14話 魔女とお風呂と女神達
【魔女さん連行される】~慈悲はない~
こんばんは、アリサです。
私がこの世界に魔女として転生して三日目の夜です。
三日目ですよ、まだ三日目! だらけたーい!
みんなで会議した後、四神達と他の聖獣達の名前を、次回集まるときに命名すると、約束しておいた。それまでに良い名前を考えておこうと思う。
それともう一点。モコプーが切実な様子で、生き残りを探してほしいとお願いしてきたのだ。私は勿論二つ返事で快く承諾し、『聖域』全域に検索をかけた。結果……
(あぁ! ありがとうございます魔女様! これでわたしたち絶滅から免れましたよ~!)
いた。五羽だけだったけど、二組の家族。どうもモコプーみたいに知識がないのか、意思疏通は難しかったけど喜んでくれていたみたいで良かったよ、プープー鳴いてて可愛かったなぁ~♪
その家族は今、屋敷で保護している。ここなら安全だからね!
「モコプー達がちゃんと生き残っててくれて良かったわね、アリサ」
「はい、希望の象徴が絶滅、なんて事にならずにすんで良かったです」
ティリアさまの言葉に相槌を打つ。本当に良かったよ、数増えるまではしっかり私達で保護してあげないとね!
今、屋敷にいるのは私、ユニ、女神達四人、ティターニアに聖魔霊の家族の十一人。
四神達と懐刀達はそれぞれの棲処に戻り、部下達に色々知らせるそうだ。
ペガサスやセインちゃん、フェニックスに八咫烏、ガルーダにグリフォン達も同胞達に報告してくるという、似たような理由でまた明日となった。
ティターニアはこれからアルティレーネ、レウィリリーネ、フォレアルーネを交え妖精の国との交渉というか、なんかよくわかんないけど色々お話するそうだよ。政治的な事はさっぱりなので丸投げだね。
聖魔霊の家族は、一応この屋敷の警備員みたいなポジションになってもらった。まぁ、名ばかりだけどね、せっかく現世に出てこれたんだし、一家団欒を満喫してほしいな。
「なんにせよ、やっと落ち着いたわ。ユニ、ネヴュラ、フェリア、一緒にお風呂入りましょう?」
「はーい! てぃりあさま♪」
「あら……私共が主神様と沐浴を同伴だなんて、良いのかしら?」
「お、おおお! 恐れ多いです!」
ティリア様は今やその背の翼を隠したのか、収納したのかわからないけど消しており、神気も抑え目にしてアルティレーネ達と同じ状態になっている。まぁ、だからといって主神様であることは変わりないのでネヴュラとフェリアが躊躇うのも無理もない話だ。
ふむ、四人がお風呂入って、ティターニアと女神三姉妹はお話し中。バルガスとパルモーは……?あぁ、オセロに夢中か。
これといった娯楽がないので、簡単なオセロをイメージして出してみたら、ティリアさま以外のみんなが興味津々だったのよ。ネヴュラとフェリアもさっきまで遊んでいた。ユニも私とオセロで遊んだ。今はミーナと猫じゃらしや紐で遊んだ後、ブラッシングをしてまったり。
じゃあ私は、引き続き四神達の名前を考えようかな? 神殿のイメージも固めたいな……なんて思ってたら……
「気にしなくて大丈夫よ~♪ ほら、何してるのアリサ! お風呂いくわよ?」
「は……?」
いや、待て。何言い出すんだこの主神さまは? 私に? 一緒に? お風呂に? 入れ?
「いやいやいや!! 何言ってるんですかティリアさま!? 私、元男だって知ってるでしょう?」
「あら、そうなんですか?」「どう見ても女性にしか見えませんが……?」
私がティリアさまの言葉を理解して、わたわたと慌てているのを見たネヴュラとフェリアはきょとんとしている。
「そんな立派なお胸持ってるのに何言ってんのよ? 下着だって……うん、お嬢様みたいなお清楚パンツじゃない?」
「ちょっ!? スカートめくらないで下さいぃ~!」
あまりにも自然な動作で私のスカートをめくって、パンツを覗く主神さま。まったく反応出来ませんでした。羞恥で顔が真っ赤になるのがわかる、ひゃあぁ~やめてよぉ~!
