閑話 風雲! 女神城!~捌~
アリサ「はいヾ(゜▽゜*) みなさん八日目です( 〃▽〃)」
水菜「今日も『風雲! 女神城!』の様子をお届けですね♪(о^∇^о)」
大地「つーかよぉ……(-∀-`; ) 俺等全然出番ねぇな今回(;´∀`)」
朱美「そうねぇ~( ´Д`) 参加者の数が増えたってのもあるんだけど( ´~`)」
爽矢「何より急な開催が過ぎるな……(-_-;)」
アリサ「いやぁ~私もセラちゃん達に「やりたい!」って言われるまで、全然頭になかったから……(^o^;) ごめんね、謝るよ(;>_<;)」
大地「いやいや(;-ω-)ノ 姐御、そこはいいんだわ(´・ω・`; )」
水菜「うん、『三方面作戦』開始前の景気付けとしても、セラちゃん達の気持ちとしてもわかりますから(*´∇`*)」
朱美「うんうん(_ _) 出番がないのも別にいいのよ、私達そんなに必死じゃないから( ̄▽ ̄;)」
爽矢「なにより許せんのは、我等のメシが用意されておらぬことよ!L(゜皿゜メ) おのれ女神共め!(≧Д≦)」
水菜「え!?Σ(・ω・ノ)ノ あの私、リリカさんからごはんもらったけど(゜ω゜;) みんなもらってないの?(;´A`)」
アリサ「そうなのよ(ーー;) おかげで私達もてんてこまいの忙しさだよ!(。・`з・)ノ」
大地「色々と反省多いな今回はよぉ(; ・`ω・´) 次回があるかわかんねぇけど、上手く活かそうぜ?(´∀`;)」
みんな「うんうん(。・ω・。)」
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【えげつない】~海峡~
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「ふぅぅーっ! いやぁ~食った食ったぁぁーっ!」
「うまかったなぁー惣菜パン!」
「誠。アリサ様の作る食事のなんたる美味な事よ……ふぅ。満足だ!」
……あたしレウィリリーネ。今挑戦者のみんなとご飯休憩してたの。
はい……みんなこんにちは♪ 引き続き『風雲! 女神城!』の続きをお伝えしていくよ?
あたしの城の攻略に選ばれた十二人も最初のゲーム『二人の絆』を経て、六人に絞られた。そこで次なるゲーム『帰ってきたレウィリリーネ海峡!』の案内人、爽矢に対し、散々待たせた挙げ句、ご飯も用意してあげてなかったために、当人とアリサお姉さんに怒られちゃった。
俺達のとこにも持ってきてもらえたぞ!? おぉ! これが惣菜パンか!? 確かにうまそうだ!
「ウマァァーイッ!! 実に美味い! アリサ姫が作られた惣菜パン! 種類も多くあきがこなぁぁーいっ! しかぁーし! 忘れてはならないっ! 爽矢様ぁぁーっ! そろそろゲームの説明をお願いしまぁぁぁーすっ!!」
挑戦者にも観衆にも事情を知ったアリサお姉さんが、急ピッチで惣菜パンって美味しい、焼きそばとかコロッケを挟んだ美味しいパンを用意してくれて、みんなで食べてたの。うん。あたしも食べさせてもらえた。マヨコーンがお気に入りになったよ♪
「ふぅ。腹もふくれた事であるし。よかろう! では改めて説明をしよう!」
おー。やっとゲームの説明にすすんだ。よかったよかった。
「前回にもあったこの『海峡』であるが、ご覧の通り、前回とは比較にならんほど難易度がはね上がっておる! 貴様達はここから階段を登り、スタートに立ってもらうぞ?」
うん。前回は一直線の細くて揺れるけど、言ってしまえば、ただの一本橋だった。
「そこから例によって非常に揺れる小さな橋を渡りゴールにたどり着くのだ。さすればクリアとなる」
「なるほどぉぉーっ! どうやらそこは前回と同じと言うわけだぁーっ! しかぁーし! 今回は「パワーアップ」したと聞いているぞぉーっ!?」
「ふはは! それは実際にコースを見ればわかろう! 見るがよい!」
うわぁぁーっ!? な、長ぁぁーっ!!
