閑話 風雲! 女神城!~肆~
アリサ「うぬぅぅ~(>o<") 三が日も終わりかぁ~どうして休みとはこうも早く過ぎ去ってしまうのか?(T^T)」
バルド「俺達冒険者は……その気になれば毎日を休みにできるんですが(^o^;)」
セラ「んなことしたら金もなくなるし、腕も勘も落ちちゃうかんなぁ(´・ω・`; )」
シェリー「あら?(^ー^) 私達はその間に魔法を研究したり書物を読み漁ったり沢山出来ることがあるわよ?(*´艸`*)」
デュアード「……食べ歩き( ̄¬ ̄) 今の『セリアベール』には、美味いの……揃って、きてる……(´・∀・`)」
ミュンルーカ「もう~(;^ω^) デュアードさんって結構な食いしん坊ですね!(^∇^) なんならワタシと教会でお祈りでもしますぅ~?(・∀・)」
ブレイド「休みかぁ~♪(ノ・∀・)ノ 俺はミスト連れて近所の奴等と遊んでるぜ!?(*`▽´*)」
ミスト「ブレイドと一緒に遊んだり(*´▽`*) シェリーさんと魔法を勉強したり( ´~`) あれ私結構忙しい?(゜A゜;)」
アリサ「人それぞれな過ごし方だねぇ( ´ー`) さあ、四日目の今日も『風雲! 女神城!』行ってみよう!ヽ(*≧ω≦)ノ」
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【囚われの姫達】~楽しくお料理中♪~
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ジュウゥゥーッ! ジュウゥッ!
「あうぁーっ!? アリサおねぇちゃ~ん、美味しそうだよぉぉーっ!」
「うんうん♪ そうでしょそうでしょ~? やっぱりハンバーグはこうでなくっちゃね!」
はい。みなさんこんにちは。アリサです、『風雲! 女神城!』の続きを見ていこう♪
私とユニはわるーい女神様達に捕まったお姫様役として、みんなのためにお昼ご飯を作ってる真っ最中♪ お手伝いのユニも、今となっては沢山の料理を任せられる程の料理上手に成長したため、頼もしいことこの上ない。
普段の『無限円環』なら、ゆかりとシェラザードに手伝ってもらうんだけど、今回あの二人は挑戦者として参加してるからね。まぁ、それでも流石に二人だけじゃ会場を埋め尽くす多くの観客達の分なんて回せないので、『ランバード使用人部隊』のみんなに手を貸してもらっている状況だ。
「ふふふ、ちょこーっとつまみ食いしちゃおうか?」
「いいの!? アリサおねぇちゃんそんなイケナイことしちゃっていいの~♪」
うっしっし♪ って二人で顔を合わせてニヤニヤしちゃう私達。作ってる側の特権なのだから誰にも文句など言わせないよ。だいじょーぶだいじょーぶ♪
「ふふふ。お二人ともそう言いながらしっかり味見用としてわけておられるではないですか?」
「あはは。まーね♪ ちょっと妹達が悪役ごっこしてたもんだからさ、真似してイケナイ事してるみたいな雰囲気出して遊んでたのよ♪」
笑いながら話しかけて来るのは『使用人部隊』の料理長だ。私達は料理するとき、みんなに出す分と、味見用の分とを同じく料理して、頃合いを見て味見用の分を口にして、具合を確かめてから、仕上げに取り掛かっているんだよね。それが今、料理長の言ったやつってわけ。
「えへへ♪ 女神様達とっても楽しそうにしてたから真似してみたの♪」
「うんうん。結構面白いわよね♪ って、それはいいとして。そっちはどんな感じ?」
「ははは! お二人とも楽しそうで何よりです。こちらは出来上がりましたので、ご確認頂きたく」
一年間に渡る『無限円環』内での訓練の間、なにも色々と訓練をしていたのは主要メンバーだけじゃない。彼ら『使用人部隊』も『ユーニサリア』の原始的な食文化から脱却すべく、奮闘していたのだ。その甲斐あって、彼等の料理技術は格段に上がり、今じゃほとんどの料理を任せる事が出来るようになった。
そんな彼等の中でも、この料理長。『長』の名前に恥じる事のないよう日々研鑽です。とかまぁ~殊勝と言うかストイックと言うか……とにかく上昇思考な人物で、機会さえあればこうして私に作った料理を確認してもらいに来るんだよね。
「どれどれ、あ、ユニも食べてみて? 感想や意見は多い方がいいから」
「うん♪ いただきまーす!」
今回料理長に任せてみたのは鶏の唐揚げ。生姜とニンニクにお醤油での味付けだ。
「うん♪ 美味しい! でも~ちょっと味が濃い?」
「だね。出すときにマヨネーズとかレモンを添えて、好みを探れるようにしてあげて? 後レタスも多目にね?」
「畏まりました。いつもありがとうございます、勉強になります!」
「そうかしこまらなくていいよ~人によってはこのくらい味が濃い方が好きって人もいるし、お酒なんかと一緒に食べるなら丁度いいだろうし。正解の味付けなんてそうそうあるもんじゃないって♪」
うむうむ。何と一緒に食べるかとかでも濃い味付けの方が良かったり、薄い方が良かったりするもんだ。
「ユニはもうちょっと薄い方が好きかも……う~ん。ちょっと前までアリサおねぇちゃんが作るお料理ならなんでも美味しいーっ! って言ってたのに、凄く贅沢なこと言うようになっちゃたなぁ~」
「それもまた成長だよユニ。さぁ、みんながお腹空かせて私達の料理を楽しみにしてるよ! みんな! 頑張って作ろうねー!」
はーいっ!!