「そっ、そうじゃなくて! 前世の! 朧気だけど前世で男だった記憶があるんですってば!!」
「あら、それでしたら私も前世は男性だったかもしれませんよ?」
「気になさらずとも大丈夫と思いますよ、アリサ様!」
めくられたスカートを一生懸命に押さえつけ、理由を説明するもののネヴュラとフェリアはどこ吹く風で全く動じない。言ってる事はわかるけどそれは前世の記憶を持っていないからでしょうに!
「ユニはアリサおねぇちゃんとお風呂入りたいよ! ねぇ~駄目なの?」
「ほらほら! ユニだってこう言ってるわよおねぇちゃん!?」
うぅぅ~困った……ユニだけならともかく、よりによってティリアさまにネヴュラ、フェリアも一緒にってなるとどうしても抵抗がある。前世の私は一応紳士で通していたのだ!
「み、みんなは嫌だって思わないの? 確かに身体は女だけど、中身は元男なんだよ私?」
「だから誰も問題ないって言ってるのよ、いい加減観念なさいアリサ姉さん♪」
うわっ! うわわっ! 私の体が中に浮く! これってティリアさまの浮遊!?
「はーい♪ アリサ姉さんをお風呂にごあんなーい♪」
私はティリアさまに浮かせられて、強制的にお風呂に連行される。助けてユニ~!
「わーい♪ アリサおねぇちゃんとお風呂だ、お風呂~♪」
「あ~っ!」
駄目でした。
【もみもみもみ】~主神さまは遠慮しない~
「何で目つぶってるの~アリサおねぇちゃん?」
「あぁ~ごめんねユニ。大丈夫だよ、魔力の手で見えなくても洗えるからね!」
お風呂場に連行されて、脱衣所で服も脱がされて洗い場に連れてこられた私は、精一杯の抵抗として、頑なに目を閉じていたのだ。たとえ女性の体になったとて、元男。うら若き女性の裸体をそう簡単に見てはいけないのだ!! それなのに、ティリアさまときたら!!
「いや、そういう無駄に器用なことしなくていいから……困ったわね、女同士なんだから別にいいのに」
「そうだよ、アリサおねぇちゃん! ちゃんと見て!」
そ、そんなこと言われても~! あらぬ誤解は受けたくないんだよ!? わかってチョーダイ!
「アリサ様は前世の男性だった記憶が残っていると仰いましたが……ご自分の今のお身体に興奮とかなさいました?」
ん? いや、エロいなぁ~って思ったけど別に興奮はしなかったね。元男ならもっと興奮するだろって思ったけど……リアルだと違うんだなぁとも思ったよ?
私はそのネヴュラの問い掛けに首を左右に振ることで答える。
「成る程、でしたら倫理観で見てはいけないと思われているのですね? ご立派ですわ。ですがこのままでは今後も生活に支障が出てしまいます。少し失礼して、精神のズレを修正しますわね?」
私も前世の記憶がなければ、別にこんな抵抗しないだろうけどね……って精神のズレ?
ネヴュラが私のオデコに手をあてて、軽く魔力を流す。あー、なんか心地良い~。
「如何です? なにか変な感じとかしますかアリサ様?」
「変な感じ? ううん、気持ち良かったよ?」
「良かった、成功ですわね。さぁ、目を開けて見て下さいませ」
ネヴュラの言うように私はゆっくりと目を開ける。なんか、さっきまでの「見ちゃダメ!」って気持ちが薄れてて、抵抗なく自然にまぶたが開くね。
「あー、アリサおねぇちゃんやっと見てくれた~!」
私の視界にユニの可愛らしい裸体が映る。うーん♪ ユニはかわいい~!
