124話 邂逅する『三神国』の王
アリサ「うおぉ?(゜ω゜;) なんぞ『なろう』が大分様変わりしてんじゃん?(*´∇`)」
ティリア「な、なんか……(-""-;) 馴れないわねコレ(^_^;)」
アルティレーネ「作者は編集段階でも、前書きと後書きが書けて良い( ・∇・) と、言ってましたけどね?(^ー^)」
レウィリリーネ「ん……(_ _) それはそうと……」
フォレアルーネ「なんか最近マンネリじゃない?(´ヘ`;)」
アリサ「あぁ~(・о・) 確かにだらだら進んでるけど、そろそろ物語が動く頃だよ?(´・ω・`; )」
ティリア「そうね、いよいよ佳境よ?( ・`ω・´)」
アルティレーネ「気を引き締めて行きましょう!(。・`з・)ノ」
レウィリリーネ「そうなんだ?(・・;) よし、がんばる!ヽ(`ω´)ノ」
フォレアルーネ「おぉ、それならうちも気合い入れるよ~♪ヽ(*≧ω≦)ノ」
私「どうかなまぬるい目で見守ってあげて下さいませ(。-人-。)」
────────────────────────────
【神社によって違う】~参拝のお作法~
────────────────────────────
「んじゃ、中に入りましょうか? あ……小癪な。お賽銭箱まであんじゃないのよ?」
リールとフォーネの故郷『ファムナ村』の村長宅に奉られたレウィリリーネの肖像画から、『記憶の断片』を読み取り、かつての『三神国』の王達がこの『ユーニサリア』から隔離された『聖柩』と呼ばれる場所で眠ってるって話を聞かされ。わざわざ『セリアベール』からゼオンとビットまで引っ張って来た。
ゼオンにとっては遠いご先祖様だし、ビットにとっては仕えていた国の王様に会えるという、滅多にない機会だからね。そうして、準備が整った事を話すと、村長が『聖柩』の扉を開く鍵である水晶を掲げ、道を開いてくれた。
その先にはなんと、『世界樹』内の『神域』……によく似た場所で、これまたユニによく似た女の子に出会い、ちょっとだけお話をした後、ようやく私の前世の世界にあった神社によく似た小さな世界に辿り着いた。
この世界はただただ小さく。まるでこの神社のためだけに用意されたかのような世界だ。先程の『神域』とおぼしき場所への帰り道である扉、そしてこの神社の建つ丘。それ以外はなにもなく、『有るように見える』背景にも見えない壁で阻まれ、近付けない。3D構成で作られたゲームみたいって言うとイメージ出来るだろうか?
「お賽銭箱って、この大きな縄のぶら下がった下に置いてあるこれですか?」
「そ。簡単に言っちゃえば神様に対するお供え物が、時代の流れでお金になっていって、それを入れるための箱ね」
まぁ、この辺りは諸説あるらしいけど、今は大した問題じゃないので割愛する。ミストちゃんにそう説明してあげると、彼女はへぇ~って頷いては「私達も女神様達にお供え物すべきでしょうか?」とか訊いてくるけども、私達にそんなのいらんよ?
「あれ? 姉ちゃん、この扉開かねぇよ? どうなってんだ?」
「変ね? 別に鍵なんて掛かってないわよね?」
ガッて社の扉に手を掛けて開けようとしているブレイドくんが私達に向き直りそう言ってきた。シェリーもその扉を観察して、鍵も掛かっていないのにどうして? と、首を傾げている。
「……ふむ。『鳥居』に『狛犬』……『お稲荷さん』に『手水舎』ねぇ、なるほど。わかったわ」
私は改めてこの『聖柩』って呼ばれる神社の境内を見渡し、どうして社の扉が開かないかを察した。
白い、綺麗な玉砂利が敷き詰められ、その上に石畳でこの社と、『手水舎』に道がある。見れば見るほどに前世であった神社そのものである。
「みんな、一度鳥居まで戻りましょう? 最初からやり直すわよ」
「え、マジかよ? 強引に開ければいいんじゃねぇのか嬢ちゃん?」
こらこらゼオン何を言うのかね?
