、あくまでも勘によることに過ぎないからな……
「ああ、だけどよ……こりゃ起こしたほうがいいかもしれねぇぜ? 下手にこの船上でなんかに襲われでもしたら、船員や乗客まで巻きこんじまう……」
「そう……だな。ただの勘違いであったなら謝ればいいだけのこと。よし、ゼルワ。仲間達を起こそう!」
よっしゃ! と、私にサムズアップして応えるゼルワ。そんな彼と私は客室へと足を向け、他の乗客を起こさないように注意し、仲間が休んでいる部屋に戻ってきた。
「アイギス、ゼルワ。外の様子はどうなの?」
「レイリーア。起きていたか……」「流石だな、サーサとファムさんは?」
静かに部屋の扉を開けると、既にレイリーアが弓を手にして椅子に座り待機していた。彼女の船酔いも治ったようだな、顔色が元に戻っている。
「起きてますよ~? 今着替え中なので覗かないで下さいね?」
「何かあった感じかい? あたしとギドはどうしたらいいさね?」
衝立の向こうからサーサとファムの声が聞こえる。ふむ、どうやら違和感を感じたのは皆も同じらしい。
「なんか魔素の動きが妙だぜ? こう、ピリピリしてるって言うか……上手く言えねぇが」
「夜明けも直じゃのぅ、どうにも嫌な予感がするわい。アイギスよ、儂等が先行して『ジドランド』の様子を見に行くか?」
「……取り敢えず甲板に出ようぜ? ここで話し合ってても何もわからんだろ?」
ドガ、ギド。お前達も起きていたか? よし、そうだな! 皆で甲板に上がろう。
ゼルワがレイリーアの質問に応えると、時計を手にしたドガとギドが衝立から顔を出して来た。二人ともに、着替えや支度は済ませてあるので、やはり私同様何かを感じ取り目を覚ましていたのだろうな。
「この魔素の動き、『氾濫』の時によく似ています。みんな、十分に警戒を!」
「ああ、そうか。確かに似てるっちゃ似てるな? 『ジドランド』が気になるぜ、急ごう!」
そうして私達は皆で甲板に上がって来た。真っ先に確認するのは、向かう先の『ジドランド』方面。
「魔素の動き以外は何も変化なさそうですが……あっ!」
「光った!? 空に一瞬赤い光が見えたわ!」
「待て! 聞こえるぞ? なんかが飛ぶ音……しかも複数だ!」
こういうときエルフ族はその視覚と聴覚の良さが際立つ。うっすらと影が見える『ジドランド』の島を凝視していた我々だが、真っ先にサーサとレイリーアが一瞬の光に気付き、ゼルワが何かが飛ぶ飛行する音を聞き分けた!
「鳥じゃねぇのか? ゼルワ?」「違う。鳥はこんな音出して飛ばねぇぜギド!」
「うむぅ、こりゃ儂等も飛んで見に行った方が早いのう。ファムや、船員に儂等が先行する旨を伝えとくれ?」
「あいよ! ギド、あんたも来ておくれ!」「応! お前ら無理すんじゃねぇぞ!?」
了解だ! よし行くぞ『白銀』先行する!
ギドの疑問に答えながら、私達に首肯してくるゼルワ。それにドガが『飛行魔法』を発動させる! ファムとギドに船員達への説明を頼み、私達は皆で『ジドランド』へと飛ぶのだった。
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【襲来!】~『魔装戦士』達~《パルマーview》
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「起きよパーシヴァル! 敵が来るぞ?」
「ふおっ!? なな、なんじゃノン!? えっえっ!? パルマー師匠、なんですじゃ!?」
僕はこの『ジドランド王国』に、相談役の『賢者』パーシヴァルお爺ちゃんの師匠、『パルマー』として滞在を許可された。王様と大臣に魔王復活の事を話したら、どうも王様達も何か胸騒ぎのようなのを感じていたみたいで、すんなり信じてもらえたよ。そして、アイギス兄ちゃん達がこの『ジドランド』に向かってる事を、占いって形で教えてあげて、彼等がかつての勇者達の生まれ変わりであること……『武神リドグリフ』との戦いに向かうだろうってことを、ちょーっと大袈裟に話してあげたんだよね。
そんな僕の話を聞いた王様達。『神斧ヴァンデルホン』の譲渡にも結構前向きな姿勢を見せてくれたんだけどさ、そこは流石にこの国を象徴する『国章』に『国宝』だ。実際にアイギス兄ちゃん達と会って、話を聞き、本当にこの『神器』を授けるに相応しいかどうかを見極めようってことになった。まぁ、このくらい慎重でないと、逆にこっちが不安になっちゃうから、いいだろう。
そんなこんながあって、アイギスの兄ちゃん達が実際にこの『ジドランド王国』に現れるまで、僕はパーシヴァルのお爺ちゃんと行動を一緒することにしたんだけど……
「感じぬか? この魔素の微細な動きを? 耳を澄ませてみよ? 聞こえるであろう?」
「えええ~? す、済みませぬ師匠! 儂にはさっぱりですじゃ……」
やれやれ、困ったお爺ちゃんだね?
