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TS魔女さんはだらけたい  作者: 相原涼示
16/211

16話 魔女と動き始める者達

──────────────────────────────

【二度目のお風呂】~猫は切なく鳴く~

──────────────────────────────


「この『万能言語』って能力のおかげでセインちゃんとかグリフォン達の言ってることがわかるんだよね?」

「うん、そう。とても便利」


 レウィリリーネがモコプーの一羽を抱きながら頷く。

 モコプー達五羽にミーナを綺麗に洗って、妹達とゆったり湯舟につかり、私は自分の履歴書を確認している最中だ。さっきの説明に上がらなかった能力について詳しく聞きたいと思ったからね。


「でもこの子達とは意志疎通できないよね? なんで?」

「この子達はまだ幼いからですよ、もう少し成長すれば普通に会話できますよ」


 私はレウィリリーネと同じように、モコプーの一羽を抱き抱えてアルティレーネに聞いてみたんだけど……小さいは可愛い(ミニムーラブリー)で小さくなってるとは言え、まだ赤ちゃんみたいなものらしい。いや、マジか……確かに戦いに参加したモコプーは一軒家のような大きさだったけど。うーん、異世界だねぇ。


「ミーナちゃんは……普通に知識が乏しいのかな?」


 フォレアルーネがミーナの狭いオデコを撫でながら苦笑いしてる。ミーナとおしゃべりしたいのかな?


「まぁ、普通に猫だもん」


 ミーナはしょうがない。この子は結構おバカだからね、そこがまた可愛くて仕方ないんだけど!

 で、そのミーナは洗われるのをもう~これでもかってくらい嫌がって、にゃあぁ~にゃー! ってずっと鳴きっぱなしだったよ、それでも最後の方は諦めたのかもぅ、切なそうににゃぁぁ……ってなっていた。猫ちゃんあるあるですね。


「でも随分気に入ったみたいだよね! って寝ちゃダメ~!」


 馴れたのかミーナは今湯舟の縁に上半身を出してお腹から下を湯につからせて気持ち良さそうにしている。うとうとして寝ちゃって溺れても困るので、フォレアルーネが注意して見てくれている。


「そうそう、私が迷うことなくこの屋敷に帰って来れるのって『神眼』のおかげであってる?」

「ううん、ちゃうよ~? アリサ姉は普通に入れるし、見つける事が出来るようにしてあるんよ」


 そのままフォレアルーネに疑問に思った事を聞いてみる事にした。隠蔽されて、隔離までされるこの屋敷を私は普通に認識できる。その理由は『神眼』にあるって思ってたんだけど……どうも違うらしい。


「簡単に説明すると、この屋敷に認証機能があるって事」


 なるほどなるほど~レウィリリーネの簡単簡潔な説明だと、屋敷が人物認証しているって事だ。スマホとかの顔認証みたいな感じかもしれないね。


「『料理』はまぁ、わかるけど……この『創薬』っていうので神々の雫(ソーマ)を作れるって事でいいの?」

「ん、それと『無限魔力』のおかげ」

「以前フォレアが「神々の雫(ソーマ)は主神、ティリア姉様しか作れない」と言っていたのを覚えていますか?」

神々の雫(ソーマ)を作るには『無限の魔力』が必要になるから、ティリア姉にしか作れないんだ~」


 なるほど、私はティリアの加護で同じように『無限魔力』を持っているから神々の雫(ソーマ)を作る事ができるんだね。神々の雫(ソーマ)のおかげでだいぶ助かったって面もあったし……今後もありがたく使わせてもらおう。


「『聖霊召喚』ってのは、ミーナとユニの事だよね? そもそも『聖霊』って何?」


 ミーナとユニはそれぞれ『聖霊』として、私達の前にその姿を見せてくれている。この子達を具現化させる『聖霊召喚』は、『聖域の魔女』としての権能。『思い』を具現させるやつの究極だそうだ。

 では『聖霊』とはなんなのかと言うと、簡単に言ってしまえば『使い魔』の上位互換なんだって!