あむちょ♪ 味見用のハンバーグを食べてみんなに発破をかけつつ、私も手を動かす。ご飯食べたら、いよいよ第二関門の『運命の扉』の始まりだ。一体誰が脱落して、誰が誰の城の攻略に振り分けられるのかな?
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【アイドル】~頑張って説明す~
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「おいひぃのですー♪ アリサママのお料理美味しいのですー!」
あむあむ! モグモグ! パクパクッ! んぅーっ♪ って凄い勢いで私が作った料理の数々を食べて食べて食べまくるポコ。そんなに慌てなくてもまだまだあるから落ち着いてゆっくり食べてほしいのだけど……すんごい、いい笑顔を全開で見せてくれるので、注意する気が起きないよ。
「ほらほら、ポコったら。お口の周りが大変なことになってるわよ?」
「ははは! 料理ならまだあるから慌てずに食べるといいぞ『幼女神』!」
「ポコ様は元気いっぱいですね。呪いの後遺症とかも無さそうで本当に良かったです」
そんなポコを温かく見守るのはシェラザード、ゆかり、カインの『無限円環組』の三人だ。ちゃんと注意してくれてありがたいや、うむぅ、母代わりとなった以上、娘の躾もしっかりしなきゃいけないんだろうけど……私はとんだ親バカのようだ。
第一関門の盛り上がりを見て、いてもたってもいられなくなったポコは急遽参戦する事になったんだけど、大丈夫かな? 次の関門でいきなり脱落しちゃったりしないか心配だ。
「えへへ! ありがとなのですカイン! ポコはご覧の通り元気が有り余っているのです! それとゆかりちゃんはちゃんとポコをポコって呼んでほしいのです!」
「はいはい。お口拭くからちょっと大人しくなさいね?」「わかったぞポコ!」
いやはや、あそこの集団はなんとも微笑ましいね。さて、もうちょっとだけ他のみんなの様子も見てみようか? 愛しのアイギスはどこかなぁ~♪ あ、いた。
「危なかったなドガ?」「うむぅ、最後のあの瞬間は肝が冷えたわい……」
「ワハハ! 俺も「またドガか!」って思ったぜ?」
「ふふ、今回も「ぬわあぁーっ!」って叫んじゃいましたねぇ?」
「あはは! なんにせよ『白銀』全員でクリア出来て嬉しいわ♪」
うんうん。互い互いに第一関門の感想で盛り上がってるようだね♪ ドガが最後に吹っ飛んだあの瞬間、多分誰もがゼルワと同じ「またお前か!」って思った事だろう。
「ぷっはぁーっ! ご馳走さまでしたぁーっ! いやぁ~最っっ高ぅぅーに美味い昼食をありがとぉぉございましたアリサ姫ユニ姫ぇーっ!!」
おっと、司会のエルフが食べ終わって、実況を再開させたぞ? お礼なら私達だけじゃなくて『使用人部隊』達にも言うんだよ?
「はぁーっ! 食った食ったぁ~♪ いよいよ第二関門か?」
「へへっ! アリサのハンバーグをたらふく食ったアタイは無敵だぜ!」
「煮魚が……こんなに美味い、なんて……はぁ、もっと……ほしい……」
「アイギスが食っていたかき揚げうどん、うまかった……」
「みなさん食べ過ぎですよぉ~大丈夫ですか?」
「ぷふふ♪ そう言うミストちゃんも、ケーキにアイスクリームとか沢山のデザート食べてたよね~♪」
「大丈夫よミュンルーカ。デザートは別腹! らしいから!」
ポコに負けないくらいの大食いっぷりを見せていた『黒狼』のみんなも司会のエルフの声に反応して、ペロリと残ったご飯を綺麗に平らげる。なんかみんな好物が別れていて、あの席にどんだけ沢山の種類の料理が並んだことか?
