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TS魔女さんはだらけたい  作者: 相原涼示
152/211

121話 聖女と合流する女神達

アリサ「おぉ……見て見てユニ!(*´∇`) ユニークアクセスが六万を越えたよ~?(ノ≧∀≦)ノ」

ユニ「ホントだぁ~♪ヽ(o・∀・)ノ」

アルティレーネ「早くも六万ですか(^ー^) 喜ばしいことですね!(´∀`*)」

フォレアルーネ「ってことは~( *´艸`) 用意してあるんだよね!?(; ・`ω・´)」

レウィリリーネ「ん(_ _) 大丈夫らしい( ´ー`)」

アリサ「何でも記念の小話は結構前に用意してて(´・∀・`) ホントは年始に公開するつもりだったんだって(^_^;)」

ユニ「でも~(≧ω≦。) それだけだと味気ないから、変えたんだって!(・о・)」

アルティレーネ「ははぁ、なるほど(´・∀・`)」

レウィリリーネ「ん( ゜ー゜) というわけで、三月三日に閑話を前編と後編、続けて投稿するo(*⌒―⌒*)o」

アリサ「いつも読んでくれてありがとう♪ヽ(*≧ω≦)ノ」

みんな「どうぞお楽しみに~!ヾ(*´Д`*)ノ」

────────────────────────────

【思わぬ報告】~奴は既に!~《シドウview》

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「──ってな事があってねぇ~? お礼にこの『エルジャ茸』を沢山もらったんだよ♪」

「いやいや! 待てよアリサ! その群生地ってどうなったんだよ!?」

「いや、セラ……気にする、ところ……そこ、か?」


 やれやれじゃな。あの聖女めが行く先行く先でなにかとやらかしおってからに。

 おぉ、皆の衆久しいのぅ? 黄龍のシドウじゃ、寒い日が続いておるが、体調崩したりはしておらんかの?

 さてさて、儂等はこの『ファムナ村』に女神の次女。レウィリリーネの奴の肖像画とやらを拝みに来たんじゃが、リールとフォーネの故郷と言うことで、話が盛り上がり、また、村の結界を張ってやったりしたのじゃよ♪

 聖女の奴も『セリアベール』の『氾濫(スタンピート)』を警戒した時に配置したおぷしょんで話に加わって来おっての。今は『ファムナ村』と『聖域』の作物の食べ比べなんかをしておるんじゃ。うむうむ♪ 皆、聖女の『無限円環(メビウス)』での訓練で料理も練習しておったからのぅ~、実に美味い飯が儂等の前にズラリじゃよ! うぉっほっほっほ♪ こりゃたまらん! 長生きしてよかったわい。

 しかし、リールや、フォーネ。『黒狼』の面子の作る飯も美味いが、映像通信(ライブモニター)に映る聖女共が食うておるあのみぞれ鍋のなんとうまそうなことかのぅ~? 隣の芝生は青く見えると言うアレなだけかも知れんが……ううむ、実にうまそうじゃ!

 まあ、それはさておきじゃ。折角なので『エルハダージャ』に向かった聖女達に、今日までどんな事があったのかを飯のお供に聞いてみることにしたんじゃよ。そうしたら、なんじゃまったく? ウナギだのキノコだのと! 食いもんばかりではないか!? まったくけしからん! ちゃんと儂等の分も用意してもらわんとならんの!?


「あ~うん。まぁ、『エルジャ茸の聖地』だーっ! ってことで、村長達喜んでくれたし、そのままだよ」

「マジか……大丈夫なのかよ女神様?」

「あっはっは! 別にへーきっしょ?」

「ん。他の人よりちょっと寿命伸びるくらい」


 どうやら聖女共が浄化を施した『エルジャ茸』の群生地はそのままにしてあるそうじゃ。セラの奴めがその『聖地』となった場所のキノコを村人が食うことで何かしら影響があるのではないかと懸念しておるが、なぁに、末っ子と次女の言う通り大きな影響なぞ出やせんぞい?