 『使い魔』は召喚された時点で強さというか、能力と言った……そうだね、ゲームで言うところのステータスが固定されるみたいで成長性はないらしいよ。

 対して『聖霊』はちゃんと伸びしろがあって、召喚主の成長に合わせて共に強くなっていくのだそうだ。ユニは世界樹(ユグドラシル)(コア)だけあって、その伸びしろは計り知れないそうな。


「ミーナも、もしかしたら将来は凄く強くなるかも知れない」

「あはは! こののんびり屋が強くなるかなぁ~?」


 レウィリリーネの言葉に思わず笑ってしまう。火照った体をお風呂場の床のタイルの上に寝そべらせ一休みしてるミーナの背中を、ツンツンってつついて「うにゃぁ~ん」


「わかんないよぉ~? アリサ姉の『聖霊』だもんアリサ姉みたいに魔法使えるようになるかも!」

「ふふっ♪ ミーナは強かろうが弱かろうが側にいてくれさえすればそれでいいんだ~」


 何と言っても私の心の支えだからね。ミーナがいてくれなかったら前世の私は早々に自暴自棄になって人生を諦めていただろう。そして、こうして転生して妹達と出会うこともなかったと思う。


「ねー? ミーにゃん♪」

「にゃぁん♪」


 ふふっ可愛い♪ 妹達も思わずにっこりだ。


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【魔女の秘密】~アリサさんはむっちんぼでー~

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「さて、二枚目はこんなもんでいいとして……次はこっちか……」


 私は一枚目の履歴書に目を通す。


─────────────────────────────

 名前[アリサ] 性別[女]

 身長[154cm]

 体重[47kg]

 BWH[90・57・90]Gカップ

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 いやいや、化け物か私は? 最初に感じたグラビアモデルみたいだって感想は間違いじゃなく、まんまそのものだわ……90超えるバストを持ちながら体重47kgしかないとか。


「やりすぎでしょうこれ~? あんた達、私をスーパーモデルか何かにでもしたいのかね?」

「あっはっは♪ すごいっしょ? そのサイズ! どうせなら個性ほしいよねってうちが遊び心でいじったらアルティ姉もレウィリ姉も気に入ったみたいでさ!」

「ティリア姉様は凄く複雑そうな顔をされていましたけどね……」

「ん、でも一度そうしちゃうと戻すのも忍びなかった……」


 まったく、キャラメイクでつい、遊び心が出るのは私も経験があるからわかるけどさぁ~。


「こんなんあっても使い道なんてないでしょうに……」

「えぇっ!? アリサ姉何言ってんの! 将来カレピッピつくってそのエロエロぼでーで悩殺するんじゃん!?」


 はぁぁぁ~? なに言ってんのって私のセリフです~! 悩殺とかありえんわい! ビッチじゃないんだから!

 って、待てよ?


「私達って『不滅』持ちよね? 子孫……子供ってできるの?」


 ちょっと恥ずかしい内容だけど、気になるのではっきりと確認しておきたい。万が一……いやいや、それすらないかもしれないけど……もしも! もしも、私にもその……こ、恋人ができたとして……!


「アリサお姉さま……そうですね、男神と女神と分けられているように、私達も子を身籠る事は可能です」

「ん、でもかなり希少らしい。そして産まれる子が『不滅』持ちとは限らない」

「うちも聞いた話だけど~一度子供産むと数百年は妊娠しないとかなんとか?」


 うぅ、みんな真面目に答えてくれてるのがなんか恥ずかしい……でもちゃんと女性としての機能は備わっているらしい……じゃあ、本当に、もしかしたら将来は私も……?


「そもそも『不滅』持ちは性欲がほとんど無いから、そういう行為に至ることが少ない」

「うふふ、ですから……私達は『愛』を大切にしているんですよ?」


 きゃ♪ ってアルティレーネが恥ずかしそうに頬に両手をあてて、テレる……いや、可愛いなこの妹。こっちまでテレるわよ。

 レウィリリーネが言うこともわかる、死ぬことが無い以上、種の存続ってのが当てはまらない位置にいるわけだし、子供が産まれにくいのも納得だ。

 それにしても、愛される事が前提なのか……


「アリサ姉? どったの、そんなに思い詰めた顔して? うちらの説明聞いてショック受けちゃった?」

「ん~なんていうか……こんな元男の変な女の私を愛してくれるような男性なんて、いるのかなぁ~って思っちゃってね。ごめんね心配かけちゃったね?」


 大丈夫だよってフォレアルーネの頭を撫でる。ん? あれ……なんで三人ともそんな鳩が豆鉄砲くらったような顔してんの? 私変なこと言ったかね?