「さぁーみんなぁーっ! 腹も膨れた事だろうし! 第二関門おっ始めるぜぇぇーっ!!」
イヤッホォォーッ!! 待ってましたぁぁーっ!!
「んぅ♪ みんな元気いっぱい! アリアちょっとビックリした、よ?」
「全員刮目せよぉーっ!! なんと第二関門は我等がアイドル! アリアちゃんが説明してくれるぞぉぉーっ!!」
ワアアァァァーッ!! アッリッア! アッリッア! YHAAAAーッ!!
えぇ~? なんぞこれ? いつの間にアリアってばそんな大人気になったのよ?
「頑張って沢山お話するね? あるじ様もユニも、妹達も聞いて?」
「ん!? アリア。ママも聞いてるよ? ねぇ?」
ま、まぁ、アイドル云々はこの際置いておくとして、折角のアリアの晴れ舞台? なんだし注目しよう。だからレウィリリーネは少し黙ってようね?
「アリアお姉ちゃん頑張るのですーっ!」「アリア姉さん頑張って♪」
「んぅ♪ 次なるは第二関門『運命の扉』。ここのルールは、一人づつ走るの。歩いたり、立ち止まっちゃ、めっ!」
にゅふふ♪ たどたどしくも一生懸命に私達に伝えようと、身振り手振りして頑張るアリアの姿に思わずほっこりしちゃうなぁ~♪ さて、そんなアリアの説明する第二関門『運命の扉』は、アリアのすぐうしろにどどーんとその佇まいを見せている。
屋根のない長方形に伸びた四角の箱がドンって置かれてるって感じ。中には壁が何枚か並び仕切りになっており、その壁に扉が四つづつあるね。
「アリサ姉さんは覚えてるでしょこれ? やっぱ勢い大事よね~?」
「懐かしいわ、確か開かない扉もあるんじゃなかった? それにぶつかると駄目だったよね?」
そう、このゲームは前世のあの番組にもあったヤツだ、挑戦者は一人づつ。みんなウオォォーッ! って叫んで扉に体当たりでぶつかって行き、ある者は弾き返され涙を流し、ある者は総ての扉をぶち破り、ゴールまで駆け抜けて、大いに喜ぶ姿を見せていた。
「そぅ。ここは、勢いが大事。「ここだ」と感じた扉に突っ込んでいくべし。歩いたり、立ち止まったり、扉に弾かれたら脱落。ゴールは四つ、女神様達のお城行きか……外れ。外れは脱落。ぴゅーってなる、よ♪」
最後の扉を越えた先の部屋だけ四つに分けられており、正面の壁には、ティリア以外の妹三人の写真が一枚、額縁に飾られていて、その額縁の中でパチスロみたいにクルクル回っては時折止まる。アルティレーネ、レウィリリーネ、フォレアルーネの写真、それに加え『×』の絵柄。
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【第二関門】~『運命の扉』~
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「最後の扉を抜けるとそのクルクルが勝手に止まるの。しゃしんの女神様のお城に、しゅーんってなる、よ? 『×』はぴゅーね?」
「ほう、成る程……直感を試される関門のようだな、後は運と言ったところか?」
「アイギスなんて危ないのではないですか? 今まで不運続きだったのでしょう?」
「ははは! ガキの頃に故郷追われたり、ホーンライガーに腕喰われたりなぁ~?」
「そして、アリサ様に出会ったことで、人生最大の幸運を使ったのだろうし……気を付けるのだぞ?」
ふむ。最後の扉を抜けて妹達のルーレットで転送先が決まるんだね? 途中の扉は直感が、最後は運が試されるのか。そのアリアの説明を聞いてバルドくんが納得だ、と言うように頷き、セレスティーナ様が息子のアイギスを案じると、セラちゃんが子供の頃から不運続きだっただろ? ってアイギスを笑う。ガルディング様も注意するように言ってるね? うむぅ~それを聞くと中々波乱万丈な人生歩んでるよねぇアイギスってば。今後は穏やかな人生にしてあげたいものだ、そのために私が頑張っちゃおう!
「あ、あ~はい。頑張ります……それより、アリア殿です」
「うんうんそうだよね!」「アリアちゃんだよね!」「「「わかる」」」
可愛いな……
うむ。今アイギス含め、会場全体の声が聞こえた気がしたぞ。舌足らずなアリアの一生懸命に説明する姿に、会場全体の心がひとつになったのだ。そう、『可愛い』! それ以上の言葉が見つからない程に可愛い! こりゃアイドルだと称されるのも納得である!
