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TS魔女さんはだらけたい  作者: 相原涼示
146/211

閑話 風雲! 女神城!~拾陸~

アリサ「十六日目!(*´▽`*) ついに最終関門だよ♪( ≧∀≦)ノ」

バルド「おぉ!(・о・) ついに来ましたね♪(^∇^)」

ミスト「あわわΣ(゜Д゜ υ) わ、私がこんな最終ステージにまで!(; ゜ ロ゜)」

ゆかり「あぁ、もう最後のゲームかぁ~(´・ω・) 早いなぁ(>_<)」

アイギス「さぁ姿を表せ!( ・`ω・´) わがままな主神様よ!(。・`з・)ノ」

ティリア「なんだとぉーっ!?(≧□≦)」

水菜「ティリア様落ち着いてーっ!( ; ゜Д゜)」

バルガス「ふははは! ( ^▽^) 姫達を返してほしくば!(`□´)」

ティターニア「見事わたくし達に打ち勝ってご覧なさい!(°▽°)」

ティリア「キィーッ!( ;゜皿゜)ノシ 返り討ちにしてあげるわ!(≧Д≦)」

水菜「それでは『風雲! 女神城!』最後のゲームをお楽しみ下さい(*´∇`)」

────────────────────────────

【最終関門は】~やっぱりコレ!~

────────────────────────────


チャッチャラー♪ チャーチャーチャーチャーチャー!


「遂に……遂にここまで来た。長きに渡る激戦を、時に笑い……時に涙し……時に励まし合って……今っ!! ここに! 勝ち抜いて来た四人の勇士!」


 どっからこの壮大なBGMが流されてんのやら……しかもどっかで聞いたことあるヤツだし。

 まぁ、いいや。今は大人しく司会のエルフの実況を聞いていよう。


「見よ! 姫君を救わんとするその四人を! まずはこの男だ……『白銀』纏いし不屈の騎士! アイギス!!」


ウオォォーッ!!


「気高き『黒狼』の牙は決して折れぬ! バルド! そして、ミスト!!」


ワアァァァーッ!!


「相手が神であろうと恐れることなし! 誇り高き『黒竜』ゆかり!」


ウワアァァーッ!!


「仰ぎ見よ!! これぞファイナルステージ!! 主神ティリアが待ち構える大宮殿だぁぁーっ!!」


ワアァァァァーッ!! 頑張れみんなぁーっ!! お姫様達を救い出せぇぇーっ!!


 あい。みなさんこんにちは♪ 長かった『風雲! 女神城!』もいよいよ最終関門。勝ち上がった四人とティリア達との対決を残すのみとなりました!


「いよいよ最後のゲームだね! アリサおねぇちゃん! えへへ、誰が助けてくれるんだろ~?」

「ふふ♪ そうだねユニ。今回もやっぱり水鉄砲の撃ち合いなのかな?」


 私とユニはティリアが創造したこの宮殿のバルコニーで眼下の広場を見下ろしているところだ。既に四人の挑戦者達もスタンバっていて、その顔はみんなやる気に満ちている。


「はうぅ~びしょびしょになるのはヤだなぁ~頑張って避けないと~」


 まぁ、ミストちゃんはちょっと困り顔してるけどね。


「はーっはっはっは!! よくぞここまで勝ち抜いて来たな、無謀な挑戦者達よ~♪」

「おーっほっほっほ! お姫様達を返してほしくば(わたくし)達を見事打ち倒してご覧なさい!?」

「も~みんなしてノリノリなんだから……でも、勝負なら私も手を抜いたりしませんよ?」

「全身全霊をもって戦うのみぞ! 覚悟するがよい!」


ウオォォォーッ!!


 挑戦者四人を迎え撃たんとするティリア達。やっとこさ出番が回って来たってことでみんなハイテンションだ。ティリアとティターニアはのっけから高笑いをかまして、普段おとなしい水菜もふんすって鼻を鳴らして意気込み、バルガスに至っては言葉通り全身から闘気を立ち上らせている。


「すごい気迫だぁぁーっ!! 挑戦者を迎え撃つ主神とそのお伴! 皆やる気を滾らせているぅーっ!!」

「た、確かに凄い気概を感じます!」「よっぽど暇してたんだろうなぁ……」

「これは油断できないわよ、気をつけてアイギス!」「うむ、出番が来て嬉しそうじゃわい」


 ぷっ! 『白銀』の女の子と男性の感想のギャップがひどいね♪ なんだかんだでティリア達もモニター見て楽しそうにしてたから、退屈というより、自分達も早く動きたかったんじゃないかな?