「驚きました……ネヴュラさんが施した精神のズレの修正がこれほど効果的だなんて」

「ん! アリサお姉さん、今凄く女の子だった♪」

「う~ん! アリサ姉~可愛い♪」

「きゃっ!? ちょっとフォレア! いきなり抱きついたら危ないでしょーっ!?」


 むぎゅ~ってフォレアルーネが抱きついてくる、滑って危ないから~転ぶから~!


「大丈夫ですアリサお姉さま! 絶対、絶対います!」

「んっ! んっ! アリサお姉さんを変だなんて思う奴はいない!」

「当然っしょ? なんせうちらが丸二日かけてメイキングしたぼでーに加えて~アリサ姉だよ!?」


 うおぉ!? 妹達が怒涛の勢いで私に迫ってくるのでちょっとびっくりした。でも、この子達がそう言ってくれるのは嬉しいね……ほんのちょっとだけ、その……期待、しちゃおっかな……エヘヘ♪


「はっ!? 待って下さい! アリサお姉さまに、恋人候補が現れると言うことは!」

「っ! ……あたし達のアリサお姉さんが、とられる!?」

「NTRか!? 駄目っしょ! そんなの絶対に許さーん!」


 えっ? えぇっ!? ちょっとなに言い出すんだ妹達よ? そこは普通におめでとうって言ってくれるとこちゃうんかーい!?


「ただでさえ定命の男性はとても、その……え、えっちだと聞きます!」

「そうだよ! 特に人間はスケベだし……アリサ姉のエロぼでーに群がっちゃう!?」


 いや、怖いこと言わないでよ! 元男だからわかるし否定できないけど! うぅ……でもそういう目で見られるって事も、確かに覚悟しないといけないんだ。想像すると恥ずかしくなる。


「大丈夫……アリサお姉さんはあたし達が、『聖域』に住まうみんなが総力をあげて守り通す!」

「アリサお姉さまと恋仲になりたいという輩には私達が試練を与えるとしましょう!」

「ティリア姉にも相談して、とびきりの難題を考えておかなきゃね!」


 ……あー、まだ見ぬ未来の私の恋人さんや、なんかごめん。だいぶ苦労をかけそうです。どうもティリアだけじゃなく、『聖域』に住まうみんなも巻き込もうと画策している妹達。私のために考えてくれてるので、なんも言えません。

 まぁ……私は恋愛経験なんて無いに等しい、前世ではそれどころじゃなかったからね。『神眼』のおかげで騙されるって事はないかもしれないけど……恋は盲目っていうしなぁ~。

 う、いけないいけない、変な事を考えてたらのぼせて来た。


「さぁ、そろそろあがろうか?」

「「「はーい!」」」


 ホント仲良いわよねぇ、この妹達。

 私達はそれぞれ髪を乾かし、寝間着に着替えてお風呂場を後にしてみんなが待つリビングへと戻る。見ればユニとティリアが談笑している姿が見えた。


「お待たせユニ~お風呂あがったから一緒に寝ようか?」

「アリサおねぇちゃん、おかえりなさい♪」


 ぎゅむってユニが私に抱きついてくるので、ぎゅって受け止めてリビングに目をやると。パルモーとフェリアがテーブルに突っ伏しているじゃないか。何があったん?


「まったく勝てません……ティリア様が強すぎる」

「アハハ……ボクなんてユニちゃんにパーフェクトで敗けたよ」

「お帰りなさいみんな、いい湯だったかしら?」


 どうやらユニとティリアにオセロでこてんぱにやられたみたい、ティリアとはまだ勝負してないけど、ユニには私も全然勝てなかった。テーブルゲームって私強くないんだよね。

 ティリアの言葉にいい返事で答えるアルティレーネ達、早速ティリアにさっきの私の恋人候補が現れたら~について話し合いが始まったみたいだ。私は正直横になって休みたいのでパスさせてもらった。