「ふむ……しかし、そんな場所に『魔装戦士』の格納庫か」

「魔素が充満し『魔力溜まり』になって、その『パソコン』とやらで『魔装戦士』の『(コア)』へと供給されていたんだろう? それは自然にできることではないんですよね?」

「そうだね……プログラムとかシークエンスとか小難しいことは省くけど、必ず誰かしらの手がない限り、こんなことはあり得ないね」


 リンとバルドが話の焦点を元の『魔装戦士』の格納庫の件に戻し、聖女に問うておる。聖女の話では、前世の世界にあったと言う『パソコン』なる物……こちらで言う魔装具らしいが、超精密な物らしく、『ユーニサリア』の技術では決して作れる物ではないそうじゃ。

 歴史の生き証人である儂等から見ても、この世界に文明はそう高いものではない。それはつまり、異世界からもたらされた物であると言う事であり、そんな事を可能にするのは間違いなく神……それに連なる者の仕業であると言う事じゃな。


「アリサちゃんはどう考えてるの? やっぱり……『技工神』ロアの仕業?」

「そうだね。この『パソコン』を持って来たのは間違いなくロアだと思う。でも、あの『魔力溜まり』を発生させたのは、多分別人だと思うよ?」


 リールめが聖女に『魔装戦士』を起動しようとした者、『パソコン』なる物を持ち込んだのはロアなのかと疑問を投げれば、聖女はそう答えおる。ふむ……つまり、その『パソコン』をもたらしたのはロアじゃが、操作をしたのはまた違う者か……


「……ロアの指示を受け、誰か……部下かしらね? その者が操作した」

「おそらくだが、その手順を間違えたか何かしたのだろうな? もしロア本人が操作をしていたのなら、『魔力溜まり』など発生させずに秘密裏に『魔装戦士』の『(コア)』に魔力が充填されていただろう」


 映像通信(ライブモニター)越しにネヴュラとバルガスが考察する。ほう、なるほどのぅ~確かに神ならばわざわざ『魔力溜まり』を発生させ、聖女共に気付かれるようなヘマはせんやも知れぬな。


「え? 待ってくれよ? んじゃあロアって奴はもう復活してるってことか!?」

「……そう、思って……いた、方が、いい……だろうな」


 ロアの二つ名は『技工神』じゃ。『神界』の監視を掻い潜り、復活を悟らせぬよう立ち回っておったとしても不思議ではない。故にブレイドよ、デュアードの言うように「そうである」と心構えをしておくとよい。


「……ねぇ、アリサちゃん。思ったんだけど……その『パソコン』ってやつに、ネハグラさんとジャデークさんに使ったっていう、記憶を垣間見る魔法って効かないのかな?」

「あら、フォーネってばよく覚えてたね? そう、私の『記憶の断片(メモリーピース)』と、『記憶映像再生(メモリープレイヤー)』を使えば、必ずこの『パソコン』を操作した人物が映し出される。みんなも一緒に見ようか?」


 おおっ!! と、皆の衆から声があがりおる。いやはや、聖女にかかれば如何に上手く物事を隠そうとしても、まるで無意味じゃな。ふふふ、ロアにその一味とおぼしき者共め……ヌシ等の企みなどなにするものぞ!!


「いやぁ~なんぞすんげぇごどになってんだなぁ?」

「おら達、よぐさわがんねぇんだげんちも……この方達は世界ばなんとかすっぺど頑張ってんだない?」

「んだんだ! こっだらいい人達だべし、応援ばせななんねぇべ!?」


 おぉーっ! こだうめぇ飯さ作ってもらったんだし、応援しねぇわげにいがねばい!? とか、騒ぐ『ファムナ村』の村人達じゃ。ホッホッ! こやつらは本当に純粋じゃのぅ? 訛り混じりの言葉は聞き取りづらいが、実に気のいい連中じゃ。しっかりと護ってやらねばな!


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【暗躍】~黒フード達~《ブレイドview》

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「おい、急げよ!? いつ誰が来るとも限らん!」

「わかっている! 冒険者達は洞窟やダンジョンなどを見付けるのが得意だからな……すまんが見張りを頼む!」


 アリサ姉ちゃんの魔法『記憶映像再生(メモリープレイヤー)』がその『パソコン』ってのにかけられて、俺達は映像通信(ライブモニター)を通してその映像を観る。なんか、映像の中の映像を観るってのは不思議だけど、ロアっていう魔王が女神様達すら欺いて、とっくに復活を果たしてるっていう懸念が生まれた以上、足取りを掴む為の重要な情報だ。見逃せないぜ!