「駄目よゼオン。私達はちょいと礼を失し過ぎたわ。言ったでしょう? ここは『家』なんだって? 自分の家に挨拶もなく、いきなり押し入られたらあんたどう思う?」
「ほう、なるほどな。さしずめ余達は押し入り強盗のようなものか」
「ホッホッホ♪ いやはや納得じゃ。それはあやつらも頑として扉を開けぬ訳じゃなぁ」
そう、つまりはリンとシドウの言う通り。私もちょっと冷静さを失ってズカズカと入り込んじゃったから反省だ。これじゃ『ファムナ村』の村長が言った墓荒らしとなんも変わらない。なので、一度ごめんなさいして、最初からやり直すのだ。
「はい! んじゃみんな私の後に続いてね? まずは鳥居の前で一礼! 「お邪魔します!」はい、続いて」
お邪魔します!!
うむうむ、みんな素直で大変よろしい! 続けて私は『手水舎』に足を向け、みんなもその後についてくる。
「ん。アリサお姉さん……この湧き水を受けてる石造りの設備? は、なんの意味があるの?」
「これは『手水舎』って言って、『禊』を簡略的に行う為の物だよ。『禊』っての神事を行う前に身を洗い清めるって事」
レウィリリーネの質問にうろ覚えの知識で説明しておく。まぁ、禊ってのは自分の罪や穢れなんかを水で洗い清めるとかなんとかだった筈だから、間違いじゃなかろう。
「この柄杓で左手を洗って持ち替えて、右手を洗うじゃん? んで、また持ち替えて、左手に水を注いで口をすすぐのね。柄杓に直接口をつけちゃ駄目よ?」
綺麗な湧き水だ。ちょいと魔力を帯びてるから『聖水』の類いだろう。私は備え付けられた柄杓を右手に持ち、その水を掬い左手にかけて持ち替え右手にかける、更にもう一度持ち替えて、左手に水を注ぎ、その水で口元を拭うようにしてみんなに見せてあげた。
「うち等一応神様なんだけどねぇ~?」
「郷に入っては郷に従え。そう言うことでしょうフォレア?」
「ふむ。なんにせよ訪問しとるのは妾達の方じゃ、敬意を払わねばならんじゃろうしな」
ふきふきと、ハンカチで手と口を拭きながらフォレアルーネとアルティレーネ、珠実のやり取りを見守り、全員が『手水舎』での簡易な禊を済ませるのを見届ける。
「んでもさぁ~アリサちゃんがいてくれて良かったよぉ」
「……そう、だな。こんな作法、俺達……知らない、しな」
リールとデュアードくんが手を拭きながら私を見てはそんなことを言い出すんだけど、そこがまた謎なのよねぇ……この『聖柩』を作ったっていう『おきつね様』とやらは、この辺の知識があったって事だろうし……でも、何でわざわざこんな作法が必要な神社としたのか? 『ユーニサリア』じゃんなこと知ってるのなんて、それこそ異世界人の私くらいじゃないの? やっぱその『おきつね様』も異世界人なのかしら? それとも……
「アリサ様、皆禊を済ませましたが、次はどうすればよろしいか?」
「ん? ああ、ごめんビット。次はご挨拶に行きましょう」
っとと、いけないけない。これ以上考えるのは実際に『三神国』の王達の話を聞いてからにしようか。でないと堂々巡りで答えなんて出せやしないからね。
────────────────────────────
【開け】~『聖柩』~
────────────────────────────
「はい。んじゃここでもう一回お辞儀して「こんにちは!」ってご挨拶。からのこの縄を軽く振って鈴を鳴らして~お賽銭」
カランカラーン♪ ころんっ!
お賽銭箱の前に立ち、深くお辞儀をして、上に鈴ついた縄……確か『鈴緒』って言うんだったかな? んで、鈴は『本坪鈴』だっけ? それを二回くらい鳴らして、お賽銭箱に奮発して金貨を一枚そっと入れる。鈴と金貨が入る小気味良い音がなんか気持ちいいね。
「で、ここで柏手二つ!」
パンッパンッ!