「……んぅ? あ! 忘れてた……途中に、妨害が、ある! よ? 気を付けて? ん~おわり」
「尊い……はっ!? あ、ありがとぅぅーっアリアちゃぁぁぁーんっ!! 総員! きりぃーっつぅぅっ!!」
ガタガタガタガタガタッ!!
「我等がアイドル! アリアちゃんに盛大な拍手ぅぅーっ!! 手がぶっ壊れるほどに拍手しるおぉぉーっ!!!」
ウワァァァアアアーッッ!! パチパチパチパチパチパチパチパチィィーッッ!! ありがとうぅーっ!! ありがとうアリアちゃぁぁぁーんっっ!! ワアァァァーッ!!
頑張った! アリア頑張ったね! 最後に忘れちゃったこともちゃんと思い出して伝えられたね! えらい! 可愛い! 私のアリアは最高だ!! 第二関門の説明を終えたアリアに対し、私含む全員が立ち上がり、割れんばかりの拍手を贈る!
「よぉぉーっし!! それじゃあ行ってみよぉぉーぅっ!! 第二関門『運命のぉぉーっ扉ぁぁーっ』!! スタートだっ!!」
「いいだろう! 今回の一番槍は私達『白銀』が担おう! おぉっ! 囚われの姫達よ! 今このアイギスが推して参ります!」
おぉぉーっ!! 流石アイギスだ、勇気あるぜぇーっ! 頑張れよぉーっ!
おっと! 今回はアイギスがトップバッターを務めるのか? あんなに「お前は運ないだろ?」なんて言われてたのに、自ら先陣を切るとは見上げた勇気だ! これは応援せずにはいられないね!
「頑張ってぇーっアイギスぅーっ!」「アイギスおにぃちゃーん! かっこいぃーっ♪」
「さぁーっ! 始まったぁーっ! 一番手は姫達から黄色い声援を受ける『白銀』がリーダーぁぁーっアイギィィースッッ! このむっつり野郎がぁーっ! 脱落しちまえぇーっ!!」
ワァワァーッ!! そうだそうだぁーっ! アリサ様とイチャイチャしやがってぇぇーっ!!
「ふっ、今じゃ観衆の野次すら心地良い! 先ずは一枚!」
バァァーンッ!
「二枚! 三枚!!」
「にゃにゃーんっ! こっから先へはいかせにゃいにゃーっ!」
バァァーンッバァァーンッ! と、立て続けに扉に体当たりをぶちかまし、突き破るアイギス! これよこれ! この疾走感が見てるこっちも楽しいんだよね! さぁ、ラスト一枚! ってところでアリアがさっき言っていた妨害が入った!
「おおぉーっとぉっ!? ここで乱入者が現れたぁぁーっ! アイギスの行く手を塞ぐのはケットシーのニュイだぁぁーっ!」
いいぞぉーっ! ニュイィィーッその野郎を止めてやれぇぇーっ!
「覚悟するにゃーっ! にゃにゃーん!」
「甘い!」
妨害に入ったニュイがアイギスの顔目掛けてダイブ!! しかしアイギスはそれを読んでいたかのように素早く身をかわした!
「にゃにゃーっ!?」
バァァーンッ!!
「ゴォォール! アイギス、ニュイの妨害に負けず最後の扉をぶち破ったぁーっ! しかぁーしっ! まだ終わりじゃないぞぉーっ! 最後の運試し! 女神ルーレットが待っているぅーっ!」
はっずれろ! はっずれろ!
最後の扉を抜けてルーレットが回り出す! さぁ、アイギスの行方はどうなる!?
ジャガジャガジャガチィーンッ!!
「いよぉぉーしっ!!」
「アルティレーネ様だぁぁーっ!! 『白銀』リーダー! アイギスがまずアルティ城の攻略に選ばれたぁぁーっ!」
ブーッブーッ!!
おぉー♪ やったじゃんアイギス! 第二関門突破おめでとう! うっふっふぅ♥️ 普段見せないガッツポーズまでしちゃってぇ~♪ 私も嬉しいぞい!
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【最初の】~脱落者~
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「さぁーっ! ドンドン行こう! 巻きで頼んまーす!」
「やるじゃねぇかアイギス! よっしゃ! 次は俺が行くぜ!」
アイギスに続くのは同じく『白銀』ゼルワだ。「うおおぉーっ!」って、威勢のいい掛け声を挙げて今最初の扉に突っ込んで行く!
バァンッ!! うべらっ!? バターンッ!
……え?
「アウトおぉぉーっ! ゼルワ弾かれたぁぁーっ!! 脱落! 脱落だぁぁーっ!」
ワアァァーッ!! イェェアァァーッ!! ゼルワざまぁーっ!