「あはは、ごめんねユニ~心配させちゃったかな?」
トテトテってゆっくり近付いて私に抱き付くユニを優しく撫でてあげる♪ すべすべでもちもちの綺麗な肌だ、丁寧に洗ってあげよう。
「ネヴュラ、ありがとね。普通にみんなを見れるようになったよ。それで何をしたの?」
ネヴュラを見てお礼を言う。おかげでまともにお風呂入れるよ……でも、ネヴュラって本当に二児の母親なの? 人妻とは思えない凄い綺麗なプロポーション。いやはや、フェリアとパルモーはもう結構大きい子供だろうに、なんという若々しいスタイルだろう。
「精神とはとても曖昧なもの。共存する肉体の影響を多く受け、それに合わされるのですが、アリサ様の場合女性の肉体に男性の精神が入っていますので、修正に少し時間がかかっているのですね。私が今、アリサ様に施したのはその修正を少しだけ早めたのですわ」
ネヴュラが言うには、私の精神はこの体に引っ張られるそうだ。いずれ、完全に女性の考えになっていくだろうとのことだ。うーん、今はよくわかんないね。
「うふふ、素敵な殿方に恋をすればもう一気に女性に精神が修正されるのですけれど♪」
「恋ぃ~? 私が? 男の人に? うーん……想像できないなぁ~」
正直男の人を好きになる自分が想像できないよ。前世では結構少女漫画も好きだったし、恋に恋したりもしたけどね。
「……この世界で私、恋とかするのかな?」
ユニを石鹸で泡泡にしながら思わず呟いてしまう。恋か、したいような……したくないような。
「アリサおねぇちゃん、恋ってなーに?」
「なんだろうね~? おねぇちゃんもわかんないや。フェリアお姉さんなら知ってるんじゃないかな~?」
「わっ、私ですか!? 申し訳ございません! 私も経験がなくお答え出来かねます!」
あはは! 堅いな~フェリアは、そんなに緊張しなくていいのにね。
「母ならば……母は私の理想です。そのスタイルは勿論、女らしさも見習いたいと思っています、きっと恋についても! どうなのですか母上!?」
「あらら……私にとって恋とは、そうですわね……端的に申しまして落ちるものですわ」
あー、よく漫画やアニメでその表現使われるよね、ネヴュラもバルガスと恋に落ちてめでたく結ばれたんだろう、そしてフェリアとパルモーを授かったってわけだ。
「まぁ、恋云々は置いといてさ……フェリアもスレンダーながら、綺麗なスタイルだと思うよ? どちらかというと……ティリアさまのスタイルを目指したらいいんじゃないかな?」
「あらぁ? アリサ姉さん? 何気に私とフェリアは胸が足りないって言ってるのかしら~?」
そんなこと言ってませんってば! というかさっきから気になってるんだけど……
「その「姉さん」ってなんなんです?」
「だって、ママは駄目なんでしょう? じゃあせっかく同じ顔なんだし、双子の姉妹でいいわよね!?」
はぁ~今度はそうきたか……まぁ、好意的に思ってくれてるんだし無下にすることもないよね。
「あ、敬語もやめてね! 姉なんだから私の事は呼び捨てよ?」
「えぇっ!? それは流石にマズくないですか? 主神さまを呼び捨てだなんて!」
基本的に私は権力には弱い、ましてやティリアさまは神々の頂点に立つ主神さまだ。そんな雲上人を呼び捨てなんてとてもじゃないけど無理だよ!
「だーめ! これは主神の決定です~逆らうと~、こうよ!」
「キャアァァーッ!!」
もみもみもみーっ! や、やややだー! 揉まれてる揉まれてるぅぅ~!? だめぇ~やめてぇ!
「わっ、わかりました! わかりましたからやめてやめてーっ!!」
「ユニもアリサおねぇちゃんのお胸もみもみしたーい♪」
や、やめてぇ~ただでさえ勝手に体がビックンビックン反応しておかしくなりそうなんだから!