「バルドさーん! ミストぉーっ! 頑張れぇーっ!」

「アイギスに負けんじゃねぇぞーっ!!」「お前達なら、やれる!」

「頑張って二人共!」「ワタシ達『黒狼』に勝利を~♪」


 ティリア達の気迫に負けない声援を贈る『黒狼』のみんなもテンション高いね! それもそのはず。何て言ったって、リーダーのバルドくんとミストちゃんの二人が出てるからね! 応援にも熱が入るんだろう。


「ゆかりさぁぁーんっ!! 頑張ってくださーい!」

「そのバカ笑いしてるティリアに目にもの見せてあげなさい! ゆかりーっ!」

「頑張れ頑張れゆっかっり♪」「フレーフレー! ゆっかっりぃーっ!」


 そしてゆかりを応援するのが恋人になったカインと、親友のシェラザード、リールとフォーネ達だ。この子達は本当に仲良くなったよね♪


「泣いても笑ってもこれがラストゲームだぁぁーっ!! それじゃあそのゲームを説明するぞぉぉーっ!!」


ウオォォーッ! やっぱりカート戦かぁぁーっ!?


「ハイ! お集まりの皆さん! 『フライドポテト』のルルリルです!」

「同じくザウルだ」

「アタシは『ハンバーグ』のレイだよぉ~♪」「みんな覚えてる? ノアだよぉ?」


 はい。誰だっけこいつら? とか思っても口に出さないチミ達はえらいぞ! 司会のエルフがゲームの説明だーって言って、腕を振り上げたタイミングで登場したのは『聖域』出身の冒険者候補、『フライドポテト』と『ハンバーグ』の二パーティーの一部の面子。


「お察しの通り、このラストゲームは『魔動車』によるカート戦!」

「しかし! 前回と違いこの魔装具。『IRガンガン』が新規採用されたのだ!」


 いやぁ~ルルリルとザウルってば嬉しそうねぇ? 今までまったく出番なかったから無理もないかな? そして紹介されるおもちゃのハンドガン『IRガンガン』だ。これは赤外線を可視化させて、いかにもビームみたいに見せてる男の子が喜びそうなおもちゃだ。


「これカッコいいんだよ~ほら! びーむぅーっ!」


ピィーッ!


「おぉ! いいねそれ! なんか発射されてんじゃん!」

「前回の水鉄砲だとびしょびしょに濡れちゃうから、不評だったそうだよ?」


 レイが試しに~とばかり、空に向かって『IRガンガン』のトリガーを引けば可視化された赤外線がピィーって飛んでいく。それを見たルヴィアスが子供みたいに喜んでいるけど、あんたが喜ぶのかい? まぁ、それはいいとして……水鉄砲からこの『IRガンガン』に変更になったのは、ノアの言った通り、全身水浸しになっちゃうのが嫌がられるからだ。


「特にティリア様の服がスケスケになっちゃったら大変だから変更になったんだって~♪」

「あはは、ティリアは白っぽい服着てること多いからねぇ~」

「そういうことよ! ふっふっふ、残念だったわねスケベ共!?」


えぇ~? 別にティリア様のはいいかなぁ~? アリサ様ならともかくよぉ~


 な、なんだとこんにゃろー!? って観衆に怒鳴り散らすティリアさんである。

 まぁ、前回アリスが水浸しにされた挙げ句、仮縫いだった服がビリビリーっ! ってなって醜態を観衆達の目に晒すというハプニングがあったからってのも武器変更の理由でもある。ましてや今回のボスは主神のティリアだ。しかも既婚者だからね、えちちな展開はいただけないのだよ。

 というのが今レイが説明したことね? 私がティリアは普段から白っぽい透明感のある服を好んで着ているって言えば、そのティリアも観衆達に向けて笑い出す。まぁ……観衆達はあんまりティリアのそんな姿には期待してないようだけど……私ならともかくってどういうことよ? ぶっとばすぞ?