「おおっ! なんと言うことだ! 今回初の脱落者はゼルワだぁぁーっ! なんて情けない! みんな笑ってやれぇぇーっ!!」
ワハハハハーッ!! いいぞゼルワぁーっ! 体を張って俺達を笑わせてくれてサンキューッ!
「うっ! うるせぇぇーっ!! てめぇら全員降りて来やがれぇぇーっ! ぶっ飛ばしてやらぁーっ!」
「はいはいはいーっ! 脱落は脱落よゼルワ! 大人しく観戦する側にまわりなさいな?」
あらら。開始早々にいきなり脱落しちゃったゼルワの悔しそうなことよ、観衆にキレてるけどティリアの鶴の一声で渋々ステージを降りて行く……まぁ、こういう事もあるって! いやぁ~でも今の面白かったな♪
「次は私です! 見てて下さいゼルワ! 貴方の仇は私が!!」
「おーっ! 頼むぜサーサ!」「頑張ってねサーサ!」「立ち止まってはいかんぞ!」
恋人の仇討ちです! と、勇ましく立ち上がった次なる挑戦者はサーサだ。うむ、その瞳には大きな闘志が宿っている! 頑張れーっ! ゼルワにレイリーア、ドガからも声援がおくられ今スタートだ!
「一枚目ぇぇーっ! えーいっ!」
バァーンッ!
あはは♪ 両手を前に突き出して扉にぶつかって行くサーサがなんかかわいくて可笑しいや! あの扉って見た感じ結構しっかりした作りに見えて、それなりに頑丈そうだけど、どうなってんだろ?
「んぅ? ……それも、いい忘れてた。あるじ様ごめんなさい。あの扉は紙で出来てる」
「あら、アリアお帰りなさい♪ そっか紙を塗装して如何にもそれっぽく見せてるんだ?」
「アリアちゃんお帰りなさ~い♪ 別に謝らなくても大丈夫じゃないかな? みんな気にせずバァーンッバァーンッ! って壊してるし」
私が扉について考えてると、アリアが帰ってきた。うんうん、お疲れ様♪ 立派に説明できたね。ちゃんと聞いてたからね♪ 因みに最初にアイギスが破った扉は勝手に直ってたから、妹達の魔法でもかけてあるんだろう。
「うん♪ ただいまあるじ様、ユニ♪」
んふぅ~♪ 可愛い可愛い! 抱きつくアリアをユニと一緒に迎えてあげて、早速用意しておいたケーキやらなにやらとお菓子をプレゼント。ニコニコ笑顔で嬉しそうなアリアを見れてほっこりだね♪
「ラストぉーっ! 妨害がないのはラッキーです! このままルーレットもクリアしちゃいますよ!」
バアァーンッ!! クルクルーッ!
「キタキタキタァーッ! アイギスに続いてサーサが今ルーレットまでたどり着いたぞぉーっ! さぁ、結果は如何にぃぃーっ!?」
ジャガジャガジャガチィーンッ!! テッテレー♪
「アルティレーネ様ぁーっ! またもやアルティ城が選ばれたぁーっ! これ女神様達も御覧になってますよね? どうしますぅーっ!? 誰もこなかったらぁーっ!?」
「ちょっと!? 司会のエルフくん! 怖いこと言わないでよ!」
「はぅ、そう考えるとあたし達もドキドキするっ!」
はっはっは♪ 誰かの城に片寄っちゃう可能性は確かにゼロじゃないね? まぁ相当低い確率だろうからそんなことそうそうないと思うよ? それにそうならないように調整してんじゃなかったっけ? まぁ、いいや。
「やりました! ゼルワの分も頑張りますね♪」
「見事じゃったぞぃサーサ! どれ、次は儂が行こう!」
やったぁ♪ って喜ぶサーサ! おめでとうーっ! これでアルティ城にアイギスとサーサが選ばれた、さぁ次はドガだ!
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【ドガドガッ!!】~レイリーアレイリーアッ!!~
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「邪魔じゃぁぁーっ! 『魚人』の小僧ぉぉーっ!」
ドッガァァーンッ!!
「ぐっへぇーっ!? マジかよぉぉーっ!」
バアアァァーンッ!! ジャガジャガジャガチィーンッ!
「すごぉぉーい!! まるでビックリノッシーのごとき猛進! 妨害に入ったウェズを軽く吹っ飛ばして、ドガ! 今ゴォォール!! ルーレットが回り出すぅーっ!!」
「ほっほーっ! 儂もアルティ城じゃぁぁーっ!!」
ははは! あー面白い♪ ドガってばまるで重戦車だよ! さっきのアイギスの時と同じように、ウェズが妨害に入ったんだけどさ、そのウェズに体当たりぶちかまして吹っ飛ばし、一緒に扉まで破っちゃった!