「パルモーも早く寝るのよ? フェリア、本当に不寝番で良いの? そこまでしてくれなくても大丈夫だよ?」

「はーいアリサ様♪」

「アリサ様、お気遣い感謝致します。問題ありませんよ! ですが、そうですねこの件に関しても後々相談させて頂ければと思います」


 うん、りょーかい♪ フェリアは礼儀正しいから一見疎外感を感じさせるけど、屈託ない笑顔でそう言ってくれると安心するね、これから長い付き合いになるんだし、少しずつでも仲良くなっていこう。パルモーは素直に割り当てた部屋に入って行く。


「じゃあ、私達も寝るからみんなおやすみなさい♪」

「おやすみなさ~い♪」


 抱き上げていたユニをそっと降ろしてっと。


「おやすみなさいアリサ姉さん、ユニ、ミーナちゃん」

「お休みなさいませ」

「ん、また明日」

「お休み~♪」

「お休みなさいませアリサ様、ユニ様」


 みんなに挨拶して部屋に戻る、ミーナとユニも一緒だ……うん? モコプー達もついてくるね? あんた達も一緒に寝たいのかね? よかろうよかろう~♪


「今日は一日お疲れ様ユニ」

「アリサおねぇちゃんこそお疲れ様♪」


 私とユニ、ミーナとモコプー達は部屋に戻りベッドに潜り込む。広い屋敷に広い部屋だ。ベッドには私とユニが、モコプー達には軽く毛布とリヤカーに乗せていたクッションを用意してあげた。

 ミーナは専用ベッドをもみもみして、まるくなり、くあーっって欠伸をしては寝始める。

 私もやはり疲れていたのか、ベッドに横になると直ぐに睡魔が襲ってきた。これならすぐに眠れそう……


「うん、おやすみなさいユニ~」

「おやすみなさいアリサおねぇちゃん」


 ユニの声を聞きながら瞼を閉じると、心地よい眠気が迎えてくれる。今日はホント疲れたね……


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【魔女さんの逆恨み】~ぱふぱふ~

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 気付けば白い世界に私はいた。あれ、ここって確か……


「アーグラスに会ったとこ?」

「アリサ」


 声が聞こえたので振り向けば、そこにはアーグラスの姿があった。なんぞコイツ、転生先に還ったんじゃなかったの?


「アーグラス、何? また私を呼ぶなんて、伝え忘れた事でもあったの?」

「あぁ、大事な事を言い忘れていた」


 なんだろって思ったら、私はアーグラスに抱きしめられていた。え、どういうこと!?


「ちょっ! な、なにすんの!?」


 なんで! 抵抗できない!? 体が動いてくれないんだけど!?


「アリサ……好きだ」

「うえぇっ!!!??」


 なになになになになにーっっ!!!??

 どういうこと!? アーグラスはティリアが好きだって!? 言ってたじゃん!?

 パニクっている私の顔にアーグラスの大きな手が優しく添えられて、私は勝手にアーグラスと見つめ合う。おぉい! なんで勝手に体が動くんだ!?


「アリサ……」


 アーグラスの顔が、唇が近付く。だだだ駄目! キスされちゃう!!

 私は抵抗しようと体を動かそうとするんだけど、まったく動かない! どうなってんの!?

 あぁ~駄目ぇ! 待って! あんたはティリアが好きなんでしょ~!


「待ってぇ!!!」


 って叫んだと同時に……目が覚めました……


「っ、はあぁぁ~焦ったぁ~私はなんちゅう夢見とるんだ!?」


 ホント焦った、とんでもない夢だったよ、これはあれだ……お風呂で妹達と話してた内容のせいだ。しかしまぁ……あのヘッポコ勇者めぇ、ファーストキスの相手はちゃんと両想いの人じゃないとイヤだっての!? 次に会ったら文句言ってやる!

 なんて一人憤っているとなんか胸の辺りに圧迫感がある事に気付き見てみれば、ユニが抱きついている。だから夢でアーグラスに抱きしめられたんだなぁ~。しかし、この子は抱き付き癖でもあるのかね?