「それだけではない。曲がりくねった上に、勾配も付き、更にはあえて間隔を空けられた足場の橋もあるぞ?」
うん。それらは柱で区切られて、一息付けるようにしたの。まずは前回と同じ一本橋を渡れば安全な柱の上にたどり着く。そこから今度は曲がりくねった橋。そしてまた柱っていう風にね?
「これはキツイな、しかし最後のゴールまでの上り坂になっている橋には手摺がついていて安全そうだが……?」
「ですね。足場の橋もしっかりしているようですし、あのセクションはボーナスでしょうか?」
「ふはは! そんなわけあるまい。バルドにエミルもこの女神達の底意地の悪さを知らぬようだな? あそここそ今回の要。回転床の橋よ!」
か、回転床だってぇぇーっ!? どういう事ですかぁぁーっ!?
むぅ。底意地悪いとは、爽矢めひどいことを言う……バルドとエミルがゴールまで続く最終セクションの橋が他のセクションと違いしっかりした作りになっている事に注目した。うんうん、確かに他の橋に比べて、手摺もついているし、足場板も幅が広く、隙間もないからそう見えるだろう。
「あの橋の足場の床板はな、一見隙間なく敷かれているように見えて、実は数ヵ所回転するのだ! さすれば当然真っ逆さまに落ちて脱落ぞ?」
えっ! えげつねぇぇーっ!!? マジかよ!!
「更には道中に妨害も入るぞ? 来るがよい!」
ビュオオォォーッ!!
「うおぉぉーっ!? 爽矢様の呼び掛けに応えるようにして、風が集まるぞぉーっ!?」
ふっふっふー♪ そう。この『レウィリリーネ海峡』には妨害がつきものだよね? 今回も来てもらったよ。
「はぁーい♪ みんなぁ~元気~? 呼ばれて登場シルフちゃんだよーっ!」
「ガハハハっ! 今回もやって来たぞ!? 風のジン見参! お前らな? 大丈夫だぞ? このな? 当たっても痛くないけど、衝撃は伝わるボールな? 当ててやるからな? ガハハハ♪」
「うふふ~♪ またまた出番~! 今回はみんな逃がさなぁい。エアリアルでーす!」
「そして我!」
グオオォォォーッ!!
「わぁぁっ!? 爽矢さんがまた龍の姿になっちゃった!」
「くふふ、見ているだけではもの足りぬ。故に! 我が雷鳴と稲妻で邪魔してやろう!」
驚いたようだねモモ! さぁ挑戦者達よ~この『帰ってきたレウィリリーネ海峡!』を恐れぬならばかかって来るがよい~♪ あたしが思い付いた最強の布陣。越えられるかな?
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【健全だよ?】~先陣はエミル~
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「これ、クリアさせる気あるんですかねぇ~? ちょーっと厳しくないですか?」
「あ。そうだった……前回はアイギスがなんちゃら歩方とか使ってあっさりクリアしたから……えぃ!」
いけないいけない。忘れるとこだった。ゲーム始める前にちゃんとこれ使わないと。
「おぉ~? なにやらレウィリリーネ様が怪しげな箱を取り出し、スイッチを押したぞぉーっ!? 一体それはなんなのかぁーっ!?」
「ん。アリサお姉さんの作った『縛りプレイ(健全)くん』だよ? このステージ内で、みんなのスキル全部封じる魔装具」
な、なんだってぇぇーっ!?