────────────────────────────

【ユニにまで】~からかわれるアリサさん~

────────────────────────────


「そして『魔動車』につけられたこのセンサーだ。皆はこのセンサーに『IRガンガン』を当てる事が目標になる!」

「そうそう! このセンサーにビームを当てると!?」


ピィーッ! ボボォォーンッ!!


「うおぉーっとっ!? ザウルの説明でルルリルが『IRガンガン』のトリガーを引き、ビームを発射したと思ったらぁぁーっ! なんと『魔動車』が派手な爆発音と共に黒煙を吹き上げたぞぉーっ!?」


ウオォォーッ!? すげぇーっ! 派手ぇーっ!!


 プスンプスン……と、『IRガンガン』を撃たれた『魔動車』は煙を立てていたと思ったら、ポンッ! と、小さな音を立てて消える。おそらく製作者であるレウィリリーネのとこに戻ったんだろう。前世のあの番組でも途中で水鉄砲から変更されてたんだよね。前の関門の『シューティンレイリーア』でも使ってた爆発のエフェクトに煙も相まって中々に派手で見応えがあるね♪


「相手チームをみんなやっつけた方が勝ちっていうシンプルなゲームだね、簡単でしょ?」

「以上ーっ! ゲームの説明終わり~♪ みんな頑張って下さいねぇーっ!!」


ワアァァァァーッ!! パチパチーッ! 説明ありがとぉーっ!


 ノアが勝利条件を伝え、レイが説明を〆ると、観衆達から感謝と拍手が贈られた、それに手を振って退場していく冒険者候補達だ。なんか、あんた達の出番なくて申し訳ないね?


「ほぉ、なるほど! こいつも面白そうじゃないか! おい、主神? ちょっと動かして見てもいいんだろう?」

「構わないわよ~? ふふん♪ 練習する時間くらいあげるわ」

「うぅぅ……ティリア様のあの余裕、こわいよぅ~」

「飲まれるなミスト。お言葉に甘えて、実際にこの『魔動車』を操作してみようじゃないか?」

「ふふ、そうだぞ? 楽しもうじゃないか♪」


 ゆかりは心底楽しそうだね。新しいおもちゃに目を輝かせる子供みたい♪ 相対するティリア達は実際どうなんだろ? 前回参加したのはティターニアだけだけど、ひそかに『魔動車』の操縦を練習してたりしたのかな?

 ミストちゃんが不敵に笑うティリアを見て萎縮しちゃってるけど、大丈夫かしら? バルドくんとアイギスが励ましてるけど……折角ここまで勝ち上がって来たんだから思いっきり自分を出していってもらいたいね?


「ねぇねぇ~♪ アリサおねぇちゃんは~やっぱりアイギスおにぃちゃんを応援するぅ~?」

「え? ちょっとなんだねユニちゃんや? そのフォレアみたいなニヤニヤ顔をやめんしゃいよ? みんなを応援するわよ~?」


 実際に『魔動車』に乗って練習を始め、「おー♪」とか「わぁー♪」とか楽しそうな挑戦者達を眺めてると、隣のユニがなーんか、イタズラを思い付いた時のフォレアルーネみたいなニヤニヤ顔でひょんな事を聞いてくるじゃないか?


「むふぅぅん♪ アイギスおにぃちゃんが勝ったらご褒美のちゅぅ~♥️ ができちゃうよぉ~?」

「はぅあっ!? もぅ~! ユニったらなんてこと言い出すの!? そんなこと言い出す悪い子は~こうよっ!?」

「きゃはははっ! やぁぁーんくすぐったぁーい!」


 コチョコチョコチョー! まったくもぅ! 妹達から変な影響を受けおってからに、このユニちゃんめがぁ? くすぐってくれる! まったくまったく! あ、アイギスと、ちち、ちっすだとぉぉ~? そういうのはもっとこうロマンチックな雰囲気の時に見つめあって心が通いあってお互い好き好き好きーって気持ちが溢れ出して止まらない止められないってなってだね!?