「今何時だろう?」


 私に抱きついてすやすやと安らか寝息をたてるユニを起こさないように気を付けて、時計を確認する。ちなみにこの世界の時間は前世と同じで一日二十四時間。だけど、一年は三百六十日なのだそうだ。


「四時……また中途半端な時間に目が覚めちゃったな」


 カーテンの隙間から外を覗けばまだ薄暗い。この世界には四季ってあるのかな? 気持ち肌寒いから秋頃かなぁ~って勝手に思ってるけど、今度妹達に聞いてみよう。


「あぅんっ!? な、なに?」


 不意に体に電流が走ったような感覚を受け、何事かと見てみれば、ユニが私の胸を手で押さえ自分の顔に押し付けている……これってかの有名な「ぱふぱふ」じゃないか。


「ちょっ……ユニ~駄目だって……しょうのない子なんだから」


 変な声出ちゃったよ、もぅ……朝から恥ずかしい。

 代わりのもちもちクッションをユニに抱かせて、なんとかぱふぱふから脱出。ユニのふわふわの髪を撫でながら今日の予定を考える。今日はみんなで結界を張って、その流れで四神達の名付けをして……


「『聖域』の作物の現地調査、世界樹周辺の切り拓き、妖精達の出迎え……それぞれにリーダー決めて振り分けるか」


 タスクの多さにとてもじゃないけど私一人では回せない、そのため、各班に分けてリーダーを決め仕事を割り振ろうと思う。いや、仕事って言っちゃうとなんかヤダな、でもまぁ仕方ないか。


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【エスペル】~昨夜はお楽しみでしたね~

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 ん? ミニマップに味方を示す青マークが近付いて来るね。こんな朝っぱらからなんだべ?

 今時計が六時を回ったところだ、ミーナとモコプー達はすでに起きており、何故かベッドで横になっている私の上に乗ってくる。

 仰向けの私の胸から首にミーナが箱座りでどーん。時々私の顔をぺしぺし叩いてくる。右腕にはユニが寝ているが、いつの間にかもちもちクッションがモコプーの一羽にとって変わられていた。

 左腕、脇に潜り込むように一羽、お腹の上に一羽、両足、太ももの上に一羽づつ。


「いや、流石に重いわあんた達! いい加減どきなさいよ!?」

「プープー!」「うなあぁーん!」


 が~って私が吠えるとまるでなんでなんで~? とでも言わんばかりに鳴き出すこんちくしょうども。えぇぃ! やかましわ! ちゃんと自分の寝床で寝んかーい!!


「うぅ~ん……アリサおねぇちゃん、朝からなに暴れてるの?」

「あぁ、ごめんねユニ。起こしちゃったかな?」


 眠たそうに瞼をこすり、ユニがむくっと起きあがってきた。私が思わず叫んだせいで目が覚めちゃったらしい、ごめんね~。


「うぅんだいじょうぶ~ふわあぁ~おはよーアリサおねぇちゃん♪」

「おはよーユニ♪ よく眠れた? 昨日のモコプーが屋敷に来るみたいだよ」


 ミニマップの青マークの自動鑑定はモコプーを示しているようだ、昨夜連絡したようにこちらに移動しているんだろう、この世界の鳥類は夜目効くのかしら?


「どれどれ~あ、フェリアちゃんだ」


 ユニがシャーってカーテンを開けて外を見る、窓からは昨日会議した庭が見え、そこにはフェリアが帯剣して空を見上げている。私達も同様に空を見上げて見ればそこには巨大なまんまる。


「ホントだ~ねぇねぇ、モコプーちゃんにこの子達見せてあげようよ!」

「そうだね、あの子の名前も付けてあげたいし。行こうか」


 ユニとミーナ、五羽のモコプーを引き連れ庭へ移動する。


「おはよう、モコプー随分早いじゃないか。ふふっ一番乗りだな」

(おっはよーございますフェリアさーん♪ わたし嬉しくていてもたってもいられなかったので朝一で来ちゃいましたよ~! それで、わたしの同胞達はどこでしょう?)

「あぁ、それなら……」


 庭に降り立ったモコプーをフェリアが出迎えてくれてるみたいだ、普通に屋敷に来れてるところを見るに、モコプーも屋敷が認証してくれてるんだね。


「おはようモコプー、お仲間ならちゃんとここにいるわよ」

(魔女様~って! あれれ? 随分ちっちゃくなって!)