「初めまして『三神国』の王様達。私はあんた達が大好きな女神三姉妹の姉になった、アリサって言う『聖域の魔女』よ? 妹達のためにもどうか扉を開けてくれないかしら?」
……って、社の神様に対して、自己紹介と要件をしっかり伝えて、もっかいお辞儀して、「お願いします」ってする。はい、みんなもやってみ? ほら、お賽銭用にお金渡しておくからさ。
「……リュール? そこにいるの? あたし。レウィリリーネだよ? 貴女に、貴女達に会いたくてここまで来た」
「ふふ、こんにちはユグライア。そして、リュール、フォレストも。お久し振りですね……私、アルティレーネも貴方達に会いたくてここまでやってきました」
「うちもうちも~♪ なんだよ~? フォレストくん達、こんなとこで寝てたなんて知らなかったよ! ねぇ~色々お話しよう!?」
私に続き、妹達も真似して鈴を鳴らしてお賽銭を入れて、柏手からのご挨拶に一礼する。その後に集まった他のみんなも続いてもらう。
正式な参拝の作法がどんなもんかってのまでは、詳しく知らないけど……まあ、大事なのは尊敬と敬意を払い、礼節をもって接して、感謝の意を伝える事だろうから、これで良いだろう。
ギィィィ~……
「おお! 見るのじゃ皆の衆! 扉が開きおったぞ!」
「マジか!? アリサ姉ちゃんの予想通りってわけかよ!」
「……そっか、故人に対しての敬意って大事なんですね、勉強になりました」
私達の真摯な祈りが通じたのか、さっきまでびくともしなかった社殿へと続く扉が、軋む音を立ててひとりでに開いた。その事に驚いたように声を挙げる珠実と、ブレイドくん、そして、納得したように頷くミストちゃん。他のみんなも染々と「礼儀って大事だなぁ」って、驚きと感心を示している様子だね。
「さて。それじゃあ、偉大な『三神国』の王様達と御対面といきましょうか? みんな、心の準備はいいかな?」
「ふぅ~少し緊張するな……一応正装してきたつもりだが……」
「ユグライア王……ああ、いつ久しく……まさか今の時代にて謁見できる事。このビット、嬉しく思います」
「俺達も同席させて頂ける事に感謝する!」
みんなに振り向いて、社殿に入る前の心構え……つまりは『三神国』の王達と対面、いや。謁見するための準備はいいかを確認しておく。ゼオンとビットは襟首を正しながらも、やや緊張した面持ち。『黒狼』のみんなは、バルドくんの言葉にみんな頷く。リールとフォーネの二人は、深呼吸をして心を落ち着かせているね。『懐刀』の三人と妹達は堂々としたもんだ。寧ろ、久しい友人と会える事にわくわくしてるみたい。
「それじゃあ……お邪魔します。あ、みんなも靴脱ぐのよ? 土足で入っちゃダメだかんね?」
お賽銭箱の横から靴を脱ぎ、綺麗に揃えて社殿へと続く階段を昇る前にみんなにも注意。一応『無限円環』での生活中にも、外から建物の中に入る時は靴を脱ぐんだよって習慣づけさせてきたから大丈夫だろうけど、念のためね?