「あひゃ! あひゃひゃ!? ご、ごめん! アリサおねぇちゃん! もー許してぇーっ!?」

「はっ! ああ~ごめんごめんユニ! やり過ぎちゃった!」


 はひゅーはひゅーって息も絶え絶えのユニを慌てて解放する。いけないいけない……ちょいと想像して興奮しちゃったじゃないの、妄想が超加速しちゃったわ。


「ふひゅぅぅ~アリサおねぇちゃん、そんなにほっぺにちゅぅが恥ずかしいの~?」


 へあっ!? ほ、ほっぺ? ……な、なぁんだ、ほっぺにかぁ~あはは♪ いやぁ~ガチなの想像しちゃってたよ! やぁん、恥ずかしい! でも、本気で好いてる相手だとほっぺにフレンチキスするのも滅茶苦茶テレるし緊張しちゃいそう! とりあえず、笑って誤魔化しとこう! あはは♪


「ふふ♪ アリサおねぇちゃんはホントにアイギスおにぃちゃんのこと大好きだねぇ~♥️」

「やぁぁだ! ユニ言っちゃ駄目ぇ~! 恥ずかしくて顔から火が出そう!?」


 わぁぁーっ! もー! 前世からこの顔に出ちゃうのなんとかならんのんかぁ~? ユニにまでこうやって茶化される日がこようとは!? 両手で覆った顔が熱を帯びているのがわかる。すっごい赤面しちゃってるよ私! あうぁ~恥ずかしい!


「そろそろ準備はいいかしら? いい加減始めましょう!?」


 おっとっと! いけないいけない。いよいよゲームが始まるみたいだ! ティリアの声に気を取り直した私は眼下のステージに注目する。


────────────────────────────

【コンビネーション】~しかし!~

────────────────────────────


「それではぁぁーっ! ラストゲーム! 開始ぃぃーっ!!」


ワァァーッ!! 頑張れぇぇーっ! 負けんなぁぁーっ!!


 わっ! と、始まった最終関門! 挑戦者四人とティリア達四人が駆る『魔動車』がバッと散開してゲームスタートだ!


「行くぞアイギス! 俺達で勝利を掴み取ろう!」

「ああっ! 勿論だバルド!」

「そう簡単に勝てると思ったら大間違いですよ!?」

「如何にも! 守護を任された以上、容赦せん!」


 おぉ! バルドくんとアイギス。水菜とバルガスが互いに交差しつつ、ビームを撃ち合う! ピィーピィーッ!! と、甲高くちょっと緊張感のない射撃音だけど、『魔動車』を駆るみんなは真剣そのものだ!


「あの「せんさぁ」とやらにこの光線を当てればいいんだろう? ほら! 食らえ主神!」

「やーい! ゆかりの下手っぴ~♪ そう簡単に当たるわけないでしょーっ!」


ピィーッ! ピピィーッ!!


 おっほぅ!? 可視化されてる赤外線が飛び交う様は中々派手なもんだわ! SF映画でも観てる気分! ティリアのお相手はゆかりが努めているようだ。互いに『魔動車』の操作に馴れたもんで、上手いことビームがセンサーに当たらないよう操縦してる。


「うふふ♪ ミストさんがここまで勝ち上がって来るなんて。正直見くびっておりましたわ!」

「うぅーっ! 私だって『黒狼』のメンバーだもん! 負けませんティターニア様!」


ピィーピィーピィーピピピィーッ!!!


「凄まじい攻防だぁぁーっ! ステージを止まることなく飛び交うビームの多さと言ったら、まるで一つの芸術作品の如しぃぃーっ!」


ウオォォォーッ!! 双方譲らねぇぇーっ!?


「す、すごいのです! すごいのですーっ!」

「まるで流星群を見ているかのようです! 皆さん頑張ってぇーっ!」


 ミストちゃんとティターニアの攻防もまた激しい! ぐるぐると『魔動車』が駆け回り、沢山ビームを撃ち合っているため、俯瞰で見ている私達の目には凄くきらびやかに映る! モニターで観ている観衆達もこれには興奮を隠しきれない! ポコとアルナも来賓席から身を乗り出して応援してるよ!