「おはようございますアリサ様、ユニ様……えっと、ミーナ様も」


 はい、おはよーフェリア、不寝番ご苦労様。と、労いの言葉をかけて、「異常ありませんでした」って報告を受ける。お礼をして今日はゆっくり休むようにフェリアに伝えたんだけど。


「ありがとうございますアリサ様、一日二日眠らずとも活動できますので御用の際は遠慮せずにお申し付け下さい!」


 いやいや……フェリアは大丈夫だと言うけど、別に忙しい訳じゃないからね。ウチはそんなにブラックじゃありませんよ。


(あぁ~昨日の天熊様と神狼様にかけた魔法ですね~? 納得です♪ 魔女様~わたしにもお願いしますよ~!)

「相変わらず察しが良くて助かるわ、小さいは可愛い(ミニムーラブリー)かけるのはいいけど、まずは名前ね。みんな「モコプー」だと紛らわしいから」

「あはは♪ モコプーちゃんもここで一緒に暮らそうよ♪」

「良いお考えですユニ様! 広い屋敷ですし賑やかになるのは私も嬉しいです!」


 この子が一緒に暮らしてくれるなら正直助かるかな。と、言うのも五羽のモコプー達と意志疎通が可能だからだ、ミーナとは長い付き合いなのでなんとなく言いたいことはわかるけど。この五羽は無理だ多少の喜怒哀楽くらいしかわからない。


「とにかく、名付けましょう……あなたの名前は『エスペル』よ。これからもみんなにとって希望であってほしいって思いを込めてみたわ」

(『エスペル』……有り難う御座います魔女様、確かにその名拝命いたしましたよぉ~♪ わたしはモコプーの『エスペル』ですね!)

「おめでとう~エスペルちゃん!」

「おめでとう! エスペル、これからよろしく頼む!」

「「「「「プー♪ プー♪」」」」」「にゃーん♪」


 そんな朝の一幕があり、エスペルにも小さいは可愛い(ミニムーラブリー)をかけて小さくして屋敷に迎え入れるところで、妹達とバルガス夫婦、パルモーも起きてきた。


「ふぁ~はよ~ん……あれぇ、モコプー増えてないアリサ姉?」

「んー……眠い……」

「おはようございますアリサお姉さま」


 まずはお馴染みの三人、フォレアルーネがモコプーが一羽増えてる事に気付き、レウィリリーネは相変わらず眠そうだね、アルティレーネは普通に挨拶してくる、この子は朝強いわね。


「おはようございますアリサ様、随分早いのですね……主よりも遅く起きるとはなんたる醜態……明日より気を付けましょうぞ」

「おはようございますアリサ様……夫同様に私も気を付けますわね」

「父ちゃん達堅いなぁ~おっはよ♪ あんまりガチガチだとアリサ様も息詰まっちゃうんじゃね?」


 パルモーの言う通りだ、別に普段しっかりしていれば私より遅くに起きようが文句はないよ? それより……ちょいとパルモーに耳打ち。


「ふんふん……そう言えば良いの? わかったよ。ねぇねぇ、母ちゃん?」

「あら、何かしらパルモー?」

「えっと、「昨夜はお楽しみでしたね♪」だって!」

「っっ!!? ア、アリサ様ぁーっ!?」


 プフーっ!! ネヴュラってば顔真っ赤! わっかりやすーい♪ いや~なんかツヤツヤしてるな~って思ったら、やっぱりそういうことなんだねぇ~むふふ。見ればバルガスも俯いて顔を赤くしているぞ! この夫婦可愛いねぇ♪


「アリサおねぇちゃん、お楽しみってなにー? ユニも楽しいことしたーい!」

「にゅふふ~だぁめ、ユニにはまだ早いのです~!」


 ユニがネヴュラとバルガスを交互に見てはなんだなんだ? と、気にしだす。流石に教える訳にはいかないので駄目って言えば「えーっ!?」ってぶーたれるユニ。ほっぺをぷく~ってするのも可愛いね。


──────────────────────────────

【おや、誰か来たようだ】~侵入者~

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「ん? ティリアはまだ寝てるの?」

「多分本体で仕事してる」


 本体ってなんだ?


「この世界に降りてるティリア姉は、うーん、分身体なんだよ」

「どちらも本物なんですけれど……そうですね、『遍在存在』と言えばご理解頂けますか?」


 確か遍在って「何処にでもある」って意味だったっけ?