僕が『パルマー』として王様達に認められたその夜だ、いや、もう夜明が近い。国を取り巻く大気の魔素に、ほんの僅かだけど動きがあったんだ。こう、一定方向に集中して流れるようなそんな些細な動きがね? 間違いなく魔素を何かが取り込んで力に変えてる流れだ。そして、今考えられるのは『魔装戦士』だろう。
ルヴィアス様から『無限円環』で聞いた『技工神ロア』って奴は、なんでもティリア様が主神になる以前から存在してる、所謂『旧神』って話だし、その『技工』で復活を隠してたりしてるかも? なんて考えてたんだけど……ビンゴだったみたいだね?
「あ、あれは! 『魔装巨人』ですぞ師匠!? 一体何処から飛んできおったんじゃ!?」
「慌てるな。ふむ、鳥型の『魔装巨人』か……恐らくだが狙いは港であろう。それと偵察も兼ねていると見た」
お爺ちゃんにいちいち口で説明する時間も惜しいので、一緒にバルコニーに出て、実際に確認すれば、いるわいるわ四方に! 夜闇に紛れて飛ぶ鳥を模した飛行型の『魔装巨人』達だ!
「パーシヴァル、直ぐに王に報せよ! 私は迎撃に当たる!」
「りょ、了解しましたじゃ! 御武運を!!」
ダダダッ! って駆け出し、勢いよく部屋から飛び出て行くお爺ちゃんを見送って、僕は早速あの『魔装戦士』達へと向かう。ふん、なるほど。やっぱり港に向かってるね?
「移動手段を破壊して国を孤立させる作戦か。見え透いた手だな『技工神』とやら?」
この『ジドランド王国』は、『聖域』よりも二回りほど大きい島国だ。他の大陸への移動手段は専らに船であり、その玄関口である港には当然、多くの船が停泊している。鳥型の『魔装戦士』の大半がその港を目指して飛行しており、狙いは明白だ。
一方で、一部の『魔装戦士』数体は城をターゲットにしているようで、そちらはパーシヴァルのお爺ちゃんと守備隊に頑張ってもらおうと思う。
「目標捕捉! 一気に蹴散らす!! 『暴風』!!」
ズゴォォォォーッ!! ボボボッボォォーン!!
港上空。なんとか『魔装戦士』からの攻撃が開始される前に間に合った僕は、間髪いれず風の大魔法『暴風』を発動! その名の通り暴れ狂う風が吹き荒れ、『魔装戦士』達を巻き込んでは破壊して行く! 飛行型の敵には滅法強い魔法さ、思い知ったかな?
ズダダダッ!! バシュバシュゥーッ!! ビィィーッ!!
おおっと! ようやく僕を敵だと認識したのかい? 実弾と高熱の砲撃が『魔装戦士』達から僕に放たれる。うん、避けてもいいんだけどさ、それだと街に被害が出そうなんだよね?
「故に! 弾き返す! ふんっ!!」
シャキィィーンッ!! ガガガガガガッ!! ボガァンボガァンッ!! ビィィーッ!!
ふはは! どうだい!? アリサ様直伝のバリアさ! 破れるものなら破ってみなよ!?
僕は『無限円環』でアリサ様から教わったバリアで自分を包み込むと、そのバリアに砲撃が浴びせられる! 機銃の銃弾はけたたましくバリアを叩き、パラパラと地に落ちていく。小型のミサイル? っていうのは当たって爆発して消えていく、ビームとか言った高熱兵器も霧散して消えていく。
『魔装戦士』達が放つどの攻撃も、僕のバリアを破ることは出来ず、楽勝と思われるかもしれないが、とてもそんな余裕はないね、なんせ数が多い!