 アリサ姉ちゃんの『記憶映像再生(メモリープレイヤー)』には、『パソコン』を操作しようとしてる奴等の姿が映されてる!


「二人とも『亜人(デミヒューマン)』じゃな……もう嫌な予感しかせんわい」

「ワタシもですシドウ様……この『魚人(マリーン)』と『人犬(ワードック)』ですけど……」

「明らかに黒フードの連中じゃねぇか!? 最悪だ……つまりこれって、ロアと黒フード達が手組んでるって事だろ!?」


 なんてこった!? シドウじいちゃんの言う嫌な予感。それは映されてる黒いフードをかぶった二人組、ミュンルーカの姉ちゃんが言ったように『魚人(マリーン)』と『人犬(ワードック)』だが、明らかに黒フードの一味で間違いねぇぜ! しかも『魔装戦士』ってのはロアの造った『魔装巨人(ゴーレム)』だ。セラ姉ちゃんが叫んだ通り、こいつらとロアは繋がってやがるってことかよ!?


「エリクシル様からお教え頂いた『パスワード』……こうだな? よし! 『魔装戦士』への魔力供給開始だ」

「終わったか? では次に行くぞ! ふふ、これで数日後にはこの『エルハダージャ』も落ちよう」


 なんだって! 『次』って、ここの他にも格納庫があるってのか!? それに、『エリクシル』って誰だよ!? わかんねぇ~わかんねぇけど、核心に迫ってる感じはビンビンに感じるぜ!


「ん。アリサお姉さん……これで、『記憶映像再生(メモリープレイヤー)』で観れる『記憶の断片(メモリーピース)』は全部?」

「ん~いや、待って、もう少しあるね……これは……」


 映像通信(ライブモニター)越しのアリサ姉ちゃん達の『記憶映像再生(メモリープレイヤー)』には、さっきの黒フードの二人組が『パソコン』の前から立ち去った様子を最後に、ずっと変わらない映像が映されてる。レウィリリーネ様もそうだが、俺達もこれで全部かって思った。だけど、なんか続きがあるみたいだぜ?


ぼぅ……


「……ぼくが気付かないと思ったのかな? まぁ、無理ないけど……はい、停止っと。後はこうして……こう。うん、これであの人達が気付いてくれるはず……」


 なっ!? なんだ!? 暫く同じ映像が続いたって思ったら、空間が歪んで誰かが現れたぞ!? その誰かは姿がぐにゃ~って揺らいでる上に、『幽霊(ゴースト)』みてぇにうっすら透明で誰なのかが判別できねぇ。


「……見てくれてるよね? ぼく、待ってるから、早く来て?」


シュンッ……


 消えちまった……なんだったんだ今の……?


「……なるほどね、さて。ちょっと整理してみよっか?」

「頼みますアリサ殿。正直俺達には何がなんだかわからなくなってきたところです」


 ああ、頼むぜアリサ姉ちゃん。俺もバルドさんと同じでわけわかんねぇ……特に最後のが……アリサ姉ちゃんの呼び掛けにみんなもうなずく。


「まず、ロアはもう復活を果たしていて、『ディードバウアー』を崇める黒フード達と手を組んでいる。これは間違いなさそうだね、もしかしたらその黒フード達を先導してるって可能性もありそうだけど」

「……多分、ロアは黒フード達を利用してるんだと思うよ?」

「そうでしょうね、ロアは目的のためなら手段を選ばない、ある意味『狂神』でもあります」


 ああ。そこはもう流石の俺にも察しがついたぜ。あいつ等は『パソコン』の前で「パスワード」がどうたらって言ってた。よくわかんねぇけど、多分『パソコン』を動かす『鍵』みてぇなもんなんだろ? それをこの世界の奴等が知るはずがねぇ、って事は、ロアの野郎が教えたって事だろうしな。フォレアルーネ様とアルティレーネ様が静かに怒りを見せるけど、俺もムカついてる。てめぇは手を出さずに高見の見物決め込んでるようでよぉ!


