125話 聖女と憑依
アリサ「おぉ(・о・) PVアクセス二十万超えたじゃん!(ノ≧▽≦)ノ」
ユニ「スゴイすごーい♪ヽ(*>∇<)ノ」
アリア「んぅ~♪(*ノωノ) 感謝、です!(*´∇`*)」
アルナ「また記念のお話があるのでしょうか(*´艸`*)」
ポコ「楽しみなのです~♪ヽ(*´▽)ノ」
アリサ「あ~ちょい待ち?(´・ω・`; ) ふんふん(_ _) 今執筆中だけどもろに時期がズレたって言ってるわ( ̄▽ ̄;)」
ユニ「時期(´・ω・`)?」
アリサ「なんでも『バレンタイン』のお話らしいけど、結構執筆進んでるらしくてこのままいくってさヽ(´Д`;)ノ」
アリア「……(ーωー) それは、結構前(・・;) ですね?」
アルナ「はぅ~(*´・ω・) 『メビウス』でのお話ですね?(-_-;)」
ポコ「残念なのです~(´_`。)゛ ポコ達の出番ないのです(>_<")」
アリサ「まあまあ丶(・ω・`) アルナとポコはまた別の機会にね?( ´ー`)」
私「いつもご愛読ありがとうございますm(_ _)m 投稿まで今少し時間を下さいませ(^ー^)」
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【わがままな妹達】~紳士?~《アリサview》
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さて、言い忘れていたけれど。『聖柩』にて邂逅したこの『三神国』の王達は今、私の権能でその『想い』を汲みとられ、目に見え、会話が出来る。
その容姿は全盛期のものであり、『ファムナ村』で見た『記憶の断片』による姿とは違い、リュールは病を患う前の元気な姿だし、ユグライアとフォレストも年老いておらず、若かりし頃の姿だ。
はい。そんなわけで、みなさんこんにちは♪ 聖女のアリサさんですよ~?
『エルハダージャ』方面から急遽ユグライア大陸の『ファムナ村』に転移し、妹達と合流して、レウィリリーネの肖像画にこめられた、かの『リーネ・リュール王国』の女王。リュールの『想い』に涙した。
更に村長の導きで『三神国』の王達の眠る『聖柩』へと辿り着き、世代を越えた邂逅を果たしたのだった。
「はい! そんなわけで妹達よ~お風呂入りなさいね?」
「……はい?」「え? なんで?」「こんな時に!?」
ドンッ! って、私がミーにゃんポーチから取り出したるは即席五右衛門風呂である。いやぁ~この社殿の中が広くてよかったわ♪ 狭かったら境内に置かなきゃいけなかったからね!
「大丈夫よ~? ほら、ちゃんと仕切りの衝立も用意したから、見られる心配はないって?」
「そうじゃなくて! どうして今私達がお風呂に入らなきゃいけないんですか!?」
「ん」「そうだよ! なんで今なの~!?」
なんだね? 恥ずかちいのかね? ちゃんとみんなには見えないようにしてあげたってのに、それともあれかね? この狭い五右衛門風呂が嫌なのかね? わーわーと喚く妹達が何を嫌がってるかがさっぱりわからず首を傾げる私です。
「お姉さん……あたし達はリュール達に、ビットみたいな『疑似体』を用意してほしい。そう言ってるんだけど?」
「わかってるわよんなこと? だからあんた達にお風呂入れって言ってんじゃないの? また秘薬用意しなきゃいけないんだから」
えーっ!!?
「秘薬って、何ですかアリサ様! 是非私にもお教え下さい!」
「よくわからないが……三女神様が風呂に入るとその秘薬が作れる、ということですか?」
「わはは! さっぱり意味わかんねぇぞアリサ~?」
レウィリリーネの質問に答えた私の話を聞いて、ま~た騒ぎ出す妹達である。そして知識欲旺盛なシェリーが教えて教えてと迫り、バルドくんはわかったような、わかってないような感じで「んん~?」て唸り、セラちゃんはなんでか可笑しそうに笑ってる。
うむ。では、ちょいとくあしく説明するとだね? ビットと同じく『疑似体』を用意するには、アルティレーネの『生誕』、レウィリリーネの『調和』、フォレアルーネの『終焉』と、この三つの力が程よく混ざり合った水が必要となるのだ。
しかし、その製法を聞いた妹達がこぞって「使わないで」って言うから、私は作るのを止めて、在庫も『貯槽』に廃棄したのだ……非常に勿体ないって思ったんだけどねぇ?