「……思った以上に広いんですね」
「棺が三つ並んでるわ……間違いなく三人の王様達の為の物のようだね」
入った社殿の中は広く、中央に大きな祭壇が置かれ三つの位牌が並べられ、消える事のない……おそらく何かしら魔法がかけられた篝火によって照らされている。アルティレーネが社殿の内部を見渡し、その広さにため息をつく最中、私の目に三つの棺が目に入ってきた。
「失礼します……おぉ、この棺に『セリアルティ』の紋章が! 間違いなくユグライア王の棺」
「真ん中のは『ルーネ・フォレスト』の紋章があるよ……フォレストくん、ここで寝てるんだね」
「……『リーネ・リュール』の紋章。リュールだね……あたし、来たよ?」
ビットとフォレアルーネ、レウィリリーネが一礼した後にそれぞれの棺の前に座り、まじまじと観察して、各王家の紋章が施されていることに気付いた。
「お姉さま……お願いします。私達を、彼等に会わせて下さい」
「うん。任せて」
アルティレーネのお願いに頷き、私は場に残された大きくて、力強い……それでいて、とても優しい『想い』に呼び掛けていく。
『……ああ、なんと久しい。私達はずっとこの日を待っていた』
『長かったぜ……ようやく来てくれたな?』
『会いたかった……ずっと……』
ゆっくりと……そして、静かに。私から発せられる光を受け止めた『想い』がそれぞれに人の形を取っていく……なんて大きな『想い』だろう? ずっと待っていてくれたんだね? 輪廻の輪に還ることなく、この『聖柩』に護られて……ありがとう。『おきつね様』……王達の『想い』を護ってくれて、妹達の『想い』を汲んでくれて……感謝するね。
「ああ……お久し振りですね……ユグライア」「待たせちゃってごめんね、フォレストくん」
「リュール……あたしも……ずっと、会いたかった……」
────────────────────────────
【再会】~邂逅~
────────────────────────────
『レウィリちゃぁぁーんっ! 会いたかった! 寂しかったよぉぉ~!?』
「リュール! あたしも、あたしだって!」
スカッ!
レウィリリーネの姿を見て、リュールが「わぁーん!」って泣き叫びながら抱き着こうとする、それを受け止めようとレウィリリーネも両の腕を広げて、彼女を迎え入れるつもりだったのだろう。しかし、悲しいかな。リュール達は実体を持たない『想い』の具現、残念ながらレウィリリーネを抱き締めようとしたその体は、触れることなく素通りしてしまう。
『わぁーん! なんでさわれないのぉぉ~? レウィリちゃんをぎゅーってしたいのにぃーっ!』
『仕方ねぇだろ? こうしてまた会えて話が出来るだけでも奇跡みてぇなもんなんだぜ?』
『そうだな、それだけでも感謝すべきであろう? アルティレーネ様……お懐かしゅうございます』
ごめんねリュール……私の権能じゃ流石に実体を伴わせることはできないんだ。子供のように泣いちゃったリュールを見て、ちょっと申し訳ない気持ちになってしまう。フォレストとユグライアは、こうして話が出来るだけでもいいって言うけど……うむ、ホントは二人もリュールのように妹達に触れたいだろうね……なんとかしてあげたいな。
「ユグライア……再びこうして貴方と話が出来ること、嬉しく思います。私達がいなくなった後も……三人、力を合わせ頑張ったのですね?」
『もったいないお言葉……痛み入ります……』
まずはアルティレーネとユグライアが語り合い出した。『セリアルティ王国』からユグライア達を転移で逃し、それきりろくに別れの言葉も言えずにいた彼等……いや、それはリュールもフォレストも同じだね。存分に語り合ってほしい。
「余を覚えているかフォレストよ? ふふふ、『人狼』の姿では気付けぬかな?」
『え? えぇ~っと……まさかと思うが……フェンリル様ですか!?』
如何にも。とフォレストに話しかけたリンが嬉しそうに頷くと、フォレストは『マジかよ!? こいつはたまげたぜ!』って驚きつつも、なんか嬉しそうに笑い出す。そういやフォレアルーネと一緒に『ルーネ・フォレスト王国』にいたって言ってたっけ。
「もぉぉーっ! フォレストくんは相変わらずリンに対しては丁寧な言葉使うんだから! うちには? うち! 女神なんですけどぉ~?」
『あ~うるせぇなぁ? んなの今更じゃねぇかよ? ったく、おめぇちっとも変わってねぇな? 体つきばっかエロくなりやがってよぉ? オラ! 乳揉ませろや?』
ぎゃーっ!? やめろぉこのどすけべーっ! って騒ぐフォレアルーネが逃げる。どのみち彼等が私達に触れる事は出来ないから大丈夫だよ……あ、いや……触ろうとしてるのを感じたら私だって逃げるか。うむぅ、なんとかしてあげなくてもいいかな? フォレストは、まぁ、冗談なんだろう。きっとああやってフォレアルーネをからかって遊んでるだけだ。
『レウィリちゃん! 私怒ってるんだからね!?』
「ん。あたしも怒ってる……ちゃんとわかってる?」
一方、レウィリリーネとリュールの二人は今度はお互い眉間にシワを寄せてにらみあいを始めたぞ? 怒ってるって、二人ともどうしたどうした?