「ちょっとレウィリリーネ、あの『魔動車』ってあんな簡単に操縦できるものなの?」

「ん。簡単……でないとフェアなゲームにならない」

「ふふ♪ ヴィクトリアも後で乗ってみますか?」

「スピードは出ないけど、結構楽しいよ♪」


 一方でヴィクトリアが妹達にあの『魔動車』について訊ねているようだ。そりゃ簡単に操縦できるようにしないと、どうしたって挑戦者が不利なゲームになっちゃうからね。そこはちゃんと調整してるらしい。私も後で乗せてもらおうかな♪


ギャルルッ! ギャギャッ! ピィーッ! ピピィーッ!!


「けたたましぃぃーっ! 『魔動車』のタイヤが床を擦る音ぉーっ! 飛び交うビーム音ーっ! 挑戦者達も迎撃者達も凄まじい集中力でどちらも一歩も譲らないぃーっ!」


 うむ! みんなすごい集中力で戦ってる! その表情はこの『無限円環(メビウス)』で行った模擬戦の時のように真剣そのものだ! 真正面からの反抗戦に、フェイントを織り混ぜた騙し討ち、センサーに当たりそうな射線を互いに『魔動車』の車両でカバーしあったり。仲間内のフォローも完璧だ!


「すごいねおねぇちゃん! これ、どうしたら決着着くんだろ!?」

「千日手のように見えるユニ? 無理もないけど、これ。勝負は一瞬で動くと思うよ?」


 確かに今は拮抗していて、決着が着かないように見える。だが、いつだってその均衡が破られるのは、ほんのちょっとしたことでなされるものなのだ。


「埒があかん! 仕掛けるぞアイギス!」「応!」


ギャギャッ! ギャルルーッ!!


 動いた! バルドくんとアイギスが仕掛けるみたいだ! 狙いは……


「むぅっ!? 貴様達!?」


 状況が動いた! バルドくんとアイギスがなんと、水菜を無視して二人ともバルガスに突っ込んで行くではないか!? 二人がかりでバルガスを確実に倒そうとしている! バルガスも「これはいかん!」と『魔動車』のセンサーを二人の射線から外そうと操舵! 水菜も「そうはさせない!」とばかりにバルドくんとアイギスの背を追いかける!


ギャルルゥーッ!!


「いかん、水菜様離れませい!!」「はっ!? えぇーっ!?」

「遅い!」「もらったぁぁーっ!」


うおおおぉぉーっ!? ま、マジかぁぁーっ!?


 なんとそこでバルドくんとアイギスが『魔動車』を急激に反転させ、追い掛けて来た水菜に斉射!!


ピイィィーッ!! ボボォォーンッ!!


「決まったぁぁーっ! バルドとアイギスのコンビネーションアタックゥーッ!! 水菜様が落ちたぁぁーっ! これで三対四ーっ! 挑戦者達が非常にゆうり」


ピイィィーッ! ボボボーンッッ!!


「なにぃぃぃーっ!?」「なんだと!?」

「バルドぉーっ!?」


な、なんだぁぁーっ!? 今のビームどっから飛んで来たぁぁーっ!?


────────────────────────────

【ティリアも凄いけど】~この子も凄い!~

────────────────────────────


「な、何が起きやがったんだ今の!?」

「ティリア様だわ! 結構距離空いてるのに……いえ、それ以上に、場を観てる!」


 水菜を落としたバルドくんとアイギスの二人! しかし、その刹那。何処からともなく撃ち放たれたビームがバルドくんの『魔動車』のセンサーを直撃した! 一体何が起きたのかわからず、応援席のゼルワが叫ぶと、レイリーアが誰の仕業かを見抜いた!


「貴様! 私を目の前にして他の相手を狙うとは舐めてくれるじゃないか!?」

「舐めてるのはあんた達でしょう? 私、伊達で主神やってるわけじゃないのよ?」


 恐るべしはティリア。あの子はゆかりの相手をしながらもこのステージ全体の動きを把握しており、一瞬の隙も見逃すまいとしていたのだ! 長く拮抗状態だった状況が打破されたその一瞬、バルドくんに生まれた隙をついた!


「くっ! 無念だ……済まん皆! 後を頼む!」

「なな、なんと言う! なんと言うハイレベル!! 恐るべし主神ティリアぁぁーっ! この強敵過ぎる強者にどう立ち向かう挑戦者ぁぁーっ!?」


すげぇぇーっ! ティリア様スゲェーっ! バルドどんまいぃぃーっ!!