「あまり長引けば国民達に不安が拡がってしまう……急いで殲滅せねばな!」
ちょっと気張らないとね! って、僕が気合いをいれたその時……
カッ!! ボォンッ! ドォンッ! ドドォォーンッ!!
これは!? 突然『魔装戦士』数機が突然爆発したじゃないか! 何事かと思いよく見れば……ナイフ? この投げナイフが『魔装戦士』を貫いたのか!?
「こんな芸当が出来るのは、彼等しかいまい。協力な助っ人が来てくれたようだな!」
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【守れ!】~『ジドランド』~《ゼルワview》
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「うっし! 命中だ! 続けていくぜぇ!」
「アタシも負けてらんないわね! 射撃が本業なんだから!」
「あ、あれ! 『ジドランド』にも実戦で『飛行魔法』を使いこなす人がいたんですね?」
「ああ、驚いたな! もしや伝え聞く『賢者』様だろうか?」
「んん~!? 『ジドランド』の『賢者』様はもっと高齢じゃったはずじゃがのぅ?」
神気を少し纏わせて投げつけるナイフが、飛行型の『魔装戦士』に突き刺さり、魔力爆発を起こして散らして行く。レイリーアの射る矢、サーサの放つ魔法、アイギスの一閃、ドガの投げ斧がこの『ジドランド』の港を空襲する鳥型の『魔装巨人』共を次々に撃ち落として行く!
やれやれだぜ、なんとか間に合ったか!?
定期船から『ジドランド』の異常を感じ取った俺達は、皆『飛行魔法』ですっ飛んで来た! 感じた予感通り、ロアの『魔装戦士』からの攻撃を受けてるところだったぜ!
「協力に感謝する。勇者達よ! 済まんがこの場を頼んでも良いか?」
「勇者って、あんた何者だ? 『ジドランド』の魔法兵か?」
駆け付けた俺達だが、そこで見たのは『魔装戦士』と戦う一人の男。豪奢なローブに身を包み、鋭い眼光、高い背丈に長い銀髪……それに何より……すげぇ神気だ。こんな実力者がこの島国にいたのかよ?
「済まぬ、王城にもこやつ等が襲撃をかけているのだ、王が心配故に話はその後にしたい!」
「了解した魔法士殿! ここは私達が守り通そう! 『神の護り手』!!」
なんだって!? 港だけじゃなく城にまで来てんのかコイツ等!? こりゃ確かに悠長に話してる暇はねぇな! 緊急事態だ、この魔法使いの言葉にアイギスがアリサ様から賜った『神の護り手』を即座に発動させる。
「アリサ様のように島全体を覆う事は出来ないが、この港くらいならば!」
「行って下さい魔法使いさん!」「ここは儂等が引き受けたぞい!」
「感謝する!」
バシュゥゥーッ!!
アイギスの『神の護り手』発動を見届け、サーサとドガの言葉に一つ頷き、城に飛んでいく『ジドランド』の魔法使いを見送り、俺達は残る『魔装戦士』と向き合う! へっ! この程度の奴等、魔王との前哨戦にもなりゃしねぇ! 蹴散らすぜ!
「各個撃破していては徒に時間を浪費するだけだ! まとめて叩くぞ!」
「任せいアイギス! 儂が引き付ける故、サーサ広範囲魔法じゃあーっ!」
「了解! 派手に行きますよ!」
ウオオォォォーッッ!!
散らばる『魔装戦士』共を見てアイギスがまとめて一掃する作戦を叫べば、ドガが応える! 『戦士の咆哮』だ! 敵の敵愾心を煽り、自分に向けさせる『戦士』の特技! 『魔装戦士』共が一斉にドガに向かって来る!
「ワッハッハ!! この間抜けな『魔装巨人』共が! まんまと引っ掛かりおって! うぬ等の攻撃なんぞ蚊ほどにも効かんわい!」
ガキィィンッ!! ガガガッ!
放たれる『魔装戦士』の銃撃も全部ドガの持つ大盾が弾く、その上傷すらついていねぇ! それもその筈。俺達が身に付ける装備はどれも女神様の作った力作! この程度の攻撃じゃびくともしねぇ至高の逸品なんだぜ!?
「消し飛びなさい! 『破壊の暴風』!!」
ズッゴォォォーッ!! ドゴドゴドゴォォォーン!! ボンボンボンッ!!