「こ、これは……更に厳しいですね!?」
「そうか? アリサ様は訓練の時もこれを使って自らに枷をかけていたぞ?」
「……本当だ。『剣聖剣技』も使えん!」
カインが慌てるけど、アリサお姉さんと一緒に、この魔装具で自分の能力を縛っての訓練をした経験があるゆかりは動じない。バルドは実際に『剣聖剣技』を使おうとしても体が思う通りに動かない事を確認したみたい。
「それから、スカート穿いてるお姉さん達にはこれね?」
「あぁぁ、前回の記録映像でもレイリーアさんが穿いてたレギンスですね! はいはい。ありがたくありがたく~♪」
その間に、パルモーがあらかじめ用意しておいたレギンスを女の子達に配り始めた。ミュンルーカ達『黒狼』のメンバーは『セリアベール』でアリサお姉さんから、前回の映像記録を見ていたそうで、そのレギンスが何を意味するかを知っていたようだ。
「ミュンミュン~それはなんなのです? ズボンみたいに見えますけど?」
「あ~これはねももちー……」
うん。知ってる人がいると説明の手間が省けていいね。
「さぁ? 準備はよいか? 最初の挑戦者は誰だ!?」
「それでは僕が先陣を切りましょう! 叶うならゴールしたいものですが、駄目でも続く皆さんの参考になりますから!」
おぉ~立派な心意気だねエミル。このゲームの難易度を図るために先頭に立つとは。
「さぁぁーっ! 始まるぞぉーっ!! 最初に挑戦するのはエミルだぁぁーっ!」
ワアァァァーッ!! 頑張れよぉぉーっ!!
「まずは第一セクションですね……うわっ! これは予想以上に揺れる! それなら!」
タタタッ!!
「おぉーっとぉ! エミル駆け出した! 最初の足場に足を乗せ、その揺れ具合を確認していたようだがぁーっ!?」
「ほう、なるほどな。慎重に行くよりは揺れや妨害に足を止められる前に進むと言う判断か!」
「いい感じです! エミルさんこのセクションは抜けますね!」
ターンッ!
「ふぅ。なんとかなりましたね!」
「見事ぉーっ! エミル第一セクション突破ぁーっ! しかぁーし! 続く第二セクションはまた難関だぁーっ! 緩やかだが、勾配がついている上に、曲がりくねっているこの橋をどう切り抜けるぅーっ!?」
ふふ。最初の一本橋は小手調べだよ? 本番はここから。バルドがエミルの意図に気付いたように、慎重に行くよりは勢いつけて駆けた方がいいと言う判断は正しい。実際にカインが言ったようにエミルは第一セクションを突破したし。でも、この先はそうはいかない。
「直線なら同じように!」
タタタッ!
「カーブは少し慎重にって、うわぁ!?」
ヒュンヒューンッ!!
「ちぇーっ! 外れちゃったぁーっ!」
「危なぁぁーいっ! 直線を同じく駆け、カーブに差し掛かりやや減速したエミル! そこを狙ったシルフの妨害ボールがエミルの顔面スレスレで飛んで行ったぁぁーっ!」
フフフよくぞかわした~♪ でもそこで止まっちゃっていいの~?
「いかん! 足を止めるなエミル!」
「そ、そんなこと、言われましても!?」
グラングラングランッ!!
うわぁぁーっ! めちゃくちゃ揺れてるぞ!? 危ないエミルぅーっ!!
「もらったぞ! もらったぞ~♪ ガハハハ! 食らえーぃ!」
ビュオーンッ!! ドッカアーンッ!!
「うわああぁぁーっ!!」
「エミルゥゥーっ!? 残念ーっ! エミル脱落ぅぅーっ! ジンの投げた妨害ボールが直撃ぃぃーっ! 弾き飛ばされて落ちてしまったぁぁーっ!!」
「エミルーっ!!」
ぼよよ~んぼよよ~ん♪
わぁぁーっ!? び、びっくりしたぁぁーっ!! ちゃんと落ちても大丈夫なようになってたぁーっ!
それは当然。挑戦者に怪我なんてさせないよ?
「みなさーん、すみませーん、後はー頼みまーす!!」
ぼよんぼよんと衝撃吸収マットの上で跳ねるエミルが他の挑戦者達に謝っているけど、なんか楽しそうだね? そのぼよよんマット気に入ったの?