「はわわわ! どど、どうなっちゃうんだろ? 凄いよティリア様!!」


 ユニもこの神業とも言える射撃に驚き、慌てている。むぅ。腐っても主神ってところ? でもねティリア。やっぱり舐めてるのはあんたの方だと思うわよ?


「さぁ、あんたもここで落ちなさいな! ゆかり!」

「ゆかりさん右ぃぃーっ!」


ギャルルルーッ!!


ピイィィーッ!!


「なんですって!? 避けなさいティターニア!!」

「がってんですわぁぁーっ!」「そこでぇぇーすっ!!」


ピピィーッ!! ボボボーンッッ!!


ウオオォォォォーッ!!! マジかよぉぉーっ!?


「そ、そんなぁーっ!? ウソですわぁぁーっ!?」


 くすっ♪ ほーらね? ゆかりにビームを撃とうとしたティリアを、相対していたティターニアと一緒にじっくりと観察していたのはミストちゃん。『魔動車』を上手に操り、ティリア、ゆかり、ティターニアが直線上に並ぶように誘導していたのだ。

 そして今ティリアが『IRガンガン』のトリガーに手をかけた瞬間に、「右」と。「避けろ」ではなく、「右」と具体的に方向を叫ぶことで、ティターニアにまで印象付けさせ誘導して撃ち抜く! その結果……


「スゲェーっ! ミスト、お前スゲェよ! 惚れ直したぜぇーっ!!」

「成長したわね! 本当に……見事よミスト!!」

「俺達の……誇りだ!」「頑張って……頑張ってミストちゃあぁぁーんっ!!」

「油断すんなぁぁーっ! 最後まで集中だミストぉぉーっ!」


うおぉぉぉーっ!! ミッスットォ!! ミッスットォ!! 頑張れ頑張れミッスットォォォーッ!!


 案の定右に避けたティターニアをミストちゃんは撃ち抜き落とす。そしてこの大声援だ! 彼氏のブレイドくんも大興奮して大声で叫ぶし、先生のシェリーも教え子の成長に感動してる。デュアードくんとミュンルーカは感極まって立ち上がり応援に熱を入れる! セラちゃんも最後まで油断するなと真剣な叫びだ!


「ぬぅん!!」「しまった! バルガス殿が!?」


ピイィィーッ! ボボォォーンッ!!


「なにっ!? しまった!!」

「うおぉっとぉーっ!? アイギスが押さえていたバルガスの強引な切り返しぃぃーっ! まるで「調子に乗るな!」と言わんばかりの一撃にゆかり様落ちるぅぅーっ!!」


 おぉ! 流石はバルガスだ。流れを持っていかれまいと、アイギスを強引に振り切って執念の一撃をゆかりに浴びせたではないか!?


「油断めさるなティリア様! この二人。『無限円環(メビウス)』での訓練にて急激に伸び始めました者共ですぞ!?」

「そうね。正直甘く見てたわ! 特にミスト……あんたがここまでやれるなんて思わなかったわよ?」

「はうぅ~ティ、ティリア様が怖いよぅ!」

「おやおや、いけませんよティリア様? あまりミストをいじめないでいただきたい」


 そしてそのままティリアを護るように彼女の前に陣取り、注意するように促す。やっぱり歴戦の戦士は違うわね。バルガスの言う通り、アイギスとミストちゃんは『無限円環(メビウス)』での訓練で見違えるような成長を遂げた二人だ。

 アイギスについては以前にも触れたが、心の枷を取り払い、アーグラスの助力を得て、急速に伸び始めたのだが……ミストちゃんもそんなアイギスに負けず劣らずの急成長を見せた! いや、自力でついてきた分、度合いでならミストちゃんがダントツなのだ!

 ティリアもその事にバルガスの言葉を聞いて思い出したんだろう? 明らかにミストちゃんを警戒し始め、挑戦的な笑みを見せてくる。ミストちゃんも普段見ないティリアのそんな表情にちょっと怖がってしまう。が、そこにアイギスが茶々を入れてきた。「いじめてないわい!」とか叫ぶティリアだけど、そんならもっとにっこり微笑みなさいよ? あんた少しカリカリしやすいよ?