ドガに集中してきた『魔装戦士』をサーサがユナイトから教わった風の魔法、『破壊の暴風』で一掃する! この魔法は本来の使い手であるユナイトが自身を弾丸と化し、荒れ狂う暴風を纏って敵を粉微塵にするってもんだが、サーサは無数の『魔力弾』に各々暴風を纏わせて撃ち出している。
「よし! 残りは僅かだ! 一気に叩くぞ!」
「応! そうだお前ら! 『神器』も試しておこうぜ!」
「オーケー♪ これから『ヴァンデルホン』をお迎えするんだし、揃い踏みね!」
大半がサーサの魔法で爆散する『魔装戦士』だが、やはり少しは残る。その残敵の一機をアイギスがフォトンブレードで一閃! 俺も続くぜ! って、ふとラインハルトから預かった『神槍アルティリオン』の事を思い出し、手に取った。槍は久し振りだが、この『ジドランド』の『神斧ヴァンデルホン』で『神器』が全部揃うんだ、使ってやるか。まだ一回も使ってねぇし、ここいらで一つ試すのもありだろ?
「ふっ、いいだろう! よし、港の『魔装戦士』を一掃し、あの魔法使いの応援に向かおう!」
そんな俺の呼び掛けに応える皆だ。よっしゃ! 手早く蹴散らして王様と御対面と行こうぜ!
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【王城防衛】~再編成?~《レイリーアview》
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「流石だな、もう港は片付いたか……」
「ヤッホー♪ 『ジドランド』の魔法使いさん! 応援に来たわよ!」
「魔法士殿! 城に被害は!? 『ジドル王』はご無事ですか!?」
ドォォーンッ! ドガァァーンッ!
『ジドランド』王城に響くあちこちからの爆発音。アタシ達は港を襲った『魔装戦士』を殲滅して、応援に駆け付けたの。そこにはさっき出会った『ジドランド』の魔法使いさんが『飛行魔法』で飛び回り『魔装戦士』を各個撃破していたわ。
「ああ、人的被害はないそうだが、城の一部が破壊されたな。下手に範囲魔法を使うわけにもいかず手間取っているが……」
「師匠ぉぉーっ! 守備隊と儂とで西側は殲滅完了ですじゃぁぁーっ!」
「「「うおぉぉーっ! やりましたよパルマー様ぁぁーっ! 次行きまぁぁーす!!」」」
「──と、我が弟子のパーシヴァルも城の守備隊も迎撃中だ」
話の途中にお城の窓から、なんか立派な髭を蓄えたお爺さんと数人の兵士が大声で叫んで、手をブンブン振っているわ。どうやらさっきのドッカンドッカンはあのお爺さん達らしい。ほっ……誰かが犠牲になってなくてよかったわ! お城の一部が壊されてしまったのは仕方ないって思えても、人の怪我はそう納得できるものじゃないものね!
「パーシヴァルって……世界に名だたる『三賢者』の一人じゃないですか!? あ、貴方はそのお師匠様なのですか!?」
「話は後だサーサ! 今は迎撃を!」
ブゥゥンッ……
「──エミルくん。ティリア。ルヴィアス。アイギス。ヒャッハーくん。それぞれ状況を報せてちょうだい」
「「「アリサ様!」」」
おっと!? パルマーって呼ばれた魔法使いさんの話を聞いていたサーサが、『賢者』についてどーのと聞き返そうとしてるのを、アイギスが止めたタイミングでアリサ様が映像通信を展開してきたわ。アタシとサーサにアイギスの三人揃ってアリサ様に応えようとしたんだけど、『魔装戦士』が接近しているわ! 仕方ないわねアリサ様との応答はアイギスに任せて、アタシとサーサ、『ジドランド』の魔法使いさんで迎撃するわよ! あ、因みにゼルワとドガは別方向からそれぞれに迎撃に当たってるわ。
ビュオンッ!! ドゴォォーンッ!!
アタシが『神弓フォレストスノウ』で射る矢が、魔法使いさんとサーサの放つ魔法がそれぞれ、城の周りを飛ぶ『魔装戦士』を撃墜する! 安心してアリサ様の連絡に応えてちょうだい!
「こちら『白銀』! 現在、『ジドランド』にて同じく飛行型の『魔装戦士』と交戦中! 『ジドランド』側から一人の魔法使いが我々に接触、協力体制を築いています!」
それにしてもコイツ等一体何処から湧いて来たのよ? これだけの数の『魔装巨人』を一斉に仕掛けて来るなんて……おかしいわ! まさかアリサ様のポーチみたいに、どこかに収納されてるとか!? 待ってよ、そんなこと出来るのはそれこそ製作者……ロア本人なんじゃ!?