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【負けられない!】~アイギスのライバル~
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「エミル……お前の死は無駄にしない!「死んでませんよ?」俺が仇を討ってやるっ!「生きてますってば?」安らかに眠れ!」
「はははっ! バルドお前面白いな!? いいぞ、次は私が行こうと思ったが、譲ろう! 存分にエミルの仇を討ってこい!」
「もーっ! バルドさんもゆかりさんも悪ふざけはその辺にして下さいってば!」
ははは、済まん済まん♪ って、バルドとゆかりがカインとモモ、ミュンルーカに注意されて謝ってる。う~ん♪ 楽しんでるねぇ?
「驚異的な難易度となって帰ってきたこの『レウィリリーネ海峡』!! 早速犠牲者が出てしまったぁぁーっ! しかし! それでも闘志衰えず! 『黒狼』がリーダー、バルドが挑むぅぅーっ!!」
ワアァァァーッ!! 頑張れバルドぉーっ! 負けるなバルドぉーっ!!
「よし、エミルが教えてくれた方法で第一セクションを突破する!」
タタタターンッ!!
「は、はやーいっ! あっという間に第一セクションを駆け抜けたバルド! そのままの勢いで第二セクションに突入するぅぅーっ!」
「ムムッ! 速いです! 狙いが定まりません!」「構うものか! 投げろ投げろーっ! ガッハッハ!!」「数撃ちゃ当たるってねぇ~♪」
ポポーンッ!! ポイポイポーイッ!!
甘いよ? 勢いだけで越えられるほど、第二セクションは簡単じゃない。エアリアルとジン、シルフの妨害ボールも上手く避けてるけど……
「うおっ!? しまった縦揺れが!」
グラァーンッグラァーンッグラァーンッ!
「うわぁーっ! 危ない危なぁーぃっ!? カーブも上手く乗り越えたバルド! しかし、最初の勢いがここで仇となったぁーっ!」
あんなに揺れるのかよぉーっ!? 下り坂やべぇぇーっ!!
そう。あんまり勢いつけるとこの下り坂が激しく揺れるように作ったからね。さぁ、どうするバルド? 下った先にはもう一回カーブが来て、そこから緩やかだけど上り坂だよ?
「くっ! なんのこれしきっ! 揺れると言うならそれに合わせればいいっ! 「時には流れに逆らわず、身をゆだね、機会を待つ」……今こそアリサ殿の教えを実践するときだ!」
「そんなに待ってあげるわけないでしょーっ!? えぇーぃ!」
「今度は逃がしませんよ~?」「ガハハっ! 遠慮せんでこのボール食らっとけ! な?」
うむむ! あの揺れの中でも立ち上がるの? でも妨害ボールがある! さぁ! バルドをやっつけるんだ! シルフ、エアリアル、ジン!!
ヒュオォォーンッ!!
「あぁぁーっ! 激しく揺れる足場からなんとか立ち上がったバルドに妨害ボールが迫るぅぅーっ! 危なぁぁーいっ!!」
「っ! ここだっ!!」
タァーンッ! ビュオンッ!!
なっ!? あのタイミングでかわした! しかもまた勢いよく先に!
「んっ! 追いかけて! クリアさせちゃダメっ!」
「合点だぁ!」「ガハハ! やりおるな!」「言われずとも! 待てぇーっ!」
ウオォォーッ! すげぇぞバルドぉーっ! 間一髪ぅぅーっ! バッルド! バッルド! バッルドぉーっ! 頑張れぇーっ! 一気にゴールまでいっちまえぇぇーっ!
「駆ける駆ける駆けるぞバルドぉーっ!! まるで揺れる橋と一体化したかのような安定感!! 妨害ボールを持った妖精霊達が必死に追いすがるぅぅーっ!!」
「うおぉぉーっ! 俺はアイギスのライバル! アイツは必ず勝ち上がって来る!」
タタタッタァーンッ!!
「ならばっ! それに負けてなどいられるかぁーっ!」
ザザーッ!!
ワァァァーッッ!!