「はぁ~すんげぇおっぱいだわ……フォレアめ、後でお仕置きしてあげようかしら……」
「はわわ……アリサ様、大丈夫ですか?」
全然大丈夫じゃないやい……あぁ~びっくりした、女の子の体ってあんなに反応するんだ……個人差ってのはあるだろうけど。
「うふふ、少々刺激が強かったようですわね、いけませんわティリア様。もっとソフトに、優しく慈しむように愛でなくてはいけません」
「そうなの? 流石ねネヴュラ、次回から気をつけるわ」
次回ってなんですか!? 冗談じゃないぞ!
うむむ……前世で読んだちょっとエッチな本でも胸の大きい娘は、乱暴に揉まれる傾向があるって描写があったけども……うぅぅまさか自分がそんな目に会うなんて思いもしなかった。
【妹ができた】~手で水鉄砲ってみんなやったよね?~
「やったなぁ! お返しだよほらほらっ!」
「きゃっ! もう、姉さん! 目に入ったわ滲みる~!」
あわあわわ~! 開き直った私はティリアにシャンプーをぶっかけてワシャワシャしてやる。見る間に泡だらけになった妹の頭を傷付けないように指の腹で押撫て洗う洗う! ふはは! そりゃ滲みるだろう!
「むぅ、綺麗な髪~ほらほらユニもこのお転婆妹の髪を洗ってみてよ!」
「はーい♪ わぁぁ~てぃりあさまの髪凄いすべすべ~!」
ユニとタッグを組んでティリアを洗って洗って洗いまくる、そして~にょきにょきにょきー!
「ぷっ! あはは♪ なんですかそれ!」
「あらあら~ご立派になられて! うふふ……あはは♪」
「ちょーっ! ワハハハ!! 何これ~!? アリサ姉さん天才?」
シャンプーの粘性を利用してティリアの髪を真上にピーンとおっ立ててみたら、これがみんなにウケた。当の本人も面白がって楽しんでいるみたいだ。うん、遊ぶならこういうのが良いんだよ。
「あはは♪ 楽しいねアリサおねぇちゃん♪」
「だね! ほら、ティリア洗い流すからちゃんと目をつぶってなさい?」
「はーい姉さん♪」
いいだろういいだろう……ティリアさまがそう望むのなら、応えてあげよう。
おそらくこの子は主神、といってもまだ日が浅いのだろう。もしかしたら望んで主神となった訳ではないのかもしれない。優しさや愛情、温もりや触れ合いに飢えているように見える。
多分『神』とは一つの種族に過ぎず、超常の力を持ってはいても、私達とそう変わらないのかもしれない。万能でもなく、全知でもない。
悲しければ涙を流し、嬉しい事には共に笑い合う、怒りもすれば嫉妬だってするんだ……私達と何が違うんだろう、そう考えると愛しく思えてきて……
「はーい、もう目を開けていいわよ~ティリア」
「ほいほい~あー、さっぱりするわねコレ! ありがとアリサ姉さん、ユニ」
「えへへ~どういたしまして♪」
受け入れようって決めた。ふふっちょっとお転婆な妹ができたみたいだ、楽しいね♪
おっと、次はリンスだぞ~? 女の子のお風呂は時間がかかるんだからね? 昨夜体感したからよくわかる。
「まぁ~これは、素晴らしいですわね……少しパサついていた髪が潤いを取り戻したかのようですわ」
「とても良い香りもします、シャンプー、リンス、コンディショナーですか……女を磨くには手間暇をかけなさいと母上が仰ったその意味もわかりました!」
ネヴュラとフェリアにも理容品は好評みたい。これらもいずれ自作出来ないかな? 後、化粧品とかも喜ばれそうだよね、女の子多いし。
カポーン……
「はぁ~いいお湯~♪」
ひとしきり身体を洗った私達はゆったりと湯舟につかり、ほぅと一息。のんびりできるっていいよねぇ~うんうん、昼間の騒動の疲れも癒されるよ。
「お風呂おっ風呂~♪」
ばしゃばしゃばしゃーっ!