「作戦の遂行を急ぎましょう。アイギス達『白銀』は予定通り『神斧ヴァンデルホン』を手に入れて!」
「了解! お任せください、その後『グレブヒュ火山』に赴き、『武神リドグリフ』との決戦に挑みます!」
兎に角! 今はこの城を攻撃してる『魔装戦士』をやっつけるのが先ね! その後でジドル王や、あの魔法使いさん達ともお話しなきゃね! アリサ様から他のグループの状況も聞かせてもらいたいわ。
「っしゃオラァーッ! 後何機だぁぁーっ!?」
「儂の故郷を攻撃するとは不届きな奴等めが! 逃しはせんぞ! ドラアァァーッ!!」
ドゴォォーッ!! ズドォォーンッ!!
あら!? アタシ達と反対側に回ってたゼルワとドガが槍と斧振り回して『魔装戦士』をドッカンドッカンと爆発させながらこっちに来たわ。ということは、あらかた片付いたのかしら?
「……ふん。終わりか? 城に港……この島全体にこの『魔装戦士』と同等の魔力探したが、感知できん」
見上げるとお城の高い尖塔のてっぺんで、さっきの魔法使いさんが周囲を見下ろして『魔装戦士』の取り逃しがないかを確認してるわね。アタシも周囲を確認してみたけど、機影も気配も感じないわ。
「むぅ! なんじゃ、終わりかの!?」
「私も探査魔法を張り巡らせていますけど……見つかりませんね」
「う~ん、アルティリオンあんま試せなかったな~?」
うん。ドガもサーサもゼルワも、アタシももう『魔装戦士』の気配を感じない。襲撃は終息したんじゃないかしらね? そう思って武器を降ろすみんなだけど……
「パーティーの再編成ですか? アリサ様、一体何があったのですか?」
映像通信でアリサ様と連絡を取り合っていたアイギスが驚いたような声を挙げたのを聞いてアタシ達は振り返ったわ。
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【次なる手を】~歓喜する技工神~《エリクシルview》
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「……世界各地へと向かわせた偵察機。全滅との報せでございます……ロア様」
「うむ。それでいいのである……こうして情報は集まっている故に」
私は苦々しいこの報告を『技工神ロア』様へと、忸怩たる思いでお伝えした。折角ご用意下さった『魔装戦士』を用いての世界各国同時攻撃も、あの忌々しい女神の手先や冒険者に阻まれ、ろくな成果もあげられずに失敗してしまったのだ! おのれ! 口惜しや!!
今回の作戦は、『完全隠蔽』にて、完全にその姿を隠した『魔装戦士』を世界の各主要国家と都市、そして大陸間の行き来を断ち、孤立分断させるべく港へと派遣した。
これにより国家はその中枢機構を麻痺させられ、体制を維持できなくなり、助けを求め別大陸に逃げようとしても、港と船が破壊されているため、それも叶わず更なる混乱を生み出していたに違いあるまい! そこに追撃とばかりに、だめ押しの『魔装戦士』を追加投入し、一気に制圧するつもりであったのだ!
「ふふふふ……見よエリクシル。この抵抗する、いと小さき者共を」
「はっ」
我等が『ディード教団』の地下神殿。その最奥のこの部屋に、偵察機より送られてきた映像を映し出す不可思議な……板? と、言うのか……を見てはほくそ笑むロア様である。ひざまづき、かの神に報告をした私を呼ぶ声に応え、顔を上げる。
「如何にも「物足りない」と言わんばかりではないか?」
「むぅ……忌々しい限りで御座いますな……」
確かに。いくつもの映像に映される女神の息のかかった者達は、なみいる偵察機を歯牙にもかけず撃ち落としている。きゃつらの力がこれほどのものであるとは思いもしなかった。今では『ロストマジック』等と呼ばれ、その使い手も一握りであろう、『飛行魔法』を、さも当然とばかりに行使していることにも驚きである。
「……応えてやらねばな?」
「ロア様?」
クックックとその顔を伏せながらも楽しそうに嗤うロア様だが、不意に腰かけていた椅子から立ち上がり、告げる。
「こうでなくてはならん。吾が輩の実験はまだまだ始まったばかりである!
嗚呼……なんと叩き甲斐のあることか……もっとだ、もっと楽しませよ。この『ユーニサリア』を創造せしめし三女神達よ! 主神よ! 『聖域の魔女』よ!」
ブルリ! おぉぉ……なんと、なんと頼もしきことか! 楽しんでおられる!