「やったぁーっ!? やりましたバルド! 最難関と思われた第二セクションを見事に突破したぁぁーっ! これで残るは最終セクション! 恐怖の回転床の登り橋ぃぃーっ!!」
ビガァァッ!! ピシャァァッ!! ゴロロォォーンッ!!
「くはははっ!! 見事見事! やるではないかバルドよ! よくぞここまで来た! さぁ進むがよい……」
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【彼もまた……】~素質~
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うぬぬ、まさかたった二人目で第二セクションまで突破されるなんて! おのれバルド、回転床で落ちてしまえ!
「爽矢様の雷鳴と稲妻が鳴り響く、正に最終セクション! さぁ~ここまで切り抜けて来た『セリアベール』が誇るSランク! 『黒狼』がリーダー、バルド! 緊張の一瞬だ……」
ゴクリ……
「ふぅぅ~……」
「深くため息をついた、集中しているぞぉ……」
タンッ! ぐるんっ!
「うぬぅっ!?」
「行った! いや! いきなりだぁーっ! 最初の一歩目の床が早速回転したぁぁーっ!」
うわぁぁーっ!? 耐えろ耐えてくれぇぇーっ!!
ガッ!
「咄嗟に手摺を掴んだバルド!」バギィッ!!「っとぉーっ!? 折れたぁーっ!」
「まだだぁぁーっ!」
ダァンッ!!
うおぉぉーっ! ナイスキックーッ!!
「踏みとどまった! 踏みとどまったぞバルドぉーっ! 手摺が折れたその瞬間、前傾のまま強引に欄干の橋桁を蹴って体を前へと押しやり難を逃れたぁーっ!」
「はぁはぁはぁ! 危なかった……二枚目の床板も回転床だったら終わっていたな……」
ここまで来るとその勝利への執念に感心しちゃう。アイギスの影響なのか、彼もまた、『最後の瞬間まで決して諦めない』という『勇者』としての素質があるのかもしれない……そう。しっかりした作りに見えるあの橋の手摺はブラフ。ちょっとした事でもすぐにポッキリ折れる、挑戦者達をはめる罠なのだ。その罠にもめげず、諦めず彼は踏みとどまった。
「どんなに無様を晒そうと、俺はクリアして見せる! うおぉぉーっ!」
ダダダッ!!
ワァァァーッッ!!
「うおっ!? なんのぉーっ!」
走って跳んで、つまづいたり、回転床にもしがみついて……それでも、それでも前へ! 前へと進むバルド。
うああぁぁーっ!! 頑張れぇぇーっ! 頑張れぇよぉぉーっ!
「「「バッルド! バッルド! バッルドぉーっ!!」」」
見守る観衆も、他の挑戦者達も一丸となっておくられる声援を受けて今!
「ゴォォールゥゥーッ!! うおぉーっ! クリアだぁぁーっ!! バルド! この最難関を先駆けてクリアぁぁーっ!」
「おおぉぉーっ!!!」
パチパチパチパチッ!! 凄い! バルドはすごいよ。ゴールをくぐり、雄叫びをあげる彼を見て思う。もしも、アイギスが生まれるのがもう少し遅かったのなら、きっと彼こそが新たな『勇者』としてあたし達と共にいたのかもしれない、と。
ありがとぉぉーっ!! バルドぉーっ! お前は最高だぜぇぇーっ!!
「はぁぁ~! すっごぉい……むぅぅ~でもでも、バルドにはセラがいるしぃ~ダメダメ! 駄目ですよワタシ!」
「やりますねぇ~最後はいぬかきみたいになっちゃってカッコ悪かったけど、カッコいいじゃないですか?」
そのバルドの勇姿を見ていたミュンルーカは少し惚けた顔をしていたけど、何かを思い出したかのように頭をブンブンと左右に振って、うんうん頷いてる。なんだろね? そしてモモも、彼を感心したように見ている。
「ひぇぇ~バルドさん見事でしたけど、僕にあんな芸当できるでしょうか?」
そして次の挑戦者、カインが不安そうにスタート地点に立ったのだった。
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【どんなお手本なの?】~『粉☆砕!』~
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「うわあぁぁーっ!!」
「カイーンッ!!」
「脱落ぅぅーっ! 『天馬』のカイン! 第二セクションの上り坂で無念の落下ぁぁーっ!」
うんうん。よいぞよいぞ! これで二人脱落だねぇ♪ さぁ続けて~?