「わわわ! ほ、ホントに一瞬の間に動いちゃった! これで二対二! 目が離せないよ!」


 うむ! これでティリア&バルガスとアイギス&ミストちゃんの二対二だ。ユニの言う通り目が離せない白熱の一戦になりそうだね!


────────────────────────────

【落とされた者達】~冒険者達の過去~

────────────────────────────


「ああっ! 悔しいな! ゲームだからって油断してしまったぞ!」

「ははは、俺もですよゆかり殿。アイギスとの連携が上手く行って、水菜殿を落とせたことに内心浮かれてしまった」


 悔しいーっ! ってステージを降りるゆかりが騒いでる。それに同意してるのがバルドくんだ。うんうん。確かにゆかりは油断した結果だろうねぇ? ゆかり程の実力ならさっきのバルガスの射撃くらいかわせたはずだからね。

 そしてバルドくんもまた同じように油断、と言いたいけど。あれはティリアの方が一枚上手だったと思う。しかしこれが実戦であったならそうも言っていられない。厳しいようだけど、油断大敵と言う評価が下されてしまうのは仕方ないのかもね。


「ふぅ~実戦経験の少なさが出ちゃった結果だなぁ~私」

「くぅーっ!! やはり人間達は侮れませんわぁー! (わたくし)避けろと言われて、咄嗟に右に避けてしまいましたのよ!?」

「ああ、水菜。それはわかるぞ! 力任せの魔物共ばかり相手をしていると、こういう時に簡単に引っ掛かってしまうのだよなぁ」

「ふふ、ティターニア様は見事にミストの策に引っ掛かりましたね?」


 そして水菜とティターニアもその輪に合流して反省会みたいな話し合いが始まっている。水菜が言っている事は『聖域』のみんなにも言えなくもない問題だと思う。確かに、『四神』や『懐刀』達は強い。そんじょそこらの冒険者等より、魔物なんかより遥かに強大な力を有している。だが、逆にその強さ故に、策略に弱いと言う欠点がある。

 人は弱いけれどその分知恵がある。そしてその知恵は時に自分達より何倍も強大な力を持つ魔物すら退けるのだ。水菜は今回のゲームでそれを学び、自ら悟ったことで、更に伸びるだろう。期待大だね♪

 ティターニアが悔しがるのは無理もないことだろう。一言、たった一言であの時、自身の動きがミストちゃんにコントロールされてしまっていたのだから。切羽詰まった状況では瞬間的な判断が求められる事が大半であり、それは同時に、非常に誘導しやすい状況でもあるってことなんだね? う~ん、私『思考加速』と『並列意思』持っててよかったわ。


「……バルドさん、あの子は一体何者なんですの?」

「ティターニア様……俺達も知りません。ブレイドの幼なじみの少女としか」

「あん? おいおい妖精女王よ、アイギスの奴から聞いたぞ、冒険者に過去を訊ねるのは禁忌(タブー)だってな?」


 突っ込むねティターニアは。バルドくんを困らせちゃいかんよ? 彼もミストちゃんとブレイドくんの過去の事は聞いていないんだろう。「知らない」と言う彼の言葉にウソは感じないからね。


「はっ……そうでしたわね! 思い出しましたわ……ゼオンさんが確かにそう言っておられましたわね……あの時はリリィのことで頭がいっぱいで、すっかり忘れてしまっていましたわ。教えて下さってありがとうゆかり様。そしてバルドさん、不躾な質問を失礼いたしましたわ」


 ペコリと素直に謝罪するティターニアは大したものね。普通一国の王がそう簡単に一般の冒険者に頭を下げるなんて真似そうそうできるもんじゃない。まぁ、バルドくん達はもうこの『無限円環(メビウス)』で一年間共に訓練に打ち明けた大切な仲間だから、抵抗もなくすんなり謝罪できるんだろうけどね。

 確かゼオンが説明した冒険者としての暗黙の了解についての話は、リリカさんがあの魔王ヴェーラに利用されていると発覚した会議の場だったと思う。そりゃあの時のティターニアは大切な同胞があんな目に会わされてて気が気じゃなかっただろうから、記憶に浅いのも仕方ないか。