ロア様のその嬉々とした表情に私は高揚を隠せず身震いしてしまう! そうだ、まだ我等の理想郷を目指す戦いは始まったばかりなのだ! くふふ、そう思うと私まで笑みがこぼれてくるではないか。
「さあ! エリクシルよ! 吾が輩の『魔装戦士』を存分に使うのだ!」
「ははっ! ありがたきお言葉! 感謝致します!」
フハハハっ! 最早遠慮はいらぬ! ロア様自らが『魔装戦士』を存分に使えと仰って下さったのだ! 手早く次なる作戦を立案して、再び攻勢に出てやろうではないか!?
「時にロア様。この移動要塞の浮上は如何なされますかな?」
「ふふふ、気が早いなエリクシルよ? この要塞が空に舞うは、奴等女神達が絶望の時……今はまだその時ではなかろう?」
ははっ! その通りで御座いますな。ふふふ、『魔装戦士』で地上を焼き払い、慕う国や人々が泣き叫び死んで行く様を見せつける!
焦土と化した世界に膝を折る女神共を! この移動要塞にて更なる絶望を与えてくれよう!
とくと味わうがいい! 私達が受けた痛みを! 恨みを! 貴様達が創造する世界など! 歪極まりないこの世界など、存在する価値無しである!
港船舶ギルド職員A「うおぉぉ!?Σ( ゜Д゜) 何事だぁーっ!?((゜□゜;))」
港船舶ギルド職員B「ま、魔物が突然現れやがったーっ!Σ(*゜д゜ノ)ノ」
港船舶ギルド班長「慌てんじゃねぇーっ!(`□´) 灯台に赤の光石を設置しやがれぇ!(`Д´)ノ」
港船舶ギルド職員C「き、緊急時の赤い光!Σ(´д`*) りょ、了解!("`д´)ゞ」
港船舶ギルド班長「伝達用の魔鳩を叩き起こせ!( ゜ 3゜) 警鐘鳴らせーっ!ι(`ロ´)ノ」
港船舶ギルド職員D「りょ、了解!(*`・ω・)ゞ 直ちに各方面に伝達します!(*`エ´)」
港船舶ギルド職員A「警鐘の魔装具起動ぉぉーっ!( `□´)」
ウゥゥーッ!! ウゥゥーッ!!
ギド「おぉ~相変わらず船舶ギルドは仕事が早いぜ(^ー^)」
ファム「もう警鐘灯に警報が鳴り出したね(゜-゜)(。_。)」
定期船船長「お二人とも、情報の提供に感謝します!(^o^ゞ 本船は暫くこの海域に停泊し、状況によっては『リージャハル』へ引き返す事になります!( ・`ω・´)」
ギド「あいよ( ´ー`) まぁ、アイツ等が向かったんだ、直ぐにカタが着くだろうぜ(*`▽´*)」
ファム「そうさねぇ~アイギス達『白銀』に任せておけば安心さね(*´▽`*)」
定期船船長「( ゜□゜) あの、お二人はこの状況でも落ち着いていますが、何か事情をご存知なので?(*`Д´*)」
ギド「あ~(ーωー) 突拍子もねぇ話だから信じられねぇかも知れんぞ?(・о・)」
ファム「それでもいいなら話すさね(_ _) 船舶ギルドは国と国を繋ぐ重要な機関だし、事態は把握しておいてもらいたいねぇ?(;・ε・ )」
定期船船長「是非ともお聞かせ下さい!(*`・ω・)ゞ」
アイギス「皆、攻撃は下手に避けるな!(*`ω´*) 流れ弾で街に被害が出るぞ!( `□´)」
ゼルワ「あいよ!( `д´) 切り払うぜ!(ノ`Д´)ノ」
サーサ「障壁を張ります!(*`Д') いざというときはそれで防いで!(°▽°)」
レイリーア「サンキュー♪(´▽`) 受け止める手段の乏しい『弓士』にはありがたいわ!(*´∇`)」
ドガ「上手く飛んで上空に弾を反らすんじゃ!( ゜ロ゜) しかし、あの魔法使いは何者なんじゃ?( ゜Å゜;)」
アイギス「相当な手練れだ(; ・`ω・´) 世界は広いという事だな?(´゜ω゜`)」
ゼルワ「話は後だ!(`□´) 街に被害出る前に一気に叩くぜ!?(`Д´)」
白銀「おぉーっ!!(*`Д´)ノ」