「キャアァァーッ!! シルフちゃんのばかぁーっ!!」
「ミュンルーカ脱落ぅぅーっ!! 惜しいーっ! 第三セクションを目の前にして、シルフの投げた妨害ボールがどてっぱらにささったぁーっ!!」
惜しいぃぃーっ!! うおぉーんっ! 可愛い女の子がぁーっ!
……観衆はどれだけ女の子が好きなの? まったく……とにかく三人目。むふふ、最初の十二人からここまで脱落させたあたしすごくない?
「まーったく。しょうがないですねぇミュンミュンは! ももちーがお手本を見せてあげるべきでしたね!」
残るはモモとゆかりだけ。なんだか二人とも余裕そうに見えるけど、ふふふ……見るのと実際にやるのとでは違うんだよ?
「立て続けにカインとミュンルーカの二人が脱落した『帰ってきたレウィリリーネ海峡!』も、残る挑戦者は二人ぃぃーっ! モモとゆかり様だけだぁーっ!」
ウオォォーッ!! いよいよ大詰めだぁぁーっ! 頑張れぇぇーっ!
「トリはお任せしますよぉゆかりさぁん?」
「ああ、構わんぞ♪ カインの仇討ちとして暴れてやるからな。ももちーは先に行ってくれ」
「さぁぁーっ! モモがスタートに立ったぁぁーっ! 未だ攻略出来たのはバルドのみ! 是非とも後に続いてもらいたいがっ!?」
シュタタターッ!!
「始まったぁーっ! 最初から速い! なんてスピードだ! あっという間に第一セクションを突破し、第二セクションに駆け抜けているぞ!?」
は、速いっ!! なんであんなに速く走って、足場が揺れないの!? スキルは封じてるのに? どういうことぉ? ももちーズルしてない!?
「してないですよ~? ほら、止まればこう、ちゃんとぐらぐらぁ~ってなりますし」
うおぉぉいぃ!? 律儀に止まるなよぉーっ!? 危ねぇーっ! ボールがぁぁーっ!
「ヒャッホー♪ もっらたよモモちゃぁ~ん!」
「ガハハ! そーらそーらぁっ!!」「このチャンス! いただきまーす!」
あ、あたしが叫んだらモモってばちゃんと止まって、橋が揺れる事を見せてくれた。なんていい子。疑ってごめんなさい。でも、危ないよ?
「ここぞとばかりに妨害三人衆がボール投げ放つぅぅーっ! 危なぁぁーい!!」
「んっふぅ~♪ 危ないのはぁ~シルフちゃん達だったりぃ~? 『ふぅん☆さい!』です!」
ドゴォッ! バチィンッ! ドォーンッ!!
「うそぉぉーっ!?」「ぐわぁぁーっ!?」「うきゃぁぁーっ!?」
ボボボォーンッ!! ピューン……
「ななななっ! なんだってぇぇーっ!!? これはスゴォォーイ! なんとモモ! 三人衆の放った妨害ボールを殴って蹴っての跳ね返しぃぃーっ!! まさか反撃されるとは思いもしなかった三人衆ぅぅーっ彼方へ吹っ飛んだぁーっ!」
うそだろぉぉーっ!? 何であんな不安定な橋の上でんなことできんだぁーっ!?
「えっへん! ももちーは強いんですよ♪ さぁてじゃあ、後はのんびりと行きましょうかね。みんなぁ~応援ありがとうございまぁす♪」
な、なんなのこのウサギッ子は? 妨害要員のシルフとジンにエアリアルを逆に吹っ飛ばして、今はてくてく歩きながら余裕で第三セクションまで来ちゃった!