「あ、ユニ~湯舟で泳いじゃ駄目だよ~? ゆっくりつからなきゃ」
広いお風呂にはしゃぐユニ。昨日はぐっすり眠っていたから、初めてのお風呂に心が沸き立つのだろう。楽しそうではあるけどちゃんとマナーは守らせないといけないからね。軽く注意。
「はーい……ごめんなさいアリサおねぇちゃん」
「うん、ちゃんとごめんなさいできて偉いよ。ユニ」
「えへへ~♪ アリサおねぇちゃん大好き!」
うーん♪ かわいいよぉ~! 私に抱き付くユニをなでる。
「ふふふ……確かに湯舟で泳ぐのはマナー違反だけど、こういうのなら良いんじゃないかしら?」
ピューッ! パシャ!
「わぷっ!?」
何事かと見てみればティリアが手を合わせてお湯を飛ばし、私にかけてきた。懐かしい、手でやる水鉄砲だね。
「わぁ~面白そう! 教えて~てぃりあさま~♪」
「いいわよ~こうやって、手と手を合わせて……」
みんなでお湯を飛ばし合ってしばらく戯れました。
のぼせる前にあがろうってことで脱衣所に戻った私達、バスタオルで身を包んでみんなそれぞれ髪を乾かす。
「こんなの、こうやって一瞬じゃない?」
そういってティリアは濡れた髪の毛を魔法でパパっと乾かす、おぉ~見事な魔力操作。流石主神さまだねぇ!
私は自分の髪を魔力の手でブラシと温風魔法で乾かしながら、ユニの髪を自分の手で丁寧に乾かしていく。
「どう、ユニ? 熱かったりしないかな?」
「だいじょうぶ~ほわほわして気持ちいい~!」
「成る程、火と風を合わせた魔法ですわね……こんな感じかしら?」
「わ、わわっ! ちょっと魔力操作が難しいです!」
ティリアはさっさと乾かしちゃったけど、この時間はみんなと触れ合える事の出来る大事な時間だと思う、こうやってユニの髪を乾かしてあげてる間、他愛ないおしゃべりをして笑い合って親睦を深めるのだ。
「あらら、ティリアに私の髪を乾かしてもらおうかと思ったけど……フェリアを手伝ってあげてくれるかな? ちょっと危なっかしいからさ」
見るとネヴュラは上手に魔力を操作して温風魔法を使いこなしているけれど、フェリアは魔法が苦手なのか、火が出たりして危なっかしい。
「あわわ、確かに! ちょっとフェリア、危ないから私がやったげる!」
フェリアのヘルプに向かうティリアを横目に、少し考える。前世の世界にあった家電製品の数々、誰が使っても同じ効果を発揮するアイテムってやっぱり便利なんだねぇ。私は流石に家電製品作れるような知識は持ち合わせていないけど、なにかしら魔法で作れないかな? いずれ色々試したいね。
【猫のお腹は柔らかい】~そしてあったかい~
「皆さん、失礼しますね。替えの下着と寝間着をご用意しましたよ!」
「お、みんな丁度お風呂あがって髪乾かしてるとこじゃん♪」
「ん、残念……一緒に入りたかった」
妖精女王のティターニアと話し合いをしていた三姉妹がいいタイミングで着替えを用意してくれた。ありがたや~今日はどんな下着だろ?
「ティターニアはどうしたのレウィリ?」
「正式な場での取り決めじゃないから、一度持ち帰るって帰っていった」
「バルバルとパルもっちが護衛に付いてるから、もう少ししたら帰ってくると思うよ!」
なるほど、他の聖獣達と同様にみんなに報せるんだろう。私も着替えて詳しく話を聞こう。
ティリアを義妹として認めた事も伝えたいしね。あれ? となると、この三姉妹も私の義妹になるのかな?