「そして『魔装戦士』への魔力供給は正常に行われていたみたいね。あの黒フード二人のセリフから他にもこういう格納庫があるんだろうけど……今はそれが何処にあるかわからない」

「歯痒いのぅ、なんとか見付け出す事は出来ぬのか?」

「ん……どうかな? ちょっと難しいかも。でも、何もしないよりはいいだろうし、あたしも考えてみる」

「ええ。私も考えておくわ、レウィリ、後でちょっと相談させてちょうだい。みんなもシドウみたいにもどかしいだろうけど、今は我慢してね?」


 応! 了解だぜアリサ姉ちゃん! 確かにあの黒フードの『魚人(マリーン)』と『人犬(ワードック)』の二人組は「次に行くぞ」って話してやがったから、他にも『魔装戦士』の格納庫ってのがあるんだろうぜ。でも、闇雲に探したところでそうそう見付かるとも思えねぇ、シドウじいちゃんの言うように歯痒いけど、レウィリリーネ様とアリサ姉ちゃんが何かしら対策思い付くまで待つしかねぇな。


「そして……これか。だいぶ不安定な存在みたいね? みんなはどう思う?」

「……『ココノエ』じゃ、間違いあるまいて」


珠実様!?


 え? マジかよ? このわけわかんねぇ揺らいでる奴が『エルハダージャ』の女王。『ココノエ』って奴なのかよ? 俺達はビックリして、映像通信(ライブモニター)に映る珠実様に目を向けた。


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【見えてきた】~黒フード達のボス~《アリサview》

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「そう思う根拠は何、珠実?」

「うむ……声じゃ。それにしゃべり方。後は感覚じゃな。長いこと会うておらんでも、妾にはわかるのじゃ」


 そう。なんか随分曖昧に聞こえるけど、私もなんとなくで、あの子は『ココノエ』だって察した。なんだろう、この感覚……会ったことなんてないのに、酷く『懐かしい』って感じがする。


「……私達、ううん。まるで私がこうして『記憶映像再生(メモリープレイヤー)』を使う事がわかってたかのような口振りと言い、今にも消えてしまいそうな不安定な感じといい……早急に会う必要があるみたいだね」


 やれやれ、魔王達の先手を打つための『三方面作戦』だけど、まさかロアが既に復活を果たしていて、更に黒フード達と繋がっている始末。

 そして、私達に何かを伝えようとしている『ココノエ』と来たもんだ。こりゃ、いよいよ本格的に忙しくなりそうね?

 いや、既に各地に隠されているだろう『魔装戦士』の格納庫。それを見付け出す方法の模索に、押収したこの『パソコン』の解析、『エルハダージャ』の王都に向かい、『ココノエ』との謁見と、一気にタスクが増えた今はもう忙しいか。


「ねぇ、アリサ姉……確かにこの『ココノエ』ってのも気になるんだけどさ。さっきの二人組がなんか言ってたよね? 確か「エリクシル」がどうたらって?」

「うむ。確かに言っていたな? 「パスワード」がどうと……」


 フォレアルーネが少し困ったような、難しい顔して私にそう確認をとってくる。うん、リンも頷いているように、確かに言ってたね。なんぞ心当たりでもあるのかね妹よ?


「なんか~大昔に聞いた事あるような気がするんだよねぇ……」

「……『エリクシル・ウィスタール』ですわね。以前にお話させて頂いた『人間(ヒューマン)』の国に滅ぼされた『亜人(デミヒューマン)』達の王国、『ウィスタール』の当時の王子の名ですわね」


 はっ!? ネヴュラ、それはマジな話なの?


「そうだ! そうだよ!! うちも思い出した! なんせ魔神達が攻めてくるよりずっと昔の話だからすっかり忘れてた!」

「ん。『聖域』でみんなに説明したのに……なんでその時に名前が出なかったの?」

「いや、あん時は差別の根幹の話だったじゃん? それにうちは『不朽』持ちじゃないし、そーいうことあったなぁ~って程度の記憶なんだよ?」


 フォレアルーネもそのネヴュラの言葉にはっとなって叫びだした。どうやらマジな話らしい。レウィリリーネが聞いた疑問は、確かに論点が違ってたってのはあるね。寧ろちゃんと当時の王族の名前まで覚えてるネヴュラが凄いと思う。