「レウィリリーネ様~多分だけど、モモちゃんって体重軽すぎるんじゃない? 今はモーニングスターも持ってないし。ほら、背丈だって僕やユニちゃん達より少し高いくらいじゃない?」
「そういうこと? 確かにあの子小さいけど……」
パルモーが対して揺れない橋の理由に、モモの体重の軽さをあげるけど。そうなの? う~ん、でも『縛りプレイ(健全)くん』でスキルは使えないはずだし、そうなのかな?
「はぁい♪ 爽矢さんお疲れ様でーす♪ 見てましたよぉ? 手摺は脆いみたいですけど、欄干の橋桁は丈夫そうですよね、この橋?」
「むぅぅ。まったくおのれ等『猫兎』共は本当に好き放題やりおってからに! ほどほどにせんか?」
バキバキバキィーッ!!
「おおぉーっ!? なんとモモ! 第三セクションの上り坂の橋の手摺を『粉☆砕!』して、橋桁を悠々と歩いて登って行くぅーっ!!」
マジかぁぁーっ!? そ、そんな方法でぇぇーっ!? バルドの苦労はなんだったんだぁーっ!?
「はい♪ ゴールです! あらら、バルドさんどうしてそんなに疲れた顔してるんですか? 癒しますかって、今はスキルが封印されてるんでしたね」
「いや……あんたを見ていて俺もまだまだだと思い知っただけだ、気にしないでくれ」
「クリアぁぁーっ! ももちー余裕のクリアだぁぁーっ! 凄い! 凄いぞももちー! この難関を最後まで笑顔でゴールだぁぁーっ!!」
ワアァァァーッ!! もっもちーっ♪ もっもちーっ♪ 可愛いぃぃーっ!
はぁ、モモの破天荒さを甘く見てたよ……でもまだ二人目だもん! 大丈夫。次行こう……あ。次は……
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【こりゃ無理だ!】~爽矢も吹っ飛ぶ~
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「はっはっは! ようやく私の出番だな! 覚悟しろよ、女神に青龍、そして妖精に精霊!」
「さぁぁーっ! 最後の挑戦者の登場だぁぁーっ! 常に不敵な笑みを浮かべる美人さん! その正体は『黒竜』のゆかり様だぁぁーっ!」
うおぉぉーっ! ゆかり様ぁぁーっ! キャアァァーッ! カッコよくて綺麗ぃーっ!
うぅ、ゆかりめぇ~この人気者! って、そうじゃない。とにかくこの子が最後の挑戦者なんだけど、どうにも嫌な予感がしてしょうがない。そのゆかりが今スタートを切って……
「ははは♪ なんだ簡単じゃないか! ほらどうした!? 妨害してこい!」
「これは凄い! ゆかり様余裕で突き進んでいるぅーっ! しかも先程吹っ飛んで、ようやく戻って来た妨害三人衆を煽る始末だぁぁーっ!」
もうこうなると揺れる橋の意味の無さが際立ってきてしまう……頑張って作ったのに! ムムム、やっぱり一般と達人とかでコースを分けて作るべきだったんだ。
「むきぃー! バカにしてぇーっ!」「たとえゆかり様が相手でも!」「ガッハッハ! なるようになれぇーいっ!!」
ビュウゥンッ!! ビュンビューンッ!! パシィパシパシッ!
「ほぉ~このボールに僅かだがアリサ様の力を感じるぞ? なるほどな。これは使えそうだな!」
「なんとぉぉーっ! 放たれた妨害ボールを素早い手捌きで三つ全てを自分のものにしてしまったぁーっ!?」
おぅぅ……こりゃもう駄目っぽい。『懐刀』に並ぶだけあって『黒竜』のゆかりは規格外過ぎる。
「さぁて。ダラダラ続けてても仕方ないだろう? さっさとクリアさせてもらうぞ!?」
タタタタッ!!
駆けたぁぁーっ! うおぉぉスゲェーっ! 橋が全然揺れねぇぞ!? どうなってんだぁーっ!?