「え、じゃあティリアって何処にでもいるって事になるの? 凄いじゃん」

「別に大した事じゃないわ~アリサ姉さんだって似たようなことしたじゃない? ほら、メルドレードをぶっ飛ばしたアレよアレ!」


 ほへぇーって感心してると件の妹が起きてきた。


「おはようティリア、メルドレード倒した時のアレって『鏡映す私・私映す鏡(ミラー・ミラージュ)』のこと?」

「はよよ~ん♪ そうそれ、あれ見たときは本気でびっくりしたわよ~そして一番魔神に近いのがアリサ姉さんだって確信した瞬間だったわね~」


 だから昨日忠告してくれた訳か……まぁ、『鏡映す私・私映す鏡(ミラー・ミラージュ)』は本当に私の切り札だから滅多なことでは使わないって決めてるんだよね。それを大した事じゃないと断言するティリアはやっぱり規格外だわぁ。


(あのときの魔女様とんでもなかったですよね~♪ と言うか気になるんですけど、魔女様はお姉さんなんです~?)

「ん? モコプー? 昨日の?」


 ちょうど良い、みんな揃ったし相互に説明しておこう。

 まぁ、そんな感じで朝からワイワイ賑やかに始まる私達の朝。

 ミニマップを見れば、懐刀に四神、他の昨日の面々達が近付いて来てるのがわかる。


「他のみんなもここに向かって来てる、朝も早いのに熱心だよねぇ」

「やること沢山あるし、それにみんな楽しみなんじゃん? アリサ姉に名付けてもらうのがさ!」


 とりあえず、昨日と同じように庭にテーブル等を用意して、みんなが集まれる場を作ろうと準備をしている時にぼやいたらフォレアルーネがそう言った。そういうもんか~。


「あれ……なんか変ね、玄武と青龍が合流したと思ったら、青龍が戻ってく?」


 ミニマップに表示されている玄武と青龍を示す青マークが近付いたと思ったら、青龍の青マークが東へ引き返して行くではないか。


「アリサお姉さん、何かあったの?」

「……まだわかんないけど、ちょっと気になるね。ドローン飛ばして見るよ」


 単に忘れ物~ってだけなら良いんだけど……玄武のところにドローンを向かわせて事情を確認して見ようと思う。


「おはようさんじゃ~ユニちゃ~ん♪ 儂が来たぞーい!」

「シドウじいちゃん、おはよー!」

「オイラも来たぞー! 昨日は嬉しくて聖域中を走り回っちゃったぞー!」

「まったく……それに付き合わされる余の身にもなってもらいたいものだぞ、ジュンよ」

「アリサ様~ユニ~おはようさんじゃのぅ~珠実さんの参上じゃあ~♪ ん? なんぞあったのかえ?」


 そうこうしてる間に懐刀、黄龍シドウ、天熊ジュン、神狼リン、九尾珠実が集結。私達姉妹がただならぬ様子で空を見上げているのを見て何事かと問うてくる。


「見えた! げんちゃん!」


 ドローンに搭載した映像通信(ライブモニター)が空飛ぶミドリガメを捉えた、早速話しかけて何があったかを聞いてみよう!


「アリサ様! 大変です! 東より侵入者が! 現在青龍が確認に向かっています!」

「なんですって~!?」


 ようやく魔神関係終わらせて、のんびりまったりできると思ってたのに。どうやらまた一波乱がありそうだ。

アリサ「新年明けましておめでとうございますm(_ _)m」

ユニ「おめでとうございます("⌒∇⌒")」

ティリア「連載始めてまだ三ヶ月程度だけど、読んでくれてる方。本当にありがとうo(*⌒―⌒*)o」

アルティレーネ「また、これから読んでみようかなと思って下さる方も、アクセスいただいてありがとうございますm(._.)m」

レウィリリーネ「ん……感謝(゜ー゜*)」

フォレアルーネ「うちらのお話はまだまだ続きそうだから、どうぞよろしくお願いしまーすヽ(*>∇<)ノ」

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[気になる点] ぶっちゃけ、心が男性のままの主人公に、男と恋仲になれは読んでて気持ち悪いよ。 心がそのまま男性なら、別に女性と付き合ってもよく無い? まぁ結局は主人公が納得するかどうかだけどね。 [一…
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