『私達を転移で逃がしちゃって!』「内緒で肖像画なんて描いて! 胸盛って!」
むきぃーっ! ってプリプリと怒るリュールとレウィリリーネだ。いやぁ~その内容の落差が酷いわ♪ わはは! 面白いので温かく見守ろうかな?
『にゃにおーぅ!? このこのぉーっ!』「むぅーっ!!」
「これこれ、その辺にしておかぬか二人とも? 折角の再会じゃ、語り合おうぞ?」
互いに触れないのにポカポカと殴ろうとする二人をシドウが止めに入った。ふふふ、楽しそうねぇ♪ でも、このままじゃ私や珠実に冒険者達が置いてきぼりになっちゃうね。ちょいと声掛けて、私達も挨拶させてもらおう。
「はいはーい♪ みんなみんな~? ちょいと私達も偉大な三王にご挨拶したいのだけど~?」
「あら! ごめんなさいお姉さま! ふふ、ユグライアもお聞きなさい?」
「あー、ごめんごめんアリサ姉~ほら、フォレストくん? ステイだよ!?」
「ん。そうだった……ほらほらリュール、お姉さんと向き合って?」
そうして、妹達との再会にはしゃいでた王様達もちょっと落ち着いたようで、私達の方に向かい合った。ここで私達は一人づつ自己紹介と挨拶を済ませ、旅の目的とかを説明しておいた。
『驚いたぞビット? 貴公が現世にそのような形で留まっておるとはな』
「はっ! 不詳ビット。どうしても『セリアルティ王国』の復興を諦めきれず……アリサ様の御力にすがりましてございます」
「俺も驚きだなぁ……よくアルティレーネ様達から「瓜二つ」と言われてきたが……偉大なる祖よ。こうしてお目にかかれたこと、このゼオン。嬉しく思いますぜ!」
うむ、私もだ。とビットとゼオンに相槌を打つユグライア王。その瞳は優しげで、旧い臣下との思わぬ再会、そして遠い子孫との邂逅に嬉しげだ。でも……やはりと言うか、少しだけ寂しそうにも見えるね。
『ほぉ~俺とリュールの子孫かぁ~♪ フォーネはリュールに似たな?』
『リールちゃんもどことなくフォレストくんの面影があるよ!』
「あ、えっと……なんだか凄く不思議な気分ですけど……こうしてご先祖様にお会いできて嬉しいです!」
「え? 私フォレスト様に似てますか? 自分じゃ全然わかんないなぁ~」
「りるりる~気を付けた方がいいよぉ? フォレストくんはスケベだからね!」
「ん……そんなスケベとリュールはよく一緒になったね?」
馬鹿野郎、子孫に手出すわけねぇだろ! あはは♪
と、こちらはフォレストとリュールにその子孫達と妹達だ。和気藹々としてて大変よろしい。
────────────────────────────
【責任と】~覚悟?~
────────────────────────────
『──復興を進めてくれるのは、勿論嬉しいよ? でもね、みんなはみんなで自由に生きてくれていいんだよ?』
『だな。お前達には仲間達と楽しく暮らしてくれりゃ、それで十分なんだぜ?』
優しい王達だ。子孫であるフォーネとリールに微笑み、亡国は過去に過ぎず、それに囚われることなく、今を精一杯生きよ。と、そう優しく諭してくれているのだ。
「ただ国を復興するだけでは意味がない」
「そうね、それは『セリアベール』の皆が望むように、志を共にする者達が集ってこそよね?」
バルドくんとシェリーが言うことは最もだ。ただただお城を復旧して、人がいなければそれはただのハリボテに過ぎない。
「……無人の玉座に、座る事の……なんと空虚なことか……」
「今じゃ『ゲキテウス』に『エルハダージャ』があるしなぁ……」
う~んって顔して唸るのはデュアードくんとセラちゃんの二人だ。デュアードくんは私と同じ考えに至ったんだろう、無人の城に一人ぽつんと立つリールやフォーネの寂しそうな顔が目に浮かんでしまうね?