「あ~流石は長年生きた『黒竜』って事かな? 多分だけど体捌きで衝撃を殺してるんじゃない? いや、僕にも全然わかんないけどさ」
安心していいパルモー。あたしも全然わからないから。
「そぉら! ラストだぞ!? 食らえ爽矢!?」
「むおぉぉーっ!? ぐわああぁぁーっ!?」
ズゴォォーッ! ドッガァァーンッ!!
「なんとゆかり様ぁぁーっ! 先程の妨害ボールを佇む爽矢様に投げつけたぁぁーっ! 爽矢様受け止め切れずに吹っ飛ぶぅぅーっ!!」
ワアァァァーッ!? スゲェーっ! あの爽矢様の青龍の巨体がぁぁーっ!
「見てたぞ! お前がこの回転床を操っているところをな! 雷鳴と稲妻で邪魔をするって言っておきながら動こうとしないからおかしいと思っていたんだ!」
「うおぉっとと……ふぅぅ、危ない危ない。ハハハ! いやはや、流石はゆかり殿だ! こうもあっさり見抜かれるとは!」
「おっとぉ~吹き飛んだ爽矢様! 咄嗟に人化し城壁の床に着地ーっ! なんとあの回転床を操作していたようだーっ!」
うぅ、バレちゃった。ホントはあの回転床。自動で動くようにしたかったんだけど、時間なくて、間に合わなかったの。そこで爽矢にこっそり操作してもらうように頼んだんだよね。
ってことはーっ! つまりぃ~!?
「ああ、ほら♪ もう普通の坂道でしかないな! ははは♪ ほら、余裕のクリアだ! どうだカイン。見ていたかぁ~? 仇は取ったぞぉーっ!」
「お見事ぉーっ! これはゆかり様の完全勝利だぁぁーっ! みんなぁ~盛大な拍手をぉーっ!」
ワァァァーッッ!! ゆかり様スゲェーっ! パチパチパチパチパチパチぃー!!
あぁぁ、やーらーれーたー! うぎゅぅ……でも、ゆかりが最後でよかった。十二人もいた挑戦者を、バルド、モモ、ゆかりの三人にまで絞れたんだから上出来♪ ふふふ、次の関門が楽しみだね?
さぁ、アルティ姉さんの方はどうなってるかな?
シルフ「わぁー!ヽ(o・∀・)ノ 今日もいっぱい遊べて楽しかったなぁ♪(*´∇`)」
ジン「ガハハ!( ^▽^) ボールを投げて吹っ飛ばすのもいいが、逆に吹っ飛ばされるのも楽しかったな!。゜(゜^∀^゜)゜。」
エアリアル「うんうん♪(*´▽`*) あんなにピューンって飛ばされるのね!?(*`艸´) 知らなかったわ!(°▽°)」
ミュンルーカ「ちょっとエミルさん?( *´艸`) もう一回落ちて、ピョンピョンしません?(*´∇`*)」
エミル「おや、ミュンルーカさんもこのやたらと跳ねるクッションが気に入ったんですか?(^∇^)」
ミュンルーカ「はい♪ヽ(*≧ω≦)ノ これ楽しいですよね!(〃艸〃)」
カイン「あはは♪(´▽`) それでしたら僕がお二人を上までお連れしましょうo(*⌒―⌒*)o」
エミル「おお!(^-^) ありがとうございますカインさん!ヽ(゜∀゜)ノ」
ミュンルーカ「わぁ~♪(*^▽^*) 天馬の背に乗れるなんて嬉しいです!(≧▽≦) ありがとうカインさん!ヽ(*´∀`)ノ」
バルド「なんだかあいつ等脱落しても楽しそうだな?(^_^;)」
モモ「あのピョンピョン跳ねるのも楽しそうですね~♪(*´∇`)」
ゆかり「エミルとミュンルーカもいい笑顔で跳ねてるぞ?(^ー^) あのクッション使ったゲームとか考えたら面白いんじゃないか女神よ?(´▽`*)」
レウィリリーネ「かも( ´ー`) 姉さん達に相談してみる(・-・ )」