「まぁ、その……夫との恋路を邪魔されたと言うのもありますし、契約を果たすために徹底的に調べましたので。よければお話しますけれど?」


 あ~そっか、ネヴュラはその『亜人(デミヒューマン)』達の国、『ウィスタール王国』が滅亡した際に、相手国に対して、報復を請われたんだっけ? 当時悪魔だったネヴュラはその契約を完遂するために、事細かに調べたというから、よく覚えているんだろう。折角なので聞いてみよう。


「わかりましたわ。できる限り要約させてお話致しますわね? 事の発端についても以前説明しましたので割愛します。

 当時の『人間(ヒューマン)』の国、『ヴァリスデリダ』に滅ぼされた『ウィスタール王国』は、『ヴァリスデリダ』への報復の為、その王族が中心になって私を召喚しました」


 話では、ネヴュラを召喚したのが当時の王『エブライド・ウィスタール』と、その側近達であり、王子であった『エリクシル』は召喚されたネヴュラに対して案内役を務めたのだとか。


「……そのエリクシルの言葉と現実を照らし合わせて、真実を見極めてみたりと。ふふ、懐かしいですわね。そうですか、あの時の少年が……ふふふ」

「なるほど……つまりそのエリクシルと言うヴァンパイアが黒フード達のボスと言うわけか……事情がどうあれ、俺の朋友の安らかな眠りを妨げ、利用したそのツケは払ってもらわねばな……」

「応! 目標がハッキリしてきたなバルド! アタイ達で「冒険者をナメんな!」ってぶっ飛ばしてやろうぜ!?」


 ネヴュラは当時行動を共にした『エリクシル』を、ちょっと懐かしんでいるのか、それともこんな騒動起こしてる事に怒っているのか……その笑顔ちょっと怖いんですけど?

 そして明らかに怒りをあらわにしてるのがバルドくんだ。彼の目的は親友でもあり、同期でもあったロッド少年を『死人』として利用した事に対して非常に遺憾だと思ってる。

 それはセラちゃんだってそうだ。『黒狼』のメンバーと交流のあった、踊り子のエミリア氏、ハーフドワーフでミュンルーカと仲のよかったエイブン氏も同じく『死人』として利用されたからね。


「ん。きっちり決着をつけよう……敵は、ヴァンパイアロードであり、『死霊使い(ネクロマンサー)』であるその『エリクシル』と、『技工神』ロア」

「うむ。まずは其奴等を潰す。後に『獣魔王』ディードバウアーだ」


 レウィリリーネとリンがみんなに向けてそう宣言する。みんなもそれに力強く頷き、決意を新たにした。何か水面下で色々と暗躍してるようだけど、見てろ~? そんな企みなんて断固阻止してくれるからね!


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【美味かった】~料理っていいな~《デュアードview》

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「と、とんでもねぇ話さなってんだなや……」

「んだなぁ……おら達はなんもでぎねぇげんちも、応援ばしでっがらな!?」

「無理だけはすんでねぇぞリール、フォーネ!?」

「んだ! 絶対生きさ()ぇって、またこのうめぇ飯さ食わせてくんろ!」


 お、おぉ……そうだった、すっかり話に夢中になって『ファムナ村』の人達を忘れていたな。黙って聞いていてくれた事に感謝しなくては。


「うん! 大丈夫だよ! ちゃんと帰って来るからね!」

「どんなに情けなくても、必ずこの村に帰って来るよ」


 ふっ、見れば皆しっかりと俺達が作った料理を平らげているな。話が中心だったが、勿論俺達もしっかり食った……ふぅ~実に美味かった。やはり、こうやって皆で同じ釜の飯を食うのは良い……上手く言えないが、団結力が高まる。


「安心して『ファムナ村』のみんな♪ 私達が悪い奴等をとっちめてやるからさ!」

「いやぁ~ありがてぇべ~ほんに、なにがらなにまで……アリサ様! おら達さでぎる事さあったらなんでも言ってくんち!」

「んだんだ! お世話になりっぱなしじゃ申し訳ねぇがんな!」


 わいのわいの! 賑やかに騒ぎ出す村人達、ああ。いい村だなここは。皆が皆、俺達に協力を申し出てくれている。例え彼等に戦う力はなくとも、『想う』心は強い。その力はきっと俺達を奮い立たせる大きな力になるはずだ。


「いやいや、応援ばしてくれるだげでも十分だばい♪ あんがとねぇみんなぁ~? んで、リールとフォーネはレウィリの肖像画さ、も~みだのがい?」

「ちょっと! アリサちゃんまで訛らなくていいんだよ~折角私達頑張って普通な喋り方してるのに!」


 ははは! アリサ様の訛り全開の返事に皆笑い出す。リールとフォーネはその訛りが何か恥ずかしいのか、ちょっと照れているみたいだ。別にお前達二人が訛った喋り方してもいいと思うぞ?