「ちょぉーっ! 何でさっきからアルティ姉ばっかりぃーっ!?」
「み、みんな? あたしのとこ、来よう? 楽しいから!」
そして三人共にまたアルティ城の攻略に選ばれた。フォレアルーネとレウィリリーネがちょっと焦ってる姿がまた笑いを誘う。
「あらあらあらぁ~♪ うふふ、うふふふ! いやですねぇ~私ってば大人気じゃないですか♪」
「いや、アルティレーネ。これ単に確率でしょう?」
「ふぅ~ガウスさんイチゴ牛乳のお代わりを頂けますか? ありがとうございます♪ ふふ、そのうちに逆転されたりするかもですよ?」
「ははは、いやぁ~見てるだけでも楽しいですねこれは!」
「然り。次回があるなら俺達も参加するとしようぞムラーヴェ?」
それに調子づくアルティレーネだけど、ヴィクトリアが言ったように単なる確率の結果に過ぎない。ガウスからイチゴ牛乳のお代わりをもらうアルナの言う逆転も、十分に可能性があるんだよね。でもこうして片寄るとどうなるのかな? って見てる方も楽しいってのは私もムラーヴェと同意見だ。ガウスの期待する次回があるかどうかはまだわからないけど、そのときは是非参加してね?
「よぉぉーっし! 『白銀』のラストはアタシよぉ~♪」
「さぁーっ! お次は前回の覇者! レイリーアだぁぁーっ!!」
ワァァーッ!! レイッリィーア! レイッリィーアァーッ! 頑張れ頑張れレイリーアァーッ!!
「凄い声援ですね!? そんなに前回の企画は盛り上がったのですか?」
「ははは、すごかったぜラグナース? そういや前回も俺、第二関門で脱落しちまったんだよなぁ~トホホ」
レイリーアの登場に会場が沸き立つ。彼女は前回のアリス城を攻略した本人だからね、その人気っぷりもまた凄い。その事を知らなかったラグナースはそりゃビックリしたことだろう、観客側に移動したゼルワに聞いて、なんか誇らしげだよ。逆にゼルワは落ち込んじゃったけどね♪
「行くわよぉーっ! そーれ一枚目ぇーっ!」
バアァーンッ!
「二枚ーっ! さんまーい!」
バアァーンッ! バガァーンッ!
「そこまでだぁーっ! 前回の覇者だろうとこの先には行かせん!」
「あーらドランド? 残念だけど止まるとアウトだからね、このまま行かせてもらうわよ?」
「おぉーっと! またしても妨害が入ったぁーっ! 今度は『ハンバーグ』のリーダー、ドランドだぁぁーっ!」
っと~、流石に前回の覇者だけあってマークされてるみたいだねレイリーアは。妨害に入ったのはドランドだ。さぁどうなる? どうするレイリーア!?
「とーっ!」
「なんとぉーっ! レイリーア空高くジャンプしたぁーっ! どうするつもりだ一体ぃーっ!」
「ぐっ!? しまった目がっ! そう言うことか!?」
ジャンプしたレイリーアを目で追ったドランドが、その瞬間手で顔を覆う。そう、今はお昼時、太陽が真上に来てるこの時間をレイリーアは利用して目眩ましに使ったのだ。某漫画の目眩ましに使われた太陽け……オホンッ!
「かーらーのーっ! 蹴っ飛ばしぃーっ!」
バガァーンッ!! ジャガジャガジャガーッ!
「ゴォォール! 見事な作戦でドランドの妨害をあっさりとかわしたレイリーア! 最後の扉をジャンプキックで蹴り飛ばしゴールしたぁぁーっ!」
「ルーレット! ルーレットの結果は!? うち! うちにおいでレイリっち!」
「あたし! あたしのとこ! 『あたし』仲間のよしみで!」
無念! とか言って退場するドランドに回り出すルーレット。うむ、今回はレイリーアの機転の勝利だね、ドランドにとってもいい勉強になったんじゃないかな? さて、フォレアルーネとレウィリリーネがお祈りする結果は如何に?
チィーンッ!!