「わかった? 元々、あんた達が嫌がるからこうなっちゃったんだからね?」
「ほほ、他の! 他の方法ないのアリサ姉~!?」
「そうですよ! 何もお風呂の残り湯じゃなくても!」
「流石に……恥ずかしい……」
しゃあないなぁ~んじゃよだれにするかね? それなら……
「もっといやぁ!!」「あたし達のよだれで復活するリュールなんて嫌」
「もーっ! アリサ姉いい加減にしてってば!!」
しょぼーん……なんてわがままな妹達なのよ? しかし困ったわね、こりゃどうするよ?
「あの、アリサ様? ポコ様の時みたいに女神様達の『神血』では駄目なんですか?」
「みゅんみゅん! それだ! アリサ姉、『神血』なら大丈夫でしょーっ!?」
「あ~『神血』は濃度濃すぎて希釈が大変なんですけど? 具体的に言うと、『聖域』の内海くらいの量の水、全部使ってようやく? どうやってそんだけの量を用意しよっか?」
正にそれだ! って、ミュンルーカの提案に飛び付くフォレアルーネだけど、『神血』はその名の通り、妹達の血の一滴だ。当然、残り湯より、よだれより『神の力』は大きく。『三神国』の王達の『疑似体』を作る為の秘薬には大きすぎる。その為希釈して薄めてやる必要があるのだが、それに必要な水量が半端ないってわけ。
「そ、そんなぁ~」「トホホ~」「むぅ……『創薬』はあたしも詳しくない……」
「そんなに落ち込むことぉ~? 以前にも言ったけどお風呂の残り湯なんて洗濯にも使ってるじゃない? 何が恥ずかしいのよ? そんなんで大好きな人と触れ合えるんなら、私は喜んでお風呂入るけど?」
この辺どうも私は理解できない。別に残り湯で「ぐへへ、あ、あの子の、の、残り湯なんだな! さ、最高だじょぉーっ!」とか興奮する、コアな紳士に渡すわけではないんだぞ?
『ど、どんな紳士なのそれぇーっ!?』
『かなりヤベェ奴だろそいつ!?』
『し、紳士なのか……?』
落ち込む妹達を説得する私の話を聞いて、リュール、フォレスト、ユグライアが「うへぇ~」ってまぁ、嫌そうな顔をする。そして、他のみんなは……
「なんじゃお主等! 儂がそんなことするとでも思うておるのか!?」
「いや、だってシドウじいちゃんだもんなぁ……」
「シドウじゃものなぁ~♪」「シドウならやりかねんだろう?」
ブレイドくん、珠実、リンを皮切りに、ジトーってみんなの視線がシドウに集中していたのでした。ううむ、確かにこのじいちゃんならやりかねないかもねぇ~?
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【守護霊として】~憑依~《フォーネview》
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カポーン……
そんなお風呂場の音が聞こえてきそうな感じで、創世の三女神様は、アリサちゃんの用意した即席五右衛門風呂に仲良く浸かります。
「ちょぉ~狭いよぉアリサ姉~?」
「んぅぅ……三人だとぎゅうぎゅう……」
「もぅ! フォレア、もう少しそっち寄ってちょうだい!」
あはは……笑っちゃいけないんですけど、思わず、ぷっ! って吹き出してしまいそう。だってお三方が入ったそのお風呂……まるでライスを炊く為の釜みたいに見えるんですもの!