「ふふ、まだこれからだよアリサちゃん。先ずは『ファムナ村』と『聖域』の作物の味比べしてたんだから」

「あはは♪ 結局どっちも美味しかったですよね?」

「そうだな。いちいち決着つけぬとも、どちらも美味いので、それで良かろう?」


 フォーネが肖像画を見る前に作物の味比べをするために料理を始めた事をアリサ様に伝えた。まあ。味比べ等と言っても、結局は皆が作った料理、それには『ファムナ村』産の食材も『聖域』産の食材も両方使われたので、どっちが美味いとかはわからん。ミストが笑うように、どれもこれも美味くて手が止まらなかったくらいだ。リン様もいっているが、別に甲乙つけずとも、美味ければそれでいい。


「うむうむ♪ 皆が作った料理のどれもが、実にうまそうじゃったのぅ?」

「実際美味しかったよたまみん♪ アリサ姉の作った『エルジャ茸』のみぞれ鍋も美味しそうだったね!?」

「うむ。実に美味でした! 『エルジャ茸』を干してとった出汁のなんと奥深い旨味……それをたっぷりと吸った野菜に共に食す魚と言い……ふぅ~ライスがいくらあっても足りぬ……」


 珠実様が俺達の作った料理がうまそうだったと、褒めて下さった。それにフォレアルーネ様も実際に美味しかったと言って下さるのは正直に嬉しい。なるほど、アリサ様が嬉しそうに料理をするのはこういう事なんだな……

 んだなぁ~アリサ様達が食うとったあの鍋っちゅうもんは、ほんにうまそうだったべぇ~! と、一緒に映像通信(ライブモニター)を見ていた村人達も声を揃えて、アリサ様のみぞれ鍋を絶賛している、実際に食ったバルガスなんかは今も余韻にひたっているようだ。


「ふふ、ですが……レウィリリーネの肖像画ですか……そういった形に残る物を遺してくれたのは、少し羨ましいって感じます。私も見てみたい」

「だよね~? わかるよアルティ姉! フォレストくんもなんか遺してくれてないかなぁ~?」

「ん……二人とも高望みし過ぎ。ゼオンにリール、フォーネ。この子孫三人に出会えただけでも奇跡的……」


 三女神様達がそれぞれに肖像画という遺産に、思うところを話しだす。俺達には想像もつかないような永い時間を生きるこの三人だ。遠い昔に祝福を授けるも、残念ながら滅んでしまったかつての『三神国』、その王家の者が何かを遺してくれたのなら、それは彼女達にとって、とても感慨深い思い出を呼び起こしてくれるだろう。


「ほっほっほ♪ たらふく飯も食うたし、いい頃合いじゃろう? 皆揃ってその肖像画を観せてもらうとするかのぅ?」

「おぉおぉ! それならば早速儂の家にご案内しましょう! ささ、皆さんこちらですじゃ!」

「おじいちゃん、私が案内するから、急に動かないの! また腰悪くしちゃうよ?」

「何を言うんじゃこのバカ孫め! 女神様方をご案内するんじゃ! 村長の儂が動かんでどうする!?」


 シドウ様が飯も平らげたし、その肖像画とやらを皆で観に行こうという呼び掛けに、そうだなと、皆席を立つ。ならばとフォーネの祖父である村長も元気に立ち上がり、俺達を家へと案内しようとしてくれる。が、そこにフォーネが……まぁ、気遣ったつもりなんだろうな。祖父の腰の心配をして代わりにと言ったんだろう。