「いえ、気にしないで下さい。ただ、俺達『黒狼』も、アイギス達『白銀』も……そうですね、冒険者達っていうのは少なからず、何らかの理由があって今を生きてる連中なんです。それだけは覚えておいてもらえますか?」

「ええ、かしこまりましたわ」

「ふぅん、じゃあバルドさん達も何かとワケありなのかも知れないんですねぇ?」


 バルドくんもティターニアの謝罪を真摯に受け止めて、冒険者についてちょっとお話してくれる。ティターニアもその件についてはしっかり了承したようだね。そして水菜が疑問に思った言葉は私も正直言うと気になるところだ。ブレイドくんがかの『剣聖』メルドレードの転生体というのはわかっているけれど、彼のこれまでの人生については何も知らない。ただご両親を亡くされているとしか……

 過去については他のみんなにも言える事だ……アイギスはともかく、『白銀』のみんなも、『黒狼』のみんなの事も全然知らない……


「ふぅ~そう考えるとちょっと寂しいかな? でも無下に訊いてほじくりかえすのもよぐねぇべしなぁ~?」

「アリサおねぇちゃん? めっちゃ訛りが出てるよ? 何のお話?」


 おう……まーたやっちまったぞな。どーにもこの訛りが抜げねぇんだぁ~こったらもん、んだに大事なもんでもねぇべよ? 転生さしだ時に忘れさせでくっちもよがったんだぞぃ?


「ん~ん。何でもないよ~ユニ♪」

「そー? まーた変なこと考えたのかな~? って思ったのに♪」


 ……ユニちゃんや? チミは私のこと一体どんな目で見とるんだね?


「そうですね……俺も『セリアベール』で冒険者を始めるまでは色々とありました」

「そうですか。暗黙の了解なのであれば、私もこれ以上は聞きません。でも、今や皆さんは私達『聖域』の、『四神』としても大切な仲間です。いつか話しても良いと思える日が来たなら、お聞かせくださいね?」


 ふむん。そっかぁバルドくんも色々あったのか……水菜の優しい微笑みに、「ええ、いつか必ず」って答えるバルドくんの表情は少し寂しそうに見えた。

 いつか他のみんなの昔話なんてのも聞いてみたいものだねぇ。

ドランド「出番ない( ;∀;)」

ププル「僕ちんはレジーナちゃんが怖いワン……((゜□゜;))」

ウェズ「くそっ!(>д<*) ドガのジジイめぇ~次はこうは行かねぇかんな!( `Д´)/」

ノア「あー、緊張した(ーー;)」

レイ「だねぇ( ̄▽ ̄;) みんなの注目浴びるのドキドキするね!(*´▽`*)」

ルルリル「私も~(>_<") 第二関門で妨害に回る方が気が楽だったかな?( ´△`)」

ルーナ「はいはいヽ(・ω・。ヽ) ほら、ドランドもププルも元気出しなさいってば(・д・`;)」

ニュイ「あの『にゃんとわんだぷぅ×』に、にゃあ達が出られないってどういうことなんにゃーっ!?(≧□≦)」

アッシュ「お前ー絶対挑戦者にイタズラするだろー?(  ̄- ̄)」

ザウル「ニュイはイタズラするのが好きだもんな?(; ・`ω・´)」

ニュイ「当然だにゃ!(*≧∀≦) あのにっくきにゃいぎすをアリサ様の前につきだして骨抜きにされただらしない姿を観衆に見せてやりたかったのにゃ!(。・`з・)ノ」

ドランド「お前第二関門でアイギスを止められなかったのがそんなに悔しいのか?(;´∀`)」

ウェズ「わかるぜぇニュイ!( `ー´) 次は絶対止めてやろうぜ!(  ̄▽ ̄)」

ププル「レジーナちゃん以外なら僕ちんだってやるワン!ヾ(≧∀≦*)ノ〃」

ノア「なんか変な団結力が……(´・ω・`; )」

ザウル「どうせなら参加する側に回りたいんだが?(´∀`;)」

ルーナ「それ以前に次があるかが心配なんだけど?( ̄0 ̄;)」

レイ「あはは(^∀^;) どうなることやらだねぇ~( ´ー`)」

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