「うむ。程よく混ざり合って溶け出して来てる……順調よ~? もう十数分くらい浸かっててくれる?」
「はうぅ~どうしてこんなことに……」
「ん……リュールの為なら……」
「アリサ姉~ちょっと熱いかも~!」
湯加減を調整してるアリサちゃんが時々立ち上がってはお風呂のお湯を掬い、じっと見ては大丈夫そうだと呟きます。アルティレーネ様は温かいお風呂のせいか、それとも、衝立で仕切られているとはいえ、みんなの前でお風呂に入るという羞恥心からか、少し頬を染めて「はぁ~」とため息。
レウィリリーネ様は肩までしっかりと湯に浸かり、目を閉じてぶつぶつと「我慢我慢……」ってぼやいていますね。
フォレアルーネ様は流石と言いましょうか……「こういうお風呂も面白い♪」とか言って、鼻歌混じりにアリサちゃんに湯加減の調整をお願いしています。
「あいよ~こんなもんかね? っと、さて! この後、三人の力を抽出して秘薬を精製するには色々工程を挟まなきゃいけないから、数日かかるわ。その間のリュール達をどうしようか決めようか?」
「あら? アリサ様。『無限円環』に行って時間を速めれば良いのではありませんか?」
どうやらアリサちゃんの言う秘薬の精製には数日を要するようですね。ネヴュラさんがそれなら『無限円環』でやればいいんじゃないかって言いますけど、何でもこの『聖柩』からだと『無限円環』へのアクセスが出来ないらしいんです。
「なんでかしらね? 『∞』が出せないのよ? それに、この『聖柩』ってさ、また直ぐに来れるとも限らないわよね?」
う~ん……どうして『無限円環』に入れないかはわかりません。それに、私達も作戦中である以上、いつまでもここに留まっているわけにもいきませんからね。
「じゃあさ、ご先祖様達を私達に憑依させるのはどうかなアリサちゃん?」
え!? リール!
女の子みんなでう~んって悩んでいると、リールが名案! と言わんばかりに、ポンって手を叩いてそんな事を言い出しました。
「ほら、あのヴェーラって魔王に憑依させられてたリリカさんをアリサちゃん、ひっぺがしたでしょ? それと逆に、私達三人にそれぞれご先祖を憑依させることも出来るんじゃない?」
『り、リールちゃん思いきった事言うね! でも……それなら私達もみんな外に出られるか』
「なんて興味深い……探求してこそ魔法使い……リール、貴女を尊敬するわ!」
「で、でも……大丈夫でしょうか? 憑依することで何か害があったりは?」
な、なるほど……確かに魔王ヴェーラに憑依させられていたリリカさんを引き剥がしたアリサちゃんなら、その逆も可能かもしれません! リュール様も驚いたように、私達もびっくりな提案です。リールと同じ魔法使いのシェリーさんも、その思いがけない発想に眼鏡を光らせます。でも、ミストちゃんが不安そうな顔で害はないかって心配してますね……その辺りはどうなんでしょう?
「なるほどね、確かにいい案だとは思う。リュール達は別に悪霊ってわけじゃないから、害する事なんてしないと思うし……しないよね?」
『もっちろん! 寧ろ守護霊になって護るよ!』
「わぁ♪ ありがとうございますリュール様! 心強いです♪」
懸念された害もなく、寧ろ逆に私達の守護霊になってお守りくださるそうです! アリサちゃんの問いにそう答えたリュール様に感謝してペコリと頭を下げました。
「ん? でもフォーネとゼオンは別にそれでいいとして……リール? あんたのご先祖様のフォレストって男よ? 暫くお風呂は一人で入ってもらうことになるけど、いい?」
「……お、おぉぅ? そそそ、そうなっちゃうの?」
あ~あー……うん。なるほど……守護霊として憑いてもらう以上、付きっきりになっちゃうそうで、それはつまり、お風呂も、トイレも着替えも、何もかもぜーんぶ筒抜けの丸見えなんだそうです。私に憑くリュール様とゼオンさんに憑くユグライア様は互いに同性だから、まだいいでしょうけど……リールに憑くフォレスト様は男性ですからね……
「うわぁ~きっちぃなぁそりゃ……どうすんだリール?」
「は、恥ずかし過ぎるのぅ……対策としては、フォレストの奴めに頼んで、その時は目をつむり、耳を塞いでおいてもらうとか、かの?」
セラちゃんとたまちゃんがうへぇ~って引いています。それもそのはず。花も恥じらう乙女のリールですもの、例えご先祖様とはいえそんな赤裸々な場面まで筒抜けなのは耐えられないでしょう?
「うぐぐ……えーい!! 女は度胸だぁーっ! 他ならぬご先祖様の為なら一肌でも二肌でも脱いでやるぅぅーっ!!」
おおぉぉーっ!!