「やったぁぁーっ!! いらっしゃいレイリっち~♪」
「うぐぐ……なんであたしのとこに誰も来ない……!?」
フォレアルーネだ! レイリーアはフォレア城の攻略に選ばれたね。いやはや、フォレアルーネの喜びようと、レウィリリーネの悔しそうな顔のギャップと来たら、笑っちゃうよ♪
「あらら? アタシだけメンバーからはぐれちゃったわね? まぁ、いいわ! お互い頑張りましょう、アイギス、サーサ、ドガ!」
「ああ、全力で挑もう!」「あはは、ゼルワは残念でしたけどね」
「うむ! 攻める城は違えど、最後には皆で合流したいもんじゃな!」
以上が『白銀』達の結果になった。アイギス、サーサ、ドガの三名がアルティ城を、レイリーアがフォレア城の攻略を目指す。ゼルワは残念ながら脱落。さぁ、他のみんなはどう振り分けられるんだろう? 楽しみだね♪
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【オゥオゥ♪】~へっへ仲良くしようぜぇ~?~
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「さぁーっ!! じゃんじゃん行こうぜぇーッ! なんせ挑戦者の数が多いからな! 続くのはだれだぁーっ!?」
「当然! アタイ達さぁーっ!」
応よっ!
アイギス達の挑戦が終わり、司会のエルフに促され立ち上がったのは『黒狼』のみんなだ! 特にセラちゃんは楽しみにしてただけあって、気合いが入っている。
「先ずはリーダーの俺が行く! 始めていいか?」
「オッケェェイッ!! 次なる挑戦者は『黒狼』の面々だぁぁーっ! トップを飾るのはバルドォーッ!」
オォォーッ! アイギス達のダチだってなぁ~? 頑張れよぉーっ!!
あい、そんなわけでバルドくん。順調に扉を破り、ルーレットまで一気に駆け込み。
ジャガジャガジャガチィーンッ!
「来たぁぁ~♪ いらっしゃい!」
「ふっ、まぁこんなものだ。アイギスとは別になってしまったが、そこは仕方ないか」
「レウィリリーネ様だぁぁーっ! ここでやっとレウィリ城の攻略に選ばれた挑戦者が現れたぁぁーっ!」
レウィリ城の攻略にようやく一人選ばれたのだった! よかったねレウィリリーネ♪
「じゃあ、次はアタイだ! 行くぜぇ~♪ オラァッ!」
ドガーンッ! バキィーッ! ズバァーンッ!!
「いいぞいいぞぉーっ! 実況が間に合わないほどのスピードだセラぁぁーっ! あっという間に最後の扉ぁーっ!」
ダダダダーッ! って駆けては一切の迷いも見せず並ぶ扉から一枚一枚殴って蹴って体当たりと選んで破って行き、最後の扉もドーンッ! セラちゃんもルーレットを回す!
「さぁこいさぁこい! 出来ればバルドと同じレウィリリーネ様のとこにだな♪」
ブブブブーッ!!!
「へ?」
パカッ!
「うにゃぁあぁぁぁーっ!!?」
ヒュゥゥーンッドッボオォォーン!!
「脱落ぅーっ! ざーんねぇぇーんっ!! セラ脱落だぁぁーっ!!」
「「「セラあぁぁーっ!!」」」
ワァァァーッ!! 二人目きたぁーっ! はははっ残念だったなぁーっ!
ふはははっ!! セラちゃんが出したルーレットの結果は『×』だった。その瞬間昔のバラエティーよろしく、床がパカッて開きセラちゃんが落っこちていって、おそらく水の中に派手に着水したんだろう。
「おうっおうぅおーぅ♪」「うぅぅ、ぐすんぐすん……」
あ、今セルキー達の背中に乗せられて川から運ばれてきたよ。あ~あ、かわいそうにびしょ濡れだね。
「なあぁぁーんっ!! くやしぃぃーっ!! やだぁぁーっ! まだ始まったばっかなのにぃーっ! わぁぁーんっ!!」
「おぉっとぉ!? まさかのガン泣きだぁぁーっ! そんなに悔しいのかぁぁーっ!?」
「あらら、そんなに楽しみしてくれてたなんて、企画した甲斐があるわね」
「流石にかわいそうに思いますけれど……こればっかりは、ね?」
ペイッ! って、セルキー達の背中から挑戦者が集まってる場所に放り投げられて、ベチャンとうつ伏せに倒れるセラちゃんに、お仕事終わり~って感じでおうおう言いながら定位置に戻って行くセルキー達。セラちゃんはプルプルと震えだしたと思ったら、大泣きし始めちゃった!
「よーこそよーこそぉ~♪ 脱落者は脱落者同士、仲良く応援してようぜ~セラ? なぁに、見てる分も楽しいって!」
「ううぅぅ~みんなと一緒に攻略したかったぁ~うわぁぁーんっ!!」
ゼルワの慰めの言葉も気休めにしかならないか。まぁ、ティリアとアルティレーネが苦笑いして困ったような表情見せてるように、ゲームにルールは付き物だ。かわいそうだとは思うけど、これは仕方ないよね。
「でもそうね、『引き寄せ』っと♪」
シュンッ!