「あ~腰は一回やっちゃうと、一生モンなんだよねぇ~? じいちゃんマジに気を付けてねぇ~?」

「おぉ……ご心配痛み入りますじゃアリサ様。ほんに、若い頃にやった腰がこの歳になると、酷く響きますわい!」


 ああ、わかる……俺達冒険者にとっても、腰は重要だ。特に前衛の俺達にとって、腰痛で思うように動けない。等という事態は避けないといけないからな。村長も大事にしてもらいたい。


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【合流】~お邪魔しますね?~《アルティレーネview》

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「折角だし、私達も直で観ようか? 一回訪れた場所なら『転移(ワープ)』で移動できるから、直ぐ戻ってこれるし」

「まぁ、よろしいのですかアリサお姉さま?」


 私が見てみたいと言った事を気にかけて下さったのでしょう、アリサお姉さまが振り向き、この『中継基地(サテライトハウス)』で映像通信(ライブモニター)を視ていた私達にそう言い出しました。

 私達は『エルジャ村』の問題を解決し、宿の店主や、『エルジャ茸』の群生地へと案内してくれた村長、青年達から「宴会を開くから是非とも参加してくれ」と、誘われましたが……キノコ以外の料理が期待できないので遠慮させていただき、早々に村を出て、『エルハダージャ』の王都へと続く街道を外れ、山間の少し開けた場所に『中継基地(サテライトハウス)』を設置して今に至るのです。

 アリサお姉さまも、『セリアベール』で軽い気持ちで料理を広めてしまい、街にちょっとした混乱を生んでしまったため、大きな街や村等に立ち寄っても、軽々しく料理して下手に広めないよう注意されています。料理を広めるのは、環境を整えてからになりそうですね。


「大丈夫でしょ? 肖像画を観賞して、またここに戻って、王都まで飛ばせばいいんだし」

「うむ。『ココノエ』も気になるが、その肖像画も調べてみたいしのぅ」

「私達はアリサ様のご意向に従いますわ」「うむ。問題ありますまい」


 そう言って『世界地図(ワールドマップ)』を展開して、私達が今いる場所と、『ファムナ村』に『エルハダージャ』王都を指差すアリサお姉さまです。珠実も肖像画が気になるようで、一度『ファムナ村』に立ち寄る事に賛成しています。聖魔霊のご夫婦も異論はないようですし、移動しましょうか。


「よし、んじゃ一度外に出て『中継基地(サテライトハウス)』片付けて『転移(ワープ)』しようか」


はーい!


 ……と、言うわけで。

 私達はアリサお姉さまの『転移(ワープ)』で『ファムナ村』へと移動しました。


「うおぉぉーっ!? びっくらこいたべ!」

「ほんにさっきの板切れみてぇなのに映ってた方達が出てきたべよ!」

「いんやぁ~えらいべっぴんさん揃いだなぁ~?」

「ありがだやありがだや! おらぁ~なんか若返っちまいそうだなや!」


 あらら、ふふ♪ 村人さん達を驚かせてしまったかしら? ごめんなさいね? 私達が移動した先は『ファムナ村』の広場です。なるほど、家よりも広大な畑が大部分を占めたのどかそうな村です。『セリアベール』の食を支えるだけはありますね。


「おっすっす~アリサ姉♪ アルティ姉!」

「珠実に聖魔霊達もよくぞ来た」

「いらっしゃーいアリサちゃん達! 私達の村にようこそ!」

「お~フォレアにリン~リール♪ それに村のみんなも~ちょっくらお邪魔させてもらうぞい?」


 村人達の声を聞いて、フォレア達も駆け寄って来ました。ふふ、予定にはない思わぬ合流です♪ こういうのも旅の楽しみですね。


「アリサ様~♪」「おーミストちゃん♪ 会いたかったよ~♪」


ぎゅぅ~♪


 まぁ! もうお姉さまったら。駆け寄って来たミストさんを抱き締めるなんて。まぁ、子供好きのお姉さまですから、ここしばらくユニ達とも会えていませんでしたし……仕方ないですね。