え、偉い! なんて思い切った決断! 凄いよリール! 心から尊敬する!
ぱちぱちぱちーっ! ってみんなからもリールのその決断に厚い拍手が贈られる。うん。私も拍手!
「ワタシとセラも出来る限りのフォローしますねリールちゃん!」
「応! 困った事があったら言えよ!?」
「あ、ありがとぉぉミュンちゃん、セラちゃん! 助かるよぉ~アリサちゃんなる早で秘薬をお願いね!」
リールと一緒に『ルーネ・フォレスト』方面に向かうメンバーの、ミュンルーカちゃんとセラちゃんが同じ女の子同士、フォローすると言ってくれます。よかったねリール?
そのリールに懇願されたアリサちゃんも、急いで作るって約束してくれたのでした。
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【そんな昔から?】~『エルハダージャ』~《ゼオンview》
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『いやぁ……あん時は俺も歳くっててよ……ぶっちゃけボケてたんだわ……でもよ、『狐人』だったのは間違いねぇぜ?』
「妾のような見目の幼子ではなかったかの?」
フォレスト様に質問を投げ掛けるのは珠実様だ。どうにもこの『聖柩』を作ったっていう『おきつね様』とやらが気になってしょうがねぇらしいぜ。なんでも珠実様としては、昔世話をした『ココノエ』がその『おきつね様』なんじゃねぇかと思ってるみてぇだなぁ?
『いや、済まねぇ九尾様。そこんとこマジに記憶が朧気でよ……ただ、一瞬九尾様がその『おきつね様』と被って見えたから、おそらくそうだとは思いますぜ?』
「……ふむ、そうか。いや、済まなんだの? 今際の時じゃて思い出せぬのも無理からぬ事じゃな」
『しかし『エルハダージャ国』の女王『ココノエ』か、まさか今代にまで続いておるとはな……』
「は? いやいやちょいと待って下さいよご先祖様? その口振りですと当時から『エルハダージャ』が存在してたってことになりますぜ?」
フォレスト様の謝罪に「よいよい」と手を振り応える珠実様だが、その後に俺の祖先、ユグライア王がなんかとんでもねぇこと言い出した。耳を疑った俺は思わず聞き返したぜ。
『実際に興った国だよゼオンくん? 私達の『三神国』が潰えて、ルヴィアスくんと協力して帝国を興した、ちょっと後かな?』
『ああ、そんくれぇだったな。リュールの『リーネ・リュール』の南にゃ小国家群がいくつかあったんだがな? それらも魔神との争いの最中、大半が滅亡しちまった。だが……』
『しかし、我等が今の『セリアベール』のある、『セリアルティ』南部へと移動した頃、『ココノエ』という『狐人』がその国家群の生き残り達を率いて、瞬く間に『エルハダージャ』という名の国を興したのだ』
な、なんだってぇぇーっ!!?
ウソだろ!? そんな大昔から……それこそルヴィアスのとこの帝国に次ぐ古参かよ!? しかも『ココノエ』で『狐人』だと!? いやいや……まさか、まさかと思うが『誉』で一緒に冒険したあの『ココノエ』だってのか!? そ、そんな訳ねぇ、きっと世襲制なだけだよな?