セラちゃんは今ある強大な二国の存在を懸念しているようだ。確かにいくら伝え聞く『三神国』と言えど、それは結局過去の話に過ぎない。もし復興したとして、その名から多少なりとも影響は出るだろうが、今ある国家から見れば新参者にすぎないだろうし、国の経営を軌道に乗せるには相応の問題が浮上しそうだね。
「いや、そうでもねぇぜ? 考えても見ろ、かつての『三神国』の民達は国を追われた後、ルヴィアスに拾われ大部分が帝国に居着いたろ? そうですよねユグライア王?」
『うむ。かの魔王と共に北の台地を平定したのも懐かしき思い出よ……』
『そうだな、そのルヴィアスはどうしてるよ我が娘?』
「今も『ルヴィアス魔導帝国』を治めていますよフォレスト様♪」
『ふへぇーっ! 頑張るなぁルヴィアスくん! 彼にも会ってみたいなぁ~♪』
「…………」
お? なんぞゼオンが物申してきたぞ? 魔王の襲撃から逃れた『三神国』の民達の話しかね? 同意を求められたユグライアとフォレストも頷いて懐かしがってる。んだけど、フォーネ? どうしたの? なんかリュールの「会ってみたいな」って発言に考えこむように顎に手をあてて「う~ん」って言ってるけど?
「へへ! 今度はルヴィアス様とその側近の三人も連れて来ようぜ!?」
「ふふ、そうだねブレイド♪ ルヴィアス様も喜ぶよ!」
「うむ。それがよかろう」
「それで、ゼオンさんお話の続きはどうなりますの?」
ふむ……まぁ、フォーネには後で詳しく話を聞くとして。ブレイドくんの言うように、ルヴィアスにも会わせてあげたいね? きっとミストちゃんの言葉通り喜ぶだろう、バルガスも頷いている。そして、ネヴュラに話の続きを催促されたゼオンは……
「なに、人ってのは誰もが故郷に帰りたいって願うもんだ。俺達『セリアベール』の住人がそうであるようにな? 世代を経て、きっと『三神国』の末裔達は世界中に散り散りになってるだろうが、俺は必ず集うって思うぜ?」
「ふはは! なに、魔王共を片付ければ、女神共もその従者を務めたリールにフォーネも、世界中にその名は轟くであろう?」
「リンの言う通りじゃ。その従者がかつての『三神国』の王の子孫と知れば自ずと志を共にする仲間も集うじゃろうて」
故郷に帰りたいか……私は絶対帰りたくないけど、まあ例外だろうし除外するとして……なんにせよだ。リンとシドウの言う魔王共との決着を着けない事には復興もなにもあったもんじゃないのは確かよね? でも、「名を轟かせる」って言うけどさ……
「リール。フォーネ? あんた達はどうしたいの? いくら周りが騒ごうが、決めるのはあんた達よ? 「誰かが望むから」じゃなくて、あんた達の意志と希望を聞かせてちょうだい?」
「うむ。そうじゃな……アリサ様の言う通りじゃぞ二人とも? 己自身、心から復興を望まねば、長くは続かぬものじゃ」
「う~ん……アリサちゃんとたまちゃんの言うこともわかるの。もう、すっごくわかるぅ~んでもさ、私達今まで普通に農民だったわけじゃない? いくら「やってみたい」って思っても、それは一時的なものかも知れないし……ゼオンさんとかルヴィアス様に心構えだのなんだの教えてもらうにしても、それ聞いて「やっぱ無理!」ってなるかもしれないのよね? まぁ、要するに。まだ覚悟ができてません!」
お、おぅ……私と珠実の質問に捲し立てるような勢いで答えるリールにちょいと圧倒されてしまった。でも言いたいことはよくわかる。以前にもチラッと触れた事だけど、一般人がある日突然「あんたは王家の子孫だから、国復興して王になれ」なんぞ言われても無理な話だ。
「私も、リールと似た考えなんだけど……ねぇ、アリサちゃん? ご先祖様達のことをさ、ビットさんみたいに体を与えてあげられたりしないかな?」
『えぇーっ!? マジで!?』『なんと!?』『おいおいおい!? そんのアリか?』
ほほう……? なんぞ考えてるなぁ~なんて思ったけど、コヤツめぇ、そんなことを? リュール達三王もびっくらこいてるじゃないか? ふぅぅーん……その質問に答える前にちょいとフォーネの真意を聞かせてもらわなきゃいけないなぁ~?