「もー! アリサ様って結構な節操なしですよねぇ~!?」

「おーっ! そうだそうだ! もっと言ってやれミュンルーカ! ったく! ちょーっと気に入った子供見ると直ぐにこれだ!」

「へへっ♪ 旅先でも珠実の姉ちゃんに抱き着いて寝てたりしたんだろ~アリサ姉ちゃん?」

「うぐぅっ!? いい、いいじゃんか別に!? かわいこちゃんを愛でて何が悪いかね!?」


 ミュンルーカさんとセラさん、ブレイドくんですね。ミストさんを抱き締めるアリサお姉さまを見て、少しあきれたように声をかけて来ました。


「愛でられるのはいいんじゃが、毎晩毎晩、妾の尾でもふもふされるのは困りものじゃぞアリサ様や?」

「わーん! 珠実までそんなこと言う~!」

「ははは、とりあえずほら? 肖像画を観賞しに行きましょうアリサ殿?」


 夜は私と珠実にアリサお姉さまで川の字になって就寝していたのですが……確かにお姉さまは珠実の尻尾をよく撫で回したり、顔を埋めてみたりと存分に楽しまれてましたね? まぁ、かくいう私も珠実のキツネ耳をさわさわ~ってしたりしましたけれど、ふふ♪

 さて、それはさておき、バルドさんの言うように、リュールが遺したと言う、レウィリの肖像画を観賞しに行きましょう。


「ふぁっふぁっふぁ♪ 皆様仲が良いようで何よりだべぇ~! ささ、ご案内するべ」

「あはは、ちょっとこの人数じゃ狭いかもだけど、我慢してね?」


 ありがとうございます村長さん。ふふ、少し騒がしかったかしら? ごめんなさいね?

 村長さんとフォーネさんに案内されたお家は、二人の自宅。村長さんのお屋敷ですね。まぁ、『聖域』の私達の屋敷に比べれば小ぢんまりとしていますが、村の中では一番大きなお家です。

シドウ「しかし、ウナギにキノコに……(_ _) 食材が増えて行くのぅ♪(^∇^)」

珠実「よろこばしい事じゃ(*`艸´) しかもどれも美味いんじゃぞ?( ・`ω・´)」

リン「うむ( ・-・) 最早ただの生肉には戻れんな(°▽°)」

バルド「生肉って……(-_-;)」

デュアード「まぁ、俺達も……塩かけて、焼いただけ(´・ω・`; ) という、のばかり……だったから、な(・д・`;) 似たような、もの、だ(ーωー)」

リール「これはもう~(*´艸`*)」

フォーネ「アリサちゃんには責任とってもらわないとね!ヽ(*´∀`)ノ」

アリサ「はいはい( ̄0 ̄;) 頑張って広めますよ~?(o・ω・o)」

アルティレーネ「うふふ♪(・∀・) 近い将来には世界中に美味しい食べ物が広まっていそうですね!ヽ(´▽`)ノ」

フォレアルーネ「いいねそれ!Σb( `・ω・´)」

レウィリリーネ「ん( ´ー`) お姉さんの前世の世界に負けないくらい、美味しい物で溢れる世界に(*`▽´*)」

ネヴュラ「……(ーдー) 食べれば痩せる食材ってありませんかしら?(>_<)」

シェリー「きっとアリサ様ならそんな夢のような食材もご存知の筈!(。・`з・)ノ」

バルガス「……あるのですかなアリサ様?(  ̄- ̄)」

アリサ「少なくとも私は知らんがな(;´д`)」

ネヴュラ&シェリー「そんなぁ~しょんぼりです(o´・ω・`o)」

ミュンルーカ「な、何か!(*`Д') 何かないんですかアリサ様!?o(T◇T o)」

ミスト「さ、三人共必死ですね?( ̄▽ ̄;)」

ブレイド「んなの、食った分動けばいいじゃん?(´・ω・`)」

ネヴシェリミュン「それが出来たら苦労しないんです!ι(`ロ´)ノ それでもいっぱい食べたい!L(゜皿゜メ)」」

ミスト「わ、わがまますぎぃーっ!(@ ̄□ ̄@;)!!」

アリサ「あ~(ーー;) 太りづらくて種類沢山食べたいならやっぱ和食かしらね?(´・∀・`) でも適度な運動は必須よ?(^_^;)」

リール「食をとるか、体型とるか?( *´艸`)」

フォーネ「悩ましいね~(;>_<;)」

リン「いや(゜A゜;) だから食った分動けと言うに……(´・ω・`; )」

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