「これは流石に偶然では片付けられないわね……」
「うむ。妾の元から姿を消しおった『ココノエ』と時期が重なっておる。間違いあるまい、『エルハダージャ』を今も治めるそやつは妾が師事しておったあやつじゃな」
マジかよ……? アイツそんな昔から存在してたのか……俺だけじゃなく、祖先達も、他の皆もアリサ嬢ちゃんと珠実様の言葉に絶句して、口を開けねぇでいる。
「普通ではないと思うておったが……ふむ、これは急ぎ『エルハダージャ』に向かい早急に会わねばなるまいのぅ……あの不安定な状態も気になるのじゃ」
「そうね……「早く来て」って言ってたし、のんびりしてる暇は無さそうね」
そんな俺達を置いて嬢ちゃんと珠実様が話を進めて行く。「不安定」ってのは、アリサの嬢ちゃん達が『エルハダージャ』に向かう道中、ロアの『魔装戦士』の格納庫から押収した『パソコン』とか言うオーパーツを発見した時に見た『記憶の断片』に残されてたっていう謎の人物だよな? 珠実様がその感覚で『ココノエ』だって見抜いたらしいが、『幽霊』みてぇに体が透けてて、歪んでたりして今にも消えそうだったって話だ。
「なればここで立ち止まっているわけには参りませぬな!」
「ええ。一刻も早く行動を起こしましょうアリサ様!」
そこで立ち上がったのはバルガスさんとネヴュラさんの聖魔霊夫婦だ。二人は力強く頷き、皆にも呼び掛ける。それに応えるように他の面々も立ち上がった。
「そうだね! 国の復興とか色々は魔王問題を片付けない事には始まんないんだし!」
「リュール様と一緒に『リーネ・リュール』を見てみたいよ」
「思いがけない収穫があったこの『ファムナ村』だが、確かにのんびりもしてられんな」
リール、フォーネ……お前等、本当に強くなったな……? 『迅雷』に襲われて以来、人に怯えてたあの弱々しさがウソみてぇだ……今のコイツらに祖先がついてくれるんなら、マジに『三神国』復興も夢じゃねぇかもな! バルドの言う通り思いがけない収穫だぜ。
「そうね……ねぇ、バルガスにネヴュラ? あんた達魔女と合流しない? 黒フードの親玉ってネヴュラを知ってるんでしょう?」
「……畏まりましたわ。永い間妄執に囚われ、歪んでしまったあの王子に少々お灸を据えて差し上げますわね?」
「……俺達も、近く……合流する、エミリアやエイブン……そして、ロッドを利用した……その罪。贖わせてやる……!」
これもさっき聞かされた話だな? 黒フード共の親玉、ヴァンパイアロードはかつて『人間』の国『ヴァリスデリダ』に滅ぼされた、『亜人』の国、『ウィスタール王国』の王子だったってはなしだ。
報復のために『ウィスタール王国』の王とその臣下のエルフ達がネヴュラさんを召喚して、『ヴァリスデリダ王国』を徹底的に滅ぼした。
だが、それだけじゃあその王子『エリクシル』の怨嗟は収まらなかったんだろうな……アリサの嬢ちゃんに応えるネヴュラさんの言葉通り、その怨嗟は永い時間の中で歪みに歪み、今やディードバウアーの力を借りて世界を滅ぼそうとかまでに膨れ上がってやがる。デュアードが静かに怒っているように、死人まで利用して、形振り構わずな様相を呈して来やがったんだ。
『かの時代のしこりが今にも続いているのであれば、我等とて黙ってはおれぬな……』
『だね! ここで大人しくおねんねしてる場合じゃなさそうだよ!』
『アリサ様。俺達も連れて行ってくれ。子孫達も俺達を憑依させる覚悟はできてるみてぇだからな!』
そんな話を聞いた以上は、と俺達の祖先の三人が猛る。ああ、気持ちはわかるぜ……俺だって『セリアベール』の代表者だ。てめぇのツケを後世に背負わせたくなんてねぇ! そんな祖先達の心意気、しっかり受け止める準備は出来てる。さあ、やってくれ嬢ちゃん!
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【まるで……】~あの頃のよう~《アルティレーネview》
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「わかったわ。それじゃあ、ゼオンにリールとフォーネをしっかり守り抜いてちょうだいね?」
『お任せ下され『聖域の魔女』アリサ様!』
『例えこの魂砕けようと、必ずや!』
『私達の大切な子を全力で!』
ふぅ……思わぬお風呂でちょっと恥ずかしい思いをしましたが、さっぱりできて気持ちいいですね。
さて、そのお風呂に浸かりながらも、しっかりと話は聞いていましたよ? ここでバルガスさんとネヴュラさんが魔女の方のアリサお姉さま達に合流するのですね? 黒フード達の親玉と対峙するために……そしてお姉さまの秘薬が出来上がるまでの間、ユグライア達をその身に憑依させる決断をした子孫達。
今アリサお姉さまのお願いに、ユグライアがゼオンに。フォレストがリールさんに。リュールがフォーネに向き合い、その意志と決意を告げました!