「アリサさん、今日はこちらを!」
「あ、今日は早いね。ありがと♪」
アルティレーネが私に下着の替えを用意してくれたので受けとる。昨日は散々待たされたから、今日は自分で用意しようとも考えてたんだよね。
「わぁ、可愛い下着♪ 白基調なのは変わらず薄い桃色だね!」
昨日の薄い水色のも良かったけど、こっちもいいなぁ~アルティレーネに感謝!
「……ねぇ、アリサに何かしたの?」
「昨日は素っ気なかったのですけれど……今日は見るからに喜んでいますね?」
「うふふ……少々精神のズレを、ね♪」
ん? レウィリリーネとアルティレーネがきょとんとして、ネヴュラに話しかけてる。なんだべ?
まぁ、いいや! ふふっ新しい下着着けるとなんかテンション揚がるね♪
「アリサおねぇちゃん綺麗~♪ いいなぁユニもアリサおねぇちゃんみたいに綺麗になりたいな!」
「ありがとーユニ♪ きっとユニも大きくなったら綺麗になるよ! うん、私よりね!」
新しい下着を身に付けてちょっと気取ったポーズをとった私を見て、ユニが感嘆する。うへへ、ちょっと恥ずかしいけど嬉しいね。
今でこんなに可愛いんだもん、将来は絶対に美人さんだよユニは。それが楽しみでもあるけど、今のままの可愛いユニでいてほしい気もするなぁ~なんてね。
「ティリア姉は自分で用意してね?」
「ありゃ? あんた達が私にどんな下着着せるかちょっと楽しみだったんだけどな。まぁ、いいわ」
「ユニとネヴュラとフェリアの分考えてたから」
そういってレウィリリーネはそれぞれの下着を見せてくる。アルティレーネと一緒に凄いいい顔をしているので自信作なんだろう。実際ユニの下着は可愛らしくミーナをデフォルメにしてワンポイントにあしらえた白いパンツだ。ブラは女神達が言うにはまだ早いとの事。
「シャツを着て、はい、ミーにゃんパジャマだよ~ユニ♪」
「えへへ、ミーナちゃんいっぱいだね!」
うんうん、ユニのパジャマは私のとお揃いの物。これで今日も一緒に寝るのだ。
「うおおぉ……ネヴュラママやっば! エロ~ぃ!」
「素晴らしいです、ネヴュラさん! とてもお似合いですよ」
「これが人妻の色気……うちらがいかに小娘か思い知るねぇ~」
「……妖艶」
ティリアに三姉妹が騒ぐので見てみれば、なんとまぁ~ネヴュラが黒いすんげぇセクシィな下着にネグリジェを身に付けているではないか。その見事なスタイルもあって、とても扇情的な姿だ。フォレアルーネが言うように私達小娘にはない色気が出まくっている!
「な、なんだか恥ずかしいですわね……年甲斐もなくこんな格好」
ぐわーっ! 照れて頬を両手でおさえるその仕草に表情! 反則でしょう? 色気凄いのに可愛いんだもん! ズルイぃ~!!
「母上、娘の前でそんな……うぅぅ、何と言えばいいのかわかりません」
「ふふ、フェリアさんもよくお似合いです。将来はネヴュラさんのようになるのかしらね?」
フェリアの下着は青と白のストライプ。いわゆる縞パンだ、健康的なフェリアによく似合っている。普通に可愛いな、私も今度アルティレーネにお願いして、着てみよう。
「そ、そうね……アルティレーネ様、何か上に羽織るものは御座いませんか? このまま夫と息子の前には出にくいですわ」
「うふふ、そうですね、軽くローブを羽織っておきますか?」
「パルモーには刺激的すぎる……」
「ふひひ、バルバルを誘惑だね!」
「まぁ、そんな……誘惑だなんて……い、嫌ですわフォレアルーネ様、からかわないで下さいな」
アルティレーネの用意したバスローブを羽織って、照れまくるネヴュラ。まったく何言ってるんだフォレアルーネは、誘惑だなんて……色仕掛けってやつ?
……いつか役に立つかもしれないので後でネヴュラに教えてもらおうかな?