「え? アリサ?」
「それから『温風魔法』に『暖気上昇』に『汚れ落とし』っと♪ ほい、綺麗になった!」
「エヘヘ、頑張ったね~セラちゃん♪」「んぅ~ドンマイ?」
あまりに大泣きしてるセラちゃんを見かねて、つい甘やかしてやりたくなったので、彼女を『引き寄せ』で、側に連れて来て、びしょ濡れの全身を魔法で乾かし、汚れも落としてあげる。その間きょとんとしてるセラちゃんがなんか可愛いね♪ ユニとアリアがそんな彼女をよしよしって慰めてあげてるのもまた、ふふ、たまらん!
「うおぉぉーっ!? なんと鮮やかぁーっ! 我々が気付いたその時には既にセラが小綺麗にされているぅーっ!」
ワアァァーッ!! 流石アリサ様ぁぁーっ!!
おやおや? こんなんでも観衆達は沸き立つのか? 前回も似たようなことやった気がするけど? まぁ、それはいいだろう。今はセラちゃんを甘やかしてあげよう♪
「はい。イチゴのショートケーキと温かい紅茶だよ。これ食べて元気出してセラちゃん?」
「うぅーっアリサぁーっ! アタイすげぇ悔しいよぉ~! 『セリアベール』でさぁ、『アリス城』の記録見てさぁ~今日まですっごく楽しみにしてたんだぜ?」
うんうん、凄い駄々こねてたもんねぇ~♪ お~よしよし、いいよ。その悔しい気持ちを全部吐き出しちゃいなよ? 私達が全部聞いてあげるからね。
「シェリーはフォレア城だぁぁーっ!!」
「よぉーし! 二人目ぇーっ!」「ふぅ~妨害がなくてよかったわ。よろしくねレイリーア」
「ええ、頑張りましょうねシェリー♪」
モグモグ、くすんくすん……と、少しずつ落ち着きを取り戻してきているセラちゃん。その間にも第二関門は続いている。丁度今、シェリーがフォレア城の攻略に選ばれたようだ。ふふ、他のみんなはどうなるかな?
ヴィクトリア「可愛いわ(*´ェ`*) アリアちゃんもセラさんも!ヽ(〃´∀`〃)ノ」
ティリア「わかる!゜+.(*ノωヾ*)♪+゜ ね?(*´∇`) 私が以前に子が欲しいって思ったその気持ちがわかったでしょう?(*´艸`*)」
ヴィクトリア「そうね♪o(*⌒―⌒*)o こんな可愛い姿見てたら自分も子を授かりたいって思うのも道理ね(’-’*)♪」
アルナ「ふふ♪( *´艸`) 子はいつの世も、どんな世界でも宝です(*´∇`*) 将来ティリアも子を授かったら私が祝福しますね♪(ノ≧▽≦)ノ」
セラ「す、好き勝手言ってぇ~?(; ・`ω・´) アタイはこう見えてちゃんとした大人なんだぜ!?ι(`ロ´)ノ」
アリサ「にゅふふ~♪。:+((*´艸`))+:。 セラちゃんや~ちゃんとした大人はあんなに駄々こねないし~:*(〃∇〃人)*:」
ヴィクトリア「わんわん泣いてケーキ食べさせてもらってホッペにクリームつけたり~(  ̄▽ ̄) しないのよ、えぃ☆(≧▽≦)」
セラ「わぁぁーっ!?Σ(゜ロ゜;) なんで二人して抱き着くんだよぉ!( ̄0 ̄;)」
ユニ「そんなのセラちゃんが可愛いからだよねぇ~♪(*´艸`*)」
アリア「んぅ♪(゜ー゜*) あるじ様も女神様も、セラのこと大好き、です(*´∇`*)」
ティリア「そうそう(((*≧艸≦) だから大人しく私達に愛でられなさいな♪(°▽°)」
セラ「あうぅぅ~!(〃ノωノ) そんなこと言われたら無下にできねぇじゃねぇかよぉぅΣ(>Д<)」
ムラーヴェ「よいものだなガウス!( ´ー`)」
ガウス「然り( ・-・) 実に微笑ましいなムラーヴェよ♪(^ー^)」
ムラーヴェ「俺達冒険者ギルド辞めて、皆さんに着いてきて本当によかったぞ!ヽ(´∀`)ノ」
ガウス「であろう!( ̄▽ ̄) 俺の決断は間違っていなかったのだ、感謝しろよ!(*≧∀≦)」
アリサ「ほらほら( ゜ー゜) そこの執事さん達~お客様の飲み物切らしちゃ駄目よ~?( ´∀`)」
ガウス&ムラーヴェ「「はい!o(*≧∇≦)ノ 只今お持ちしまぁーす♪(ノ≧∀≦)ノ」」