「よし、じゃあいくよ? お互いに目を閉じて呼吸を合わせてちょうだい……『守護せし力』……『憑依』っと!」
シュイィィーン……カッ!!
「うおっ!? 眩しい」「すげぇ光だ! 目ぇ開けていられねぇぜ!?」
目映い閃光が弾け、この『聖柩』を白く染め上げました。そのあまりの眩しさに、セラさんとブレイドくんが思わず目を塞ぎます。
「……よし。成功だね! どんな感じよ?」
「うむ。悪くありませんな……ビットよ、そして勇敢なる冒険者達よ。これから世話になる」
「レウィリちゃあぁーん! わあぁ~♪ やっとぎゅーってできるよぉぉーっ!」
「ったく、はしゃぐんじゃねぇぜリュール? まぁ、気持ちはわかるがな……」
おおぉぉ~?
うふふ♪ 見事に憑依が成功した様子ですね。ユグライアはまだしも、フォーネさんは……フォーネさんに憑依したリュールは嬉しさのあまりレウィリに抱きついてはしゃいでいます。
「おふ……この抱きつき方、間違いなくリュール……ん。あたしも嬉しい」
「っていうか……りるりるの姿と声で、フォレストくんの口調とか、違和感パないんだけどぉ~?」
「あぁん? んだよフォレア~感動の再会だろうが? ホレ、そのケツ撫でさせろよ?」
「止めぬかフォレスト! まったくお前と言うやつは……余を撫でるがよい。上手く撫でられたら褒美をやるぞ?」
あはは! 可笑しいですね♪ うふふ、皆さんもそんなやり取りに笑みを溢しています。特にリールさんに憑依したフォレストがとても違和感が凄くて面白いじゃありませんか! お尻を撫でられそうになって「ぎゃー!」とか言って逃げ出すフォレアなんて、いつ以来でしょう? まるで昔に戻ったかのような錯覚を覚えます。それはきっとリンも同じなのでしょう? 嬉しそうに割って入り自分を撫でるように言っていますね♪
『ちょっとフォレスト様! 私の体なんですから自重してくださいね!?』
『あはは、なんか変な感じ~♪ リュール様よかったですね!』
『いや、しかしこれどうやって切り替えんだ? まさかずっとご先祖様が俺の体使う訳じゃねぇよな嬢ちゃん?』
あら! 元の三人のそう言う声が聞こえてきますね。ですが姿は見えず、つまりひとつの体に二つの魂が同居しているのですか?
「あー、簡単だよ? 一言「チェンジ」って言えば切り替わるから。ホレ、やってみ?」
『なるほど、んじゃユグライア様、試させてもらいますぜ?』「うむ。確認は大切だな」
『私も~ほら! フォレスト様、いいですね!?』「お、応! そんなに怒んなよ~?」
『リュール様~私も試しますよ?』「えぇ~もうちょっとぉ~!」
チェーンジ!
三人の声が重なって……何も起きませんが?
「おぉ戻った戻った!」「はぁ~なるほどね、こんな感じなんだ!」
「あわわ、ご、ごめんなさいレウィリリーネ様!?」
あらら、どうやら目に見える変化は起きず、当人の間で交代が行われるようですね。ユグライアが……紛らわしいですね、私も『ゼオン』と『ユグライア』とで呼び分けましょう。
そのゼオンが両の手を見ては笑い、リールさんは二度三度瞬きを繰り返した後、うんうんと頷き、納得した様子。フォーネさんはレウィリを抱き締めてるかたちを驚き、ささっと跳び退いて頭を下げています。
「ほっほっほ♪ ユグライアとフォーネにリュールめはそう違和感はないが、リールとフォレストは実に面白いのぅ?」
「あはは! そうですね♪ ブレイドみたいな言葉使いのリールさんはなんだか面白いです!」
「ワタシも思わずぷふーって笑っちゃうとこでしたよ~あはは!」
「結局笑ってんじゃんみゅんみゅん! でも気を付けないと! りるりるの姿で近付かれたら女の子達油断しちゃう!」
あはは、楽しいですね♪ シドウが憑依した三人を見ては可笑しそうに笑い、つられるようにミストさんもミュンルーカさんも楽しそうに笑い出しました。そして、お尻を撫でられそうになったフォレアは、「むー」って頬をふくらませ、お尻を隠すように警戒していますよ? ふふふ♪
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【用事は済んだのじゃ】~帰還~《珠実view》
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「ああ、大丈夫よフォレア? 主人格の優先権は元の方にあるから。例えフォレストがすっけべぇな事しようとしたら、リールが強引に止めることできるから。ゼオンとフォーネもそうだからね? ほら、さっきリュールが「もっと~」って言ってたのを交替できたでしょ?」
「おぉ~♪ なるほど! 主導権は私が持ってるんだね、それならまだ安心かな? でも、秘薬は早目にお願い!」
ほうほう。なるほどのぅ~流石はアリサ様の魔法じゃて、応急的な措置とはいえその辺はしっかりとしておるのじゃな? 話を聞いたリール達『三神国』の子孫達もほっとしたようじゃな?