私達はそれぞれパジャマを着て、ティターニアとの話し合いの内容を聞くべくリビングに移動する。リビングのソファーにはこれまただらしなく、だらーんと手足を伸ばしてお腹丸出しのミーナが寝転がっている。長毛種のミーナのお腹はフワフワのもっふもふの毛で覆われていて見れば見るほど、その柔らかさを伝えてくる。こういうとき決まってやってたのが……
「えぃ!」
「んにゃ!?」
そのお腹に顔を埋める事だ! すーはーすーはー♪ うーんお日様のいい匂い♪
「にゃんにゃん!!」
ベシベシッ!
ミーナがやめろと抗議の猫パンチを私の頭に繰り出してくる。うーん、久し振りだしもうちょっと! あっ! 痛い! 爪立ててきたので残念ながら終了。あのまま無視して続けると噛み付きとキックがくるからね!
「なにやってるんですかアリサさんは、ミーナちゃんをいじめちゃ駄目ですよ?」
「あはは、いじめてるわけじゃないのよ~ただ一度あのもふもふを体験しちゃうとどうしてもね♪」
そう、猫好きの方ならご理解いただけるだろう。猫のお腹のもふもふ具合の心地よさを。
「お腹を撫でたことまだないなぁ~ユニもミーナちゃんともっと仲良くなったら撫でさせてくれるかな?」
「私も撫でたいです」「ふふふ、私も」
ユニの言葉に追従するフェリアとネヴュラ。うん、ミーナも気を許した相手にはお腹も見せてくれるよ~♪
「ただいま戻りまして御座います。アリサ様」
「ただいま~アリサ様! 女神様! 母ちゃん! 姉ちゃん!」
おっと、ティターニアの護衛に付いてたバルガスとパルモーが帰ってきたみたいだね。玄関から大きな声が聞こえてきたよ。
「お帰りなさい、あなた。パルモーもご苦労様でしたね」
「父上、パルモー! お帰りなさい!」
「お帰りなさい二人とも、ティターニアは無事帰れた?」
扉を開けて二人を迎え入れる、ネヴュラのセリフになんか、いいなぁ~って思っちゃった。私もいつかそんなセリフを向ける相手が……いやいや、待て待て、なんかおかしいな私。
二人は見た感じ怪我とかはしてないようだけど、少し土埃が付いてる?
「魔物が少しばかり襲撃してきましたが、いやはや聖魔霊とは凄まじいものですな!」
「ははっ! ホーンライガーとかバジリスクってそれなりに強かった筈だけどね! 父ちゃんとボクの一撃でやっつけちゃったよ!」
どうやら他にも魔物が襲ってきたらしいけど、一人が護衛して一人が討伐を交代で行ったそうだ。その際に聖魔霊となった力を試してみたんだって。話を聞く限りだいぶパワーアップしてるようで、ティターニアも安心できたとお礼を言ってたみたい。何はともあれお疲れ様。
「それでアリサ様、庭のモコプー達ですが、リン殿とジュン殿に施した小型化の魔法で屋敷内に入れては如何でしょうか?」
「うん、この屋敷の庭ならまず大丈夫だとは思うけどね。万が一を考えた方がいいかな? って思うんだよね」
庭で思い思いに動き回ってるモコプー達を見て、二人が提案してきた。ちゃんと考えてくれて嬉しいね。
「ん、いい案。アリサお願いしていい?」
「うん、任せて!」
二人の提案を採用して保護した五羽のモコプーに小さいは可愛いをかけて、大型犬くらいにサイズダウン。プープー鳴くまんまるを屋敷内に入れてあげた。この時、ミーナは珍しくびっくりしてたけど、ちょっとじゃれあって今は一緒に丸くなってすやすや寝息をたてている。
「──ってわけだから、安心していいわよモコプー」
(ありがとうございます魔女様、わたしもお友達の鳥達に事情を説明したらそちらに向かっていいですよね~?)