────────────────────────────
【叶うなら】~共に……~
────────────────────────────
「フォーネ……それをお願いする理由は何? もしかして、国の復興はリュール達に任せて、我関せずって魂胆かしら?」
「あはは! そんなことしたらみんなに見限られちゃうじゃない? ひどいなぁアリサちゃん! 私がそんな無責任なこと言うと思ったの?」
「あら違うの? 私ならそうするわよ?」
おいぃぃーっ!?
あっはっは! そらそうよ? 国の経営だのなんだの、そんな面倒で責任重そうな仕事なんてごめんこうむるわよ? 要は適材適所って事。だからみんなしてそんなに大声挙げてびっくりする事ないじゃん?
「三人も「自由にしていい」って言ってんだし、自由にしたらいいのよ? そういう周りに流されてないガチな本心聞きたいんだからさ」
結構気を使って、本当は嫌なのに……そんなにノリ気じゃないのに~とか、そういうのは一切抜きにした自分の本当の気持ち。それが聞きたいんだよ。その事をちゃんとみんなにも伝えておこうと、私がそう言ったんだけど、なんぞ妹達が集まって……
「ふふふ、そんなこと言ってアリサお姉さまは、色々と面倒を見て下さるんですよね♪」
「ぷふふ♪ アルティ姉~そこはシーだよシー♪」
「ん。アリサお姉さんは照れ屋だから、そう言うこと口に出すと、ぷーってなる♪」
なにか言ったかね妹達よ? ヒソヒソと内緒話をしおってからに?
「あはは、まぁ~その辺はリールと一緒だよ? いくらリュール様達の子孫って言っても十数年農民やってたんだからね。そりゃ覚悟もなにもおっつく訳ないでしょ? そこでさっきの話だよアリサちゃん!」
あら? 思ったより復興には前向きなのん? ふむふむ。なるほど、フォーネの話を聞くと、どうも、復興する分には構わないけど、その後の覚悟が決まっていないって事ね?
「実際に国を治めてたリュール様達に、そこをがっつり鍛えてもらいたいの! ほら、思い出して? 『記憶の断片』でもリュール様達は自分達の手で復興を成し遂げたかったみたいだったじゃない?」
「フォーネあったまいいっ!! いいよそれ! ぶっちゃけ私もご先祖様達からもっともっと色々お話聞きたいし、国作りのいろはなんかも教えてもらえたら最高じゃん!」
ひょーっ♪ って手放しで喜ぶリールがフォーネに抱きついて、二人とも嬉しそうに破願する。やれやれ、よく考えたもんだわ。確かに直接『三神国』の王達に師事してもらえるのなら、この上なく心強いだろうね。
『ははっ……いやいや、マジか? ぶっ飛んだこと考えるもんだぜ』
『そ、そんなこと出来るの!? あ~でも実際ビットくんがこうしているわけだし……』
『不可能では……ないのか。『聖域の魔女』様?』
フォレストがその娘二人が抱き合う様を見つめながら苦笑いを見せ、リュールはうむうむと、何故か得意気に頷くビットと、私を交互に見ては「そんなことアリ? アリかぁ~? だってアリサちゃんだから?」とかぶつぶつ……そのギャグつまんないわよ? でもって、ユグライアはストレートに訊いてきた。
「それにね、リュール様」
『え? なあにフォーネちゃん?』
リールに抱きつかれたままにリュールに呼び掛けるフォーネだけど、なんだろ? 他にも何か思うところがあるのかな? リュールはそんなフォーネにこてんと首を傾げて話を聞く態勢だ。
「もしそうなれば~こうして大好きなレウィリリーネ様とも触れ合えますよ♪」
『あ……』「ん。それはいい……あたしもリュールを撫でてあげたい」
「いいねそれ! 『ファムナ村』とか『セリアベールの街』も見れるし、ルヴィアス様にも会えるよ!」
『おお! それは確かにいいな! 俺達が作った村と街。確かに見てみてぇぜ! ルヴィアスの野郎にも会いてぇな!』
『うむ。ゼオンの話だけでなく、直接この目で見ることができるのであれば、それはどんなに嬉しいことか!』
……そっか。さっきリュールが「レウィリちゃんをぎゅってしたいのに」って、そしてルヴィアスにも会ってみたいとも言ってたね? フォーネはその事を考えてたんだ。一瞬驚いたリュールにレウィリリーネが微笑みかける。うん。レウィリリーネも『記憶の断片』を見て触れようと伸ばした手が空を切り、涙した。
フォレストもユグライアも叶うならば、と夢見ていたのだろう。期待の眼差しが私に集まる。
「……貴方達の気持ち、その『想い』……よくわかったわ。『聖域の魔女』として、その『想い』に応えましょう」
わあぁぁぁーっ!!