やはり今を生きる者達こそが主役じゃからな、『三神国』の王達はあくまでもそのサポート役に徹するべきじゃと思うしのぅ。
アリサ様の説明にホッと胸を撫で下ろす末っ子に、「なあんだ、やれやれだね!」とため息をつき、秘薬を早目に作成してくれと、アリサ様に頼みおるリールじゃ。
『はっはっは! まあしょうがねぇな。フォレアのケツはアリサ様が秘薬で『疑似体』作ってくれてからのお楽しみとするぜ♪』
『フォレストくん! いい加減にしないと怒るよぉーっ!?』
『アリサ様、コイツには『疑似体』を用意せぬ方が良いかと……』
いやはや……かつての『ルーネ・フォレスト』の王がこんな好色漢だったとはのう? 「英雄色を好む」とはよく聞く話じゃが……リールの背後に立つフォレストめが、それは愉快そうに大口開けて笑うておる! 同じくフォーネの背後からリュールが眉間にシワを寄せ、頬をふくらませ怒っておるな、まったくお主等夫婦じゃろう? ゼオンの坊主の背後でユグライアも呆れてアリサ様に注意をしておるが……はっ!? ま、まさかフォレストのヤツ、妾のような見目の幼子までその範囲内ではあるまいな!? ちと末っ子に確認してみるかの!
「のう、末っ子よ? フォレストとはどれだけ女好きなんじゃ? お主このようなこと一言も言うておらんかったじゃろう?」
「あ~たまみん、うちもまさかこうして会えるなんて思ってもみなかったから……楽しかった思い出ばっか美化されてすっかり忘れてたよ~? あれはフォレストくんの挨拶みたいなもんでさ……」
「うわぁ! おいぃ!? フォレスト! おめぇデールみてぇなヤツだったのか!?」
「リュールって奥さんいるのに……むぅ、なんてけしからん」
挨拶じゃとぉーっ!? かぁーっ! なんちゅう奴じゃ! セラが嫌そうにドン引きし、次女が睨んでおるのじゃがフォレストめ、そんな妾達の反応さえも楽しんでおるようじゃ! うむむ! アリサ様もなにか言ってやってくれんか!?
「いいわねぇ~自分の背後に立つそのうっすら透けた様子……スタンドみたいじゃん♪ ちょっと羨ましいかも!」
なんの話をしとるのじゃアリサ様!? そうではないじゃろう~?
「まあまあ、その辺は秘薬が出来るまでの辛抱よ?」
「いや、だからじゃな。フォレストの奴めに仮の体を与えては余計に、その、せくはら? が加速するのではないかと、おなご共が懸念しておるんじゃが!?」
「リュールがしっかり手綱を握りなさい? さあ、ここでの用事は済んだわ、早く戻りましょう? どうもこの『聖柩』じゃあ、外と連絡が取れないみたいだし、急ぐわよ?」
うむむ……確かに! フォレストの悪癖は番であるリュールめにしっかりと抑えてもらわねばならんか。アリサ様のそのお言葉に皆の視線がリュールに集中すると、リュールが「はーい! 頑張るね♪」などと能天気に答えおったわ! フォレストは相変わらず「わはは♪」と楽しそうに笑うばかりじゃし……大丈夫かのぅ?