「勿論よ、お友達は魔物大丈夫? なんなら一緒に保護するけど?」
一緒に戦ったモコプー……うん、紛らわしいね。早いとこ名前決めてあげよう。は、お世話になった友達の鳥達に事情を説明するために別行動してるので、映像通信でこちらの経緯を説明しておいた。
(心配ありませんよ~鳳凰さんはガルーダさん並みに強いですからね!)
へぇ~ガルちゃんクラスの強さなら全然問題なさそうだね!
「オッケーじゃああんたも気を付けてこっちいらっしゃいね? 明日また合流しましょう」
(はーい! 魔女様、おやすみなさい、今日は本当にありがとうございました)
どういたしまして♪ というわけで、通信終了。
私がモコプーと通信で話してる間にバルガスとパルモーもお風呂からあがってきた、早いね……あ、いや、男性ならこのくらい普通か。バルガスはスキンヘッドだし洗うのも楽だろうから。三姉妹は最後に入るそうなので、これから彼女達の報告を聞く事になる。
「えぇっ!!? 本当なんですかティリア姉さま!?」
アルティレーネがびっくりして大声をあげている、あの子があんな大声を出すなんて珍しいね。理由はまぁ、私がティリアの義姉になった事だろう。
「ん、これからはアリサ姉さんって呼ばなきゃ……え? ティリア姉さんもそう呼んでる? じゃあ……アリサお姉さん」
「マジか~! アリサっちって呼び方結構気に入ってたんだけど、アリサ姉かぁ、まいっか♪」
「好きに呼びなされ、義妹達よ」
別に今まで通りでもいいと思うけど、こういうのは節目というか記念みたいな思いも大きいだろうから止めはしないでおこう。なんて思ってたらアルティレーネがすっごいキラキラした瞳で私の側にやってくる。
「ティリア姉さまから話は伺いました、本当ですよね!? 本当にティリア姉さまの、私達の義姉になってくれるんですよね!?」
「うん、一応ティリアの双子の姉って事になったけど……アルティは反対?」
もしかして嫌なのかなって思ったので確認をとってみる、まぁ、見るからに嬉しそうなのでそんなことはない、とも思うんだけど……念のためね。するとアルティレーネは勢いよく首を左右に振り否定してくる。
「とんでもないです! とても、とても嬉しいですアリサお姉さま!」
「わわっ!? ちょっとアルティ?」
がばちょと私に抱き付いてくるアルティレーネにびっくりしちゃったよ。そんなに嬉しいの?
「嬉しい嬉しい! やっと甘えられる……アリサお姉さま撫でて下さい、ユニにするように……」
「ん……いいよ。今まで頑張ってたものね、偉いよアルティ」
そうだった、この子は姉のティリアが大好きで私の肉体を再構築する時も、ティリアを慕うあまり同じ顔にしちゃったくらいだ。
悪く言えば私はティリアの代わりだったのかもしれないけど、別に比較されたわけでもないし。ちゃんと『アリサ』という個人を見てくれているので問題ないね。今まで苦労した分沢山甘えさせてあげようじゃないの。
「まったく、アルティはやっぱり甘えん坊ねぇ。ふふ、アリサ姉さん。大変かもしれないけど、これからは私達の長姉としてよろしくね!」
そんなわけで私は女神達の義姉になったのだった。
アリサ「考えてみれば私が一番年下なんじゃないの(´・ω・`)?」
ティリア「ちょっと! 年齢の話はタブーよ(゜Д゜#)」
アルティレーネ「人間で考えれば、アリサお姉さまとティリア姉様が十九歳です(*-ω-)」
レウィリリーネ「アルティ姉さんが十八歳、あたしが十七でフォレアが十六歳(・ω・*)」
フォレアルーネ「ま、そんくらいの見た目ってことで~ゆにゆには十歳くらいかな(-ω- ?)」
ユニ「え? なにこの赤いバック? 背負えばいいのアリサおねぇちゃん? ふぅん、ランドセルって言うんだ~( ・∇・)」
アリサ「似合う~(ノ≧∀≦)ノ」