「ありがとうございますアリサお姉さま!」
「嬉しい♪ またフォレストくん達とバカやれるんだね!」
いやまぁ、この流れで断るほど駄目人間はしてないよ私?
この『聖柩』に集まったみんなが嬉しそうに歓声を挙げて、アルティレーネがペコペコと私に頭を下げる。フォレアルーネは心底嬉しそうに跳び跳ねて喜び、レウィリリーネもニコニコ笑顔だ。うんうん、んじゃそのお願いを叶えるために色々準備しましょうかね?
バルド「ううむ(´・ω・`; ) フォレスト王って、結構なスケベなんだな……(^_^;)」
デュアード「……結構な、女好き(;´A`) 少し、引くが……同時に、少し……そこまで開けっぴろげにできることに、尊敬する(´・∀・`)」
ミュンルーカ「何言ってるんですか!( ;゜皿゜)ノシ デールさんより性質悪いじゃないですかぁ~?(>o<")」
フォレスト『安心しろ(^∇^) ちゃんと相手は見極めてるぜ?(*`ω´*)』
リュール『そうそう、フォレストくんのそれは結構ポーズだから♪( *´艸`) でなきゃ私が怒るよ~?(*゜ε´*)』
フォレアルーネ「いや、リュールっちはもっと怒ってよ?( ̄0 ̄;)」
レウィリリーネ「ん(¬_¬) そう言うフォレアは、もう少し女として警戒すべき(*・ω・)ノ」
アルティレーネ「いつまでも言動が子供っぽいから、フォレストにいじられるんですよ?(*´艸`*)」
ブレイド「フォレアルーネ様ってノリいいし、一緒にはしゃいでくれるしでσ(´・ε・`*)」
ミスト「うん♪(*´▽`*) そのままでいてほしいですけどね!(*`艸´)」
リン「つまりはフォレストも同程度のやんちゃ坊主ということだ(  ̄- ̄)」
アリサ「そういや『セリアルティ』の王妃様って名前も全然出てこないけど、どうなの?( ・-・)」
ビット「ふふ、王には正室様と二人の側室様がおられましたよ?(´∀`*)」
珠実「ほう(・о・) ハーレムというやつじゃな?(゜ー゜*)」
セラ「ハーレムだとぉ~?Σ(´□`;) んだよコイツもスケベ野郎か!(`□´)」
ユグライア『い、いやそれは王として子孫を残すべくだな……ヾ(・д・`;) ちゃんと三人共愛情を持って接したぞ?(゜A゜;)』
ゼオン「その辺あんま記録も残ってねぇんですよね( ´~`) 詳しく聞かせてもらいてぇなぁ?(°▽°)」
シェリー「当時の細かい話も今じゃ歴史的価値として重宝されますね!( ・∇・) 私も興味津々です!(* ̄ー ̄)」
シドウ「ほっほっ♪( ^ω^ ) なんとも賑やかじゃのぅ( ´ー`)」