それはそれとしてじゃ、今アリサ様が言うた「外と連絡が取れない」と言うのが気になるのぅ? 時間の感覚も曖昧なこの『聖柩』と言う空間には長居せん方が良いのやも知れぬ。
「了解した! 皆、脱出しよう。俺達も行動を起こさなくては!」
「応! 行くぜ『黒狼』! 『ファムナ村』に帰還だ!」
おぉーっ!
バルドとセラの掛け声に『黒狼』達が集合し、この社殿の外に出て行く。妾達もその後に続き、『神社』と呼ばれたこの場所に「お邪魔しました」と一礼しては、また長い階段を下りて、『ファムナ村』へと戻る門をくぐったのじゃ。
(ふむ……結局『ココノエ』と『おきつね様』との関係ははっきりせなんだの……じゃが、間違いなかろうて……待っておれ、今会いに行くぞ!?)
まったく、いつの間にか妾の前から消えたと思うたら、あやつは何をやっとるんじゃ? して、妾達に何を伝えたいのじゃ? なくしたと言う記憶は戻ったのかの?
とにかく疑問は尽きぬが、ここで考えを巡らせておっても始まらぬ。さあ、旅を再開じゃな!
そして、『ファムナ村』へと戻ったその時じゃ……
「聖女! 聖女!? やっと繋がった! 大変よ! 『魔装戦士』が襲撃を仕掛けて来た!」
な、なんだとぉーっ!?
遂に事態が動き出したようじゃ!!
フォーネ「じゃあしばらくはリールと一緒にお風呂とかは駄目だね?(;´∀`)」
セラ「だなぁ(´・ω・`; ) あ、でもよ、一緒に寝るのは平気か?(°▽°)」
シェリー「主導権はリール達にあるんでしょうけど( ´~`) その本人が眠りについたらわからなくないかしら?(; ・`д・´)」
ミュンルーカ「あらら( ̄0 ̄;) そうなると一緒のお布団で~っていうのも……(^o^;)」
リン「……( ´Д`)=3 とことん信用されておらぬなフォレストよ?(;´A`)」
リール「もーっ!(`□´) マジで貸しですからねフォレスト様!?。゜(゜´Д`゜)゜。」
フォレスト『だぁーっ!?Σ(゜ロ゜;) わかった、悪かったって!(;-ω-)ノ 変な真似しねぇから泣かねぇでくれや!?(;´゜д゜)ゞ』
バルド「……一人部屋って憧れないか?(-_-;)」
ブレイド「はいバルドさん!o(*・ω・)ノ 俺も一人部屋ほしいです!(^∇^)」
デュアード「プライベートな……部屋と、時間は……ほしい、よな( ・-・)」
ミスト「じゃあリールさん私と一緒にすごしましょう?(´∀`*)」
ゼオン「おー(^o^) ミストなら年端もいかねぇ少女だし問題ねぇか?(´∀`)」
アリサ「いやいや((‘д’o≡o’д’)) 待ちたまへよ?(o゜з゜o)ノ」
珠実「フォレストの奴めもシドウの奴と同じやも知れぬぞ?(`エ´)」
ネヴュラ「あら!?Σ(゜Д゜ υ) それは危険ですわね!(´ヘ`;)」
フォレスト『おいぃっ!?Σ( ゜Д゜) 黄龍のじい様と一緒にしねぇでくれよ!。゜ヽ(゜`Д´゜)ノ゜。』
シドウ「なんじゃと!?ι(`ロ´)ノ お主等、儂をなんじゃと思っとるんじゃ!?ヽ( `皿´ )ノ」
レウィリリーネ「ん(_ _) ロリコン爺……(  ̄- ̄)」
フォレアルーネ「どっちも身から出た錆びなんだよねぇ~(ーー;)」
アルティレーネ「二人共、自分の言動を省みて下さい(;´Д`)」
ビット「リュール陛下もご苦労なさったので?(; ̄ー ̄)」
リュール『あはは( ̄▽ ̄;) 私が足やる前はねぇ┐('~`;)┌』
ユグライア『まったくなぁ……(ーдー) 『セリアベール』に『ファムナ村』を作る際にもフォレストは女の尻ばかり追いかけおって……(;つД`)』
バルガス「蓋を開けてみればなんともはや……(;´д`) 伝えられる歴史とは美化されるものであるな(^_^;)」




